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2016年1月16日土曜日

【日本の解き方】民主党が主張する経済政策はブラック企業と既得権益者を利するだけだ ―【私の論評】ブラック政党に成り果てた民主党には今年の夏にとてつもない危機が(゚д゚)!


今年の夏には過酷な運命が待っている民主党。枝野氏はそれを知る由もない。

8日、衆院予算委員会で民主党の枝野幸男幹事長が質問に立ち、物価の変動を考慮した実質賃金について、民主党時代は高かったが、安倍晋三政権で低くなっていると批判した。

まず、事実を確認しておこう。実質賃金については、枝野氏のいうとおりだが、就業者数では民主党時代には30万人程度減少し、安倍政権では100万人以上増加している。

次に、雇用の経済学を復習しよう。名目賃金は物価より硬直的だが、金融政策は物価に影響を与えられる。このため、金融緩和すると実質賃金は低下し、就業者数が増加する。さらに金融緩和を継続すると、ほぼ失業がなくなる完全雇用の状態となる。そうなると今度は実質賃金も上昇に転じてくる。

経済の拡大によって就業者数は増加するが、逆に金融引き締めを行うと、実質賃金が高くなり、就業者数が減少。完全雇用からほど遠くなる。

民主党政権と安倍政権の実質賃金と就業者数のデータは、民主党政権では事実上の金融引き締め、安倍政権では金融緩和が実施され、その通りの効果が現れてきたことを示しているわけで、雇用政策から見れば、安倍政権の方が優れている。

民主党政権時代に就業者数の減少を招いたにもかかわらず、実質賃金の高さを誇るのは、雇用政策からみれば滑稽だ。就業者数が減り、実質賃金が上昇することで喜ぶのは「既得権雇用者」たちだ。つまり、既得権者保護の政治を民主党は公言していることになる。非正規雇用者、新卒者、失業者という「非既得権雇用者」の利益は考えていない、ということだ。

国際的な基準からみれば、金融引き締めをした民主党政権は、金融緩和をした安倍政権より「右派」で労働者に厳しい。民主党はすべての労働者の権利を守ろうとする「左派」政党とは思えない。この見解が間違っていると思うなら、欧州の左派政党に意見照会してみればいい。

ブラック企業の経営者は、金融引き締めに賛成しがちである。その方が、失業が多くなり、賃金を安く設定して労働者を買いたたけるので、多少のデフレには対応できるからだ。

民主党も、金融緩和に否定的で、金融引き締めを求めるところは、くしくもブラック企業の経営者と共通点がある。

そういえば、枝野氏は以前、テレビ朝日系の討論番組『朝まで生テレビ!』で、「金利を上げれば景気がよくなる」という趣旨の珍説を披露したこともある。それは、どのような経済学の教科書を読んでも分かるように、間違いである。

ブラック企業の経営者が、労働者を買いたたいたことで手元の資金を膨らませているために、金利収入を増やそうとして金利を引き上げよと主張することがある。この点でも、民主党はブラック経営者と似たような発想になっている。

民主党には経済政策で頑張ってもらわないと、国会がつまらなすぎて国民のためにならない。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】ブラック政党に成り果てた民主党には今年の夏にとてつもない危機が(゚д゚)!

民主党の国会での安倍総理などに対する質問は、衆院の枝野幹事長のものは無論のこと、他の衆院の質問も、参院での質問も、本当にマクロ経済や雇用のことが理解していないので、全く奇妙奇天烈で頓珍漢なものばかりでした。

この枝野氏は昨年2月、民主党は政権交代可能な政党であると述べていました。その動画を以下に掲載します。



この動画、動画が削除されてしまう場合もあるので、そのの音声を文章にしたものを以下に、掲載しておきます。
民主党の枝野幹事長は、安倍総理大臣を引き合いに出して、民主党が政権交代可能な政党だという考えを示し、政権復帰に全力を挙げる姿勢を強調しました。 
 民主党・枝野幹事長:「あの安倍総理でさえ、1回目は政権回せなくてごちゃごちゃだったのが、さすがに2度目は、やっている中身は僕は問題だと思いますけれども、うまいよねと、政権運営については」 
 枝野氏は、安倍総理が2度目の総理就任後、安定した政権運営を行っていることを引き合いに出しました。そのうえで、「我々も3年3カ月の政権の経験を積ませて頂いたなかで、経験ノウハウは十分得させて頂いた」と述べて、民主党が政権交代可能な政党の1つだと強調しました。 
さらに枝野氏は、「もう1つの柱としてしっかり立っていく。そのために党一丸となって頑張っていこうと決意した」と述べて、岡田代表のもとで、民主党の政権復帰に全力を挙げる考えを強調しました。民主党は29日、岡田代表就任後初めての党大会を開き、政権交代に向けて今年が「党再生の重要な年」と位置付ける活動方針を確認する予定です。
もし民主党が、3年3ヶ月で経験を積んだというのであれば、国会審議でもっとまともな議論、国の進路に関する論戦を戦わせることができるはずです。しかし、昨年毎日報道を賑わせていた民主党の国会審議は、政治とカネと安保法制審議における安直な「戦争法案」というレッテル貼りでした。

政治とカネは、野党の立場として取り上げるのは、ある程度はやむを得ないことだとは思います。ですが正直なところ、たとえば昨年のはじめころのNHK会長のハイヤー代など、私には、国の喫緊課題を議論する予算委員会に持ち出したこと自体が非常識であるとすら思えました。この問題など、もう大多数の国民が記憶の彼方にすっかり消え去っていると思います。


恐らく、安保法制に関しても、党内をまとめることができなかったため、真っ向勝負を挑めず、「戦争法案」一点張りで終始したのだと思います。そのため、国会ではほとんどまともな審議できませんでした。マスコミは、それがあたかも安倍民主党政権に責任があるかのような報道ぶりでしたが、それは全く違います。それは、民主党をはじめとする野党の側にこそ大きな責任があります。

「戦争法案廃案!強行採決反対!7.14大集会」で民主党を代表してあいさつする枝野氏
安倍政権とて、ひとたび支持率が落ちるようなことがあれば、自民党のような政党はすぐさま安倍降ろしにかかることでしょう。安倍総理が2度目で概ね成功し、長期政権の道を開きつつあるのは、経済、外交、安全保障等の政策、政治理念等々が、国民に一定の理解を得ているからでしょう。

誰もが2度目に成功するわけではありません。枝野氏の思考は度し難いほど単純ですが、それは「ほとぼりが冷めれば国民はまた騙せる」と考えているからではないでしょうか。

民主党にとっての3年3ヶ月の政権の経験とは、国民にとっては不満、ストレスと怒りの経験でしかありません。民主党に2度目の政権運営などないし、そんな機会は与えるべきではないです。

年が開けてからは、先に示したように、枝野氏をはじめとする、民主党の国会での質問は、マクロ経済を根本から理解してないため、奇妙奇天烈、頓珍漢の域を出ないものばかりでした。

枝野氏は、実質賃金も実質金利も引き上げよといっている点で、皮肉にも見事に整合性がとれています。ただし、残念ながら、二つともに経済成長のためには誤りです。これは、景気が過熱したときに、沈静化するには役立つでしょうが、景気を浮揚はさせません。

二つともに、既得権雇用者、資産家に有利な政策です。非既得権雇用者や資産を持たない挑戦者には全く優しくないです。特に若者にとっては、厳しい政策です。

雇用確保と倒産予防は、ともに政府の最も重要な仕事です。この二つを提示されると、枝野氏は「都合のいい数字を出す」と国会で厳しく追及します。枝野氏は、この二つが国民にとって最重要であることを全く理解していないようです。

考え方の根本が間違っていれば、弁舌爽やかに語っても意味がなくなる!
この重要な施策について、民主党は完全に安倍政権に完璧に負けています。これは、金融政策を正しく理解しているかいないか、という問題です。特に、金融政策が、雇用と不可分に結びつているという常識を知らないようです。これでは、民主党が政権の座につけば、再び雇用が悪化し、ブラック企業が跋扈することになります。多くの人々、特に若者に途端の苦しみをもたらす意味では、民主党こそブラック政党といえるかもしれません。

民主党が自民党に正しく対抗するための策は、安倍政権が掲げるインフレ目標2%ではなく、左翼政党としてのグローバル・スタンダードでもある、当面インフレ目標4%の金融緩和を行い、雇用確保と倒産予防をもっと強化してやっていくとともに、財政政策も増税という緊縮財政を捨てて、大規模な積極財政というものであるべき姿のはずです。

これが、労働者の雇用を安定させる一里塚のはずです。しかし、民主党はほんの一握りの、金子洋一参議院議員のような例外は別として、大方の議員がそのようなことには無頓着だし、真面目に勉強をしようという気もないようです。

自民党の議員にもそのような議員が多いですし、幹部でもそのような人がいますが、少なくとも安倍総理大臣とそのブレーンはそうではありません。党としても、安倍晋三氏が総理大臣であるかぎりは、あるいは安倍晋三氏の考えを引き継ぐ総理大臣がでてくれば、これからも財務省などに幻惑されることなく、正しい経済政策をとり続けるでしょう。

この基本がわからないようでは、民主党は政権交代どころか、今年7月の参院選、場合によってダブル選で、大敗北し、旧社会党のように存続の危機に見舞われることでしょう。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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【関連図書】

日本経済に関する書籍二冊を以下にあげました。これをご覧いただくと、いかに民主党の経済政策が出鱈目かよく理解できます。さらに、政治家に関する書籍を一冊あげていただきました。これをごらんいただくと、いかに民主党政権が酷かったのか再確認いただけると思います。

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