2016年8月26日金曜日

中国上空の機内から女子高生、北朝鮮SLBMを撮影?…軍事アナリスト「北朝鮮のミサイルと推測」―【私の論評】北SLBM、中国の領空・領海侵犯にもドローン哨戒は有効なことが実証された?

中国上空の機内から女子高生、北朝鮮SLBMを撮影?…軍事アナリスト「北朝鮮のミサイルと推測」

女子生徒が航空機内から撮影した北朝鮮ミサイルの可能性が
ある被写体。右側に飛行機雲のような筋が見える=24日午前
島根県立矢上高(同県邑南町)1年の女子生徒(15)が飛行中の航空機内から、北朝鮮が24日発射した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の可能性がある被写体を写真撮影していたことが26日、高校への取材で分かった。

 矢上高によると、24日午前5時半~40分ごろ、生徒が進行方向左側の窓から景色を撮影していた際、飛行機雲のような筋が真っすぐ上がった後、形が崩れたという。中国上空を南に飛行していたとしている。

 生徒は2020年東京パラリンピックの事前合宿を誘致する活動のため、邑南町の派遣団の一員として訪れたフィンランドから福岡空港に向かう便で帰国途中だった。

 写真を見た軍事アナリストの小川和久静岡県立大特任教授は「噴射されたように真っすぐ軌跡を描いている様子から、ミサイルかロケットとみられる。同じ時間帯に他にミサイルの発射は確認されておらず、北朝鮮のSLBMと推測できるのではないか」と話した。

 北朝鮮は24日午前5時半ごろ、東部咸鏡南道新浦沖からSLBM1発を発射。防衛省によると、ミサイルは東北東方向に約500キロ飛行し、日本の防空識別圏内の日本海上に落下した。
 
 島根県立矢上高(同県邑南町)1年の女子生徒(15)が中国上空の航空機内から、北朝鮮が24日発射した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の可能性がある被写体を写真撮影していたことが26日、高校への取材で分かった。

 矢上高によると、中国上空を南に飛行中の機内で24日午前5時半~40分ごろ、生徒が進行方向左側の窓から景色を撮影していた際、飛行機雲のような筋が真っすぐ上がった後、形が崩れたという。

 生徒は2020年東京パラリンピックの事前合宿を誘致する活動のため、邑南町の派遣団の一員として訪れたフィンランドから福岡空港に向かう便で帰国途中だった。

 写真を見た軍事アナリストの小川和久静岡県立大特任教授は「噴射されたように真っすぐ軌跡を描いている様子から、ミサイルかロケットとみられる。同じ時間帯に他にミサイルの発射は確認されておらず、北朝鮮のSLBMと推測できるのではないか」と話した。

 北朝鮮は24日午前5時半ごろ、東部咸鏡南道新浦沖からSLBM1発を発射。防衛省によると、ミサイルは東北東方向に約500キロ飛行し、日本の防空識別圏内の日本海上に落下した。

【私の論評】北SLBM、中国の領空・領海侵犯にもドローン哨戒は有効なことが実証された?

この出来事について、ブログ冒頭の記事でも、他の報道でも北朝鮮のSLBMらしいということを報道するのみで、この出来事の持つ意味についてはどこも報道しないので、私がこのブログに掲載します。

これは、何を意味するのか?最初に結論を言ってしまうと、北朝鮮のSLBM、いや他の国のSLBMであっても、ドローンによる哨戒が有効であることの証明になっているということです。
北朝鮮のSLBM
ドローンというと、多くの人は最近普及した、4枚プロペラのドローン(クアッドコプター)を思い浮かべるかもしれません。しかし、そうではありません。軽量の飛行機型の偵察ドローンです。

そうして、このドローンは、皆さんが思い浮かべる軍事用のドローンとも違います。それよりもはるかに軽量で、数ヶ月から半年以上も継続して飛行できるものです。そうして、無論レーダーや他の探知デバイスを搭載するものです。

このような、ドローンも開発済みか、開発途上なのでしょうが、これは現在どこの国にとっても軍事上の最高機密なのでしょう、なかなか表にはでてきません。

日本を防衛することを念頭におくと、日本の上空をいくつかのドローンが一日24時間交代交代で飛んでいて、SLBM などの飛行物体を迅速に発見して、それを地上の部隊に知らせ、対処するというシステムです。

これがあれば、今回のように北朝鮮のSLBM(潜水艦発射型核弾頭)が発射されても、探知できずに、攻撃されてしまうという危険を未然に防ぐことができます。それどころか、現在は中国の航空機の領空侵犯に対する航空自衛隊のスクランブルもしなくても良くなります。あるには、するにしても遥かに楽になります。

飛行機のような固定翼を持つドローン「Parrot Disco
ドローンが空中で監視していれば、中国機が領空を侵犯すれば、即座に相手に対して、警告を発信することができます。さらに、地上からミサイルを発射して迎撃するという行動も迅速に行えます。さらに、現在のように航空機によってスクランブルをかけるにしても、従来よりはるかに前もって、領空の侵犯しそうであるという情報が入手できるので、かなり迅速でできます。

SLBMは潜水艦から発射されるため、深海に潜んでいる潜水艦から発射されると、発射されてからしばらくたってから、これを発見しても、現在の核弾頭は複数の弾頭が搭載されて、それが、どの地域を目指しているのか、それをさらに探知するに時間がかかって、防ぎようがないというのが過去の常識でした。

しかし、どんな時にでもドローンが上空24時間飛んでいるというのであれば、それこそ、上の記事にあるように、女子高生が肉眼で察知して、撮影出来たよりはるかに迅速に、これを発見し、対処することが可能になります。

先に述べたように、このようなドローンはすでに開発済みで世界の空を飛んでいるかもしれません。しかし、日本では未だ開発されていないようです。

しかし、これも技術力の高い日本が本気で取り組めば比較的短期間に、世界最高水準のものを開発できます。軽量化といえば、まずはカーボンファイバーが頭に浮かびまずか、これの技術は日本の独壇場です。

炭素繊維は重さは鋼鉄の20%にすぎないのですが、強度は10倍以上にのぼる素材です。 日本は1970年代から炭素繊維の開発に取り組んできました。細い糸を高温で加熱した後に束ねて作る炭素繊維は化学や繊維加工など各種先端技術が伴います。T1000と呼ばれる東レの高強度炭素繊維製品は戦闘機やミサイルに使われるため輸出規制も受けています。

ボーイングの次期旅客機(B787)のカーボンファイパー使用部位
日本は、このような素材を用い、その他の先端技術を用いることで、空中を数ヶ月間も飛行し、SLBMや哨戒任務にあたる、ドローンを作ることは十分可能です。

さて、空中のドローンに関しては、まだ、想像の域を超えていないのですが、それに良く似たものである、水中ドローンに関しては、すでに日本は開発を終えています。

それは、シーグライダーと呼ばれています。その外観はロケットに似ています。その小さな翼で水中を進み、毎時1キロメートル未満で非常にゆっくり移動します。電力消費量は極めて少ないです。

分解したシーグライダー ワシントン大学応用物理研究室が、
地球温暖化による氷河の変化を観察するため開発したもの
結果として、それは一度に何ヶ月も海中にとどまることができます。2009年には、一挺のシーグライダーが、一回のバッテリー充電のみで大西洋を横断しました。横断には7ヶ月かかりました。

シーグライダーのおかけで、科学者たちは、以前には不可能だった多くの事ができるようになっています。シーグライダーは、海底火山を観察することができます。氷山の大きさを測ることができます。魚の群れを追うことができます。

さまざまな深度で水中の汚染の影響を監視することができます。科学者たちは、シーグライダーを利用して海底の地図を作成することまでも始めています。

シーグライダーはすでに、数ヶ月も継続する任務を遂行することが可能になっています。ところが、日本の研究者は現在、SORAと呼ばれる太陽光発電を使ったグライダーを開発中で、この船は再充電のために2、3日間海面に出れば、その後作業を続けられます。結果として、必要な何年も海に留まることができます。

現在、シーグライダーを製造するにはおよそ15万ドル費用がかかるとされていますが、それがなし得ることを考えれば、その費用は非常に小さいです。シーグライダーを使えば、企業は石油とガスの探索のために海底調査ができますし、政府は軍事情報を収集できます。

上で掲載したシーグライダーを水中に投下するところ
シーグライダーは敵に見つかることなく海面にいる船舶や、近くを通り過ぎる友人潜水艦を特定できます。日本では、軍事転用はまだのようですが、日本の技術をもってすれば、容易にできることです。

空中でもこれと同じように、長時間空中を飛行し、様々な情報を収集して、地上や空中の航空機に伝えることも可能です。

まさに、ブログ冒頭の女子高生が肉眼でSLBMを発見したように、ドローンがこれを発見して、地上や他の航空機に知らせ、迅速な行動をとることが可能になります。

日本としては、今回の北朝鮮のSLBMへの対処や、中国の航空機の度重なる領空、領海侵犯への対処を考えた場合、ドローンによる哨戒や、シーグライターの活用など喫緊の課題でしょう。

そうして、F35 を1機購入することを諦めれば、これらの開発は十分にかなりの余裕をもって可能だと思います。

私としては、なぜブログ冒頭のようなことがあっても、メディアや軍事評論家がこのようなことを言及しないのか、不可解です。

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