2016年9月1日木曜日

中国、底なしデフレスパイラル 経済悪化→リストラ拡大→冷める消費意欲―【私の論評】中国の本質は、中所得国と発展途上国の連合体(゚д゚)!

中国、底なしデフレスパイラル 経済悪化→リストラ拡大→冷める消費意欲

中国のGDPの統計値はほとんど出鱈目とされている。IMFも中国の
出した統計値を元にして、このグラフを作成しているものと考えられる。

 2016年4-6月期の中国の経済成長率(実質GDPの成長率)は、対前年比で6・7%増となっている。過去10年以上もの期間、中国の経済成長、つまりはGDP=需要の拡大を牽引してきたのは、投資という需要項目であった。特に、民間企業が設備投資や住宅投資に巨額の資金を注ぎ込み、経済成長に貢献してきたわけだ。

 その中国の「投資」が、驚くべき事態に陥っている。

 1-6月期の中国の投資において、民間投資はわずかに対前年同期比2・8%の増加に過ぎなかった。代わりに、国有企業が対前年同期比23・5%と、投資全体を下支えしている。

 要するに、現在の中国は民間が投資意欲を喪失し、政府の公共投資を国有企業が受注することで、何とかGDPが維持されている状況になっているのだ。

 投資ではなく、消費を見ても、やはり「政府」の影響力が強まっている。1-6月期の中国の個人消費は対前年同期比10・3%と、GDP成長に貢献した。消費の主役が何かといえば、自動車購入でであった。

 実は、中国共産党政府は景気の急激な失速を受け、自動車販売を下支えすべく、小型車やエコカー向けの減税や補助金といった政策を打ったのだ。結果的に、自動車販売が増え、消費総額が拡大したわけだが、投資同様に「政府の政策主導」になってしまっている。

 中国国務院は22日、企業の「借り入れコスト」を引き下げるための指針を発表した。例えば、中央銀行が市中銀行の流動性を拡大することで、中小企業への融資を拡大するという。

 あるいは、銀行に対し、融資債権への妥当なプライシング(金利水準の決定)を求め、非正規の手数料徴求を禁じるという。分かりやすく書くと、銀行に対し「安い資金コスト(金利など)で企業にお金を貸し付けろ」というわけだ。

 問題は、現在の中国が完全な供給能力過剰、需要不足状態に陥っているという話だ。日本の例を見れば分かるが、需要が不足している環境下では、金融政策で金利を引き下げたところで、企業は借り入れや設備投資を増やさない。なぜなら、もうからないためだ。

 中国産業界は、すでに過剰生産能力を削り取るべく、リストラクチャリングに精を出している。鉄鋼や石炭、石油などの大手国有企業は、1社あたり数万人規模で人員削減を進める計画だ。

 企業のリストラは、中国人民の消費意欲を冷ます。結果、民間企業はますます設備投資を絞り込み、デフレスパイラルへと落ちていく。中国共産党は中国経済のデフレ化を食い止めることができるのか、正念場を迎えようとしている。

 ■三橋貴明(みつはし・たかあき) 


【私の論評】中国の本質は、中所得国と発展途上国の連合体(゚д゚)!

上の記事では、全く触れていないですが、中国のGDPはほとんど出鱈目だとされています。特に、GDPは全く正しくも根拠もなく、政治的メッセージに過ぎないものです。

それについては、過去のこのブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
やはり正常ではない中国経済 GDPと輸入統計に食い違い ―【私の論評】政治的メッセージである中国の統計や戦争犠牲者数は、人民の感情に比例する?
2015年から輸入が激減、この状況だと猛烈なデフレになっているか
そもそも、GDPが出鱈目なのかいずれかのはずである・・・・・・
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事から一部を以下に抜粋します。
中国の経済統計は実体経済の正しい姿と言うより、政治的なメッセージと受け止めるべきものだ。中国政府の意図は、対外的には「中国経済は良くないが心配しないでほしい」という願望、対内的には「7%成長は政治的な強い意志だ」との表明である。

GDP発表の1週間ほど前に発表された貿易統計は、外国との関係があるので、捏造しにくい。それによれば、15年の輸入は14・1%の減少である。輸入減の原因は資源価格の低下によるものと説明されているが、中国が発表した経済成長率が正しいなら、猛烈なデフレ経済になっていないとおかしい。

要するに、貿易統計が正しい場合、経済成長率が正しくないか、デフレ経済かということになってしまう。どちらにしても、中国経済は正常ではないというわけだ。
ブログ冒頭の記事で、三橋貴明氏は、中国のGDP統計が一応正しいものとして、論を進めているようですが、私自身は、中国経済はデフレでもあり、経済成長も6.7%ではなくもっと低いのだろうと考えます。一般的に一国の経済が、デフレ気味であれば、輸入は減ります。逆にインフレ気味であれば、輸入は増えます。

これは、理屈で考えればわかります。デフレであれば、そもそもモノが売れないので、輸入も減ります。逆にインフレであれば、モノが売れるので、輸入は増えます。

中国経済成長が政府発表の数字より低いのは、李克強指標をみても明らかです。

「李克強指数(Li Keqiang Index)」です。「チャイナ・モメンタム・インジケーター」とも言われるようです。これは電力消費と鉄道貨物輸送量と銀行融資を基にした指標です。本来これらは、GDPと強い相関関係があるはずであり、これによって、中国のGDPの実体を知ることができるとされているものです。

中国政府の発表するGDPが政治メッセージで過ぎないので、信用できないことから、李克強指数のほうが、GDPの実体を現していると考えられます。李克強首相が「GDPは信頼できないけどこの3つのデータは比較的信頼できる」と言ったことから「李克強指数」と呼ばれています。

ウィキリークスによれば、李克強総理は遼寧省書記をしていた2007年、駐中国米大使に「経済評価で注目する統計は、電力消費、鉄道貨物量および銀行融資の3つだけ。GDP統計は『人為的』で『参考用』にすぎない」と語ったとされています。

この李克強指数からみれば、中国の4 -6月期のGDPの数値も中国政府の政治的メッセージに過ぎず、15年あたりの数字から類推すると、おそらく3%以下、おそらく3%を切るものであることが推定できます。

それから、ブログ冒頭の記事で、三橋氏は、「金融政策で金利を引き下げたところで、企業は借り入れや設備投資を増やさない。なぜなら、もうからないためだ」としていますが、金融政策には金利引き下げの他にも方法があります。

それは、日銀が2013年から行っている、市場における有価証券や手形を中央銀行が買い取ることにより、市場に資金を放出し、金融の緩和を図る(買いオペレーション)方式や、人民元の刷り増しです。

しかし、それは中国はできません。なぜなら、中国ではすでにキャピタル・フライト(国内から海外へ資本(外貨、主にドル)が一斉に流出する資本逃避のこと)が起きているからです。

それに関しては、昨年すでに中国で2013年末から15年3月末の間に約100兆円のキャピタル・フライトが発生していたことをこのブログに掲載しました。

中国銀行(中国の中央銀行)が、大々的に買いオペをしたり、元刷り増しなどを行った場合、強烈な元安を招き、それが金融不安をまきおこし、キャピタル・フライトにさら拍車をかける可能性が大きいため、利下げ以外の金融緩和になかなか踏み切れないのです。

キャピタル・フライトが激しくなれば、中国内に大量のドルがあるということが、元の信用の裏付けになっていたものが、それがなくなり、元は紙切れのように価値のない存在になってしまいます。それを中国政府は恐れているのです。

この状況は、韓国と似ています。それについては、以前もこのブログに掲載しました。韓国もデフレ状況なのですが、日韓通貨スワップにより、外貨をある程度確保した上で、金融緩和に踏み切ることもできます。そうなれば、金融緩和によるキャピタル・フライトも激烈な状況にはならず、ソフトランディングして、デフレを克服するのは意外と簡単にできそうです。

ただし、韓国内では、政府から財界、マスコミに至るまで、経済難を乗り切るためには、金融緩和ではなく、構造改革が必要という認識のようで、なかなか金融緩和に踏み切るりそうにもありません。こんなことを繰り返しているうちに、また通貨危機に見舞われることになるかもしれません。

しかし、中国の場合はより深刻です。中国の場合は、元々米国や日本などと通貨スワップ協定を結んだこともないですし、これからも結ぶことはないでしょう。

それに、通貨スワップを結んでいたにしても、日本や米国でも、100兆以上もの資金を融通するのは容易いことではありません。

韓国の場合は、もともと経済規模が小さく、GDPは東京都とほぼ同じですから、中国などと比較すれば、相当低い金額の通貨の融通でも、何とかなります。それこそ、日本国内の地方自治体に対して支援するくらいの感覚ですみます。

しかし、中国はそんなに簡単にいきません。それに、韓国の場合は、元々GDPに占める個人消費の割合が、5割り程度ということもあり、通貨スワップでキャピタル・フライトを軽減しつつ、金融緩和をすれば、デフレを克服するのは、本来容易です。

しかし、中国の場合は、GDPに占める個人消費の割合は、35%程度であり、金融緩和をして個人消費が増えたにしても、それだけでデフレを脱却できるかどうかは未知数です。

やはり、ブログ冒頭の記事でも「政府の公共投資を国有企業が受注することで、何とかGDPが維持されている状況」という構造的な問題があります。韓国の場合なら、日本などの先進国に比べれば、個人消費がGDPに占める割合が50%ですから、これを金融緩和と積極財政によって伸ばすことも容易です。

しかし、中国の場合、個人消費を35%から60%に持っていくなどのことは、至難の業です。おそらく、抜本的な構造改革が必要になるはずです。

その構造改革の中には、当然のことながら、民主化、政治と経済の分離、法治国家化も含まれることになるでしょう。これがある程度しっかりしていなければ、中間層による積極的な社会経済活動はできません。それでは、経済成長を達成することはできません。

韓国も、中国もデフレという点では同じことですが、中国のほうがより深刻です。

このままの状況が続くと、韓国も中国も中進国の罠(中所得国の罠と同じ、国民所得10000ドルからなかなか抜け出さない状況のこと)にどっぷりとはまりそうです。韓国の場合は、経済対策に対する考え方を変えて、金融緩和に踏み切れば、何とか回避できそうですが、中国のほうはそう簡単にはいきません。

実質経済成長率と一人当たりGDPの推移(60年代以降):1万ドル前後で中所得国の罠に陥る国も
このままだと、いずれ中国は、図体が大きいだけの、凡庸なアジアの独裁国家で終わる可能性が高くなってきました。

しかし、これはもともとの中国の本質なのかもしれません。中国の実体は、もともとはいくつかの発展途上国の集まりで、それを中国共産党中央政府が警察力や、軍事力を使って無理やり一つにまとめて、一国としてまとめてGDPを大きく見せていただけです。一人あたりのGDPではまだ日本に遠く及びません。

中国共産党中央政府は、世界各国の機関投資家などを幻惑して、これから中国は凄まじく発展すると期待させ、今投資しないと大損をするぞとばかり煽り、外貨を集め、それを国内でインフラ投資することで、大発展したのですが、もうその化けの皮が剥がれ、中国に積極的に投資するものなどいなくなりました。

そもそも、当の中国人ですら、そのようなことは期待していません。中国の官僚や富裕層が外国に自らの金を逃避させています。習近平でさえもその例外ではありません。中国出身の海外在留者、すなわち華僑も、今では中国に投資はしません。

そんな中国には、もうキャピタル・フライトを防ぐ術はありません。いずれ中国は、凡庸なアジアの独裁国家となり、国力も衰え、いくつかの国の連合体に成り果てることでしょう。いわゆる、一つの省、もしくは複数の省が一つの国のような存在になり、それらの国々は、ある国は中所得国で、ある国は発展途上国ということになるでしょう。中国共産党政府がそれらを一つに、従来よりは緩くまとめるような連合体に成り果てるでしょう。

というより、これが元々の本質なのですが、それが白日の下に晒されることになるでしょう。従来は、中国共産党中央政府の力が強く、省を強く支配していたというだけのことです。

中国共産党中央政府が、従来のように締め付けを厳しくすれば、いずれの国も中進国以上には発展し得ないでしょう。あまり締め付けを厳しくしなければ、もしかすると、一国くらいは中進国の罠を抜け出る可能性もあるかもしれません。しかし、そうなれば、その国は連合体から抜け出ることになるでしょう。抜け出なければ、先進国にはなれません。永遠に、中所得国のままで終わります。

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