内閣支持率を若者が牽引
安倍晋三内閣の支持率を世代別にみると、このところ20代(18、19歳含む)の支持率が高い。特に今年9月は68・6%に達し、その後も60%以上の高支持率をキープ。直近の12月17、18両日実施の調査では、全体の支持率55・6%だったが、20代の支持率は63・6%もあった。
過去3年間の年ごとの平均をみても、平成26年は53・5%(全体51・7%)で27年が52・1%(47・4%)。今年は58・4%(52・5%)に跳ね上がっている。最近の安倍内閣の支持率は若い世代が牽引しているといっても良さそうだ。
ただ、20代の支持率は独特な動きをみせる。60代以上の高齢者は比較的安定しているが、20代は1カ月で一気に10ポイント前後の急上昇、急下落をすることが珍しくない。他の世代が軒並み上がっているのに、20代だけが下落しているときもある。
「期待」と「醜聞」
20代の支持率が急上昇するのは内閣改造の後が目立つ。新しい顔ぶれとなった内閣への「期待」が支持率につながっているからにほかならない。
ただ、平成26年10月の調査だけは、9月に内閣改造をしたにもかかわらず、10ポイント近く急落した。このときは、経済産業相だった小渕優子氏の「政治とカネ」の問題と、法相だった松島みどり氏の「うちわ配布」問題などが浮上し、2人とも1カ月半ほどで閣僚辞任を余儀なくされた時期と重なる。
若者は「期待」が大きい分、スキャンダルに敏感で失望に変わるのも早いようだ。特に「政治とカネ」の問題は「古い政治」体質と映るのか、敬遠する傾向が強い。
実際、平成27年2月の内閣支持率は、26年12月の衆院選とその後の内閣改造などで政権運営に勢いがつき3調査連続のアップとなったが、20代の支持率だけが失速。農林水産相として初入閣した西川公也氏の政治献金問題が連日報じられていた時期だった。
また、28年5月の調査でも、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)開催とオバマ米大統領の広島訪問などで内閣支持率が上昇したにもかかわらず、20代だけは下落している。この時期は、自民党が支援した舛添要一東京都知事の公私混同疑惑がメディアを賑わせていた。
自民党支持層の若返り
では、自民党支持層も若返っているのか-。
今年12月の調査では、自民党の支持率は40・7%。支持層の世代構成をみると、60歳以上が41・0%を占め、50代14・0%▽40代14・3%▽30代13・5%▽20代17・2%-だった。平均年齢は53・13歳で、やはり自民党支持層の主軸は60歳以上の高齢者といえる。
若返りは気のせいだったのか…。ただ、過去3年の傾向を分析すると、どうやらそうでもなさそうだ。
自民党支持層に占める60代以上の割合は、平成26年が平均42・7%で、27年は42・4%。28年が41・9%となり、わずかだが右肩下がりが続いている。逆に20代の割合は、26年が平均11・8%、27年は11・9%で、28年は14・4%だった。今年1年で2ポイント以上も増えているのだ。
「期待」「醜聞」で揺れながらも、安倍内閣の若者人気と連動するように、じわじわと高齢者のシェア率が減る一方で、若者の支持が増えている。
民進党は“シルバー政党”化
逆に、支持層の高齢化が進んでいるのが民進党だ。今年12月の調査で、民進党支持層の60歳以上の占める割合は、62・0%に達した。共産党の60・5%も上回っている。旧民主党政権時代は50%前後で自民党と大差なかったが、徐々に増加。右肩上がりを続け、最近は60%前後で推移している。
特に今年は、山尾志桜里前政調会長が事務所経費として多額のタクシー代を支出していた問題や、蓮舫代表の日本国籍と台湾籍のいわゆる「二重国籍」疑惑などが相次ぎ、自民党のお株を奪うほどだ。
これでは、蓮舫代表が「酉年には大きな政治的な動きがある。29年は衆院解散・総選挙とも言われている」と選挙戦への決意を表明したところで、まだまだ党勢拡大は厳しい。
【私の論評】何をさておいても雇用情勢さえ良ければ、良しとせよ(゚д゚)!
上の記事の、分析で決定的に欠如しているのが、なぜ若者が自民党を支持するようになったのかというところです。
上の記事でも、「期待」によって支持率が伸び、「醜聞」によっては、下がるとしていますが、その「期待」の中身は何なのかについては、触れられていません。
上の記事では、「期待」は新しい内閣の顔ぶれだとしていますが、顔ぶれが新しくなっても、根本的に何かがなければ、「期待」のしようもありません。
その根本的何かとは何なのでしょうか。それは、他党と自民党と決定的に違うものでしょう。それは、経済対策ではないかと思います。
その中でも、財政政策は増税という緊縮財政策をとったために大失敗し現状でもGDPの伸びは低迷し、デフレに戻る一歩手前の状況ですが、金融政策においては、緩和策をとったため雇用状況がかなり改善しています。
このブログでも何度か強調していますが、雇用と金融政策は、密接に結びついています。日本や米国のくらいの規模の国であれば、物価を数%上昇させただけで、他は一切何をせずとも、一夜にして数百万人の雇用が生まれます。これは、マクロ経済学条の常識です。
それは、フィリップス曲線を見れば、誰にでも理解できます。フィリップス曲線(フィリップスきょくせん、英: Phillips curve)は、経済学においてインフレーションと失業の関係を示したものです。アルバン・ウィリアム・フィリップスが1958年の論文の中で発表したました。
これは、インフレ率が高い状況では失業率が低下し、逆に失業率が高いときはインフレ率が低下することを意味します(インフレーションと失業のトレードオフ関係)。
このことをしっかり理解して、金融緩和を実施したのが、安倍政権です。これを全く理解できず、金融緩和を評価しないのが民進党です。
さて、このグラフは、1980年〜2014年までの日本のフィリップス曲線です。デフレ期である1996年〜2013年までの失業率の高さがはっきりと分かります。フィリップス曲線は、
1997年にフィリップス曲線は、別次元にシフトしましたた。この時に何が起きていたのでしょうか。96年から97年にかけての公共投資の抑制と97年4月の消費税率引き上げという財政面からの引き締めが景気を抑制しています。まさに橋本内閣による構造改革がデフレ日本を切り開いたということです。
さて、2014年には、この曲線がまた別次元にシフトしました。この時何が起こっていたかとえいば、安倍内閣になって2013年に実施された日銀による包括的金融緩和策が実施されてから1年が経過しています。金融緩和策が功を奏して、インフレ率が上昇し、失業率が低下しています。
以下にフィリップス曲線の模式図を掲載します。
さて、実際の日本のフィリップス曲線を以下に掲載します。
1997年にフィリップス曲線は、別次元にシフトしましたた。この時に何が起きていたのでしょうか。96年から97年にかけての公共投資の抑制と97年4月の消費税率引き上げという財政面からの引き締めが景気を抑制しています。まさに橋本内閣による構造改革がデフレ日本を切り開いたということです。
さて、2014年には、この曲線がまた別次元にシフトしました。この時何が起こっていたかとえいば、安倍内閣になって2013年に実施された日銀による包括的金融緩和策が実施されてから1年が経過しています。金融緩和策が功を奏して、インフレ率が上昇し、失業率が低下しています。
このグラフは、2014年までしか掲載されていませんが、最近のグラフをみると、さらに1980年の時点に近づいていることがわかります。
そうして、今年の春の就職率はどうだったかといえば、以下のような状況です。
これをご覧いただければ、なぜ若者が安倍政権を支持するのか良くご理解いただけるものと思います。民主党政権時代は大卒就職内定率57.6%でした。雲泥の差です。
この数字の違いは、ここ数年実際に就活をした人なら身にしみて理解できるはずです。私は、企業で人事を担当していたこともありますから、この違いは良く理解できます。
特にデフレのときには、まさに人事としては選び放題という有様でした。そうして、気になったのは、実際に入社してきた新人の様変わりでした。
国立大学の大学を卒業して、別のこれも国立大学の大学院を卒業した、女性社員は卒業と同時に奨学金で数百万円の借金を背負っていました。その後知ったのですが、このような人は珍しくはありませんでした。
ある男性社員は、比較的家が裕福なのか、奨学金はもらわず、親の仕送りで学費を賄ったようでしたが、アルバイトはしていました。
ところが、驚いたのが、大学4年間を札幌で過ごしたにもかかわらず、一度もあの大歓楽街のすすき野に飲みに行ったことがないという話を聞いたときです。飲むのはほとんど、家飲みだったと語っていました。車などとても買うような余裕などなかったようです。
彼が、学生時代を過ごした時は、民主党政権で、デフレ・スパイラルのまっただ中で、就活も非常に大変な時期でした。デフレは、これほど若者を苦しめているのかと、当時驚嘆したものです。
このようなことは、自分が経験しなくても、実体験は次々と後輩に受け継がれていくでしょうし、大学や高校の就職担当の先生方にも次々と受け継がれていくことでしょう。それよりも、何よりも内定率とか、就職率という形で情報が学校に残ります。
だから、若い人たちが、安倍政権を支持するというのは、良く理解できます。これに対して、シルバー層は、これから就職して、長い間努めるということはないので、雇用環境が良くなっても自分たちにはあまり関係ないので、アベノミックスなど眼中にないのでしょう。
しかし、これは日本の政治に深刻な影を落としています。何しろシルバー層は、若者層より人口が多く、さらに投票率も高いという実体があります。このあたりが、来年早々の衆院解散はないであろうことの、根拠にもなっていると思います。
今年の参院選から18歳から投票できるようになりましたが、若者の投票率は依然として低いです。若者は、自分たちの意思を政治に反映させるためにも、投票に行くべきです。
それにしても、私自身は当然若者ではないのですが、会社で人事を担当したり、その後役員になったときも、その時々の雇用状況は、企業経営において重要な要素なので、民主党政権時代よりは、現状のほうがはるかに若者にとって良いであろうことは想像できます。
シルバー層も、自分たちの子どもや孫、あるいは親戚の子どもや孫が、まともに就職できないような世の中は、決して望まないだろうとは思うのですが、やはり自分に直接関係ないとそうは思えないのかもしれません。
シルバー層も、長い間続いたデフレによって、多くの人が経済的に余裕がなく、若者にまで気を配る余裕もないのかもしれません。
経済政策を見る尺度は、いろいろなものがあります。そうして、様々な尺度があり複雑です。しかし、一つだけ言えることがあります。それは、何をさておいても、雇用状況がよけば、良しとしなければならないということです。
逆に、雇用状況が悪ければ、他の経済指標が良かったにしても、社会は不安定になります。雇用が確保されてこそ、活気ある社会が期待できるのです。
来年は、安倍政権も、機動的財政政策に着手し、さらに量的金融緩和も実施し、短期間で経済を本格的に建て直し、シルバー層にも支持されるようになっていただきたいものです。
残念ながら、マクロ経済音痴の民進党には、ほとんど期待していませんが、少なくとも、マクロ経済的知見を身につけて、安倍政権と経済面でまともに渡り合えるように成長していただきたいです。そうして、まともに野党としての役割を担っていただきたいものです。
今年も、後残りわずかとなりました。本年中は、大変お世話になりました。良いお年をお迎え下さいませ。
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