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2020年6月15日月曜日

コロナで中国との蜜月、EU分断を招くイタリア— 【私の論評】イタリアが中国の傘下に入ることはないが、EU離脱可能性は捨てきれない!(◎_◎;)

岡崎研究所

 イタリアはEUの大国中、唯一中国の「一帯一路」の正式の署名国となり、中国からの投資を積極的に受け入れるなど、中国との関係を急速に深めている。問題はそれがイタリアのEU離れをもたらしていることである。


 これまでイタリアは、EU、特にドイツやオランダの北の諸国に批判的に見られてきた。2019年のイタリアの通貨危機に際し、ドイツやオランダはイタリアを財政支援することはイタリアの放漫財政のつけを勤勉な国が払うことになるとして反対した。そのことが、イタリアが中国との関係を緊密化する一方で、イタリアのEU離れの傾向を強めている1つの要因になっている。

 武漢発の新型コロナウィルス(COVID-19)の感染拡大は、イタリアでEUで最初の爆発的増加をもたらした。それが中国離れをもたらすかと言えば、結果は逆であった。中国からもたらされた感染拡大でイタリアが困り、マスクや医療機器の不足への支援をEU諸国に求めると、支援の手を差し伸べたのは、フランスでもドイツでもなく、中国であった。感染拡大の時間のずれが、中国にそれを可能にさせた。

 5月24日付の英フィナンシャル・タイムス紙では、ウォルフガング・ミュンチャウ同紙副編集長が、イタリアの中国との関係緊密化で、EUの団結が次第に失われていると述べている。その中で紹介された世論調査の結果が興味深いので、以下に紹介する。

 イタリアの世論調査では、中国が最も友好的な国として挙げられ、ドイツが最も友好的でない国とのことであった。また、別の世論調査では、イタリア国民の中で、EU残留を望む者が44%、離脱を望む者が42%とのことである。EU残留を望む者のほうが若干多いが、2年前の同じ調査では、EU残留を望む者が65%、EU離脱を望む者が26%であったということなので、ほんの2年余りでイタリア世論は急速に離脱の方向に傾いていることになる。上記論説では、これらの数字は極めて警戒すべきものであると言っているが、EUの団結という見地からは当然の感想だろう。

 イタリアは、今回の新型コロナウィルスのパンデミックで甚大は被害を被った。6月6日現在のジョンズ・ホプキンス大学の統計によると、感染者数は、世界第7位で、23万4531人、死亡者数では世界第4位の3万3742人である。EU内では、感染者数ではスペインに次いで2位、死者数では1位である。もちろん、経済の損失も極めて大きかった。

 EUは域内のパンデミック被害対策の1つとして、EU共通の「コロナ債」の発行を検討したが、ドイツとオランダが拒否し、イタリアのコンテ首相は「この未曽有の困難に立ち向かえないなら、欧州という建物全体が存在理由を失う」と、強い不満を述べたと報じられた。

 その後、メルケル独首相とマクロン仏大統領が5000億ユーロの欧州コロナ復興基金を設立することで合意した。これはドイツが従来の立場をやわらげ、大きく譲歩したことを意味する。EUはこれでイタリアのEU懐疑に歯止めがかかることを期待しているようだが、上記フィナンシャル・タイムズ紙の論説は、イタリア支援としては不十分であると述べている。ドイツの思い切った方針転換も、イタリアから見れば‘too little, too late’ということか。

 イタリアの中国傾斜、EUに対する懐疑的な見方は今後とも続くと見てよい。イタリアが正式に EUから離脱することは考えられないが、EUの団結にひびが入るのは避けられないものと見られる。

【私の論評】イタリアが中国の傘下に入ることはないが、EU離脱可能性は捨てきれない!(◎_◎;)

上の記事を読んでいると、イタリアは経済的に追い詰められ、EU諸国の助けの手もなく、中国に飲み込まれそうな状況とも見えますが、現実的はそうとばかりとは言えないようです。あれだけの被害を被り、それが中国コロナの初期対応が間違っていたことが原因なのですから、当然と言えば当然でしょう。




「中国政府の新型コロナウイルスの隠蔽工作は全人類に対する犯罪だ」  

現在欧州ではイタリアの有力政治家によるこんな激しい糾弾の言葉が、欧米メディアで繰り返し報じられるようになっています。

中国の習近平政権が当初、新型コロナウイルスの感染拡大を隠し、感染の状況などについて虚偽の情報を流していたことに対しては米国でも多方面から非難が浴びせられています。

しかし「全人類への犯罪」という激しい表現はなかなか見当たらないです。なぜこれほど厳しく中国を糾弾しているのでしょうか。

この言葉を発したのは、イタリアの前副首相で右派有力政党「同盟」の党首(書記長)、マッテオ・サルビーニ氏です。サルビーニ氏はイタリア議会などで次のように発言しました。

「もし中国政府がコロナウイルスの感染について早くから知っていて、あえてそのことを公に知らせなかったとすれば、全人類に対する罪を犯したことになる」

「もし」という条件をつけてはいますが、中国政府がコロナウイルスの武漢での拡散を隠したことは周知の事実です。つまりサルビーニ氏は「全人類に対する罪を犯した」として明確に中国を攻撃しているのです。

4月から5月にかけ、サルビーニ氏は数回、同じ趣旨の中国非難を繰り返しました。議会で次のように述べたことも報道されています。

「中国は新型コロナウイルスのパンデミックを隠蔽することによって全人類への罪を犯した」

 サルビーニ氏は47歳のイタリア議会上院議員で、現在イタリア政界で最も注目を集める政治家の1人です。欧州議会議員を3期務めたあと、右派政党「同盟」を率いて2018年の総選挙で第三党となり、連立政権の副首相兼内相に就任しました。2019年9月には内閣を離れましたが、その後も活発な政治活動を展開してきました。

ジュセッペ・コンテ首相が率いる連立政権は中国への接近策をとってきましたが、サルビーニ氏は中国への接近を一貫して批判してきました。イタリアが中国の「一帯一路」構想に参加して、中国から技術者や学生、移民などを多数受け入れてきたことに対しても、サルビーニ氏の「同盟」は批判的でした。

新型コロナウイルスがイタリアで爆発的に感染拡大する直前の1月下旬、中国に帰って「春節」を過ごしたイタリア在住の中国人がイタリアに戻ってきました。「同盟」は、イタリアでの感染拡大を防ぐ水際対策として彼らの検査を行い、隔離することを提案しました。だがイタリア政府はその種の規制を一切行いませんでした。

その後、イタリアで悲劇的な感染爆発が起こり、全国民の封鎖状態が長く続きました。6月頭時点で、感染者は累計23万3000人を超えて世界第9位、死者は3万3000人を超え、世界第3位を記録しています。

だからこそ、元々、中国への接近に批判的だったサルビーニ氏が激しい言葉で中国政府を糾弾するのはもっともだと言えます。しかしそれでも中国政府に浴びせる「全人類への犯罪」という表現は過激です。


マッテオ・サルビーニ氏

米国や欧州の主要メディアは サルビーニ氏の発言を「中国への激しい怒り」の実例として報道するようにな離ました。米国の有力新聞ワシントン・ポストは、4月中旬の「中国に対して怒っているのはトランプ大統領だけではない」という見出しの記事で、サルビーニ発言を詳しく紹介していました。ヨーロッパでも、イタリアのメディアに加えてイギリスやフランスの新聞、テレビなどがその発言を伝えています。

ヨーロッパ諸国のなかでこれまで中国に対して最も友好的な政策をとってきたイタリアでこうした激しい中国糾弾の言葉が発せられ、広く報じられるという現実は、今後の国際社会で中国が置かれる厳しい状況を予測させるともいえそうです。

コンテ首相は、ユーロ圏の救済基金、欧州安定化メカニズム(ESM)に連動する最大360億ユーロ(約4兆3400億円)の信用枠提供を7月末までに申請する可能性があります。同国紙レプブリカが、情報源を明らかにせずに報じました。

同紙によれば、連立パートナーである反エスタブリッシュメント(既存勢力)政党「五つ星運動」は欧州連合(EU)の復興基金利用に反対していましたが、同党のディマイオ外相からコンテ首相は予備的な承認を得ました。イタリアは、スペインとポルトガルを含む他のEU加盟国と共にESM融資の申請を目指しているといいます。

グアルティエーリ経済財務相は13日遅くにイタリアの公共放送RAI3テレビとのインタビューで、ESM信用枠に関する決定前にまず、復興基金を巡る協議がまとまることをイタリア政府は望むと語りました。

EUの行政執行機関である欧州委員会は先月、実質的な復興基金となる総額7500億ユーロの経済再建策を提案。欧州委のフォンデアライエン委員長は、コンテ首相がローマで主催した非公開のフォーラムに寄せたビデオメッセージで、「次世代EUプラン」は「イタリアの絶好のチャンス」だと述べ、構造改革加速のために復興プランの活用を強く求めました。

欧州委のジェンティローニ委員(経済担当)も、反景気循環的なリセッション(景気後退)回避が支出プランの目的だとしながらも、 2兆4300億ユーロのイタリア債務を「確かな減少軌道」に最終的に乗せるはずだと主張しました。

イタリアでは昨年、ユーロに次ぐ事実上の「第2の通貨」を発行する構想が浮上していました。財政難にあえぐ伊政府が少額債券を発行し、民間企業への未払い金や市民への税還付などにあてる案です。

市中で流通すれば事実上の通貨とみなされ、欧州連合(EU)のルールに反する可能性が高いです。イタリアが財政ルールを逸脱しているとして制裁を検討中のEUはユーロの信頼を傷つけかねない事態に懸念を強めていました。

この構想はコンテ政権を支える極右「同盟」の発案で「ミニBOT」と呼ばれます。伊政府が発行する短期財務証券「BOT」のミニチュア版のイメージです。構想段階のため詳細は不明でしたが、欧州紙によると、満期はなく利子はないとしていました。1~500ユーロの少額債券を発行し、企業や市民に流通した後は納税や決済にも使えるとされ、通貨に近いです。

この案が浮上した背景には伊財政の悪化がありました。政府と取引のある伊企業には政府からの支払いが滞っているとの不満がたまっていました。同盟を率いるサルビーニ副首相は昨年6月18日「民間企業に支払う手段がほかにあれば検討するが、なければこの計画を推進する」と語りました。

しかし紙幣の形で発行すれば通貨とみなされるため、ユーロ採用国に他の通貨の発行を禁じるEU規定に違反します。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁はミニBOTが事実上の通貨であることから違法との認識を示していました。

ECBが発行するユーロと伊政府が発行するミニBOTの2種類の通貨が市中に出回るとどうなるでしょうか。企業や市民は信用力の高い通貨を持とうと銀行からユーロを引き出します。信用力の低いミニBOTは受け取りを拒否されるか、割引された価格で流通することになるでしょう。ユーロ不足が国全体に広がり、政府もユーロ建ての債券を償還できずに債務不履行に陥ることになります。この結果「将来のユーロ離脱につながる」(欧州系金融関係者)と懸念されていました。




伊政府内からは「新たな債務になる」(トリア経済・財務相)、「政府で議論していない」(コンテ首相)と異論が出ています。ミニBOTの発行には法整備などが必要で、すぐに実現するとの見方は多くないです。ただコンテ政権を支える与党の同盟に加え、左派「五つ星運動」はEU懐疑派であることから、将来的に実現しかねないと危惧する見方も増えつつあります。

EUルールを尊重しない伊政権の姿勢にEU側は疑念を募らせました。ただでさえイタリアの財政状況は深刻です。公的債務は国内総生産(GDP)比で132%で基準の60%を大きく上回ります。EUの欧州委員会は昨年6月5日、EU財政ルールに基づく制裁手続き入りが「正当化される」との報告書を公表。EU各国は7月に制裁手続きに入るかどうか判断することになっていました。

EU側はユーロ圏3位の大国との対立激化は望んでいません。EUで財政を担うモスコビシ欧州委員は「対話を続けたい」と述べ、伊政権の歩み寄りがあれば、制裁手続き入りは回避できるとの考えを示しました。ところが、政権内で力を持つサルビーニ氏の態度が軟化する兆しはみえませんでした。

結局ミニBOT関する議論は、昨年の夏以降は下火になっています。EUはこれに、断固として反対しています。もちろんトリア財務大臣、首相、共に政権を担う5つ星運動、そしてPDー民主党など野党からも反対の声が上がっています。

この政策を、強引に推し進めようとした姿勢から、谷原『同盟』は、ブレグジットの行方が定まらないまま、デリケートな空気が流れるEUを揺さぶりたいのか、あるいは本当に離脱を計画しているのかもしれません。

ただ、イタリアの中国傾斜は、一定の歯止めがかかり、中国に対する懐疑的な見方が拡大し、EUに対する懐疑的な見方は今後とも続くと見て良いでしょう。イタリアが正式に EUから離脱し、中国の傘下に入ることはなかなか考えられないですが、EUの団結にひびが入るのは避けられないものと見られる。

EUが中国に対抗して、イタリアなどをまともに救う手立てを講じれば、イタリアはEUにとどまり続けるでしょうが、そうでなければ、イタリアがEUを離脱する可能性は捨て切れないでしょう。

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2020年3月11日水曜日

イタリア 感染者が1万人超える 新型コロナウイルス―【私の論評】日本は感染国ではない!見通しを示さず客観性に欠けたマスコミ報道が日本の悪いイメージをつくった(゚д゚)!


イタリアの国旗柄のビキニ

新型コロナウイルスの感染が急速に広がるイタリアでは、政府が全土で不要不急の外出を控えるよう求める措置を打ち出しました。しかし、感染者は10日も1000人近く増えて1万人を超え、新たな対策が感染の封じ込めにつながるか注目されます。

イタリア政府は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためとして10日から来月3日まで全土で不要不急の外出を控えるよう求めたほか、屋外の集まりを禁止する措置に踏み切りました。

首都ローマでは人通りや交通量が大幅に減ったほか、ふだんは観光客でにぎわうバチカンのサンピエトロ広場が閉鎖されるなど街は一変しています。

こうした中、イタリア政府は10日、新型コロナウイルスの感染者が新たに977人増えて1万149人になり1万人を超えたことを明らかにしました。

また、亡くなった人は168人増えて631人に上ったとしています。

感染症予防に当たっている国立衛生研究所のブルザフェッロ所長は、NHKの取材に対し、北部では感染が広がっているものの南部での感染は限定的だとしたうえで「今、取られている対策はほかの地域に感染が広がらないようにするためだ」と強調しました。

政府が打ちだした新たな対策で、感染を封じ込めることができるか注目されます。

隣国オーストリア イタリアからの入国禁止

イタリアで新型コロナウイルスの感染が拡大する中、イタリアと国境を接している隣国オーストリアでも10日、感染者が前日より50人以上増えて182人となるなど、広がりをみせています。

こうした中、クルツ首相は10日、記者会見を開き、イタリアからの人の入国を停止する措置を取ると明らかにしました。

イタリアからの航空と鉄道の旅客便を止めるほか、陸路で国境を通過する車両については、オーストリア国内で途中下車しないことを確認できれば、通行を認めるということです。

また、オーストリア国内では来週16日から大学が休校になり、企業に対してもテレワークを推奨するとしています。

さらに、オーストリア国内の100人を超える屋内の行事も中止にするということです。

これを受けて、ウィーンの国立歌劇場は今月31日までオペラやバレエなどすべての公演をキャンセルすると発表したほか、ウィーン少年合唱団も29日まで公演を中止するということで、観光への影響も広がっています。

ヨーロッパ各国で感染拡大歯止めかからず

ヨーロッパでは、イタリアに続き、フランスやスペインでも新型コロナウイルスの感染の拡大に歯止めがかからない状況です。

このうちフランスでは、10日、新たに北部と南部の2つの町で集団感染が見つかり、感染者の数はこれまでに1784人とイタリアに次いで多く、死者も33人に上っています。

また隣国のスペインでは、感染者が前の日に比べて400人以上増えて1639人となり、死者も36人となっています。

特に首都があるマドリード州で感染者が急増していて、スペイン政府は州内のすべての学校を11日から休校にしたほか、国内で行われるスポーツの試合は、すべて観客を入れないで行うことを決めました。

さらに議会では議員1人の感染が確認されたことから、上下両院とも今後1週間は議事を行わないことにしています。

ほかにもドイツで感染者が1000人を超えるなどヨーロッパでは感染の拡大に歯止めがかかっていません。

【私の論評】日本は感染国ではない!見通しを示さず客観性に欠けたマスコミ報道が日本の悪いイメージをつくった(゚д゚)!

イタリア政府は10日、武漢ウイルスの感染の急速な広がりを受け、全土で個人の移動制限を発動しました。9日の感染者数は9172人と中国に次いで2番目に多いです。欧州で突出して感染者数が多い理由を探ると、医療現場の混乱などいくつかの可能性が浮かび上がってきます。

コンテ首相は9日「国民全員が協力して、厳格な規制に対応してほしい」と呼びかけました。外出を避けるよう求め、飲食店は夜間の営業を禁止しました。ただし、仕事や健康上の理由での移動は認めます。移動制限は4月3日まで続けます。



感染者が急増した理由に挙がるのが医療現場の混乱です。イタリアは、これまでに新型コロナの検査を5万4千件以上してきました。感染者を確定させる狙いでしたが、軽症の患者も徹底的に検査したため、病床が満杯になりました。医師や看護師の不足に拍車がかかり、感染が一気に広がった可能性があります。

米ブルームバーグ通信は世界保健機関(WHO)関係者の話として「検査をやり過ぎて害を及ぼしたようにみえる」と伝えました。無症状の人は自力で回復できた可能性があると指摘しました。

このイタリアの現状をみて、全国民に一刻も早くPCR検査と言っていた人はどう言い訳するのでしょうか。テレビなどのワイドショーではほとんどいいませんが、PCR検査は、誤判定が3割以上もあるという事実は認識しておくべきです。

イタリアは欧州連合(EU)が求めた財政緊縮策として医療費削減を進め、医療機関を減らしてきました。政府は引退した医療関係者の現場復帰を呼びかけ、軍事施設の活用など対策を急いでいます。

中国人観光客の多さも新型コロナのまん延のきっかけになったとの声もあります。イタリアを訪れる中国人は年320万人を超え、国別では5番目に多いです。イタリアは2019年3月、主要7カ国(G7)で初めて中国の広域経済圏構想「一帯一路」に参画する覚書を締結し、その後に中国人は一段と増加しました。

感染症が専門のミラノ大学のガリ教授は伊メディアに対し「疫学のデータを分析すると、イタリアでは武漢ウイルスは既に1月末ごろから出回り始めていた」と話しています。

明るく友好的な国民性が関係している可能性もあります。イタリア人は家族や友人との時間を重視し、週末などに食事やカフェを一緒に楽しむのは日常茶飯事です。あいさつでも相手のほおに自分のほおを寄せるのが一般的で、人と人が身体的に近寄る機会が多いです。伊市民保護局のボレッリ局長は「イタリア人の感情をあらわす気質が武漢ウイルスの拡大につながった可能性がある」と指摘します。

ローマ。週末のレストランでの食事

現在、ミラノなどイタリア各地は静まりかえっています。一時的とはいえ、全土での移動制限は経済へのマイナスの影響が大きいです。外出の自粛や飲食店の時短営業で消費が低迷するのは確実です。20年1~3月期の実質経済成長率は2四半期連続でマイナスとなるとの見方が強まっています。ユーロ圏で3番目の経済規模を持つイタリアは景気後退に陥る可能性があります。

日本が感染国というイメージになっていますが、これはマスコミの責任が大きいです。なぜなら、多くの国内メディアでは、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の感染者約700人を含めて、日本の感染者数として報じています。そうした国内報道がそのまま海外で報道されるので、日本は感染国とされてしまうのです。

各国の感染者数は、5日現在で、中国本土8万272人▽韓国5621人▽イタリア3089人▽イラン2922人▽その他(クルーズ船)706人▽日本331人▽フランス285人▽ドイツ262人▽スペイン222人▽米国153人▽シンガポール110人▽香港105人なです。

ワイドショーなどでは、感染者数だけ報道し、結局脅威を煽るようなことになっていますが、これは以前のこのブログの記事でも示したように、もっと客観的に見るべきです。人口の多い国が、感染者が多くなるのは当然のことで、人口の多い国も少ない国も、感染者数だけでみたり、比較するのはあまり意味がありません。

公衆衛生学では、感染者数を人口10万人あたりでみるのが普通(感染者数➗人口✖10万人)です。そうすると、韓国11・0人▽中国本土5・6人▽イタリア5・1人▽イラン3・6人▽シンガポール1・9人▽香港1・4人▽スペイン0・5人▽フランス0・4人▽ドイツ0・3人▽日本0・3人▽米国0・1人です。

どちらのデータを見ても、日本が感染国とはいえないです。乱暴ですが、あえてクルーズ船の感染者数を日本に含めたとしても0・8人であり、感染国とはいえないという結論に変わりはないです。はっきりいえば、政府が手をこまねいているうちに、マスコミ報道で日本の悪いイメージができあがったというだけなのです。以下にグラフを掲載します。(以下のグラフの日本には、クルーズ船の感染者は含まれていません)


先にも述べたように、マスコミは不安ばかり煽りこれからの見通しなど示しません。ここでは、現在まで得られた知見から、ある程度の見通しを述べたいと思います。

この感染症の診断はPCR検査によって行われています。PCR検査は感度については良好ですが、鼻咽頭粘膜などの検体採取部に武漢ウイルスが存在しない場合、感度をいくら上げても陰性と出る可能性が大きいです。

そのため検査陽性の場合は感染ありと断定できますが、陰性の場合は信用ができない可能性があります。PCR検査を希望者全員に行うことは感染者の数を爆発的に増やすことにつながります。

この場合、無症状や軽度の症状の人もまとめて武漢ウイルス感染症と診断されるので、指定感染症である以上、多くの人が措置入院ということになります。そうすると、感染症指定医療機関はすぐに満杯となり、そうではない一般の医療施設でも入院させざるを得ない状況になり、そうなると逆に院内感染を拡大させる可能性が増してきます。それが、まさにイタリアや韓国の状況であったと考えられます。

いつの日か、本感染症を指定感染症から解除する時がやってくると思われるのですが、そうなると通常のインフルエンザと同様に軽症の場合は自宅待機を勧めることが可能になり、医療における混乱が生じる可能性は減少します。

これからの1カ月間の感染の動向により武漢ウイルス感染症への基本方針が大きく変わる可能性が高いと思います。新規感染者より回復者の方が多くなれば指定感染症の枠から外し、季節性インフルエンザと同じ診療方針で行えば良いです。

新規感染者がなお回復者を大きく上回っているのであれば、感染ルート探索のために全力を挙げ、個別の調査により感染源を完璧に絶たなければいけないです。結果が前者であってほしいと強く望んでいます。

このように見通しのもとで、政府の発表などをご覧になれば、マスコミ報道に煽られたり、いたずらに脅威を感じたりすることはないと思います。

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2013年7月18日木曜日

時事通信社に記事および見出しの訂正を求めます(浜田内閣官房参与)―【私の論評】デフレが解消されないうちに、増税してしまえば元の木阿弥、せっかくの金融緩和が無為になるのは必定、大馬鹿真似は絶対やめさせるべき(゚д゚)!

時事通信社に記事および見出しの訂正を求めます(浜田内閣官房参与)

浜田先生(右)、左は勝間和代さん
内閣官房参与でもある、イェール大学名誉教授浜田宏一先生は、時事通信への記事および見出しの訂正の抗議文書を出されています。その内容は以下のようなものです。
時事通信御中
前略 
7月14日の講演を元にして書かれたと思われる以下の記事について、私が発言したのとは異なる内容が記載され、また、本来の発言の趣旨とは正反対の見出しがつけられています。

時事ドットコム:消費増税、容認姿勢へ=浜田内閣官房参与与http://www.jiji.com/jc/zc?k=201307/2013071400199&g=eco 

私の発言として、「(消費増税について)第一の緩和(金融緩和)があまりにもいいから、このままやってしまってもいいような状況になっているのは万々歳だ」とあり、あたかも増税を容認したかのような書き方になっていますが、私はこのような発言は一切しておりません。 
私は『次の四半期にも景気回復が華々しく、このまま増税しても良い状態になれば万々歳だが、そうでなければ歳入を生む源である、景気回復という金の卵を産む鶏を殺してしまうことになる』と申し上げたのであり、特に後段がこの発言の本旨です。
記事内容及び見出しの訂正を要請させていただきますので、早急にご対応ください。 
草々 
イェール大学名誉教授
浜田宏一
【私の論評】デフレが解消されないうちに、増税してしまえば元の木阿弥、せっかくの金融緩和が無為になるのは必定、大馬鹿真似は絶対やめさせるべき(゚д゚)!

浜田先生の一見増税容認とみられる発言は、Twitter上でも「そんなはずはない、何かの間違いだろう」ということで、話題になっていました。だから、上の依頼文を見た時に、「やっぱり」と思いました。

以下に典型的なものを掲載しておきます。

上念氏は、本日は以下のようなツイートをしていました。
よって、本日はこの記事を掲載することに決めました。

デフレから脱却しないうちに増税することは、はっきりいって馬鹿真似以外の何ものでもありません。今回の選挙では、なぜか増税は争点になっていません。しかし、景気が悪いときに増税して成功した国など古今東西どこにもありません。マクロ経済学的にも完全な間違いです。

これについては、昨日このブログに掲載したばかりです。その記事のURLを以下に掲載します。
IMF会見「アベノミクスは世界のリスク」 困りモノの針小棒大報道―【私の論評】妄想にしがみつくIMFが主張するプライマリーバランス(財政バランス)重視が間違いであることは、市場が知っている。そうして近いうちに日本が最大の実証者になる(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、景気の悪い時期に財政規律を重んじて、財政赤字をなくそうとして増税などの緊縮財政をしてことごとく大失敗した事例をあげています。ギリシャも、スペインも、イギリスもこれで大失敗です。

こんな事例がありながら、増税するなんてこれこそ、馬鹿真似以外の何ものでもありません。そうして、これは、日本でも実証されています。日本の消費税は、最初導入されたときには、デフレに陥っていなかったので、税収が増えた時期もあります。

ところが、次に3%から現行の5%に増税したときには、デフレではありませでしたが、景気が落ち込んでいたこともあり、増税してより後、増税前の税収を上回ったことは一度もありません。そうして、このときに日銀が金融引き締めを強化したこともあり、日本は完璧にデフレに突入しました。

こんな事実があるにもかかわらず、デフレから脱却しきっていないうちに、増税すれば、またまたデフレスパイラルの泥沼に落ち込み、また円高になり、中国、韓国などは大喜びすることになります。また、若者雇用をはじめ、雇用状況が悪化するのは明らかです。財政赤字も縮小することなどできなくなります。14年春の段階では、どう考えてもデフレから脱却できているとは考えられません。絶対にするべぎではありません。

それから、金融緩和も、完璧に物価目標をクリアしてからやめるようにすべきです。参院選挙では、自民が圧勝しそうです。その後は、私たちとしては、増税絶対反対という姿勢で、ことあるごとに意見を表明していくべきです。私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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