9月27日世界銀行のゼーリック総裁は28日、米ジョンズ・ホプキンズ大で講演し、米国が世界の主要準備通貨としてのドルの地位を当然のものと受け止めるべきではないとの考えをあらためて示した。
世銀が事前公表した講演テキストの抜粋によると、総裁はまた、新興国の影響力が高まるなか、国際経済の秩序で「次の大きな変化」が進行中だとの見解を表す。
中国やロシアは、ドルに代わる世界の主要準備通貨を繰り返し求めている。主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)のドル指数は、オバマ米大統領が就任した1月以降これまでに11%下落した。米政府の景気対策に伴う財政支出が拡大するなか、今年度の財政赤字が1兆6000億ドルに達するとみられていることなどが背景にある。
ゼーリック総裁は各国に対し、経済成長の持続確保のための協力体制の強化や、世界でなお16億人が電気のない生活をしている事実を認識するよう求める方針。
米国の衰退が始まったか?
戦後しばらくの間、英国のポンドは、機軸通貨であったことは現在ではほとんどの人が忘れていると思います。しかし、私の記憶では、すこしずつ地位を落としながらも1940年代までは、米国の$とともに、何とか基軸通貨であり続けていたと思います。1950年代には、完全に機軸通貨の役割を終えたと思います。そうして、経済的にも衰え続けていき、1950年代には、最悪の状況を迎えていました。
【英】 【米】
金本位制確立 1816年 1919年
↓ 貨幣法 金本位制復帰
↓
基軸通貨化 1850年頃 1944年 ─┐
↓ IMF体制 |25年
↓ |
転換 1870年 1971年 ─┘
↓ GDP米に抜かれた ニクソンショック
↓
凋落 1914年 2008年 ─┐
↓ 第一次世界大戦 現在 |
↓ |
≪共存≫ ≪ポンド・ドル共存≫ |30年
↓ |
↓ |
終焉 1944年 ─┘
IMF体制
その後も、経済は衰え続けました。その頃のイギリスはいわゆる落日という感じて、エリザベス朝の頃のと比較する見る影もないというありさまでした。しかし、その後サッチャーがビックバンを強行し手持ち直し、シティは世界の金融街として返り咲き、さらに、ブレアの時代にも働くための福祉など実施して、躍進しました。しかし、いくら躍進をしても、ポンドが機軸通貨に返り咲くことはありませんでした。
このポンドの動きなどからみても、ドルが今すぐに基軸通貨の役割を完全に失うということは考えにくいと思います。少なくともあと、10年から20年くらいは、じょじょにその勢いを失いつつも、機軸通貨であり続けると思います。
おそらく、10年くらいは実質上のドルの機軸通貨の時代が続き、その後は、EUROや円、人民元なども基軸通貨の役割を果たすかもしれません。
国力においても、ここ10年ではさほど衰退することもなく、世界一であり続けパクス・アメリカーナの地位を保つことでしょう。しかし、その後は、さまざまな要因で国力が衰えていきます。その背景には、アフガンなどにおける膨大な戦費や、グリーン・ニューデール計画などで無駄に費やされる膨大な経費も含まれると思います。
アメリカの国力の本格的な衰退までには、今後10年間のモラトリアム(猶予期間)があると見て間違いないと思います。しかし、その後は、アメリカの経済、軍事力などもあまりあてにできないことも十分考えられます。先立つものがなければ、いくら超大国とはいっても何もできません。ただし、今から10年たっても、すぐにアメリカの衰退など実感できず、30年くらいもたってから、今日のこの日が、衰退の始まりだったと後世の歴史家が伝えるかもしれません。いずれにせよ、今後10年以内にそうした兆候が見え始め、アメリカ一極の時代は終焉し、多極化を迎えることでしょう。
そのときに日本は、どのうような道を歩むべきでしょうか。経済は、内需をできるだけ大きくしておき、外需も増やし、軍事、安全保障の問題、外交の問題などは、日本独自の戦略をたてていく必要があります。今日本国内ではほとんど禁忌となっている、核武装の問題を含めて真剣に考えるべきと思います。10年たってから、なし崩してにいろいろなことを実施するというより、今からしっかり準備をして、10年後に悔いを残さないようにすべきだと思います。さて、民主党にはその度量があるのでしょうか?
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