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2017年2月10日金曜日

【米中戦争】米軍と人民解放軍どちらが強いのか 米国の軍事費は中国の3倍、カギになる「紛争地域までの距離」―【私の論評】旧ソ連のはまった罠、軍拡と宇宙開発、支那も(゚д゚)!

【米中戦争】米軍と人民解放軍どちらが強いのか 米国の軍事費は中国の3倍、カギになる「紛争地域までの距離」

1996年3月、台湾海峡に出動した空母インディペンデンスとCVW-5 出典: US Navy Photo Archive(NS091919901)
 米中戦争(紛争)を考えた場合、米軍と人民解放軍の実力差が気になる。

 人民解放軍の転換点は、1996年の台湾海峡危機だ。この年の台湾総統選において、独立派の李登輝氏の勝利に反対する中国は、台湾近海にミサイルを撃ち込むなど、露骨な軍事的圧力をかけた。

 だが、米軍の空母2隻が現れると、戦わずして屈服してしまった。この屈辱を契機に、人民解放軍の大軍拡が始まり、20年の短期間で軍事大国に成長した。

 単純に軍事費で比較すると、米国は中国の約3倍だ。軍事の総合力で、米国は圧倒的に第1位で、中国はロシアに次いで第3位という評価である。中国がロシアを追い越すのは時間の問題だろうが、「米軍に追いつくのは難しい」とみる識者(=元米国防次官補でハーバード大のジョセフ・ナイ教授など)が多い。

 米中紛争を考える際に、軍事の総合力の比較は参考にはなるが、より大切な要素は、紛争地域における相対戦闘力や紛争地域までの距離である。

 ランド研究所が2015年秋に発表した論文「米中軍事スコアカード」は、米中紛争の結果をシミュレーションした必読の文書である。

 米中紛争のシナリオとして「台湾シナリオ」と「南沙諸島シナリオ」を列挙し分析しているが、その結論部分を以下に紹介する。
 (1)人民解放軍は1996年以降、長足の進歩を果たしているが2017年の時点では米国の軍事力には追いつかない。

 (2)人民解放軍は、紛争の初期において、一時的・局所的な航空優勢と海上優勢を確立する能力を有する。

 (3)サイバー空間での戦い(サイバー戦)や宇宙空間での戦い(宇宙戦)においては、人民解放軍の先制攻撃が予想されるので注意が必要だ。

 (4)戦場までの距離は双方の作戦に重大な影響を及ぼす。一般的に、中国本土に近いほど米軍にとっては不利で、人民解放軍に有利だ。中国本土に近い「台湾紛争シナリオ」では両軍の実力が伯仲する。中国本土から遠い「南沙諸島シナリオ」では米軍が有利である。

 (5)人民解放軍が保有する1400発の短距離弾道ミサイルと、空軍力による台湾の航空基地に対する攻撃能力は高い。

 (6)米艦艇が中国本土から数千キロ離れた場所であっても、リスクなく自由に活動することが困難になっている。

 (7)米国にとって、同盟国や友好国の基地の提供は重要で、在日米軍基地は重要だ。

 米中紛争におけるいずれのシナリオでも、在日米軍基地に対する人民解放軍の攻撃が予想され、日本が米中紛争に巻き込まれる可能性は高い。詳しくは、拙著『米中戦争 そのとき日本は』(講談社現代新書)を読んでもらいたい。

 渡部悦和(わたなべ・よしかず)

【私の論評】旧ソ連のはまった罠、軍拡と宇宙開発、支那も(゚д゚)!

渡部悦和氏
ブログ冒頭の渡部悦和氏の分析の他にも、支那の軍事力などについては抑えて置かなければならないことがあります。

まずは、軍拡にはかなりの投資が必要であるという現実があります。これは、支那にとってはかなりの負担です。これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
旧ソ連と同じ罠にはまった中国、米国の仕掛けた軍拡競争で体力消耗―露メディア―【私の論評】ロシアの弱体化を吐露する記事、中国を封じ込めることと引き換えにロシアとの領土交渉を!!

詳細はこの記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
2012年7月22日、ロシア・テレビ局「ロシア・トゥデイ」は記事「米国のミサイル防衛システムが中国という経済の虎を封じ込める」を掲載した。 
今年3月、米国防総省はアジア及び中東におけるミサイル防衛システムの構成について公開した。中国を包囲するミサイル防衛システムに対抗するため、中国は自らの核兵器システムの近代化を迫られている。中国の軍事関係者も「近代化しなければ、核の抑止力を保つことができない」と認めている。 
旧ソ連はその末期に米国に対抗するため多額の予算を軍事費に注ぎ込んだ。今の中国も同様の状況にある。中国経済は今、繁栄しているかに見えるが、しかし格差は広がり、いまだ2億5000万人が貧困層として残っている。こうした問題を解決できないまま、中国政府は巨額の資金を軍事費に注ぎ込むことを余儀なくされている。 
冷戦を想起させる展開となっているが、中国は果たして政治と社会の安定を損なうことなく、軍事力を強化できるのか。その将来に注目が集まっている。
この記事では、ミサイル防衛システムを例に出しています。冷戦期、米国とソ連の軍事力は世界最先端で拮抗(きっこう)していましたが、両国には大きな違いがありました。それは、米国は世界一の経済力も誇っていたのですが、ソ連は発展途上国並みの経済力しかなかったということです。

それを見抜いていたのが、当時のロナルド・レーガン米大統領でした。レーガン大統領はソ連を「悪の帝国」と名指し、国防予算を大増額して「スターウォーズ計画」(戦略防衛構想)を推進しました。

これは、有事の際、アメリカ本土へ向けて飛来する仮想敵国の弾道ミサイルを、ミサイルやレールガン、レーザーなどを搭載した人工衛星(攻撃衛星)の攻撃によって迎撃・破壊することを目的としていました。

「スターウォーズ計画」の名は、当時、大ヒットした同名のSF映画から付けられた通称です。

この構想の下、いくつかの兵器が試作されましたが、技術的にも予算的にも現実的ではなく、最終的には実用化されないまま沙汰止みとなりました。

これは当時、大軍拡を進めていたソ連への対抗上なされたプロパガンダであったとも、あるいは国内の景気対策や技術振興のためのテコ入れ策であったとも言われています。

事実、当時のアメリカはベトナム戦争の敗北によってもたらされた軍事的・経済的打撃からの回復途上にあり、レーガン政権は「強いアメリカ」を政策目標としていました。

しかし、ソ連はこれに追いつこうと無理をしたため、もともと脆弱な経済がさらに立ちゆかなくなり、国家財政が破綻して崩壊しまいました。

まさに、支那も、旧ソ連と同じワナにはまっています。軍事費を毎年増加させています。軍拡に関しては、支那は旧ソ連よりもさらに厳しい状況にあります。

当時のソ連は戦後にドイツの技術者を大量にソ連に連行して、ソ連で様々な開発に従事させました。そのため、軍事技術に関してはそれなりに世界水準のものを維持することができました。

しかし、支那の場合は、そのような基礎がないため、ロシア、米国、日本などの他の先進国から盗むか、購入することが多いのです。これにも、かなり費用がかかります。

しかし、軍事技術の核心的な部分は、どの国も機密あつかいであり、それを支那に明かすことはありません。そのためでしょうか、支那空軍では慢性的な部品不足に見舞われていて、航空機の稼働率がかなり低い状況になっています。

そのせいで、支那のパイロットの年間飛行時間は、自衛隊のパイロットの1/10程度とされています。航空機の稼働率があまりのに低いので、パイロットの訓練が犠牲にされているのです。

そうして、支那はソ連から技術を導入して、宇宙開発にも熱心です。これもかなり費用がかかります。

これについても、その実体をこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
支那は、2011年に打ち上げた宇宙ステーション(軌道上実験モジュール)「天宮1号」が制御不能になったことを正式に発表した。―【私の論評】宇宙開発、軍拡は支那を滅ぼす(゚д゚)!
組立中の天空1号
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に結論部分のみ掲載します。
支那では戦闘機の旧式の戦闘機が多いのと、メンテナンスの技術も低く稼働率が異常に低いので、戦闘機の数は多いものの、日本の戦闘機と互角に実際に常時戦える戦闘機数は50機に過ぎないと推定できます。

日本の航空自衛隊の航空機は、旧式のものがほとんどないことと、稼働率は90%ですので、実際に常時戦える戦闘機は、315機です。

さすがに、50機と315機では、勝負になりません。

こう考えると、支那の宇宙ステーションも稼働率はかなり低くなることが予想されます。戦闘機の稼働率が異常に低いのに、宇宙ステーションだけが、稼働率が高くなるということは考えられません。

そうなると、支那の宇宙ステーションは、たとえ完成したとしても、NASAの宇宙ステーション管理による非効率よりもはるかに低い効率で、さらに低い稼働率で、巨大な金食い虫と成り果てることは、必定です。

宇宙開発と軍拡は支那を滅ぼすだけです。

支那が本当に実行すべきは、まずは支那共産党一党独裁体制を捨て去り、民主化、経済と政治の分離、法治国家化をすすめることです。そうしないと、支那はこのまま、中所得国の罠にはまり、図体が大きいだけの、アジアの凡庸な独裁国家に成り果てるだけです。

しかし、支那共産党はこのことには全く気づいていないようです。
宇宙ステーションの管理や、運用にはかなりの経費を必要とします。米国ではNASAが国際宇宙ステーションの管理をしていましたが、NASAの官僚主義的な運営の仕方で、とてつもない金食い虫となっていたため、2012年から実験室とその設備の管理をNGOの宇宙科学進歩センター(CASIS: Center for the Advancement of Science in Space)に委ねました。

支那の場合も、宇宙ステーションを稼働させたにしても、官僚主義の蔓延によって、ほとんど実質的に何の富を生み出すこともできず、金食い虫になるだけでしょう。

さて、 ドナルド・トランプ米大統領が就任してから、支那から外資系企業が続々と撤退しているといいます。4月以降、さらに撤退が加速するらしく、支那で「約1億人のリストラ」が行われる可能性が指摘されています。

この状況では、支那は、かつてのソ連と同じく、米国に追いつこうと無理をして、もともと脆弱な経済がさらに立ちゆかなくなり、国家財政が破綻して崩壊することになるでしょう。

いますぐということはないでしょうが、その方向に向かって進んでいるのは間違いないです。

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2017年2月8日水曜日

アパホテル書籍問題 ペマ・ギャルポ氏寄稿 支那の不当干渉許すな―【私の論評】常識でわかる南京大虐殺の虚構(゚д゚)!


ペマ・ギャルポ氏 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
支那外務省や国家観光局の報道官が、アパグループの元谷外志雄代表の著書について、「歴史を正視しようとしない。正しい歴史観を教育し、アジアの隣国の信頼を得るよう促す」「支那の観光客に対する公然とした挑発であり、旅行業の基本的モラルに反する」などといい、アパホテルの利用ボイコットや、旅行会社などに取り扱い中止を求めた。(夕刊フジ)

 わが故郷・チベットを奪った支那が「正しい歴史観」「隣国の信頼」「モラル」などと主張するのは言語道断である。加えて、支那政府の言動は、日本に対する主権侵害、内政干渉であり、また個人の思想と言論に対する卑劣かつ不当な圧力であり弾圧である。

 日本は支那と違って、個人の思想、表現、言論の自由が保障されている自由主義国であり、法治国家であり、成熟した民主主義国家である。さまざまなホテルの客室には、聖書や論語、仏教聖典などが置いてあるが、宿泊客には、それを読む自由も読まない自由もある。

 元谷氏の著書は、「慰安婦問題」や「南京大虐殺」に関する史実を理路整然と述べ、根拠のないウソを正そうとしているに過ぎない。同様の指摘は、米ニューヨーク・タイムズや、英フィナンシャル・タイムズの東京支局長を歴任した、英国人ジャーナリスト、ヘンリー・S・ストークス氏も著書『連合国戦勝史観の虚妄』(祥伝社新書)に記している。

ヘンリー・S・ストークス氏
 まさに、歴史を正視する姿勢であり、支那こそ歴史を正しく見る勇気と見識を持つべきだろう。

 今回の騒動で、私が驚き失望したのは、日本の一部メディアと識者、普段は「自由だ」「人権だ」と大騒ぎしている人々に対してだ。

本多勝一の『中国の旅』より、後に本多勝一自身が捏造であることを認めた。
さらにこの写真を精査した専門家らはどの写真も信ぴょう性に欠けるとした。

 一部メディアや識者は、支那側の主張を大きく取り上げ、あたかもアパホテルだけに問題があるかのような発信をしていた。支那共産党の手先なのか。南京大虐殺は、朝日新聞の連載「中国の旅」で広まった。慰安婦問題と同様に、徹底的に検証すべきである。

 国会周辺で「言論の自由」や「人権を守れ」と叫んでいる人々も、東京・元麻布の支那大使館前で抗議デモを行うべきだ。他国によって、日本の「言論の自由」が脅かされている。公平公正の姿勢を示すことを願う。

【私の論評】常識でわかる南京大虐殺の虚構(゚д゚)!

ペマ・ギャルポ氏の主張は全く正しいです。30万人の南京虐殺など、虚妄に過ぎません。

日本軍が掃討作戦を行なったため、誤って南京市民が数十人とか、数百人くらいが巻き添えになったというなら、あり得なくもないと思いますが、そもそも当時の日本軍が最初から意図して意識して20万人〜30万人もの市民を虐殺したというのは、どう考えても虚妄以外の何ものでもありません。

おそらく、現在の支那は、戦後に小国に侵略したりした経験はあるものの、一度もまともに戦争をしたことがないので、20万人〜30万人を殺害するということがどういうことなのか、理解不能なのでしょう。これは、まるで白髪三千丈を地でいくような、誇張以外のなにものでもありません。

ナチスドイツのように、それなりの時間を費やして、殺人工場であるガス室をつくるとか、原子爆弾を投下するなどの方法をとらなければ、短期間にこれだけの人数を殺害することは不可能です。

それに不思議なのは、まともな物証がいっさい出てこないことです。ソ連によるポーランド人虐殺であるカチンの森事件では、犠牲者が約22,000人とされていますが、この虐殺では戦後何度も大量遺体が発見されていますし、これは明らかに当時のソ連による虐殺の犠牲者であることが確かめられています。これからも遺体が発見されるかもしれません。

1990年4月13日、ソビエト国営のタス通信はカティンの森事件に対するNKVD(ソビエト内務人民委員部)の関与を公表し、「ソ連政府はスターリンの犯罪の一つであるカティンの森事件について深い遺憾の意を示す」ことを表明ました。

ソビエトが50年にわたって行った恥ずべき真実の否定を
最終的に1990年4月に認めたことを碑文に刻んだ追悼碑
当時のソ連は、長い間これを否定してきたのですが、遺体をはじめとする多くの物証が山積みになったので、さすがに認めざるをえなくなったのです。

しかし、南京虐殺に関しては、そうだとされる遺体の写真や、伝聞の記録とされるらしいものはあるのですが、肝心要の遺体そのものが出てきません。20万人〜30万人の犠牲者が本当に存在するなら、もうとうに出てきていて、動かぬ証拠になっているはずです。

それに、遺体を調べれば現在であればかなりのことがわかるはずです。現在では、DNA鑑定すらできるわけですから、遺体が誰のものであり、当時の南京市の戸籍などの記録に照らしあわせれば、虐殺があったのかどうかもすぐに立証できます。

支那のサイトにあった南京虐殺の証拠とされる写真。しかし、この軍服は
当時ドイツから軍事支援を受けていた国民党軍のものであることはあきらか。
この写真は極端な事例だが、他の証拠とされる写真も全部が不確かなものばかり
しかし、それがない、出てこないということは、捏造以外の何ものでもないということです。

そうして、その捏造を私のように常識をはたらかせ元谷氏の著書は、史実を理路整然と述べ、根拠のないウソを正そうとしているに過ぎないのです。

それにしても、なぜ支那がここまで南京虐殺にこだわるかといえば、その理由は簡単です。ようするに、現在の支那政府は統治の正当性に全く欠けるからです。そもそも、現在の支那政府は、他国のように選挙で選ばれた政治家が運営しているわけではありません。

現在の支那人民共和国は、建国以来一度も選挙をしたことがありません。にもかかわらず、支那政府が実在し、政治を司っています。支那人民の信託を受けていないのです。さらに、信託も受けず統治をするだけの、根拠が全くありません。

それでも、支那を治めたい支那政府は、日本を悪者にしたたて、日本と一度も戦争をしたこともないのに、あたかも戦争したかのように装い、戦後70年目には、対日戦争勝利軍事パレードなる虚構を演じてみせました。

支那政府は、日本を悪者にしたてて、人民の大爆発寸前の憤怒マグマを自分たちではなく、日本に対して向けて、噴出させ、何とか統治の正当性を保っている状態なのです。

支那国内の抗日ドラマ 物理学を無視して日本兵を素手で真っ二つ(゚д゚)!
日本が南京虐殺はしていないなどということにでもなれば、統治の正当性のかなりの部分が揺らいでしまうのです。

そのため、現在の支那共産党政府は南京虐殺の捏造をなどを含む、反日をやめることはできないのです。やめれば、現在の体制が崩れるのです。

だからこそ、日本の一民間企業である、アパホテルにおいてある書籍にまで、神経を尖らせるのです。

なにしろ、アパホテルには支那人も多く宿泊しますから、宿泊した支那人がその書籍を読み支那に帰ってから他の支那人にその話をすれば、支那共産党の統治の正当性が大きく毀損されかねないことに脅威を抱いているのです。

まさに彼らは、いつ崩れるかもわからない日々薄氷の上を歩いているようなもので、アパホテルのことも脅威に感じるのです。

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2017年2月7日火曜日

支那とロシアが崩壊させる自由主義の世界秩序―【私の論評】世界は戦後レジームの崩壊に向かって動いている(゚д゚)!

支那とロシアが崩壊させる自由主義の世界秩序

孤立主義ではいられないトランプ政権

ロバート・ケーガン氏
 世界に国際秩序の崩壊と地域戦争の勃発という2つの重大な危機が迫っている。

 米国は、第2次大戦後の70余年で最大と言えるこれらの危機を招いた責任と指導力を問われている。米国民がドナルド・トランプ氏という異端の人物を大統領に選んだ背景には、こうした世界の危機への認識があった──。

 このような危機感に満ちた国際情勢の分析を米国の戦略専門家が発表し、ワシントンの政策担当者や研究者の間で論議の波紋を広げている。

 自由主義の世界秩序が崩壊へ向かう

 この警告を発したのは、ワシントンの民主党系の大手研究機関「ブルッキングス研究所」上級研究員のロバート・ケーガン氏である。

 ケーガン氏は米国学界でも有数の国際戦略研究の権威とされ、歴代政権の国務省や国家情報会議などに政策担当の高官として登用されてきた。従来は保守派の論客とされてきたが、近年ではオバマ政権でも政府の諮問機関に招かれ、国際戦略情勢に関する政策などを提言してきた。昨年の大統領選ではヒラリー・クリントン候補の政策顧問を務めている。

 ケーガン氏は1月24日に「自由主義的世界秩序の衰退」と題する同論文を発表した。同氏はこの論文で、第2次大戦以降の70余年の間、米国主導で構築し運営してきた自由主義の世界秩序は、崩壊に向かう最大の危機を迎えたと指摘する。

 危機の原因となっているのは、支那とロシアという反自由主義の二大国家の挑戦だ。1991年のソ連崩壊以後の米国の歴代政権が「唯一の超大国」の座に安住し、とくにオバマ政権が軍事力を縮小して「全世界から撤退」したことがその状況を招いたという。

 支那、ロシアの軍事力行使の危険性が高まる

 ケーガン氏の論文の要点をまとめると以下の通りである。

・世界は第2次世界大戦の終結から現在まで、基本的には「自由主義的世界秩序」に支えられてきた。この秩序は民主主義、自由、人権、法の統治、自由経済などを基盤とし、米国の主導で構築され運営されてきた。

・しかしこの世界秩序は、ソ連崩壊から25年経った今、支那とロシアという二大強国の挑戦により崩壊の危機を迎えるにいたった。

・支那は南シナ海、東シナ海へと膨張し、東アジア全体に覇権を確立して、同地域の他の諸国を隷属化しようしている。ロシアはクリミア併合に象徴されるように旧ソ連時代の版図の復活に向かっている。両国はその目的のために軍事力の行使を選択肢に入れている。

・支那とロシアの軍事的な脅威や攻撃を防いできたのは、米国と同盟諸国が一体化した強大な軍事力による抑止だった。

・だが、近年は米国の抑止力が弱くなってきた。とくにオバマ政権は対外的な力を行使しないと宣言し、国防費の大幅削減で米軍の規模や能力はすっかり縮小してしまった。

・その結果、いまの世界は支那やロシアが軍事力を行使する危険性がかつてなく高まってきた。武力行使による膨張や現状破壊を止めるには、軍事的対応で抑止することを事前に宣言するしかない。

 米国はリーダーシップを取り戻すべき

 ケーガン氏は論文で以上のように、いまの世界では支那とロシアの軍事行動による地域的な戦争の危機が高まっており、その結果、自由主義的な世界秩序の崩壊がありうると警告していた。

 トランプ政権は米軍の再増強や「力による平和」策を宣言しながらも、世界における超大国としての指導的立場や、安全保障面での中心的役割を復活させることには難色をみせている。

 だがケーガン氏は、世界の危機への対策としては、米国が世界におけるリーダーシップを再び発揮することだという。

 ケーガン氏は、今回の大統領選で米国民がトランプ氏を選んだのは、オバマ政権の消極的政策のために世界の危機が高まったという認識を抱き、オバマ路線とは異なる政治家を求めたからだとみる。トランプ大統領は、まさに非常事態だからこそ生まれた大統領だということだろうか。

【私の論評】世界は戦後レジームの崩壊に向かって動いている(゚д゚)!

世界の危機が高まっていると、警告するのは、ロバート・ケーガン氏だけではありません。たとえば、ジョセフ・ナイ氏も警告しています。ジョセフ・サミュエル・ナイ・ジュニア(Joseph Samuel Nye, Jr.、1937年1月19日 - )は、アメリカ合衆国の国際政治学者。ハーバード大学特別功労教授。アメリカ民主党政権でしばしば政府高官を務め、知日派としても知られます。

この、ジョセフ・ナイ氏が、「キンドルバーグの罠」という論文を先月9日に発表しています。この論文なかなかの優れものなので、以下にナイ氏の写真ととも、この記事の要約を掲載します。

ジョセフ・ナイ氏
キンドルバーグの罠 
トランプ次期大統領が対中政策の方針を準備するにあたって、歴史の教える注意すべき二つの大きな「罠」がある。 
一つ目は、習近平主席も引用した「ツキュディデスの罠」(Thucydides Trap)である。これは古代ギリシャの歴史家が発したとされる「既存の大国(例:米国)が台頭しつつある大国(例:支那)を恐れて破壊的な大戦争が起こる」という警告だ。 
ところがトランプ氏が気をつけなければならない、もう一つの警告がある。それは「キンドルバーガーの罠」(Kindleberger Trap)であり、これは支那が見た目よりも弱い場合に発生するものだ。 
チャールズ・キンドルバーガー
 チャールズ・キンドルバーガー(Charles Kindleberger)は「マーシャル・プラン」の知的貢献者の一人であり、後にマサチューセッツ工科大学で教えた人物だ。 
彼は破滅的な1930年代が発生した原因として、アメリカが世界大国の座をイギリスから譲り受けたにもかかわらず、グローバルな「公共財」(public goods)を提供する役割を担うことに失敗したことにあると指摘している。 
その結果が景気後退であり、民族虐殺であり、世界大戦へとつらなる、国際的なシステムの崩壊だというのだ。 
では力を台頭させている今日の支那は、グローバルな「公共財」を提供できるのだろうか? 
一般的な国内政治において、政府は国民全員の利益となる「公共財」、つまり警察による治安維持やクリーンな環境を生み出している。 
ところがグローバルなレベルになると、安定した気候や金融・財政、航行の自由のような「公共財」というのは、世界で最も強力な国が率いる同盟関係によって提供されるのだ。 
もちろん小国はそのようなグローバルな「公共財」のために貢献するインセンティブをほとんどもたない。彼らの小さな貢献は、そこから得られる利益の差を生むことはないため、彼らにとっても「タダ乗り」が合理的なものとなるからである。 
ところが最も強力な国は、小国たちの貢献の効果や差を感じることができる。だからこそ最も強力な国々にとって「自ら主導する」のは合理的なことになるのだ。もし彼らが貢献しないとなると「公共財」の生産は落ちてしまう。 
この一例がイギリスである。第一次世界大戦後に彼らがその役割を果たせないほど弱体化した後、孤立主義的なアメリカはそのまま「タダ乗り」を続けたために、破滅的な結果を生んだのだ。 
何人かの専門家は、支那は十分な力をつけても(自分たちが創設したわけではない)その国際秩序に貢献せずに、「タダ乗り」を続けると見ている。 
これまでの経過は微妙なところだ。支那は国連体制から利益を受けており、たとえば安保理では拒否権を持っている。平和維持軍では第二の勢力となっており、エボラ熱や気候変動の対処のような国連の計画にも参加している。 
また、支那は世界貿易機関(WTO)や世界銀行、そしてIMFのような多国的経済制度からも大きな恩恵を得ている。

2015年にはAIIBを創設し、これを世銀の対抗馬にすると見る人もいたが、実際は世銀と協力しながら国際的なルールを遵守している。 
その一方で、去年の南シナ海の領土問題におけるハーグの判決の拒否は、支那に対する大きな疑問を投げかけることになった。 
それでもこれまでの支那の行動は、自らが恩恵を受けているリベラルな世界秩序をつくりかえようとするものではなく、むしろその中で影響力を増そうというものだ。 
ただしトランプ政権の政策によって追い込まれると、支那は世界を「キンドルバーガーの罠」に落とす、破滅的な「タダ乗り」をする国になる可能性が出てくる。 
同時に、トランプはより有名な「ツキュディデスの罠」にも警戒すべきである。つまり弱すぎる支那よりも、強すぎる支那である。 
もちろんこの「罠」は、不可避であるわけではないし、その効果も誇張されることが多い。 
たとえば、政治学者のグレアム・アリソン(Graham Allison)は、1500年以降の既存の大国が台頭する大国に直面した16のケースのうち、12回が大戦争につながったと論じている。 
グレアム・アリソン氏
ところがこの数は不正確である。なぜならどれがその「ケース」に該当するのかが不明確だからだ。 
その一例として、イギリスは19世紀なかばに世界大国であったが、それでもヨーロッパ大陸の中心部に新たなドイツ帝国が誕生するのを見逃している点などが挙げられる。 
当然ながら、イギリスはそのおよそ50年後となる1914年にドイツと戦うことになったのだが、これは一つのケース、もしくは二つのケースとしてカウントされるのか微妙なのだ。 
第一次世界大戦は、単に台頭するドイツに直面した既存の大国であるイギリスというケースではなく、それに加えてドイツ国内におけるロシアの台頭に対する恐怖が原因であるし、衰退しつつあったオーストリア=ハンガリーにおけるスラブ系のナショナリズムの盛り上がりに対する恐怖のように、古代ギリシャの例とは違う無数の要因によるものであった。 
現在のアナロジーに関していえば、今日の米中間のパワー・ギャップは、1914年当時におけるドイツとイギリスの間よりもはるかに大きい。注意を促すという点ではたしかに比喩というのは有用だが、歴史的に不可避なような感覚を醸し出しはじめると危険なものになってくる。 
さらに古代ギリシャのケースでも、ツキュディデスが解説したようなシンプルなものではない。 
彼は第二次ペロポネソス戦争の原因はアテナイの力の台頭がスパルタの恐怖を起こしたことにあると主張しているが、イエール大学の歴史家であるドナルド・ケーガン(ブログ管理人注:ブログ冒頭の記事にでてくるロバート・ケーガンの父)の研究によれば、アテナイの国力は実際は台頭しておらず、紀元前431年に戦争が勃発した時のバランス・オブ・パワーは安定化し始めていたのだ。 
ドナルド・ケーガン氏
むしろスパルタに「リスクを冒しても戦争をすべきだ」と思わせたのは、アテナイの政策面での間違いだった。 
アテネの台頭は同世紀初期の第一次ペロポネソス戦争のほうの原因となったのだが、その後の30年間は停戦が続いた。ケーガンによれば、より破壊的なものとなった第二次ペロポネソス戦争が発生するためには、まだ消えさっていない火種を再び点火する火花と、それをマズい政策の選択を選び続けることによって煽ることが必要だったのだ。 
これをいいかえれば、この戦争は「非人間的な力」ではなく、難しい状況におけるマズい決断によって発生したのだ。 
これこそが、支那の台頭に直面する現在のトランプにとっての課題だ。彼は「強すぎる支那」と「弱すぎる支那」に同時に対処しなければならないからだ。つまり彼は「キンドルバーガーの罠」と「ツキュディデスの罠」の両方を避けなければならないのである。 
究極的にいえば、彼が避けるべきなのは、人類の歴史をむしばんでいる「計算違い」や「思い違い」、そして「早とちりの判断」なのである。
結論をリーダーの失策というところに求めているのは実務経験のあるナイ氏だからでしょうか。

それにしても、最近もトランプ政権のカオスぶりが目立ちます。

ドナルド・トランプ(Donald Trump)次期米大統領が国防長官への起用を発表しているジェームズ・マティス(James Mattis)元中央軍司令官(66)は先月12日、上院軍事委員会で開かれた指名承認公聴会の場で、ロシアが北大西洋条約機構(NATO)を破壊しようとしていると非難し、米国はかつての敵国ロシアに立ち向かう必要があるとの考えを示しました。

狂犬との異名を持つジェームズ・マティス氏
元海兵隊大将のマティス氏によるこの痛烈なロシア批判は、近く上司となるトランプ氏の対ロシア観とは懸け離れています。トランプ氏はこれまで、「非常に頭が切れる」などとウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領の指導者としての手腕を繰り返し称賛し、両国間の関係改善を訴えてきました。

公聴会でマティス氏は、現在の世界秩序が直面している緊迫した状態をどのように認識しているかという質問に対して、第2次世界大戦(World War II)以後で最も大きな攻撃にさらされていると回答。「(その攻撃は)ロシアやテロ集団によるものであり、南シナ海(South China Sea)で支那が行っていることもそうだ」と指摘しました。

さらにマティス氏は、トランプ氏同様、ロシアとの関わり合いを深めることは受け入れるとしながらも「プーチン氏との協力の範囲については、ごく控えめな期待」しか抱いていないと強調しました。

ということで、アメリカという超大国も、政権中枢が混乱すると余計で無駄な戦争を起こす可能性もなきにしもあらずです。

ただし、ジョセフ・ナイ氏は、もっぱらトランプ大統領が「計算違い」や「思い違い」、そして「早とちりの判断」をする可能性を述べていますが、私としては、習近平やプーチンのそれのほうが、可能性は大きいと思います。

習近平やプーチンは、オバマ政権が軍事力を縮小して「全世界から撤退」したことを受けて、支那は海洋進出し周辺諸国の隷属化する道を歩み、ロシアはクリミア併合に象徴されるように旧ソ連時代の版図の復活に向かっています。

そうして、支那はもともと、建国以来ウイグル、チベット、内蒙古、満州などに侵略して版図を広げました。旧ソ連は、建国から崩壊まで、毎年平均するとオランダと同程度版図を拡大してきました。

これを考えると、ロバート・ケーガンが主張するように、支那、ロシアの軍事力行使の危険性があることを前提に、自由主義的な世界秩序の崩壊を防ぐために、米国はリーダーシップを取り戻すべきです。

米国がリーダーシップを取り戻すことにより、支那・ロシアが今後軍事力の行使を諦めればそれで良いですが、もし行使すれば、米国としてもこれに対抗するため行使する他ないでしょう。

米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は先月25日、米当局者の話として、トランプ政権が国連などへの拠出金の削減や、一部の多国間条約からの離脱を目指す二つの大統領令署名を検討していると報じました。国連への関与を大幅に見直し、政権が掲げる「米国第一」主義を推進する狙いがあるとみられます。

ご存知のように、国連とは英語では"United Nations"であり、これは直訳すれば、「連合国」です。国連とは、第二次世界大戦の戦勝国のための組織です。米国がここへの関与を大幅に見直し、関与をあまりしないようにするということは、米国が戦後体制から離脱することを意味します。

トランプ氏は大統領選で、支那の対米輸出拡大を批判して「45%の関税をかける」と繰り返していました。また、支那が通貨安誘導によって輸出を促進していると訴えていました。

しかし、これは事実上WTO加盟国に対してはできない措置です。どうしても、米国が支那に対して「45%」の関税をかけるということになれば、WTOを脱退しなければなりません。これも、戦後体制からの脱却を意味します。

ここまでしないとしても、米国としては、支那に対して金融制裁措置をとることもあり得ます。

戦後体制を概要を決定したヤルタ会談(前列左よりチャーチル、ルーズベルト、スターリン)
日本の保守層は、「戦後レジーム」からの脱却ということを主張してきました。私も、当然のことながらこれには賛成です。

ただし、私たちは現在米支露が「戦後レジーム」を崩壊させるほうに動いていることを理解すべきです。そうして、最悪のシナリオでは米・支・露三つ巴の戦争が起こる可能性さえあり得るということを銘記すべきでしょう。さらに、このことは日本を含めた世界中の国々に大きな影響を与えます。日本は、遅ればせながら今からでもそれに備える必要があります。

戦後体制が崩れれば、そのときには、北朝鮮のミサイル発射にも、支那の海洋進出にも、あらゆる外交課題について日本はアメリカに全面的に頼ることはできないと考えて臨むべきです。

日本の後ろにもうどのような場合でも、アメリカが存在していて、必ず助けるてくれるとは限らないと、覚悟するよりないのです。もう与野党で馬鹿な議論、誹謗合戦をしている暇はないのです。

しかしこれは、当たり前のことなのです。自分の国のことを他国に憚らず自分で決め、自分で守るのは、トランプ(大統領)に言われることなく、自明の理屈なのである。無論その時に、米国との対等同盟関係を築くことも選択肢の一つです。

しかし、アメリカに頼りきって、アメリカに守られながら生きる日本の時代、日本にとっての「戦後レジーム」は、間もなく終了するとみなすべきなのです。そもそも、これは当然のことです。どんなに強固な体制であっても同じ体制が永遠に続くことなどあり得ないのです。時代の変化にあわせて変わっていくのが自明の理です。

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2017年1月29日日曜日

日本語ツイートに中国の批判殺到 台湾総統の春節あいさつ―【私の論評】蔡英文総統の統治の正当性は、習近平よりもはるかに強力(゚д゚)!

日本語ツイートに支那の批判殺到 台湾総統の春節あいさつ

蔡英文台湾総統
台湾の蔡英文総統が28日の春節(旧正月)に合わせて英語と日本語で新年のあいさつをツイッターで投稿したところ、中国から「なぜ中国語で書かないのか」と批判の書き込みが相次いだ。これに対し日本や台湾からも反論が投稿され、激論となった。台湾紙、自由時報(電子版)が28日、伝えた。

蔡氏は大みそかにあたる27日、英語と同時に日本語で「日本の皆様、今年は実のある素晴らしい一年となりますよう、心よりお祈り致します」と書いた。

中国からは「ごますり」「日本が台湾を侵略したことを忘れたのか」などと批判が殺到。逆に日本からは日台の絆の重要性を訴える投稿が相次ぎ、台湾からも「中国は干渉しないで」といった反発が出て白熱した論争となった。

蔡氏は、日本語でのツイッター利用者が多いため、日本語でも書いたという。

【私の論評】蔡英文総統の統治の正当性は、習近平よりもはるかに強力(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事にも掲載されていた蔡英文総統のツイートそのものを以下に掲載します。

このツイート何が問題になるのか全く理解不能です。そもそも、日本が台湾を侵略したという事実はないです。確かに統治をしたことはありますが、それは日本による台湾侵略し結果によるものではありません。

台湾の日本統治時代(にほんとうちじだい)は、日清戦争の結果下関条約によって台湾が清朝(当時の支那)から日本に割譲された1895年(明治28年、光緒21年)4月17日から、第二次世界大戦の結果ポツダム宣言によって台湾が日本から中華民国に編入された1945年(昭和20年、民国34年)10月25日までの時代です。

台湾人、特に戦前生まれの台湾人は、中華民国に編入された後の国民党による統治の苛烈さからみると、日本統治時代のほうが明らかに良かったと考える人も多く、さらには台湾の近代化を推進したのは日本であるということを知っています。

それと台湾での日本語の位置づけは、大陸支那などとは全く異なります。そもそも、台湾でどれほど日本語が使われているのか以下に簡単に掲載しておきます。

昨年電通は、以下のタイトルの報告書を作成しています。
(独自調査)台湾人の日本語学習者数は200万人規模。戦後生まれの台湾人も、3人集まれば8割の確率で誰か日本語を話す。
おそらく日本初の調査。現在日本語を学習している台湾人(18-64歳男女)のは175万人〜240万人、従来統計の10倍以上という結果が出ました。
プレスリリースはこちら

以下18歳から64歳までの台湾人男女を単に「台湾人」と言います。全員戦後生まれです。
①日本語が少しでも会話できると答えた台湾人は41.5%。台湾人が3人いれば8割の確率で日本語を話せる人がいる。 
②日本語学習経験者は60.4%。現在学習中の人は12.8%、人口175〜240万人と推計。独学者の割合が大きく、現役学校学習者のみを対象とする国際交流基金の日本語教育機関調査の結果を10倍以上回る。 
③日本語学習経験者の訪日経験率は83.1%。18歳から24歳の男女も半数以上が訪日経験あり。 
④日本語学習経験者のうち66.1%は、日本旅行で日本人と日本語で話したいと思っている。日本人に英語を話してほしいと思っている割合は14.4%。
詳しくは以下のGoogleプレゼンテーションをごらんください。
https://goo.gl/nsxa3R

本レポートは株式会社電通が2016年6月に実施した調査を本研究会が紹介するものです。
このレポートの一部を以下に引用します。


いかに台湾で、日本語が話されているか良くわかります。


さらに台湾の歴史を振り返ってみると、そもそも、清朝時代に清朝政府が台湾を統治したとは言いがたい状況でした。放置していたというのが実体です。

よって、近代的な統治をしたのは日本が最初です。このときに、学校、病院、
、産業などの近代国家には、欠くことのできないインフラを整備したのは日本です。

だから、戦前生まれの台湾人の中には、自分は日本人だと考えるような人も多いのです。10年ほど前、私の同僚の方で、その方の母親が台湾で小学校の先生をしておられたというかたがいました。

その方が母親とともに、台湾のその小学校を訪れたところ、校長室まで案内され、かなり歓待されたそうです。

そこで学校に残された資料を示され、確かにその方の母親の名前が掲載されていたそうです。そうして、その校長先生は「台湾は日本統治のおかげで近代化できました。本当に有難うございました」と語っていたそうです。

日本統治時代には、台北帝国大学が存在していて、そこには日本人に混じって台湾人の学生もいたそうです。これは、台北帝大医学部出身の医師に子どもの頃話を聴いたことがありました。この大学は現在は国立台湾大学になっています。

日本の統治時代の面影が多く残る台湾国立大学キャンパス
現在の台湾総督府は、かつての日本の総督府の建物です。

現在の台湾総督府
総統府は博愛特区(台北市中正区重慶南路1段122号)にあります。

赤いレンガと白い花崗岩のコントラストが美しいルネサンス様式の建築物で、近代建築の代表的人物である森山松之助氏の設計によるものです。

1919年に完成し、当時は台湾総督府として使われました。

大戦末期の空襲で一部が損壊し、修復された後は蒋介石の還暦を記念して「介寿館」と改名されましたが、台湾遷都後の1949年からは再び総統府として使用されています。

上空から見ると日本の「日」を現す形に建てられていて、現在は文化資産保存法により国定古蹟として登録されています。

韓国や北朝鮮などとは違い、日本統治時代の日本人の設計による建物を大事に守っている台湾の人たちには胸が熱くなります。

このように、日本に縁のある国のトップリーダーである、蔡英文総統が、日本語のツイートをしたことが問題になるはずもありません。問題にするほうが、どうかしています。

選挙という民主的な手続きを経て総統の地位についた蔡英文総統は、歴史を修正しなくても、十分に統治の正当性を主張できるのです。だから、日本語で日本に対してツイートしても、自らの統治の正当性を低めることはないのです。

それに比較して、大陸支那の習近平は民主的な手続きで主席にえらばれたわけでもなく、対日戦勝70周年軍事パレードなどというとんでもない歴史修正をして日本をことさら悪魔化しなければ、統治の正当性を主張できないのです。

そもそも、現在の大陸支那は、日本と戦争したことなどありません。日本が戦争したのは、後に台湾に移った、蒋介石率いる中華民国の国民党軍であり、現在の大陸支那の、共産党軍とは戦争をしたことはありません。

どちらが、強いリーダーシップを発揮できるかといえば、蔡英文総統のほうであることは、明らかです。蔡英文総統の台湾統治の正当性は、習近平主席の支那統治の正当性よりもはるかに強力なのです。だからこそ、蔡英文氏は英語や、日本語でのツイートができるのです。習近平はツイートすらできません。そんなことをすれば、支那人民の憤怒のマグマが、習近平にTwitter経由で集中しとんでもないことになります。

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2017年1月27日金曜日

重量8トンの支那宇宙ステーションが制御不能で頭上に落ちてくる!?―【私の論評】崩壊した旧ソ連の二の舞いを演じる支那(゚д゚)!

重量8トンの支那宇宙ステーションが制御不能で頭上に落ちてくる!?

ドッキングした「神船11号」と「天空2号」
 いまや米露と並ぶ宇宙大国となった支那。人民解放軍主導で進められる宇宙開発への懸念は、軍事的脅威の拡大だけではない。拓殖大学客員教授の石平氏が解説する。

* * *

近年、支那の宇宙開発は目覚ましい進展を遂げている。昨年10月には6度目となる有人宇宙船の打ち上げに成功(神舟11号)。軌道上の宇宙ステーション実験機「天宮2号」にドッキングし、飛行士2名が33日間に及ぶ宇宙滞在を実施した。さらに2018年には「天宮」のコアモジュール(本体)を打ち上げ予定で、2022年には宇宙ステーションの完成を目指すという。

支那の宇宙開発の主な狙いは2つ。一つは国威発揚だ。冷戦時代に米ソが宇宙開発で覇を競ったように、宇宙開発は国力の象徴となる。習近平には、国内外に技術力の高さを見せつけ、宇宙開発の分野でも支那が覇権を握りつつあることをアピールする意図もある。

もう一つは、言うまでもなく軍事目的だ。1990年代から本格化した支那の宇宙開発は人民解放軍主導で進められ、有人飛行、月面探査、宇宙船のドッキングを次々と成功させてきた。

さらに支那は、2007年1月に自国の気象衛星を弾道ミサイルで破壊した。この実証実験は米国をはじめとする国際社会を震撼させた。

米国の軍事行動は人工衛星に大きく依存しており、支那が地球上からのミサイル発射で衛星を確実に破壊する技術を持てば、ハイテク化された米国軍は無力化されてしまう。これは重大な軍事的脅威である。

そうしたなか、支那の宇宙開発に新たな懸念が広がっている。2011年に打ち上げられた宇宙ステーション実験機「天宮1号」が、今年後半に地球へ落下することが報じられているのだ。

当初、支那当局は「天宮1号」が制御不能に陥っていることを否定していたが、最近になってこれを認めた。背景には、宇宙開発を急進するあまり、技術が追いついていない現実がある。

8tもある「天宮1号」の本体のほとんどは大気圏で燃え尽きるとされているが、米国の宇宙物理学者でハーバード大教授のジョナサン・マクダウェル氏によれば、「燃え尽きなかった一部のパーツが地上に降り注ぐかもしれず、落下地点も予測できない」という。

一方、「地球の表面の7割は海だから、陸地に落下する可能性は低い」との見方もある。だが、2015年11月にはスペインで、衛星の破片と見られる物体が一週間のうちに3つも落下し騒動となった。毎年、いくつもの宇宙ゴミが陸地に落ちていることを考えれば、「天宮1号」の破片が地表に降り注ぐ可能性は否定できない。

当の支那は国際社会への 影響よりも自国の利益を優先する国だから、たとえ誰かの頭に金属の塊が落ちてきても習近平は何の関心も持たないだろう。私たちは支那がそういう国であることを自覚し、禍に巻き込まれぬよう祈るしかないのだ。

●石平

【私の論評】崩壊した旧ソ連の二の舞いを演じる支那(゚д゚)!

天空1号が制御不能となって、墜落するかもしれないことは前から言われていました。それに関しては、このブログにも掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
支那は、2011年に打ち上げた宇宙ステーション(軌道上実験モジュール)「天宮1号」が制御不能になったことを正式に発表した。―【私の論評】宇宙開発、軍拡は支那を滅ぼす(゚д゚)!
組立中の天空1号
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に結論部分のみ掲載します。
支那では戦闘機の旧式の戦闘機が多いのと、メンテナンスの技術も低く稼働率が異常に低いので、戦闘機の数は多いものの、日本の戦闘機と互角に実際に常時戦える戦闘機数は50機に過ぎないと推定できます。

日本の航空自衛隊の航空機は、旧式のものがほとんどないことと、稼働率は90%ですので、実際に常時戦える戦闘機は、315機です。

さすがに、50機と315機では、勝負になりません。

こう考えると、支那の宇宙ステーションも稼働率はかなり低くなることが予想されます。戦闘機の稼働率が異常に低いのに、宇宙ステーションだけが、稼働率が高くなるということは考えられません。

そうなると、支那の宇宙ステーションは、たとえ完成したとしても、NASAの宇宙ステーション管理による非効率よりもはるかに低い効率で、さらに低い稼働率で、巨大な金食い虫と成り果てることは、必定です。

宇宙開発と軍拡は支那を滅ぼすだけです。

支那が本当に実行すべきは、まずは支那共産党一党独裁体制を捨て去り、民主化、経済と政治の分離、法治国家化をすすめることです。そうしないと、支那はこのまま、中所得国の罠にはまり、図体が大きいだけの、アジアの凡庸な独裁国家に成り果てるだけです。

しかし、支那共産党はこのことには全く気づいていないようです。
日本のメディアではこのようなことは報道しないので、このようなことにわかには信じがたい人もいると思います。そのような疑問を払拭するために、渡邉哲也氏の動画を以下に掲載します。


さて、この動画をご覧いただいても、まだ判然としないかたもいらっしゃるものと思いますので、以下に支那の宇宙開発に関して振り返っておきます。

支那は50年前の完成し安定した技術をロシアから購入しているので、いまのところすべて成功しています。

支那は有人宇宙船や宇宙ステーション、月面探査機を次々に成功させています。ところがそれらはどれも、1960年台にソ連が使った技術を、ロシアから購入したものです。

皆さんご存知のように、1960年台に米ソ間で宇宙競争が起き、月に人を送ったアメリカが勝利して、その後の冷戦で勝利しました。

また米国では、アポロ計画でコンピュータやプログラム、電子制御技術が誕生し、現在の革新的なIT技術にまで発達しました。

そして今は支那が「宇宙大国」を目指して多くの計画を実現しようとしています。

2003年10月15日、大陸間弾道弾にソ連型宇宙船を搭載した神舟5号が、3カ国目の有人宇宙船に成功しました。

神舟型宇宙船はそれまでに5回打ち上げて、合計12人を低軌道で周回させ、いずれもモンゴル自治区(植民地)に着陸しています。

打ち上げは長征型長距離弾道ミサイルのロケットを利用して行われました。

長征2号Fは464トンで高さ62メートル、日本最大のH-IIBロケットは531トン56メートルなので、H-IIBの方が打ち上げ能力が大きい。

理屈ではH-IIBにロシアの宇宙船を載せれば、種子島から有人宇宙船を打ち上げ可能です。

宇宙船はソ連時代に開発されたソユーズの設計を元にしていて、ロシアから技術を購入したとみられます。

スペースシャトル引退後の唯一の有人宇宙船であったソユーズ
1961年、世界初の有人宇宙船ボストーク1号でガガーリン少佐が成功し、ソユーズ1号は1967年に打ち上げ成功しています。ただし、このときは帰還には失敗しています。

その後ソユーズは改良を重ねられて現在もロシアの宇宙船であり、スペースシャトル退役後は、世界で唯一の有人宇宙船でした。

1960年代のソ連にはまだコンピュータ技術が無く、80年代のソユーズは任天堂のファミコンのチップを使用していたという逸話も残っています。

ソユーズの技術は、構造が単純で信頼性は高く、製造や運用も簡単でした、そうして支那が使用しているのはソユーズを少し大きくした改良型でした。

支那が次に打ち上げるのが宇宙ステーションで、小型宇宙ステーション天宮1号を2011年9月に打ち上げました。

天宮1号は有人宇宙船とのドッキングに成功し、今後は大型のモジュールを打ち上げて大規模宇宙ステーションを完成させる予定でした。

ここまでは1980年代までにソ連がやっていた事で、支那が実施したのは、多くの技術をロシアから買って、新しく打ち上げたというだけでした。

ソ連時代に描かれた宇宙開発の未来想像図
ソ連はアメリカより先に人類を月に送り込むため、1960年代に無人の月探査船を送り込みましたが、支那も同じ事をしています。

2013年12月14日、嫦娥3号が月面に着陸し、無人車両が月面を走行しました。これも1976年にソ連がやっていて、月の土を採集して帰還に成功していました。

支那もこれから月の土を採集して持ち帰る計画を建てています。

月の次は火星という訳で、支那は無人の火星探査機を打ち上げる事にしており、2040年代に有人宇宙船を送り込む事になっています。

計画としては月面に有人基地を建設するとか、宇宙ステーションにレーザー兵器を搭載して全世界を攻撃可能にするとしています。

気になるのが支那はいくらの宇宙予算を使っているかで、非公開なので推測するしかありません。

アメリカのNASAは約2兆円で国防省込みで4.5兆円、欧州宇宙機関(ESA)が5000億円、日本は3500億円です。

ロシアが4000億円、インド1500億円、支那は2006年に2000億円だったと発表されています。

2011年には3500億円、現在は5000億円を超えている筈ですが、これは表向きの数字です。

現在の支那の宇宙予算は1兆円を超えている筈で、日本から大量の宇宙技術者を引き抜いたのがニュースになっています。

支那初の宇宙飛行士楊利偉氏
支那には日本の10倍以上の宇宙関連技術者が居て、報酬も日本よりずっと多いとされています。このまま支那の宇宙技術が進歩し、発展するかといえば、懐疑的な見方も存在します。

支那の宇宙技術は他の産業がそうであるように、全てソ連や西側のコピーであり、独自の技術はありません。そのためでしょうか、支那の空軍の航空機は、慢性的な部品不足で稼働率はかなり低く。パイロットの年間飛行時間も、日本の航空自衛隊の1/10程度とみられています。

アメリカのスペースシャトルで見られたように、どんなにお金を投入しても、技術の壁を越えられない場合もあります。

支那が現在実現させている宇宙計画は、どれも米ソが1960年台に実施したものばかりであり、何一つ新しいものはないのです。

既に完成した技術をロシアから買うことと、ゼロから自前で開発する事はまったく違います。今後いつまで潤沢な資金を宇宙開発に投入できるかを含めて、将来は不透明と言えます。

私自身は、支那の宇宙開発に関しては、懐疑的です。結局支那の宇宙開発は、旧ソ連のそれと同じで、何も成果を生まず、金食い虫となり、軍拡とあわせて、とてつもなく大きな投資がなされ、何も生み出さずに結局支那を滅ぼす大きな要因の一つになると思います。

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2017年1月23日月曜日

【経済インサイド】支那「経済規模2位だけど発展途上国」 日本の特恵関税継続を〝懇願〟 トランプ大統領の影響も―【私の論評】世界は支那を発展途上国にもどさなければならない(゚д゚)!

【経済インサイド】支那「経済規模2位だけど発展途上国」 日本の特恵関税継続を〝懇願〟 トランプ大統領の影響も

記者の質問に応える支那商務部の沈丹陽報道官 昨年11月24日
 日支間で、にわかに〝貿易摩擦〟の火種がくすぶっている。財務省は支那の輸出競争力が高まったとして、発展途上国支援のために輸入関税を低くする「特恵関税」の対象国から支那を除外すると表明。これに対し支那側は自ら「経済規模では世界2位だが、世界最大の発展途上国」とする持論を展開して猛反発している。支那は輸出が減少傾向で、しかもトランプ米大統領がから米国への輸出拡大を牽制(けんせい)する中、日本への輸出減の要因は、是が非でも排除したい思惑が透けてみえる。

 「支那は依然として世界最大の発展途上国だ」

 支那情報サイトのレコードチャイナによると、支那商務部の沈丹陽報道官は昨年11月下旬、日本が支那を特恵関税の対象国から除外する方針を打ち出したことを受け、こう反論した。

 沈報道官は続けて、「支那の経済規模は世界2位だが、1人当たり国内総生産(GDP)や、都市と農村部の発展、社会福祉などでは先進国と大きな格差がある」と力説。「近代化実現の道は依然として遠い」とも主張した。

 何かにつけて「大国」を主張する支那だが、“メンツ”をかなぐり捨て、支那はまだまだ特恵関税の措置による支援が必要な国との訴えを繰り返したのだ。インターネット上では、「支那は『大国』と『発展途上国』を場面に応じて使い分けている」といった指摘が上がっている。

ただ、同時に日本をくさすことも忘れていない。財務省が発表した昨年11月の貿易統計によると、対支那では57カ月連続の貿易赤字。レコードチャイナによると、支那社会科学院日本研究所の張季風研究員は、「日本経済の不振と長期的な貿易赤字から見て、日本が貿易ルールの調整によって自国経済の輸入減少と改善を図った可能性は排除できない」と指摘した。


 特恵関税制度は、途上国の輸出振興や経済支援のために多くの先進国が導入している。日本も約140カ国・地域からの輸入品で、関税を下げたり、免除したりしている。この制度は経済発展を遂げた国を外す規定があり、財務省は今回、所得要件を広げるなどの見直しを行いたい考えだ。

 現行の規定では、2016年公表の世界銀行統計で「高所得国」(14年時点の1人当たり国民総所得が1万2736ドル以上)に3年連続で該当した国・地域を対象から除外している。今回は、これに「高中所得国」(同4125~1万2736ドル)を追加。さらに、「輸出の世界シェアが1%以上」との基準も設ける。

 新規定で、支那のほかメキシコ、ブラジル、タイ、マレーシアの計5カ国が適用の対象外となる。平成27年度に優遇税率を適用されたものの6割は支那からの輸入品。今回、冷凍タコやペットボトルの原料であるポリエチレンテレフタレートなど約1000~2000品目で関税が上がるとみられる。

 昨年11月下旬に東京・霞が関の財務省で開かれた関税・外国為替等審議会の分科会では、ある委員が「そもそも途上国の経済発展に資することが趣旨で、経済が発展した国への特恵措置は廃止されていくべきだ」と主張。政府内には「経済発展しているのに関税をまけてやる必要があるのか」(関係者)との声もある。


 支那が特恵関税にこだわる背景には、輸出の低迷がある。支那税関総署が今年1月13日に発表した2016年の貿易統計によると、輸出は前年比7.7%減の2兆974億ドル。14年半ばから人民元安の傾向が続いているにもかかわらず、輸出がじり貧状態に陥っている格好だ。

 中でも鋼材の輸出が数量で3.5%減だったのに対し、輸出額は13.4%も減少。過剰生産で余剰在庫を抱える鋼材を、海外に安値で売りさばくという構図が浮き彫りになった。鉄鋼の過剰生産は国際問題に発展しており、生産削減を求める声が強まっている。

 トランプ米大統領は支那産品への関税引き上げを訴え、米中間の貿易に大きな影響を及ぼす可能性もある。こうした中、特恵関税の対象から外れ、日本への輸出が減るのは避けたいというのが支那の本音だ。

 そのすがるような思いは、支那商務部の沈報道官が、先に触れた11月の会見の中でみせた“最後の泣き落とし”ににじんでいる。

 「世界経済の回復の勢いは依然弱く、国際貿易・投資は低迷している。日中双方が共に努力し、日中の経済・貿易の健全な発展を後押しし、世界経済の成長に貢献することを希望する」(経済本部 中村智隆)

【私の論評】世界は支那を発展途上国にもどさなければならない(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事の"貿易摩擦"としいう表現は不可思議だと思います。そもそも貿易摩擦なる言葉は、対等な関係で無論、いずれにも特恵関税などない国家間で生じるものです。

特恵関税という恩恵を受けている支那に対して、貿易摩擦などという言葉をつかうのは見当違いです。

日本にとって、支那への輸出および輸入は、いずれも2%程度に過ぎないものであり、いずれも他国との貿易で代替できるものばかりであって、対支那輸出・輸入がゼロになったとしても、日本としては特に何の問題もありません。また、投資に関しても1%程度に過ぎず、これも、微々たるものです。明日からゼロになっても日本経済に及ぼす影響は軽微です。たとえ、あったにしても、輸出・輸入先や投資先を支那から他国にシフトすればごく短期間でその悪影響はなくなります。

だからこそ、日本は支那を発展途上国支援のために輸入関税を低くする「特恵関税」の対象としてきたのです。財務省は支那の輸出競争力が高まったとして、発展途上国支援のために輸入関税を低くする「特恵関税」の対象国から支那を除外すると言う表明は正しいものと思います。

特恵関税が撤廃されて、はじめて両国は対等の関係になるはずです。しかしながら、支那はこのような優遇措置を日本から受けながら、南シナ海で環礁を埋め立てて軍事基地化するとか、尖閣で領海領空侵犯を繰り返すなどの暴挙を繰り返してきました。こんなことをしておきながら、特恵関税を要求するとは、本当に支那の行動は全く矛盾しています。

しかし、これほど強く、特恵関税の維持を要求するというのですから、我々としても支那に対する見方を変えなければなりません。

それに関しては、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを掲載します。
中国、底なしデフレスパイラル 経済悪化→リストラ拡大→冷める消費意欲―【私の論評】中国の本質は、中所得国と発展途上国の連合体(゚д゚)!
2015年から輸入が激減、この状況だと猛烈なデフレになっているか
そもそも、GDPが出鱈目なのかいずれかのはずである・・・・・・
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より私の結論部分のみを以下に引用します。
このままだと、いずれ中国は、図体が大きいだけの、凡庸なアジアの独裁国家で終わる可能性が高くなってきました。

しかし、これはもともとの中国の本質なのかもしれません。中国の実体は、もともとはいくつかの発展途上国の集まりで、それを中国共産党中央政府が警察力や、軍事力を使って無理やり一つにまとめて、一国としてまとめてGDPを大きく見せていただけです。一人あたりのGDPではまだ日本に遠く及びません。

中国共産党中央政府は、世界各国の機関投資家などを幻惑して、これから中国は凄まじく発展すると期待させ、今投資しないと大損をするぞとばかり煽り、外貨を集め、それを国内でインフラ投資することで、大発展したのですが、もうその化けの皮が剥がれ、中国に積極的に投資するものなどいなくなりました。 
そもそも、当の中国人ですら、そのようなことは期待していません。中国の官僚や富裕層が外国に自らの金を逃避させています。習近平でさえもその例外ではありません。中国出身の海外在留者、すなわち華僑も、今では中国に投資はしません。

そんな中国には、もうキャピタル・フライトを防ぐ術はありません。いずれ中国は、凡庸なアジアの独裁国家となり、国力も衰え、いくつかの国の連合体に成り果てることでしょう。いわゆる、一つの省、もしくは複数の省が一つの国のような存在になり、それらの国々は、ある国は中所得国で、ある国は発展途上国ということになるでしょう。中国共産党政府がそれらを一つに、従来よりは緩くまとめるような連合体に成り果てるでしょう。 
というより、これが元々の本質なのですが、それが白日の下に晒されることになるでしょう。従来は、中国共産党中央政府の力が強く、省を強く支配していたというだけのことです。 
中国共産党中央政府が、従来のように締め付けを厳しくすれば、いずれの国も中進国以上には発展し得ないでしょう。あまり締め付けを厳しくしなければ、もしかすると、一国くらいは中進国の罠を抜け出る可能性もあるかもしれません。しかし、そうなれば、その国は連合体から抜け出ることになるでしょう。抜け出なければ、先進国にはなれません。永遠に、中所得国のままで終わります。
支那の本質が、発展途上国であることは支那の軍事産業をみていてもわかります。軍事産業に関しては、いずれの国もその技術の中核的部分は他国にやすやすと譲ることはありません。これに関しては、いずれの国も自国で開発するしかないのです。

国防産業の要ともいえる部品製造用の工作機械装備について、依然として日本は支那の命運を握っています。

デジタル制御工作機械や基本的な製造設備は製造業の「母」であり、その国の工作機械技術レベルと製品の品質は、設備製造業さらには国防産業の発展レベルを示す重要な指標でもあります。

とくに、カギとなる部品や加工生産ツール、現代化された工作機械や工業ロボットの分野において、中国は長きにわたり日本から制約を受けており、今後も一定期間この状況が続くことになるでしょう。

そうして、日本はデジタル制御工作機械の対中輸出を制限するのみならず、その心臓部分と言える制御装置の製造技術の支那による自己開発を実質上制限しています。日本のファナック、ドイツのシーメンスといった巨頭企業が支那制御装置市場の80%を占めています。残念ながら、このレベルの装置は支那では開発できません。

さらに、デジタル制御工作機械以外にも炭素繊維材料、電子部品に代表される工業部品においても支那は日本に依存しています。「紅旗-9」ミサイルには、日本性のリミットスイッチが使われいるし、潜水艦にも日本性のレーダーシステムが搭載されています。

紅旗-9
2015年5月に兵庫県警が「炭素繊維材料を不法に輸出した」疑いで日本人を逮捕しました。2012年にも炭素繊維「M60JB」を密輸しようとした中国人が逮捕されました。M60JBは主に日本ではスポーツ用自転車部品、釣竿などに用いられていますが、これも支那では製造することができません。

高速鉄道欠かすことの出来ない高品質レールも、日本のような高品質のものは、支那は模倣したくてもできない状況です。その他、模倣したくてもできないものはいくつもあります。

ロシアは、GDPは、日本の1/4であり、人口は日本より2千万人多い、1億4千万人です。かつての、ソ連は米国に伍して、冷戦を闘いぬいていました。しかし、現在のロシアは、往時をしのばせるような力はありません。現在は、NATOと対等に戦う力はありません。

しかし、あいかわらず、世界に存在感を示しているのは、未だに高度な軍事技術を擁しているからといっても過言ではありません。現在の支那にはそれすらも存在しないのです。

米国の天才的な破壊者でもある、新大統領トランプ氏は、貿易摩擦を正面に掲げて中国とは本気で戦うつもりです。ただし、関税を上げるのはできません。関税かける代わりに国境税という形もあり得ます。金融制裁という奥の手もあります。


すでに、トランプ氏は『一つの中国』といって今までワシントンや日本が従ってきたものをたった一言で壊しました。本当にシンプルな外交です。

支那は軍事的にも拡大してきていて、その圧力はロシアでも感じています。だからこそ、トランプとプーチンが近づくのには理由があるのです。中国をロシア、アメリカから挟み撃ちしようという考え方が根底にはあります。中国はかなり劣勢です。仮に中国軍が米軍と戦ったら歯がたちません。絶対に勝てません。

今の世界で、これからの10年、20年後を見た時にアメリカに対抗してくる可能性があるのは支那のみです。最も重要なのは今なら支那と戦争したら完勝できるということです。だからトランプ氏はいくら支那を刺激しても“暴発”はないと踏んでいることでしょう。

オバマ時代、米国は支那に寄り添うカタチで外交を進めてきましたが何一つ好転しませんでした。だから一旦は対中強行政策をトランプ氏が仕掛けることは大正解です。

この状況だと、沿岸部の一部の中進国的な地域の経済も落ち込み、支那はほとんどが発展途上国の連合体に成り果てて、図体が大きいだけの凡庸なアジアの独裁国になり果てるだけです。

また、現在の支那が海洋進出やチベット、ウイグル、内蒙古、満州など他国への侵略統治をやめないというのなら、日米を含め世界中の国々が支那をそのようにすべく努力すべきです。日本も、そのための努力を惜しむべきではありません。

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2017年1月19日木曜日

アパホテル批判で愛国心あおる支那 国家としての制裁82・9%支持というアンケート結果も―【私の論評】不可避の隘路に直面した習近平(゚д゚)!

アパホテル批判で愛国心あおる支那 国家としての制裁82・9%支持というアンケート結果も

アパホテルの各室に置かれてある書籍 今回支那が問題にしたのは右側の書籍

 ■党大会控え活発化

 【支那総局】「南京大虐殺」「慰安婦の強制連行」を否定する書籍を客室に備えたとして支那外務省が日本のアパホテルを批判した問題で、支那国内ではホテルを運営するアパグループへの反発が高まっている。一方、日本国内では「本を撤去しない」としたホテル側の姿勢に賛同する声が多く寄せられている。

 アパホテルの客室におかれた書籍をめぐり、支那外務省の報道官が日本国内の言論に対して異例の批判に踏み切った。今秋に5年に1度の中国共産党大会を控え、国内では歴史問題を前面に出した愛国キャンペーンで党や指導部の求心力を高めようとする兆しもある。

 これまで支那外務省は日本の靖国神社について「戦争を美化している」と決めつけながらも、一般国民の参拝には反対しない立場を示すなど、歴史問題に関しては政府や政治家と国民の間で一定の線引きをしてきた。

 この問題をめぐっては中国共産党機関紙、人民日報系でタカ派の論調で知られる環球時報が連日報道し、外務省報道官のコメントも同紙の記者の質問に答えたものだ。

 同紙が17日、ネット上で「支那による国家としてのアパグループ制裁を支持するか」とのアンケートを実施したところ、3万3千人以上が参加し、うち82・9%が支持を表明したという。

 支那では海外への旅行者も多い27日からの春節休暇を前に、複数の予約サイトでアパホテルの予約ができなくなっている。同サイト「携程」では18日現在、アパホテルを検索しても表示されない状態だ。(北京 西見由章)

                   ◇

 東京都内にあるアパホテルは「システムエラーにより、数日前から(宿泊予約などの)Webサイトへアクセスができなくなっている。原因は不明。復旧のメドは立っていない」と話している。

【用語解説】「本当の日本の歴史 理論近現代史学II」

 書籍のタイトルは「本当の日本の歴史 理論近現代史学II」。元谷外志雄代表が「藤誠志」のペンネームで月刊誌「Apple Town」に連載している社会時評エッセーをまとめたもので、英訳も付いている。

 書籍では南京大虐殺について、「(日本軍の)攻略時の南京の人口が20万人、一カ月後の人口が25万人という記録から考えても、あり得ない」などと否定。さらに上海大学教授の指摘を引用し、「いわゆる南京大虐殺の被害者名簿というものは、ただの一人分も存在していない」と記している。

【私の論評】不可避の隘路に直面した習近平(゚д゚)!

APAホテルに上記のような書籍が置かれているのは、特に保守界隈では10年以上前から常識です。何しろAPAグループはいわば、保守論客としての田母神俊雄氏の生みの親です。

2008年10月31日、田母神氏は、アパグループ主催の第1回『「真の近現代史観」懸賞論文』に応募した「日本は侵略国家であったのか」が最優秀藤誠志賞を受賞しています。ところが、同論文が政府見解と異なる主張であるとして問題視され、航空幕僚長の職を解かれ航空幕僚監部付となりました。同日付で「航空幕僚長たる空将」でなくなったことにより、一般の空将と同様の60歳定年が適用され6ヶ月の定年延長が発令され、定年延長が11月3日までとされ、同日をもって定年退職しました。

田母神俊雄氏
いままでAPAホテルに何万、何十万人という外国人が泊まってきたはずです。しかも、ご丁寧に元谷外志雄氏(APA総帥)の英訳も掲載して室内に置いていた南京虐殺否定の小冊子は、10年以上にわたってつい最近まで何の問題にもなりませんでした。

しかし、今になってなぜ、問題になり、支那外務省の報道官が日本国内の言論に対して異例の批判に踏み切ったのでしょうか。これは本当に不思議です。

本日は、その背景について、私の思うところを掲載したいと思います。

まずは、最近の支那共産党の状況についてふりかえっておきます。それについては、以前もこのブログに掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載しておきます。
南シナ海で横暴の支那に米空母で鉄槌か 演習実施で牽制―【私の論評】トランプ新大統領による対支那強硬策で習近平失脚は確実(゚д゚)!
カールビンソン
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に現状の中国共産党、その中でも権力闘争に関するる部分を引用します。
習近平にとっては、オバマが大統領だったときの米国は、かなり御しやすかったと思います。支那という国は、ほとんどが自国内部の都合で動く国です。外交も自国内部の都合にかなり左右されます。というより、最初に自国の都合があって、その後に外交があるというとんでもない国です。

オバマが大統領だったときは、習近平はまず支那国内を優先して、国内対応を中心として動いていたものと思います。習近平にとっては、オバマは国内の習近平反対派の、胡錦涛派(共青団)の李克強氏、上海閥と太子党の江沢民派のほうが、余程大きな存在だったに違いありません。
胡錦濤(左)と江沢民(右)
オバマ大統領は、習近平にとっては、胡錦濤や江沢民のほうが余程大きな存在であったに違いありません。

しかし、トランプ氏が大統領になれば、胡錦濤や江沢民よりも、トランプ氏のほうがはるかに大きな存在になるに違いありません。

今までは、習近平は、中国国内の胡錦濤派と江沢民派と腐敗撲滅運動という名の下での権力闘争を繰り広げて、時折米国対応をしていれば、比較的楽に権力闘争を戦えたのですが、トランプ大統領になれば、そのようなわけにはいかなくなります。

そうして、反習近平派はここぞとばかり、権力闘争を強めてくるに違いありません。習近平としては、今までは2つの派閥にプラスアルファ程度で戦ってこられたのが、派閥が3つに増え、しかも増えた派閥が、それまでの派閥よりはるかに強力になったというような状況になります。
さて、このような状況に追い込まれた習近平です。トランプ氏の対中国攻勢は今までにはない強力なものになりそうです。

これについては、石平氏の論評が参考になります。石兵氏の論評のリンクを以下に掲載します。
「黒船」トランプが支那・習近平政権に仕掛ける、3つの最終戦争
石平氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に要約を掲載します。

中国に3つの戦いを挑むトランプ新大統領
習近平政権を襲うトランプ政権という「黒船」 3つの戦い…負ければ政権崩壊も中国の習近平政権にとって2017年は文字通り、内憂外患の年となりそうだ。 
トランプ氏は日本の安倍晋三首相と親しく会談して同盟関係を固めた一方、ロシアのプーチン大統領やフィリピンのドゥテルテ大統領とも電話会談し、オバマ政権下で悪化した両国との関係の改善に乗り出した。見方によっては、それらの挙動はすべて、来るべき「中国との対決のための布石と理解できよう。 
そして昨年12月初旬、トランプ氏は米国外交の長年のタブーを破って台湾の蔡英文総統との電話会談を敢行し、中国の「一つの中国の原則」へ挑戦状をたたき付けた。対中外交戦の外堀を周到に埋めたトランプ氏はいきなり北京の急所をついて本丸へと攻め込もうとする構えを見せたのである。 
人事面では、トランプ氏は新設の国家通商会議委員長と米通商代表部代表のそれぞれに、対中強硬派の面々を任命して対中国貿易戦の準備を整えた一方、国防長官のポストには強硬派軍人のマティス元中央軍司令官を起用した。南シナ海での中国の軍事拡大を断固として封じ込める姿勢を示したのである。  
一方の習近平政権は、情勢の激変に心の準備も戦略上の布陣もできていないまま、退路のない「背水の陣」を強いられる羽目になっている。 
貿易戦争の展開によって中国の対米貿易が大きく後退すれば、輸出こそが命綱の中国経済は深刻な打撃を受け、既に危険水域にある経済の衰退にさらなる拍車をかけることとなろう。 
そして南シナ海では、今まで「有言不実行」のオバマ政権の生ぬるさを幸いに中国の軍事拡大がやすやすと進んできたが、トランプ政権と米海軍が中国の封じ込めに本気になって当たれば、習政権の拡大戦略は頓挫し立ち往生してしまう可能性も十分にあろう。 
習政権にとって政治的リスクが最も高いのは台湾問題への対処だ。ニクソン訪中以来、対米外交を含めた中国外交の土台は台湾というれっきとした国を国として認めない虚構の上に成り立っている。 
結局、トランプ政権が仕掛けてくる「貿易戦争」「南シナ海の対決」、そして「台湾問題の争点化」という3つの戦いに、習政権は今後、いや応なく応戦していくしかない。 
習近平は、トランプ新大統領と「貿易戦争」「南シナ海の対決」そうして、「台湾問題の争点化」という3つの戦いに応戦しなければならないのです。

そうして、国内では上記に加えて尖閣問題の未解決、AIIBの有名無実化、一帯一路構想の事実上の頓挫などによって、これから経済が短期に回復する見込みもなく、軍事的にもめぼしい成果をあげることもできず、まさに、習近平としては何をどうして良いのかわからないような状況に陥っています。

そうして、ブログ冒頭の記事にもある通り、今秋には、5年に1度の中国共産党大会を控えています。習近平としては、わらにもすがる思いで、権力闘争に利用できるものは何でも利用して自らの立場を有利にしようと躍起になっていることでしょう。

その中には、通常の神経からすると理解に苦しむものがあります。その一つが、アパホテルの客室におかれた書籍をめぐり、支那外務省の報道官が日本国内の言論に対して異例の批判並びに環球時報によるアンケートです。

日本の一民間企業の経営者の書籍に関して、このようなことをするというのは本当に異常としか言いようがありません。

これと同程度もしく、それを上回るような異常事態もありました。それについても、このブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
習近平総書記 共産党員に1.5万字の「習語」書き写し指令―【私の論評】司馬遷を妄用しないと統治の正当性を保てない断末魔の習近平(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、習近平政権の最近の異常ぶりを掲載しました。

それは、以下の二点です。

まず第一に、習近平総書記の最側近で、中国共産党内では事実上のナンバー2といえる王岐山・中央紀律検査委員会書記長が、2015年4月23日習近平総書記の母校・清華大学での講演のため訪中したフランシス・フクヤマSAIS(ジョンズホプキンス大学高等国際関係大学院)教授、青木昌彦スタンフォード大学名誉教授らと面会し、習近平政治について、以下のように講釈したというのです。
 「中国において皇帝というのは、『天子』と呼ばれる神なのだ。中国はいまでも神が統治するから、司法は必ず、中国共産党の指導のもとに行動しなければならない。 
 各国の最高法である憲法は、人間の手によって書かれた紙きれにすぎない。だから憲法が定める最高権力者の大統領は、神ではない。また、日本には天皇がいて、英国には女王がいるが、天皇も女王も神ではない。神がいるのは中国だけだ」 
 王書記は、大胆不敵にも「習近平=神」論をブチ上げたのである。
これは、支那古代の歴史家司馬遷の歴史観そのままです。そうして、習近平総書記に対する神格化は、2016年になって本格化しました。2月28日、習近平総書記は党中央弁公庁を通して、「両学一做」(党章・習近平講話を学習し、党員として合格する)運動を、8779万共産党員に向けて発布したのです。

これは、約1.5万字ある党章と、あまたの習近平講話を、全党員が年末までに手書きで書き写すという指令でした。かつて毛沢東が「毛沢東語録」によって国民を洗脳したように、「習語」(習近平語録)で洗脳し始めたのです。

トランプ氏が新大統領となる前の、昨年のオバマ政権の末期の時期に、習近平政権は、これだけのことをしなければならないくらいにタガが緩んでいてどうしようもないような状態になっていたことです。

そうして、今年習近平はトランプ氏の仕掛ける貿易戦争」「南シナ海の対決」、「台湾問題の争点化」という3つの戦いに挑まなければならないのです。

こう考えると、習近平の焦りは手に取るように理解できると思います。だからこそ、通常ならあり得ない日本の一民間企業に過ぎないアパホテルを批判するというような、とんでもない行動に出たのです。そうして、これは何も偶発的に起こったことではなく、すべて習近平が企んだやらせでしょう。

まさに、今習近平は、不可避の隘路に直面しているのです。今年は、習近平が失脚するか、少なくとも失脚への道筋が明らかにになることでしょう。

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