2016年9月10日土曜日

米がICBM試射、北朝鮮への警告メッセージ―【私の論評】核の暴走をやめない金正恩を米国が斬首するかもしれないこれだけの理由(゚д゚)!

米がICBM試射、北朝鮮への警告メッセージ

東亜日報

ミサイルサイロの中のミニットマンⅢ
写真、動画はブログ管理人挿入。以下同じ。
朴槿恵(パク・クンへ)大統領と米国のオバマ大統領が、ラオスで韓米首脳会談を行った6日(韓国時間)、米国が大陸間弾道ミサイル(ICBM)「ミニットマンⅢ」発射訓練を実施したことが確認された。北朝鮮の挑発にあらゆる手段で強硬に対応することを明らかにした韓米首脳の発表を裏付けると共に北朝鮮の核とミサイル脅威に対する警告メッセージとみられる。

7日、米空軍によると、6日夕方、カリフォルニア州ヴァンデンバーグ空軍基地からミニットマンⅢ1発が発射された。ミニットマンⅢは音速の20倍以上の速度で飛翔し、約6700キロ離れた太平洋のマーシャル諸島近海に落下した。ミニットマンⅢには模擬弾頭が搭載されたと、米空軍は伝えた。米空軍関係者は「ミニットマンⅢの正確度と作戦能力を点検し、有事の際、本土と同盟国に対する『核抑止力(nuclear deterrent)』の効用性を確認した」と明らかにした。

米国は今年2月、韓国軍関係者をヴァンデンバーグ空軍基地に招待し、ミニットマンⅢの試験発射の過程を初めて参観させた。その後、ミニットマンⅢを含めあらゆる手段で韓国を防衛すると明らかにした。ミニットマンⅢは、B52戦略爆撃機、戦略原子力潜水艦と共に米国の「3大核の傘」に含まれる。最大3個の核弾頭を1万3000キロ離れた所まで飛ばすことができる、ヴァンデンバーグ空軍基地から平壌(ピョンヤン)(約9360キロ)をはじめ北朝鮮全域に対する戦略的攻撃が可能だ。

韓米首脳会談で高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓国配備を初めて言及したオバマ大統領は、戦争勃発時に米国が先に核兵器を使用しない「先制不使用(No first use)」構想を撤回するという。

米紙ニューヨーク・タイムズは、複数の米政府関係者の話を引用して、「オバマ大統領が『核のない世界』アジェンダを具体化するために任期内に先制不使用を宣言することを検討したが、政府内の反対を受け入れて断念する方向でまとまった」と報じた。核先制不使用は、敵が核兵器を使わないなら、先に核を使わないという約束だ。中国は1964年、インドは2003年に「核の先制不使用」を宣言した。

【私の論評】核の暴走をやめない金正恩を米国が斬首するかもしれないこれだけの理由(゚д゚)!

このニュース日本では、全く報道されていません。北朝鮮の日本海へのミサイル発射の3時間後、米空軍が太平洋にこの発射テストをしました。これは、北朝鮮が日本EEZ内の日本海にミサイル3発を発射した事への警告です。オバマ米大統領は発射直後に「挑発は一層の圧力とより深い孤立を招くと北朝鮮は知るべきだ」と語ったそうです。

これは、極めて重要な意味がある事はこの内容を知れば誰にも理解できると思います。日本のメディアは報道しない自由を選択したようです。なぜ隠すのか理解に苦しみます。

LGM-30 ミニットマン
LGM-30 ミニットマン (Minuteman) はアメリカ空軍の大陸間弾道ミサイル(ICBM)であり、核弾頭を搭載した戦略兵器です。名称はアメリカ独立戦争における民兵に由来します。

アメリカ空軍における最初の本格的な固体燃料ロケットエンジンを搭載した量産型ICBMで、3段式ロケットによって最大速度24,000 km/hを誇ります。一時は爆撃機系統の記号としてB-80が付けられていました。

アメリカ空軍で運用されている大陸間弾道ミサイルであり、戦略爆撃機およびアメリカ海軍の潜水艦発射弾道ミサイルと並び、戦略核攻撃能力を担っています。

冷戦の終結・核軍縮などにより、後継となるはずであったピースキーパーが2005年に退役しました。そのため、1950年代に開発が開始された古いミサイルですが、2009年時点でも配備・運用が続けられ、少なくとも2020年頃までは運用される計画です。

搭載核弾頭については更新・改良が続けられ、長期配備に際しての安全性が考慮されています。

さて、上の記事にもある通り、米国は今年の2月にもミニットマンⅢを発射しています。そのニュースを以下に掲載します。
米国 空軍、大陸間弾道ミサイルを試験発射
2016年2月27日 毎日新聞

 米空軍は米太平洋時間25日午後11時(日本時間26日午後4時)過ぎ、西部カリフォルニア州のバンデンバーグ空軍基地から大陸間弾道ミサイル(ICBM)ミニットマン3の発射試験を行った。核兵器でなく試験機器を搭載して約30分で約6500キロを飛行し南太平洋のクエゼリン環礁付近に着弾した。

米軍のICBM発射実験は5日間で2回目。ロシアや中国など対立する核保有国をけん制する意図がある。ワーク国防副長官はAP通信などに「核兵器を持つ国全てに、我々も国を守る必要があれば核兵器を使用する準備がある、とのシグナルだ」と述べた。米政府高官が核兵器使用の可能性に直接的に言及するのは極めて異例だ。 
 ロシアはプーチン大統領が昨年、ウクライナ情勢やテロ対策に関連して核兵器使用の可能性に触れている。こうしたプーチン氏の強気の発言に、今回ワーク氏が対抗した形だ。 
 国防総省によると、ワーク氏は核抑止力について「大国間の戦略的安定の基礎だ」と前向きに評価。「核兵器なき世界」を目指すのがオバマ政権の立場だが、その実現までは「(核)抑止力が安全で信頼でき効果的であるよう努め、競争相手の大国との戦略的安定を維持する」と述べた。 
 オバマ政権は防衛戦略の中で核兵器の数や役割を削減する方針を打ち出しているが、核弾頭やその運搬手段であるICBM、戦略原潜、爆撃機の3本柱は更新・近代化する計画だ。ミニットマン3は1970年代の配備で設備の老朽化が進んでいるとして、米軍幹部らは更新を求めていた。 
 オバマ政権は2017会計年度に核兵器関連で190億ドル(約2兆1660億円)を要求している。カーター米国防長官は25日の議会証言で、核武装近代化の総費用を3500億〜4500億ドル(約40兆〜51兆円)と見積もっている。 
 しかし軍備管理専門家からは「高価過ぎて賄えない」としてICBMや戦略原潜の数を削減すべきだといった批判が出ている。
北朝鮮の核弾道ミサイルムスダンは、日本の防衛省によると推定射程が2500~4000キロ(ロイター)。ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)や聯合ニュースは3000~4000キロと伝えています。これは、日本全域をカバーするばかりか、米軍基地のあるグアムまでを射程範囲内とします。

北朝鮮は常々、事と次第によってはアメリカを核攻撃すると挑発を繰り返してきました。もしも仮に、ミサイル搭載可能な核弾頭を開発済みだという北朝鮮の最近の主張が事実であれば、ムスダンは搭載機としてまさにうってつけです。韓国国防省によれば、ムスダンには約650キロの弾頭を搭載できるといいます(朝日新聞)。

「ムスダン」中距離弾道ミサイル「ムスダン」。基地ではなく専用の
車両から発射するので、衛星などで発射の兆候を検知するのは困難だ。
これだと、アメリカ本土にはまだ到達しないわけです。また北朝鮮のSLBM(潜水艦発射型)も、あまり距離は飛びません。これも数千キロといわれています。しかし、北朝鮮の潜水艦の技術はかなり遅れているので、あまり長時間潜水できません。浮上すればすぐに発見されます。

さらに、補足も簡単で、すぐに撃沈されてしまいます。そう考えると、北朝鮮の近海で発射するしかないです。そうなると、これもアメリカ本土は狙えません。

日本や韓国にとっては脅威ですが、アメリカにとっては本土が脅かされることはまだないわけです。しかし、そのアメリカがICBMの発射実験をして北朝鮮に警告を出しているわけです。

北朝鮮は9日、5回目の核実験を行いました。金正恩党委員長は今年3月、「核弾頭爆発」の実験を早期に行えとの指示を下し、その事実を世界に公開しました。彼らとしては、既定路線だったわけです。

北朝鮮は今後も、核戦力整備のために必要なだけの核実験とミサイル発射を繰り返すだろう。しかしこれは、一体何のためなのでしょうか。

少し前まで、北朝鮮の核・ミサイル開発の目的については、米国を振り向かせ、関係改善の対話を行うための「ラブコール」であると見る向きが多くありました。おそらく、かつては米国政府もこうした見方に立っていたはずです。

2009年7月、オバマ政権のクリントン国務長官(当時)は北朝鮮を「関心を集めようとする子どものよう」だと例えながらも、「完全かつ後戻りできない非核化に同意すれば、米国と関係国は北朝鮮に対してインセンティブ・パッケージを与えるつもりだ。これには(米朝)国交正常化が含まれるだろう」と述べていました。

インセンティブ・パッケージとは、米国が国交正常化、体制保障、経済・エネルギー支援などを、北朝鮮は核開発プログラム、核関連施設はもちろん、ミサイルなどすべての交渉材料をテーブルに載せ、大規模な合意を目指すことを念頭に置いていたとみられています。

「核の暴走」が米国への単なるラブコールだったのなら、北朝鮮はこの提案に喜んで応じたはずです。しかし、そうはなりませんでした。なぜでしょうか。

当時は注目されませんでしたが、人権問題が最大の理由ではなかったかと思います。米国にはブッシュ政権時代に出来た、北朝鮮人権法という法律があります。日本人拉致問題も含め、北朝鮮の人権状況が改善されない限り、米国から北朝鮮への人道支援以外の援助を禁止すると定めたものです。

恐怖政治で国民を支配する北朝鮮の体制にとって、人権問題は体制の根幹に触れるものであり、交渉のテーブルに乗せることなどできるはずもありません。

ネット上で拡散している北朝鮮玄永哲氏のものとされた処刑動画。男性は
高射砲で上半身を吹き飛ばれた。ただし、これは本当はISの処刑でらしい。
では、米国が人権問題を引っ込めて、北朝鮮との関係改善に向かう可能性はあるのでしょうか。

それもまた、あり得ないでしょう。現に、米国は人権問題で金正恩氏を制裁指定するなど、攻めの姿勢を強めています。そうである以上、北朝鮮の暴走もまた止まらないでしょう。
2012年の太陽節(金日成氏の生誕記念日)を前にして公開された写真
金正恩氏が目指しているのは恐らく、どの国も北朝鮮の人権問題などまったく顧みられなくなるほどに、自国を取り巻く政治環境を変えることです。そのための手段が「核の恐怖」なのです。日米韓がどのような迎撃システムを築こうとも、「北朝鮮からの核攻撃を100パーセント防ぐのはムリだ」と世の中が認めるほど、質量ともに十分な核戦力を持とうとしているのですす。

まだ32歳の彼が、一部にある体調不安説を克服し、今後も健康を維持して生き続けるとしたら、50歳になるまでにどれほどの核兵器を手にすることになるのでしょうか。考えるだけで恐ろしいことではありませんか。

朝鮮戦争史跡地を現地指導する金正恩氏/2015年6月9日付労働新聞より
こうした、正恩氏の暴走を止めるための手段として、米国によるミニットマンⅢの発射は企図され実行されたのです。そうして、これからも金正恩が核の暴走をやめないかぎり、米国もこの方針を改めることなく、継続することでしょう。

この傾向は、米側ももはや変わらず、金正恩が死ぬか、北朝鮮の体制が変わらない限り続くものと踏んでいるものと思われます。

だからこそ、米軍は韓国に金正恩斬首部隊を常駐させているのです。私は、条件が揃えば、米軍は本当に金正恩を斬首するつもりだと思っています。

そんな馬鹿なと考える人は、一つ忘れていることがあります。それは、アメリカはあのオサマ・ビンラディンを殺害しているという事実です。あれは、あくまで殺害であって、暗殺ではありません。事実米国は、殺害を公にしています。

しかも、核保有国であるもあるパキスタンの領内でこれをやってのけています。オサマ・ビンラディン暗殺には、最初のとりかかりから含めるとアメリカは7年以上の年月をかけて実行しています。私は、すでに米国は金正恩斬首に向けて動いていると思います。そのことは、金正恩氏も知っていると思います。だからこそ、なおさら「核の暴走」をやめることができないのです。

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