電通はさまざまな企業や団体から広告を請け負う代理店で、世界有数のメディア関連企業だ。国内の政治や経済、スポーツなど各界にネットワークを張り巡らせており政治力もあるが、政府は強硬姿勢で臨んだ。
電通本社ビル |
労働基準監督署からの度重なる是正勧告にもかかわらず、抜本的な改善策を怠っていた電通の経営陣に対し、安倍政権の働き方改革への本気度を示すために、一罰百戒の意味を込めたと言えそうだ。
「取り組んだら放すな、殺されても放すな」などの言葉が並ぶ「鬼十則」という電通社員の心構えを巡っては、SNSなどに批判の声があふれ、社員手帳からの削除を余儀なくされた。若手社員が追い詰められた理由や背景の徹底解明が求められる。
「取り組んだら放すな、殺されても放すな」などの言葉が並ぶ「鬼十則」という電通社員の心構えを巡っては、SNSなどに批判の声があふれ、社員手帳からの削除を余儀なくされた。若手社員が追い詰められた理由や背景の徹底解明が求められる。
【私の論評】根本にあるのは電通の市場独占!これを崩さない限り問題は起こり続ける(゚д゚)!
高橋まつりさんのtwitterのプロフィール写真 |
この事件、安倍首相の肝いり「働き方改革」を進めている段階で、明らかになりました。そのためでしょうか、政府としてもかなり厳しく追求する構えであるようです。
この事件で、厚生労働省東京労働局が石井直社長を含む役員から事情を聴いていたことが28日、分かりました。東京労働局が記者会見して明らかにしました。年明け以降、家宅捜索した3支社を管轄する各労働局と連携し、上層部の組織的な関与について捜査を本格化させます。東京地検も電通幹部への事情聴取に乗り出す方針です。
東京労働局によると、会社と上司だった幹部の書類送検容疑は平成27年10~12月、高橋さんら2人の社員に対し、労使協定(三六協定)の上限である月50時間を超えた違法な残業をさせた疑いによるものです。2人についてはそれぞれ月約58時間と約54時間の残業を確認しました。起訴を求める「厳重処分」の意見を付けました。労働局は捜査継続を理由に、上司の詳しい役職や認否を明らかにしていません。
高橋さんは昨年12月に亡くなり、今年9月に労災認定されました。うつ病発症前には労使協定の上限を超える105時間の残業をしていました。
しかし残念ながら、いまのところ残業のことばかりが追求されているようです。しかし、高橋まつりさんを自殺に追いやった、電通の異常性はたんなる長時間労働だけではありません。
それについては、以前もこのブログに掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
【電通に強制捜査】「この件はわれわれに判断できるレベルでなくなった」と厚労省幹部 安倍政権、高橋まつりさん過労自殺に重大関心―【私の論評】今回の強制捜査は、公取委の出番の前哨戦かもしれない?
悪魔のイラスト |
電通1社で4媒体(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)の広告市場のシェアは5割に及ぶという状況は異常ですし、それに大手企業に限っていえば、ほとんど100%が電通、博報堂が占めています。
平成20年には業界首位の電通がネット広告大手のオプトへの出資比率を引き上げ。さらに平成21年7月、ネット広告大手のサイバー・コミュニケーションズを完全子会社化。平成25年3月には英イージスグループを買収し、海外展開も加速しています。
また、業界2位の博報堂DYホールディングスはアサツーディ・ケイとの合弁で設立したネット広告大手のデジタル・アドバタイジング・コンソーシアムを連結子会社化。さらに同子会社の博報堂は平成21年2月、PRエージェンシーであるケッチャム(米)と業務提携を結びました。
業界首位の電通と2位の博報堂による再編は活発化しており、このままでは、業界における2社の寡占化は今後も進むものとみられます。
本来の公取委の機能からすれば、これを放置しておくわけにはいかないはずです。政府・官邸もこれには危機感を抱いてると思います。
私自身は、今回の厚労省による電通本社・支社に対する強制捜査は、実は公取委による審査の前哨戦ではないかと思っています。
そもそも、電通が市場を寡占して、さらには寡占を強化するためのさまざまな団体と「非公式なつながりを強化する」戦略を前提に人員採用の方針が採用されていなければ、過労死などの問題など起こらなかったはずです。
寡占により、仕事は無尽蔵といつても良いほどあり、同じ社員でも「非公式なつながりを強化する」ための人材はあまり仕事をせず、そうではない人材にしわ寄せが行くことが過労死の原因だからです。
この構造を壊さなければ、問題は根本的に解決されません。私は、電通をいくつかに分割するのが一番良い方策だと思います。それによって、電通の寡占状況がなくなり、それによって労務環境が改善されるとともに、マスコミの偏向も是正されると思います。
どう考えても、電通の寡占状態は良いことではありません。やはり、早急に公取委が審査すべきものと思います。
そうして、官邸、安倍総理は当然のことながら、このようなことを視野に入れていると思います。
ある企業の市場におけるシェアが小さければ、存続の危機に見舞われます。適度にライバルが存在すると、商品やサービスの用途が広まり、市場が膨らみます。
しかし、独占状態になると、想像力は失われ、市場のキャパは100で止まってしまいます。
どのような市場においても、ライバル不在の独占状態よりも、適度なライバルが存在した方が、市場のキャパが拡大するはずです。
最近のテレビが面白くないのは、電通による支配が広告業界に及ばず、メディアに対しても及んでいるからではないかと思います。
企業が市場を支配すると惰眠をむさぼることになります。自己満足によって失敗することになります。市場を支配すると、組織のなかに革新に対する抵抗が出てくるようになります。外部の変化に対する適応が危険なまでに難しくなります。
企業が、市場において目指すべき地位は、最大ではなく最適であるべきなのです。想像力や革新性を失わないために、ライバルを歓迎すべきなのです。
まさに、市場を独占した「電通」は惰眠を貪り、長時間労働においては、前々から問題を起こしていて、厚生労働省などから厳重注意を受けていたにもかかわらず、また問題を起こしてしまったのです。
企業が、市場において目指すべき地位は、最大ではなく最適であるべきなのです。想像力や革新性を失わないために、ライバルを歓迎すべきなのです。
まさに、市場を独占した「電通」は惰眠を貪り、長時間労働においては、前々から問題を起こしていて、厚生労働省などから厳重注意を受けていたにもかかわらず、また問題を起こしてしまったのです。
おそらく、「電通」の市場独占状況を打破しなければ、同じような問題が起こり続けるものと思います。たとえ、一時影を潜めたように見えても、忘れたころに似たような問題が発生することになると思います。
あるいは、「電通」内でこの問題が解決したにしても、電通の取引先などで、低賃金労働や、長時間労働が発生するということになり、問題は解決しないと思います。
「電通」の市場独占状態を何としても打破すべきです。
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