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2019年6月26日水曜日

G20議長国・日本に難題山積 経済と安全保障の均衡取り…当面の解決策模索できるか―【私の論評】G20で見えてくる衆参同時選挙ではなく、時間差選挙の芽(゚д゚)!

G20議長国・日本に難題山積 経済と安全保障の均衡取り…当面の解決策模索できるか


サミット会場近くで警備をする警官

28、29日に大阪で20カ国・地域首脳会合(G20サミット)が開かれる。中心となる議題やG20に合わせて開かれる予定の米中首脳会談などの注目点、議長国である日本の役割について考えてみたい。

 G20は、米国、英国、フランス、ドイツ、日本、イタリア、カナダおよび欧州連合(EU)の「G7メンバー」に、ロシア、中国、インド、ブラジル、メキシコ、南アフリカ、オーストラリア、韓国、インドネシア、サウジアラビア、トルコ、アルゼンチンを加えたものだ。

 国際通貨基金(IMF)が4月9日に公表した世界経済見通しは、2019年の成長率予測を3・3%とし、前回1月の見通しから0・2ポイント引き下げた。米中貿易戦争や中国経済の減速、英国のEU離脱問題が引き続き懸念材料だからだ。

 世界中が注目している米中貿易戦争では、G20の場で米中首脳会談が開かれることが決まった。このニュースで米国株などが上昇する場面もあった。

 もっとも、今回の米中首脳会談で、すべてが解決するとは多くの人が思っていない。よくて部分的な解決であり、最終的な解決には時間を要するというのが一般的な見方だ。

 英国のEU離脱(ブレグジット)も大きな問題だ。メイ首相は来日するかもしれないが、すでに保守党党首は辞任しており、もはやレームダック状態だ。ブレグジットは英国の国内問題にとどまらず、欧州経済にすでに悪影響を与えている。メイ首相の政治力があれば日英間で貿易問題を話し合い、日英経済連携協定(EPA)や環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への英国加盟などの可能性があったが、これらの問題は次期首相の手に委ねられる。

 香港の「逃亡犯条例改正」審議が、大衆デモによりに延期となったが、これについて英国は、香港返還の経緯などを国際社会に説明する必要がある。「一国二制度」がすでに形骸化しており、今回の事件もそれが顕在化したにすぎない。G20では、香港の人権問題を扱ってもいいはずだが、はたしてどこまで議論できるのだろうか。もっとも米中首脳会談において、トランプ米大統領が中国に対して人権問題として取り上げるかもしれない。

 国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は、G20に対し、世界的な経済成長へのリスクを和らげるため貿易摩擦の解決を最優先課題とするよう求めている。

 ただし、米中貿易戦争は、単に経済の問題だけではない。知的財産権の強制移転や盗用という安全保障面での問題もある。議長国の日本としては、経済問題と安全保障問題のバランスをとりながら、当面の解決策を求めていく必要がある。

 資本取引の自由という西側資本主義ロジックと、生産手段の私有を制限するために資本取引制限のある東側社会主義ロジックとの間の調和・調整が問題解決に求められている。

 また、人権や環境にも配慮し、地球規模問題の解決を図る必要もある。国際社会において名誉ある地位を占めるのは、言うは易く行うは難しだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】G20で見えてくる衆参同時選挙ではなく、時間差選挙の芽(゚д゚)!

夏の参院選を控え、G20サミットで議長を務める首相にとっては、外交手腕を示す格好の場となりそうです。一方、韓国大統領府高官は25日、G20サミットに合わせ、首相と文在寅大統領との日韓首脳会談について「開かれない」と記者団に語りました。高官は「われわれは会う準備ができていると伝えたが、あちら(日本)から何の反応もなかった」と説明。一方で、その場で日本から要請があれば、「いつでも会える」と述べ、会談への未練をにじませました。

安倍総理と、トランプ米大統領との会談は今回のサミットで12回目を数えます。4、5月に続く3カ月連続の相互往来で、強固な日米同盟を世界に示します。非核化をめぐる米朝協議など最新の情報を共有し、北朝鮮が非核化に向けた具体的な行動を示さない限り、国連安全保障理事会の決めた経済制裁は解除しない方針も再確認します。

また首相は、今月のイラン訪問の詳細をトランプ氏に伝えます。イラン革命防衛隊によるホルムズ海峡付近での米軍無人機撃墜などで米イランの対立は激化しており、首相は衝突回避の重要性を働きかける意向です。

中国の習近平国家主席は、2013年の国家主席就任後初の来日となります。首相との会談では、米中貿易摩擦が世界経済最大のリスクとなっていることから、通商問題で意見を交わします。20~21日の中朝首脳会談を踏まえ、北朝鮮情勢も協議します。中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案撤廃をめぐる香港の混乱について、首相がどう提起するかにも関心が集まるところです。

26回目となるプーチン大統領との会談は、協議が停滞している日露平和条約交渉の取り扱いが焦点です。昨年11月、日露両首脳は1956(昭和31)年の日ソ共同宣言を基礎に条約交渉を加速させることで合意しましたが、プーチン氏は北方領土の引き渡しに関し「計画はない」と明言するなど、局面打開は難しい情勢です。

一方、G20サミットの全体会議では、世界経済、イノベーション、格差・インフラ、気候変動の計4分野が主要議題となります。

トランプ米大統領が今回のG20首脳会議で目指すのは、中国との貿易摩擦、ロシアとの核軍縮、イラン核問題など米国が抱える懸案に関し、「米国第一」の立場から自国に有利な展開を引き出すことです。

トランプ大統領

G20などの多国間会議の場で設定される首脳会談は外交儀礼上、必ずしも正式な会談に位置づけられるわけではないです。

しかし、主要国などの首脳が一堂に会する多国間会議は、複数の国の首脳とそれぞれ効率的に意見を交わす一方、利害が多国間にまたがる特定の懸案については会議の場で合意形成を図れるという利点があります。

トランプ大統領も中国問題については今回、首脳会議ではサイバー攻撃などによる情報窃取、技術移転の強制、関税や非関税障壁などに関し「不公正な貿易慣行」の排除に向けた各国と認識をすり合わせつつ、習近平国家主席との直談判で具体的合意にこぎ着けたい考えです。

ただ、G20首脳会議の枠組みそのものは既に形骸化が明白となっており、米政権としてはさほど重要視していないのも事実です。

2008年に当時深刻化していた世界金融危機に対応するためにワシントンで始まったG20首脳会議は、世界経済が回復軌道に乗った09年にピッツバーグで開かれた第3回首脳会議の時点で、本来の役割は終了したとの指摘は多いです。

ピッツバーグサミット

その第3回会議でも、メディアに最も注目されたのはイランが当時、秘密の核施設の存在を明らかにしたことに対して米英仏の首脳が抗議の合同記者会見を開いたことで、形骸化の萌芽は既に現れていました。

今回もG20自体は米中の直接対決を前に存在がかすみがちになるのは確実とみられます。

そうした中で、安倍総理にとってG20を活用する方法として、やはり増税凍結もしくは見送りの地ならしです。

これについては、以前このブログにも掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
【G20大阪サミット】大阪から世界が動く 米中貿易摩擦で歩み寄り焦点 日本、初の議長国―【私の論評】G20前後の安倍総理の意思決定が、安倍政権と国民の運命を左右することになる(゚д゚)!
詳細は、この記事をごらんいただくもとして、以下に増税見送りに関する部分のみ引用します。
経済協力開発機構(OECD)は5月21日、世界全体の実質GDP成長率が2018年から縮小し、19年は3.2%、20年は3.4%との経済見通しを発表しました。日本については、19年と20年のGDP成長率をそれぞれ0.7%、0.6%とし、3月の前回予測から0.1ポイントずつ下方修正しました。米中貿易摩擦の影響が大きく、OECDは「持続可能な成長を取り戻すべく、各国政府は共に行動しなければならない」と強調しました。 
そのような中、日本が初めて議長国を務めるG20サミットが開かれます。日本は議長国として、機動的な財政政策などを各国に呼びかける可能性が高いです。それにもかかわらず、日本のみが増税すれば、日本発の経済不況が世界を覆うことになる可能性を指摘されることにもなりかねません。 
平成28年5月下旬、三重県で開かれた主要国首脳会議(伊勢志摩サミット、G7)で、安倍首相は「リーマン・ショック級」の危機を強調しながら、増税延期の地ならしを進め、直後に延期を正式表明しました。
伊勢志摩サミットで「リーマン・ショック級」の危機を強調した安倍総理

果たして、G20はG7の再来となるのでしょうか。もし今回増税すれば、日本経済は再びデフレスパイラルの底に沈み、内閣支持率がかなり落ちるのは目に見えています。 
それでも、増税を実施した場合、安倍政権は憲法改正どころではなくなります。それどころか、野党はもとより与党内からも安倍おろしの嵐が吹き荒れレームダックになりかねません。 
まさに、G20前後の安倍総理の意思決定が、安倍政権と国民の運命を左右することになります。
 さて、増税見送りということでは、当初永田町では、衆院解散のタイミングは6月から7月初頭の間に断行して今夏の参院選との同日選に持ち込む案(この場合、投票日は8月4日とするとの説があった)と、今夏は参院選単独で行っておいて今秋から暮れにかけて衆院選を行う「時間差ダブル選挙」とする案がありました。

現状では、衆参同時選挙の芽はなくなってしまったようですが、全くないということでもないと思います。さらに、今秋に増税凍結を公約として衆院選挙という手は未だ否定しきれないところがあると思います。暮ということでは、増税延期には間に合わないので、今秋衆院選は未だにありえる選択肢です。

現在、政争の道具にするには、全く不利で実際他国ではほとんど政争の道具にされていない年金問題で野党は政府を追求しようとしています。この試みは、「もりかけ」問題と同じく野党にとって全く不毛な結果に終わることでしょう。

しかし、現実には与党の支持率は落ちています。とはいいながら、野党に支持率はあがっていません。この状況ですからから秋に衆院選をすることにし、それまでの間に年金問題に関して国民にわかりやすく説明していくことなどの戦略は十分に考えられます。

いずれにしても、伊勢志摩サミット(G7)で、安倍首相は「リーマン・ショック級」の危機を強調しながら、増税延期の地ならしを進めたように、G20でもそれを安倍総理が実行するかどうか、見逃せないところです。

【関連記事】

中国次官、米側の譲歩求める G20、香港問題は「議論許さぬ」―【私の論評】米国に続いて日本も中共の面子を叩き潰せ(゚д゚)!

【石平のChina Watch】人民日報の「習近平批判」―【私の論評】習近平はミハエル・ゴルバチョフになれるか?


2019年5月16日木曜日

野党破滅も!? 衆参W選、最短「6・30」断行か 識者「安倍首相、G20でのリーダーシップが最大の選挙運動に」―【私の論評】安倍総理は、令和元年に平成年間には一度もなかった衆参同時選挙で大勝利して財務省を沈黙させる(゚д゚)!


安倍総理(左)と麻生副総理兼財務大臣(右)

米中貿易戦争の激化による世界経済の失速を警戒して、日経平均株価は14日、一時2万1000円を割り込んだ。内閣府が13日に発表した3月の景気動向指数の基調判断も6年2カ月ぶりに「悪化」に下方修正された。こうした現状を受け、安倍晋三首相が10月の消費税増税を延期する可能性が指摘され、悲願の憲法改正の是非も加えて「国民の信」を問うため、今夏の参院選に合わせた「衆参ダブル選」の断行が取り沙汰されている。注目の「決戦日」(投開票日)について、最速、「6月30日」というスケジュールもありそうだ。


 「(2007年参院選の惨敗で)政治は安定を失い、とうとう、『悪夢のような民主党政権』が誕生した」「このような状況を再び招いてはならない。歯を食いしばり、夏の参院選を勝ち抜かないとならない」

 安倍晋三首相は14日、盟友である麻生太郎副総理兼財務相率いる麻生派(志公会)が都内で開いた政治資金パーティーでこう語った。参院選勝利への並々ならぬ決意が伝わった。

 麻生氏も「参院選を断固勝ち抜き、安倍政権のど真ん中で『輝く日本』をつくる」といい、「自民党結党以来果たせなかった憲法改正は、残された大きな課題だ」と、安倍首相と共通する改憲への意欲も示した。

 日本の経済政策を牽引(けんいん)する2人だが、パーティーでは世界経済の懸念材料である米中貿易戦争には触れなかった。

 ただ、麻生氏は同日の閣議後の記者会見で「(世界の)覇権というものを意識して考えないと。(米中の争いは)そんなに簡単に決着するものではありません」と語った。

 確かに、ドナルド・トランプ米政権は「中国が知的財産権を侵害している」として、制裁措置を発動している。中国の横暴を放置すれば、米国のハイテク技術は盗まれ続け、経済優位性は損なわれ、安全保障上の脅威となり、中国に覇権を奪われかねない-という強い危機感があるのだ。

 米国はすでに、輸入額の半分近くの2500億ドル(約27兆4000億円)分に25%の追加関税を課しているが、中国は対抗して13日、米国からの輸入品600億ドル(約6兆6000億円)分の追加関税率を最大10%から同25%に引き上げると発表した。これに対し、米国は13日、輸入品3000億ドル(約33兆円)分に最大25%の追加関税を課すと発表した。

 日本経済も当然影響を受ける。前出の基調判断が「悪化」に転じたなかで、米中の「関税制裁合戦」が過熱すれば、厳しい局面を迎える。

 安倍首相が「外的要因」を背景に、消費税増税の再々延期や、憲法改正の是非などを名分に、「伝家の宝刀」を抜くこともありそうだ。

 では、決戦のタイミングはいつになるのか。

 公職選挙法によると、参院選は改選議員の任期満了(7月28日)から「30日以内」と規定されている。投開票日は日曜日が通例であり、6月30日、7月7日、14日、21日の4パターンから選択が可能だ。


 一方、衆院選は公選法で「解散の日から40日以内に行う」と規定されている。

 これまで、通常国会の会期末解散で「7月4日公示-21日投開票」が有力視されていたが、ジャーナリストの安積明子氏はいち早く、「6月30日投開票」説をネットで発信した。

安積氏は「永田町で、特に野党が『6月30日』説に色めき立ち、慌てている」といい、続けた。

 「6月28、29両日には、大阪でG20(20カ国・地域)首脳会議が開かれ、世界各国から要人が集まる。安倍首相が議長としてリーダーシップを発揮すれば、メディアでも大きく報じられる。最大の選挙運動にもなる。野党は候補者不足など、壊滅する可能性がある」

 安積氏の予想通りなら、参院は6月30日から少なくとも「17日前」に、衆院も「12日前」までには公示日を迎え、選挙戦に入ることになる。

ジャーナリストの安積明子氏

 政府・与党は「常在戦場だから」(閣僚経験者)と、衆参ダブル選への覚悟を決めつつある。

 自民党の二階俊博幹事長は13日の記者会見で、衆参同日選について「安倍首相が判断すれば、党として全面的にバックアップし、対応する用意はある」と発言した。

 安倍首相は14日の経済財政諮問会議で、日本経済の実態について、「このところ、輸出や生産の一部に弱さが見られており、先行きも海外経済の動向などに十分、留意する必要がある」と、警戒感をにじませた。

 今月20日には1~3月期の国内総生産(GDP)の速報値も発表される。月内には、政府が独自の景気認識を示す月例経済報告など、経済指標の公表が相次ぐ。

 こうしたなか、トランプ大統領が25~28日に国賓として来日する。安倍首相は国内経済の現状を踏まえたうえで、日米首脳会談などで米中貿易戦争の展開などを把握し、最終決断を下すことになりそうだ。

【私の論評】安倍総理は、令和元年に平成年間には一度もなかった衆参同時選挙で大勝利して財務省を沈黙させる(゚д゚)!

増税見送りもしくは、凍結を公約として、衆参同時選挙をする可能性が高いことについては、このブログでも過去に何度か解説しました。そのため、ここではこれについては、解説しません。詳細を知りたい方は、この記事の一番下のほうに、【関連記事】を掲載してありますので、そちらをご覧になってください。

衆参同時選挙については、野党画をも相当危機感を感じているようです、国民民主党の小沢一郎氏は14日夜、民放のBS番組で、野党勢力の結集ができていない状況では、衆参同日選挙の可能性があり、野党側が敗北すると指摘したうえで、比例代表では野党の統一名簿を作成すべきだという考えを重ねて示しました。

この中で、国民民主党の小沢一郎氏は、「結集ができていない、今の野党の状況なら、『衆参ダブル選挙』はありうる。このままの状況なら、野党が立ち直れないくらいの壊滅的な敗北になる」と指摘しました。

そのうえで、小沢氏は、「いわゆる『オリーブの木』で、1つの傘のもとで戦う状態にならないと勝てないし、そういう状態になれば、圧勝する」と述べ、参議院選挙の1人区と衆議院選挙の小選挙区で、野党側の候補者を一本化し、比例代表では野党の統一名簿を作成すべきだという考えを重ねて示しました。

一方、小沢氏は、党内でのみずからの処遇について、「2か月後は選挙だから、ポジションは『あっちだ、こっちだ』と言っている場合ではない。『勝利するために、どうしたらいいのか』という話で、ポストをどうこうする必要はない」と述べました。

果たしてダブル選はあるのでしょうか。こればかりは安倍首相の心一つですが、少なくとも衆院を解散するのは、選挙を有利に戦えると踏んだときです。その判断材料の一つになるのが野党の動向です。

周知の通り、前回の衆院選で旧民進党は分裂し、当時の感情的なしこりが野党結集を妨げる一つ要因となっています。立憲民主党と国民民主党が主導権争いで対立する場面も多く、この間、野党が政権交代の受け皿になってきたとは言い難いです。

産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査では、結党直後に11・6%だった立憲民主党の支持率は昨年2月の15・6%をピークに下落傾向に入り、今月6、7両日実施の調査では9・6%でした。国民民主党の支持率は1・6%で、野党第一党と第二党を合わせても10%程度にしかなりません。

一方、安倍内閣の支持率は、前月比5・2ポイント増の47・9%で上昇傾向にあります。

野党共闘のあり方にも課題があります。4月21日に投開票された衆院沖縄3区補選では勝利したのですが、同日の大阪12区補選は共産党系候補への支援のあり方をめぐり、足並みが乱れました。

共産党は、同党の元衆院議員を無所属で擁立する異例の対応を取り、他党が相乗りしやすい環境づくりを目指したのですが、共産党以外で推薦したのは自由党のみでした。立憲民主党や国民民主党は自主投票で臨み、立候補した4候補中、最下位の惨敗に終わりました。

共産党は夏の参院選と次期衆院選から、野党共闘の条件として候補の「相互推薦・支援」を求めていますが、大阪補選で浮き彫りになった野党間の溝はハードルの高さを物語っています。

野党5党派は参院選の勝敗を分ける32の改選1人区で候補の一本化作業を進めていますが、これまで事実上合意したのは愛媛、熊本、沖縄の3選挙区にとどまり、調整は大幅に遅れています。

こうした野党の体たらくを安倍首相サイドからみれば「解散の好機」と捉えることができるでしょう。

実際、ダブル選は地方に強固な組織を持つ自民党に有利とされます。自民党は沖縄、大阪補選や大阪府知事・市長のダブル選で敗れたものの、県議・市議選など統一地方選全体では着実に議席を伸ばしました。ダブル選ならば野党共闘態勢の構築も難しくなり、圧勝できると見る向きも多いようです。

一方、平成29年衆院選では、旧民進党と小池百合子東京都知事率いる旧希望の党による合流劇で、一時は政権交代も予感させました。小池氏の「排除」発言によって機運は急速にしぼんだのですが、官邸は肝を冷やしたに違いないです。

ダブル選になれば、野党結集が一気に加速する可能性があります。そこを官邸がどう判断するかが重要になってきます。

平成の時代に一度も行われなかったダブル選は、令和元年に実現するのか。夏の政治決戦に向けて、与野党の神経戦は既に中盤を迎えています。

安倍総理にとって有利なのは、増税延期の理由を海外に求めることができるということです。

これは米中貿易戦争の悪影響だけでありません。市場では、ヨーロッパが景気後退に入ったという見方が支配的になっています。一部では、欧州発の金融危機発生という見方さえ出始めています。

さらに、IMFが4月9日に発表した世界経済見通しでは、2019年の世界の実質経済成長率が1月に、同月発表の3.5%から、さらに下方修正されて3.3%となりました。この成長率は、リーマンショック後の長期停滞局面の成長率を下回っています。

安倍総理が言い続けてきた「リーマンショック並みの経済危機」に世界経済はすでに陥っているのです。そうした状況下なら、増税を延期しなければならない理由は、野党が主張するような「アベノミクスの失敗」ではなく、あくまでも日本政府がコントロールできない海外要因によるものだと強弁することが可能になります。

伊勢志摩サミットでも「リーマンショック前と似た状況」と語っていた安倍総理

安倍総理は、消費税増税延期のカードをすでに掌中にしている。4月21日に行われた大阪と沖縄の衆院補選で自民党が惨敗した流れを考えれば、自民党内に安倍総理の掲げる増税延期を否定する声は、さほど強く上がらないのではないでしょうか。

唯一の懸念は、財務省です。これまで幼稚園や保育園の無償化、軽減税率の導入、ポイント還元など、消費税増税による増収分をすべて使い尽くすくらいの大盤振る舞いで、増税実施への努力を続けてきたのですから、財務省としては、増税延期は絶対に許したくない政策です。

これからの2カ月、安倍総理と財務省の間で、消費税増税の延期をかけた壮絶な戦いが、水面下で始まることでしょう。

ただし、安倍総理には伝家の宝刀があります。それは、衆参両院選挙です。これで消費税見送りか、凍結、もしかすると減税をかかげて選挙に大勝すれば、財務省とて官邸には逆らえないです。このようなことは過去二度あって、実際に増税が見送られました。

二度あったことは、三度あるとみておくべきでしょう。ただし、今回は参院選だけでなく、衆院選も同時に行い、令和元年に平成年間には一度もなかった衆参同時選挙で大勝利して財務省を黙らせる算段でしょう。

【関連記事】


安倍首相、ついに“消費増税凍結+衆参W選”決断か!? 4月に訪米する『隠された理由』とは…―【私の論評】日米首脳会談で消費税凍結が決まる(゚д゚)!



2016年2月27日土曜日

消費増税、先送りの兆候?…首相の発言に変化―【私の論評】消費税先送り以外にもこれだけある衆参同時選挙の根拠だが(゚д゚)!

消費増税、先送りの兆候?…首相の発言に変化

安倍首相が、2017年4月の消費税率10%への引き上げを先送りする場合の状況について、「世界経済の収縮」を条件に掲げ始めた。

これまでは「リーマン・ショックや大震災のような重大な事態」が起きない限り、予定通り実施する考えを強調してきた。与党内では「首相は軌道修正を図っている。再増税を見送る可能性が高まっているのではないか」(自民党中堅)との見方も出ている。


首相は最近の国会審議で、予定通り税率を引き上げる方針を明言する一方、「世界経済の大幅な収縮が実際に起きているかなど、専門的見地からの分析を踏まえ、その時の政治判断で決める」(24日の衆院財務金融委員会)などと強調している。

 26日の衆院総務委員会でも、「株価、市場変動のみでなく、実体経済にどういう影響が出ているかも含め考えないといけない」と語った。年初から急激な円高、株安が進み、世界経済が不安定になる中、再増税を既定路線にしたくないとの思いが強まっているようだ。

周辺には「消費税を8%に引き上げたら景気が冷え込んだ。上げなければ、税収は今頃もっと増えていただろう」と、半ば悔やむように語っている。

【私の論評】消費税先送り以外にもこれだけある衆参同時選挙の根拠だが(゚д゚)!

上の記事に掲載されているように、消費税先送りの可能性がますます高まってきています。このブログでも過去に何度か、8%増税でも大失敗ということはっきりしたのに、10%増税などしてしまえば、安倍政権は崩壊するという趣旨のことを掲載してきました。

それを回避すためにも、安倍総理は10%増税見送りも公約として、衆参同時選挙に打って出るであろうことを掲載しました。

さて、それに関しては以下の【関連記事】のところに、それに関する記事を掲載しておきますので、それをご覧になってください。

しかし、それ以外にも今年は最初から予定の決まっている参院選挙の他にも、安倍総理は、衆院を解散して、衆参同時選挙に打って出る背景がいくつかあります。本日は、それについて掲載します。

まず第一に衆参同時選挙ともなれば、野党間の連携が非常に難しくなるということがあります。衆議院と参議院では選挙の制度が異なります。参議院選挙では、3人区、4人区、5人区があり、そこでは野党間の争いが激しいです。

また参議院では比例区も重要です。野党としては他の野党との違いを打ち出すことが重要です。みんな仲良く、というわけにはいきません。この状態で、衆議院の小選挙区での選挙協力は非常に困難です。一方で激しく争い、他方では選挙協力というのはなかなかできることではありません。

与党の自民党と公明党はそうした選挙協力はかなりスムーズにできるようになっています。野党は大変です。つまり衆参同時選挙は与党に圧倒的に有利になります。



第二に2016年5月26日、27日に開催予定の伊勢志摩サミットも考慮すべきです。このサミットのホストは安倍首相です。メディアでの露出度がかなり高くなり、内閣支持率もさらに上がる可能性が高いです。その勢いを保ったまま、6月半ばに衆議院解散、7月中旬か下旬に衆参同時選挙となると、またまた与党の大勝利となる可能性が高いです。

その頃には安保関連法案の採決の影響はかなり小さくなっているでしょう。サミットにはアメリカが参加し、中国も韓国も参加しないのですから、安保関連法案もその時にはむしろ自民党に追い風になることでしょう。

伊勢志摩サミットのポスター

第三に、第46回衆議院選挙は2012年12月16日に行われ、第47回衆議院選挙は2014年12月14日に行われています。その間は僅かに2年でした。

2016年7月に次の衆議院選挙が行われるなら、1年半くらいの間しかありません。46回選挙でも47回選挙でも自民党は圧勝しています。ということは、自民党の議員はほとんどの選挙区に現職としているのですが、野党議員は非常に少ないということです。

選挙期間が短くなると、各選挙区に候補者さえ擁立できない状態に陥ることになります。民主党は野党の最大政党として候補者をたてたいところですが、これほど時間に余裕がないというのであれば、なかなか実行できません。不戦敗に近い選挙区が多く生まれるの可能性が高いです。

台47回衆議院議員選挙後の議席数


以上の4点から、衆参同時選挙は多いにありそうな状況です。

このような状況に備えて、民主党の岡田代表と維新の党の松野代表は26日、国会内で党首会談を行い、3月に両党が合流することで正式に合意しました。

衆参両院で計150人規模となります。両党は新たな党名や綱領の検討に着手する一方、夏の参院選に向けて他の野党にも合流を呼びかけ、野党勢力の結集を図ろうとしています。

さて、以上4つの背景から、衆参同時選挙は多いにありそうなのですが、私はこの中で、安倍総理を衆参同時選挙に踏み切らせる背景として最も大きいのは何かと問われれば、やはり増税見送りのためということだと思います。

8%増税の大失敗は、日を追うごとに明らかになっています。ブログ冒頭の記事にもあったように安倍総理は、「消費税を8%に引き上げたら景気が冷え込んだ。上げなければ、税収は今頃もっと増えていただろう」と考えています。

ただし、アベノミクスが始まってから、税収が減ったということは全くありません。それは以下のグラフでも明らかです。


アベノミクスが始まって以来税収は増え続けています。しかし、なぜか26年6月あたりからは、上のグラフをみてもわかるように、対民間支出が減って、結果として増税+支出減の緊縮財政を行っています。これでは、景気が良くなるはずがありません。

これは、おそらく財務省による緊縮財政路線のためこのようなことになっているものと思います。安倍総理としては、10%増税阻止と、財務省のさらなる緊縮路線を打破するためにも、腹の中では衆参同時選挙も予定にあがっているものと思います。ただし、どのタイミングにするのか、機会をうかがっているということだと思います。

それにしても、民主党は最近は増税に反対のようですが、民主党のロジックでは、議員定数大幅削減がなければ消費増税しないというものです。自民党は、菅官房長官の発言にみられるように、税収が下がるくらいなら消費増税しないというものです。

民主党のロジックでは、消費税増税の前提として、国会議員定数の削減と軽減税率の撤回が必要で、これがある限り消費税増税は認められないというのですが、こは基本的に消費税増税は良いことで実施すべきことであることが前提であり、国会議員の定数削減と軽減税率の導入をしなければ賛成するってことです。

では、民主党の主張通りに、衆院議員の定数を10減らして、軽減税率を適用せずに全品目10%の消費税にしたとしたらどうなるというのでしょうか。

まずは、単純に議員定数を減らすのでは、憲法上の急務である一票の格差を是正するのはむしろ難しくなります。

そうして、軽減税率を適用せずに全品10%の消費税にしたとしたら、以下のグラフをご覧いただいてもおわかりのように、低所得層のほうが負担率が高くなるという逆進性がさらに高くなります。民主党は、このようなことは全く考慮に入れないのでしょうか。



そうして、10%増税をしてしまえば、ブログ冒頭の記事で菅官房長官が語るように、税収は下がることが十分見込まれます。同じ増税反対にしても、自民党ののほうが経済ロジックとしてまともです。

このような最初から崩れたロジックしか展開できない、民主党であれば、いくら維新の党と合流して、党名を変えたにしても、次の選挙で勝利することはかなわないと思います。

こうした状況をみていると、ますます今年の夏には衆参両院同時選挙の可能性が高まったようです。

ただし、一方で、同日選には反対論も根強いです。公明党は、同日選を極端に嫌っているます。支持母体の創価学会員は選挙のたびに、知人らに公明党候補(比例区では政党名)への投票を呼びかけます。一人ずつ、地道に支持を広げていきます。衆参同日選となれば、衆参両院で選挙区と比例、計4種の投票を頼まなければならないことになります。創価学会員の手間がかかり、負担が増えることは間違いありません。

それに、同日選になれば、有権者の関心は高まり、投票率が上がることになります。固い組織票に頼る公明党にとっては、投票率が上昇すれば、その分、投票総数に占める公明党の比率が低くなります。それも同日選を避けたい大きな理由です。

同日選で憲法改正を正面から訴えれば、護憲勢力が強く反発し、有権者の関心が高まって投票率がさらに上昇、自民党には不利に働くという見方もあります。

過去3回の総選挙の投票率(選挙区)と自民党の勝敗を見てみましょう。
▽2009年=69%、自民党119議席で惨敗、民主党政権誕生
▽2012年=59%、自民党294議席で圧勝、安倍政権誕生
▽2014年=53%、自民党290議席で再び圧勝、安倍政権存続 
要するに、自民党は低投票率の選挙で圧勝し、高投票率の時には敗れているのです。衆参同日選で憲法が争点となり、投票率が上がれば、自民党にとって有利とはいえない構図になります。ただし、2014年より、2012年のほうが投票率がわずかながら高いですが、それでも議席数は2014年よりは、2012年のほうが4議席多いです。この傾向は今後も続くのか、それを見極めるのは困難です。

さまざまな条件を考慮して、安倍首相が解散に踏み切るかどうかを決断するのは、春の大型連休の前後になることでしょう。4月24日投票の衆院北海道5区の補欠選挙の結果が、大きな判断材料になるとみられます。

町村信孝前衆院議長の死去に伴うこの補欠選挙には、自民党から町村氏の娘婿新人和田義明氏(44)が立候補する予定です。野党からは民主党系の女性候補が出馬し、共産党も支援する構えです。与野党一騎打ちの選挙で自民党が大勝利ということになれば、解散機運は一気に高まることになるでしょう。

和田義明氏
加えて、解散の判断を大きく左右するのは春先の経済情勢です。アベノミクスは、一本目の矢の金融緩和が効果を発揮したものの、二本目の財政出動に関しては、財政出動どころか、増税して緊縮財政を行い、さらに上のグラフでも示したように、26年6月あたりから、実質的に緊縮財政に入っています。

この状況を打開するためには、選挙の前に補正予算を組んで、大々的な経済対策を実行することが肝要です。できれば、最低でも10兆円規模の補正予算を組んで、経済対策を実施することです。

2016年春先になっても、8%増税の悪影響でマイナス成長が続き国民にとって景気回復の実感が薄ければ、安倍首相が衆院解散に踏み切れるような環境にはなりません。しかし、かといって、今の状況を放置しておき、17年度4月からの増税を実行すれば、日本経済はとんでもない状況陥り、失われた20年の再来となる可能性は十分あります。

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2016年1月2日土曜日

249人が出馬準備=自民、単独過半数も視野-今夏に参院選―【私の論評】慰安婦問題など当面脇に置け!まずは衆参同時選挙で似非リベラル・左翼を駆逐せよ(゚д゚)!

249人が出馬準備=自民、単独過半数も視野-今夏に参院選

 第24回参院選が今夏行われる。時事通信の調べでは、121の改選議席に対し、2日現在で249人が立候補を準備。前回2013年に大勝した自民党は27年ぶりの単独過半数も視野に入れるのに対し、民主党は野党共闘を通じて「自民1強」に歯止めをかけたい考え。選挙権年齢引き下げに伴い初めて投票に参加する18、19歳の動向も注目を集めている。

参院選は、選挙権年齢「18歳以上」を定めた改正公職選挙法が適用可能となる「6月23日公示、7月10日投票」以降の日程となる見通し。今回、定数是正により憲政史上初めて「鳥取・島根」と「徳島・高知」がそれぞれ合区され、選挙区は47から45に減少。宮城、新潟、長野の定数が各1減り、改選数1の「1人区」は前回の31から32に増える。一方、北海道、東京、愛知、兵庫、福岡は1ずつ増え、「複数区」のうち改選数3以上の選挙区は6から9となる。

自民党の非改選議席は65で、改選50議席に7上乗せすれば単独過半数(122議席)となる。候補者の擁立作業は順調に進み、唯一、未定の三重も近く内定する見通し。改選数3以上の選挙区のうち、北海道と千葉で2議席獲得を狙い、東京、神奈川でも2人目の擁立を模索している。公明党は選挙区7人、比例代表6人の計13人全員の当選が目標だ。

前回、結党以来最低の17議席(選挙区10、比例7)だった民主党は、勝敗を左右する1人区で野党候補が競合し、自民党を利するのを避けるのが基本戦略。これまで1人区に民主党系の無所属8人を擁立し、このうち熊本では野党各党が推す「野党統一候補」を実現させた。ただ、全体としては擁立作業は遅れ気味で、1人区は無所属を含めても12が未定だ。

共産党は、候補を取り下げた熊本を除き、42選挙区で既に公認を決定。野党統一候補の実現に向け、今後も積極的に取り下げに応じる構えだ。

おおさか維新の会と維新の党は、分裂騒ぎの影響で公認はゼロ。おおさかは年明けに公募を行い、近畿の2府4県とその他の複数区を中心に候補を立てたい考え。維新も複数区への擁立を模索する。社民党は選挙区2人、比例2人の計4人を公認。元気、日本のこころ、生活、改革の野党各党はいずれも公認を決めていない。 

◇立候補予定者の内訳(2日現在)
各党現有議席           立候補予定者
改選  非改選     計   選挙区  比例代表     計
自民     50   65   115    46    23    69
民主     42   17    59    26    20    46
公明      9   11    20     7     6    13
共産      3    8    11    42     8    50
おおさか維新  2    5     7     1     2     3
維新      4    1     5     1     4     5
元気      2    3     5     2     1     3
日本のこころ  1    3     4     1     0     1
社民      2    1     3     2     2     4
生活      2    1     3     1     1     2
改革      1    0     1     0     1     1
諸派      0    0     0    39     1    40
無所属     3    6     9    12     0    12
計     121  121   242   180    69   249

注=参院会派離脱中の山崎正昭議長、輿石東副議長はそれぞれ自民、民主に含めた。元気に離党届を提出した井上義行氏は受理されていないため、元気とした。(2016/01/02-16:05)

【私の論評】慰安婦問題など当面脇に置け!まずは衆参同時選挙で似非リベラル・左翼を駆逐せよ(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事では、参院選のことのみをとりあげていますが、このブログでは、昨年より何度か掲載してきたように、今年は参院同時ダブル選挙になる可能性が非常に高いです。

これに関しては、小沢一郎氏もそのように考えているようです。それについては、本日のニュースでも触れられていました。その記事のリンクを以下に掲載します。
「選挙のための野党連携で何が悪い!」 民主、維新からも“小沢シンパ”が出席
新年会で乾杯をする、生活の党と山本太郎となかまたちの
小沢一郎代表(右)と、山本太郎共同代表ら=1日午後、東京都世田谷区深沢
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事は、小沢一郎氏の発言として、以下のように締めくくられていました。
それに付け加えて申し上げますと、最近、この元日にも一部メディアが報じていますけれども、衆参のダブル選挙ということが少しずつ現実味を帯びてきたと思います。私は、今の野党の状況でいけば、ほぼ、ダブル選挙の可能性が強いのではないかなという気が最近してきております。 
そういう意味で、参院を目指す人だけではなくて、衆院を目指す人も、あと半年ですから、ぜひ全力で。野党協力がどうなんだとか、そんなことを思い煩っていたんでは、もう政治活動できない。どうなろうがこうなろうが、『今のままの政治じゃダメだ』という思いで頑張ってもらわなくてはなりません。 
野党が団結すれば全くこわくない。むしろ政権交代の最大のチャンスだ。私はそう思っております。ぜひ今年は、私も最後の気力を絞って、体力を絞って、皆さんとともにその目標に向けて頑張りたいと、そう思っております。
小沢一郎氏は、自民党や民主党などで選挙参謀をやっていたこともある人ですから、選挙の読みについては、定評があります。ただし、読みがあたっていることと、票数を増やすということは別でしょうが、小沢氏に限らず、最近では衆参同時選挙になると予想する人がかなり増えています。

私も昨年は、このブログに衆参同時選挙になりそうなことを何度が掲載し、さらに衆参両院選挙になった場合の与野党の議席がどうなるかについても掲載したことがあります。

その記事のURLを掲載します。
「ダブル選」大予測 自公の圧勝、野党は壊滅…おおさか維新協力なら憲法改正も ―【私の論評】与党圧勝の真の背景はこれだ(゚д゚)!
安倍首相(左)は、憲政史上3度目の衆参ダブル選挙に踏み切るのか。
民主党の岡田克也代表(右)は、「一強自民」にどう立ち向かうのか
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に選挙予測に定評のある政治評論家の浅川博忠氏にシミュレーションを掲載します。



このシミレーションでいくと、衆参両院とも与党が大圧勝ということになります。最近の、安倍政権の支持率の回復率からみると、本当にこれくらい圧勝するかもしれません。

しかし、昨年の暮れの、慰安婦問題の日韓合意に関して、保守層から怒りの声が上がっています。

それに関しては、古谷経衡氏が分析を行っています。それに関する記事のリンクを以下に掲載します。
「慰安婦日韓合意」で保守派激怒の理由と背景
古谷経衡氏
私自身は、慰安婦問題に関する古谷氏の見解には全面的には、与するものではありませんが、この記事の最後の以下の部分に関しては、ほぼ賛同します。
安倍政権への打撃はあるのか? 
今回の慰安婦日韓合意で、強硬な保守派から向けられた安倍総理への批判や失望は、第一に安倍政権にとっての打撃になるのか。また第二に、安倍総理がこのような強硬な保守派から「見限られる」という事態につながるのだろうか。
まず第一についてだが、仮に強硬な保守派全部が今回の慰安婦日韓合意を機に「反安倍」に鞍替えしたとしても、政権への影響は「まったくない」という風に評価できる。なぜなら、前述してきたネット右翼を含む強硬な保守派の人数はおおよそ全国で200万人前後で、かれらが議席に与える影響は『日本のこころを大切にする党(旧次世代の党)』の現有議席と趨勢をみれば明らかであるからである。 
この辺りの実態は、私が拙著『ネット右翼の終わり(晶文社)』やYAHOO!ニュースの別稿等で繰り返し主張してきたとおりで、仮に「ネット右翼を含む強硬な保守派の総離反」が起こったとて、政権への影響は極めて微弱かゼロである。 
安倍総理は「見限られる」のか?
そして第二については、そのそもこうした強硬な保守派が「反安倍」に鞍替えすることは、まず考えにくいという事実だ。遡れば、保守派が安倍総理に「深い失望」を表明したのは何も今回だけではない。 
自民党が2012年12月に政権党に返り咲く前の段階でマニフェストに記載していた「竹島の日式典の政府主催」「尖閣諸島への公務員常駐」への強硬な保守派の期待は相当なものであったが、第二次安倍政権がスタートしてまもなくの2013年2月22日(竹島の日・竹島の日式典)が、政府主催ではなく従来と同じ島根県主催のものであった事実は強硬な保守派を落胆させ、一部の右派活動家らが首相官邸前で抗議活動をするなど事態はエスカレートした。

その時も今回と同様、「安倍に裏切られた」の怨嗟の声は多数あったが、強硬な保守派の受け皿が自民党しか無いため、結局彼らの多くは安倍支持を継続したという経緯がある。 
ここには、「社民」「共産」といったリベラル勢力が小さいながらも国政政党を保有し、彼らの政治的主張の受け皿を担っているのに対し、強硬な保守派の政治的受け皿が、ほぼネット空間にしか存在しなかったという歴史的経緯が影響している。唯一、2014年後半に旧次世代の党がその役割を担ったものの、すぐに瓦解してしまった。 
自らの政治的主張を代弁する国政政党を持たない強硬な保守派は、例え自らの理想とする「真の保守的世界観」から安倍総理が現実主義を採用して遠のいたとしても、安倍総理を支持するしか方策はなく、よって「見限られる」という事態につながるとは考えにくい。 
強硬な保守派が「一丁目一番地」としてきた慰安婦問題は、大きく動いた。今後、日本大使館前の慰安婦像の撤去(移転)が実現するかどうかが愁眉の問題となるが、これが近い将来実現するとなると、強硬な保守派も一定溜飲を下げることとなり、結局は従前よりも増して強固な安倍支持の特性を色濃く持つだろうと予想される。
 昨日も掲載した、保守言論人の倉山満氏も、本日の自身のブログ「砦」で安倍政権擁護の立場を明確に語っています。

詳細は、このブログ記事を読んでいただくものとして、以下に結論部分を掲載しておきます。
 では安倍内閣の敵は誰か。 三つに分けて考える。 
一、日韓合意以前から安倍内閣を敵視していた論者(アンチ)二、日韓合意以前から盲目的な安倍支持を訴えている論者(信者)三、日韓以後に安倍敵視を明確にした論者(裏切り者)  
まず、アンチ。日韓合意以前から安倍内閣を敵視していた論者に対して。  
 彼らはサヨク(リベラル)だけではない。 保守を標榜する勢力にもいる。この人たちに申しあげたいことは一つ。代わりは誰だ?
 安倍首相を批判するのに代案が無いのでは話にならない。 
 彼らが如何に安倍内閣の非をならそうが、代案が無いのならそれでもしかたがないとしかいいようがない。 
 現状を批判するのに代案が無ければ現状維持しか方策は無いからだ。 
 これは安倍内閣が正しいかどうかではなく、批判者の責任だ。 次に、信者。日韓合意以前から盲目的な安倍支持を訴えている論者に対して。 
 申し訳ないが、この状況で「信じろ」「支持しろ」と言われても無理。 
 韓国以外の国に飛び火し、保守勢力も分裂している。この結果に対し、明確な責任を表明しない限り無理。「いいか悪いかわからないから支持しよう」では、保守の最低半分は納得しない。 
 盲目的な支持を強いる姿勢こそが保守分断に拍車をかける。現に第一次内閣の時がそうだった。第一次内閣でブッシュが日韓妥協を強いた時にデモをした団体を調べてみればよい。前回は産経こそ最後まで安倍支持をしたが、今回は片足を抜いている。 
 楽観できる要素など何もない。特に、総裁選直後に「これで三年は安泰だ」と述べた論者は、なぜそんな強い政権がこんな体たらくになったのかを事実に基づいて述べるべきだ。 
 最後に、裏切り者。日韓合意以後に安倍敵視を明確にした論者。昨日まで「安倍で商売をしていた奴」は論外。単なる卑怯者なので語るに値しない。 
 さらにその上で、総裁選直後に「これで三年は安泰だ」と述べた論者は、なぜそんな強い政権がこんな体たらくになったのかを事実に基づいて述べるべきだ。 
 また、昨日まで自分が支持してきた責任も語ってもらわねばならない。 
 以上の三つの立場を排撃する立場で、それでも私はあえて安倍内閣を応援する。 
 理由は一つ。よりマシな代わる人がいないから。  政治とは理想を求めるものではなく、よりマシな現実を求めて行うもの。だからよりよい代案が無い限り、現状を支持するしかない。ただし支持と言っても、盲目的な支持ではなく、批判すべきはする。 
 失敗は失敗だとはっきり言う。そういう応援の仕方をする。よって、以上の三つのすべての立場と一線を画する言論を行う。アンチとも信者とも裏切り者とも違う、安倍擁護論として。
倉山氏の主張はもっともなことです。もともと、現実世界では、何から何まで、自分と考え方が同じ他人などというものは存在しないのが当たり前です。

それがさらに、政治の問題・課題ともなれば、自分と何から何まで、主張が同じ政治家や政党が存在するということはありえません。

何から何まで、同じとか、何も疑問を感じないというのなら、それは本当は政治的考えなど何もなく、安保法案を「戦争法案」などとして、誰かから扇動されているだけの似非リベラルということかもしれません。はっきりした考えもなく無意味な行動をしているだけかもしれません。

それに、何から何まで、成功し続ける政治家というのもいません。人間のやることですから、失敗することもあります。そうして、いつも失敗し続ける政治家も滅多にはいないです。

政治家や政治に期待するときも、企業家の行動を判断するときと同じような尺度で見るべきです。その尺度とは何かといえば、野球でいえば、打率です。

打率の高いバッターを優秀なバッターとするように、打率の高い政治家や、政党を評価すべきです。自分にとって、相対的に打率の高い政治家や、政党を支持すべきです。

そうして、今は慰安婦問題の日韓合意で、激怒している保守の方々に言いたいことがあります。

それは、慰安婦問題など当面どうでも良い!まずは衆参同時選挙に備えよ!ということです。

考えてみれば、韓国など取るに足らない国です。もともと、韓国経済がまともだったときですら、韓国のGDPは東京都と同じ位の規模です。経済的には、とるに足りない国です。人口も、韓国は4000万人台です。軍事的にも取るに足りない国です。

日韓が戦争になったとしたらなどの仮定の話を言う人もいますが、韓国が日本に戦争をしかけてくるようなことはありえないでしょう。もし、本当に戦争をしたら、韓国は日本に全く勝ち目はありません。そのことは、韓国政府や軍部自身が良く知っているでしょう。

このような国を過大に評価して、大騒ぎをする必要などありません。極端なことをいえば、韓国と国交を断絶したとしても、韓国にとっては大事ですが、日本にはほとんど影響などありません。これからも、慰安婦問題の蒸し返しや、非合理的な反日をやるなら、国交を断絶さえすれば、韓国はひっくり返るでしょうが、日本への影響は軽微です。

まずは、国内の選挙が大事です。今年の選挙は、与党側の大勝利になりそうですが、これは過去の選挙をみてもわかります。これは、ある意味では、もう流れができあがっていて、後は徹底的に野党を完膚なきまでに追い詰める戦いではないかと思います。

戦争でいえば、もうこれは追撃戦ではないかと思います。戦いで最も楽しいのは追撃戦です。ここで保守の人達は仏心を一切出さず、阿修羅の心でやっつけましょう。こんなときに、韓国風情のために、仲間割などしている場合ではありません。一致団結して、徹底的に追撃し、徹底的に殲滅し、似非リベラル・左翼野党を粉々に粉砕して、1議席でも多く奪い取り、日本でも本当の意味でリベラルそうして、保守の政治風土を醸成できるようにすべきです。

選挙で大勝利を収めてから、日韓合意の問題について、考えても遅くはありません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年12月2日水曜日

「最低賃金1000円」の目標 枝野氏は「民主党は正しかった」というのだが… ―【私の論評】また、民主党幹部のマクロ経済音痴炸裂!このままだと来年の衆参同時選挙で民主両院同時崩壊だ(゚д゚)!


2015.12.02

ZAKZAK連載:「日本」の解き方


安倍晋三首相が最低賃金の全国平均を1000円とする目標を表明したことについて、民主党の枝野幸男幹事長は「民主党政権で定めた目標そのものだ。民主党の経済運営は正しかったと明言してもらいたい」と批判したという。

民主党の鳩山由紀夫政権当時の2010年6月、当時713円だった最低賃金の全国平均を20年までに1000円に引き上げる目標を決定したことを指しているようだ。

最低賃金についてはいろいろな意見がある。右の代表として「最低賃金があると、失業が増えるから決めるべきでない」という意見がある。左からは「労働者のために最低賃金を高くすべきだ」というものもある。

一部の経済学者が考えるほど、労働市場は完全雇用(働く意思と能力のある人が全員雇用されている状態)ではないので、最低賃金は失業を生むほど悪いものではない。しかし、実際の労働市場を無視して最低賃金を高くすれば、実体経済に悪影響が出てくると思われる。

実際の日本の最低賃金は、ほぼ前年の失業率に応じて決まっている。つまり、失業率が高いと最低賃金の上昇率は低く、失業率が低いと最低賃金の上昇率は高くなる。最低賃金も雇用環境を反映して実際の賃金と似た動きになっているのだ。つまり、金融政策でよい雇用環境を作れれば、翌年の最低賃金を引き上げられるというわけだ。

民主党政権時代、最低賃金1000円という目標があったのは事実であるが、まともな金融政策をしていなかった。その結果、傾向的に就業者数は30万人程度減少した。それに比べて安倍晋三政権では金融政策はしっかりしているので、就業者数は100万人以上増加している。

賃金の動きは、就業者数が増加して、失業率が完全雇用状態に近づくと、急に伸びてくる。

しかし、民主党時代は就業者数が減少していたので、そこで最低賃金を引き上げるという目標は、企業側に過度な負担を与えるだけであるので、経済政策としてはまずい。

一方、安倍政権では、きちんとした金融政策が行われた結果として就業者数が増加しているので、賃金はおのずと上昇に向かうはずだし、最低賃金を引き上げても企業にとって過度な負担とはならず、労働者にとっても労働インセンティブ(動機付け)を増すという意味で、整合的な政策になる。

民主党枝野幹事長

はっきりいえば、民主党時代の最低賃金目標はいいとしても、それを達成する政策手段を取り違えていた、つまり民主党の経済運営はまったく間違っていた。枝野幹事長はかつて、「経済成長のために金利を引き上げるべきだ」との見解を示していた。そのような金融政策の元で強制的に最低賃金を引き上げたら、さらに経済は悪化する。

その証拠がある。民主党時代の2010年、最低賃金を730円、前年比2・4%と大幅に引き上げた。しかし前年の失業率は5・3%と高かったので、就業者数の増加を妨げてしまった。本来は引き上げ率を0・5%程度にとどめるべきだった。政策の無知が生んだ失敗だといえる。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】また、民主党幹部のマクロ経済音痴炸裂!このままだと来年の衆参同時選挙で民主両院同時崩壊だ(゚д゚)!

この枝野の発言本当に、呆れて二の句が継げません。このような発言、たとえば同じ民主党では、金子洋一議員あたりの発言ならまだ許せますが、枝野の発言では、まるで恥の上塗りをしているようなものです。

それに、同じ発言をするにしても、金子洋一議員ならもっとまともな発言をすることでしょう。

ちなみに、金子洋一議員は、民主党の中では、私は一番まともに、マクロ経済を熟知していると思います。馬渕議員あたりもそうですが、やはり金子議員が一番だと私は思います。

それについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【日本の解き方】経済予測をことごとく外してきた面々は合理的な推測をしているのか―【私の論評】奴らは論評をしているのではない!論病に過ぎない(゚д゚)!
金子洋一参議院議員
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、金子洋一議員のマクロ経済に関する知見について関する部分のみ以下に掲載します。
民主党の金子洋一参院議員はツイッターで、「日経平均、続伸し15年ぶり2万円乗せ。わが国経済のためにまずは喜ばしいこと。やはり債券を主に買い入れ、株式を含む実物資産に民間資金をシフトさせる日銀による金融緩和の力は大きかった。われわれが提言したとおり、民主党政権でこれをやっていれば、経済の回復はより早かった。残念だ」とつぶやいた。彼の行動を知る筆者としても同感だ。
 金子議員のこの発言は、本当にまともで、マクロ経済を熟知している人なら、誰もがこのような考えを持ったことでしょう。

株価一つとっても、民主党政権時代と現在の安倍自民党政権の間には、隔世の感があると言っても過言ではありません。株価が多少さがると、マスコミや似非識者どもはやれ株価が下がった、アベノミクスがどうのと宣うのですが、本当に異常なことです。

彼らには、こう質問したいです。「では安倍政権の時代の株価、民主党政権の時代の株価を比較してみたことはあるのか?」と。その比較をしたグラフを以下に掲載します。


2013年の後ろのほうと民主党政権を比較すると、安倍政権時代には最低になっても、もう勝負あったという感じです。もう完璧に民主党政権時代は、安倍政権時代よりも株価が圧倒的に低迷していた事がよく理解できます。平成13年度に安倍政権に変わってから、今にいたるまで、一度も民主党整形時代の水準に戻ったことはありません。

そうして、雇用に関しても、あまりにもはっきりしすぎでいます。以下にこれもグラフを掲載します。これも勝負あったという感じてす。



現実の日本の最低賃金は、ほぼ前年の失業率に応じて決まっています。してがって、失業率が高いと最低賃金の上昇率は低く、失業率が低いと最低賃金の上昇率は高くなります。最低賃金は、雇用環境を反映して、実際の賃金と似たような動きになっています。この意味で、日本の最低賃金の決定は、穏便なものといえます。

この雇用環境と最低賃金の穏便な関係によれば、金融政策で良い雇用環境を作ることができれば、翌年の最低賃金を引き上げられるということにもなります。

民主党時代の「最低賃金引き上げ」という目標自体はいいとしても、民主党は、それを達成する政策手段を取り違えていました。

枝野幹事長は「経済成長のためには金利を引き上げるべきだ」といっていました。このような誤った金融政策の下で、強制的に最低賃金を引き上げるようなことをすれば、さらに経済が悪化するのは当然のことです。



それは、上に掲げた最低賃金とその前年の失業率の関係に示した図の数字からもわかるわかることです。グラフを見ると、明らかに前年の失業率が低いと最低賃金率の上昇率(縦)が高いことがわかります。

もしその当時、民主党幹部に正しい経済政策を主張する金子議員などの言うことに耳をか傾ける度量があれば、まずは金融緩和を実施して、就業者数を増やし失業率の低下を待って、最低賃金を引き上げるという戦略をとったはずです。これは、全くマクロ経済政策音痴が生んだ悲劇に他なりません。

マクロ経済政策を理解していれば、金融緩和すると一定のタイムラグがって、一定期間後に雇用が増加するということは常識です。雇用が増加しているときには、新規雇用者の賃金は一般的に低いですから、賃金はすぐに上昇せずむしろ低下することもあります。

しかし、完全雇用の状態に近づくにつれて、今度は賃金が伸び出します。これはマクロ経済的なメカニズムですが、その前に政治的に賃金上昇すべきというメッセージを送るのは、戦略として合理的です。

この点について、雇用を守ることを重視しているはずの民主党はまったく経済音痴で、あ手順が前後していましたた。金融緩和してまず雇用量を増加させであり、その次に賃金とすべきです。枝野氏が主張するように、先に最低賃金1000円などとするのは、全くの誤りでした。

金融緩和を実施して、雇用者数が増えてから、賃金を上げるべきなのに、民主党政権時代は当時の白川日銀総裁のいいなりで、金融緩和のチャンスを逃がしつづけました。

ブログ冒頭の記事の、枝野の発言を見る限り、枝野はその失敗が原因となって政権交代につながった、という事実をいまだに認識していません。

安倍政権も、2四半期経済成長がマイナスになるなど、経済政策では「消費増税の失敗」という手痛いミスをしています。しかし、金融緩和を継続しているので雇用環境はまだ良好で、致命的なミスには至っていません。

来年夏の参院選挙時に、安倍政権が消費増税を再び先送りを公約に掲げ、経済政策の失敗をカバーすることになれば、経済政策で民主党は対抗できません。もし、衆参ダブル選挙になったら民主党は、衆参両院ともダブルで敗戦するのは必定です。

私自身は、最近のこのブログに掲載したように、来年の選挙は、衆参同時選挙になるのはほぼ確定とみています。そうなれば、民主党は敗戦とはいっても、それこそ、社会党がPKO法案成立の直後の選挙で、凋落したように、大敗北となる可能性も大です。

民主党も、安保法案では、「戦争法案」というレッテル貼りで、かつての社会党がPKO法案に反対したように安保法案に反対しました。しかし、無論のこととして、来年の選挙のときなどに、日本が戦争をするということはないので、マスコミも選挙戦のときには、これを話題にしないでしょう。

実際、過去の選挙のときには、自民党は、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使を含む安保法制の成立を公約としていたのですが、マスコミはそれをほとんど話題にしませんでした。

私は、歴史は繰り返すと思います。そうなると、民主党は地すべり的なダブル敗戦に見まわれ、かつての社会党のように凋落することになると思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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