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2017年10月18日水曜日

【激闘10・22衆院選】自民危ない与野党大接戦の59選挙区 立憲民主追い風、失速から挽回試みる希望 選挙プランナー分析―【私の論評】実体は民主党菅政権の立憲民主党に引導を渡せ(゚д゚)!

【激闘10・22衆院選】自民危ない与野党大接戦の59選挙区 立憲民主追い風、失速から挽回試みる希望 選挙プランナー分析

希望の党の失速で、枝野代表率いる立憲民主党は
躍進の勢いだ=17日午前、東京都葛飾区
10・22衆院選の投開票日まで1週間を切った。報道各社は中盤情勢について、「自公3分の2超へ」(産経新聞17日付朝刊)、「自民 最大300超も」(毎日新聞16日付朝刊)などと、安倍晋三首相(総裁)率いる自民党の優勢を伝えているが、選挙は投票箱のフタが閉まるまで分からない。夕刊フジで、選挙プランナーの松田馨氏に情勢分析を依頼したところ、何と59選挙区で与野党候補が大接戦を繰り広げていた。失速からの挽回を試みる小池百合子代表(都知事)の希望の党や、野党第1党をうかがう枝野幸男代表の立憲民主党…。自民党は16日夜、50超の選挙区を「重点区」に指定し、党幹部や閣僚らの投入を決めた。激戦区の勝敗次第では、選挙結果は大きく変わる。

 「前回衆院選(2014年12月)で、小選挙区でも敗れながらも、比例復活した候補がいる選挙区が激しく競り合っている。報道各社が『与党優勢』と中盤情勢を伝えており、アナウンス効果で有権者の投票行動に影響を及ぼす可能性が高い。今後、与党幹部のちょっとした失言が命取りになることもある」

 松田氏は16日、こう語った。最新の情勢分析では、289ある小選挙区のうち、59選挙区で与野党候補が拮抗(きっこう)していた。自民党の「優勢予測」など、一気に吹き飛びかねない僅差といえる。

 注目の59選挙区は別表の通り。


 松田氏は激戦都府県として「東京」「神奈川」「山梨」「新潟」「愛知」「大阪」-を挙げた。大まかな傾向として、(1)激戦区では、立憲民主党がやや優勢(2)希望の党は他党の差別化で苦戦(3)民進党出身の無所属が底力を見せる-などだ。

 東京では、小池氏率いる希望の党の失速が大きい。小池氏の衆院議員時代の地盤・東京10区を引き継いだ若狭勝氏までが「やや劣勢」で、小池氏と二人三脚で追い上げを図っている。小池氏は豊洲移転問題で、石原慎太郎元都知事を激しく攻撃した。石原氏の3男、宏高元内閣府副大臣も当初、東京3区で劣勢が伝えられたが、「やや優勢」に盛り返してきた。

 希望の党の劣勢は、全国に及んでいる。大島敦・元民進党幹事長(埼玉6区)や、山井和則・元民進党国対委員長(京都6区)、馬淵澄夫・元民進党選対委員長(奈良1区)も「やや劣勢」だ。

 大阪では、前職3人が激突する大阪11区が注目される。

 自民党の佐藤ゆかり元経産政務官と、無所属で出馬した平野博文元官房長官、「Dr・イトー」としてメディアの露出度も多い日本維新の会の伊東信久氏が三つどもえの戦いを演じている。佐藤氏が「やや優勢」だが、維新のおひざ元だけに、最後まで分からない。

 このほか、与党大物としては、鈴木俊一五輪相(岩手2区)や、金田勝年前法相(秋田2区)もギリギリの戦いだ。

 過去にも、中盤情勢で「与党圧勝」が伝えられながら、最後に大負けした選挙がある。2000年6月の「神の国解散」だ。報道各社は、自民党が単独で安定多数(260議席、当時)を確保し、自民、公明、保守党の与党3党で300議席に迫ると伝えていた。

 ところが、森喜朗首相が投開票日の5日前、「無党派層は寝ていてくれれば」と、日本選挙史に残る大失言を炸裂(さくれつ)させ、有権者の強い反感を買った。投票率も上昇し、自民党は小選挙区と比例合わせて233議席となった。事前予測よりも二十数議席減となり、森氏の求心力は低下し、翌年2月の退陣へとつながった。

 有権者の投票行動を左右するアナウンス効果も気になるところだ。

 劣勢と伝えられた候補や政党に支持が傾く「アンダードッグ効果」が働けば、野党側に有利となる。反対に「勝ち馬に乗ろう」として、優勢と報道された政党や候補者に投票しがちになる「バンドワゴン効果」が出れば、与党が有利なまま選挙戦を終える。

 松田氏は「アナウンス効果がどう出るか、正確に分析するのは難しい。ただ、有権者の間には『自民党の勝ち過ぎ』に警戒感が広がっているのは間違いない。野党では、立憲民主党に行った民進党出身者が支持を集め、各選挙区で善戦している。一方、希望の党に行った候補は苦戦している。野党でも明暗が大きく分かれているようだ」と語った。

 夕刊フジは前回予測(10日発行)で、いち早く、「自民、公明両党で300議席を超える」可能性を報じた。希望の党の失速で「政権交代」の可能性が後退し、有権者の衆院選への関心が低下し、投票率が下がり、自民党に消極的支持が集まり、議席数を伸ばす-という分析だ。

 現状では予測に近いが、「火事は最初の5分、選挙は最後の5分」といわれる。少しの油断が有力視されていた勝利を逃し、最後まで諦めない姿勢が大逆転を現実にする。

 官邸に近い関係者は「あまりにも無風過ぎて怖い。これまでも、ちょっとしたことが大きな反動になったことがある。気を引き締めなければならない」と語った。

【私の論評】実体は民主党菅政権の立憲民主党に引導を渡せ(゚д゚)!

都内では、立憲民主党の動きが活発です。以下に都内の、選挙戦の状況をまとめておきます。

25選挙区中、与党が20の選挙区で優位に立つ。野党は、立民が5選挙区でリードする健闘をみせ、都知事の小池百合子が代表を務める希望は苦戦しています。

※「接戦」「競り合う」「互角」等の表現は、名前が前の方が僅かにリードしている状況を指します。

1区は、前回は民主党代表ながら落選した立民海江田が優勢に立ち、自民山田が追っています。

「安倍さんの歩いてきた4年10ヶ月はことごとく憲法を踏みにじった足跡だ!!」と訴えた海江田氏
2区も、立民松尾が自民辻をわずかに先行、希望鳩山は支持の広がりに欠けています。
自民辻氏に先行する松尾あきひろ氏
3区は自民石原が過去5回競り合ってきた希望結党メンバーの松原をリード。

4区は自民平が圧倒しています。

5区は、立民手塚と自民若宮が競り合う。自民から希望に移り国替えした福田は劣勢を強いられています。

自民若宮氏と競り合う立憲民主党手塚よしお氏 民主党時代のポスター
6区は、立民落合が左派系の票も取り込んでいるが、自民越智が優勢です。

7区は、知名度の高い立民長妻が優位に立ち、自民松本が追いかけている。希望荒木は失速気味です。

立憲民主党代表代行の長妻氏
8区は自民石原が立民吉田、希望木内を寄せ付けず圧倒しています。

9区も自民菅原が大きくリードしています。

10区は、自民鈴木が三つどもえの激戦から一歩先行、立民鈴木、希望若狭が追いかけています。

11区は自民下村が8選に向け他候補を圧倒。

12区は、公明太田が自民票も取り込み優位に立ち、共産池内は政権批判票の上乗せで激しく追っています。

13区は自民鴨下、14区は自民松島がともに優勢。15区も自民秋元が希望柿沢を引き離しています。

16区は、立民初鹿と自民大西が互角の戦い。希望田村は伸び悩んでいます。

自民大西氏と互角の戦いをする立憲民主党初鹿氏
17区は自民平沢が圧倒。18区は、自民土屋が優位に立つ中、立民菅が激しく追っています。

19区は自民松本が頭一つ抜け出し、立民末松が追う。20区は自民木原が大きくリードしています。

21区は自民小田原が希望長島をわずかに上回っています。

22区は自民伊藤が立民山花を抑えています。

23区は自民小倉を希望伊藤が追う。24区は自民萩生田、25区は自民井上がそれぞれ優勢です。

※希望の党の東京比例復活枠は現在の情勢だと3議席しかないので、長島・松原・柿沢・伊藤の惜敗率次第では若狭は比例復活すらできない可能性もあります。

最新のJX通信社 衆院選第4回情勢によれば、立憲民主党に無党派・政権不支持層から最多の支持を得ているそうです。

報道ベンチャーのJX通信社では、9月下旬以来毎週、東京都内で衆院選情勢調査を実施しています。10月14日(土)・10月15日(日)の両日に実施した最新の調査(第4回)では、比例東京ブロックでの投票意向首位は自民党で30%(1ポイント増)となる一方、第2党として立憲民主党が23%(5ポイント増)で続きました。2週間前の前々回調査で首位だった希望の党は2週続けて投票意向を減らし、16%(前回比2ポイント減)にとどまりました。

支持政党別では、支持する政党はないとしたいわゆる無党派層が30%(前回比4ポイント減)、自民党が28%(2ポイント増)となった他、立憲民主党が19%(4ポイント増)、希望の党が11%(2ポイント減)、共産党が6%(1ポイント増)と続きました。
東京都内では投票意向先、政党支持率ともに立憲民主党が希望の党を大きく上回り、第2党の位置を占める傾向が明確になったと言えます。
加えて注目すべきなのは、無党派層の投票先です。無党派の有権者に比例代表東京ブロックでの投票意向先を聞いたところ、最多となったのは立憲民主党の17%でした。前回まで無党派層で最多の支持を集めていた希望の党は16%となり、立憲民主党を1ポイント下回りました。
立憲民主党は安倍政権を支持しないとする「政権不支持層」からも最多の支持を得ており、東京都内では非自民・反政権票最大の受け皿となりつつあります。

希望の党を率いる小池百合子知事の東京都内での支持率は前週比3ポイント減の34%でした。不支持率は59%となり、今年1月の都内での調査開始以来最も高くなっています。対する安倍政権の支持率は41%で、不支持率は54%でした。

今回の調査に加え、過去の選挙結果や調査データをもとに衆院選比例代表東京ブロックでの各党の獲得議席(定数17)を予測したところ、自民党が6議席を固め、最大で8議席までの伸びしろがある状態で第1党となる可能性が高いです。続く第2党は立憲民主党で現状4議席を固めており、最大で6議席まで獲得できる可能性があります。希望の党は3議席を固めたが上限は届いても4議席と見られ、共産党と公明党はそれぞれ1~2議席にとどまりそうです。日本維新の会は1議席を獲得できるかどうか微妙な情勢です。


また、東京都内に25ある小選挙区では、支持を伸ばしている立憲民主党の候補が自民党候補と接戦になっている選挙区が複数あり、情勢が注目されます。東京の25小選挙区のうち、各党で獲得が見込まれる選挙区の数は上図の通りです。昨年の参院選では、事前の情勢分析の相場観よりも1人区で自民党候補が敗北するケースがやや多くなり「取りこぼし」を指摘されました。立憲民主党の候補擁立に関しては、公示間際に「野党共闘」の枠組みで共産党が候補を下ろした選挙区もあります。立憲民主党への支持が短期間で伸びたことで、東京都内の小選挙区でも同様の自民「取りこぼし」の現象が生じないか注目されます。

上では、立憲民主党の都内での状況をお伝えしましたが、この傾向全国に波及する可能性もでてきました。

それにしても、都内の無党派層の方々は、立憲民主党とは何者なのか理解されているのでしょうか。

そもそも、代表の枝野幸男は極左暴力集団革マル派からの資金提供について答えてないですし、立憲民主党は菅・枝野・辻元・長妻など菅内閣のメンバーそのままです。しかも菅は菅政権は良かったと未だに言っています。過激派との関係も深刻です。いわゆる彼ら支持する市民とは過激派かもしれないです。違うと言うなら枝野は革マルとの関係等を選挙前に説明すべきです。

有権者その中でも無党派層のみなさん 騙されてはいけません。 民進党は 「希望の党」と 「立憲民主党」の二つに分裂し 2種類の党名を名乗っていますが いずれにしても 元は”あの民進党”です そのことをお忘れなきように。


それは、立憲民主党の手作りの選挙カーをみてもよくわかります。以下に手作り前と、手作り後の写真を掲載します。

改造前
 
改造後
立憲民主党の生い立ちは、衆院選で民進党ではほとんどの議員が、当選できないことが予想されたため、 民進党の両院総会において、満場一致で希望の党へ の合流を決めました。 このときには、辻本議員も「小池さんは日本のメルケル、シンパシ-を感じる」と発言しました。 ところが、小池さんにゴミはいらんと廃除されました。その途端に 「 小池はクズだ!無所属出馬だ!  でも多くの議員が、無所属しんどい大変だということになり、 そうして、そのようなゴミの受け皿として、立憲民主党旗揚げされました。立憲民主党は、 まったく筋の通らない、ゴミのような人たちの集まりなのです。

そうして、このゴミと過去を比較すると、過去最悪の民主党菅内閣の主要閣僚が立憲民主党のメンバーであることがわかります。


このような立憲民主党は衆議院で日本を機能不全にできる拒否権(1/3)を狙っているとしか思えません。国会で、拒否権を発動されたら、日本は何もできなくなるかもしれません。しかも、共産党と希望の造反組と合算でそれを狙っているのでしょう。何が何でも、改憲を阻止したいのです。彼らは、かつての民進党と同じように考え方がバラバラなのですが、ここだけは一致しています。

立憲民主+希望+共産党の勢力が衆院で、本当に1/3以上になり、国会で拒否権を発動できるようになれば、いわゆるねじれ国会どころではありません。北朝鮮対応も満足にできなくなり、韓国、北朝鮮の思うがままにあしらわれるようになるかもしれません。そうなれば、米国などからも見放されます。そうなれば、日本は韓国・北朝鮮の属国になってしまうかもしれません。そうなれば、最終的には中国の餌食になるしかなくなります。これが、彼らの狙いでしょう。

この立憲民主党の動きは、いつか通った道を思い出させます。そうです。 8年前マスコミにだまされて出来た民主党政権の暗黒時代です。立憲民主党あの民進党の菅内閣と同じ顔ぶれです。 経済も日米同盟も他国のとの外交もぼろぼろになり、 中国と朝鮮半島は大喜びしました。現在は、やっと安倍政権が民主党政権でボロボロになった日本を立ち直らせている途中です。 立憲君主党を支持する人々は、また地獄に自ら落ちに行くつもりなのでしょうか。そこまで、考えていないというのなら、考え直すべきです。

だからこそ、自公圧勝報道に騙されるべきではありません。自公は最後まで手を抜かないで、取りこぼしのないようにしていたただきたいです。

そうして、有権者は過去の民主党の亡霊のような立憲民進党に今回の選挙で、引導を渡すべきです。
民主党菅政権

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2017年10月11日水曜日

【ニュースの核心】脅威は北だけではない 小池氏は衆院選操る「暗黒政治家」 適当な人物を首相指名し自分は黒幕に―【私の論評】危機に対応する真のリーダーの姿勢とは?

【ニュースの核心】脅威は北だけではない 小池氏は衆院選操る「暗黒政治家」 適当な人物を首相指名し自分は黒幕に

金正恩
 いま日本は「戦後最大の危機」を迎えている。朝鮮半島情勢が一触即発の状態にあるからだ。そんななか、日本の将来を決める衆院選が10日公示された。私たちは何をどう判断すべきなのか。

 まず、「何を」についてだ。それは消費税の使い道とかアベノミクスではない。何より「日本の平和と安全」である。

 問題を難しく考える必要はない。国の平和と安全が守られなければ成長も繁栄もないからだ。

 日本はいま中国と北朝鮮に脅かされている。北朝鮮は言うに及ばず、中国も沖縄県・尖閣諸島周辺に公船や軍艦を派遣して、隙あらば島を奪取しようともくろんでいる。この現状認識が出発点になる。

 この危機認識を共有できず、「中国も日本と平和共存を望んでいる」などと考える能天気な人々は論外である。これだけで、怪しさを見破れる政治家や政党もあるはずだ。

 では、日本はどう中国や北朝鮮の脅威に対処するのか。

 残念ながら、単独では対抗できない。毎年の中国の軍事費は日本の4倍近くに上り、ベースになる経済力は2倍以上に達している。

 仮に、軍事衝突が起きたとしても、日本は攻撃能力を保有していない。だから攻撃力を持つ米国との同盟を基軸に対抗するしかないのが現状なのだ。ところが、野党は何を言ってきたか。

 ここから「どう判断するか」の問題になる。野党は日米同盟を強化する安全保障関連法に反対し、自衛隊明文化という最小限の憲法改正にも反対してきた。

 本当を言えば、立憲民主党を結成した枝野幸男代表や、民進党を壊した前原誠司代表は月刊誌への寄稿や自分のブログで、実は改憲に賛成していた。

 希望の党に駆け込んだ民進党出身の前議員たちに至っては、「安保関連法反対、改憲反対」を絶叫していたのに、議員バッジ欲しさに一夜にして寝返って支持者を裏切った。

 こうした野党議員は「確固たる信念を持った政治家かどうか」という基準に照らせば、容易に判断できる。

写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 希望の党の小池百合子代表(都知事)は立候補を否定した。選挙後の首相指名で「誰に投票するか」については明言を避け、「選挙後に決める」と言っている。

 これが何を意味するか。

 もしも希望の党が過半数をとったら、誰を首相にするか「一切、私に任せてくれ」と言っている。つまり小池氏は適当な人を首相に仕立て上げ、自分は「舞台裏の黒幕」として国を仕切るつもりなのだ。

 国会議員でないから、国会で説明責任も求められない。彼女が言う「情報公開」とか「透明性強化」など、とんだお笑い草である。

 こんな人物が代表を務める希望の党が権力を握ったら、日本はとんでもない「ブラックボックス政治」「暗黒政治」になってしまうに違いない。

 日本を脅かしているのは、北朝鮮の「核・ミサイル」だけではない。ポピュリストの仮面をかぶった「暗黒政治家」にも脅かされているのだ。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。東京新聞論説委員。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革推進会議委員などの公職も務める。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。最新刊に『ケント&幸洋の大放言!』(ビジネス社)がある。

長谷川博之氏

【私の論評】危機に対応する真のリーダーの姿勢とは?

ブログ冒頭の長谷川幸洋氏の記事のように、いま日本は「戦後最大の危機」を迎えています。このような危機にある日本は、今真の意味でのリーダーが必要不可欠です。

優れたリーダーについて、経営学の大家ドラッカー氏は以下のように述べています。
優れたリーダーは、“私”とは言わない。意識して言わないのではない。“私”を考えないのである。いつも、“われわれ”を考える。チームを考える。彼らは、自分の仕事がチームを機能させることだということを知っている。責任を引き受け、逃げることをしない。成果は“われわれ”のものとする。考えることは、なされるべきことと、チームのことだけである。そこから信頼が生まれ、なされるべきことがなされる。(ドラッカー名著集(4)『非営利組織の経営』)
これを今の日本即して言い換えると、以下のようになると思います。

優れたリーダーは、"私"とはいわないのです。意識して言わないのではありません。"私"を考えないのです。いつも"日本"を考えるのです。政府のことを考えるのです。優れたリーダーは、自分の仕事が政府を機能させることだということを知っているのです。責任を引受け、逃げることをしない。成果は"日本国"のものとするのです。考えることは、なされるべきことと、日本のことだけです。そこから信頼が生まれ、なされるべきことがなされるのです。

ドラッカーは、リーダー用の資質などというものはないと言います。リーダーにはいろいろなタイプがあります。しかし、リーダーたるために必要とされる姿勢は、いくつかあります。

 第1が、人に聞くことである。聞くことは、スキルではなく姿勢です。

 第2が、自らの考えを理解してもらう意欲です。そのためには何度も言い、身をもって示すことです。

 第3が、言い訳やごまかしをしないことです。何事にも本気であることです。

 第4が、仕事の重要性に比べれば、自分など取るに足りない存在であるとの認識です。仕事と自らを一体化しないことです。仕事とは、リーダーよりも重要であって、リーダーとは別個の存在です。

リーダーの姿勢として、現在の日本で一番重要なのは、特に第4の姿勢だと思います。北朝鮮に対応することの重要性に比べれば、自分など取るに足りない存在であるとの認識です。仕事と自らを一体化しないことです。北朝鮮への対応は、リーダーよりも重要であって、リーダーとは別個の存在です。

ドラッカーは、真のリーダーについて、こう言っています。「私の知っているほとんどのリーダーが、生まれつきのリーダーでも、育てられたリーダーでもなかった。自らをリーダーとして作り上げた人たちだった」。

ソ連封じ込めに尽力したハリー・トルーマン
トルーマン大統領は、ルーズベルト大統領の突然の死によって大統領になったとき、今米国のリーダーとしてなすべき最も重要な仕事は何かを考え、急きょ、不得意だった国際問題に取り組み、旧ソ連の封じ込めに成功しました。

マッカーサー元帥は、自分よりも頭のよい者はいないはずと自負しながらも、部下の言に耳を傾けて最強のチームをつくり上げました。気性には合わなかったのですが、それがリーダーの役割だということを知っていました。
リーダーたるものは、献身しつつも個たりえなければならない。そのとき仕事もうまくいく。自らを仕事の外に置かなければならない。(『非営利組織の経営』)
北朝鮮の危機の前に、安倍総理に衆院を解散し、衆院選に突入したことによって多くのことが明るみにでました。

現状の衆院選の様子をみると、多くの政治家がとにかく北朝鮮の脅威などは二の次にして、選挙において何とか生き残るとか、選挙において少しでも有利に戦い、自らの権力を拡大することにばかりに汲々としているようにしかみえません。

特に「安倍一強を倒す」という野党のリーダーたちのスローガンはお粗末です。確かに日本人は強力なリーダーシップを嫌う傾向にあるので、なんとなく強い人物を倒すというと、情緒的には訴えるものがあるのかもしれません。

しかし、一強のどこが悪いのでしょうか。どのような組織でも、先見性のあるリーダーが強力な力を持つことがプラスに作用することのほうが多いです。安倍政権を倒した後に、どうするのかも言わずに、政治家が務まれば、本当に気楽なものです。

これでは、とてもリーダーにふさわしいとはいえません。小池東京知事に至っては、自らが女性初の総理大臣になることを目指しているためか、北朝鮮の危機などおかまいなしに、自らの権謀術数をはりめぐらして、少しでも有利に動こうとしているようにしかみえません。やり方が、姑息で意地汚いです。

とても、北朝鮮に対応することの重要性に比べれば、自分など取るに足りない存在であるとの認識があるようにはみえません。

安倍総理としては、様々な情報源から、北朝鮮の脅威は年内には顕在化せず、来年あたりに顕在化するものとみて、その時に選挙をするよりは、今のうちにやっておいたほうが、対応しやすいということで、今回解散選挙に踏み切ったのでしょう。

だから、今回の選挙で本来もっとも問われなければならないのは安全保障政策であるのは、あまりにもはっきりしすぎています。他の問題は、無視しても良いくらいです。特に「森友問題・加計問題」などは本当にどうでも良い問題であり、今となってはそもそも何が問題なのかもわかりません。

森友に関しては、すでに篭池氏が逮捕されており、国会など関与しなくても、司法がこれを明らかにしつつあります。

加計問題も、そもそも公開されている戦略特区ワーキング・グルーブの議事録を読んだり、加戸氏の証言により、獣医学部設立にどう考えても安倍総理がかかわっている明白な証拠などあり得ないことも明らかになっています。にもかかわらず、小池知事も他の野党の代表などもこれを追求し続けるといいます。

そもそも、これで安倍総理や政権を追求したとしても、無意味であり、これをやり続けることは時間の無駄です。こうした無駄時間を費やしたことが、民進党崩壊の大きな要因の一つになっていることは明らかです。

平成27年に成立した安保関連法に対する各党の姿勢はさまざまで、仮にリベラル派勢力が議席を伸ばすようなことになれば、自衛隊の活動が制限され、北朝鮮のミサイルを日米が連携して迎撃する態勢が揺るぎかねないです。

憲法改正で自衛隊を明記するかどうかも含め、各党は国民の生命をどう守るのか、具体的な政策を訴えるべきです。それが、現状のそれぞれの党のリーダー役割です。それを国民もしっかりと見極め、投票すべきです。

そうして、今本当に必要なリーダーを定めるべきです。選挙が終わったら、野党のリーダーは、こと北朝鮮対応に関しては、党派を超えて政府に協力する旨を申し出るべきです。そのようなことをするリーダーこそ、仕事の重要性に比べれば、自分など取るに足りない存在であるとの認識する真のリーダーです。

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2016年6月4日土曜日

【日本の解き方】増税延期の深謀遠慮 経済成長と政治日程の妥協点 サミット議長国の年は解散の経験則が…―【私の論評】参院選後は増税派失脚!次の衆院選では、機動的財政・金融政策が争点に?

【日本の解き方】増税延期の深謀遠慮 経済成長と政治日程の妥協点 サミット議長国の年は解散の経験則が…

1日の記者会見で消費税増税の延期を発表した安倍晋三首相
 安倍晋三首相は1日の記者会見で消費増税の2年半延期を発表する一方、衆参同日選は回避するとした。

 民進党は消費増税を延期する法案まで出したのだから、安倍首相の方針に賛同するのが道理だが、なぜ批判したいのかさっぱりわからない。

不可思議な発言をする民主党岡田代表
 参院選では「アベノミクスの失敗」を争点に掲げるというのだが、アベノミクスの柱で、民進党が批判的な金融緩和政策は、雇用の改善という形で結果を出している。

 ちなみに、4月の有効求人倍率は1・34倍と24年5カ月ぶりの高水準だ。沖縄県、鹿児島県以外の45都道府県で有効求人倍率が1を超えている。民主党政権時代、最大8都県しかなかったのと好対照だ。

 国内総生産(GDP)が低迷しているのは、民主党政権時代に成立した消費増税法によって2014年4月から消費税率を5%から8%に引き上げたためである。3党合意があったので、自民党と公明党の責任も免れないが、10%への再増税先送りは、やる場合とやらない場合のメリット・デメリットを合理的に判断した結果であろう。

 GDP低迷を放置しておくと、雇用まで悪くなる。理論的には、8%から5%に減税するのが経済政策の筋だが、消費税は社会保障目的税とされているので、実際に減税する場合、社会保障関係予算の組み替えなどが必要で、実務的・政治的に困難だ。

 そこで、消費増税を延期した上で、消費減税と実質的に同じ経済効果となるような財政支出増を行うのが現実的な解となる。

 筆者の試算では、消費増税スキップと30兆円程度の財政支出を行えば、20年度の名目GDPは630兆円程度になり、財政再建も容易に達成するだろう。逆に消費増税を強行すれば、名目GDP600兆円も財政再建も達成は不可能だ。

 経済成長と財政再建を同時に達成するには、再増税を中止することがベストであるが、ギリギリの政治折衝の末、経済成長にダメージを与えない期間として、19年10月までの「2年半」が出てきたのだろう。20年の東京五輪を控えて景気過熱を予防する役割もある。

 もちろん、19年4月の統一地方選、同年7月の参院選の後という政治日程も考慮されているはずだ。18年9月の安倍首相の自民党総裁任期を1年超えているという点も注目に値する。

 また、今の衆議院議員の任期は18年12月までであり、19年10月までのことに責任が取れない。ということは、今回は盟友の公明党の意向で衆院解散を見送ったが、そのうち解散するという手も残っている。

 過去に日本がサミット(主要国首脳会議)議長国を務めたのは1979年、86年、93年、2000年、08年と5回ある。このうち、政権交代の不安があった08年以外はすべて衆院選が行われた。ひょっとしたらサミット議長国の年に衆院解散という経験則は今年もあてはまるかもしれない。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】参院選後は増税派失脚!次の衆院選では、機動的財政・金融政策が争点に?

消費税増税に関しては、見送られて本当に良かったと思います。今回の消費税増税の見送りか、予定通りに増税するかに関しては、財務省はほとんどかかわらなかったそうです。いわゆる「動くな作戦」プロジェクトを実行していたそうです。それに関しては、以下の動画をご覧いただければ、よくお分かりになると思います。



財務省が増税に関して、何も動かなかったということは、当たり前といえば当たり前です。以下のグラフをご覧ください。


8%増税の災厄のすさまじさはグラフを見れば一目瞭然です。国内総生産(GDP)の6割を占める家計消費は1997年4月の消費増税時、2008年9月のリーマン・ショック時よりもはるかに大きく落ち込み、2年経っても再浮上していません。

まさにL字型不況であり、再増税どころではありません。増税延期に加えて財政出動を金融緩和に組み合わせる政策は当然の選択です。こんなときに、さすがの財務省も大増税キャンペーンをすることはできなかったのでしょう。

それと、次期財務次官の人事の問題も絡んでいました。官邸が霞が関に対して強大な権力を持つ理由の1つに官僚人事の掌握があります。安倍政権は14年5月、内閣人事局を発足させ、審議官級以上の幹部約600人の人事に官邸が関わる制度を作りました。現財務事務次官の田中一穂氏は第一次政権で首相秘書官を務めました。1979年度入省組の中で3人目で、事務次官は1期1人を通例としてきた同省では異例の人事です。
【日本の解き方】経済成長なくして財政再建なし 歳出カットのみ主張なら財務省の術中―【私の論評】財務省・内閣府の嘘吐き官僚には、徹底した報復人事を行い、政治主導を達成せよ(゚д゚)!
霞が関人事は、安倍首相(左)、菅官房長官の官邸サイドの意向が強く働くようにはなったが・・・・
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、 内閣人事局(ないかくじんじきょく)は、内閣官房に置かれる内部部局の一つです。2014年(平成26年)5月30日に設置されましたが、実際に人事に関与するのは、2015年6月がはじめてでした。その結果、現財務事務次官の田中一穂氏が誕生しました。田中一穂は第一次政権で首相秘書官を務めていました。1979年度入省組の中で3人目で、事務次官は1期1人を通例としてきた同省では異例の人事でした。

ちなみに、財務省は、田中一穂事務次官(60)の後任に、佐藤慎一主税局長(59)が就く人事を固めました。首相官邸の人事検討会議を経て、6月中旬にも発令します。財務次官には予算編成を担う主計局長が昇格することが多く、主税局長が次官に直接昇格するのは1981年以来35年ぶりのことです。今年も、昨年に引き続き異例の人事が行われました。やはり、官邸サイドの意向が強く働いた結果であると思います。

財務省は、弱くなったのは事実ですが、まだまだ粘り腰で様々な活動をしています。財務省は早くもポスト安倍を視野に入れた動きもみせていました。その1人が自民党の稲田朋美政調会長です。

「財政再建に関する特命委員会」の委員長も務める稲田氏は女性初の首相候補として話題に上っていました。昨年の骨太の方針の策定時には歳出キャップの明記を主張し、甘利明前経済再生相と対立。また、上の動画にもあるように、ごく最近まで増税にこだわっていました。稲田氏の元には同省関係者が足しげく通っていました。

そうして、稲田政調会長は、先月30日午前、官邸での安倍晋三首相との会談後、首相から消費税増税を延期したいとの話があったとし、これに対して「延期するなら前回選挙との整合性で国民の信を問うべきと申し上げた」と述べていました。選挙については、首相といろいろ話したと明かしましたが、「ここで申し上げることではない」と述べるにとどめました。

消費増税については、稲田政調会長から、来年4月から1%ずつ上げるべきと提言したそうです。

自民党「屋台村」、被災地名物に舌鼓 谷垣コック、牛タンカレー振る舞う。牛たんカレーをよそって配る
谷垣禎一幹事長(右)と稲田朋美政調会長(左から2人目)3月12日日午後、東京・永田町の自民党本部
このようなことから、稲田氏の初の女性首相の見込みは、上の動画にもあったように、参院選の後におそらく行われるであろう、内閣改造で断たれる可能性も高いです。それから、当然のことながら、谷垣さんも危ないです。その他にも、自民党内であまり増税、増税と騒いでいた人は淘汰されるかもしれません。

民進党の岡田代表も、あまりにも与党の消費税増税延期に対する対応が、不味すぎるので、参院選挙の後で岡田おろしの嵐が吹き荒れるかもしれません。特に、参院選が惨敗になったらその責任を問われるのは間違いないです。

それにしても、財務省は負けたふりがうまいです。そもそも、10%への消費増税は選挙を経ずに決めたのに、増税延期には信を問わなければいけない現状はまさに、「民主主義に対する官僚支配の構図」以外の何ものでもありません。「衆参同日選挙で消費増税の延期」という発想自体が財務省の「わな」です。

消費税凍結とならず、増税の先延ばしということは、結局まだ財務省が立ちはだかっているいるということです。 
財務省はこのまま力を失っていくのか、それとも負けたふりをしているのかわかりません。しかし、政治家には寿命がありますが、財務省の寿命は無限大です。本当はだからこそ、国の財政は政治主導であるべきなのです。
なぜなら、財政に失敗すれば、政治家は選挙で、国民から信を問われることになり、その失敗の原因が国民に納得できないものであれば、次の選挙で国民の審判を受けて政権交代ということになります。
しかし、財務省の官僚はそんなことはありません。官僚には選挙なるものはないので、失敗しても、成功しても関係なくよほどのことがない限り、官僚のまま定年になるまで財務官僚であり続けることができます。それどころか、先程述べたように財務省という組織の寿命は無限大です。
だからこそ、現在のように、財務省が国の財政の方向に大きく影響を及ぼすようなことがあってはならないはずです。本来は、政府が国の財政政策の方針を定めて、財務省の官僚は専門家的立場から、その方針を実現するために、様々な方法を模索して、実行するというのが本来のあり方です。

そうして、ブログ冒頭の高橋洋一氏の記事でもっとも気になったのは、以下のところです。
 GDP低迷を放置しておくと、雇用まで悪くなる。理論的には、8%から5%に減税するのが経済政策の筋だが、消費税は社会保障目的税とされているので、実際に減税する場合、社会保障関係予算の組み替えなどが必要で、実務的・政治的に困難だ。

本来ならば、財務省は政府が消費税を減税するというのなら、社会保障関係予算の組み替えの作業をすみやかに行うべきです。それこそ、官僚の本来の仕事です。私は、高橋氏が上の記事で掲載したような経済対策よりも、官僚に仕事をさせ、5%減税を実施すべきと思います。

なぜなら、経済対策は長期にわたっては続けられないからです。一方、8%増税も含めて、消費税増税は一度増税されると、それは不可逆的で永遠につづくものと見られています。

実際、過去には消費税は、上がる一方で、下がることはありませんでした。だから、経済情勢はどうであれ、一度決まった消費税率は下がることはないと思われています。

これでは、結局大規模な経済対策を行っても、それは一時のことであり、一度あげられた消費税率は、永遠に下がらないものと多くの国民は、思っているため一時の経済対策を行っても、長期的には消費が冷え込む恐れがあります。

しかし、ここで消費税を5%に減税したらどういう効果があるでしょうか。無論、8%増税の悪影響を取り除くことができます。しかし、これは一つの効果でしかありません。もう一つ大きな効果があります。

それは、一時上がった消費税は下がることもあり得ると多く国民に理解してもらえることになります。これは、マクロ経済学では当たり前のど真ん中です。増税、減税は政府がその時々で採用する財政政策の一つすぎないのです。

財務省の意向などとは全く無関係に、政府はその時々の経済情勢に対応して、景気が悪ければ、積極財政を行い、景気が良ければ、緊縮財政を行うというのが正常な姿です。

積極財政とは、減税、公共工事を増やす、給付金を増やすなどの政策です。緊縮財政とは、増税、公共工事を減らす、給付金を減らすなどの政策です。

これこそ、安倍総理が伊勢志摩サミットで共同宣言に盛り込んだ「機動的な財政政策」です。

マスコミは機動的財政政策の意味を曲解しているかもしれない
この「機動的財政政策」という言葉をマスコミは、ドイツ首相や、イギリスの首相が財政出動に慎重な姿勢を崩さなかったためであると、判断しているようですが、私はこの判断は妥当ではないと思います。

要するに、「機動的財政政策」とは、マクロ経済学でいうところの当たり前のど真ん中を指しているのです。これなら、いくら直近の財政出動に慎重姿勢のドイツ首相や、イギリス首相でも「ノー」とは絶対に言えないはずですし、それに経済政策としても正しいです。

過去の日本のように景気が悪いのに、緊縮財政を実施しているのは全くの誤りだし、景気が加熱しているときに積極財政をするのも全くの誤りです。ドイツ、イギリスだって、直近では財政出動に慎重であったにしても、さらに景気が悪くなれば、当然積極財政に転ずるべきです。

このまともな「機動的な財政政策」を実行するための第一歩として、消費税を5%に戻すという政策は望ましい政策であると考えます。

安倍総理には、日本が「機動的な財政政策」ができるようになるため、次の衆院選挙で減税は無論のこと「機動的な財務政策」を公約に入れて、選挙に臨んで大勝していただきたいものです。

そうして、日本では政府主導による「機動的な財政政策」が当たり前になるようにしていただきたいものです。

ブログ冒頭の記事で、高橋洋一氏は「サミット議長国の年に衆院解散という経験則は今年もあてはまるかもしれない」としていますから、ひよっとして年内に衆院解散総選挙があるかもしれません。

その時に「機動的な財政政策」が公約に盛り込まれればベストですが、それができないというなら、まずは「消費税を5%」に減税でも良いと思います。そうして、その後に「機動的財政政策」としても良いと思います。

それと、最近は、日銀がまがりなりにも、金融緩和を実施しているので、雇用も改善していますが、日銀法改正もいずれかの選挙で公約に盛り込み、是が非でも日銀法を改正して、現状の誤った日銀の独立性をただしい、正しい中央銀行の独立性を導入して頂きたいものです。

中央銀行の独立性とは目標ではなく、手段の独立性であるという本来の姿にすべきです。金融政策の目標はあくまで政府が設定し、中央銀行は、その目標を達成するため、専門家的立場から、手段を自由に選ぶことができるという本来の姿に戻すべきです。

これも、政府による「機動的な金融政策」である、政府がその時々の経済状況にあわせて、目標を定めて、景気が悪ければ、金融緩和、景気が加熱すれば金融引き締めを日銀に実行させることのできる体制を整えるべきです。

日銀の政策決定会合で決まるなど、とんでもありません。日銀も、財務省のように政府の一下部機関に過ぎません。日本国の金融政策の目標はあくまで、民主的な手続きで定めらた政治家による日本政府が定めるべきものです。

とにかく不況になったときや景気が加熱した場合には、政府が財務省や日銀とは全く関係なしに、政治主導によって、財政政策や金融政策の目標を定め、その目標を財務省や日銀の官僚が実行する体制にすべきです。

そうでないと、今後も失われた20年などのような、馬鹿げた事態が再発することは防ぐことができません。

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2016年3月8日火曜日

田母神氏の事務所に強制捜査、政治資金流用の疑い―【私の論評】衆院選に出馬したことが田母神氏を狂わせた?




  おととし、東京都知事選などに出馬した元航空幕僚長の田母神俊雄氏(67)が政治資金を流用した疑いがあるとして、東京地検特捜部が強制捜査に乗り出しました。

  業務上横領の疑いで特捜部の家宅捜索を受けたのは、東京・千代田区にある田母神氏の資金管理団体の事務所などです。

  田母神氏は、おととし、都知事選と衆院選に立候補し落選。去年2月に、 「政治資金を会計責任者が使い込んでいた」などと発表し、資金管理団体の収支報告書で、「横領による使途不明金」としておよそ5000万円を計上していました。

  しかし、去年12月、田母神氏の選挙対策本部長を務めた『インターネット放送会社』の社長らが、「田母神氏本人も政治資金流用に関与していた」として、田母神氏と元会計責任者らを東京地検に刑事告発していました。

  「我々から見れば7000万~8000万円の使途不明金がある。私的な流用がメイン。その他にも自分の仲間に配ったのではないか」(都知事選の選対本部長「日本文化チャンネル桜」 水島 総 社長)

  告発した社長は取材に対し、「都知事選後、田母神氏らの指示で、毎週50万円から100万円が引き出され、個人的な使途や選挙運動への謝礼などに使われた」としています。特捜部は押収した資料を分析し、不透明な政治資金の使われ方について、解明を進めるものとみられます。(07日17:42)

【私の論評】衆院選に出馬したことが田母神氏を狂わせた?

田母神氏の疑惑が、最初に表面化したのは、昨年の2月のことでした。これについては、このブログにも掲載したことがあるので、その記事のURLを以下に掲載します。
【田母神事務所不明金】「ショック。会計責任者に少なくとも3千万円横領された」…政治資金の使途不明問題で田母神氏が記者会見―【私の論評】戦後保守の終わりの始まりか?田母神氏と、水島氏の両氏にみる現代人に必要不可欠な"虚実皮膜の間"の真実(゚д゚)!
事務所スタッフによる政治資金横領について、
厳しい表情で語る田母神俊雄氏昨年2月19日
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事は昨年の2月19日のものです。この記事から一部引用します。
昨年(ブログ管理人注:2014年)2月の東京都知事選や12月の衆院選に出馬した元航空幕僚長、田母神俊雄氏(66)の政治資金の一部が使途不明となっている問題で、田母神氏は19日、都内で記者会見し「少なくとも3千万円が会計責任者に横領されていた。信頼していただけにショックだ」と話した。 
田母神氏側の説明によると、田母神氏の政治団体 「田母神としおの会」には都知事選後に約6千万円の残金があったが、衆院選前には約1千万円に減少。調査の結果、会計責任者の50代男性が横領を認めた。横領したカネは高級クラブでの遊興費や生活費などに充てていたという。
さて、このように記者会見をしていた田母神氏ですが、今回は東京地検特捜部が強制捜査ということで、昨年の2月からほぼ1年くらいの間をおいてからの強制捜査ということです。地検特捜部は、この1年間様々な調査を行い、立件のための準備を行った上で強制調査に踏み切ったのですから、容疑はかなり濃厚なものに違いありません。

上の記事で、『インターネット放送会社』の社長とでていますが、これはチャンネル桜の水島総(みずしまさとる)社長のことです。ブログ冒頭にもあるように、水島社長らが、「田母神氏本人も政治資金流用に関与していた」として、田母神氏と元会計責任者らを東京地検に刑事告発していました。

2010年2月、チャンネル桜と密接な関係にある政治団体「頑張れ日本!全国行動委員会」が設立されると、その会長として田母神氏が擁立されました。同会の実質的な運営は、幹事長に就任したチャンネル桜の創設者で社長でもある水島総(みずしまさとる)氏が指導的役割を果たしました。この団体の設立により、2014年2月の東京都知事選挙に田母神氏を候補として突き進んでいくことになりました。



水島氏は、田母神氏を刑事告発していましたが、ではなぜこのような人物の選挙応援をしたのか、それも遠い過去のことではなく、告訴よりも1年内外の都知事選、衆院選の応援です。選挙が終わって1年もしないうちに、田母神氏を告訴しています。

しかし、田母神氏を選挙で応援していた人たちは、水島氏だけではありません。これについては、このブログでも以前掲載したことがあります。
都知事選、台風の目は田母神氏 ネットで人気断トツ 応援団に著名人ズラリ―【私の論評】時代背景や、独特のキャラクターから田母神都知事が誕生する可能性はかなり高い(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事で、保守派の著名人がこぞって、田母神氏を応援していたことを掲載しました。

その部分のみ以下にコピペします。
「もし私が東京都民だったなら、田母神俊雄氏に投票する」
大ヒット映画「永遠の0」の原作者で、本紙でエッセー「大放言」(火曜)を連載する作家の百田尚樹氏は18日、自身のツイッターでこうつぶやいた。百田氏以外にも、田母神氏応援団には、日本維新の会の石原慎太郎共同代表や、同党の平沼赳夫国会議員団代表、評論家の西部邁氏、京都大学の中西輝政名誉教授、作曲家のすぎやまこういち氏、経済評論家の三橋貴明氏、ジャーナリストの大高未貴氏ら、著名人がズラリと並ぶ。
そうして、この田母神氏には、これらに限らず、保守論壇の多くの人々が応援していました。それは、都知事選の頃の下のポスターをご覧いただければわかります。


私も、このようなことから、当時は単純に田母神氏が都知事になるかもしれないという期待を持っていました。しかし、その期待は実現はしませんでした。しかし、その後の衆院選は無理だと思いました。何しろ、知事選で落ちているのですから、衆院選はさらに難しいと思いました。

しかし、それでも、水島社長と、「頑張れ日本!全国行動委員会」それに多くの保守論壇の人たちは衆院選へと突き進み、負けてしまいました。本来であれば、次の機会を待つべきだったと思います。

そうして、今回の強制調査です。保守論壇の方々は、田母神氏という人物を、見定めることができなかったということです。そうして、私自身も反省を含めて、先のブログにも掲載したように、私の座右の銘としている、"虚実皮膜の間"という言葉をあげたいと思います。

これは、原典は詳しくは知りませんが、もともとは芸は実と虚の境の微妙なところにあることを指し。事実と虚構との微妙な境界に芸術の真実があるとする論です。江戸時代、近松門左衛門が唱えたとされる芸術論だそうです。

近松門左衛門の肖像 

そこから発展して、現在では、「虚実」はうそとまこと。虚構と事実。「皮膜」は皮膚と粘膜。転じて、区別できないほどの微妙な違いのたとえとされています。「膜」は「にく」とも読みます。

この言葉、非常に含蓄があるもので、現在正しいとされていることであっても、条件や状況が変われば、正しいとはいえない場合もおうおうにしてあります。だから、「これが絶対に何が何でも正しい」などということは、この社会ではあり得ません。

これは、企業などの組織の中でも同じことです。会社の中で職位が何であれ、私たちは、組織の中で一人ひとりが独立していなければなりません。自分の足で立っていなければなりません。自分の考えを持たなければなりません。しかし会社組織には、多数決という考え方がないことも事実です。責任範囲の狭い人と、責任の範囲の広い人の考え方が最終的に異なった場合、どんなに反対者が多くても、責任範囲の広い人である職位の高い人の意見が優先するのは言うまでもありません。

ただし、だからといって組織人として、自分の意見がないということも許されるものではありません。だから、上司を信じることは良いのですが、上司に頼りすぎるのも良くありません。また、部下をみる場合には、性善説でみる場合と、性悪説で見る場合とを臨機応変に変えていかなければなりません。性悪説でのみ部下と接すれば、そこには信頼関係がなくなります。そのような見方だけをする上司には、部下は誰もついていきません。

かといって、性善説だけで見れば、管理上のリスクが常について回ることになります。時と場合によって、臨機応変に変えなければなりません。片方の見方しかできないようであれば、管理者失格です。管理者や経営者の立場においては、いずれの立場からでも見られるようにしておかなければなりません。

だから、組織人は、組織と個、善と悪に関して、いつもこれらのバランスを図っていく必要があります。そうして、虚実皮膜の間という言葉どおりに、場合によっては個と組織、性悪説と性善説の間を揺れ動きつつ、その場、その場で判断をしていく必要があります。どんな場合にも、全体のためだけとか、個のためだけということはあり得ず、絶対善、絶対悪もないわけで、このバランスをとるという意味合いもこめて、私は「虚実皮膜の間」という言葉を座右の銘の一つとしています。

保守論壇の人々が、田母神氏を見る場合にも、"虚実皮膜の間"という見方ができれば、今回のような騒動にはならなかったと思います。

特に、水島氏やチャンネル桜、「頑張れ日本!全国行動委員会」の人々や保守論壇の人々も、このような見方ができていれば、少なくとも、都知事選で負けた田母神氏を衆議院議員選挙に担ぎあげるということはしなかったのではないかと思います。

冷静に考えれば、都知事選で負けたことで、もっとまともに反省していれば、そうして性善説と、性悪説のはざまに立って、田母神氏が本当に、国政選挙で勝てる人物なのか、そもそも、短い期間で準備ができるのかなどを虚心坦懐に反省して、衆院選に出馬することなど取りやめていれば、今回のような疑惑はそもそも、起こらなかったかもしれません。

そもそも、衆議院選挙に出馬しなければ、衆院選に向けて、選挙運動資金をさらに調達する必要性もありませんでした。短期間に、膨大な資金を集めたということが、今回の出来事を誘発してしまったかもしれません。

良く、「たらねば」の話をしても意味がないともいわれますが、今回の出来事を機に、保守論壇の人々や、私のように言葉の真の意味で保守的立場をとっていると考える人たちは、今回の出来事を他山の石として、今後の保守のあり方を再検討すべきと思います。

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2015年2月24日火曜日

衆院が原田早大教授の日銀審議委員起用を可決、参院も同意見通し―【私の論評】日銀人事は、衆院選よりも重要(゚д゚)!安倍総理の国会での"やじ"は、民主党の目を日銀人事から逸らし、自らに塩を送らせるための陽動作戦か?


原田泰氏

衆院は24日午後の本会議で、日銀審議委員に早稲田大学・政治経済学術院特任教授の原田泰氏を起用する政府の同意人事案を与党などの賛成多数で可決した。

国会同意人事は衆参両院の同意を得なければ白紙となるが、両院とも与党が多数を占めており、25日開会で調整中の参院本会議でも同意を得られる見通し。

原田氏は、3月25日に任期を迎える宮尾龍蔵審議委員の後任となる。大胆な金融緩和を提唱するリフレ派の中でも、岩田規久男・日銀副総裁と並ぶ代表的な論客。岩田氏や浜田宏一・米イエール大名誉教授との共著もある。

日銀審議委員は、日銀の最高意思決定機関である政策委員会のメンバーで、同委員会は総裁1人、副総裁2人、審議委員6人の計9人で構成。月に1─2回、定例開催している金融政策決定会合では当面の金融政策運営の方針などを決めている。

●原田 泰(はらだ・ゆたか)氏

1950年生まれ。74年東大農卒、経済企画庁入庁、財務省財務総合研究所次長、大和総研専務理事などを経て2012年早稲田大学政治経済学術院教授。経済学(学習院大)博士。

【私の論評】日銀人事は、衆院選よりも重要(゚д゚)!安倍総理の国会での"やじ"は、民主党の目を日銀人事から逸らし、自らに塩を送らせるための陽動作戦か?

日銀の人事に関しては、このブログにも何回か掲載してきたように、かなり重要です。これに関しては、倉山満氏が、その重要性について記事を書いていますので、それを引用させていただきます。
日銀人事は衆院選よりはるかに重要 アベノミクスの“死活問題”
倉山満氏

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事の要約を以下に掲載させていただきます。
 景気を回復させるのに必要なのは、経済学の知識ではない。後の日本経済を左右するのは、3月と6月の日銀人事だ。昨年10月1日、当時の木下康司財務事務次官に屈服し、これ以上ないほどみっともない形で消費増税の決断に追い込まれた増税の痛みを和らげるには追加金融緩和しかなかったが、もはや政権にそれを行う力はなかった。息を吹き返したのは、本田悦朗内閣府参与が獅子奮迅の活躍で増税阻止の流れをつくってからだ。 
 今年10月31日、日銀は追加金融緩和を行った。ただし、日銀金融政策決定会合は5対4の薄氷の勝利だ。では誰の1票が決定的だったのか。追加緩和反対の4票は、森本宜久・石田浩二・佐藤健裕・木内登英。いずれもデフレ派で反アベノミクスだ。特に、木内委員は毎月の日銀金融政策決定会合で、“黒田バズーカ”の即時停止を求める筋金入りだ。 
日本銀行内の多数派は彼らと同意見で、アベノミクスを敵視している。 
 対して、賛成派は黒田東彦総裁・岩田規久男と中曽宏の両副総裁・宮尾龍蔵・白井さゆりの5票。アベノミクスの中核である金融緩和を基軸としたリフレ政策の理論的支柱の岩田副総裁はともかくとして、宮尾・白井の両委員は総裁に追従しているにすぎない。 
 仮に黒田総裁が増税の痛みを和らげるべく金融緩和をしたくても、日銀出身の中曽副総裁が賛成してくれなければ不可能なのだ。かつて、福井俊彦総裁時代の日銀は、かの小泉純一郎内閣の景気回復を破壊した前科がある。それを承知で、今年10月に安倍内閣が息を吹き返して最初の日銀会合で追加緩和を提案した黒田総裁は絶妙だった。 
 中曽副総裁の背後にいる日銀は、安倍内閣との対決を避けた。そして金融緩和が行われ、増税の悪影響で停滞気味だった景気は、株高円安が一気に進んだ。 
 3月にアベノミクス賛成派の宮尾委員、6月に反対派の森本委員が交代する。安倍首相は意に沿う委員を送り込めるか。3月に負ければアベノミクスは即死、6月まで2連勝すれば安泰だろう。 
 日本経済はたった9人の日銀政策委員会に握られている。彼らの人事は衆議院総選挙などよりはるかに重要なのだ。 
 日銀政策委員会は総裁をトップに、副総裁2人、審議委員6人の計9人で構成されている。メンバー全員が衆参両院の同意を経て内閣が任命する国会同意人事で任期は5年。宮尾氏が3月25日に、森本氏が6月30日にそれぞれ任期満了を迎えるため、今後水面下で激しいバトルが展開されることになる
今回衆院で審議員に選ばれた原田泰氏はリフレ派です。そうして、何か特になければ、ブログ冒頭の記事にも掲載されているように、よほどのことがない限り、参院でも選ばれることになりそうです。そのため、何とか今回は、アベノミクス即死にはならないですみそうです。次の6月の人事の時がどうなるかが、天下の分かれ目になるということです。

今回の人事では、過去にそうであったように、民主党あたりが、また人事に横槍を入れたりするのではないかと思い、ヒヤヒヤしました。実際、過去にはそのようなことが何度も繰り返されました。しかし、当の民主党はそもそも、金融政策の重要性に関してはほとんど関心がないし、現状の国会では人格攻撃ばかりしていて、何やら、日銀人事のことも忘れているかのごとくです。

今回日銀の審議員を原田氏のようなリフレ派ではなく、反リフレ派にしてしまえば、アベノミクスの息の根を止めることができ、安倍政権を窮地に追い込むことになります。人格攻撃などよりも、はるかに効果的なのですが、彼らはそのことに気がついていないようです。

そもそも、金融政策ははなから興味もないし、日本経済復活の切り札であり、雇用条件の改善なることも理解不能なのだと思います。だから、日銀人事などさほど重要ではないと思っているので、彼らの頭の中では、日銀人事などより、人格攻撃のほうが、大きな比重を占めているのだと思います。哀れといえば、哀れです。

そういう意味では、現状の国会が馬鹿な民主党の人格攻撃に終始していることは良いことかもしれません。これは、うがった見方かもしれませんが、安倍総理が「やじ」を飛ばしたのは、民主党が日銀人事に横槍を入れないようにするための、一種の目くらましの陽動作戦だったかもしれないと私は思います。


現状で、日銀の審議員が反インフレ派にでもなられたら、国会で予算審議が遅れることなどよりも、はるかに代償は大きいです。安倍総理としてしても、それだけは避けたいはずです。

もし、そうだとすれば、安倍総理はしたたかです。民主党のまともな政策論争もできない、頭の悪さを徹底的に活用というところでしょうか。安倍総理を懸命に非難する民主党の人たちは、ひよっとして、自分ではそう思わずに、安倍総理に塩を送っているのかもしれません。

安倍総理に目隠しされた民主党?

それにしても、なぜ日銀の審議員程度の人事で、こんなにピリピリしなければならないのか、上記の倉山満氏の説明でもだいたいお分かりとは思いますが、これ以外にも、日銀の独立性という問題があります。

これについては、このブログにも何度か掲載してきました。その代表的なもののURLを以下に掲載します。
【日本の解き方】インフレ目標2%に黄信号 黒田日銀は審議委員人事でピンチも ―【私の論評】日本国がまともな金融政策ができるようにする立場からすると、いつも薄氷を踏むような人事にハラハラするのはおかしい。やはり、政府が人事権を握るのが当然、そのため日銀法改正を実現すべき(゚д゚)!
消費増税による景気の落ち込みを予測できなかった黒田東彦日銀総裁
そもそも、日銀の政策決定委員会が日本国の金融政策の方針を決めるのが問題であって、これは政府が定めるべきです。政府が定める、金融政策の方針に従い、日銀の政策決定委員会が、専門家的立場から、その具体的実施方法を選択するという具合にすべきです。

実際、世界標準の中央銀行の独立性は、政府が国の金融政策の方針を定め、中央銀行はその方針に従い、専門家的な立場から、具体的な金融政策の方法を他から独立して、自由に選択し実行できるし、それに失敗すれば、責任をとるというものです。

特に、中央銀行の「目標の独立性(goal independence)と手段の独立性(instrument independence)の違いを認識すべきです。中央銀行が自由に目標を設定できるという目標の独立性を民主主義社会で正当化することはできません。なぜなら、中央銀行のメンバーは全員が官僚であって、国民から選挙で選ばれるわけではないし、国民から信託を受けた人々ではありません。

しかし、中央銀行が干渉を受けずに適切な金融政策を実施できるような手段の独立性は、経済安定のために極めて重要です。手段の独立性は守られるべぎてす。

しかし、現状の日銀法では、「目標の独立性」が保障されているのです。

日本銀行も、このような世界標準の中央銀行の役割を担うようにすべきであって、そのためには、日銀法の改正が必要です。

もう、まともな金融政策を実行したい人々の立場からすれば、現状のように、日銀の政策決定委員会の人事を巡って薄氷を踏みような思いをしなければならない現状のシステムは、変更するのかだ当然です。
日銀のいわゆる現状の独立性は、中央銀行の権限としてはあまりにも大きすぎますそうして現状では、権限ばかりが大きすぎ、責任がともなっていません。

過去の日銀は、20年近くも景気が悪いにもかかわらず、馬鹿げた金融引締め政策をひたすら繰り返し、結局デフレと円高の番人のような有り様でした。にもかかわらず、誰も責任をとりません。

なぜこんなことになってしまったかといえば、1997年に日銀法が改悪されたからです。このときから、日本国の金融政策を政府ではなく、日銀が定めることができるようになりました。それも、日銀の政策決定委員会が定めるようになってしまいました。

これは、ほんとうにおかしなことです、責任も取らない日銀の政策決定委員会のメンバ゛ーが日本の金融政策の目標を決定するなど、言語道断であり、全くの本末転倒です。

これは、会社の最終的な意思決定を取締役会で決定するのではなく、素人や、会社の歴史も良く知らないような、第三者委員会などに委ねているようなものです。

日銀法は、改正して、日本国の金融政策の目標は、政府が定めて、手段は日銀が選ぶようにさせ、なおかつ、目標をクリアできなかったら、当然のこととして、日銀に責任を追わせるようにすべきです。

今回の日銀人事は、委員がリフレ派だったので良かったのですが、6月の人事ではまだどうなるかわかりません。まあ、今回のように安倍総理がやじを飛ばしても、二番煎じとなりますから、何か他の手で、民主党の目線を日銀人事から引き離すことが肝要だと思います。

安倍総理としては、そのあたりはキチンと考えてるいるでしょうから、何とか、6月の人事もリフレ派の審議員になるとは思います。

しかし、日銀法が改正されていない現在、6月の日銀人事次第では、アベノミクスが葬られる可能性もゼロではありません。

やはり、今から徹底的にリフレの正しさ、反リフレ派の間違いを再度徹底させるような世論を盛り上げていく必要があると思います。そうして、いくいくは、日銀法を改正すべきです。

もし、6月の日銀人事で反リフレ派が審議員になれば、またぞろ日銀がデフレ、円高の番人となって、日本はデフレ・スパイラルの底に沈み、中国や韓国が大喜びするかもしれません。そんなことになっては、たまったものではありません。

私は、そう思います。みなさんは、どう思われますか?

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日銀総裁「経済状況反映した円安はプラス」、財務相は為替に沈黙―【私の論評】今の水準で"円安ガー"、"円安でも輸出ガー"と叫ぶ人は現実を見ていないただの馬鹿か、あるいはスパイかのいずれかである(゚д゚)!

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2014年11月29日土曜日

民主党は票を減らすのではないかーー野党の存在意義も問われる衆院選の見方―【私の論評】自民党は負けない!安定多数を獲得して、安倍総理はフリーハンドで、財政政策に取り組めるようになる!その他、何か変化があるとすれば、野党再編だけだろう(゚д゚)!




安倍晋三政権は今回の総選挙を「アベノミクスに対する国民の審判」と位置づけている。

民主党は2年前の反省を生かせるか

だが、政治の大きな流れを俯瞰すると、むしろ野党、とりわけ「民主党に対する国民の審判」になるのではないか。はたして民主党は変わったのか。公約を見る限り、変わっていない。それどころか、ますます混迷を深めている。

国民が「政党に期待するもの」ははっきりしている。それは、国の平和と安定を守る外交安全保障政策、それと暮らしを豊かにする経済政策だ。ところが、民主党の公約はどちらの分野でも立場がはっきりしていない。

まず外交安保政策においては、焦点はもちろん集団的自衛権問題である。公約は「集団的自衛権の行使一般を容認する憲法の解釈変更は許しません」と書いている。「行使一般」という点がミソで「場合によっては行使を認める場合もある」と読める。

こうなったのは、前原誠司元代表や長島昭久元防衛副大臣、渡辺周元防衛副大臣らのように、民主党内には「行使を容認すべきだ」という意見もあるからだ。集団的自衛権を認めるのか認めないのかと迫られると、党内で意見対立が生じてまとまらない。それで「行使一般は容認しない」と逃げているのである。

経済政策もそうだ。公約は「厚く、豊かな中間層を復活させる」とうたっている。しかし、問題は「どうやって豊かな中間層を復活させるのか」が問われているのだが、具体的な政策の中身がない。

アベノミクスの3本の矢にならったのか「柔軟な金融政策」「人への投資」「未来につながる成長戦略」という3分野に整理しているが、まず「柔軟な金融政策」というのは当たり前の話である。

もしも緩和をおしまいにして引き締めに転じるというなら、景気が一層悪くなるのは確実である。中小企業など円安で困っている部分があるのはたしかだが、それと金融のマクロ政策は別だ。中小企業を支援するミクロ政策と日本経済全体への効果を考えるマクロ政策がしっかり区別できていないから、議論が混乱する。

民主党の間違い

「柔軟に」とあいまいに政策を語るのは、自分たちがどうしたらいいか分からないからだろう。民主党には金融政策をきちんと理解していて、緩和続行に賛成の議員もいるだろう。党内で議論し始めたら、これまた意見が分かれてしまうに違いない。

「人への投資」とは何を指すのか。公約は子育て支援や農家への戸別所得補償、所得制限のない高校の無償化などを掲げている。原資はいずれも税金である。ここに民主党政策の核心がある。税金を原資にした所得再分配こそが政府の役割と考えているのだ。

子育て世代や農家、高校生を抱えた家計に税金を配ることで「厚く、豊かな中間層」を拡大できると考えている。実は、これらの政策は2013年7月の参院選で惨敗した当時の政策とまったく変わっていない。

当時のメルマガコラム別コラムでも指摘したが、家計への所得再配分をいくら手厚くしても、民間企業部門が成長しなければ、経済は全体として成長しない。経済成長のエンジンは政府や日銀でもない。民間企業部門である。

中長期的な経済成長を目指すには、民間企業が自由闊達に事業を展開できるように、規制改革で環境を整える。それが、まさしくアベノミクス第3の矢でもある。

こんな話は経済学のイロハであり、とりわけ先進国では世界共通の政策なのだが、民主党はそこが分からない。私が知るかぎり、民主党にも経済学と経済政策が分かる人はいると思うが、残念ながら、彼らは議論の主導権を握れていないのだろう。

他の野党はどうか。維新の党は民主党よりはるかにいい。「『稼げる国』へ、徹底した競争政策」を掲げて、新規参入規制の撤廃・緩和による医療福祉や農業の成長産業化をうたっている。とりわけJA全中の抜本改革やJA全農の株式会社化は安倍政権の方向性とまったく同じである。

野党にとっても勝負の時

安倍政権の路線にことごとく真っ向から反対しているのは、日本共産党だ。政策の妥当性はともかく、分かりやすさでは野党随一だ。

こうしてみると、外交安保でも経済政策でもあいまいな民主党は右からは維新の党に、左からは共産党の挟撃に遭って票を減らすのではないか。

そうだとすると総選挙後には、与野党の新たな対立軸が浮かび上がる可能性がある。

これまでは、とにかく政府与党に反対するのが野党の仕事だった。その役割は、これからも共産党が担う。これに対して、維新の党が票を伸ばすとすれば、維新の役割は反対だけにとどまらず、自民党が力不足で進めきれない改革を促進する役割もあるのではないか。

維新の党の江田憲司共同代表は「第3の矢である規制改革は、既得権益まみれの安倍自民党には絶対できない」と主張している。「だからオレたちの出番だ」という話なのだが、見方によっては、それは政策の基本的方向が同じなのだから、自民党が掲げるアベノミクスの応援歌にもなる。

これは、実はみんなの党が分裂する原因になった路線対立そのものである。当時の渡辺喜美代表は自民党への接近を図ったが、同じく江田憲司幹事長は野党路線を唱えた。政策の方向感が同じであっても改革を実現する道筋やスピード感が異なると、現実政治の中では与党に近づくケースと野党にとどまるケースの2通りの選択肢がありうる。

いまの政治状況に照らして言えば、与野党の新しい対立軸は「改革の道筋とテンポ」になるだろう。維新の主張は「自民党は遅い、オレたちに任せれば早い」という話である。方向は同じでスピード感を競う。そうだとすれば、野党は国民に対して「オレたちに任せれば改革が進むよ」と信頼させられるかどうか、が勝負の分かれ目になる。

国民は似たような話を一度、民主党政権で経験した。それは見事に失敗した。だから、いま野党を見る目は厳しい。改革は必要だ。だからといって、現実離れした理想主義に大きな支持は集まらないだろう。

ここは安倍政権だけでなく、野党にとっても勝負の時である。


この記事は要約です。詳細は、こちらから(゚д゚)!

【私の論評】自民党は負けない!安定多数を獲得して、安倍総理はフリーハンドで、財政政策に取り組めるようになる!その他、何か変化があるとすれば、野党再編だけだろう(゚д゚)!

選挙が公示されると、このような記事は一切掲載されなくなるので、今のうちに掲載しておきます。

今回の選挙の先行きの予想として、上の記事は、私の考えに最も近いものであると考えたので、掲載させていただきました。

以下に、私の考えを若干の捕捉をさせていただきます。

まずは、現状ではマスコミが徹底的に安倍叩きを開始しています。朝日新聞を筆頭に、他のメディアも右にならえということで、事あるごとに叩いています。しかし、この叩き方が、なんとも稚拙で、とにかくアベノミクスは全部失敗とするものが多いです

しかし、たかだか半年とか一年で長い間にわたる、名目価値の毀損や雇用面の歪みが改善されないとおかしいと思いこむ人は愚かです。なぜなら、企業でも業績が一旦落ち込めば、立て直すまで数年はかかります。国であれば、もっと時間がかかると考えるのがあたり前です。

安倍総理は、今回の解散を「アベノミクス解散」としていますが、多くのマスコミはアベノミクスの失敗を糊塗するための選挙であり、従って「大義のない選挙」という大キャンペーンをしています。

しかし、それは本当でしようか。以下の表や、動画などご覧いただければ、アベノミクスが失敗などということはないということがお分かりいただけるものと思います。



上の表をご覧いただければ、どう考えてもアベノミクスの効果があったのは明らかです。さらに、動画で宮崎氏が解説しているように、雇用に関しても、非正規雇用のみ増えたなどということは、半年以上前までの話しであり、直近では正規雇用も増えています。

ところが、4月からの増税で、GDPが大幅下がりアベノミクスは振り出しに戻ってしまったというのが、現実です。だからこそ、これ以上の増税はやめて、再度アベノミクスの本道を歩むということを争点として、解散・総選挙というのが今回の選挙の争点であり、大義でもあります。

現在、デフレが16年も継続している事実を見れば、まずは経済対策が最重要なのははっきりしすぎるくらいし過ぎています。

多くの人は、長期にわたるデフレにあまりに浸りすぎで、デフレ=不景気くらいの感覚になっているのではないかと思います。

しかし、デフレは正常な経済循環から逸脱した経済の病です。一刻もはやく治すべきものを結局15年以上も放置してきたということてず。

まずは、これを是正しない限り、日本の次の進路は見えてきません。緊急に治すべきものです。そのために、アベノミクスのインフレターゲット政策は、必須です。ただし、これは、結構時間がかかります。効果が一見あまり見えないからといって、途中でやめていたら、いつまでたってもデフレから脱却できないことになります。

それに、デフレの最中での、増税などもともととんでもないことです。8%増税の悪影響を防ぐための対策も追加金融対策だけではなく、減税・給付金などの財政政策もすぐにも実行すべきです。

このようなことが、争点にならず、他のことが争点になってしまえば、またぞろ、デフレが続き、失われた20年が失われた40年となり、皆さんは、またぞろう、しなくても良い閉塞感に苛まされることになります。本当にそんなことで良いはずがありません。

失われた20年が、失われた40年になっても良いのか!

だから、今回の選挙には、国民生活に直接かかわる「デフレからの脱却」という「大きな大義」があるのです。

今回の選挙です、経済政策をほとんど理解しないような、政党に大勝されては、本当にとんでもないことになるのです。さて、現実の選挙はどうなるでしょうか。

12月2日の公示を前に第47回衆議院議員選挙は、早くも結果が見えてきたことで、投票率も50%を下回るのは確実であり、白け切ったものになるでしょう。

衆院の定数は、「0増5減」が実現したことで小選挙区300と比例代表180の合計480議席から475議席とななりました。従って、衆院過半数は238、安定多数が249、そして絶対安定多数は266です。

11月21日の衆院解散前、与党は自民党295、公明党31の合計346議席を有していました。では、12月14日投開票総選挙の見通しは、どのようなものなのか。現状の見通しでは、自民党が負けないということがはっきり見えています。

自民党が、現有議席から30以上落とせば、党内政局は必至ということになります。来年9月の自民党総裁選で安倍自民党総裁に挑む者が出てくることになるでしょう。しかし、現状は275議席を基数としてプラス15、マイナス10というのが多くの選挙通の人々の見方です。

安倍チルドレンの敗退は必至? それでも安倍総理は大勝?

このマイナス10とは、自民党が政権復帰した2012年12月総選挙で初当選を果たしたいわゆる「安倍チルドレン」114人のうち相当数が民主党候補者とのガチンコ勝負で敗退することを見込んだ数字です。

一方、前回総選挙の比例代表は自民党が約1600万票獲得して57議席でした。そうして約1200万票集めて40議席獲得した維新の党は半減すると見られ、大幅な議席減が必至です。自民党は小選挙区で民主党に競り負けて取りこぼしたとしても、その分、維新の党から奪取できるので、トータルでの議席減は10~20になるとみられます。

これは、自民党に飽き足らず維新の党に向かった保守層の一部が戻ってくるということです。12月15日の新聞各紙の一面トップには「自民 絶対安定多数確保」か「信任されたアベノミクス」の大見出しが躍ることになりそうです。

そうして、安倍総理は、党内政治を気にせずに、フリーハンドで、財政政策をできることになります。しかも、今回は国民の信任を得た、総理大臣と政権ということであり、財務省もなかなか手を出せなくなります。8%増税の悪影響を取り除くための、財政政策に取り組むことになると思います。

おそらく、公共工事の今日供給制約がある現在、公共工事は経済対策としては、あまり期待できないので、所得税減税+給付金という財政政策を予算に組み入れるものと思います。

本当は、消費税減税をして、5%に戻すのが一番単純で良いのですが、これにはまたぞろ、財務省の横槍や、党内の増税派議員の説得に手間取るので、実を取るということで、所得税減税+給付金で、実質8%増税を骨抜きにする道を選ぶと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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