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2008年6月27日金曜日

グッドウィル・グループ<4723.T>、7月末に子会社グッドウィルの全事業を廃止することを決議-社会問題を含む分野こそNPOの出番か?

グッドウィル・グループ<4723.t>、7月末に子会社グッドウィルの全事業を廃止することを決議(すでに読んだ方、内容を知っている方は読み飛ばしてください)
[東京 25日 ロイター] グッドウィル・グループ(4723.T: 株価, ニュース, レポート)は25日、7月末をめどに子会社グッドウィルの全ての事業を廃止することを承認決議したと発表した。

禁止されている労働者の二重派遣で、グッドウィルが罰金の略式命令を受けた。これにより、厚生労働省がグッドウィルの派遣事業許可を取り消すことを見越して決めた。

日雇い派遣そのものに対し、舛添要一厚労相は原則禁止の方針を示している。グッドウィルはこれまでも違法派遣を繰り返していた。派遣事業取り消しは妥当な措置だ。廃業に際し、グッドウィル・グループは、派遣労働者七千人と従業員四千人の受け入れ先を、責任を持って探さなければならない。

日雇い派遣は「ワーキングプアの温床」と言われる。労働者は派遣会社に登録し、仕事があるときだけ派遣会社と契約する。仕事があるかどうかは直前まで分からない。雇用が不安定な上、賃金も低い。派遣先企業としては、必要な時だけ労働力を手軽に調達できるという“利点”があろう。一方、日払いで給料を受け取れるため、日雇い派遣から抜け出せない労働者もいる。

舛添厚労相が原則禁止の方針を打ち出したのは、日雇い派遣は構造的に、多くの問題を抱えるからだ。二重派遣以外にも、港湾運送など禁止業種への派遣といった違法派遣が相次いでいた。安全対策がおろそかになりやすく、労働災害が多い。派遣会社がマージンを過大に取る「ピンハネ」も横行するという。

日雇い派遣を認めた労働者派遣法が一九八六年に施行された当初、派遣対象は通訳など専門性の高い十三業種に限られていた。その後、規制緩和の流れの中、企業側の要請で、派遣の自由化が進んだ。安易に対象業種を拡大し、問題を放置してきた責任は政府にあるが、企業も安価な労働力確保のため、問題から目をそらしてこなかったか。

厚労省の審議会が昨年、労働者派遣法の改正に向けて議論した際、労働側が日雇い派遣の禁止を求めたのに対し、企業側は継続を訴え、議論が中断したままだ。あたかも使い捨てのような労働力の流動化は、社会全体の不安定さにつながる。企業は社会的な責任をもっと自覚すべきだろう。

厚労省は次期臨時国会に、特定の専門業種を除き、日雇い派遣の原則禁止を盛り込んだ労働者派遣法改正案を提出する構えだ。単に禁止するだけでなく、ワーキングプアを生まないための仕組みづくりを十分に検討してほしい。なによりも、これまでの日雇い派遣労働者が働き先を失うようなことがあってはならない。

社会問題を含む分野こそNPOの出番か?
今回の派遣の問題のまえに、同じグッドウィル・グループの介護事業会社のコムスンも今年3月で清算されたことは、皆さんの記憶にも新しいと思います。

グッドウィル・グループに関する最近の一連の出来事は、介護事業や、今回の派遣事業などの社会問題に対処する事業について民間セクターが実施すと失敗しやすい格好の見本になったと思います。私は、グッドウィル・グループの問題については、ただ、創業者の前社長が悪かったなどといって簡単に済ませられる問題ではないと思っています。

実は、このグッドウィル・グループなどの出来事と根は同ですが、それよりも、はるかに大きくて、損失も果てしなく、世界経済を停滞させるような出来事がありました。それは、サブプライムローン問題です。この問題一見今回のグッドウィル・グループの出来事などとは全く関係がないようにみえます。

しかし、根は同じです、サブプライム・ローンのもともとの趣旨は、低所得者層に立派な住宅を提供するというのが趣旨です。私は、以前もこのブログで述べましたが、サブプライム問題は、民間セクターが社会問題などに手をつけると失敗しやすいことの格好の見本になったと思っています。このような事業に関して、政府がやれば、役人天国などに象徴されるようにもっと酷いことになるのは目に見えています。やはり、第3のセクターであるNPOが重要になってくると思います。

なぜそのようなことを言うかというと、デトロイトでは昔からNPOが都市計画を実施していて、高齢者向け住宅や、低所得者層の住宅を提供していて大成功していて、特にサブプライムローンのような問題は発生していないからです。

デトロイトでは、昔からNPOが盛んに活動しています。ありとあらゆる分野に進出して社会問題を解決したし、今でも解決しつつあります。市の真ん中には、NPOタワーと呼ばれる大きなタワー型ビルがあり、そこにありとあらゆるNPOが入居しています。

その中には、デトロイトの都市計画を受け持つNPOも入居しています。市の都市計画は実質上このNPOが受け持ち、市役所は全体を管理するだけで、担当する人もごく少数です。こうした、NPOには、無論有給の正職員もいれば、無給のボランティアの人々もいます。正職員は、民間企業でながく活躍してきて、それなりの成功を収めた人達が多く、ただし、民間企業の株主のための経営ということに限界を感じて、本当に社会のために働きたいと思い、民間企業を辞めた人などが勤めています。

これら、NPOと、先の民間セクターの大きな違いは何でしょうか?NPOは、手弁当で集まる善意の人たちだから、時間も限られているし、管理は甘くなって当然などということはありません。有力なNPOは、通常の民間企業よりも管理は厳しいくらいです。民間企業は、経済的成功を収めていればそれで良しとするところがありますが、NPOは社会的貢献をしていなければ、いつ補助金や、寄付金など打ち切られるかもしれないため、常に社会貢献をするだけではなく、自らの存在価値を補助金や寄付金を寄せてくれる人たちの団体や個人を納得させなければならないからです。

有能なNPOがグッドウィル・グループのような事業を展開したとしたら?
まず、人材派遣業は、デトロイトのNPOでも実施しています。このNPOでは、ただ人を派遣するだけではなく、教育・訓練まで施します。ある事例では、アフリカからできてきた少女で言葉もできず、特に手に職もなく路頭に迷っていましたが、NPOの職業訓練プログラムに入りました。数年間訓練を受けて、その少女はデトロイトの優良企業に就職することができました。それから十数年を経て、その少女は立派な女性・立派な従業員に育ち、今ではその企業の副社長になっています。このプログラムに参加しなかったら、彼女は今でも路頭に迷っていたことでしょう。

このNPOでは、市内の複数の企業と提携していて、プログラムに参加した人で優秀な人を提携企業に斡旋します。企業とNPOでは、あらかじめ定めてあった、評価基準によって、斡旋した人のグレードを定め、そのグレードにしたがって一人当たりいくらという斡旋料をNPOに支払います。これによって、企業側は採用や教育訓練の手間を省き、しかも優秀な人材を獲得できます。NPO側は、斡旋料を組織の運営に用います。こうした、NPOには無論ボランティアの人たちも多く参加しています。技術を持っているひとは、技術を教える役をかったり、教えられるような技術を持たない人は、街頭でプログラムに参加しそうな人達をスカウトしてくるなどの仕事をしています。

こうした、例はデトロイトのNPOの活動のごく一部を紹介したものです。他にももっとはるかに巨大なプログラムなども存在します。

日本では?
残念ながら、日本ではNPOの歴史が短く、大きな社会事業に取り組むものなどまだほんの一握りです。日本でコムスンなどのような事業をNPOが実施するとしたら、いろいろなことが考えられます。まずは、無給のボランティアも採用して、専門の福祉士でなければできないような介護、介護計画の立案などは社会福祉士に任せ、それ以外のことはボランティアが実施するなどです。これによって、少ない介護士でも、十分多くの人たちの介護ができるなどのメリットがあります。さらに、NPOであれば、経済的利益を得ることが絶対条件ではなく、社会的使命を遂行することと、組織の存続が絶対条件となるため、様々な利点があるし、小回りもきくようになります。

介護に関しては、あるNPOでは介護預金なるものを作り出し、介護を細かく分類して、たとえばボランティアが家事の買い物の手伝いをすると何点という点数を付与します。自分のできる範囲のことでも、手伝いをすれば点数表に加点されます。その点数がたまって、自分がある程度の年齢になって介護が必要になったら、その点数分は無料でNPOから介護を受けることができます。

このような仕組みはいくらでもできると思います。NPOだからやりやすいという点もたくさんあります。日本も、はやく有力な社会事業家が排出して、グッドウィル・グループの実施しているような社会事業に取り組んでいただきたいと思います。

それに、最近では、第一次産業、第二次産業の生産性が飛躍的に高まり、従来ほどあまり人を必要としません。第三次産業もネットワークが発展してきたため、同様に従来ほどは人の手を必要としなくなってきました。生産性が高まった結果、多くの産業で従来ほど人手を必要としなくなってきました。こちらは函館ですが、前に農林水産業の人口構成比はどのくらいなのかと調べてみたら、何と、わずが2%ほどで、2%セントもきっていました。函館市というと水産物が有名ですが、就労する人の人口は2%にもみたないのです。函館の人口は30万程度ですから、ほんの数千人です。このようなことか全国各地で起こっているのです。

ところが、社会問題に関する人手の必要性は年々高まってきています。派遣労働の問題、介護の問題、それだけではなく、自殺者の増加、この世の中にはあらゆる形の社会問題が山積しています。これを解決するには、行政セクターでも、先にあげたように民間セクターでもなかなか難しい面があります。これを解決しやすいし、するべきは第三のセクターであるNPO(非営利団体)だと思います。このNPOも、手弁当的に、半分お遊び程度、時間つぶし程度に行うのならそうでもありませんが、本格的に取り組むのなら有償で働く正職員が必ず必要になってきます。こうした背景を考えると、やはりNPOも雇用の受け皿となるべきと考えます。

特に、9世紀、20世紀のようなジャングルのような混沌とした都市ではなく、21世紀には都市を文明化するために、このような多種多様なNPOが多数排出することが、必要不可欠だと思います。また、そうならなければならないと思います。

NPOに関する、当ブログに掲載された過去の記事は以下の反転文字列をクリックして、是非お読みください。

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