8月15日にクリントン氏の応援演説をするバイデン副大統領 |
バイデン米副大統領は15日、東部ペンシルベニア州スクラントンで民主党大統領候補のヒラリー・クリントン前国務長官(68)の応援演説をし、「私たちが(日本を)核武装させないための日本国憲法を書いた」と語った。共和党大統領候補の実業家、ドナルド・トランプ氏(70)を批判する中での発言だが、米政府高官が、日本国憲法を「(米国が)起草した」と明言するのは極めて異例だ。
バイデン氏はトランプ氏を「事実から学ぼうとしていない」と批判した上で、日本国憲法の話題に触れた。トランプ氏が今春、日本や韓国の核武装を容認する発言をしたことを念頭に置いたとみられ、「(トランプ氏は)学校で習わなかったのだろうか? 彼に(大統領として)核兵器発射コードを知る資格はない」とも非難し、会場は笑いに包まれた。
バイデン氏は今年6月、米公共テレビ(PBS)のインタビューで、中国の習近平国家主席に対して北朝鮮の核開発阻止で協力を求める中で、「日本は事実上、一夜で核兵器を製造する能力がある」と伝えたことを明らかにしている。
【私の論評】米国は場合によっては、日本の戦術核を容認する用意がある(゚д゚)!
それにしても、バイデン大統領が語るとおりに、日本は一夜で核兵器を製造できるでしょうし、開発すれば技術的には世界最高水準であり、中国やロシアなどの比ではなく、米国と肩を並べるほどの核保有国となることでしよう。
中朝の核兵器とは一線を画すものとなるでしょう。中国の核兵器は北朝鮮と比較すれば、進んでいますが、それにしてもICBMは全世界を標的にし得るのですが、SLBM(潜水艦発射型核弾頭)は、未だ全世界をカバーできる状況ではなく、SLBMで米国全土を射程に収めようとすると、西太平洋に潜水艦を巡航させそこから発射しなければ、飛距離がまだ足りないです。
北朝鮮の核兵器は中国と比較するとまだ遅れていて、ICBM(陸上発射型核弾頭)でも、アメリカ全土を射程距離には収めきれていません。SLBMに関しては、まだ開発途上と見られています。
日本が、核兵器開発に乗り出した場合、ICBMでも、SLBMでも、全世界を射程距離内に収めることができます。さらに、SLBM の場合、日本の既存型の潜水艦である最新鋭の「そうりゅう型」に搭載すれば、その静寂性から、他国に探知されることなく、潜水艦を巡航させ、世界中のどこにでも核弾頭を発射することができることになります。
そうなると、中朝に対しては、安全保障面では、かなり優位に立つことができ、中国や北朝鮮にとってはかなりの脅威です。
バイデン氏はこの事実を習近平につきつけ、中国が北朝鮮を懐柔することができない場合には、日本の核兵器配備を容認する考えがあることを示したのです。そうして、ブログ冒頭の記事は、暗に日本国憲法の改正もあり得ることを示していると考えられます。
これによって、米民主党政権でも、場合によっては日本が核兵器を保有することを容認する用意があるし、そのための憲法改正もやぶさかではないことを示しています。ただし、バイデン大統領は、表立って主張するのではなく、あくまで、トランプ氏を揶揄する形で語っています。
これによって、日本が核兵器を保有することを容認するのは、トランプ氏だけではなく、米民主党にもその用意があるのですが、世界情勢を鑑みたうえで、米国にとって良い方向でそれを容認するということを示しているのです。
確かに、中国が北朝鮮を懐柔することができずに、北朝鮮がこのまま核兵器の開発を続け、ICBMやSLBMの開発に成功して、米全土を核兵器の標的に収めることができるようになったとしたら、米国にとっては脅威ですし、そうなれば、米国としてもこれに対する備えをしなければなりません。
これに対して、無論自らも備えるでしょうが、日本にも備えてもらえれば、より強固なものになります。米国からすれば、日本が米国も標的になるような核兵器ではなく、米国が標的にならないような短距離の核兵器を装備すれば、ベストでしょう。
さて、日本国憲法に関しては、バイデン副大統領が主張するように、事実上米国側が起草したものであることは周知の事実です。そうして、アメリカ議会は、すでに数年前から、日本憲法の改憲派が多数派になっています。
これに関しては、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
その後、ご存知のように昨年、日本政府の憲法解釈の変更による、集団的自衛権の行使を含む安保法制が成立し、今日に至っています。これに関しては、米国側としては、一定の評価はしているものの、まだまだ十分ではありませんし、日本が独自で核兵器を持つようなことはできません。
そのため、もし中国が北朝鮮に対して、これ以上の核開発をしないように懐柔することができなければ、米民主党としても、日本の核武装を容認する用意があり、そのためには日本政府による憲法改正も認める用意があるということです。
次期大統領が、トランプになろうが、ヒラリーになろうが、米国が日本の改憲を望み、場合によっては、核兵器の配備も認めることもあるということです。
ただし、核兵器とは言っても、日本が戦略核を配備すれば、米国も標的になるので、米国としてはあくまで、戦術核の配備を望むことでしょう。ちなみに、戦術核とは戦場単位で通常兵器の延長線上での使用を想定した核兵器のことです。 戦略核兵器や、戦域核兵器(中距離核兵器)に対して射程距離が短い。 米ソ間の核軍縮協定などでは射程距離500km以下のものが戦術核兵器であると定義されています。
それにしても、日本が戦術核を持てば、アジアの安全保障は劇的に変化することでしょう。日本国内では、核に関して論じることはタブーのような状態です。このタブーを破り、真摯にこの問題に向き合うことからはじめなければなりません。
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バイデン氏はトランプ氏を「事実から学ぼうとしていない」と批判した上で、日本国憲法の話題に触れた。トランプ氏が今春、日本や韓国の核武装を容認する発言をしたことを念頭に置いたとみられ、「(トランプ氏は)学校で習わなかったのだろうか? 彼に(大統領として)核兵器発射コードを知る資格はない」とも非難し、会場は笑いに包まれた。
バイデン氏は今年6月、米公共テレビ(PBS)のインタビューで、中国の習近平国家主席に対して北朝鮮の核開発阻止で協力を求める中で、「日本は事実上、一夜で核兵器を製造する能力がある」と伝えたことを明らかにしている。
【私の論評】米国は場合によっては、日本の戦術核を容認する用意がある(゚д゚)!
さて、まずはバイデン副大統領が今年、「日本は事実上、一夜で核兵器を製造する能力がある」と語ったその内容について、詳細を以下に掲載します。
波紋呼ぶバイデン米副大統領の「日本は一夜で核兵器製造が可能」発言、中国・習主席に北朝鮮説得促す?
2016年7月1日、米国のバイデン副大統領は、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席との会談で、「日本は一夜で核兵器製造が可能」と発言したことを自ら明かしました。発言は習主席に核・ミサイル開発を急ぐ北朝鮮の説得を求める中で飛び出しました。日本では禁句とされる核武装に言及した発言は、少なからず波紋を呼んでいます。
日本メディアなどによると、バイデン副大統領の発言は先月20日に行われた米公共テレビPBSのインタビューで明らかにされました。習主席との会談時期は明言しませんでした。
会談で習主席は北朝鮮情勢に関して、在韓米軍への地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」配備に触れ、「中国軍は米国が中国を包囲しようとしていると考えている」と反対。これに対し、バイデン副大統領は中国に北朝鮮への圧力を強めるよう促し、「日本は実質的に一夜で核武装できる能力を持っている」と語ったといいます。
バイデン発言は、北朝鮮が核・ミサイル開発にこのまま突っ走れば、危機感を抱いた日本が対抗して、中国が最も警戒する核武装に踏み切る恐れがあるとあえて例示。米中の連携がなければ、日本の核保有があり得るとの認識を伝えたとみられます。
習近平(左)とバイデン副大統領 |
参院選の応援で全国各地を飛び回る菅義偉官房長官に代わり、24日に記者会見した世耕弘成官房副長官はバイデン発言について「(日本が)核兵器を保有することはありえないことだ」と否定。「非核3原則」に言及し、「日本政府の重要かつ基本的な政策として今後も堅持していく」と強調しました。
その上で、核に関する法制度として「国内法上は原子力基本法によって、日本の原子力利用は平和目的に極めて厳しく限定されている」と説明。「国際的にも核兵器不拡散条約(NPT)の非核兵器保有国として、核兵器の製造や取得などを行わない義務を負っている」とも述べました。
米国務省のカービー報道官も、バイデン発言について「米国は日本の防衛に十分な責任を持っている」と指摘。副大統領とは別に、日本の核保有を認めない従来の立場を明確にしました。
日本の核武装については、米大統領選の共和党候補指名が確実視されるトランプ氏も今年3月の米紙とのインタビューで容認する考えを示し、物議を醸しました。その後、さすがのトランプ氏も「そんなことは言っていない」と軌道修正を図っています。
習主席との会談でバイデン副大統領は「北朝鮮がハワイやアラスカはもちろん、米本土まで攻撃できる核兵器の開発を進めている事実をはっきり認識するよう求めた」といいます。副大統領は、米上院外交委員長などを長く務めた外交通。オバマ政権ナンバー2が日本を引き合いに出した真意をめぐっては、さまざまな臆測を招いています。バイデン副大統領は、「日本は事実上、一夜で核兵器を製造する能力がある」という発言を背景に、ブログ冒頭の記事におけるトランプ氏批判を行っています。
それにしても、バイデン大統領が語るとおりに、日本は一夜で核兵器を製造できるでしょうし、開発すれば技術的には世界最高水準であり、中国やロシアなどの比ではなく、米国と肩を並べるほどの核保有国となることでしよう。
中朝の核兵器とは一線を画すものとなるでしょう。中国の核兵器は北朝鮮と比較すれば、進んでいますが、それにしてもICBMは全世界を標的にし得るのですが、SLBM(潜水艦発射型核弾頭)は、未だ全世界をカバーできる状況ではなく、SLBMで米国全土を射程に収めようとすると、西太平洋に潜水艦を巡航させそこから発射しなければ、飛距離がまだ足りないです。
北朝鮮の核兵器は中国と比較するとまだ遅れていて、ICBM(陸上発射型核弾頭)でも、アメリカ全土を射程距離には収めきれていません。SLBMに関しては、まだ開発途上と見られています。
日本が、核兵器開発に乗り出した場合、ICBMでも、SLBMでも、全世界を射程距離内に収めることができます。さらに、SLBM の場合、日本の既存型の潜水艦である最新鋭の「そうりゅう型」に搭載すれば、その静寂性から、他国に探知されることなく、潜水艦を巡航させ、世界中のどこにでも核弾頭を発射することができることになります。
日本の新型固体燃料ロケット「イプシロン」は 比較的簡単にICBMや、SLBMに転用できる |
バイデン氏はこの事実を習近平につきつけ、中国が北朝鮮を懐柔することができない場合には、日本の核兵器配備を容認する考えがあることを示したのです。そうして、ブログ冒頭の記事は、暗に日本国憲法の改正もあり得ることを示していると考えられます。
これによって、米民主党政権でも、場合によっては日本が核兵器を保有することを容認する用意があるし、そのための憲法改正もやぶさかではないことを示しています。ただし、バイデン大統領は、表立って主張するのではなく、あくまで、トランプ氏を揶揄する形で語っています。
これによって、日本が核兵器を保有することを容認するのは、トランプ氏だけではなく、米民主党にもその用意があるのですが、世界情勢を鑑みたうえで、米国にとって良い方向でそれを容認するということを示しているのです。
確かに、中国が北朝鮮を懐柔することができずに、北朝鮮がこのまま核兵器の開発を続け、ICBMやSLBMの開発に成功して、米全土を核兵器の標的に収めることができるようになったとしたら、米国にとっては脅威ですし、そうなれば、米国としてもこれに対する備えをしなければなりません。
これに対して、無論自らも備えるでしょうが、日本にも備えてもらえれば、より強固なものになります。米国からすれば、日本が米国も標的になるような核兵器ではなく、米国が標的にならないような短距離の核兵器を装備すれば、ベストでしょう。
さて、日本国憲法に関しては、バイデン副大統領が主張するように、事実上米国側が起草したものであることは周知の事実です。そうして、アメリカ議会は、すでに数年前から、日本憲法の改憲派が多数派になっています。
これに関しては、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
「日本は憲法改正せよ」が米国議会で多数派に―【私の論評】憲法を改正するか、中国の属国になるか、アメリカの51番目の州になるか、あなたはどの道を選択しますか?
GHQによる日本国憲法草案
1946年(昭和21)2月13日、外相官邸で行われた日米会談の席で、政府の「憲法改正要綱」は、あまりに保守的内容であるとして拒否され、GHQ起草の案(マッカーサー草案)が提示された。この草案は、GHQ民政局部内で極秘裏に起草されたもので、主権在民・象徴天皇・戦争放棄などを規定していたため、政府側に大きな衝撃を与えた。 |
この記事は、2010年12月9日のものです。アメリカ議会は、もうすでにこの時期から日本の改憲派が多数派となっていました。詳細はこの記事をご覧いただくものとして、以下に、この記事から一部のみ引用します。
米国議会が日本の憲法第9条を日米共同防衛への障害と見なし、改憲を望むようになった――。
この現実は日本の護憲派にはショックであろう。だが、米国議会上下両院の一般的な認識として、日本側の憲法9条の現行解釈による集団的自衛権の行使禁止は、「より緊密な日米共同防衛には障害となる」というのである。
日本の憲法を改正するか否かはあくまで日本独自の判断によるというのが正論である。だが、日本の防衛が米国という同盟パートナーに大幅に依存し、しかも日本の憲法がかつて米国側により起草されたという事実を見れば、どうしても米国の意向が重視されてきた側面は否めない。
つまり、日本で改憲を考えるに当たっては、米国が改憲に賛成なのか、反対なのかが、どうしても大きなカギとなってきたのである。トランプ氏のように荒っぽい主張ではありませんが、米国議会も、この時期までの日本政府による憲法解釈による憲法9条による集団的自衛権の行使禁止は「より緊密な日米共同防衛には障害となる」とみていたのです。
その後、ご存知のように昨年、日本政府の憲法解釈の変更による、集団的自衛権の行使を含む安保法制が成立し、今日に至っています。これに関しては、米国側としては、一定の評価はしているものの、まだまだ十分ではありませんし、日本が独自で核兵器を持つようなことはできません。
そのため、もし中国が北朝鮮に対して、これ以上の核開発をしないように懐柔することができなければ、米民主党としても、日本の核武装を容認する用意があり、そのためには日本政府による憲法改正も認める用意があるということです。
次期大統領が、トランプになろうが、ヒラリーになろうが、米国が日本の改憲を望み、場合によっては、核兵器の配備も認めることもあるということです。
米国の戦術核の実験 1957年 |
それにしても、日本が戦術核を持てば、アジアの安全保障は劇的に変化することでしょう。日本国内では、核に関して論じることはタブーのような状態です。このタブーを破り、真摯にこの問題に向き合うことからはじめなければなりません。
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