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2019年10月28日月曜日

アルバグダディ排除がトランプのシリア撤退に対する民主党の断固とした率直な批判に一石―【私の論評】劇的に有利となったトランプ氏の大統領選(゚д゚)!

アルバグダディ排除がトランプのシリア撤退に対する民主党の断固とした率直な批判に一石

排除されたISの指導者アブ・バクル・アルバグダディ

<引用元:FOXニュース 2019.10.27

27日、トランプ大統領がイスラミック・ステートのアブ・バクル・アルバグダディ指導者の排除作戦に成功したことで、民主党に混乱が生じている。複数の党幹部は最近、ホワイトハウスはシリアでの米国撤退後にテロ組織と戦うための「確かな計画」を持っていない、と公に不満を漏らしていた。

民主党のメッセージが裏目に出たことを印象付ける兆しとして、NBCの「サタデー・ナイト・ライブ」は、トランプがISISのために「雇用」を生み出したと示唆するタイミングの悪いコントを放送していた――大統領が記者会見を開いてアルバグダディの死亡を発表するわずか数時間前のことだ。コントはシリア北西部での2時間にわたる深夜の急襲が実行されている頃に放送されていた。

「民主党がこれについて何というべきか考え出そうとリアルタイムで悪戦苦闘しているのを見るのは、本当に興味をそそる」とジャーナリストのグレン・グリーンウォルドは27日に話した。「彼らは愛国的で反ISISでありたいと思っているが、(ウサマ・ビンラディンのことで)オバマを褒めちぎったことと矛盾しないようにトランプを中傷する方法も必要としている。容易な綱渡りではない。健闘を祈る!」

その日、民主党は――ナンシー・ペロシ下院議長、上院外交委員会幹部のボブ・メネンデス、ジョー・バイデン元副大統領を含めて――新戦略に落ち着いたようだ。歴史的急襲を実行した兵士を称賛しながら、多少なりとも大統領を称賛することをあからさまに避けたのだ。

民主党の一部では、ロシア軍は空域が利用できるように通知されていたのに、自分たちは作戦のことを事前に知らされなかったという不満の声もあった。民主党議員が実施している大統領の弾劾調査は、メディアへの情報のリークが多かったが、大統領は27日、急襲前に民主党議員に知らされなかったのは、作戦がリークされる懸念があったためだと示唆した。

「特殊部隊とインテリジェンス・コミュニティ、そして勇敢な軍の専門家がテロリストのアブ・バクル・アルバグダディに裁きを下したことについてお祝いを述べる」と、2020年にトランプの座を奪おうとしている多くの民主党の1人であるバイデンは述べた。またバイデンはトランプに「ISISが再結集したり、米国に再び脅威をもたらすことを防ぐために圧力を保つ」よう求めた。

一方ペロシは「軍とインテリジェンス専門家の勇敢な行為、献身、技能」を称賛し、「地域のパートナーの働きに感謝の念を示し」、それからトランプが「シリアのクルド人パートナーに対するトルコの侵攻にゴーサインを出した」ことを非難した。

ところが2011年5月にオバマ大統領がウサマ・ビンラディンの死亡を発表した時、ペロシは最高司令官を称賛するのをそれほど渋っていなかった

コメンテーターの中には、ワシントン・ポストもビンラディンが殺された時と異なる基準を27日に適用したと指摘する声もあった。同紙の注目を集めた、修正後の見出しは「イスラミック・ステートを指揮する厳格な宗教学者、アブ・バクル・アルバグダディが48歳で死亡」というものだ。

同情的な死亡記事ではテロ指導者を、「サッカー好きだが自由な時間を地元のモスクで過ごすのを好んだ内気で短絡的な若者」と説明し、「組織の過激主義的な見方と悪質な戦術にもかかわらず、バグダディ氏は指導者として抜け目のない実用主義を保った」と指摘した。

だが2011年、ビンラディンの死を発表したワシントン・ポストの見出しでは、きっぱりと「テロ組織」の指導者と呼んでいた。

ペロシは27日の声明の中でさらに、「下院は議会指導部ではなくロシアが事前に通知されたこの急襲について、また地域での政権の総合的な戦略について説明を受けなければならない」と要求した。

そうした不満はすでに、ツイッター上で進歩主義のコメンテーターとジャーナリストの間で共感を呼んでいた。CNBCのジョン・ハーウッド記者は、「トランプはペロシに事前に話しておらず、ペロシが機密情報を守ると信頼していなかったということだ。ペロシは情報委員会の民主党幹部だった。・・・トランプはホワイトハウスでロシア高官に機密情報を与えた」と述べた。

メネデス(民主党、ニュージャージー)に関しては、やはりトランプを称賛したり、敬意を表したりすることは避け、その代わりに「米国人の命を無慈悲に奪い、中東の人々を恐怖に陥れ、地域の平和と安全を脅かした残忍な殺人者に対する攻撃を成功させた軍隊の男女」を称賛した。

メネデスは、作戦が「我が国を守るために日々命を懸ける軍人の勇気の証拠であり、シリア民主軍とイラク軍を含めて、現場の信頼でき能力のあるパートナーと共に、米国の持続するリーダーシップが重要であることをはっきり思い出させてくれるものだ」と述べた。

また一方で共和党は、ISIS指導者の死をテロ組織に対するトランプ政権のキャンペーンの頂点と呼んだ。イラクを占領していたいわゆるISISカリフェイト(カリフ制国家)は、地域の米軍と同盟軍からの空軍力の集中攻撃で大部分が崩壊した。

共和党テネシー州のマーク・グリーン下院議員は、下院国土安全保障委員会のメンバーであるが、急襲を実行した兵士を称賛し、「いうまでもないが、私は大統領を称賛する。・・・今朝の大統領の声明は素晴らしかった」と述べた。

他の共和党員も、幾分控えめな表現ではあるが同じ感情を表した。

「トランプ大統領とトランプ政権はすでにISISという蛇の体の大部分を打倒していた。だが昨日、バグダディを殺したことで蛇の頭を切り落とした」と共和党テキサス州のジョン・ラトクリフ下院議員は、FOXニュースの「サンデー・モーニング・フューチャーズ」に語った。

下院司法委員会の共和党幹部であるジョージア州のダグ・コリンズ下院議員は、急襲前に民主党議員に知らせないというトランプの判断は正当だと示唆した。

「現在ISISに注目する人々は誰でも、窮地に陥って自爆した自分たちの指導者に注目するはずだ」とコリンズは話した。コリンズは「もっと重要な話」は、トランプが「シリアに関して情報委員会から情報を得られない」ことであり、「この10カ月間弾劾支持者によって攻撃され、嫌がらせを受けてきたこの大統領が、こうしたことが全て下院で行われている間に、委員会を遮断したということを示している」と続けた。

混乱が始まったのは、トランプが27日の朝、国民に演説を行ってからのことだ。大統領はその時ISIS指導者――トランプが「腰抜けのけだもの」と呼ぶ悪名高い殺人者でレイプ犯――が、「悪質で暴力的に、臆病者として、逃げ叫びながら」死んだと発表した。

米国特殊部隊がイドリブの居住地を急襲した際に、アルバグダディは自爆用のベストを起爆させ、子供3人を道連れに自殺したとトランプは述べた。

「バグダディの多数の戦闘員と仲間が一緒に殺されたが、作戦では1人も犠牲者が出なかった」とトランプは発表し、米国がISISに関する「非常に敏感な」資料を回収したと付け加えた。トランプはそれから米部隊のことを「君たちは世界中で本当に最高だ」と述べた。

トランプは、アルバグダディは米部隊にトンネルに追い詰められて死亡し、ISIS指導者は「ずっとめそめそと泣き叫んでいた」と述べた。

【私の論評】劇的に有利となったトランプ氏の大統領選(゚д゚)!

2017年にトランプ大統領がシリアを攻撃したときには、共和党は無論のこと、民主党からも大絶賛されました。それについては、このブログにも掲載しました。以下にその記事のリンクを掲載します。
トランプ大統領のシリア攻撃をクリントン氏も支持―【私の論評】米民主党・メディアがトランプ大統領の政策をなぜ支持したのか理解不能の民進党(゚д゚)!
    米駆逐艦ポーターが地中海から行ったシリアへのミサイル攻撃。
    米海軍提供(2017年4月7日撮影・公開)

この記事は2017年4月9日のものです。 詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事から一部を引用します。
 4月4日、トランプ大統領がシリア政府軍の化学兵器使用への制裁として、59発のトマホーク巡航ミサイルによるシリアのシャイラト空軍基地への攻撃を断行した。 
 この攻撃は米国内で共和、民主の両党側から幅広く支持されている。トランプ氏の施策が両党側からこれだけ支持されるのは、1月に大統領に就任して以来初めてである。この展開を機に、トランプ政権に対する一般の評価にも変化が起きるかもしれない。
米国では、米国の敵とみなされるような敵に対してこのような攻撃を敢行して、成功を収めた場合、与野党に限らず、超党派で称賛の嵐が起こることがあります。

当時はトランプ政権のシリア攻撃を手放しで絶賛していたクリントン氏

このようなことは、日本では耐えて久しいことなので、このブログにもとりあげ、解説したものです。最近の日本の野党は、与党政権が何をしても、反対するばかりで、なにか良いことをしたとしても、全く評価しないどころか、良いことに関しても、重箱の隅をつつくように、なにやら良くないところを探して批判するばかりです。

この記事では、そうした日本の野党の異常ぶりについて解説しました。

しかし、上のFOXニュース記事を読んでいると、最近の米民主党は日本の野党とあまり変わりないようです。本来なら、米国の敵、世界の敵である、アブ・バクル・アルバグダディが排除されたのですから、これは両手をあげて喜ぶべきことです。

しかし、なんというか余裕がないというか、とにかくトランプ大統領やトランプ政権を称賛する声は、米国民主党からは、ほとんど漏れ聞こえてきません。

これは、米国の民主党も日本の野党のように、余裕がなくなってきたということを示しているのではないでしょうか。日本の野党の場合は、どうあがいても、政権を奪取することなど、誰がみても明らかです。何かを変えない限り、とても政権与党になることなど、考えられません。

米国民主党もそれに近いような状態になっているのではないでしょうか。それについては、このブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
トランプは大差で再選される──最も当たる調査会社が予測―【私の論評】現時点で、トランプの再選はないと、どや顔で語るのは最悪(゚д゚)!
フロリダ州オーランドの選挙集会で再選への出馬表明をしたトランプ大統領夫妻(6月18日)

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事の結論部分のみ引用させていただきます。
今年はじめの複数の調査会社の調査結果や、今回のムーディーズ・アナリティカの調査においても、トランプ大統領が大統領選で大差で再選されると予測しているわけですから、よほどのことがない限り、トランプ氏が再選されるとみて間違いないのではないでしょうか。 
ただし、選挙は水ものですから、最後の最後までどうなるかはわかりはしません。ただし、現時点で、トランプは弾劾されるとか、トランプの再選はないと、さしたる裏付けもないにもかかわらず、日米のテレビや新聞の情報だけで判断して、どや顔で語るのはやめておいたほうが良いと思います。 
はっきりいいますが、そのようなことをすれば、馬鹿と思われるだけでなく、信用を失います。
大統領選においては、不利このような状況ですから、米民主党が焦燥感を感じるのも無理からぬところがあると思います。

米国においては、大手新聞は全部リベラルであり、大手テレビ局はFOXニュースを除いた他局もリベラルです。大手新聞も大手テレビ局も、どちらかといえば民主党よりです。その他、教育機関もエンターティンメント業界も、民主党よりです。

そのため、共和党よりの声など、あまり新聞やテレビなどでも報道されません。共和党の中でも保守派の声などかき消されてしまいます。

だから、トランプ政権が登場したばかりの頃は、トランプが大統領に選ばれたのは、番狂わせくらいの感覚があったのでしょう。米国民主党としては、次の大統領選挙では当然のことながら、また民主党が勝ち、政権を奪還できるに違いないという楽観的な気分があったのだと思います。

そうして、米国でも日本でも、米国民主党よりのメディアがトランプ氏についてのネガティブな情報を大量に流すので、多くの人が無意識に「トランプ不利」と思い込んでいるところがあるのですが、そうではないことが、様々な調査機関の調査の結果より明らかになっています。だから、米民主党は相当の危機感を持つようになったのでしょう。そこにきて今回の、アルバグダディ排除です。

これから行われる世論調査で、トランプ大統領の支持率がさらに、上がるのはまず間違いないでしょう。

2011年5月、米軍がアルカイダの首領ウサマ・ビンラディンのパキスタン国内の隠れ家を急襲して殺害した時も、当時のオバマ大統領の支持率が急上昇しました。殺害発表の翌日ワシントン・ポスト紙が行った世論調査で同大統領の支持率は56%で9ポイント上昇し約1年半ぶりの高水準になりました。


当時オバマ大統領は1期目でしたが内政、外交共に手詰まりで、前年に行われた中間選挙では民主党が大敗し2012年の再選選挙も危ぶまれる状況にありましたが、この支持率回復で体制を立て直し、共和党のロムニー候補を大差で破って再選を果たしています。

この時、オバマ大統領は再選に向けての活動を開始した直後のことだったのでこのビンラディン殺害作戦は「選挙対策」ではないかとも言われました。現に、この作戦に参加した米海軍特殊部隊SEALの隊員の一人マット・ビソネッティ氏は雑誌「ワイヤード」電子版にこう語っていました。

「我々はこの作戦が選挙のためだと知っていました。我々は道具箱の中の道具みたいなものなんです。我々の作戦が成功すれば、政治家はその成果をできるだけ膨らませ、自分たちの功績にします」

さらに2003年12月、湾岸戦争の敗北の後逃亡していたサダム・フセイン元イラク大統領が隠れ家の地下穴に隠れているところを米軍に確保され米国民への「大きなクリスマス・プレゼント」と言われたことがありました。この時もジョージ・ブッシュ(子)大統領は翌年の再選選挙で苦戦が予想されていましたが、この一件をきっかけに支持を取り戻し民主党のジョン・ケリー候補に激戦の末勝利していました。

今回のアルバグダーディ容疑者死亡発表のタイミングですが、来年の大統領選に向けて与野党ともに盛り上がり始めた中でトランプ大統領はいわゆる「ウクライナ疑惑」をめぐって民主党から弾劾の追求を受け、またシリアからの米軍撤兵に対して与野党から批判を浴びているところでした。

しかし、この奇襲作戦を命じ成功させたことで合衆国軍隊の「最高指揮官」としての役割を果たして「リーダーシップに欠ける」という批判をひとまず回避できそうです。また、今回の作戦ではトルコやロシア、さらにはクルド族の支援も受けたと発表して、先の米軍撤兵も正当化できるでしょう。

世論調査で、すでにトランプ優勢となっています。今回の出来事は、オバマ前大統領のように、再選に向けての不利な潮目が変わる程度のことではすまないような気がします。トランプ圧倒的有利という具合になり、今後の米国政局はそれを前提にしないと考えられなくなるかもしれません。


民主党へのしっぺ返しもあるトランプ弾劾調査―【私の論評】トランプ弾劾は不可能、禁じ手を複数回繰り出す民主党は相当追い詰められている(゚д゚)!

2019年10月12日土曜日

民主党へのしっぺ返しもあるトランプ弾劾調査―【私の論評】トランプ弾劾は不可能、禁じ手を複数回繰り出す民主党は相当追い詰められている(゚д゚)!


 9月27日、ウクライナ疑惑をきっかけに、ペロシ下院議長(民主党)がトランプ大統領弾劾調査の開始を発表した。大統領にとってこれまで以上に事態は深刻ではあるが、民主党にとっても来年の選挙で大きなしっぺ返しが来る恐れがある。 

トランプ大統領

 今までにも、モラー特別検察官による調査をはじめ、民主党の特にプログレッシブが弾劾を求める材料はあったが、ペロシ下院議長がそれをどうにか抑えてきた。しかし、トランプ大統領がウクライナのゼレンスキー大統領に対し、 議会が既に承認していた同国への軍事資金援助を遅らせ、引き換えにバイデン前副大統領の息子に絡む疑惑調査を依頼したとの内部告発をきっかけに下院議長も弾劾調査に踏み切らざるを得なくなった。

 軍や国家防衛、インテリジェンス歴のある民主党新人下院議員7名が9月23日付ワシントン・ポスト紙に投稿し、世界に安定をもたらし、アメリカの国家安全保障のために議会が割り当てた予算を大統領が個人の利益のために利用したのであれば、国家の安全を脅かし、汚職の罪は非常に重いことになり、弾劾に値すると論じたのも影響を与えた。

 弾劾訴追は、下院の単純過半数で可決となるが、上院での弾劾裁判での有罪判決には2/3が必要であり、共和党が多数の上院では現状当然不可能である。 

 ペロシ議長がこれまで弾劾調査に踏み切らなかったのは、弾劾訴追が無駄な努力となるだけでなく、来年の選挙での民主党へのしっぺ返しを恐れたためである。クリントン大統領は弾劾された史上二人目の大統領だが、下院で共和党が弾劾を可決し、上院がそれを否決した後、大統領への支持率が大きく伸びただけでなく、1998年の中間選挙で民主党が大躍進した。

 国民の弾劾への支持は充分でない。9月18日発表のポリティコ/モーニング・ コンサルト世論調査によれば、議会が弾劾調査を開始することへの賛成はわずか37%で、半分が反対である。アメリカ人は、法を非常に重視するので、法に基づいて選出された大統領を裁く、それも議会が裁くことに強い抵抗がある。いずれの党が多数を占めようと国民の議会に対する信頼が常に低いことも影響しているだろう。

 民主党支持者では数字は全く違う。次の民主党大統領予備選で票を投じるとしている有権者の68%が弾劾調査を支持し、反対はわずか20%である。この数字とウクライナ疑惑を考慮すれば、民主党指導層は弾劾調査に踏み切らざるを得なかっただろう。

 トランプ大統領の支持率は相変わらず低く、個人として嫌う率は51%と歴代大統領の中で一番高い。また、NBC/WSJ調査によれば、 トランプ大統領が再選されることに、回答者の半分がとても嫌と答えた。

 ウクライナ疑惑が発覚し、民主党指導層だけでなく、米政治の専門家たちの多くも、大統領が民主主義統治のルールを破壊し、国の安全保障を危険にさらした可能性を議会が調査する責務を遂行せざるを得ないと判断しだした。疑惑が真実であれば、他国を選挙でのライバルに泥を塗る画策に加担させるために、大統領は議会が承認した軍事・安全保障予算を利用したことになるばかりでなく、アメリカへの信頼を失墜させ、さらにはこうした 行為は以後大統領あるいは国が他国に脅される理由ともなる。上記の軍やインテリジェンス経験者である民主党下院議員7名の投稿はそれを明確に表現したと言える。

 ホワイトハウスは民主党やメディアからの圧力を受け、トランプ大統領のゼレンスキー大統領との会話記録を公開したが、これはあくまでホワイトハウスがまとめた要約でしかなく、大統領の会話記録として慣例である発言を全てそのまま記録したものではない。

 26日に明らかになった内部告発文によれば、トランプ大統領が米大統領の権力を利用し、ウクライナ大統領に圧力をかけ、米大統領選挙でのライバルに関する調査を強要することで選挙に介入させようとした。さらには、ホワイトハウスの上級官僚たちが会話記録の全容を隠すために、通常使われるサーバーからホワイトハウス外からアクセスできないサーバー に移すという隠匿行為があったと述べている。

 一方、弾劾調査はトランプ大統領の望むところ、という見方もある。混乱や怒りを招き対立を深めるのはトランプの手法であり、トランプ大統領は地盤固めのために弾劾調査を利用するだろう。親トランプ派の民主党攻撃は既に激しいものになっている。

 今後、どれだけ冷静に法にのっとった議論を展開できるかは、ペロシ議長の腕の見せ所だが、票決がどうであれ弾劾調査に対する民主党の姿勢が来年の選挙の行方に大きく影響するだろう。

【私の論評】トランプ弾劾は不可能、禁じ手を複数回繰り出す民主党は相当追い詰められている(゚д゚)!

米国では下院では過半数の賛成があれば、弾劾裁判を始められますが、最終的な評決は上院の3分の2が必要です。米国上院は共和党が与党ですから、20人程度の上院議員が寝返らないと、3分の2は取れません。

そのようなことは、現在の共和党の議員たちにできるわけなどありません。ニクソン大統領のウォーターゲート事件がありましたが、あのときニクソン氏は、弾劾されそうになったため自ら辞任しました。

リチャード・ニクソン氏

なぜ弾劾されそうになったかと言うと、当時の共和党の議員が彼を見捨てたからです。そこで、これはもう万事休すだということで辞任したのです。

しかし、いまの共和党の議員がトランプ氏を見捨てる等といえば、どうなるでしょうか。当時のニクソン氏と比較すれば、圧倒的に高い支持率のトランプ氏、それに発信力、粘り強さ、執着心、これを考えたら難しいです。

下手に弾劾に賛成してトランプ陣営を寝返りでもしようものなら、自らの支持者に離反されるおそれがあり政治生命を失ってしまう可能性すらあります。

そうすると共和党の議員の寝返りを考えている議員も、二の足を踏んで、20人も簡単に寝返ることはないでしょう。だから、弾劾などできません。裁判はできたとしても、弾劾にはならないということです。

そうなると、民主党支持者は「民主党は何をやっているのだ」となるでしょう。民主党はまさににルビコン川を渡ってしまい、難しい状況陥ってしまいました。大統領の弾劾は米国においては、禁じ手といっても良いくらいの手段なので、民主党支持者の中にもこれに反対する人も多いです、これではトランプ氏が辞任となることはないです。

大統領選も間近ということで、民主党も代表争いをやっています。この最中に、ウクライナ問題で、まさに火中でもあるバイデンさんや息子さんが、何やら怪しいことをやったのではないかという嫌疑がかかってしまったということです。

トランプ大統領は、中国にも捜査しろと依頼しています。頼む相手が間違っているのではないかとも思われますが、もしかすると中国も実施するかもしれません。そうなると、バイデン氏がさらに泥に塗れという事態も想定されます。
現状では、民主党の支持率も落ちていて、ウォーレン氏という方がかなり盛り上がって来ています。上り調子の背景には、相次いで打ち出す大胆な政策があります。

富裕税の導入、「アマゾン解体」、学生ローン帳消しなどで、穏健派からは実現性を疑問視する声も根強いです。ところが、ウォーレン氏は7月末の討論会で「『できない』と言うために、なぜわざわざ大統領を目指すのか理解できない」と切り返し、喝采を浴びました。


確かに、彼女の方が他の穏健派の候補者よりは、新しい感じもしますが、しかし彼女は根っからのリベラルですから、はたして民主党をどれだけまとめられるか疑問符がつきます。

民主的な選挙で選ばれた大統領を政治的な動機で糾弾し解任しようとする弾劾措置への反発は、米国民の間で従来から根強いものがありました。だからこそ民主党のペロシ議員は、昨年11月の中間選挙前も、「ロシア疑惑」が高まったそれ以前の時期でも、弾劾への動きには一貫して反対してきたのです。

もしも今回の弾劾措置に対してトランプ大統領が上院の支持を得て勝利を宣言したとき、同大統領への支持がさらに高まり、民主党への支持が減るというシナリオは十分に考えられます。

さらにもっと確実な見方として、今回の「ウクライナ疑惑」を理由とする弾劾手続きが、民主党側の大統領選の先頭走者であるバイデン氏への支持を大きく減らすことも予想されます。



バイデン氏には、オバマ政権の副大統領だったとき自分の息子の疑惑に関連して、ウクライナ政府に圧力をかけたという情報が流れています。トランプ氏への「ウクライナ疑惑」への調査に関連して、その疑惑が改めて浮上してしまう危険性があります。だからこそ今回の弾劾に関しては、「バイデン氏を大統領選から追い落とすための陰謀」という説も流れているくらいです。

やはり、民主党は最初から禁じ手とわかっている「弾劾」を今回だけではなく過去にも画策して結局失敗しており、相当追い詰められているとみべきです。

次の大統領選挙は、民主党にとってそんなに簡単ことではありません。そうなると、やはり余程のことがない限りトランプ氏が勝つ可能性がかなり高まったと見るべきでしょう。

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2016年3月22日火曜日

ネーミング効果でマクドナルドに負けた「民進党」―【私の論評】自民党の劣化コピーである民主党の本質はさらに劣化して民進党に引き継がれた(゚д゚)!

ネーミング効果でマクドナルドに負けた「民進党」

マクドナルドはいろいろ揶揄されながらも、ハンバーガーのネーミング募集を行ったことも効を奏し、全店売上が1月前年比30.9%増、2月24.5%増と結果を出しています。たとえ評価されなくとも、注目を集めることがマクドナルドには必要だったのでしょう。嫌われるよりも忘れてしまわれるほうが怖いということでしょうか。さて民主党と維新の合併による党名変更のプロモーション効果はどうだったのでしょうか。

マクドナルドのハンバーガーネーミング募集で決定された名前 写真はブログ管理人挿入
FNNの調査で、民進党に「期待しない」が68.6%と多数を占め、ネガティブな反応だったことは誰もが予測していたことだと思います。それはそうとして、実は民主党も維新も、また両党の合併もまったく注目されず、話題にならなかったはずが、新しい党名を求める維新のゴリ押しを民主党が飲んで、世論調査まで行って決めたことで、マスコミへの露出頻度があがったはずです。

さて、その効果がどうだったのでしょうか。それは、「期待するか」「期待しないか」ではなく、民主党から民進党に変わって支持率があがったかどうかで見たほうが適切だと思います。それで民主と維新の支持率の変化を見てみました。

FNNの直近3月の調査では支持率が12.8%といちおう合併、党名変更前よりもわずかですが支持率は上昇しており、いちおうの効果はあったように見えます。しかし、グラフに示したように維新分裂前の、民主と維新の支持率合計にはほど遠く、期待値の低さから見ると、瞬間風速で終わってしまいそうです。



【本社・FNN合同世論調査】内閣支持率、微減の46・3% 政党支持率は自民36・7%、「民進党」は12・8% 「民進党に期待しない」68・6%(1/2ページ) - 産経ニュース

この間の動きを見ると、戦術・交渉力としては民主党よりも維新が長けていて、民主党がいいように維新の生き残り策として利用された恰好になっています。いかにも民主党執行部の戦略不全、状況対応力の欠如を象徴しているようです。

いまは目先の議席数にこだわっても、小選挙区制の下では、一回の選挙で、風の吹きようで数は激変します。それよりは誰を支持層とし、それらの支持層にとって、どのようなビジョンと政策をだせるかどうかを固めるというのが競争戦略としては王道なはずです。

戦略もなく、戦術を駆使する能力もないとなると、政権交代の可能性による拮抗力どころか、野党として政権をチェックする力も期待できません。議員としてどう延命するのかで策を弄しているとしか見えない状態では、まもなく、民進党の存在意義はなにかが問われてくることは間違いないと思います。

【私の論評】自民党の劣化コピーである民主党の本質はさらに劣化して民進党に引き継がれた(゚д゚)!

マクドナルドは、ネーミング募集キャンペーンで成功し、業績が上向いています。このネーミングのハンバーガー私も、食べてみましたが、結構美味しかったです。食べ物ですから、最低限美味しくないと駄目ですね。

いろいろキャンペーンをやったにしても、ハンバーガー自体が美味しくなければ、実施しても売上は伸ばすことはできないと思います。これは、最低限必要なことで、その上で様々な販売促進策などがうまくいくのです。

マクドナルドのネーミングキャンペーンでは商品はすでに決まっていて、名前だけがきまっていな
かった。しかし民進党のネーミングキャンペーンでは商品が決まってないうちから名前を募集した?

それでは、ハンバーガーの世界では、商品そのものが美味しいということは、政治の世界では何に当てはまるのでしょうか。

それは、当然のことながら、政党の綱領であり、綱領に基づいて打ち出される政策や、その政策を実現するための法案であり、商品が美味しいということは、綱領や政策が、有権者にとって現実的でありかつ、望ましく希望を持たせるものであるということです。

では、民進党の綱領とはどのようなものなのでしょうか。さて、それでは民進党の綱領とはどのようなものなのでしょうか。これについては、まだはっきりとは決まってないようです。

綱領について、はっきりしているのは以下のことくらいです。
民主党と維新の党は、27日に結成する民進党の綱領について「立憲主義を守る」などと明記することを了承しました。 
綱領ではこのほか、原発に頼らない社会を目指すことなどを盛り込んでいます。原案での「2030年代原発稼働ゼロを目指す」は盛り込まれませんでした。また、規約では、初代代表の任期を「今年9月末日まで」とすることや、代表のリコール規定について、国会議員と地方議員らの半数が求めた場合、代表を解任できるとしています。
さらに、党の政策を決める「次の内閣」の閣僚に、国会議員だけでなく民間人を起用できる規定を盛り込みました。再び政権を担う時にスムーズに移行する狙いです。綱領や規約は27日の結党大会で正式決定します。 
また、民進党の英語名は「The Democratic Party」とし、直訳すると、これまでの民主党と同じ意味にすることを決めました。 
綱領、規約案は27日の結党大会で正式決定するそうです。
さて、このことからもわかるように、まだはっきりとは決まっていないということです。具体的には、「立憲主義を守ることと、原発に頼らない社会を目指す」ということです。

次に、目玉の政策はどのようになるかということも、未だはっきりとは決まっていませんが、どのようなものが出てくるのか、現時点でわかっていることのみ、以下に掲載します。

民主党と維新の党は選挙を戦うために合流したのでしょうが、果たして政策面で両党は合致しているのでしょうか。

民主党と維新の党は、安全保障に関してはそれほど大きな政策の違いはありません。

例えば、安保関連法について、両党は「後方支援はするが、周辺事態法の枠だ」と主張しています。周辺事態法とは、日本周辺の地域で、日本の平和や安全に大きな影響を与える事態が起こった場合、自衛隊が米軍に行える後方支援の内容を定めたものです。

安倍内閣は周辺事態法を改正しましたが、民主党、維新の党とも「周辺」を外して、安倍政権は地球の裏側まで行けるようにしたと主張しています。しかし、現状では、行けるという可能性は、否定できないだけであり、今の法体系では、それは現実には不可能です。しかし、民主党と維新の党は、どんな場合であっても「周辺」以外には行けないようにすべきであり、それが自民党との大きな違いであるかのように強弁しています。

さらに、集団的自衛権の行使についても、今のところ、民主・維新は「米艦防護」は認める方向で考えています。朝鮮半島で戦争が起こった場合、参加した米艦が北朝鮮や中国から攻撃されたときに、日本は防護するというものです。これも、法案審議のときとは矛盾しているようです。審議のときは、何が何でも反対としか聞こえませんでした。

そうして、これが唯一の「集団的自衛権の行使」だと言っています。つまり、ホルムズ海峡での機雷掃海などを含むその他の行使は一切認めないというものです。しかし、これでは、先日も述べたように、もしトランプが大統領になったとしても、あるいは別の候補がなったとしても、集団的自衛権の片務性として、今後アメリカから批判の対象になる可能性が大です。

昨年決定された安保関連法案

次に経済対策ですが、これは党内一致をみていないようです。特に民主党内での不一致があります。

民主党内部にはアベノミクスの失敗したとする一派がいます。そうして、これが貧富の格差を広げたいう意見があります。だから次の選挙では、政策に「経済の成長」ではなく、「格差是正」を入れ込むべきだというのです。

エコノミストの水野和夫氏は、「もはや日本に成長はない。資本主義は終わりだ」と述べていますが、こうした考えに賛同する勢力は民主党には少なからず存在しています。成長は厳しいのだから、格差是正や資源の分配を重点的に考えるべきだというわけです。

しかし、一方で同じ民主党内で、「経済の成長」を入れ込むべきだという意見もあります。経済は生き物だから、成長を考えなければ格差是正もできない。さらには、「格差是正」を強調し、「資本主義は終わり」という考え方は、あまりに左翼的過ぎるというものです。

しかし、現実には、金融緩和はかなり功を奏して、雇用状況は良くなっています。はっきりとそれが、統計数値上に現れています。唯一の失敗は、8%増税です。このことをはっきりと認識している議員は、金子洋一参議院議員などごく少数です。

安倍政権になってから、金融緩和で雇用状況が良くなっているのは一目瞭然

このように、民主党内部では「経済政策」という点で完全に二つに割れています。果たしてこの状態で、維新の党と合流した民進党として、まともな経済政策をまとめることができるのでしょうか。

特に、維新の党の江田憲司は、かつて『財務省のマインドコントロール』という著書を書いたこともある人です。彼は、増税には反対でしょう。増税するしないは、次の選挙で大きな争点になる可能性が大です。

その他は、目玉政策について、何も見えてきません。

現状は、このような状況です。

マクドナルドのハンバーガーとは随分違います。マクドナルドの場合は、すでに商品ができあがっていて、それに名前をつけるというキャンペーンを行いました。

民進党の名前のつけかたは、マクドナルドであれば、商品がまだほとんど決まっておらず、北の食材を用いる新商品というくらいのことしか決まっていない時期に、ネーミングキャンペーンを行っているようなものです。これでは、新党のキャンペーンもうまくいくはずがありません。

本来であれば、綱領も骨子は出来上がっていて、それに基づいた、有権者がを惹きつける目玉政策も概要はできあがっていて、それらを公表したその上で、ネーミングを募集すべきでした。

そうして、綱領や目玉政策も、当然のことながら、美味しいもの、有権者にとって希望が抱けるような内容にすべきでした。

しかし、これでは全く順番が違います。これでは、上記のようにネーミングの変更をしても、マクドナルドのように、業績を伸ばす、政治でいえば、支持率などが上がるということにつながらないのは当然のことです。

順番が違うということは、民主党では以前にもこのブログに掲載したことがあります。それは、民主党の公募のポスターです。以下に、その記事のリンクを掲載します。
<民主党>自民党政権と対決する覚悟ある人公募―【私の論評】キャッチをみれば、民主党の末路が見える(゚д゚)!
この記事に掲載した、民主党の公募のサイトのキャッチコピーは以下のようなものです。

 

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事で私は民主党のこのキャチコピーに関して掲載しましたが、結論は以下のようなものです。
結局自分たちは何をしたいのか、日本という国をどのようにしたいのか、全くそれがみえてきません。だから、先にあげた、人材募集においても、あのような到底理解しがたい、まるでブラック企業のようなキャッチ・コピーしか出来ないのだと思います。 
民主党政権の三年間も酷いものでした、結局何も決められず漂流していただけです。 
キャッチコピーをつくるのは、おそらく民主党でも、他の党でもその道のプロが作成するのだと思います。そうして、作成するときには、幹部などから民主党をどのようにしたいのかとか、日本をどうしたいのかということをインタビューし、その他要望も聴き出すでしょう。誰が作成するにしても、キャッチコピーをつくるには、この手続きは欠かせません。 
しかし、民主党には明確なそれがなかったので、キャッチコピーもあのようなものになってしまったのだと思います。 
もう民主党の行く先は、見えてきたようです。結局、安倍総理個人や、自公政権に対してネガティブ・キャンペーンばかり繰り返し、衰退して過去の社会党のようになるのが関の山です。
民主党は、今年に入ってから以下の様ポスターも作成しています。


 

公募のキャンペーンサイトと同じく、これも自虐的です。キャッチコピーでも、ポスターでも、結局自分たちは何をしたいのか、日本という国をどのようにしたいのか、全くそれがみえてきません。

そのような状態で、コピーやポスターなど作成しても、まともなものができるはずがありません。

それは、民進党にも引き継がれているようです。そもそも、党名を決めるのに、綱領も目玉政策もはっきり決まってない状態で作成するのですから、一体どうなっているのかと言いたいです。順番が狂っています。

結局、民進党も単なる選挙互助会に過ぎないのだと思います。そんなことをいうと、自民党もそうなのですが、民主党はもともと自民党のコピーのような政党であり、しかも、コピーした分だけ、劣化していました。この劣化コピーは、さらに劣化コピーされて民進党にも引き継がれたようです。

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2016年3月11日金曜日

【高市総務相電波停止発言】岸井成格氏ら7人、公開討論呼びかけを無視―【私の論評】この7人は、単なる老害を撒き散らす老人グループに過ぎない(゚д゚)!


高市総務相発言で会見する(左から)青木理、大谷昭宏、金平茂紀、岸井成格、田原総一朗、鳥越俊太郎の
各氏=東京・内幸町【撮影日:2月29日】
作曲家のすぎやまこういち氏が代表呼びかけ人を務める団体「放送法遵守を求める視聴者の会」は11日、放送法をめぐる公開討論を呼びかけていたジャーナリストの田原総一朗氏、岸井成格氏ら7人から、期限までに回答を得られなかったことを明らかにした。

同会は今月7日付で、田原氏、岸井氏のほか、大谷昭宏氏、金平茂紀氏、田勢康弘氏、鳥越俊太郎氏、青木理氏の計7人に対し、3対3での公開討論を呼びかけた。だが、同会が指定した回答期限である11日午後5時までに、誰からも出欠の意思表示はなかったという。


同会は「呼びかけと提案にお応えしていただくことがかなわず、大変残念」とした上で、「公開討論会を望む声が多く存在する限り、諦めることなく実現へ向けて努力していきたい」としている。

また、同会はNHKに公開討論会の放送を要望していたが、NHKからは「番組制作に当たっては、独自の編集権や編成権に基づき、自主的・自律的に判断している」と、事実上拒否する回答があったという。

 田原氏ら7人は2月29日、高市早苗総務相の「電波停止」発言について、記者会見を開いて抗議。視聴者の会は、放送法をめぐる認識などについて「多くの点で鋭く対立すると感じた」として、公開討論を呼びかけていた。

【私の論評】この7人は、単なる老害を撒き散らす老人グループに過ぎない(゚д゚)!

高市早苗総務相
高市総務相の発言がなぜ、これほどまでに話題になったり、反発をまねいたりするのか全く理解に苦しみます。

高市総務相は、そもそも法解釈として従来通りの一般論として「停波もありうる」を述べただけで、具体的に「停波する」などとは発言していません。日本には、「放送法」という法律で定められてることを、大臣が「適用することは無い」とはっきり言うわけにはいかないでしょうし、そんなことをすれば、行政による立法の軽視や無視ということになります。

誰が総務相であろうと、あのような発言になるのは、当然のことで、放送法の趣旨を違えてまで、発言をすることは、誰にもできません。

それに、このような発言は、菅直人内閣時代の平成22年11月、平岡秀夫総務副大臣(当時)が参院総務委で「番組規律違反の場合でも業務停止命令が行えるか」と問われた際に、放送事業者が番組準則に違反した場合には、総務相は業務停止命令、運用停止命令を行うことができる」と答えています。

 バラエティー番組「そこまで言っていいんかい」で、平岡秀夫総務副大臣の発言を指摘した辛坊氏
ジャーナリストの田原総一朗氏、岸井成格氏ら7人は、この発言は問題にしないで、ななぜ高市現総務相の発言のみを問題にするのか、全く理解に苦しみます。

それに民主党といえば、政権与党だったときとんでもない発言をしていた政治家も存在しました。

「間違った情報ばかり流すなら、電波を止めてしまうぞ!政府は電波を止めることができるんだぞ。電波が止まったら、お前らリストラどころか、給料をもらえず全員クビになるんだ」このような暴言を吐く政治家がいたとは驚くほかないですが、これは民主党の輿石東氏が民主党の幹事長だったときの発言です。

当時の輿石幹事長の実績
この発言は、2012年2月23日の幹事長番記者たちとのオフレコ懇談での発言だったそうです。『野田政権が、税と社会保障の一体改革から社会保障の部分を切り離し、消費増税法案を先行させる見込み』というフジ他各社の報道を問題視し、『間違った情報を流しやがって!裏を取っていない情報を流すな!』と恫喝した際の発言だそうです。

輿石氏は「間違った情報」と語りましたが、報道の元になったのは、同じ日の前原誠司・政調会長の会見でした。前原氏が年金一元化など社会保障関連法案の提出を4月以降に先送りすると発言したため、前述のような報道になったのです。

そもそも、今でもそのような傾向があるのですが、民主党幹部の言うことがバラバラでした。結局あのようなことになってしまった原因は当時幹事長でありながら、党をまとめられない輿石氏の力量不足に他ならなかったのですが、自分のことは棚に上げ、マスコミに八つ当たりしていたというのが実情のようです。

それにしても、野田政権時代の幹部のメディアに対する高圧的な姿勢は悪質なものでした。輿石氏は2012年2月1日にも、朝日新聞の見出しが気に入らないとして、「またやったな!政治部長を呼んで抗議するからな」と吠えていました。

前原氏も、産経新聞に「言うだけ番長」と揶揄されて激怒し、同紙記者を会見から排除。与野党からの批判で撤回しましたが、政治家としての器量の小ささを、自ら曝け出していました。

「言うだけ番長」報道に激怒した前原氏に関する報道をした産経新聞紙面
さらに当時は、ポスト野田の有力候補とされる当時の玄葉光一郎外相も、2月9日の番記者とのオフレコ懇談で、沖縄の米軍基地再編問題に関する報道が気に入らないとして、「とくに共同通信の解説が酷い」などと、くどくどクレームをつけていました。

かつて小泉進次郎議員から「自由があるのが自民党。自由がないのが民主党」と揶揄された民主党ですが、意に添わない報道を目の敵にする姿勢は目に余るものがありました。

このようなこともあったので、私自身は、ジャーナリストの田原総一朗氏、岸井成格氏ら7人が、「放送法改定」の議論をするというのならまだしも理解できますが、高市総務相の、法解釈として従来通りの一般論として「停波もありうる」という発言をなぜあれほど問題にするのか全く理解に苦しみます。

放送法をめぐる公開討論の呼びかけをこれらの7人が無視するのは、公開討論ということになれば、上記のような意に添わない報道を目の敵にしていた民主党の姿勢も明らかされ、そもそも法治国家である日本において厳然と存在している「放送法」という法律を元に論議すれば、議論に負けることは必定と判断したらに他ならないのだと思います。

勝てない喧嘩はしないというつもりなのでしょうが、もしそのようなことで、公開討論に応じないというのであれば、そもそも最初から高市総務相の発言を問題にするようなことはやめるべきでした。

この7人は、まともなジャーナリストではなく、単なる老害を撒き散らす老人グループと見たほうが良いようです。

老害を撒き散らす老人グループ
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2016年1月16日土曜日

【日本の解き方】民主党が主張する経済政策はブラック企業と既得権益者を利するだけだ ―【私の論評】ブラック政党に成り果てた民主党には今年の夏にとてつもない危機が(゚д゚)!


今年の夏には過酷な運命が待っている民主党。枝野氏はそれを知る由もない。

8日、衆院予算委員会で民主党の枝野幸男幹事長が質問に立ち、物価の変動を考慮した実質賃金について、民主党時代は高かったが、安倍晋三政権で低くなっていると批判した。

まず、事実を確認しておこう。実質賃金については、枝野氏のいうとおりだが、就業者数では民主党時代には30万人程度減少し、安倍政権では100万人以上増加している。

次に、雇用の経済学を復習しよう。名目賃金は物価より硬直的だが、金融政策は物価に影響を与えられる。このため、金融緩和すると実質賃金は低下し、就業者数が増加する。さらに金融緩和を継続すると、ほぼ失業がなくなる完全雇用の状態となる。そうなると今度は実質賃金も上昇に転じてくる。

経済の拡大によって就業者数は増加するが、逆に金融引き締めを行うと、実質賃金が高くなり、就業者数が減少。完全雇用からほど遠くなる。

民主党政権と安倍政権の実質賃金と就業者数のデータは、民主党政権では事実上の金融引き締め、安倍政権では金融緩和が実施され、その通りの効果が現れてきたことを示しているわけで、雇用政策から見れば、安倍政権の方が優れている。

民主党政権時代に就業者数の減少を招いたにもかかわらず、実質賃金の高さを誇るのは、雇用政策からみれば滑稽だ。就業者数が減り、実質賃金が上昇することで喜ぶのは「既得権雇用者」たちだ。つまり、既得権者保護の政治を民主党は公言していることになる。非正規雇用者、新卒者、失業者という「非既得権雇用者」の利益は考えていない、ということだ。

国際的な基準からみれば、金融引き締めをした民主党政権は、金融緩和をした安倍政権より「右派」で労働者に厳しい。民主党はすべての労働者の権利を守ろうとする「左派」政党とは思えない。この見解が間違っていると思うなら、欧州の左派政党に意見照会してみればいい。

ブラック企業の経営者は、金融引き締めに賛成しがちである。その方が、失業が多くなり、賃金を安く設定して労働者を買いたたけるので、多少のデフレには対応できるからだ。

民主党も、金融緩和に否定的で、金融引き締めを求めるところは、くしくもブラック企業の経営者と共通点がある。

そういえば、枝野氏は以前、テレビ朝日系の討論番組『朝まで生テレビ!』で、「金利を上げれば景気がよくなる」という趣旨の珍説を披露したこともある。それは、どのような経済学の教科書を読んでも分かるように、間違いである。

ブラック企業の経営者が、労働者を買いたたいたことで手元の資金を膨らませているために、金利収入を増やそうとして金利を引き上げよと主張することがある。この点でも、民主党はブラック経営者と似たような発想になっている。

民主党には経済政策で頑張ってもらわないと、国会がつまらなすぎて国民のためにならない。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】ブラック政党に成り果てた民主党には今年の夏にとてつもない危機が(゚д゚)!

民主党の国会での安倍総理などに対する質問は、衆院の枝野幹事長のものは無論のこと、他の衆院の質問も、参院での質問も、本当にマクロ経済や雇用のことが理解していないので、全く奇妙奇天烈で頓珍漢なものばかりでした。

この枝野氏は昨年2月、民主党は政権交代可能な政党であると述べていました。その動画を以下に掲載します。



この動画、動画が削除されてしまう場合もあるので、そのの音声を文章にしたものを以下に、掲載しておきます。
民主党の枝野幹事長は、安倍総理大臣を引き合いに出して、民主党が政権交代可能な政党だという考えを示し、政権復帰に全力を挙げる姿勢を強調しました。 
 民主党・枝野幹事長:「あの安倍総理でさえ、1回目は政権回せなくてごちゃごちゃだったのが、さすがに2度目は、やっている中身は僕は問題だと思いますけれども、うまいよねと、政権運営については」 
 枝野氏は、安倍総理が2度目の総理就任後、安定した政権運営を行っていることを引き合いに出しました。そのうえで、「我々も3年3カ月の政権の経験を積ませて頂いたなかで、経験ノウハウは十分得させて頂いた」と述べて、民主党が政権交代可能な政党の1つだと強調しました。 
さらに枝野氏は、「もう1つの柱としてしっかり立っていく。そのために党一丸となって頑張っていこうと決意した」と述べて、岡田代表のもとで、民主党の政権復帰に全力を挙げる考えを強調しました。民主党は29日、岡田代表就任後初めての党大会を開き、政権交代に向けて今年が「党再生の重要な年」と位置付ける活動方針を確認する予定です。
もし民主党が、3年3ヶ月で経験を積んだというのであれば、国会審議でもっとまともな議論、国の進路に関する論戦を戦わせることができるはずです。しかし、昨年毎日報道を賑わせていた民主党の国会審議は、政治とカネと安保法制審議における安直な「戦争法案」というレッテル貼りでした。

政治とカネは、野党の立場として取り上げるのは、ある程度はやむを得ないことだとは思います。ですが正直なところ、たとえば昨年のはじめころのNHK会長のハイヤー代など、私には、国の喫緊課題を議論する予算委員会に持ち出したこと自体が非常識であるとすら思えました。この問題など、もう大多数の国民が記憶の彼方にすっかり消え去っていると思います。


恐らく、安保法制に関しても、党内をまとめることができなかったため、真っ向勝負を挑めず、「戦争法案」一点張りで終始したのだと思います。そのため、国会ではほとんどまともな審議できませんでした。マスコミは、それがあたかも安倍民主党政権に責任があるかのような報道ぶりでしたが、それは全く違います。それは、民主党をはじめとする野党の側にこそ大きな責任があります。

「戦争法案廃案!強行採決反対!7.14大集会」で民主党を代表してあいさつする枝野氏
安倍政権とて、ひとたび支持率が落ちるようなことがあれば、自民党のような政党はすぐさま安倍降ろしにかかることでしょう。安倍総理が2度目で概ね成功し、長期政権の道を開きつつあるのは、経済、外交、安全保障等の政策、政治理念等々が、国民に一定の理解を得ているからでしょう。

誰もが2度目に成功するわけではありません。枝野氏の思考は度し難いほど単純ですが、それは「ほとぼりが冷めれば国民はまた騙せる」と考えているからではないでしょうか。

民主党にとっての3年3ヶ月の政権の経験とは、国民にとっては不満、ストレスと怒りの経験でしかありません。民主党に2度目の政権運営などないし、そんな機会は与えるべきではないです。

年が開けてからは、先に示したように、枝野氏をはじめとする、民主党の国会での質問は、マクロ経済を根本から理解してないため、奇妙奇天烈、頓珍漢の域を出ないものばかりでした。

枝野氏は、実質賃金も実質金利も引き上げよといっている点で、皮肉にも見事に整合性がとれています。ただし、残念ながら、二つともに経済成長のためには誤りです。これは、景気が過熱したときに、沈静化するには役立つでしょうが、景気を浮揚はさせません。

二つともに、既得権雇用者、資産家に有利な政策です。非既得権雇用者や資産を持たない挑戦者には全く優しくないです。特に若者にとっては、厳しい政策です。

雇用確保と倒産予防は、ともに政府の最も重要な仕事です。この二つを提示されると、枝野氏は「都合のいい数字を出す」と国会で厳しく追及します。枝野氏は、この二つが国民にとって最重要であることを全く理解していないようです。

考え方の根本が間違っていれば、弁舌爽やかに語っても意味がなくなる!
この重要な施策について、民主党は完全に安倍政権に完璧に負けています。これは、金融政策を正しく理解しているかいないか、という問題です。特に、金融政策が、雇用と不可分に結びつているという常識を知らないようです。これでは、民主党が政権の座につけば、再び雇用が悪化し、ブラック企業が跋扈することになります。多くの人々、特に若者に途端の苦しみをもたらす意味では、民主党こそブラック政党といえるかもしれません。

民主党が自民党に正しく対抗するための策は、安倍政権が掲げるインフレ目標2%ではなく、左翼政党としてのグローバル・スタンダードでもある、当面インフレ目標4%の金融緩和を行い、雇用確保と倒産予防をもっと強化してやっていくとともに、財政政策も増税という緊縮財政を捨てて、大規模な積極財政というものであるべき姿のはずです。

これが、労働者の雇用を安定させる一里塚のはずです。しかし、民主党はほんの一握りの、金子洋一参議院議員のような例外は別として、大方の議員がそのようなことには無頓着だし、真面目に勉強をしようという気もないようです。

自民党の議員にもそのような議員が多いですし、幹部でもそのような人がいますが、少なくとも安倍総理大臣とそのブレーンはそうではありません。党としても、安倍晋三氏が総理大臣であるかぎりは、あるいは安倍晋三氏の考えを引き継ぐ総理大臣がでてくれば、これからも財務省などに幻惑されることなく、正しい経済政策をとり続けるでしょう。

この基本がわからないようでは、民主党は政権交代どころか、今年7月の参院選、場合によってダブル選で、大敗北し、旧社会党のように存続の危機に見舞われることでしょう。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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【関連図書】

日本経済に関する書籍二冊を以下にあげました。これをご覧いただくと、いかに民主党の経済政策が出鱈目かよく理解できます。さらに、政治家に関する書籍を一冊あげていただきました。これをごらんいただくと、いかに民主党政権が酷かったのか再確認いただけると思います。

Japan's Great Stagnation and Abenomics: Lessons for the World
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世界が日本経済をうらやむ日
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2015年12月2日水曜日

「最低賃金1000円」の目標 枝野氏は「民主党は正しかった」というのだが… ―【私の論評】また、民主党幹部のマクロ経済音痴炸裂!このままだと来年の衆参同時選挙で民主両院同時崩壊だ(゚д゚)!


2015.12.02

ZAKZAK連載:「日本」の解き方


安倍晋三首相が最低賃金の全国平均を1000円とする目標を表明したことについて、民主党の枝野幸男幹事長は「民主党政権で定めた目標そのものだ。民主党の経済運営は正しかったと明言してもらいたい」と批判したという。

民主党の鳩山由紀夫政権当時の2010年6月、当時713円だった最低賃金の全国平均を20年までに1000円に引き上げる目標を決定したことを指しているようだ。

最低賃金についてはいろいろな意見がある。右の代表として「最低賃金があると、失業が増えるから決めるべきでない」という意見がある。左からは「労働者のために最低賃金を高くすべきだ」というものもある。

一部の経済学者が考えるほど、労働市場は完全雇用(働く意思と能力のある人が全員雇用されている状態)ではないので、最低賃金は失業を生むほど悪いものではない。しかし、実際の労働市場を無視して最低賃金を高くすれば、実体経済に悪影響が出てくると思われる。

実際の日本の最低賃金は、ほぼ前年の失業率に応じて決まっている。つまり、失業率が高いと最低賃金の上昇率は低く、失業率が低いと最低賃金の上昇率は高くなる。最低賃金も雇用環境を反映して実際の賃金と似た動きになっているのだ。つまり、金融政策でよい雇用環境を作れれば、翌年の最低賃金を引き上げられるというわけだ。

民主党政権時代、最低賃金1000円という目標があったのは事実であるが、まともな金融政策をしていなかった。その結果、傾向的に就業者数は30万人程度減少した。それに比べて安倍晋三政権では金融政策はしっかりしているので、就業者数は100万人以上増加している。

賃金の動きは、就業者数が増加して、失業率が完全雇用状態に近づくと、急に伸びてくる。

しかし、民主党時代は就業者数が減少していたので、そこで最低賃金を引き上げるという目標は、企業側に過度な負担を与えるだけであるので、経済政策としてはまずい。

一方、安倍政権では、きちんとした金融政策が行われた結果として就業者数が増加しているので、賃金はおのずと上昇に向かうはずだし、最低賃金を引き上げても企業にとって過度な負担とはならず、労働者にとっても労働インセンティブ(動機付け)を増すという意味で、整合的な政策になる。

民主党枝野幹事長

はっきりいえば、民主党時代の最低賃金目標はいいとしても、それを達成する政策手段を取り違えていた、つまり民主党の経済運営はまったく間違っていた。枝野幹事長はかつて、「経済成長のために金利を引き上げるべきだ」との見解を示していた。そのような金融政策の元で強制的に最低賃金を引き上げたら、さらに経済は悪化する。

その証拠がある。民主党時代の2010年、最低賃金を730円、前年比2・4%と大幅に引き上げた。しかし前年の失業率は5・3%と高かったので、就業者数の増加を妨げてしまった。本来は引き上げ率を0・5%程度にとどめるべきだった。政策の無知が生んだ失敗だといえる。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】また、民主党幹部のマクロ経済音痴炸裂!このままだと来年の衆参同時選挙で民主両院同時崩壊だ(゚д゚)!

この枝野の発言本当に、呆れて二の句が継げません。このような発言、たとえば同じ民主党では、金子洋一議員あたりの発言ならまだ許せますが、枝野の発言では、まるで恥の上塗りをしているようなものです。

それに、同じ発言をするにしても、金子洋一議員ならもっとまともな発言をすることでしょう。

ちなみに、金子洋一議員は、民主党の中では、私は一番まともに、マクロ経済を熟知していると思います。馬渕議員あたりもそうですが、やはり金子議員が一番だと私は思います。

それについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【日本の解き方】経済予測をことごとく外してきた面々は合理的な推測をしているのか―【私の論評】奴らは論評をしているのではない!論病に過ぎない(゚д゚)!
金子洋一参議院議員
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、金子洋一議員のマクロ経済に関する知見について関する部分のみ以下に掲載します。
民主党の金子洋一参院議員はツイッターで、「日経平均、続伸し15年ぶり2万円乗せ。わが国経済のためにまずは喜ばしいこと。やはり債券を主に買い入れ、株式を含む実物資産に民間資金をシフトさせる日銀による金融緩和の力は大きかった。われわれが提言したとおり、民主党政権でこれをやっていれば、経済の回復はより早かった。残念だ」とつぶやいた。彼の行動を知る筆者としても同感だ。
 金子議員のこの発言は、本当にまともで、マクロ経済を熟知している人なら、誰もがこのような考えを持ったことでしょう。

株価一つとっても、民主党政権時代と現在の安倍自民党政権の間には、隔世の感があると言っても過言ではありません。株価が多少さがると、マスコミや似非識者どもはやれ株価が下がった、アベノミクスがどうのと宣うのですが、本当に異常なことです。

彼らには、こう質問したいです。「では安倍政権の時代の株価、民主党政権の時代の株価を比較してみたことはあるのか?」と。その比較をしたグラフを以下に掲載します。


2013年の後ろのほうと民主党政権を比較すると、安倍政権時代には最低になっても、もう勝負あったという感じです。もう完璧に民主党政権時代は、安倍政権時代よりも株価が圧倒的に低迷していた事がよく理解できます。平成13年度に安倍政権に変わってから、今にいたるまで、一度も民主党整形時代の水準に戻ったことはありません。

そうして、雇用に関しても、あまりにもはっきりしすぎでいます。以下にこれもグラフを掲載します。これも勝負あったという感じてす。



現実の日本の最低賃金は、ほぼ前年の失業率に応じて決まっています。してがって、失業率が高いと最低賃金の上昇率は低く、失業率が低いと最低賃金の上昇率は高くなります。最低賃金は、雇用環境を反映して、実際の賃金と似たような動きになっています。この意味で、日本の最低賃金の決定は、穏便なものといえます。

この雇用環境と最低賃金の穏便な関係によれば、金融政策で良い雇用環境を作ることができれば、翌年の最低賃金を引き上げられるということにもなります。

民主党時代の「最低賃金引き上げ」という目標自体はいいとしても、民主党は、それを達成する政策手段を取り違えていました。

枝野幹事長は「経済成長のためには金利を引き上げるべきだ」といっていました。このような誤った金融政策の下で、強制的に最低賃金を引き上げるようなことをすれば、さらに経済が悪化するのは当然のことです。



それは、上に掲げた最低賃金とその前年の失業率の関係に示した図の数字からもわかるわかることです。グラフを見ると、明らかに前年の失業率が低いと最低賃金率の上昇率(縦)が高いことがわかります。

もしその当時、民主党幹部に正しい経済政策を主張する金子議員などの言うことに耳をか傾ける度量があれば、まずは金融緩和を実施して、就業者数を増やし失業率の低下を待って、最低賃金を引き上げるという戦略をとったはずです。これは、全くマクロ経済政策音痴が生んだ悲劇に他なりません。

マクロ経済政策を理解していれば、金融緩和すると一定のタイムラグがって、一定期間後に雇用が増加するということは常識です。雇用が増加しているときには、新規雇用者の賃金は一般的に低いですから、賃金はすぐに上昇せずむしろ低下することもあります。

しかし、完全雇用の状態に近づくにつれて、今度は賃金が伸び出します。これはマクロ経済的なメカニズムですが、その前に政治的に賃金上昇すべきというメッセージを送るのは、戦略として合理的です。

この点について、雇用を守ることを重視しているはずの民主党はまったく経済音痴で、あ手順が前後していましたた。金融緩和してまず雇用量を増加させであり、その次に賃金とすべきです。枝野氏が主張するように、先に最低賃金1000円などとするのは、全くの誤りでした。

金融緩和を実施して、雇用者数が増えてから、賃金を上げるべきなのに、民主党政権時代は当時の白川日銀総裁のいいなりで、金融緩和のチャンスを逃がしつづけました。

ブログ冒頭の記事の、枝野の発言を見る限り、枝野はその失敗が原因となって政権交代につながった、という事実をいまだに認識していません。

安倍政権も、2四半期経済成長がマイナスになるなど、経済政策では「消費増税の失敗」という手痛いミスをしています。しかし、金融緩和を継続しているので雇用環境はまだ良好で、致命的なミスには至っていません。

来年夏の参院選挙時に、安倍政権が消費増税を再び先送りを公約に掲げ、経済政策の失敗をカバーすることになれば、経済政策で民主党は対抗できません。もし、衆参ダブル選挙になったら民主党は、衆参両院ともダブルで敗戦するのは必定です。

私自身は、最近のこのブログに掲載したように、来年の選挙は、衆参同時選挙になるのはほぼ確定とみています。そうなれば、民主党は敗戦とはいっても、それこそ、社会党がPKO法案成立の直後の選挙で、凋落したように、大敗北となる可能性も大です。

民主党も、安保法案では、「戦争法案」というレッテル貼りで、かつての社会党がPKO法案に反対したように安保法案に反対しました。しかし、無論のこととして、来年の選挙のときなどに、日本が戦争をするということはないので、マスコミも選挙戦のときには、これを話題にしないでしょう。

実際、過去の選挙のときには、自民党は、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使を含む安保法制の成立を公約としていたのですが、マスコミはそれをほとんど話題にしませんでした。

私は、歴史は繰り返すと思います。そうなると、民主党は地すべり的なダブル敗戦に見まわれ、かつての社会党のように凋落することになると思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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