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2015年2月24日火曜日

衆院が原田早大教授の日銀審議委員起用を可決、参院も同意見通し―【私の論評】日銀人事は、衆院選よりも重要(゚д゚)!安倍総理の国会での"やじ"は、民主党の目を日銀人事から逸らし、自らに塩を送らせるための陽動作戦か?


原田泰氏

衆院は24日午後の本会議で、日銀審議委員に早稲田大学・政治経済学術院特任教授の原田泰氏を起用する政府の同意人事案を与党などの賛成多数で可決した。

国会同意人事は衆参両院の同意を得なければ白紙となるが、両院とも与党が多数を占めており、25日開会で調整中の参院本会議でも同意を得られる見通し。

原田氏は、3月25日に任期を迎える宮尾龍蔵審議委員の後任となる。大胆な金融緩和を提唱するリフレ派の中でも、岩田規久男・日銀副総裁と並ぶ代表的な論客。岩田氏や浜田宏一・米イエール大名誉教授との共著もある。

日銀審議委員は、日銀の最高意思決定機関である政策委員会のメンバーで、同委員会は総裁1人、副総裁2人、審議委員6人の計9人で構成。月に1─2回、定例開催している金融政策決定会合では当面の金融政策運営の方針などを決めている。

●原田 泰(はらだ・ゆたか)氏

1950年生まれ。74年東大農卒、経済企画庁入庁、財務省財務総合研究所次長、大和総研専務理事などを経て2012年早稲田大学政治経済学術院教授。経済学(学習院大)博士。

【私の論評】日銀人事は、衆院選よりも重要(゚д゚)!安倍総理の国会での"やじ"は、民主党の目を日銀人事から逸らし、自らに塩を送らせるための陽動作戦か?

日銀の人事に関しては、このブログにも何回か掲載してきたように、かなり重要です。これに関しては、倉山満氏が、その重要性について記事を書いていますので、それを引用させていただきます。
日銀人事は衆院選よりはるかに重要 アベノミクスの“死活問題”
倉山満氏

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事の要約を以下に掲載させていただきます。
 景気を回復させるのに必要なのは、経済学の知識ではない。後の日本経済を左右するのは、3月と6月の日銀人事だ。昨年10月1日、当時の木下康司財務事務次官に屈服し、これ以上ないほどみっともない形で消費増税の決断に追い込まれた増税の痛みを和らげるには追加金融緩和しかなかったが、もはや政権にそれを行う力はなかった。息を吹き返したのは、本田悦朗内閣府参与が獅子奮迅の活躍で増税阻止の流れをつくってからだ。 
 今年10月31日、日銀は追加金融緩和を行った。ただし、日銀金融政策決定会合は5対4の薄氷の勝利だ。では誰の1票が決定的だったのか。追加緩和反対の4票は、森本宜久・石田浩二・佐藤健裕・木内登英。いずれもデフレ派で反アベノミクスだ。特に、木内委員は毎月の日銀金融政策決定会合で、“黒田バズーカ”の即時停止を求める筋金入りだ。 
日本銀行内の多数派は彼らと同意見で、アベノミクスを敵視している。 
 対して、賛成派は黒田東彦総裁・岩田規久男と中曽宏の両副総裁・宮尾龍蔵・白井さゆりの5票。アベノミクスの中核である金融緩和を基軸としたリフレ政策の理論的支柱の岩田副総裁はともかくとして、宮尾・白井の両委員は総裁に追従しているにすぎない。 
 仮に黒田総裁が増税の痛みを和らげるべく金融緩和をしたくても、日銀出身の中曽副総裁が賛成してくれなければ不可能なのだ。かつて、福井俊彦総裁時代の日銀は、かの小泉純一郎内閣の景気回復を破壊した前科がある。それを承知で、今年10月に安倍内閣が息を吹き返して最初の日銀会合で追加緩和を提案した黒田総裁は絶妙だった。 
 中曽副総裁の背後にいる日銀は、安倍内閣との対決を避けた。そして金融緩和が行われ、増税の悪影響で停滞気味だった景気は、株高円安が一気に進んだ。 
 3月にアベノミクス賛成派の宮尾委員、6月に反対派の森本委員が交代する。安倍首相は意に沿う委員を送り込めるか。3月に負ければアベノミクスは即死、6月まで2連勝すれば安泰だろう。 
 日本経済はたった9人の日銀政策委員会に握られている。彼らの人事は衆議院総選挙などよりはるかに重要なのだ。 
 日銀政策委員会は総裁をトップに、副総裁2人、審議委員6人の計9人で構成されている。メンバー全員が衆参両院の同意を経て内閣が任命する国会同意人事で任期は5年。宮尾氏が3月25日に、森本氏が6月30日にそれぞれ任期満了を迎えるため、今後水面下で激しいバトルが展開されることになる
今回衆院で審議員に選ばれた原田泰氏はリフレ派です。そうして、何か特になければ、ブログ冒頭の記事にも掲載されているように、よほどのことがない限り、参院でも選ばれることになりそうです。そのため、何とか今回は、アベノミクス即死にはならないですみそうです。次の6月の人事の時がどうなるかが、天下の分かれ目になるということです。

今回の人事では、過去にそうであったように、民主党あたりが、また人事に横槍を入れたりするのではないかと思い、ヒヤヒヤしました。実際、過去にはそのようなことが何度も繰り返されました。しかし、当の民主党はそもそも、金融政策の重要性に関してはほとんど関心がないし、現状の国会では人格攻撃ばかりしていて、何やら、日銀人事のことも忘れているかのごとくです。

今回日銀の審議員を原田氏のようなリフレ派ではなく、反リフレ派にしてしまえば、アベノミクスの息の根を止めることができ、安倍政権を窮地に追い込むことになります。人格攻撃などよりも、はるかに効果的なのですが、彼らはそのことに気がついていないようです。

そもそも、金融政策ははなから興味もないし、日本経済復活の切り札であり、雇用条件の改善なることも理解不能なのだと思います。だから、日銀人事などさほど重要ではないと思っているので、彼らの頭の中では、日銀人事などより、人格攻撃のほうが、大きな比重を占めているのだと思います。哀れといえば、哀れです。

そういう意味では、現状の国会が馬鹿な民主党の人格攻撃に終始していることは良いことかもしれません。これは、うがった見方かもしれませんが、安倍総理が「やじ」を飛ばしたのは、民主党が日銀人事に横槍を入れないようにするための、一種の目くらましの陽動作戦だったかもしれないと私は思います。


現状で、日銀の審議員が反インフレ派にでもなられたら、国会で予算審議が遅れることなどよりも、はるかに代償は大きいです。安倍総理としてしても、それだけは避けたいはずです。

もし、そうだとすれば、安倍総理はしたたかです。民主党のまともな政策論争もできない、頭の悪さを徹底的に活用というところでしょうか。安倍総理を懸命に非難する民主党の人たちは、ひよっとして、自分ではそう思わずに、安倍総理に塩を送っているのかもしれません。

安倍総理に目隠しされた民主党?

それにしても、なぜ日銀の審議員程度の人事で、こんなにピリピリしなければならないのか、上記の倉山満氏の説明でもだいたいお分かりとは思いますが、これ以外にも、日銀の独立性という問題があります。

これについては、このブログにも何度か掲載してきました。その代表的なもののURLを以下に掲載します。
【日本の解き方】インフレ目標2%に黄信号 黒田日銀は審議委員人事でピンチも ―【私の論評】日本国がまともな金融政策ができるようにする立場からすると、いつも薄氷を踏むような人事にハラハラするのはおかしい。やはり、政府が人事権を握るのが当然、そのため日銀法改正を実現すべき(゚д゚)!
消費増税による景気の落ち込みを予測できなかった黒田東彦日銀総裁
そもそも、日銀の政策決定委員会が日本国の金融政策の方針を決めるのが問題であって、これは政府が定めるべきです。政府が定める、金融政策の方針に従い、日銀の政策決定委員会が、専門家的立場から、その具体的実施方法を選択するという具合にすべきです。

実際、世界標準の中央銀行の独立性は、政府が国の金融政策の方針を定め、中央銀行はその方針に従い、専門家的な立場から、具体的な金融政策の方法を他から独立して、自由に選択し実行できるし、それに失敗すれば、責任をとるというものです。

特に、中央銀行の「目標の独立性(goal independence)と手段の独立性(instrument independence)の違いを認識すべきです。中央銀行が自由に目標を設定できるという目標の独立性を民主主義社会で正当化することはできません。なぜなら、中央銀行のメンバーは全員が官僚であって、国民から選挙で選ばれるわけではないし、国民から信託を受けた人々ではありません。

しかし、中央銀行が干渉を受けずに適切な金融政策を実施できるような手段の独立性は、経済安定のために極めて重要です。手段の独立性は守られるべぎてす。

しかし、現状の日銀法では、「目標の独立性」が保障されているのです。

日本銀行も、このような世界標準の中央銀行の役割を担うようにすべきであって、そのためには、日銀法の改正が必要です。

もう、まともな金融政策を実行したい人々の立場からすれば、現状のように、日銀の政策決定委員会の人事を巡って薄氷を踏みような思いをしなければならない現状のシステムは、変更するのかだ当然です。
日銀のいわゆる現状の独立性は、中央銀行の権限としてはあまりにも大きすぎますそうして現状では、権限ばかりが大きすぎ、責任がともなっていません。

過去の日銀は、20年近くも景気が悪いにもかかわらず、馬鹿げた金融引締め政策をひたすら繰り返し、結局デフレと円高の番人のような有り様でした。にもかかわらず、誰も責任をとりません。

なぜこんなことになってしまったかといえば、1997年に日銀法が改悪されたからです。このときから、日本国の金融政策を政府ではなく、日銀が定めることができるようになりました。それも、日銀の政策決定委員会が定めるようになってしまいました。

これは、ほんとうにおかしなことです、責任も取らない日銀の政策決定委員会のメンバ゛ーが日本の金融政策の目標を決定するなど、言語道断であり、全くの本末転倒です。

これは、会社の最終的な意思決定を取締役会で決定するのではなく、素人や、会社の歴史も良く知らないような、第三者委員会などに委ねているようなものです。

日銀法は、改正して、日本国の金融政策の目標は、政府が定めて、手段は日銀が選ぶようにさせ、なおかつ、目標をクリアできなかったら、当然のこととして、日銀に責任を追わせるようにすべきです。

今回の日銀人事は、委員がリフレ派だったので良かったのですが、6月の人事ではまだどうなるかわかりません。まあ、今回のように安倍総理がやじを飛ばしても、二番煎じとなりますから、何か他の手で、民主党の目線を日銀人事から引き離すことが肝要だと思います。

安倍総理としては、そのあたりはキチンと考えてるいるでしょうから、何とか、6月の人事もリフレ派の審議員になるとは思います。

しかし、日銀法が改正されていない現在、6月の日銀人事次第では、アベノミクスが葬られる可能性もゼロではありません。

やはり、今から徹底的にリフレの正しさ、反リフレ派の間違いを再度徹底させるような世論を盛り上げていく必要があると思います。そうして、いくいくは、日銀法を改正すべきです。

もし、6月の日銀人事で反リフレ派が審議員になれば、またぞろ日銀がデフレ、円高の番人となって、日本はデフレ・スパイラルの底に沈み、中国や韓国が大喜びするかもしれません。そんなことになっては、たまったものではありません。

私は、そう思います。みなさんは、どう思われますか?

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