海岸防衛から大洋海軍を目指す中国海軍 |
報告書は、米国に「新型大国関係」の構築を呼びかける中国が、現実には東シナ海上空に防空識別圏を設定し、南シナ海で軍事用滑走路を建設するなど、着々と覇権を拡大している事実を直視。「習近平国家主席には、高いレベルの緊張を引き起こす意思があることは明らかだ」と非難した。
さらに、中国の行動パターンは「対中関係を和らげるために東アジアの同盟国を見捨てるのか、あるいは中国の侵略から同盟国を守って中国との潜在的な対立に直面するのか」を米国に迫ることが特徴だとし、強い警戒感を示している。
具体的な軍事力の脅威としては、中国の向こう3~5年の核戦力は、多弾頭型の大陸間弾道弾(ICBM)と潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)が開発、配備されるなど、大幅に増強されるとの見通しを表明。
今後5~10年間で、軍事衛星の保有数が増加し、他国の軍事衛星を破壊する能力も向上して、「米国を脅かしうる」と指摘した。また、2020年までに、アジア太平洋地域に展開する潜水艦とミサイル搭載艦の数は、351隻にのぼるとの予測を示した。
報告書は、こうした中国の脅威に対処するため、米国の地域におけるリバランス(再均衡)戦略を維持し、その進(しん)捗(ちょく)状況を検証することや、日本の集団的自衛権行使を後押しすることなどを提言している。
この記事は、要約記事です。詳細は、こちらから(゚д゚)!
【私の論評】国内の増税見送り、解散総選挙で見逃され勝ちな世界の動き、アメリカ議会の動きを見逃すな!アメリカは、日本の改憲を望んでいることを忘れるな(゚д゚)!
国内では、増税見送り、解散総選挙ということで、マスコミも国民もこのことにばかり目がいきがちではありますが、やはりバランス良く国内外のことを見ていく必要があります。
その中で、この報道はかなり重要であると考えましたので、掲載させていただくこととしました。
まずは、上の記事を読む上で、アメリカの軍事力について忘れてはならないことを掲載しておきます。それは、アメリカの国防予算です。以下にアメリカの国防予算の推移について掲載します。
米国防総省(ペンタゴン)のヘーゲル国防長官は本年2月24日、陸軍の兵力を現在の約52万人から44万─45万人規模に削減、実現すれば、米陸軍の規模は第2次世界大戦に参戦する前の規模に縮小すると発表しました。今後10年間で約1兆ドル(約102兆円)の歳出を削減する案を模索中で、2015年度の国防予算は約4960億ドル(約51兆円)といいます。
その中で、この報道はかなり重要であると考えましたので、掲載させていただくこととしました。
まずは、上の記事を読む上で、アメリカの軍事力について忘れてはならないことを掲載しておきます。それは、アメリカの国防予算です。以下にアメリカの国防予算の推移について掲載します。
この、グラフを見てもわかるように、アメリカの国防予算は、減少傾向です。
この「sequestration」という用語は、多くのアメリカ国民にとってもなじみの薄い言葉であり、もちろん日本ではさらに聞きなれない言葉です。英和辞典にはこの単語の訳語として「隔離、流罪、隠遁、(法)係争物第三者保管、財産仮差し押さえ、接収、(医)腐骨化、(化)金属イオン封鎖」といった訳語が列挙されていますが、今回発動された「sequestration」には、「強制歳出削減」あるいは「自動歳出削減」といった訳語が与えられています(本稿では「強制削減」と呼称します)。
強制削減は、アメリカにおいて史上初めて実施されることになりました。そのため、その本当の影響はなかなか理解しにくいと言われています。
アメリカでは、今回の強制削減の発動は金融・経済界ではすでに織り込み済みであり、アメリカや世界の株式市場や経済動向に対する影響はそれほど深刻なものではないといった見方がなされています。しかし、最大の削減対象となる国防関係は極めて甚大な影響を受けることになり、アメリカ軍事戦略そのものの修正を余儀なくされかねない状況に直面しています。
国防費に対する強制削減は、国防省ならびに各軍をはじめとする国防関連予算全体に対しての削減措置です。その削減総額は2013年度国防予算に対してはおよそ850億ドル(=およそ8兆750億円)、強制削減措置が続く2020年度までの10年間でおよそ1兆2000億ドル(=およそ114兆円)という巨額に達していました。
ちなみに、このアメリカ国防費の削減額がいかに巨大なものかというと、安倍政権になって1000億円ほど増額された2013年度の日本の国防予算がおよそ4兆7000億円であるから、2013年度の国防費強制削減額だけでも日本の国防費のおよそ2倍、10年間の国防費強制削減額は日本の国防予算のおよそ24年分強に相当します。まさに巨額です。
そうして、今後アメリカの軍事費は、今後10年間は、減ることはあっても増えることはありません。
一方、中国の軍事費はどうかといえば、皆さんご存知のように、絶対額はどんどん伸ばしています。それは、グラフでも明らかです。
日本の国防費を2004年あたりで、追い越しています。しかし、GDP比でみていくと、さらに異なる見方ができます。
たいへん興味深いことに、日本がほぼ1%で推移しているのに対し中国はほぼ2%で推移していることが見て取れます。
これは3~6%で推移している米国やロシヤ、3%前後で推移している韓国やインドよりも低い数値なのです。
中国軍事費の財源全体は、表に出ている国防費の2倍以上ともいわれていますので、このグラフでもって断定的な分析は避けるべきでしょうが、ひとつだけ確信的に判断できることは、中国がその国力に比較して突出して軍事費を膨張させているわけではないということです。
これは3~6%で推移している米国やロシヤ、3%前後で推移している韓国やインドよりも低い数値なのです。
中国軍事費の財源全体は、表に出ている国防費の2倍以上ともいわれていますので、このグラフでもって断定的な分析は避けるべきでしょうが、ひとつだけ確信的に判断できることは、中国がその国力に比較して突出して軍事費を膨張させているわけではないということです。
やはり、近年の急速な経済発展に呼応して、軍事費を増加させてきたということです。特に、無理をしなくても、過去においては軍事費を楽に伸ばすことができたということです。
ただし、絶対額はかなり伸長しているということであり、しかも楽に伸ばしてきたということを考えると脅威であることには変わりありません。
上記では、米国と中国自体は比較していませんが、絶対額で比較するとどうなるか、その表を掲載します。
このグラフをみると、中国の軍事予算は、アメリカの1/4です。しかし、この数字は、考え方次第で様々な読み方ができます。
中国は、確かにアメリカの1/4の軍事費ではありますが、守備範囲が全く異なります。アメリカは場合によっては、地球の裏側にまで、軍隊を送り込むことがあり得ますが、中国は主に自国内と、その周辺にしか軍隊を派遣しません。最近では、東シナ海などに進出していますが、それでも、アメリカから比較すれば、守備範囲はかなり狭いです。
これは、大東亜戦争のときの日米を比較すると、良く理解できます。日本は、太平洋方面にだけ軍隊を派遣すれば良かったのですが、米国は大西洋と太平洋の両方、それにヨーロッパの内陸にまで、軍隊を派遣しなければなりませんでした。
こういうことを考えると、日本が米国と戦争をしたのは、全く無謀という考えは成り立たなくなります。太平洋方面の軍事力を考えると、空母や、戦艦の数でも、日本が圧倒的に有利だったことが理解できます。
そもそも、大東亜戦争の直前といえば、日本の海軍も陸軍も、圧倒的に強くて、アメリカはもちろんのこと、ソ連も手出しができないという状況でした。特に、関東軍や、連合艦隊などは、世界一といっても良いくらいの強力な軍隊でした。
そのため、大東亜戦争は決して無謀な戦いではなかったと主張する人もいます。それは、日本人だけではなくアメリカ人でもそういう人もいます。ただし、日本には米内光政と山本五十六という一般には英雄と考えられている軍人ではあるものの、その実体は愚将であったため、当時の絶対国防圏をはるかに超えて戦線を拡大してしまいました。これが、大東亜戦争敗北の最も大きな敗因の一つです。
米内光政と山本五十六 |
だから、識者の中には、日本が絶対国防圏を守っていれば、無論米国に勝利して、米国本土に侵攻するなどのことはないにしても、有利な条件で講和を結ぶこともできたという人も多いです。
昔から、軍事力は距離の二乗に反比例するといわれていました。これは、核戦争などを除けば、今も当てはまる原則です。
だから、守備範囲の広い、アメリカと中国の軍事力を軍事費だけで比較することはできません。
とはいいながら、同じ軍事費であっても、アメリカや日本の場合は、かなり技術力がありますが、中国は技術力で劣っているため、まだまだ及ばないと考えるのが妥当です。
特に、海軍力は圧倒的に技術的に劣っているため、中国が空母を持ったとか、艦船の数を増やしたとはいっても、今でも日本の自衛隊とも互角に戦えない状況です。
以下に、中国と日本の戦力の比較の表をあげておきます。
これも、数字の上でいうと、中国が圧倒的に有利ですが、さりとて日本は中国への侵攻の意図もありませんから、中国と比較するとかなり守備範囲が狭いです。中国の場合は、国内で頻繁に暴動が発生するため、その鎮圧のためにも人民解放軍を派遣する必要があります。そうして、国土が広いです。また、最近では、東シナ海などにも進出しています。
また、軍事技術には天と地ほどの差があります。特に、海軍では圧倒的に大きな開きがあります。中国海軍の「遼寧」など、ぼろ船に過ぎず、実際に空母としては役にたちません。おそらく、こんな空母を持つくらいなら、イージス艦一隻を持ったほうが、はるかに戦力になります。
また、このブログにもしばしば述べたように、日本の対潜哨戒能力は、世界一の水準であるため、実際に戦争になれば、中国の艦艇や、潜水艦は日本の海上自衛隊にとても太刀打ちできないです。すぐに、海の藻屑と消えてしまうでしょう。だから、実際に戦争になれば、中国の艦艇は、中国の港を一歩も出られないという状況になります。
航空兵力も、中国は最近では、航空機そのものの性能は良くなってきましたが、航空兵力全体をみると、哨戒能力など格段に劣るため、これも日本の航空自衛隊などに太刀打ちできません。
陸上においても、日本が中国本土に侵攻するというのなら話は別ですが、日本の領土で日本の陸上自衛隊と戦うということになば、全く非力です。
以上のようなことから、中国は脅威ではありますが、それが今日明日の問題であるといするのは全くの間違いです。
しかし、今後10年後はどうなるかわかりません。特に、アメリカの国防予算が今後10年間は、削減され続けるをことを考えれば、アジアの中で、局地的には中国にとって有利なるようなところが、いくつか出てくることも十分考えられます。もう、そのようなことは、未だ小規模ながら、すでに起こっています。
こうした現実的な脅威に、米国はもとより、日本も対処しなればなりません。特に、軍事費が大幅に削減されるアメリカにおいては、日本がもっとアジア地域において、存在感を発揮してもらい、アジア方面における米国の負担を少しでも減らしというのは、全く自然な流れです。
だからこそ、ブログ冒頭のように、米委員会が年次報告書を出し、日本の集団的自衛権行使を後押しすることなどを提言しているのです。
戦後70年を経て、米国は日本に対する見方が変わってきたようです。大東亜戦争直後には、「恐ろしい国」であり、どこまでも弱体化すべき対象であったものが、中国の台頭により、「中国に対抗する同盟国」という見方に変わってきたのです。
それは、ブログ冒頭の記事にみられるように、アメリカ議会で顕著になってきた動きですが、実はこのような動きは前からありました。
実は、すでに数年前から、アメリカ議会では日本憲法改正派が、大勢を占めるようになっていました。これに関しては、このブログにも以前掲載したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。
「日本は憲法改正せよ」が米国議会で多数派に―【私の論評】憲法を改正するか、中国の属国になるか、アメリカの51番目の州になるか、あなたはどの道を選択しますか?
GHQによる日本国憲法草案 |
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、2010年12月9日にこのブログに掲載したこの記事では、米国議会が日本の憲法第9条を日米共同防衛への障害と見なし、改憲を望むようになったことを掲載しました。
この現実は日本の護憲派にはショックでしょう。しかし、米国議会上下両院の一般的な認識として、日本側の憲法9条の現行解釈による集団的自衛権の行使禁止は、「より緊密な日米共同防衛には障害となる」というのです。
日本の憲法を改正するか否かはあくまで日本独自の判断によるというのが正論です。しかし、日本の防衛が米国という同盟パートナーに大幅に依存し、しかも日本の憲法がかつて米国側により起草されたという事実を見れば、どうしても米国の意向が重視されてきた側面は否めないと思います。
ブログ冒頭の、アメリカ議会の報告書に関する記事や、アメリカ議会が日本の改憲を認めているということは、今後の安倍総理の「戦後体制からの脱却」という政治課題を追求していく上で、かなりの追い風になると思います。
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか(゚д゚)!
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