2016年8月31日水曜日

【スクープ最前線】米軍、尖閣周辺に強襲揚陸艦投入で中国威嚇 習政権はG20で大恥も―【私の論評】次期大統領がクリントンなら優柔不断オバマと同じことの繰り返し(゚д゚)!

【スクープ最前線】米軍、尖閣周辺に強襲揚陸艦投入で中国威嚇 習政権はG20で大恥も

強襲揚陸艦『ボノム・リシャール』(右側) 、甲板手前に搭載して
いるのはオスプレイ10機。左は、ドック型揚陸艦『アシュランド』
   中国が焦燥感に駆られている。アジアでの軍事的覇権を強め、沖縄県・尖閣諸島の強奪もチラつかせていたが、先週の日中韓外相会談では一転、隣国との協調姿勢を演出したのだ。9月に中国・杭州で主催する、G20(20カ国・地域)首脳会議を成功させる思惑だけでなく、米軍が東シナ海などに展開させた強襲揚陸艦や攻撃型原子力潜水艦の存在も大きいようだ。ジャーナリストの加賀孝英氏が緊急リポートする。

   米国が「新たな軍事作戦」に踏み切った。これを受けて、習近平国家主席率いる中国は「米国が軍事衝突を決意した」と震え上がっている。

   中国共産党機関紙、人民日報の情報サイト「人民網」は17日、概略以下のように報じた。

  《米軍は、東シナ海の尖閣諸島(周辺海域)に、強襲揚陸艦『ボノム・リシャール』を投入した。最近、同海域に武装警備船や漁船を大挙して派遣している中国に、圧力をかけるのが狙いとみられる》

  《ボノム・リシャールは6日、母港の長崎県・米海軍佐世保基地を出航し、14日からパトロールに入った。日米両国は昨年、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)を再改定し、尖閣などを防衛範囲に含めた》

   米軍がついに、わが国固有の領土・尖閣諸島を防衛するために、最強艦船を投入した。安倍晋三首相が実現させた、日米同盟強化の証だろう。

  世界最大級の強襲揚陸艦であるボノム・リシャールは、全長257メートル、全幅34メートル、排水量約4万トン。「動きまわる軍事基地」の異名で恐れられている。

  強襲輸送ヘリCH-46や、直離着陸戦闘機AV-8BハリアーII、新型輸送機オスプレイ、LCAC(エア・クッション型揚陸艇)などを搭載する。約2000人の海兵隊員を収納可能で、ヘリコプターとLCACなどを使って、兵員と戦車などを一気に揚陸させることができる。

 自衛隊関係者は「斬り込み隊長役を務める強襲揚陸艦の中で、ボノム・リシャールは最強だ。万が一の場合、尖閣にも瞬時に海兵隊を展開できる。すさまじい戦闘力で敵を制圧する。中国の空母『遼寧』などハリボテで話にならない」と語る。

 中国は今月に入って、尖閣周辺の接続水域や領海に、公船や海上民兵が乗り込んでいるという約300隻もの漁船を侵入させた。東シナ海は開戦前夜の緊張状態となり、「8月15日、尖閣上陸」情報まで流れた。

 ところが、ボノム・リシャールが14日に尖閣周辺に展開する直前(=12日ごろ)、漁船の大半が姿を消した。防衛省幹部は「強襲揚陸艦の出動を知り、逃げ出したという情報がある」という。

 米軍の軍事作戦はこれだけではない。以下、複数の米情報当局、米軍関係者から得た衝撃情報だ。

 「朝鮮日報は27日、『米軍の攻撃型原潜が、北朝鮮の潜水艦基地に近い公海まで隠密裏に潜入し、北朝鮮の潜水艦を監視・追跡作戦を展開していた』と報じた。実は米軍は、中国の潜水艦にも同様の作戦を行っていた。百戦百勝。相手にならない。中国の潜水艦は籠(かご)の中の哀れな鳥だ」

 ご承知の通り、中国は9月初旬、国家の威信をかけて、浙江省杭州で初の議長国としてG20首脳会議を開催する。失敗すれば、習氏の失脚は免れない。G20成功のため、中国は参加国に「テーマは経済問題に絞る」といい、中国が袋だたきになる南シナ海と東シナ海の問題は取り上げないように、必死で根回ししている。実態は土下座外交に近い。

 岸田文雄外相は24日、都内で中国の王毅外相と個別会談を行った。谷内正太郎国家安全保障局長は25日、北京で中国の楊潔●(=簾の广を厂に、兼を虎に)国務委員と、李克強首相と連続会談した。いずれも中国は協調姿勢を演出したが、G20で前出の議題を回避したかったからだ。

 だが、米国は強気だ。外務省関係者がいう。

 「米国とフランスはG20で、南シナ海と東シナ海の問題を取り上げる意向だ。米仏は、南シナ海で『航行の自由』作戦を決行することでも合意している。習氏は大恥をかく。『親中政策』の見直しを進めているテリーザ・メイ首相率いる英国が、米仏に同調し始めている」

 中国は孤立している。習氏は崖っぷちに立たされている。

 言わせていただく。日本は中国と取引などしてはならない。毅然たる態度で、東シナ海や南シナ海の問題を議論すべきだ。それなくしてG20の存在意義などない。

 加賀孝英(かが・こうえい)

【私の論評】次期大統領がクリントンなら優柔不断オバマと同じことの繰り返し(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事にあるような、米軍の中国に対する牽制は、今にはじまったことではありません。実は2ヶ月以上前から、その動きは見られました。その動きについて以下に掲載します。

米海軍は、6月2日強襲揚陸艦「ボノム・リシャール」(LHD6)と「エセックス」(LHD2)をすでに、それぞれ東シナ海と香港水域に派遣していしまた。うち、ワスプ級強襲揚陸艦「エセックス」は香港に停泊し休息に入いっていました。「ボノム・リシャール」とドック型揚陸艦「アシュランド」(LSD48)は東中国海を航行し、第7艦隊巡航任務を実施しました。この両艦は、両方ともワスプ級強襲揚陸艦です。

ワスプ級強襲揚陸艦(英語: Wasp-class amphibious assault ship)は、アメリカ海軍の強襲揚陸艦の艦級のことです。前任のタラワ級の拡大強化型として開発されたことから4万tを越える大型艦となり、主機関を中心に改良された最終8番艦は後継のアメリカ級のベースともなっています。

エセックス搭載の機動揚陸艇(LCM)
以下に、ワスプ級強襲揚陸艦の航空運用能力と、輸送揚陸機能を掲載します。

航空運用機能

航空機としてははAH-1W スーパーコブラ攻撃ヘリコプターUH-1N ツインヒューイ汎用ヘリコプターCH-46 シーナイトCH-53E スーパースタリオンなど大型輸送ヘリコプターを最大42機か、ヘリコプター最大30機およびAV-8B ハリアーIIV/STOL攻撃機6-8機を搭載。

なお、制海艦任務にあたる場合は、ハリアーを最大20機とMH-60R シーホーク哨戒ヘリコプター6機を組み合わせて搭載することができます。
艦載機構成例
標準的混成空中強襲制海艦
AV-8B ハリアーII6機20機
CH-46 シーナイト
MV-22 オスプレイ
12機42機
CH-53E スーパースタリオン9機
AH-1W スーパーコブラ4機
UH-1N ツインヒューイ4機
MH-60R シーホーク6機

輸送揚陸機能

本級は、1個海兵遠征部隊(MEU)を丸ごと収容することができます。艦内には1,858m²の車両甲板と2,860m²の貨物収容スペースが確保されており、標準的には下記のような構成で搭載されます。 
収容能力
海兵隊員1,894名
M1A1 エイブラムス戦車5両
AAV7LAV-25歩兵戦闘車25両
トラックなど支援車両80両
M198 155mm榴弾砲8門
船体内後部にウェルドック(長さ81m×幅15.2m)を備えており、上陸用舟艇として、LCAC-1級エア・クッション型揚陸艇3隻、あるいは機動揚陸艇(LCM)12隻を収容・運用することができる。タラワ級ではドック内の形状を改良し、貨物積載用ベルトコンベアを撤去したことで、LCACの搭載数が3隻に増加したが、これは本級でも踏襲された。

なお、本級は、医療設備として病床60床(うち集中治療室14床)、手術室4室を備えている。また、医療区画に隣接した海兵隊居住区を一般病床として転用した場合、さらに200床を確保することができる。

今回、この「ボノム・リシャール」を14日から、尖閣付近の水域に派遣されていたことが、米軍によつて正式に公開されたということです。

これは、まさに中国にとっては不意打ちのようなものだったことでしょう。何しろ、6月の時点では強襲揚陸艦「エセックス」が、香港で休息しているわけですから、中国としては、自国の港で休息をとっている米国の揚陸強襲感と同型の「ボノム・リシャール」をよもや米軍が尖閣沖の水域に派遣するなど思っもみなかったことでしょう。

アメリカとしては、南シナ海では中国には「まさか」との思いで、結局のところ出し抜かれた形なので、尖閣においては大いに中国を慌てふためかせたということで、さぞ溜飲を下げたことでしょう。

それにしても、尖閣で中国漁船が、海上保安庁の船に体当たりして、その後中国公船が尖閣あたりに姿を表わようになったころの、当時の民主党政権がもっと中国に対して毅然とした態度をとって厳しい措置をとっていたり、オバマももっと厳しく、それこそあの時あたりに、尖閣は日本固有の領土と声明をだし、それだけでなく強襲揚陸艦を尖閣付近に派遣するなどのことをしておけば、尖閣問題も今日のようなことにはなっていなかったことでしょう。

しかし、今から振り返ると、鳩山よりもお粗末で、頭がお花畑で、及び腰のオバマでは、そのようなことはできなかったのでしょう。

優柔不断なオバマのせいで、米国の地位は低下した
「優柔不断」といわれるオバマ外交によって、アメリカはウクライナ危機でプーチンに対抗できず、シリアの混乱を収めることができませんでした。中国に対しても、経済効果を重視し、中国との友好関係を強調し、迎合的な姿勢を保ってきました。中国の南シナ海で建設した人工島なども黙認するような姿勢が見えました。  

政権末期になって、ようやっと重い腰をあげ、南シナ海の人工島の12カイリ内でアメリカ軍が巡視活動を始めるなど行動を起こしています。ASEAN関連の首脳会合でも、オバマ大統領は、ASEAN各国に巡視活動への支持を直接働きかけ、中国への外交圧力を強めました。

オバマ大統領も徐々ではありましたが、強硬姿勢に変わりました。しかし、中国が南シナ海に万里の長城を築いた現在では、遅きに失しました。これを元に戻すのは至難の業です。

民主党の最有力候補、そうして現在の情勢では初の女性大統領と目されているヒラリー・クリントン前国務長官は、2014年に『ハード・チョイス』(厳しい選択)という書籍を出版していました。同書で、ヒラリー氏は生い立ちと政治信条を記していますが、はっきりうかがえるのは、日本は米国にとってアジアで最も重要な戦略的友好国と考えてはいないということです。

ヒラリー・クリントンの著書
ヒラリー氏は中国が米国にとって対立的国家であることを認め、中国を牽制するため、「米国はアジアのいくつかの国々と軍事協力体制を強化しなければならない」と主張しています。また、ASEAN(東南アジア諸国連合)などアジアとの地域協定を強化して、「中国を押さえつけるために協力しあわなければならない」とも述べています。

ヒラリー氏のこうした主張は、共和党政権を中心に冷戦を戦ってきた米国の基本戦略から大きく逸脱しています。「日本が米国の安全保障政策にとって重要ではない」という考え方を明らかにした米国の大統領候補は、ヒラリー氏が初めてです。

ヒラリー氏はあれからの2年間、大統領選を展開するにあたり、あらゆる機会に、この主張を繰り広げてきました。オバマ政権は事実上、中国を友好国扱いし、中国との対立を極力、避けてきました。

2016年にヒラリー氏が大統領に当選すれば、米国の政策は大きく変わることでしょう。

ヒラリー氏の考え方は、日本の基本的な国際戦略や安全保障に大きく関わってくることでしょう。安倍晋三政権やその周辺の保守的な評論家や古手外交官らは、相も変わらず日本を最も重要な同盟国とする米国の対中国基本戦略は変わっていないと信じ込んでいるようです。このため、日米安全保障条約を主軸に、集団的自衛権に基づく防衛政策を進めています。

ところが、ヒラリー氏は著書で、「日本はもはや米国にとって昔ながらの味方ではない」と示唆しています。イェール大学のポール・ケネディ教授が『大国の興亡』を書いて以来、米国の人々は日本に対して恐れと不安を持つようになり、「信頼できる友好国ではないと思うようになった」と述べています。

ポール・ケネディ氏の著書
しかしながら、ヒラリー氏こそ、オバマ大統領とともに、この5年間の外交で、過去の政権と比べると、考えられないほどの大失敗を繰り返してきた張本人です。

ヒラリー氏は、そうした失敗について釈明を試みているのですが、結局、米国が国際的指導者としての力をなくしてしまったことを自白しているに過ぎません。そうした心情が日本に対する不信というかたちで、現れたとみるべきです。

いずれにしても、ヒラリー・クリントンは日本との関係をもはや重要な戦略的基盤とは思わなくなっています。日本は、これを考慮し、彼女が大統領になったときの安全保障を考えていく必要があります。

もし、彼女が大統領になれば、尖閣沖に強襲揚陸艦を派遣などということもしなくなる可能性が高いです。オバマよりは一見強硬に見えながら、本質的にはさほどオバマと変わらないということも十分に考えられます。

日本は、中国と対峙するために、米国をあまりあてにできなくなるかもしれません。その時に備えて、安倍総理の安全保障のダイヤモンドをより強固にしていく必要があります。特に、米国以外との国々との連携を強めていくべきです。

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