2014年1月27日月曜日

今日の南シナ海は明日の尖閣だ 東海大学教授・山田吉彦―【私の論評】中国大陸にはノータッチのタッチを決め込みむにしても、南シナ海は捨ておけぬ日本(゚д゚)!

今日の南シナ海は明日の尖閣だ 東海大学教授・山田吉彦


中国の海南省政府が1月1日、「中華人民共和国漁業法」に基づき、南シナ海の管轄海域内で操業する外国漁船は中国当局による許可を必要とするなど、漁業規制を強化する規則を施行した。「偉大なる中華民族の復興」を目指し、支配海域を着実に拡大するという中国の戦略の一環である。

《漁業規制は既成事実化狙い》

中国は、領海と排他的経済水域(EEZ)を合わせて300万平方キロ有するとしている。今回の規制強化海域はそのうち約200万平方キロに及び、1950年以降、南シナ海の海上境界線としている「九段線」の内側にある。

だが、この海域はベトナム、フィリピン、マレーシア、インドネシア、ブルネイ、台湾も管轄権を唱えていて、その範囲は154万平方キロにわたる。係争のない海域は44万平方キロにすぎない。

中国の海洋進出の常套(じょうとう)手段は、まず獲得したい島々の領有を宣言して、領有の根拠となる国内法を整備するとともに周辺海域の調査を行い、次に中国海警局の警備船を使ってその法律を執行するというものだ。今回の南シナ海での漁業規制は、この法執行の既成事実作りが狙いだとみていい。

法執行に当たっては、当初は警察権を前面に出すものの、次の段階では海軍や空軍を展開させてプレゼンスを高め、支配を既成事実化していき、領土もしくは管轄海域を手に入れるのである。

南シナ海ではすでに、ベトナムやフィリピンが、歴史的に領有権を主張してきた島々を中国に占拠されている。1974年、ベトナムは中国の武力行使によりパラセル(西沙)諸島を失った。

フィリピンが管轄下に置いてきたスプラトリー(南沙)諸島のミスティーフ礁は95年に、初めは中国の漁船が台風避難と称して入り込み、次にその漁民の保護という名目で中国海軍が侵入してきて、軍事拠点を構築している。

2012年4月には、フィリピンのルソン島の約180キロ沖にあるスカボロー礁で、フィリピン海軍が中国の密漁船を拿捕(だほ)したところ、中国の警備船が現れて睨(にら)み合いとなり、その状況が2カ月間にわたって続いた。フィリピン海軍が荒天のため現場海域を離れたとたん、中国に占拠された。

《「遠い所の出来事」に非ず》

フィリピンが国際海洋法裁判所に仲裁を仰ぐ提案をしたのに中国は拒絶し、現在は中国による拠点化が進む。中国はもとより和解など望んでいないのである。

日本人の多くは南シナ海での動きを、どこか遠い所の出来事のように眺めているかもしれないが、そうではなく、東シナ海の近未来の姿になりかねないと捉えておくべきだろう。今日の南シナ海は明日の東シナ海ということだ。

中国は、南シナ海で成功した手法を東シナ海でも適用してくるだろうからだ。日本は、南シナ海での動向を注視して事例に学び、東シナ海での備えを怠らないようにしなければならない。フィリピンやベトナムなどと協力して中国の南シナ海進出に効果的に対抗できれば、その東シナ海進出の出端(ではな)をくじくことも可能になる。

東南アジア諸国連合(ASEAN)はこの17日に、ミャンマーで非公式外相会議を開き、名指しこそ避けながらも、国連海洋法条約を無視した、中国による力ずくの南シナ海進出に懸念を表明した。今こそ東南アジア諸国としっかり手を結ぶときではないか。

現実に、東シナ海に浮かぶ尖閣諸島はすでに南シナ海の島々と同じ道をたどり始めている。

中国はまず領海法を制定して尖閣を領土に組み入れ、周辺海域の調査を実施した。さらに、この海域に近づく日本漁船に対し、「ここは中国の領海内だ」と警告し、排除する姿勢を取っている。中国の法を執行している、つまり主権を行使しているという実績を積み重ねようとしているのだ。

《生まれ育った国思う心を》

いずれ日本の漁船が拿捕される可能性も、逆に、日本が尖閣海域で不法操業する中国漁船を拿捕して、中国海警局の船が奪還に来る可能性も否定できない。中国が東シナ海に防空識別圏を一方的に設定したのは、いつでも空軍を展開できる、という意思表示だと心得ておかなければならない。

尖閣周辺では、海上保安庁の巡視船が中国公船による接続水域侵入や領海侵犯に常時、対応している。中国が一線を越える日も想定しておくべきだろう。

防衛省、海上保安庁は当然、準備を怠っていない。問題は国民の心構えである。中国での反日暴動や対日経済圧力を恐れてはいけない。毅然(きぜん)と対処することが重要である。厄介な問題をめぐるその場凌(しの)ぎの棚上げや譲歩が事態を悪化させてきたことを忘れてはなるまい。国家を信じ、中国の突きつける無理難題を克服する-。

そして、その国家を最前線で守っている人々を孤立させないように、指導者は国民に現状を正しく伝え、理解してもらうことが肝要だ。今、日本の海を侵略から守るには、生まれ育った国を思う愛国心こそが必要なのである。

(やまだ よしひこ)

【私の論評】中国大陸にはノータッチのタッチを決め込みむにしても、南シナ海は捨ておけぬ日本(゚д゚)!

給油船を挟んで南シナ海を、パトロールするアメリカの艦船 。
中国の航空母艦がこの海域に出てくると状況は大きく変わる

上の記事には、掲載されていない事柄を以下に掲載します。

それは、この南シナ海は、日本のシーレーンの約半分を占めているという事実です。シーレーンとは、海の交通路であり、具体的には、資源のほとんどを輸入に頼る日本は、中東からの石油をはじめとする輸入製品を、スエズ運河から日本に至るこのシーレーンを航行するタンカーなどの船舶によって輸送・輸入しているのです。

特に、石油のシーレーンは、オイル・シーレーンと呼ばれ、これが止まったら、日本は、確実に、突然死してしまいます。さらに、ブルネイからの天然ガスも同様です。



シーレーンの中にも、特に航行に危険性のある、地政学的に重要なポイントがあります。これは、チョークポイントと呼ばれています。

その一つは、海賊が問題になっている、また日本のタンカーが爆発物による攻撃を受けたソマリア沖・ホルムズ海峡アジアではマラッカ海峡などシーレーンの隘路となっている海峡です。

さらに、狭い狭いマラッカ海峡を無事に通過すると、南シナ海です。ここを中国にストップされたら、どういうことになりますか?どんな人でも容易に想像がつくことと思います。インド洋沖・南シナ海は、ソマリア沖を含むシーレーンの最重要ポイントでもあります。

ところが、政権の座につきながら、このシーレーンの重要さをまったくわかっていなかったのが先の民主党政権でした。彼らは、インド洋沖の給油作業を止めてしまいました。この結果、ソマリア沖での海賊情報などは、米軍からの情報提供は断られていました。現在は、インド洋沖の給油作業は、復旧し、米国の情報提供も再開されました。

しかし、南シナ海の危機は相変わらず続いており、上記の警告もあいかわらず、成り立っており、日本としては、何としてでも、南シナ海の中国の権益の拡大を阻止しなければなりません。

これを許しておけば、日本のシーレーンは脅かされ、中国がこのシーレンを自らのものにして、中国がアジア向けの石油を全部わが物にして、中国を最優先して、残った石油を他のアジアの国々に対して法外な価格で売りつけるなどという馬鹿真似をしだすかもしれません。いや、日本や、周辺諸国が中国の動きを封ずることができなければ、将来そうなる確率はかなり高いです。

何しろ、中国は、日本や周辺諸国のことは、お構いなしに、第一列島線、第二列島線を構築しようとする国です。これについても、このブログで解説したことがあるので、その記事のURLを以下にイ掲載します。
日本が宮古島に地対空ミサイル展開 中国の太平洋への出口封鎖する狙いか(China.org.cn)―【私の論評】このままでは第一列島線確保もままならぬ中国の蹉跌(゚д゚)!永遠に無理か?
第一列島線と、第二列島線

詳細は、この記事をごらんいただくものとして、中国は、上記のように日本を含む周辺諸国の海域に、自ら第一列島線、第二列島線などの線をひいてそこまでをいずれ、中国の覇権のおよぶ海域にしようとくわだてています。

南シナ海を中国の海にすれば、東シナ海もいずれそうなります。そうして、いずれ、第一列島線、第二列島線までを自らの覇権がおよぶ海域にします。このような考えがあるからこそ、尖閣列島に対しても、さまざまな挑発を試みているのです。

そうなってからは手遅れです。先日は、中国に対してはノータッチのタッチをすべきことをこのブログに掲載しました。その記事のURLを以下に掲載します。
【アゴラ】日本は、中国や韓国と関われば国家の衰退や危機を招き、欧米と関わると繁栄する…現代史が教える外交の法則―【私の論評】現代史の史実が、中国対応の正しい方法は「ノータッチ」という「タッチ」が最も良い方法であることを教えている(゚д゚)!
中国のハルビン駅に開館した安重根の記念館=19日
詳細は、この記事をご覧いただくものして、この記事では、日本は中国に対して、「ノータッチというタッチ」の姿勢で臨むべきであることを掲載しました。そうしたほうが、日本は、繁栄するというのですから、そうするべきことを掲載しました。これには、既にその例が現代史の中にあります。大正時代の外務大臣、石井菊次郎がとった大陸政策がそれです。この時代確かに、日本は繁栄しました。ところが、日本が中国に直接関わるようになると衰退しました。

だからこそ、「中国には、ノータッチのタッチを持って臨むべき」ことを主張したのです。そうして、安部総理はその方向で外交政策などを強力に推進しています。これについても、このブログで安部総理の行動から、「ノータッチのタッチ」をしようとしていると分析しました。この記事のURLも以下にイ掲載します。
安倍首相、インドへ出発 シン首相と会談―【私の論評】安部総理は本気だ!総理の行動をみていれば、良く理解できる中国への厳しい対応(゚д゚)!
インドの女優Hansika Motwani

これも詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、安部総理のダボス会議での発言と、その後すぐにインドを訪問という行動からみて、安部総理の腹は、「ノータッチのタッチ」をしようとしていることが見て取れることを掲載しました。

確かに、中国大陸についてはそうすべきです。しかし、南シナ海などの問題は、上記のように日本のシーレーンもからむことです。ノータッチのタッチで済ませられる問題ではありません。今のところは、中国海軍など取るに足らない存在ですから、さほど脅威に思う必要もないですが、南シナ海の周辺諸国はそうではありません。

日本としては、これらの国に対して、武器の供与並びに軍事訓練などを含む、軍事援助をできるようにしておいて、中国を牽制する必要があります。さらには、中国大陸に対しては、ノータッチのタッチで臨むにしても、南シナ海や東シナ海の中国の行動には、いつでもタッチができ、軍事行動をおこせるようにし、有事になったときに、日本国内の中国人の動きを封殺できるようしておくべきです。

大陸はノータッチでも、周辺海域と、日本国内の中国の動きには、徹底的に介入して、中国の意図を何が何でも封じることができるよう、今から準備をしておく必要かあります。そうして、これは何も日本が軍事国家になることを意味しているのではなく、中国の身勝手な将来構想を実現させないための、自衛の行動にほかならないということです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】

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