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2020年2月12日水曜日

2020年も引き続き予測を破る米雇用市場―【私の論評】日韓の政治家は、真摯にトランプ大統領の金融政策に対する姿勢を学ぶべき(゚д゚)!


<引用元:ホワイトハウス 2020.2.7>大統領経済諮問委員会

労働統計局(BLS)の毎月雇用状況の最新データから、歴史的に見て強い米国労働市場が2020年も継続して拡大していることが確認できる。

一般教書演説で雇用の良さを強調したトランプ大統領
報告書の事業所統計によると、1月は22万5千人の雇用が増加し、15万8千人の雇用という市場予測を破った。11月と12月の上方修正を含めて、過去1年の月平均雇用増加は17万1千人という健全なものとなった。先月最も増加した分野は教育と医療サービス(+72,000)、建設(+44,000)、そしてレジャー・サービス業(+36,000)だった。

今月の報告書には事業所統計に対するBLSの年間修正も含まれていた。この修正によって、2019年3月の年度末の間に以前報告されたよりも51万4千人少ない雇用増加だったことが分かった。この修正は雇用が失われたという意味ではなく、むしろ以前は過大に見積もり過ぎていたという意味だ。だが1月の強い雇用増加によって、それでもトランプ大統領の選出以来700万人の雇用が増加している。選挙から38カ月、そのうち34の月で少なくとも10万人の雇用を創出しており、毎月雇用が増加している。

長期化した雇用創出は米国人の賃金を引き上げている。過去1年半では景気後退以来で最大の賃金上昇となった。平均時給は前年比で3.1パーセント増加し、18カ月連続で3パーセント以上の上昇率となっている。賃金上昇は製造・非管理職労働者でさらに速く、前年比で3.3パーセントとなった。トランプ大統領の下で、労働者の賃金は管理職の賃金よりも速いペースで増加している――前政権とは逆の結果である。

別の世帯調査では1月に失業率が3.6パーセントに上昇したことが分かっているが、1969年以来最低のレベル近辺に留まっている。1月には23カ月連続で失業率が4パーセント以下となった――50年で最長の記録だ。失業率は、連邦議会予算事務局の選挙前の最終予測である5.0を依然として大きく下回っており、トランプ大統領が2016年11月に選出された時のレベルより1.1パーセント低い。

歴史的に見て恵まれないグループは、現在のひっ迫した労働市場から利益を受けている。2019年にアフリカ系米国人、ヒスパニック系米国人、アジア系米国人の失業率は全て過去最低となった(テーブル参照)。高校卒業資格を持たない人々と障害者も昨年は過去最低の失業率となった。


1月のわずかな失業率上昇の主要原因は、傍観者の立場にいた労働者が仕事を探そうと労働人口に加わることが増えたためだった。この3カ月で労働市場外から来た新たな労働者の平均割合は73.2パーセントだった。1月に就労率は63.4パーセントにまで上昇した――2013年以来で最高のレベルだ。重要なこととして、働き盛り世代(25歳から54歳)の就労率も1月に83.1パーセントに上昇したが、2016年11月の数字を1.8パーセント上回るものだ。

重要性が小さく見える就労率の変化は雇用市場に重大な影響を持っている。例えば、トランプ大統領の下で働き盛り世代の就労率が上昇したということは、労働力として220万人の働き盛り世代労働者が加わったということになる。就労率の増加以上に、働き盛り世代労働者の労働力人口比率は1月に0.2パーセント上昇して80.6パーセントとなった――2001年5月以来最高レベルだ。

労働者の流入は経済に対する自信増大と就職見通しの改善を示している。全米産業審議会の消費者信頼感は1月に131.6に上昇し、トランプ大統領の選出前月から31パーセントの増加となった。その上仕事が「得難い」と答えた人に比較して、仕事が「十分にある」と答えた人の割合は4対1以上だ。

過去最高の2019年の後、2020年の米国経済は再び強い雇用報告で始まった。昨年起きたように、1月の雇用増加は予測を破り、賃金は3パーセント以上上昇し、失業率は歴史的な低さかそれに近い数字を保った。

【私の論評】日韓の政治家は、真摯にトランプ大統領の金融政策に対する姿勢を学ぶべき(゚д゚)!

本ブログの読者であれば、金融政策が雇用政策であることを私が繰り返し書いてきたことを知っているでしょう。その意味では、米国で金融緩和により失業率が低下し、有効求人倍率が上昇してきたのは、私にとっては想定内のことです。

失業率の定義は、労働力人口に対する完全失業者の占める割合です。完全失業者は労働力人口から就業者を引いたものなので、失業率は、1から就業者数の労働力人口に対する割合を引いた数になります。

トランプ大統領は金融政策と為替の関係を理解しているようです。これは考えてみれば、簡単なことなのですが、これを理解しない人は結構多いようです。

金融緩和にはいくつかの方法がありますが、この世界に緩和の方法がお札を刷り増すことしかなかったとします。そうすると、ドルを徹底的に刷ります、すなわち金融緩和を徹底的に行うと、ドルが相対的に増え、ドル安になります。

逆に、米国が大規模な金融緩和をしていないにもかかわらず、日本や、EUが円やユーロを徹底滝に刷り増せば、相対的に円やユーロがドルよりも増えて、ドルの価値が下がり、ドル安になります。

為替の動きは、短期的には様々な要因がありなかなか正確にあてることはできないですが、長期的には米国と他国の金融緩和政策の方向性で6割型は、予想できます。長期では、結局金融政策の方向性でほとんどか決まります。これは、小学生でもわかる理屈です。お金も、相対的に他国、特にドルと比較して多ければ、安くなりますし、少なければば、高くなります。それだけの話です。

トランプ大統領は、金融政策が雇用と、為替に大きく影響することを、どの政治家よりも理解しているようです。それは、不動産業をやってきた実績から、学んだことなのでしょう。

実際トランプ大統領は昨年3月2、共和党関連の行事で演説し、中央銀行の金融引き締め策がドル高を招き、米経済に悪影響を及ぼしているとして米連邦準備理事会(FRB)を再び批判しています。FRBは1月、2019年に2回想定していた追加利上げを見送って「当面は様子見する」方針を示していたのですが、トランプ氏は改めてけん制した格好でした。
トランプ氏は「米国にとって好ましいドル(の水準)を求めている。外国と事業取引するのを妨げるような強すぎるドルは求めていない」と主張しました。名指しを避けつつも「利上げを好み、量的引き締めを好み、非常に強いドルを好む紳士がFRB内に1人いる」と述べ、パウエル議長を暗に批判した。

不動産業はその時々のFRBの政策に大きく影響されます。だから、いつが儲け時なのか、耐え時なのかを判断するには、FRBの金融政策に大きく影響されます。そのため、実践的に金融政策の重要性を学んだのでしょう。

米国経済を見るときのポイントは、失業率とインフレ率です。それに応じて、マクロ経済政策がどのようになるのか、ほとんど予測できます。

実際の金融政策は「テーラー・ルール」によって行われているといわれています。テーラー・ルールとは、1933年にスタンフォード大学のテーラー教授が提唱したもので、オリジナルな形は、インフレ率と実質国内総生産(GDP)水準の2つから、実際に行うべき金利政策がほとんど説明できるというものです。

実質GDP水準は、失業率と密接な関係があるので、インフレ率と失業率から決まるといっても良いです。具体的にいえば、インフレ率がインフレ目標の2%より高い時に利上げ、低い時に利下げとなり、失業率がNAIRU(インフレを加速しない失業率)といわれる4%より高い時に利下げ、低い時には利上げということが多いとされてきました。

昨年の4月の米国のインフレ率は2%、失業率は3.6%でした。この時点で過去1年くらい、失業率は4%以下となっており、従来のテーラー・ルールからみれば利上げになるという状況でした。

米経済で、失業率が4%を下回ることは極めて珍しいです。戦後を見ても、1960年代後半の4年間程度に見られただけの「超人手不足」状態でした。

これまでであれば、インフレ率がかなり高くなっているはずでしたが、まだ高くなっていませんでした。まさにインフレ目標2%の範囲内になっていました。

当時は、じわりとインフレ率が高まりつつありましたが、より重要な将来のインフレ予想はそうでもありませんでした。

インフレ予想は、物価連動国債と通常国債の金利差である「ブレークイーブン・インフレ率」によって測ることができます。そのデータを見ると、2017年以降、2%の上下0.2ポイント程度で安定していました(5年物)。

従来のデータでは、米国のNAIRUは4%程度というのが定説ですが、ここ1年くらい失業率が4%を下回りながらも、インフレ率が上がっていないということは、NAIRUが3%台半ばになっているのかもしれないことが認識できました。

「超完全雇用」であっても、雇用のミスマッチや、避けられない失業があるためにゼロにはならない。ただ、最近は、インターネットの発達などにより、雇用のミスマッチが少なくなっていることも考えられます。

このブログでは、失業率を事実上の最低ラインのNAIRU(インフレを加速しない失業率)になるように、一方で経済が過熱しないようにインフレ目標があると説明してきました。もし、NAIRUが3%台半ばであれば、それに対応するインフレ目標は2%台半ばになっている可能性もありました。その場合、当時のインフレ率や失業率であれば、利下げの可能性もありえました。結局は、FRBはトランプ大統領の圧力もあって、利下げはしませんでした。

その結果として、上の記事でも示されるいるように、米国の雇用は過去最高の2019年の後、2020年の米国経済は再び強い雇用報告で始まったのです。昨年起きたように、1月の雇用増加は予測を破り、賃金は3パーセント以上上昇し、失業率は歴史的な低さかそれに近い数字を保ったのです。

日銀はNAIRUを無視して事実上の利上げである「イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)」を行っています。米国の動きは、円高を加速させる可能性はかなりありました。そうして、実際そうなっています。

以下は、マクロ政策・フイリップス曲線といわれるものです。数値は日本のものです。日本では、NAIRU最近まで、3%台と思われてきたのですが、3%切ってもインフレ目標が達成されないため、2%台であると認識されるようになりました。米国の場合はNAIRUは従来は4%台であると認識されていたのですが、米国でも失業率が3%台になっても、目立った物価上昇はみられず、NAIRUが3%台であると認識されるようになりました。

マクロ政策・フィリップス曲線

さらに、財務省は昨年10月に消費税増税を実行してしまいました。2014年の増税のときも、それまで積み上げてきた、日銀による金融緩和の成果をぶち壊しにしました。特に、インフレ目標(物価目標)の実現はさらに遠のきました。ただし、緩和は継続されてきたので、雇用の良さはすぐに戻ってきました。

しかし、イールドカーブ・コントロールが実施され、消費税が10%に増税された後はどうなるのでしょうか。日銀が今のまま、抑制気味の金融緩和政策を継続し続ければ、せっかくの金融緩和の成果である、雇用はまた悪化し、インフレ目標実現もさらに遠のいてしまうでしょう。

韓国に至っては、金融緩和をしないで最低賃金だけを機械的にあげたので、大方のエコノミストの予想通り、雇用が激減してとんでもないことになりました。


トランプ大統領は、先の述べたように、金融政策と雇用、為替の関係を理解しているようで、そのせいでしょうが、上の記事にも示されているように空前の雇用の良さを実現しています。

しかし、日本では未だにインフレ目標も達成できず、それでも安倍総理は日銀をトランプ大統領がFRBを批判したようには、批判していません。韓国では、金融緩和をせずに機械的に最低賃金を上げて、雇用が激減する有様です。

安倍総理に関しては、少なくとも文韓国大統領よりは、金融政策に関しては理解があるようですが、それにしても、現在はまさに大規模な緩和のやりどきなのにもかかわらず、実際には日銀を動かせていません。文韓国大統領は、なりふり構わぬ、親北姿勢を崩しませんが、そのようなことの前に、まずは正しい金融緩和政策を実施して、韓国の雇用市場を立て直すべきです。

これは、総理や大統領だけではなく、両国の他の与野党の政治家にも言えることです。親北や「もりかけ桜」は、政治家のメインの仕事ではありません。まともな政治家は、まずは政府だけが実行できるまともなマクロ経済政策を理解し、まともな政策を実行できるように動くべきです。それができない政治家は、政治家とはいえません。単なる政治屋です。

両国とも、米国を見習って、まともな金融政策を実施すべきです。それによって、雇用がよくなり、さらに経済にも良い影響を及ぼすのは確実です。特に、トランプ大統領の金融政策に対する姿勢を学ぶべきです。

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2019年6月2日日曜日

もう一度言う「岩屋防衛相を罷免せよ」 ―【私の論評】相当のショックがない限り韓国政治家の宿痾である権力闘争や、統治の正当性を高めるための反日利用は継続される(゚д゚)!

門田隆将

岩屋毅防衛相

もはやこの大臣を更迭しなければ、安倍政権の致命傷、いや日本全体の痛恨事となるだろう。昨日(6月1日)、シンガポールで開かれている国際会議に出席中の岩屋毅防衛相が、韓国の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相と会談した。

その中で、岩屋氏は、去年12月の韓国海軍によるレーダー照射問題について「照射はなかった。事実無根だ」と強弁する韓国側に対して「再発防止」は求めたものの、今後はこの問題を「事実上棚上げ」し、防衛交流をつづける考えを示したという。

仰天した。それは「絶対にやってはならないこと」だからだ。韓国は「日本には何をやってもいい」と思い込んでいる。その国に「そのとおりです」という誤ったメッセージを送ってしまったのである。

これまでの日韓関係の不幸は、韓国が日本に対して、本来、国と国が持つべき「節度」と「敬意」を持ってこなかったことに発している。中国やアメリカに対して持っている「節度」と「敬意」を韓国は日本には払ってこなかった。

もし、日本に対する態度と同じものを中国やアメリカにとったら、たちまち韓国は大反撃を食らうだろう。そのことを熟知している韓国は、絶対にそんな非礼な態度を米・中にとることはない。

これこそが強いものにはひれ伏し、弱いものには居丈高になる韓国の特色である「事大主義」だ。そして、この韓国の態度を改めさせないかぎり、真の日韓関係が訪れないことは明らかだ。

これを改めさせる方法は「たった一つ」しかない。韓国に対して、アメリカや中国と同じように毅然とした態度をとることである。絶対にレーダー照射事件を許さず、防衛交流もストップさせ、「日本は怒っている」「これからの日本はこれまでとは違う」ということを示すのが不可欠だ。

だが、岩屋氏はそれと真逆なことをやってのけた。韓国は日本に対して、これまでと同様、「何をやっても構わない」ということを再認識しただろう。しかも、この会談は岩屋氏自身の強い要請によるものだった。産経の報道によれば経緯はこうだ。
〈事務方の調整でも折り合わず「会っても建設的な議論にならない」(防衛省幹部)と判断した。それでも岩屋氏は「ぜひお目にかかりたい」と秋波を送り、約30分の非公式会談に臨んだ〉
この会談を岩屋氏は「未来志向」と語ったそうだ。もはや、お笑いというほかない。未来の真の日韓関係のために日本は「毅然とした態度」をとらなければならないのに、岩屋氏は逆のことをやってしまったのだ。

課題を棚上げすることが未来志向になるというお粗末な思考――国際間の常識やあり方を何ひとつ理解していないレベルの防衛大臣を私たち日本国民はありがたく戴いているのである。あまりの情けなさに、私には言葉もない。

岩屋氏は、政界では有名な「パチンコ族」である。パチンコチェーンストア協会の有力アドバイザーだ。ちなみに、日本のパチンコ業界は、韓国のハンギョレ新聞の報道によれば、「全体の6割」が朝鮮半島出身者であるそうだ。

つまり、これほど異常なまでに韓国にすり寄る岩屋防衛相の背景には、自らの支援者が多い韓国への氏の特別な意識、親密度が考えられるのである。

私は2月の当欄で〈岩屋毅防衛相を罷免せよ〉と題して、〈果たして制裁を受けるべきなのは「韓国」なのか、それとも「安倍政権」なのか。韓国に毅然としたメッセージも発せられず、それと逆のことしかできない政府に対して、国民が「愛想を尽かせる時期」が着実に迫っている〉と書いた。

安倍政権は、未だに韓国への制裁に踏み切れず、さらに、ことここに至っても岩屋防衛相を更迭できないでいる。情けない野党への反発のお蔭で安倍政権は辛うじて国民の支持を得ている。しかし、その国民の怒りも頂点に近づいている。

来たるべき選挙で安倍政権が手厳しいシッペ返しを受けるキーワードは「韓国である」ことをあらためて申し上げたい。一刻も早い「岩屋防衛相の更迭」を、そして真の日韓関係のために速やかな「制裁発動」を望む。

【私の論評】相当のショックがない限り韓国政治家の宿痾である権力闘争や、統治の正当性を高めるための反日利用は継続される(゚д゚)!

私自信は、制裁がどうのこうのというより、すぐにでも韓国とは国交断絶をしたほうが良いと思っています。その理由については、以前このブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【日本の解き方】日本の「対韓国制裁シナリオ」 仲裁委応じなければ提訴へ! カネでの締め付けが有効に―【私の論評】日本は、文政権時に断交していればポスト文政権と有利に交渉がすすめられる(゚д゚)!
文在寅氏

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事の結論部分のみ引用します。 
最近は、分政権の支持率は、落ちており、文政権は、どう考えてみても長期政権にはならず、近い将来に文政権は崩壊する可能性もあるものと思います。韓国の大統領は1期5年なので、朴槿恵大統領のように弾劾罷免されない限り、2022年5月9日までは大統領として任期が設定されています。文大統領の任期は最大限そこまで終わるでしょう。

いずれにせよ、文政権が終了したときに、すでに日本が韓国と断交していれば、ポスト文政権は、日本との関係を回復しようとするでしょう。日本としては、それでもしばらくは様子をみて、本気て相手が回復するつもりがあれば、国交断絶を解除すれば良いのです。おそらく、いままで一番交渉がしやすくなるでしょう。

もし、文政権が崩壊したときに、日韓が国交断絶していなければ、新たな政権も、文政権の反日を引き継ぐだけになり何も変わりません。その時になって、国交断絶するよりは、文政権時代に断絶しておくことのほうが、日本にとって有利なのは言うまでもありません。
最近では、やはり国交を断絶したほうが良いとさらに強く思うようになりました。それは、まずは韓国利権を得ている政治家は日本には相当数おり、今のままだと、それこそ岩屋防衛大臣のような行動をする議員が他もでてきて、結局日韓関係はなし崩し的に韓国のペースで進められてしまう可能性が大きいからです。

次に、文在寅のようなポピュリスト(大衆迎合主義者)は特定の国や集団を敵としながら、国内の権力闘争を有利に進めます。ヒトラーにとってのユダヤ人がそれです。韓国や中国が、日本を攻撃対象にする構図も、酷似しています。

結局、ヒトラーや文、習のような連中は、まともに行動していては、国民からいつ統治の正当性を疑われて、没落するかわからないので、統治の正当性を獲得するために、いつも敵を用意して、国民の憤怒のマグマを自分ではなく敵にむけるように仕向けるのです。

韓国の首都圏京畿道(キョンギド)の議会で3月、小中高校の一部の日本製備品に「日本の戦犯企業が生産した製品」と記したステッカーを貼るよう義務付ける条例案が提出されました。文在寅大統領の与党「共に民主党」議員らが起こした騒動です。

「生徒への正しい歴史認識を確立させる」「戦犯企業への教育が必要だ」

同党議員らはこういって条例案を正当化しましたが、京畿道の教育部局が混乱の恐れを理由に反対し、康京和(カン・ギョンファ)外相も難色を示しました。ネットでも「やり過ぎだ」との非難が殺到し、審議は保留になっています。とはいえ、1945年に日本の朝鮮半島統治が終わり70年以上を経た今も、歴史問題での日本たたきは韓国で幅を利かせています。

伏線はあった。日本統治に抵抗して起きた19年の「三・一独立運動」100周年に当たる3月1日、文氏はソウルでの記念式典で元慰安婦らを含む約1万人の参加者を前に訴えました。

「チニル(親日)は反省され、独立運動には礼が尽くされるべきだという価値を正しく確立する。これが『親日残滓(ざんし)の清算』だ」

韓国で「親日派(チニルパ)」といえば、日本統治時代に日本に協力した売国奴を指す。国会では3月、文政権を批判した保守系野党「自由韓国党」の羅卿瑗(ナギョン・ウォン)院内代表を「共に民主党」議員が「親日派!」と罵倒しました。

羅卿瑗(ナギョン・ウォン)院内代表

羅氏は韓国が不法占拠する竹島(島根県)への上陸経験もある人物です。実際に親日か否かに関係なく、「親日派」という言葉は政敵攻撃に使われるのです。

日本政府観光局(JNTO)の統計によると、2018年に日本を訪れた外国人客約3119万人のうち、韓国は約754万人で、トップの中国の約838万人に次いでいます。日本は韓国人旅行者をひきつけ、毎年のように訪問客は過去最高を更新しています。とこが「反日」は力を失っていないです。

今世紀に入り、金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)の両左派政権で反日の歴史教育を受けた世代は20~30代となりました。過去の歴史から遠い世代ながら、日本への好感度は若年層ほど低いというのが実情です。

韓国の政治家は世論の支持を得るために反日を利用してきました。17年大統領選では、文在寅(ムン・ジェイン)大統領をはじめ主要候補全員が、慰安婦問題をめぐる日韓合意の撤回を公約しました。反日には異論をはさめない雰囲気があり、日本製品へのステッカー騒動もそれに便乗した一例です。

1990年以降の反日教育により韓国には日本による併合が違法な植民地統治だったとの考え方が根本にあり、世論は基本的に日本に批判的です。以前は、反日を訴えさえすれれば国民の支持を集められたまし。

しかし現在の韓国は、反日を訴えさえすれば支持率が上がったり、得票できたりすることはなくなりました。世論の関心事が対日関係より国内の経済不振や格差に向いているからです。

竹島上陸など日本人が反日とみる韓国の政治家の行動も、実際には選挙での支持固めを狙った党内や支持者など内輪向けの「愛国パフォーマンス」にすぎないです。

ただし、韓国の若者層は、子供の時代から体系的、組織的な反日教育を受けたため、未だに若年層ほど日本に低い好感度という世論調査があります。


日本への好感度が低い、若者が多いということは、現状の政治家ですら、日韓関係を悪くする一方であることからも、将来は現在よりさらに、反日が酷くなることが予め予想できるということです。結局のところ何も変わらないどころかますます悪くなるだけです。

であれば、やはり日本としては、文政権の韓国と国交を断絶した上で、ポスト文在寅政権が、どうするのかを注意深く見定めて、国交を復活するかどうかを決定すべきです。なお、国交断絶するのは難しいようなことを語る識者もいますが、常識的に考えて、駐韓大使の召還をすれば、国際的に、日本と韓国は国交を断絶したものとみなされます。

そうなれば、両国民も両国の市場もそのようにみなします。召喚期間が長引けば、長引くほど、人の往来はなくなり、金融や通信のやり取りも少なくなりやがて止まります。駐韓大使を召喚して半年もたてば、さすがに岩屋氏のような行動をする政治家も日本から消えるでしょう。

そうでないと、日本国内では岩屋防衛相のような政治家がはびこり、これを韓国政治家に利用され、韓国の政治家に巣食っている宿痾 である内輪の権力闘争や、自らの統治の正当性を高めるため反日を利用するという姿勢は、永遠になくなることはないでしょう。

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2018年7月21日土曜日

【日本の解き方】リーマン危機前の日銀「議事録」 引き締めが必要との姿勢強調、金融機関重視で国民生活軽視―【私の論評】物価目標2%を達成前に量的緩和をやめれば、旧白川日銀のように中国を利し米国からの反発は必至(゚д゚)!

【日本の解き方】リーマン危機前の日銀「議事録」 引き締めが必要との姿勢強調、金融機関重視で国民生活軽視

日銀元総裁 白川氏

 日銀の2008年1~6月の議事録が公開された。リーマン・ショック直前の日銀内でどのような議論が行われていたのか。危機への備えは適切だったのだろうか。

 この時期、日銀人事は混乱していた。08年3月19日には福井俊彦総裁の任期が終了したが、ねじれ国会の与野党の対立により、総裁が約3週間不在になる異例の事態もあった。

 4月上旬には、副総裁に就いたばかりの白川方明(まさあき)氏を総裁に昇格させる案が国会に提示され、4月30日の決定会合から総裁不在は解消された。

 そして、白川氏は6月会合で「たぶん、危機、最悪期は去ったのだろうと思う」と発言した。これは、大手の金融機関が突然破綻するという意味での「最悪」であり、白川氏が金融機関ばかりを見ていたことを示している。

 筆者は、白川氏が同年9月のリーマン危機を想定していなかったことを問題とするつもりはない。あのような数十年に1度のことを予想するのは難しいからだ。

 かつてアラン・グリーンスパン元米連邦準備制度理事会(FRB)議長も「バブルは崩壊して初めてわかる」という名言を残している。

 重要なのは事前の予想ではなく、事後の対応だったが、白川日銀はそれに失敗し、リーマン・ショック後大規模な金融緩和を怠った。その萌芽(ほうが)も1~6月の議事録に見られる。

 この間、FRBは1月に緊急利下げを行ったが、日銀は政策金利を据え置いた。1月の会合で当時の福井総裁は「物価安定のもとでの成長軌道をたどるのであれば、金利水準を徐々に引き上げていく方向にある」と、金融引き締めが必要との立場だった。

 このスタンスは白川日銀にも引き継がれ、4月下旬の会合で須田美矢子委員は「持続的な成長軌道をたどる蓋然性が高い場合は利上げという考えに変わりがない」としている。このほかにも、資源高に伴うインフレ懸念から利上げを検討すべきだとの声すら出ていた。

 白川日銀は、金融引き締めが必要との予断があったために、その真逆の大規模な金融緩和に思い至らなかったのだろう。

 また、白川日銀は金融機関を重視していた。白川氏が、金融機関を見て、「最悪を過ぎた」と発言したとの議事録は既に紹介したが、リーマン・ショック後、日本の金融機関がそれほど打撃を受けていないことが分かると、リーマン・ショックを過小評価したことにつながっている。これは当時の与謝野馨経済財政担当相が「蜂に刺された程度」と述べたことからもうかがえる。与謝野氏は白川日銀の執行部との距離感が近かったので、この発言は日銀の状況を表している。

リーマンショックを「蜂に刺された程度」と述べた与謝野馨経済財政担当相(当時)

 楽観論を戒める場合でも、「金融機関のサドン・デスが重なるとかなり大きなことになるので、十分注意しないといけない」(西村清彦副総裁)というように、金融機関が対象であり、円高などの国民生活への影響は顧みられなかった。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】物価目標2%を達成前に量的緩和をやめれば、旧白川日銀のように中国を利し米国からの反発は必至(゚д゚)!

この当時の日銀の明らかな失策については、過去のこのブログにも何度となく掲載してきました。

それらを簡単に以下にまとめます。

97年には、日銀法が改正され、98年間より、日銀はデフレの中での金融引き締め政府を実施し、日本はこの年から、完璧にデフレに陥りました。この年から、自殺者が前の年まで、2万人台だったものが、3万人台に膨れ上がりました。

バブル期に判断ミスをした日銀の金融政策は、その後もずっと間違い続きとなり、第一次安部内閣のときには、もう少しで、日本経済がデフレから脱却できそうだったにもかかわらず、バブルの最中に金融引き締め転じ、日本をデフレ・スパイラルの泥沼に再びひきずり下ろし、その後第一次安部内閣は、崩壊しました。

過去ほとんど金融緩和をしなかった日銀

リーマンショックのときには、日本を除く欧米先進国などすべてが、大規模な金融緩和を行ったにもかかわらず、日銀はほとんど実施せず、その結果、ショックの震源地であるアメリカや、直接の影響をかなりこうむったEU諸国などが、すぱやく立ち直ったにもかかわらず、本来ほとんど影響のなかった日本が、大きな影響をこうむり一人負けの状況でした。こうした意味では、日本におけるリーマンショックは実は、日銀の不手際によるものであって、日銀ショックと呼んでも差し支えないものでした。

実際リーマンショック震源地の米国よりも、2008、2009年の実質落ち込みは激しいものでした。それは以下の表をご覧いただければご理解いただけるものと思います。



その後も日銀の不手際は続きます。なにやら、おかしげな基金を設置して、短期の国債(短期の国債を買い取っても現金を現金に替えているようなもので、ほとんど金融緩和の効果はない)などを買取るようなことをして、いかにも金融緩和をやっているようにみせかけつつ、実質的に金融引き締めを続けていた日銀は、東日本大震災が発生したときでさえ、基本的には金融引き締めを実施し、緩和はしませんでした。


そのためにどういうことになったかといえば、震災などの大規模な自然災害が発生すれば、救援活動や復興活動で、当然のこととして円の需要が高まります。にもかかわらず、日銀は、金融引き締めをしたままので、その結果として、当然円の需要はますます高まり、かなりの円高となりました。

どの国でもまとも国であれば大規模な自然災害が発生すると、多少通貨高になるのが普通ではあります。確かに、東日本大震災の前の年にあった、オーストラリアの水害のときも、オーストラリアドルが高くはなりました。しかし、日本の場合は、高くなりすぎただけでなく、長期間続きました。やはり、日銀歩が金融引き締めばかりに実施して、円を市場に投下しなかったためです。

この馬鹿な日銀による、金融政策の失敗続きは、2014年の4月に黒田体制となってから、異次元の包括的金融緩和が実施されて以来、終止符が打たれたわけです。

それにしても、日銀はなぜこのようなデフレ円高誘導をしてきたのか疑問が残ります。白川総裁を始め、その前の福井俊彦総裁、さらにその前の速水優総裁はとにかく頑なにお札を刷りませんでした。

デフレ脱却議連が当時の民主党政権に抵抗して『白川、お札刷れ!』と言っても、そのたびに中国人民銀行の周小川(しゅうそうせん)総裁が『お札するなよ』と命令をしてくるので、実行しなかったのでしょうか。

周小川は2013当時『日本の金融緩和は許せない』などと語っていました。なぜあんなことを言えたのかと、冷静に考えれば、周は白川の上司だったと考えれば納得がいきます。無論白川氏が本当に周の部下だったのかどうかはわかりませんが、白川氏が総裁だったこの日銀が実行していることをみれば、そういわれても無理はないです。

現在も中国自民銀行のトップである周小川

日本銀行は日本の銀行ではなかった、というこかもしれません。当時日銀が金融緩和をしなかったため、中国はかなり緩和をしても、インフレになる心配がない状況になりました。

デフレ円高によってほぼ固定相場制のごとく元安が約束されますから、中国は元安で貿易黒字が続きました。その当時は、日本に工場があると、同じものを製造しても中国で製造するよりも高くなるので売れなくなりました。

そのため、産業が空洞化しました。それを一気に逆転する方法が安部総理の『日銀をとるのは天王山』だったわけです。日銀が中国の手先だとわかった以上は、戦うしかないわけです。ただし、戦うとはいっても無論武力で戦うわけではありません。

金融というのは非常に重要で、日銀を動かすことができれば、これは中国に対しては、核武装に匹敵するくらいの威力があります。だから安倍総理は日銀にこだわったのです。日銀を手中にすれば、中国を『滅ぼす』ことは容易なのです。
15年間デフレで安倍さんが日銀に金融緩和しろといった途端に、景気が回復軌道に入りました。東京から10大都市に向けて順々に派遣やフリーターの時給が上がり始めました。

誰がデフレ不況の元凶だったかは明らかです。安倍総理が前の日銀総裁の白川方明に『お札刷れ!』と言ったら、なぜか、あくまでなぜかですが、尖閣諸島に戦闘機とか軍艦が押し寄せてきました。しかし、いまや中国バブルは崩壊寸前です。

日銀が文字通り日本の銀行になったことで中国は別の手を打ってくる可能性もあります。中国が打つ手は三つあります。一つはチャイナ系ヘッジファンドが株価の操作を試みることです。アベノミクスそのものをひっくり返そうとすることです。

いまも疑わしき状況があって、円安要因しかない局面でなぜか円高株安に触れています。何かきな臭いところがあります。

もう一つは、尖閣抱きつき作戦です。中国の得意技にプロパガンダがあります。特に歴史問題を持ち出すのが大得意。だから尖閣でさんざん日本を挑発して、日本が殴ったら、『ああ、日本に殴られた。昔と同じようにいじめられた』みたいなことを世界中にプロパガンダして、『歴史問題、頑張るアルヨ』とばかりに、バカなアメリカ人を騙して、他人の力を使って日本を制裁させるといシナリオです。

三つ目の作戦としては、安倍晋三の暗殺です。これは本気でやりかねません。中国の理想的なシナリオ、これは中国に限らず、日本を滅ぼしたい勢力の理想は、今年秋の総裁選で安倍総理が、『自民党は盤石政権』だと言ったあとに安倍さんがなくなることです。

なぜなら、安倍さんがいなくなれば、自民党の政治家は、残念ながら一部を除いて能力が低いです。いかようにでもなるからです。これは本当に困ります。チャイナ系ヘッジファンドの株価操作、尖閣抱きつき作戦、三つ目はちょっと特殊な話ですけど、これらに対して打つ手はいくらでもあります。結論からいうと、安倍さんが生きているかぎり大丈夫です。

そうして、この3つの作戦は、オバマ政権のときにはかなりやりやすかったのですが、トランプ政権になってからがらりと風向きが変わりました。そもそも、オバマ政権のときには、「戦略的忍耐」としてオバマは中国のすることを実質的に見逃してきました。

ところがトランプ大統領は大統領選挙のときから、中国と対峙することを公約としていました。安倍総理は安倍政権成立の直前の2012年12月に、海外のサイトに「安全保障のダイヤモンド」という論文を寄稿して、対中国封じ込め戦略を提唱していました。

そのためこの二人が最初から馬が合うのは当然といえば当然でした。そうして、日米は対中国封じ込めで強力し合うようになりました。

そうして、現在ではトランプ政権は対中国貿易戦争を開始し、本格的に中国を潰しにかかっています。この戦争は、中国が国内市場を開放したり、元を完璧に変動相場制に移行するだけですむことはありません。

トランプ政権としては、現在のところはっきりと中国には言っていませんが、究極的には民主化、政治と経済の分離、法治国家化をせまるものと思います。しかし、これを中国が実行すれば、おのずと中国の現状の体制は崩壊するというか、させることになります。

それは、中国としてはできないと判断することでしょう。であれば、米国としては中国が二度と米国を頂点とする戦後の国際秩序を維持するため、中国がこれに対抗することができないように、経済的にかなり弱体させることを目的とするでしょう。実際、米国はこれを目的として今後、貿易戦争、金融制裁をエスカレートさせていくことでしょう。

このような状況のときに、日本が金融緩和を中途半端にやめてしまえば、白川日銀のときにのように中国を利するだけであり、米国の対中国は貿易戦争の勢いを削ぐことになり、米国からかなり反発されることになるでしょう。

とにかく、日本は物価目標2%を達成するまで、デフレから完全脱却するために、量的緩和を継続し、間違っても中国を利することのないようにすべきです。

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2018年2月3日土曜日

トランプ大統領が金正恩政権殲滅の姿勢 駐韓米大使「白紙」で韓国切り捨て、五輪後の“軍事発動”不可避―【私の論評】日米は無責任国家韓国に対峙しながら、北の脅威に対抗していかなければならない(゚д゚)!


トランプ氏の照準は、正恩政権の「殲滅」に定まったのか =1月30日、ワシントン
ドナルド・トランプ米大統領が、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権を殲滅(せんめつ)する姿勢をあらわにした。上下両院合同会議で1月30日(米国時間)に行った一般教書演説で、北朝鮮の「核・ミサイル開発」を、米本土の「脅威」と言い切り、一切譲歩しない考えを明らかにしたのだ。駐韓米大使の内定取り消しも、「従北」の文在寅(ムン・ジェイン)政権への“警告”とみられている。平昌(ピョンチャン)冬季五輪後の「軍事オプション発動」という選択肢は不変のようだ。 

 「北朝鮮の非道な独裁政治ほど、国民を残忍に抑圧してきた体制はない。向こう見ずに『核・ミサイル』を追求し、すぐにも米本土の脅威になり得る」「北朝鮮の政権の邪悪な性質に目を向けるべきだ」

 トランプ氏は一般教書演説で、正恩政権をこう非難した。北朝鮮への批判は5分を超え、異例の長い時間となった。

 正恩体制の存続を許さないトランプ氏の決意は、議場に招いた顔ぶれにも表れていた。

 北朝鮮で約1年半も拘束され、昨年6月に昏睡(こんすい)状態で帰国した直後に死亡した米国人大学生、オットー・ワームビア氏の両親や、悲惨な体験をした脱北者の姿があったのだ。

トランプ氏の一般教書演説の会場に招待されたオットー・ワームビア氏のご両親
 米国は過去、北朝鮮に何度もだまされ、結果的に「核・ミサイル開発」を許してきた。その過去と決別するかのように、トランプ氏は「これまでの経験は、自己満足や譲歩は攻撃と挑発を招くだけだと教えている。私たちをこの危険な立場に陥れた過去の過ちを繰り返さない」と述べた。

 一般教書演説の発言だけでなく、トランプ氏の決意は具体的行動にも移された。

 平昌五輪を前に、「南北融和」に前のめりとなっている韓国・文政権に強烈な「冷や水」を浴びせた。駐韓米大使に就任するとみられていたジョージタウン大学教授のビクター・チャ氏の内定が「白紙」となったのだ。駐韓米大使が「ほぼ1年不在」という異常事態が続いている。

ビクター・チャ氏
 韓国系米国人であるチャ氏は、国家安全保障会議(NSC)で「日本・朝鮮半島担当部長」を務めたほか、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の次席代表も担当した。

 米紙ワシントン・ポストの記事によると、昨年12月のホワイトハウスの要請を受け、韓国政府はアグレマン(同意)まで出していた。だが、北朝鮮政策などをめぐる考え方の違いがあり、ホワイトハウスは別の候補者選びに動き出したという。

 韓国・中央日報(日本語版)は1月31日、「アグレマンまで受けた大使内定者を指名しないのは非常に珍しい」と指摘した。

 チャ氏の内定撤回は、北朝鮮政策をめぐる方針の違いだけではないとの見方もある。

 米国政治に詳しい福井県立大学の島田洋一教授は「米政府での駐韓大使の位置付けは、駐日大使に比べて低く、NSCの元部長であるチャ氏には“格下げ”に近い。さらに、駐韓大使は、文政権が進める『太陽政策』に厳しい態度を取っていく必要があり、韓国系のチャ氏にはありがたくない。チャ氏自身が降りた面もあるのではないか」と説明する。

 トランプ政権の人事に韓国は戦々恐々としている。

 朝鮮日報(同)は同月31日、《駐韓大使人事撤回で見えた米の対北強硬姿勢、戸惑う韓国政府》という見出しの記事を報じた。

 記事では、韓国政府が、トランプ政権の対北姿勢が予想よりも強硬なことが分かり、韓国政府が当惑していることを紹介した。さらに、専門家の話として、北朝鮮が核とICBM(大陸間弾道ミサイル)の保有を続けることを主張すれば、「対北攻撃が現実化する可能性も排除できない」と伝えた。

 前出の島田氏は「米国は、北朝鮮に軍事攻撃をする場合でも、韓国と相談する気はないだろう。大物を駐韓大使に持ってくると、かえって傷がつきかねない。大使不在でも代理はいる。米外交の世界で、もともと低かった韓国の位置付けが、ますます低下したということではないか」と話した。

 朝鮮半島は五輪終了後、「未曾有の危機」を迎えるのか。

【私の論評】日米は無責任国家韓国に対峙しつつ、北に対抗していかなければならない(゚д゚)!

さて、上記にもあるように、駐韓米大使に就任するとみられていたジョージタウン大学教授のビクター・チャ氏の内定が「白紙」となりました。そうして、駐韓米大使が「ほぼ1年不在」という異常事態が続いています。これは、やはり上の記事にもあるように、米外交の世界で、もともと低かった韓国の位置づけが、ますます低下したとみるべきでしょう。


日本外交の世界でも、韓国の位置づけはかなり低下しました。菅義偉官房長官は昨年の1月6日の記者会見で、韓国・釜山での慰安婦像設置を受け、「極めて遺憾だ」として駐韓日本大使の一時帰国など4項目の対抗措置を発表しました。会見の詳報は以下の通りです。
2015年の日韓合意において、慰安婦問題が最終的で不可逆的に解決される、このことを確認をしている。それにも関わらず、2016年の12月30日、韓国の市民団体によって、釜山の日本国総領事館に面した歩道に慰安婦像が設置されたことは、日韓関係に好ましくない影響を与えるとともに、領事関係に関するウィーン条約に規定する領事機関の威厳を侵害するものと考えており、規定に照らして極めて遺憾だ。 
これを受けてわが国は当面の措置として、(1)在釜山総領事館職員による釜山市関連行事への参加見合わせ(2)長嶺安政・駐韓国大使および森本康敬・在釜山総領事の一時帰国(3)日韓通貨交換(スワップ)の取り決めの協議の中断(4)日韓ハイレベル経済協議の延期。その措置を採ることを決定した。
ただし、北の脅威が迫る中、半島有事のときの邦人救出などのからみもあって、当時の岸田文雄外相は昨年4月3日、外務省で記者団に対し、日本に一時帰国させている長嶺安政駐韓大使と森本康敬釜山総領事を4日に韓国へ帰任させる方針を明らかにしました。

長嶺安政駐韓大使
ただし、政府は昨年6月1日、韓国・釜山の森本康敬総領事(60)を退任させ、後任に道上尚史ドバイ総領事(58)をあてる人事を発表しました。政府の方針に異を唱えたことで、事実上更迭されたと見られています。

以上のように、日米政府ともに外交上韓国の位置づけを低下させています。これは、当然といえば、当然です。なぜなら、韓国政府は日米両政府からみてあまりにも無責任だからです。

そうして、米国では政府だけではなく、マスコミも韓国、文在寅大統領の無責任ぶりも避難しています。

米国の有力大手紙WSJは昨年11月7日付の社説で以下のよう見出しを掲げましたた。
 South Korea’s Bow to Beijing(韓国、中国にひざまずく)》 
 米軍の最新鋭迎撃システム「THAAD(高高度防衛ミサイル)」をめぐり、中国から“報復”を受けていた韓国は最近、中国と、(1)米国のミサイル防衛システムに加入しない(2)日米韓の安全保障の協力は3カ国軍事同盟に発展しない(3)THAADを韓国に追加配備しない-ことで合意したとされる。
 WSJは、こうした文氏の「媚中外交」と、北朝鮮に融和的な「従北」姿勢を徹底批判した。文氏の掲げる「バランス外交」を「中国の圧力に直面し、自国や同盟国の安全保障に関して譲歩もいとわない姿勢は、バランス外交とは程遠いものだ」とし、「文氏が取った一連の行動は、(北朝鮮の)金正恩(キム・ジョンウン)氏を包囲するための同盟関係を損なうものとなった」と指摘しました。

韓国政府の無責任ぶりについては、日米両政府やマスコミだけではなく、米国の著名な戦略家もそのような批判をしています。

米戦略国際問題研究所のエドワード・ルトワック上級顧問は、「文芸春秋」12月号の池上彰氏との対談で、韓国のリスクとして(1)北朝鮮による軍事侵攻への備えとして、政治と経済の中枢を軍事休戦ラインから南に離すべきだという40年来の提言を放置している(2)延坪島砲撃にほとんど反撃しなかった(3)文大統領は北に資金を流そうとしている-の3点を指摘しています。
ルトワック氏

背景にはソウルが北からの攻撃に無防備で、米軍が軍事的選択を大幅に失っているという認識があるのでしょうが、韓国を「無責任」で「自国の安全保障問題に向き合わない国」と看破して「無視してもいい存在」とまで断じています。

ルトワック氏は、以前から韓国の無責任な態度を批判しています。2012年の"The Rise of China vs. the Logic of Strategy"という著書では以下のように指摘しています。
(韓国は)北朝鮮からの攻撃にたいして即座に確固とした態度で相応の報復をしようとしていない。 
これからもわかるように、実際のところ韓国政府は、米国と中国に依存する従属者となってしまっている。米国には全面戦争の抑止、そして中国には、一時的な攻撃にたいする抑止力を依存しているのだ。 
その公言内容から考えると、韓国らは明らかにこうしたやり方を好んでいる。 
ところがこれはアメリカにとって満足できる状況ではない。なぜなら韓国を北朝鮮から庇護するコストとリスクを、アメリカは独力で背負わなければならないからだ。 
さらに、韓国への影響力は中国と折半しなければならない。中国は「北朝鮮への締め上げを中止するぞ」と脅かすことで、常に韓国政府を締め上げることができるからだ。 
今のところ韓国が中国にたいして声を上げることはない。中国政府にたいして恭しい態度をとっているからだ。そして悲しくなるほどの熱意を持って、中国指導者が北朝鮮を厳しく統制してくれることをありがたがっているのだ。
 そうして、このルトワック氏は南北会談で油断するな「アメリカは手遅れになる前に北を空爆せよ」と主張しています。

これについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
南北会談で油断するな「アメリカは手遅れになる前に北を空爆せよ」―【私の論評】ルットワックの真骨頂は綺麗事を排して、リアリズムに徹すること(゚д゚)!
グアムから朝鮮半島にかけて行われた米韓合同軍事演習
詳細は、この記事を読んでいただくものとして、この記事ではルトワック氏は、2年ぶりの南北会談はまたも問題先送りで終わるだろう。北朝鮮がアメリカに届く核ミサイルを完成させる前に、核関連施設を破壊すべきだ」と主張していることを掲載しました。

朝鮮半島は五輪終了後、「未曾有の危機」を迎えるのかどうかは、わかりませんが、少なくとも米軍による核関連施設の本格的な爆撃は十分あるものと考えるべきでしょう。それに続いて、すぐに陸上部隊の派遣するか否かは今の段階では半々だと思います。

なぜなら、空爆は米国の意思によって十分にできることですが、地上戦では無責任な韓国を信頼できないからです。おそらく、地上戦があっても韓国軍があからさまに米軍に敵対するということはないにしても、ここぞというときにサボタージュされたり、裏切られたりする危険性は拭い去れないからです。

おそらく、米軍はまずは爆撃などにより、北朝鮮の核関連施設を破壊し、様子をみてから必要があれば、地上軍を投入するという段階を踏むことになると思います。

米軍が爆撃するときは、無論のこと米国はこの爆撃に関して、韓国に対して事前通知をすることはないでしょう。なぜなら、通知すれば、それが金正恩氏や中国に伝わることが必定だからです。通知は、爆撃がほぼ終了して勝敗の帰趨が明らかになってからということなるでしょう。

無論、日本に対しては、事前に通知があることでしょう。日本はかつての日本とは違います。特定秘密保護法が機能しています。

いずれにしても、今後日米は、いかなる北朝鮮対応も、韓国には事後通告ということですすめることになると思います。

北有事で在韓邦人、米国人救出で自衛隊出動という事態が生じたとしても、韓国に事前通知することはないでしょう。なぜなら、知らせれば、それこそ北にすぐそれが伝わり、ことさら邦人や米人を危険に陥れる可能性があるからです。おそらく、日米共同で実行することになると思われます。

それにしても、日米は本来味方になるはずの無責任国家韓国と対峙しながら、北の脅威に対抗していかなければならないのです。ますます、日本国内の米軍の存在が重要になったということです。

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2017年10月11日水曜日

【ニュースの核心】脅威は北だけではない 小池氏は衆院選操る「暗黒政治家」 適当な人物を首相指名し自分は黒幕に―【私の論評】危機に対応する真のリーダーの姿勢とは?

【ニュースの核心】脅威は北だけではない 小池氏は衆院選操る「暗黒政治家」 適当な人物を首相指名し自分は黒幕に

金正恩
 いま日本は「戦後最大の危機」を迎えている。朝鮮半島情勢が一触即発の状態にあるからだ。そんななか、日本の将来を決める衆院選が10日公示された。私たちは何をどう判断すべきなのか。

 まず、「何を」についてだ。それは消費税の使い道とかアベノミクスではない。何より「日本の平和と安全」である。

 問題を難しく考える必要はない。国の平和と安全が守られなければ成長も繁栄もないからだ。

 日本はいま中国と北朝鮮に脅かされている。北朝鮮は言うに及ばず、中国も沖縄県・尖閣諸島周辺に公船や軍艦を派遣して、隙あらば島を奪取しようともくろんでいる。この現状認識が出発点になる。

 この危機認識を共有できず、「中国も日本と平和共存を望んでいる」などと考える能天気な人々は論外である。これだけで、怪しさを見破れる政治家や政党もあるはずだ。

 では、日本はどう中国や北朝鮮の脅威に対処するのか。

 残念ながら、単独では対抗できない。毎年の中国の軍事費は日本の4倍近くに上り、ベースになる経済力は2倍以上に達している。

 仮に、軍事衝突が起きたとしても、日本は攻撃能力を保有していない。だから攻撃力を持つ米国との同盟を基軸に対抗するしかないのが現状なのだ。ところが、野党は何を言ってきたか。

 ここから「どう判断するか」の問題になる。野党は日米同盟を強化する安全保障関連法に反対し、自衛隊明文化という最小限の憲法改正にも反対してきた。

 本当を言えば、立憲民主党を結成した枝野幸男代表や、民進党を壊した前原誠司代表は月刊誌への寄稿や自分のブログで、実は改憲に賛成していた。

 希望の党に駆け込んだ民進党出身の前議員たちに至っては、「安保関連法反対、改憲反対」を絶叫していたのに、議員バッジ欲しさに一夜にして寝返って支持者を裏切った。

 こうした野党議員は「確固たる信念を持った政治家かどうか」という基準に照らせば、容易に判断できる。

写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 希望の党の小池百合子代表(都知事)は立候補を否定した。選挙後の首相指名で「誰に投票するか」については明言を避け、「選挙後に決める」と言っている。

 これが何を意味するか。

 もしも希望の党が過半数をとったら、誰を首相にするか「一切、私に任せてくれ」と言っている。つまり小池氏は適当な人を首相に仕立て上げ、自分は「舞台裏の黒幕」として国を仕切るつもりなのだ。

 国会議員でないから、国会で説明責任も求められない。彼女が言う「情報公開」とか「透明性強化」など、とんだお笑い草である。

 こんな人物が代表を務める希望の党が権力を握ったら、日本はとんでもない「ブラックボックス政治」「暗黒政治」になってしまうに違いない。

 日本を脅かしているのは、北朝鮮の「核・ミサイル」だけではない。ポピュリストの仮面をかぶった「暗黒政治家」にも脅かされているのだ。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。東京新聞論説委員。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革推進会議委員などの公職も務める。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。最新刊に『ケント&幸洋の大放言!』(ビジネス社)がある。

長谷川博之氏

【私の論評】危機に対応する真のリーダーの姿勢とは?

ブログ冒頭の長谷川幸洋氏の記事のように、いま日本は「戦後最大の危機」を迎えています。このような危機にある日本は、今真の意味でのリーダーが必要不可欠です。

優れたリーダーについて、経営学の大家ドラッカー氏は以下のように述べています。
優れたリーダーは、“私”とは言わない。意識して言わないのではない。“私”を考えないのである。いつも、“われわれ”を考える。チームを考える。彼らは、自分の仕事がチームを機能させることだということを知っている。責任を引き受け、逃げることをしない。成果は“われわれ”のものとする。考えることは、なされるべきことと、チームのことだけである。そこから信頼が生まれ、なされるべきことがなされる。(ドラッカー名著集(4)『非営利組織の経営』)
これを今の日本即して言い換えると、以下のようになると思います。

優れたリーダーは、"私"とはいわないのです。意識して言わないのではありません。"私"を考えないのです。いつも"日本"を考えるのです。政府のことを考えるのです。優れたリーダーは、自分の仕事が政府を機能させることだということを知っているのです。責任を引受け、逃げることをしない。成果は"日本国"のものとするのです。考えることは、なされるべきことと、日本のことだけです。そこから信頼が生まれ、なされるべきことがなされるのです。

ドラッカーは、リーダー用の資質などというものはないと言います。リーダーにはいろいろなタイプがあります。しかし、リーダーたるために必要とされる姿勢は、いくつかあります。

 第1が、人に聞くことである。聞くことは、スキルではなく姿勢です。

 第2が、自らの考えを理解してもらう意欲です。そのためには何度も言い、身をもって示すことです。

 第3が、言い訳やごまかしをしないことです。何事にも本気であることです。

 第4が、仕事の重要性に比べれば、自分など取るに足りない存在であるとの認識です。仕事と自らを一体化しないことです。仕事とは、リーダーよりも重要であって、リーダーとは別個の存在です。

リーダーの姿勢として、現在の日本で一番重要なのは、特に第4の姿勢だと思います。北朝鮮に対応することの重要性に比べれば、自分など取るに足りない存在であるとの認識です。仕事と自らを一体化しないことです。北朝鮮への対応は、リーダーよりも重要であって、リーダーとは別個の存在です。

ドラッカーは、真のリーダーについて、こう言っています。「私の知っているほとんどのリーダーが、生まれつきのリーダーでも、育てられたリーダーでもなかった。自らをリーダーとして作り上げた人たちだった」。

ソ連封じ込めに尽力したハリー・トルーマン
トルーマン大統領は、ルーズベルト大統領の突然の死によって大統領になったとき、今米国のリーダーとしてなすべき最も重要な仕事は何かを考え、急きょ、不得意だった国際問題に取り組み、旧ソ連の封じ込めに成功しました。

マッカーサー元帥は、自分よりも頭のよい者はいないはずと自負しながらも、部下の言に耳を傾けて最強のチームをつくり上げました。気性には合わなかったのですが、それがリーダーの役割だということを知っていました。
リーダーたるものは、献身しつつも個たりえなければならない。そのとき仕事もうまくいく。自らを仕事の外に置かなければならない。(『非営利組織の経営』)
北朝鮮の危機の前に、安倍総理に衆院を解散し、衆院選に突入したことによって多くのことが明るみにでました。

現状の衆院選の様子をみると、多くの政治家がとにかく北朝鮮の脅威などは二の次にして、選挙において何とか生き残るとか、選挙において少しでも有利に戦い、自らの権力を拡大することにばかりに汲々としているようにしかみえません。

特に「安倍一強を倒す」という野党のリーダーたちのスローガンはお粗末です。確かに日本人は強力なリーダーシップを嫌う傾向にあるので、なんとなく強い人物を倒すというと、情緒的には訴えるものがあるのかもしれません。

しかし、一強のどこが悪いのでしょうか。どのような組織でも、先見性のあるリーダーが強力な力を持つことがプラスに作用することのほうが多いです。安倍政権を倒した後に、どうするのかも言わずに、政治家が務まれば、本当に気楽なものです。

これでは、とてもリーダーにふさわしいとはいえません。小池東京知事に至っては、自らが女性初の総理大臣になることを目指しているためか、北朝鮮の危機などおかまいなしに、自らの権謀術数をはりめぐらして、少しでも有利に動こうとしているようにしかみえません。やり方が、姑息で意地汚いです。

とても、北朝鮮に対応することの重要性に比べれば、自分など取るに足りない存在であるとの認識があるようにはみえません。

安倍総理としては、様々な情報源から、北朝鮮の脅威は年内には顕在化せず、来年あたりに顕在化するものとみて、その時に選挙をするよりは、今のうちにやっておいたほうが、対応しやすいということで、今回解散選挙に踏み切ったのでしょう。

だから、今回の選挙で本来もっとも問われなければならないのは安全保障政策であるのは、あまりにもはっきりしすぎています。他の問題は、無視しても良いくらいです。特に「森友問題・加計問題」などは本当にどうでも良い問題であり、今となってはそもそも何が問題なのかもわかりません。

森友に関しては、すでに篭池氏が逮捕されており、国会など関与しなくても、司法がこれを明らかにしつつあります。

加計問題も、そもそも公開されている戦略特区ワーキング・グルーブの議事録を読んだり、加戸氏の証言により、獣医学部設立にどう考えても安倍総理がかかわっている明白な証拠などあり得ないことも明らかになっています。にもかかわらず、小池知事も他の野党の代表などもこれを追求し続けるといいます。

そもそも、これで安倍総理や政権を追求したとしても、無意味であり、これをやり続けることは時間の無駄です。こうした無駄時間を費やしたことが、民進党崩壊の大きな要因の一つになっていることは明らかです。

平成27年に成立した安保関連法に対する各党の姿勢はさまざまで、仮にリベラル派勢力が議席を伸ばすようなことになれば、自衛隊の活動が制限され、北朝鮮のミサイルを日米が連携して迎撃する態勢が揺るぎかねないです。

憲法改正で自衛隊を明記するかどうかも含め、各党は国民の生命をどう守るのか、具体的な政策を訴えるべきです。それが、現状のそれぞれの党のリーダー役割です。それを国民もしっかりと見極め、投票すべきです。

そうして、今本当に必要なリーダーを定めるべきです。選挙が終わったら、野党のリーダーは、こと北朝鮮対応に関しては、党派を超えて政府に協力する旨を申し出るべきです。そのようなことをするリーダーこそ、仕事の重要性に比べれば、自分など取るに足りない存在であるとの認識する真のリーダーです。

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2016年10月27日木曜日

豊洲問題の議論過程を公開 小池都知事の姿勢は正解―【私の論評】お白洲方式を成功させるためには、原則と順番がある(゚д゚)!

豊洲問題の議論過程を公開 小池都知事の姿勢は正解

豊洲市場の問題は徐々に進展している。構造上の安全性と衛生上の安全性の二つが指摘されていたが、2016年10月25日の都の「市場問題プロジェクトチーム」で、構造上の安全性は問題なしという意見がでた。

この議論の様子は、ネット上(都政改革本部HPの動画)で確認することができる。多少専門的な議論であるが、流れは誰でも把握できるだろう。この会議が面白いのは、構造上の問題があると批判してきた人と、実際の設計担当者がガチンコで議論していることだ。


 小泉政権時の「お白洲」

批判者は、森山高至氏と高野一樹氏だ(会議の座席表もネットで確認できる)。いずれも、テレビ出演やブログで構造上の安全性を批判してきた。

ところが、会議では、実際に設計を担当した日建設計の人にかなりやり込められていた。今後も、専門的な議論を続ける模様だが、構造上の安全性は問題なしという方向で結論が出るのではないか。

この会議を見て、かつての経済財政諮問会議の「お白州」を思い出した。筆者は、小泉政権時、財務官僚であったが、当時内閣府に出向し竹中平蔵大臣直轄の経済財政諮問会議特命室参事官であった。それまでの役所の慣例であれば、そこは経済財政諮問会議の事務局なので、同会議を意のままに操っていただろう。しかし、竹中大臣は違った。

筆者が、いろいろな政策案を竹中大臣に相談すると、答えはいつもおなじで「面白そうだね。今度の経済財政諮問会議で議論しよう」だ。けっして、筆者の意見をその場で採用することはなかった。

そして、経済財政諮問会議が「お白州」になる。「お白州」というのは、竹中大臣自身が言っていた言葉である。経済財政諮問会議は、資料も議論も直ぐ公開される。会議では民間議員、閣僚同士のガチンコ議論が当時は行われていた。筆者の提案したものは民間議員ペーパーになり、閣僚からの反対意見を招いた。ある時、財務大臣と経産大臣が猛烈な反対をしたが、そのロジックは論旨不明だった。そうした閣僚の反対意見を聞いていた小泉総理が、両大臣に対し「役人の言いなりなるな」と机を大きく叩いて、会議を終わりにしてしまった。それは総理が意図したものだが、その場は険悪な雰囲気だった。

 一方的な意見を垂れ流したマスコミは情けない

その後、物騒なペーパーを書いた筆者は怒られるのを覚悟していたが、竹中大臣は論点が明確で結論の方向性が出たと評価してくれた。もちろん、筆者の提案がすべて「お白州」で賛同を得たわけではなく、ボツになったものもあった。

「お白州」では、提案する方もそれを批判する方も、公開の場で対等である。これは裁判みたいなものだ。

豊洲市場の構造上の安全性についても、森山氏と高野氏の批判だけを聞いているともっともに聞こえるが、その反対意見の日建設計の担当者と議論すると、どちらがよりまともかが、素人にもだいたい分かる。

小池都知事は、議論の公開を重視している。少なくとも、都庁内での議論を透明化し、いわゆる御用審議会を「お白州」状態にしたことは評価していい。為政者は、良い意見をとればいいのであって、その意味で公開の場を設定するのは正しい。

森山・高野氏と実際の設計担当者の間で「市場問題プロジェクトチーム」という「お白州」で議論すれば、どちらかが「公開処刑」になるが、小池都知事としてはいい結論を選べる。

それにしても、森山氏らを使い続けて、豊洲市場は構造上の安全性に問題ありとの一方的な意見を垂れ流したマスコミは情けない。

++ 高橋洋一

【私の論評】お白洲を成功させるためには、原則と順番がある(゚д゚)!

メディア、特にテレビは、豊洲問題の報道の仕方を徹底検証して、反省していただきたいものです。この件では、テレビは豊洲の危険性を煽っていた森山氏らをフル稼働させました。外野だけじゃなく、現実の当事者を参加させないとこうなります。やはり、日建設計の担当者も稼働させるべきでした。

森山高至氏
フジテレビは10月2日放送の「新報道2001」で、築地市場の豊洲移転を取り上げ、豊洲市場加工パッケージ棟の柱が傾いているのではないか、と指摘しました。

根拠としたのは、東京都中央区の渡部恵子区議が提供した1枚の写真。ネット上では、この報道に対し、「柱の傾きはカメラの性質によるもの」だという指摘がありました。

写真を撮る時にレンズを傾けると、周辺が歪んで見える効果があるからです。

VTRでは、提供写真を使った。だが、柱が傾いていると強調するために、写真を回転させ、右側の柱が垂直、左側が大きく左に傾いているように見せているのではないか、との声も出ました。

番組は、プロカメラマンや建築の専門家などの意見を紹介し、豊洲市場やその周辺の地盤沈下の影響による柱の傾きが疑われるとの方向で報じました。「柱の歪みはカメラレンズによるものだ」とする都の職員の話も取り上げましたが、全体としては、柱が傾いていると印象づける内容で、そこに批判が集まりました。

「報道2001」で報道された豊洲市場の柱
結局、この柱の湾曲の件ついて以下の様な事実上の謝罪をしています
今月2日の『新報道2001』で、豊洲市場内の柱の一部が傾いて見える写真があると放送しました。柱が傾いたように見えるのは、カメラのレンズによる可能性があるという点は放送中、VTRやスタジオで説明していますが、東京都は否定しており、番組であらためて事実関係を検証したいと考えております。 
これに限らず、豊洲新市場問題については、かなり白熱した場面が多数見受けられました。日々のテレビ番組の制作に追われている現場からすると、豊洲新市場等のホットな話題について「語れる専門家」を探したとしても、日中のビジネスタイムのテレビ出演できるような「あまりパッとしない専門家」ぐらいしか出演に応じてもらえないことになります。大規模構造物について現役で事実を専門的にまともに語れる人は、事務所等に所属して守秘義務があり日中は働いて番組出演など不可能です。

その結果、検証されない“トンデモ”ない内容が報じられることになり、事情を知らない視聴者は「そういうことなのか、豊洲はけしからん」という認識になったのでしょう。そもそも、ターレー(運搬車)程度の荷重で床が抜けるはずもなく、当然ガセネタや言いがかりのレベルの放送内容になってしまったのですが、これの検証ができないことは本当にテレビ局や制作会社の責任にだけ帰していて良いのでしょうか。

このような問題は、過去に幾度となく繰り返されています。たとえば、STAP細胞騒動などもそうです。結局のところ、すべてが小保方氏の倫理問題にすり替えられ矮小化され、理研や文部省の危機管理の問題や、統治の問題がなおざりにされたままです。

本来は、業界団体なり本当の専門家なり施工・設計の当事者なりがしっかりと声を上げ、訂正報道を求めるなり、問題のある発言をした自称専門家の出演自粛を要請したり、明確な風説の流布には営業妨害で訴訟を起こすといった話さなければならなかったはずです。


私自身は、東京都の資料や他の資料から、豊洲は少なくと築地よりは、はるかに安全であると思っていました。そのため、豊洲の建物を下の盛り土せずに、コンクリート製のピットとしたことについては、安全性には問題はないものの、誰がどのような意思決定をしたのかはっきりせず、この点は問題であるとは思っていました。

そのため、築地から豊洲への移転と、意思決定の問題に関しては切り離し、移転はなるべく速くするようにして、意思決定の問題は徹底追求すべきであると考えていました。

しかし、今から考えてみると、安全に問題があるかもしれないとされるなかで、豊洲移転を当初の予定通りにするなどのことをしていれば、風評被害が深刻な悪影響を及ぼしたかもしれません。

しかし、高橋洋一氏の説明するように、小池知事が"経済財政諮問会議の「お白州」"方式として、豊洲の安全性を誰にでも理解できるようにしたことにより、この風評被害は完璧に防ぐことができたと思います。これによって、豊洲移転は意外は早まるかもしれません。

今後、今回のような専門性を要する事柄に関しては、テレビ等のメディアは白州の場の提供や、提供された白洲の場の報道に徹するべきかもしれません。何しろ、現状のメディアでは、専門性を持った人材があまり存在しないので、結局のところ今回の『新報道2001』のような報道になってしまいがちです。

「お白洲」式であれば、「一方だけの意見を述べる人を出すのではなく、反対意見の人もでせばいいだけです。そうして、できればたかだか数時間の議論ではなく、時間を十分とって議論させるようにするのが良いです。しかし、時間の限られた放送枠ではここが難しいのかもしれません。しかし、そうはいっても、テレビ、メディアは公開ですから「公開処刑」もありうることになります。

無論ここでいう「公開処刑」とは北朝鮮などの本当のそれではなく、動画において特定の人物の恥ずかしい部分がさらされてしまっていたりする、大勢の前で辱めを受ける状態を公開処刑と例えているものです。

このかつての経済財政諮問会議や、「市場問題プロジェクトチーム」など「お白洲」方式は、他の場面でもどんどん採用すべきです。

ただし、「お白洲」方式をするにしても、やり方があります。これに似たようなものとして、かつての民主党政権下で行われた「事業仕分け」があります。しかしこれは「お白洲」に見えて全く「お白洲」ではありません。

そもそも、「事業仕分け」は財務省の書いたシナリオを下に民主党の政治家が役者を演じただけのものです。

そもそも人選が間違えていました。たとえば、あの有名な蓮舫氏によるコンピュータ開発における「一番でなければいけないのですか」という発言が示すように、そもそも技術関連の専門家でもなんでもない政治家と、これまた専門家でもない官僚を対決させるという図式は全くの間違いで、あれは当然のことながら、コンピュータ開発の専門家同士を対決させるべきでした。それもできれば、直接ブロジェクトに関わっていない意見の異なる専門家同士を対決させるべきでした。


そうすれば、そもそも専門家同士の対決で今回の「市場問題ブロジェクトチーム」のように結論がでたかもしれません。

結論がでなくても、双方で議論をつくした上で、最終的には政治的判断をするのであれば、「事業仕分け」も受け入れられたかもしれません。この「お白洲」方式も人選を間違えれば、何も決まらないし、議論がまともにつくされることもありません。

国会でも公聴会などもありますが、公聴人が意見を述べるというだけで、ガチンコ対決をさせるというわけではありません。それに公聴会でも人選が間違っている場合もあります。

改憲議論をする際などは、現在日本で主流の憲法学者のみでなく、「憲法9条は、日本が自国を防衛をするための戦力を保持したり、行使したりすることを禁止しているわけではない」という解釈の京都学派の学者も参加させ、十二分に時間をとったガチンコ対決をさせるような「お白洲」を開催すべきです。

「お白洲」で結論が出れば、それはそれで良しとして、最終結論が出なかった場合には、最終的に政治判断をするということで良いと思います。

このような形で国会でも「お白洲」で調整した上で、政治判断をするという具合にすれば、憲法問題に限らず、経済でも、エネルギー問題でも何度も多くの国民が納得するまともな意思決定となるのではないかと思います。

現状の国会などみていると、まるで野党は「国会とは政府を追求する場である」と心得ているように思えてなりません。もちろん、そういう面を全く否定するとはいいませんが、このような側面だけが強調される現状では、時間と労力ばかりがかかって、まともな意思決定などできるはずはありません。何か意思決定が行われても、すっきりせず多くの国民が「消化不良」になったような感触を受けると思います。

結局、誰が正しくて、誰が間違いであるとか、与党が間違いで、野党が正しいなどという考え方をしていては、まともな論議など永遠にできるはずはありません。

「何が正しいか、何が間違いか」という考え方をすべきなのです。国会の論議は、この原則を忘れているから不毛になるのです。そうして、今回の「市場問題ブロジェクトチーム」がうまくいったのは、「豊洲は安全か、安全でないか」を徹底的に議論したので、うまくいったのです。

「お白洲」方式を成功させるためには、まずは「何が正しいか、何が間違いか」を議論すること、そうして議論する人の人選を間違えないこと。これが絶対原則です。

この原則を忘れて、都議会が、小池知事が、都の役人が、挙げ句の果てに元石原都知事が正しいとか、間違いかという議論をしていても議論が不毛になるだけです。そんなことよりも、まずは何が正しくて、何が間違いかを議論し、それがはっきりした次の段階で、必要があれば、誰に責任があるかを明確にするべきです。順番を間違えた論議は、不毛です。

今後「お白洲」方式を他の場面でも多く採用していただきたいのは、やまやまですが、この原則を忘れたものは無意味です。

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