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2020年4月6日月曜日

遅すぎる「緊急事態宣言」コロナより、安倍政権の鈍さのほうが恐ろしい―【私の論評】緊縮病が亢進し、認知症になった財務官僚に日本経済は救えず破壊するだけ(゚д゚)!

この国の中枢に蔓延する「緊縮病」


あまりに酷すぎる
 コロナショックは、もはやそう簡単に収まりそうにない。

 経済において、最も守るべきは雇用だ。しかし、すでに雇用が大変なことになっている。

 厚生労働省が3月31日に発表した2月の有効求人倍率は1.45倍(季節調整値)と、2年11ヵ月ぶりの低い水準になった。

 今年1月には1.49(前月比▲0.08)、2月は1.45(前月比▲0.04)だった。2ヵ月間の低下幅▲0.12は、ここ30年間では、リーマンショック後の2008年12月-2009年2月の▲0.14に次ぐ低下幅だ。

 厚労省は「この1月から、企業の出す求人票の記載項目を増やした影響」という。それもあるだろうが、今年1月と2月の低下は、昨年10月の消費増税により景気の先行きが危うくなったからだろう。コロナショックは基本的には含まれていないのに、このありさまだ。

 というわけで、2月の統計数字はまだ「序の口」だ。コロナショックの悪影響が出てくる3月、4月の統計では、どえらい数字になる予感がする。リーマンショックを超える悪影響があるのは確実だ。


 こうした雇用の悪化は、もちろんGDPの下落と大いに関係がある(オークンの法則)。雇用の悪化を防ぐ意味でも、減少するGDPを補うほどの有効需要を経済対策で作らなければいけない。

 そうした中、コロナショックの経済対策の骨格がようやく出てきたが、その内容があまりに酷すぎる。

話にならない
 事業費60兆円というが、GDPに影響を与える「真水」ベースでは20兆円程度以下になってしまうことは、先週の本コラムで書いた。しかし、対策の内容が明らかになるにつれて、はたして「真水20兆円」すら確保できるかどうか、心配になってきた。

 例えば、「現金給付を1世帯あたり30万円」と報道されているが、その中身は、「所得が減少している」という条件が付されている。その結果、給付金総額は3兆円程度に抑えられるという(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57651530T00C20A4EA3000/)。

 もしそうなら、これはGDPのわずか0.6%程度であり、GDP低下分を埋める有効需要を作るという政府の責務とはかけ離れたものとなり、話にならない。

 消費減税もなしで、直接家計消費に働きかける政策にはなっておらず、GDPへの影響でも一桁小さい。論外の政策だ。

 例えば、米国のセントルイス地区連邦準備銀行のブラード総裁は、米国の失業率が今後30%と大恐慌時を上回るとともに、第2四半期の国内総生産(GDP)が半減してもおかしくないと危機感を表している。日本でも雇用やGDPの急落があり得るので、万全の経済対策をとるべきなのに、政府はいったいどうしたのだろうか。

 しかも、「1世帯あたり30万円の現金給付」のやり方が、元官僚の筆者からみると、おそろしく稚拙で驚いてしまう。

稚拙な制度設計

 現金給付の前例は、麻生政権時、2009年の定額給付金だ。これを麻生財務相は「失敗例」としているが、効果がなかったのは給付金額が少なすぎたからだ。国民一人あたり1万2000円、総額2兆円弱なら、0.2%程度のGDP押し上げ効果しかないのは当然だ。当時は世界でも日本だけが金融緩和せず、円高になって外需が失われたことも大きい。

 さらに当時のマスコミは、「バラマキ」との批判を展開していた、国民への直接交付を毛嫌いする財務省のシナリオどおりに動いていたフシもある。

 その反省を生かすなら、給付額を上げると同時に金融緩和をセットすることだが、今回は事前の所得制限に走ってしまった。

 今年(2020年)の所得に基づいて「困っているかどうか」を判断しないといけないので、自己申告にしたというが、この制度設計をした者は、当局がいつ今年の所得を把握できるのかわかっているのだろうか。現時点で、昨年(2019年)の所得を当局は把握できていない。要するに、今年の所得が把握できるのは、少なくとも1年以上先だ。

 自己申告制には「虚偽申告が相次ぐのではないか」(与党幹部)との懸念があるので、政府は、証明書類の添付や不正申請に罰則を設ける案も含めて検討する方針だという。

 いつの段階で、当局が所得を把握できるかもわかっていないから、罰則を設けるという筋違いの対応が出てくる。しかも、給付金は非課税措置にするという。

 こういう危機の時には、思いつきの案ばかりが出てくる。原則は、既存の制度や海外の事例を参照することだ。原則を知らないと、今回のような稚拙な制度になる。

「マスク2枚」との関連性

 そもそも、今年の所得を当局が把握するのは1年以上先なので、事前の所得制限はできない。もし所得制限したければ、事後的にならざるを得ない。既存の制度で利用できるのは税制だ。つまり、給付金を非課税措置にしなければ、一時所得になって、事後的な所得制限が可能になる。

 あとは、給付を最速で行う方法さえ考えればいい。

 麻生政権時の定額給付金は地方事務であったために、給付に時間がかかったことは先週の本コラムで書いた。そのときも書いたように、最速の処理方法は政府小切手である。補正予算が通れば、2週間ほどで可能だ。

 これについて、安倍首相が「国民にマスクを2枚配布する」と発表したこととの関連を考えてみよう。

 米ブルームバーグは2日、「アベノミクスからアベノマスクへ マスク配布策が冷笑を買う」とし、「アベノマスク」が日本のツイッターでトレンド1位になったことを紹介した。米FOXニュースも、「エイプリルフールの冗談ではないかと受け止められている」と報道した。

 いずれもマスク配布について冷ややかに報じている。筆者も3日、「マスクと一緒に、10万円政府小切手を送ればいいのに」とツイート(https://twitter.com/YoichiTakahashi/status/1245858252400644096)し、4日の朝日放送「正義のミカタ」でも「2枚のマスクの間に、政府小切手があればよかったのに」と発言したところ、大いに受けた。

「財務省緊縮病」が蔓延している
 かつて危機の対策として、筆者は政府小切手の政策提言を出したことがある。実際に米国などで実施されていたからだ。ところが、ある政府関係者は「全国民に配布するのが実務上困難」と言っていた。

 そこで筆者は、第一次安倍政権のときに全国民へ送付する「ねんきん定期便」を企画して実施した。これは国民の住所確認の役割もある。すでに実施されてから10年もたつので、今なら国民の住所管理も十分にできており、政府小切手を配布できるはずと思っていたが、しかし今回もやはり政府は「全国民には無理」と言っていた。

 そうこうしているうちに、冒頭のように、突然安倍首相が「マスクを全国民に配布する」と言いだした。やはり全国民へ配布できるのだ。

 であれば、補正予算が成立した後に、政府小切手、正確にいえば、記名式政府振出小切手を送付すればいい。記名式政府振出小切手には受取人の名前があるので、誤配達や盗難にあっても記名人以外は銀行で換金できない。というわけで、郵送では危ないという人も心配無用だ。

 いずれにしても、今回の経済対策のシャビーさは、政府与党が財務省の「緊縮病」にかかったみたいだ。この「財務省緊縮病」には強力な感染力があり、財務官僚と話しただけで感染してしまう。政府与党、マスコミ、学者、財界人みんなが感染してしまったようだ。

 筆者は幸いにも抗体があったが、この病は政策を決める主要な人々の間に蔓延しているので、困ったものだ。コロナウイルスよりも財務省緊縮病のほうがこわいかもしれない。

100兆円基金を

 ここで、改めて筆者の経済対策案を述べておこう。いずれも既存の制度を利用したり、海外事例のあるものばかりだ。

 「○○兆円規模」などと数字の大きさを競うのは芸がない。数字は、コロナショックで予想されるGDP減少分を補う有効需要に合わせるので、現段階で正確に予測するのは困難だ。そこで、どんな数字にも対応できる仕組みを考えておくのがいい。

 もともと、筆者の経済対策には基本フレームがあり、そこから導出される具体的な対策を本コラムなどでも述べてきた。この基本フレームは、昨年9月9日の本コラム(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/67075)で披露したものの応用問題だ。

 筆者の提言は「100兆円基金」である。100兆円あれば、かなりの経済ショックに対応できる有効需要を作れる。これには予算総則の改正が必要であるが、そのとき同時に日銀引受も可能にしておけば、財政問題はなくなる。一方、100兆円程度であれば、酷いインフレを心配することもない。

 その中で、時限的な消費減税、現金給付、納税・社会保険料の減免を行えばいい。5%への消費減税なら、全品目軽減税率採用で有効需要15兆円。全国民へ20万円現金給付を政府小切手で行えば、有効需要20兆円。社会保険料の半年免除で、有効需要20兆円。こうした即効性のある対策を打ち出せばいい。

休業補償をケチっているのか?
 筆者には、経済対策のモタモタ感が、政府が「緊急事態宣言」をなかなか打ち出せないこととパラレルになっているように感じる。

 緊急事態宣言を出すと、法的根拠が伴うので、休業補償という話になるはずだ。それをケチって、なかなか緊急事態宣言が出されないように思えるのだ。各都道府県知事や医師会は緊急事態宣言を求めている。

 3月13日に改正された新型インフルエンザ等対策特別措置法の内容を整理しておこう。

 首相が行う緊急事態宣言の要件は、「新型コロナウイルスの全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがあるものとして政令で定める要件に該当する事態が発生したと認めるとき」(特措法第32条)。その場合、検疫のための停留施設の使用、医療関係者への医療等の実施の要請等、不要不急の外出の自粛要請、学校、興行場等の使用等制限等の要請等、臨時の医療施設の開設のための土地等の使用、緊急物資の運送等、特定物資の売渡しの要請などの強力な措置ができる。

 首相は緊急事態宣言を行い、総合調整を担うが、実際の要請または指示を発出する権限は、緊急事態宣言が出された区域の都道府県知事にある。ただし、その結果に対するコストは、一定程度国が負担するだろう。

 政府行動計画によると、緊急事態とは「緊急事態措置を講じなければ、医療提供の限界を超えてしまい、国民の生命・健康を保護できず、社会混乱を招くおそれが生じる事態」を示すとされている。

 実は、特措法が改正される直前に、筆者はあるネット番組で「ヒゲの隊長」こと佐藤正久参院議員と対談したが、一刻も早く緊急事態宣言をすべきとの意見で一致した。筆者は特措法が施行された3月14日か、厚労省情報が大阪などに伝えられた16日か、コロナ専門家会合があった19日のどこかで緊急事態宣言を出すべきだったと考えている。

感染爆発してからでは遅い

 政府では、感染症予測モデルの予測結果はどこまで共有されているのだろうか。政府高官は現状を「ギリギリ」と表現するが、そうであれば予測が上振れしたらオーバーシュートすると考えられるので、緊急事態宣言を出しておかないといけない。法律では、「おそれ」と書いているが、現実にそうなってからでは遅い。


 筆者が本コラムで毎週出している上の図のようなデータは、トランプ大統領の会見のときにも出されていた。これを虚心坦懐に読めば、上振れしたら、もうオーバーシュートになる。今でさえ緊急事態宣言は遅すぎるという状況だ。

髙橋 洋一(経済学者)

【私の論評】緊縮病が亢進し、認知症になった財務官僚に日本経済は救えず破壊するだけ(゚д゚)!

このブログでも何度か紹介したように、各種統計によれば、コロナ禍以前に、昨年10月の消費増税が日本経済を悪化させていることが明らかでした。結局、昨年10-12月の日本経済は「かなり悪かった」という結果でした。

2019年10-12月期のGDP(1次速報)の公表は2月17日でしたが、案の定2019 年 10-12 月期のGDP成長率(季節調整済前期比)は、実質は▲1.6%(年率▲6.3%)と 5 四半期ぶりのマイナス成長となりました。 名目は▲1.2%(年率▲4.9%)となりました。

2次速報値では、さらに下方修正されて、実質GDP成長率は前期比年率▲7.1%に第1次速報値同▲6.3%から下方修正されました。民間設備投資は法人企業統計を受け前期比▲4.6%に同▲3.7%から下方修正。個人消費は前期比で0.1ポイント上方修正、公共投資は0.4ポイント下方修正されました。

10月の消費増税は、ボイント還元なる制度等を導入したりしましたが、これらは全く効果はなく、大失敗という結果でした。

その前に補正予算は成立しているので、政府としても手を打っていたとはいえました。しかし、本来であれば昨年の臨時国会で補正予算を成立させておくべきでした。これは与党だけでなく、「桜を見る会」などに国会の議論を費やした野党の責任もあります。

消費増税は8%から10%に上がったので、おおよそ5.6兆円の有効需要を奪う計算になりました。軽減税率で1兆円、ポイント還元で0.3兆円程度戻すので、ネットでみれば4兆円強です。補正予算はそれと同規模なので、マクロ的には増税分を吐き出したともいえますが、タイミングが遅れたため、それだけでは不十分でした。

しかも昨年の消費増税は、世界経済が(1)米中貿易戦争、(2)ブレグジット、(3)ホルムズ海峡リスク、(4)日韓問題の要因で地合の悪いなか行われたので、2%増税でも3%増税した2014年と同程度の悪影響が予め予想されていました。となれば、東京五輪が終わった後、秋口に再び補正予算が必要になる可能性がかなり大きい状況でした。

この状況だと、財務省の「緊縮病」が気になるところでした。それは、1月17日に公表されたばかりの、内閣府「中長期の経済財政試算」にも垣間見えていました(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2020/0117/shiryo_03-3.pdf)。

政府は国・地方の基礎的財政収支(PB)を2025年度に黒字転換する目標を掲げましたが、この資料では、実現がさらに厳しくなったと強調されていまし。試算の成長実現ケースで、2025年度のPBは3.6兆円の赤字。昨年7月時点の試算(2.3兆円の赤字)より悪化したとし、麻生太郎財務相も、17日の閣議後の記者会見で「歳出改革の取り組みをさらに進めなければならない」と語りました。

しかしそもそも、なぜPBを黒字化させなければいけないのか、目標を決めた政府もその理由がわかっているとは思えません。

日本政府のバランスシートをご覧になれば、債務だけを気にするのではなく、資産も考慮すべきであることをこのブログでは何度か主張してきました。そうすると、日本政府の財政状況は悪くはなく、欧米よりも良いくらいです。

それどころか、日銀も含む日本政府のバランスシート、でみれば、2018年度あたりに、黒字になっており、日本政府の財政は、世界でもトップクラスの良さです。

日本政府は世界でも有数の資産を持っています。ただし、それが財務省が特別予算などの複雑怪奇な方法を用いて、隠匿しているのです。統計資料では、どのような隠蔽の仕方をしているか細部まではわかりませんが、資産が計上されているので、それらは確かに存在していることがわかります。

この状況が、今年のはじめの状況で、そこに日本にコロナ禍が襲ったわけです。消費税の大失敗と、コロナ禍のダブルパンチで、日本経済は坂道を転がり落ちるように悪化するのは目に見えています。

ところが、財務省自身が、日本の財政状況は危機的状況にないことを公表しています。

下記引用は、財務省が過去に発表した外国の格付け会社への意見書です。現在も、財務省のホームページで見ることができます。

下記は財務省のホームページからの引用です。
外国格付け会社宛意見書要旨 
 貴社による日本国債の格付けについては、当方としては日本経済の強固なファンダメンタルズを考えると既に低過ぎ、更なる格下げは根拠を欠くと考えている。
貴社の格付け判定は、従来より定性的な説明が大宗である一方、客観的な基準を欠き、これは、格付けの信頼性にも関わる大きな問題と考えている。
 従って、以下の諸点に関し、貴社の考え方を具体的・定量的に明らかにされたい。
  
(1)日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォルトとして如何なる事態を想定しているのか。
 
(2)格付けは財政状態のみならず、広い経済全体の文脈、特に経済のファンダメンタルズを考慮し、総合的に判断されるべきである。
 例えば、以下の要素をどのように評価しているのか。
・マクロ的に見れば、日本は世界最大の貯蓄超過国
・その結果、国債はほとんど国内で極めて低金利で安定的に消化されている
・日本は世界最大の経常黒字国、債権国であり、外貨準備も世界最高
にもかかわらず、財務省は緊縮路線を崩そうとしません。もう30年以上も緊縮を貫いてきたので、彼らは緊縮病が亢進し、認知症になったとしか思えません。

それにしても、財務省だけではなく緊縮といえば日本人の大部分は大好きなようです「もったいない」の精神です。これらが、多くの政治家や、マスコミや識者まで、財務省の緊縮路線に迎合する理由なのかもしれません。

緊縮した脳(右)は正常な脳に比べ「隙間」が多い(MRI画像)

ところが、一個人の財産と国家の財政とはまるで違います。本来政府に借金が全くない状態というのは、決して良い状態ではありません。それは、政府が何もしていないことを意味するからです。

日本政府の資産状況をバランスシートでみると、借金などあまりないことがはっきりします。それは、過去の政府があまりにも仕事をしてこなかったことの証左であり、実際ここ30年で、日本のインフラはかなり老朽化し、政府が有効需要を作り出す政策をとってこなかったので、日本のGDPの伸び率は今でも韓国よりも低い有様です。

せっかくの低金利(国債はマイナス金利傾向)なのですから、上の記事で高橋洋一氏が主張するように、マイナス金利の国債を大量発行し100兆基金を儲けて、政府は発行益で儲けて消費税減税や、コロナ対策、さらには昨年も発生した自然災害への対応や、古くなったインフラ整備に用いれば良いのです。

もう財務省は、日本経済を良くするどころか、破滅させるだけです。安倍政権としては、次の選挙で、消費税減税、新たなコロナウイルス対策を公約に掲げて勝利していただきたいものです。大勝利すれば、財務省の緊縮脳官僚も従わざるを得ないでしょう。

それと、安倍政権ならびにその後継政権は、すでに日本にとって必要のない財務省を破壊していただきたものです。100年かけても、日本のために破壊すべきです。本当に今回のコロナ対応のお粗末さで、愛想がつきました。

2016年1月4日月曜日

【韓国】朴大統領「10年後の韓国は何で食べていくのか。若者たちはどんな仕事をしているのか。考えるたびに恐ろしい」―【私の論評】やりようはあるはずだが、慰安婦問題で食っていけないことはだけは確か(゚д゚)!


朴槿恵大統領出席の新年会
パク・クネ大統領は4日、「10年後、韓国が何で食べて生き、我らが青年たち??がどのような仕事を持って生きて行くのか、考えるたびに恐ろしい気持ちになる」と述べた。

朴大統領はこの日、チョン・ウイファ国会議長をはじめとする5部要人とセヌリ党キム・ムソン代表ら与党指導部、経済5団長らが出席した中で開かれた新年会でこのように言いながら「そのたびに経済革新3カ年計画を成功的に終えて4大構造改革を必ず仕上げなければならない切迫感が生じる」と強調した。

朴大統領は「そうでなければ、国民が望む経済活力の炎が起こらず、我らが青年たちが懇願する仕事と未来30年の成長の基盤を用意するということは空虚なこだまにとどまるだろう」と述べた。

朴大統領は今年の対内外経済環境について「世界経済が依然として低迷から抜け出せずにいて、特に中国をはじめとする新興国の経済の鈍化が懸念している」とし、「青年雇用、企業競争力の弱体化、人口崖など、すぐに私たちが克服しなければならない内部の課題も山積しており、朝鮮半島をめぐる外交安保も少しも安心できない困難な状況だ」と説明した。

続いて朴大統領は「このような状況であるほど、私たちが変化と改革を成し遂げないならば過去へと戻り、国家的な困難から抜け出せないだろう」とし、「経済改革と国家革新の課題は私たちの未来がかかっているものであり、子孫のために必ず結び目を作らなければならない」と呼びかけた。

それとともに朴大統領は「私たちは戦争の廃墟という最悪の状況の中でも一緒に力を合わせて世界が驚いた発展を成し遂げた」とし、「私たちはできる」と強調した。

また「精神を集中して矢を撃てば岩も貫通できるという古い言葉がある」とし、「今私たちの前に多くの難関と挑戦があるが、私たちが心と力を一つに集めた場合はできないことはないと思う」と付け加えた。

【私の論評】やりようはあるはずだが、慰安婦問題で食っていけないことはだけは確か(゚д゚)!

韓国の産業通商資源省は1日、2015年の輸出額(速報)が 前年比7.9%減の5272億ドル(約63兆円)になったと発表しました。

新興国の景気が鈍化する中、原油安や中国勢の過剰生産の問題などが影響。品目別では
鉄鋼やディスプレー、自動車、一般機械などが減少しました。一方で輸入額が原油安の影響で 16.9%減の4368億ドルと輸出額を上回る減少幅となった結果、貿易黒字は91.5%増の904億ドルと過去最高を記録しました。

この状況では、確かにブログ冒頭の朴槿恵大統領の嘆きはもっともなことだと思います。それにしても、日本ではなぜか貿易黒字が大きいと、何やら良いことのように報道する無知な報道機関が多いように感じますが、韓国の現状をみれば、貿易黒字が大きければ良いなどということはないということは十分お分かりいただけるものと思います。

昨年の韓国では、輸出額は減少しているものの、原油安の影響で、輸入額が大幅に減少したため、空前の貿易黒字になったわけです。この今の状況が韓国にとって良いはずがありません。

そもそも、貿易黒字とか、国際収支黒字という現象は、家計や企業業績などとは異なる指標です。黒字だから良い、赤字だからダメなどということはありません。この韓国の事例のように、黒字の要因や、赤字の要因がわかって、はじめて、それが良いことなのか、悪いことなのか判断できます。

これは、韓国経済に限らず、日本経済だろうが、米国経済だろうが、他の国の経済にもあてはまる真実です。

さて、少し横道にそれてしまいましたが、この似たようなな思い込みが、韓国をダメにしてしまったということはいえそうです。

さて、その思い込みとは何でしょうか。そうです。いわゆるグローバリズムというか、輸出偏重の考え方です。ご存知のように、韓国はここ10年以上、とにかくグローバリズムの名のもとに、政府ぐるみで輸出の振興を徹底的に図ってきました。

とにかく、輸出が増えさえすれば、韓国は豊かになるという誤った思い込みです。日本でも、そのような考え方をする人が多いどころか、国内資源が乏しい日本は、とにかく外国から資源を輸入して、その資源を工業製品などにつくりあげて、輸出することにより、成り立つ、輸出立国の国であるとの信念を持っている人が大勢います。

しかし、これは、本当にそうでしょうか。では、日本のGDPに占める輸出の割合はどのくらいなのでしょうか。それを知るために以下に資料を掲げておきます。

世界の輸出依存度 国別ランキング・推移

以下、GDPに占める輸出の割合を示したものです。データは平成14年度のものです。

【単位:%】
順位国名2014年
1香港179.88
2シンガポール145.17
3アラブ首長国連邦91.41
4赤道ギニア85.70
5スロバキア83.43
6ベトナム80.38
7ブルネイ77.90
8ハンガリー72.87
9チェコ71.35
10マレーシア70.44
11オランダ66.00
12オマーン65.85
13リトアニア65.52
14バーレーン63.20
15カタール63.04
16スロベニア62.09
17ベルギー60.95
18クウェート60.69
19コンゴ共和国59.60
20台湾58.80
21エストニア58.38
22アイルランド57.81
23スワジランド57.70
24ボツワナ55.95
25タイ55.42
26アンゴラ52.82
27ブルガリア50.06
28ガボン49.40
29モンゴル49.34
30パプアニューギニア49.13
31トリニダード・トバゴ48.63
32ベラルーシ46.94
33ナウル45.781
34スイス45.71
35カンボジア45.44
36ザンビア45.26
37サウジアラビア45.24
38イラク44.43
39ツバル44.04
40リビア43.95
41韓国43.87
42レソト43.00
43トルクメニスタン42.61
44パラグアイ42.41
45ラトビア41.97
46ソロモン諸島39.95
47ガイアナ39.64
48カザフスタン39.53
49ルクセンブルク38.79
50ドイツ38.70
51シエラレオネ38.63
52スリナム38.38
53ポーランド38.17
54アゼルバイジャン38.14
55オーストリア37.63
56ウクライナ37.31
57ソマリア37.171
58コートジボワール37.12
59ナミビア36.67
60セーシェル36.39
61コンゴ民主共和国36.30
62ボリビア35.51
63ベリーズ34.91
64モーリタニア34.88
65パナマ34.85
66ガーナ34.63
67チュニジア34.56
68南スーダン34.37
69マーシャル諸島33.87
70マルタ32.86
71リベリア32.67
72マケドニア32.50
73デンマーク32.40
74チャド31.74
75スウェーデン31.35
76メキシコ31.10
77ルーマニア31.02
78フィジー30.48
79アルジェリア30.45
80セルビア30.05
81トーゴ30.00
82ニカラグア29.74
83チリ29.29
84ノルウェー29.24
85アイスランド28.82
86フィンランド28.22
87ブータン27.43
88エクアドル27.37
89ポルトガル27.09
90カナダ26.75
91ロシア26.68
92南アフリカ26.44
93ギニア26.30
94キルギス26.02
95マラウイ25.98
96ボスニア・ヘルツェゴビナ24.85
97北朝鮮24.581
98モーリシャス24.49
99ジョージア(グルジア)24.12
100イラン23.86
101イタリア23.83
102ヨルダン23.73
103クロアチア23.55
104ベナン23.10
105モザンビーク23.08
106ラオス22.71
107スペイン22.57
108モルドバ22.32
109グリーンランド22.31
110中国22.28
111マリ22.15
112ウズベキスタン22.10
113ブルキナファソ21.34
114イスラエル21.16
115インドネシア21.15
116ホンジュラス21.13
117トルコ21.09
118蘭領アンティル20.984
119ニュージーランド20.75
120カメルーン20.67
121フランス20.41
122イエメン20.32
123マダガスカル20.01
124キュラソー19.97
125ジンバブエ19.62
126ペルー19.47
127モロッコ19.01
128ウルグアイ18.82
129グアテマラ18.40
130コスタリカ18.33
131ニジェール18.31
132キプロス18.08
133セネガル18.03
134バングラデシュ17.24
135エルサルバドル16.78
136フィリピン16.75
137イギリス16.48
138ドミニカ共和国16.39
139オーストラリア16.36
140ニューカレドニア16.17
141インド16.14
142スリランカ15.77
143アルメニア15.30
144日本15.24
145ナイジェリア14.91
146コロンビア14.82
147ギニアビサウ14.53
148パレスチナ14.31
149ベネズエラ14.31
150ガンビア13.60
151セントルシア13.50
152アルゼンチン13.49
153エリトリア13.34
154カーボヴェルデ13.29
155ギリシャ13.11
156ミャンマー13.10
157蘭領セント・マーチン島12.67
158ミクロネシア連邦12.65
159ハイチ11.46
160バルバドス10.93
161モンテネグロ10.63
162ジャマイカ10.51
163タンザニア10.43
164ケニア10.31
165ブラジル10.21
166モルディブ10.14
167バハマ9.68
168パキスタン9.57
169米国9.32
170アルバニア9.31
171ウガンダ9.14
172ジブチ8.92
173エジプト8.92
174アルバ8.57
175ドミニカ8.20
176バヌアツ8.16
177セントクリストファー・ネイビス7.61
178ルワンダ7.59
179スーダン7.348
180レバノン7.11
181キューバ7.071
182セントビンセント・グレナディーン7.07
183エチオピア6.28
184シリア6.23
185クック諸島6.02
186モントセラト5.87
187タジキスタン5.65
188キリバス5.46
189グレナダ5.46
190トンガ5.20
191ネパール4.66
192サントメ・プリンシペ4.58
193英領ヴァージン諸島4.251
194ブルンジ4.16
195アンティグア・バーブーダ4.10
196サモア4.06
197タークス・カイコス諸島4.05
198マカオ3.59
199中央アフリカ3.54
200コモロ3.27
201アフガニスタン3.01
202アンドラ2.92
203仏領ポリネシア2.57
204パラオ2.41
205アンギラ1.27
206ケイマン諸島0.73
207東ティモール0.47
208バミューダ0.22
999世界計24.12
注)
1前年のデータ
44年前のデータ
8南スーダンを除く


韓国は、世界41位で、43.87%です。日本は、144位で、15.24%です。中国は、110位で、22.8%です。米国は、169位で9.32%です。

このように見ると、輸出が多いからといって、必ずしも経済が良いともいえないことがわかります。

実際そうです。日本は、デフレになってから10%台を超えましたが、デフレになる以前は、8%程度でした。アメリカも以前は7%程度に過ぎなかったものが、最近はその比率があがっています。

先進国でめだって、輸出が多いのは、ドイツの50位くらいなものです。それでも、38.7%です。

結局、米国や日本のような比較的GDPの大きい国では、内需が大きいということです。日本は過去20年近くもデフレに悩まされ続けてききたにもかかわらず、個人消費がGDPに占める割合は60もありました。米国は、70%くらいです。

韓国のように、輸出が多ければ、それだけ外国の影響を多大に受けやすくなります。さらに悪いことに、最近では朴槿恵政権は、中国よりの路線をうちだし、中国向けの輸出を増やしていました。ところが、ご存知のように、中国の経済はかなり悪化しています。韓国にとっては、本当のに弱り目にたたり目です。

上のグラフをご覧いただければいかに韓国の対中依存度が高いか、よくおわかりになると思います。

そうして、現在、世界は貿易の成長率が経済成長率を下回る、スロートレードという問題を抱えてしまっています。IMF(国際通貨基金)のデータによると、1990年代は世界の実質GDP(国内総生産)成長率が平均3・1%だったのに対し、貿易量は6・6%も拡大しました。貿易の成長率が、実質GDPの2倍以上に達していたのです。

それが、2000年から11年までは、GDP4%成長に対し、貿易量が5・8%成長と、倍率が下がりました。ところが、直近のデータを見ると、世界のGDP成長率2・2%に対し、貿易成長率は2%に過ぎなません。

もはや、グローバルに輸出を増やすことで国民経済を成長させるという手法は、維持困難になりつつあります。それにも関わらず、韓国はスロートレードに突入する以前に、あまりにも輸出依存度を高めてしまっていました。それだけではなく、さらに経済が失速する中国への輸出依存度を深めてしまったのです。

しかし、この韓国経済立ち直りのための処方箋は、あります。それは、このブログに何度かすでに掲載しています。要するに、グローバル一辺倒から、内需拡大に転ずるのです。

しかし、そのためには様々な難題があります。まずは、経済的な中間層を多く輩出する政策をとるのです。多数の中間層が、様々な社会・経済活動を活発化にできるように基盤を整備するのです。ここで、経済・社会ではなく、社会・経済として、社会のほうを先にもってきたのは、それなりに理由があります。

それは、経済優先で社会をなおざりにしてはいけないということです。社会をなおざりすれば、たとえ一時、経済が栄えたように思えても、いずれ限界が来るということです。それは、今の中国をみればわかります。

そのためには、さらなる民主化と、政治と経済的の分離、法治国化をさらに推進するのです。これが出来ないと、多数の中間層が、社会・経済活動を活発化させることはできません。

いずれにせよ、今後慰安婦問題では食っていけないのは確かです。いかに困難な道であろうと、これを実行しない限り韓国は、先進国になれなかった中進国として、歴史に名を刻むことになるでしょう。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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