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2020年2月2日日曜日

ミサイル防衛を危ぶませる極超音速兵器―【私の論評】日本にとってイージスアショアよりも、核ミサイルに対する「先制攻撃」の方が、はるかに現実的(゚д゚)!

ミサイル防衛を危ぶませる極超音速兵器

岡崎研究所

 12月27日、ロシア軍は、超高速で飛ぶことができる極超音速兵器アヴァンガルドを配備した、と発表した。今回配備されたアヴァンガルドは、ICBMに搭載されて打ち上げられ、その後極超音速で滑空するミサイルとされている。その速度はマッハ20くらいにもなるという。極超音速というのは通常マッハ5以上の高速を意味するが、その基準を大きく上回っていることになる。その上、軌道を変えることができるという。


 アヴァンガルドのような極超音速兵器を在来のミサイル防衛で迎撃することは極めて困難であろう。12月27日付けのニューヨーク・タイムズ紙の解説記事‘Russia Deploys Hypersonic Weapon, Potentially Renewing Arms Race’は、次のように説明している。「極超音速滑空機として知られるロシアの武器は、弾道ミサイル防衛レーダーを回避して大気中をより低く飛ぶことができる。ICBMに搭載されており、伝統的技術で最初は弾頭を目標に向けて運ぶ。しかし、目標に近づくにつれて、予測不可能な経路で極超音速で飛行するように設計されている。それを検出、追跡、撃墜するのは非常に困難である」。

 今回の発表は、ロシア側が存続を切望している軍備管理条約New START(戦略的核ミサイル発射装置を制限し、両方の配備核弾頭を制限)の存廃交渉に関わっているかもしれない。トランプ政権は条約の延長を約束せず、トランプは中国やその他の核兵器国が含まれない限り更新しない、と何度も言っている。中国は、その兵器の数は米ロの5分の1であり、数量制限に関心がないと述べている。そこで、ロシアは新しい極超音速兵器を誇示し、トランプに交渉を始めるように圧力をかけている可能性がある。

 いずれにせよ、極超音速ミサイルの開発は中国でも行われているし、今後、米国も力を入れていくことになる。米軍高官は、米国は2022年までに独自の極超音速兵器を配備する計画であると述べている由である。この分野での軍拡競争はまず止まらないと思われる。

 こうした極超音速ミサイルが出来てくると、ミサイル防衛は意味がなくなってくるだろう。 日本がイージス・アショアを配備しても、ロシアや中国が極超音速ミサイルを配備して来ると、ミサイル防衛は不可能であろう。北朝鮮が極超音速ミサイルを開発するにはもっと時間がかかるから、北朝鮮のミサイルには、ミサイル防衛はある程度の有効性を示すと思われるが、それでも完全に防衛できることはない。相当な撃ち漏らしが避けられないであろう。

 核兵器出現以来、核兵器が使われないようにということで、戦略的安定をいかに確保するかについて多くの議論がなされてきた。結局、相互に脆弱性を持たせ、相互確証破壊(MAD)を確実にして置くことが最も良いということになったが、これはなかなか心理的に受け入れられず、SDI構想やミサイル防衛などが主張されることになった。2002年の米国のABM条約(弾道弾迎撃ミサイル制限条約)からの脱退は、ミサイル防衛への制限を外し、ミサイル防衛を行うという選択であるが、この極超音速兵器の出現で、ミサイル防衛の有効性が大きく削がれ、状況は相互確証破壊に戻ってしまわざるを得ないことになっていると思われる。

 日本がミサイル防衛に大金を費やすことが適切であるのかどうか、この機会にもう一度、議論してみる必要があろう。そして、核抑止力の問題を安全保障上の問題として、タブーなしに議論してみる必要がある。

 なお、ロシアはプーチンの下、衰退し、今やIMF統計では韓国以下のGDPの規模であり、とても新たな軍拡競争に耐えられる状況にはない。トランプは「軍拡競争をすれば米国が勝つ」と言っているが、その通りであろう。

【私の論評】日本にとってイージスアショアよりも、核ミサイルに対する「先制攻撃」の方が、はるかに現実的(゚д゚)!

上の記事の結論部分に、
ロシアはプーチンの下、衰退し、今やIMF統計では韓国以下のGDPの規模であり、とても新たな軍拡競争に耐えられる状況にはない。トランプは「軍拡競争をすれば米国が勝つ」と言っているが、その通りであろう。
とありますが、これは事実です。もっとわかりやすくいうと、ロシアのGDPは日本の1/3です。それは、東京都や韓国を若干下回る程度です。

このようなロシアが、米国と軍拡競争に入れば、間違いなくロシアは負けるしかありません。ただし、現在中国もそれを開発しているということが不安材料です。

現在の中国は、SARS、豚コレラ、アフリカ豚コレラに続き新型コロナウィナスが発生して、この対策に集中しているところです。さらに、鳥インフルエンザが発生しています。

中国の湖北省で新型のコロナウイルスの感染が拡大する中、隣接する内陸部の湖南省の養鶏場でニワトリが「H5N1型」の鳥インフルエンザウイルスに感染しているのが確認され、当局は警戒を強めているものとみられます。

これは、中国の農業農村省が1日発表したもので、湖南省邵陽にある養鶏場で、ニワトリが「H5N1型」の鳥インフルエンザウイルスに感染しているのが確認され、4500羽が死んだということです。

感染の確認を受けて、およそ1万7800羽が予防的に殺処分され、感染が広がらないよう処理をしたということです。

鳥インフルエンザはもともとは鳥に感染する病気で、「H5N1型」と呼ばれるウイルスはヒトにも感染して重い症状を引き起こすことが知られています。

上海ではマスクにフード姿でスマホを操作する女性の姿が

新型コロナウィルスと、鳥インフルエンザに対処するためには、莫大な経費と、手間をさかなくてはできません。しかし、これらに対処したとしても、中国が社会構造改革を行わない限り、これからも様々な疫病に悩まされることになります。

以前このブログで指摘したように、貧困層をなくし、衛生的な環境を整備し、まともな医療体制や、防疫体制を築くためにも、中国はもっと豊かにならなければならないのです。特に、社会的にもっと豊かにならなければならないです。現在の中国は国全体では、人口が多く(つい最近14億人になったばかり)て、経済大国のようにみえますが、現実はそうではないのです。特に社会は遅れたままです。

中国共産党は、自分たちや一部の富裕層だけが富んでいて、多数の貧困層がいる現状を変えるべきなのです。そうしなければ、いつまでも、世界の伝染病の発生源になりつづけます。無論、富裕層や共産党の幹部でさえ、伝染病に悩まされ続けることになります。これは、小手先ではできません。社会を変えなければできないことです。

中国が社会構造改革に取り組むようになったとしても、それが成功し、まともな社会構造を構築し、疫病が起こらない、もしくは起こっても、初期のうちに対処できるような体制を整えるまではには、膨大な経費と時間がかかることでしょう。

いずれにしても、今後中国は、経済的にかなり落ち込むことが予想されます。そうなると、ロシアと同じように、米国とまともに軍拡競争をして、米国に勝つことなどできないでしょう。

そうはいいながら、中露は、極超音速兵器の開発をやめることはないでしょう。特に、米国も極超音速兵器、ならびにそれに対する防御兵器の開発を継続するなら、なおさらやめないでしょう。そうして、これは確実に中露の経済弱体化につながります。かつてのソ連が崩壊した原因の一つに米国との軍拡競争、特にスターウォーズ構想関連での競争があります。

スターウォーズ構想の概念図

極超音速兵器の出現で、ミサイル防衛の有効性が大きく削がれ、今後相互確証破壊に戻ることになるは間違いないでしょう。そうなるとイージスアショアなどはあまり意味を持ちません。北朝鮮の核ミサイルも従来よりは、抑止力を減退することになります。

この状況について、上の記事では、「日本がミサイル防衛に大金を費やすことが適切であるのかどうか、この機会にもう一度、議論してみる必要があろう」としていますが、それに対する具体的な示唆は何もありません。

これに対して有効なのは、まずは北朝鮮への対処方法を日本がはっきりさせておくことです。

それには、日本が北朝鮮の核施設、ミサイル発射施設などに対して日本を攻撃する可能性が高まったときには、先制攻撃ができる体制を整えることです。

これは、日本も先制的自衛権を行使することを意味しますが、これは他国からの武力攻撃が発生していない段階ですでに自国に差し迫った危険が存在するとして、そのような危険を予防するために自衛措置を行うことができるとされる国連憲章にもある国家の権利です。

そうして、それを実行するには、日本は航空自衛隊などの戦闘機などの現行兵器に若干の装備品を加えるだけで十分対応可能です。無論、その他のイージス艦、ミサイルその他の兵器でも現行で可能なもの全部と若干の装備品を付加すれば使えるものは全部使うべきです。

これは、絵空事ではなく、実際に1981年にイスラエルが、バビロン作戦という作戦名の先制攻撃でイラクの原発を破壊した事例があります。

バビロン作戦て破壊されたイラクの原発

国内法的にも、軍事的にもそれを可能にして、先制攻撃の対象国がどこか、そうしてその具体的方法などは明らかにせず、それを世界に向けて声明すべきなのです。

それは、特に特ア三国(中国、韓国、北朝鮮)とロシアに衝撃を与えるでしょう。無論、米国をはじめ多くの国々は、そのような声明は主に北朝鮮の核に対する備えであるということで、歓迎されるでしょうが、特ア三国やロシアは自分たちも標的になると考えることになるでしょう。

こちらのほうが、はるかに現実的な対応です。それに、イージスアショアよりはるかに経済的です。日本としては、まずはこれを実行して、将来的に余裕があれば、極超音速ミサイルも開発すれば良いのです。米国と共同開発しても良いと思います。

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2017年4月20日木曜日

「有事の円高」はなぜ起きる?日本の財政問題に懸念なし ミサイル着弾なら話は別―【私の論評】日本は北朝鮮の核ミサイルが着弾した程度で駄目になるようなヤワな国ではない(゚д゚)!

「有事の円高」はなぜ起きる?日本の財政問題に懸念なし ミサイル着弾なら話は別


昨年公開の映画「シン・ゴジラ」では、東京がゴジラの攻撃を受けたことで日本円と国債が暴落したというエピソードが出てくる。だが、現実の世界では、朝鮮半島の有事が懸念されるなかで為替は円高に進んでいる。なぜ「有事の円高」という現象が起きているのだろうか。

 2011年3月の東日本大震災の際にも円高が進み、国債はあまり動かなかった。これについては伝統的な理論での説明が可能だ。東日本大震災のような国内危機では大規模復興予算が組まれる。そこで金融政策を緩和しないと、国内金利高の連想が働き、日本の実質金利が高くなるので円高になりやすい。これは、いわゆる「マンデル・フレミング」効果であり、阪神淡路大震災の時にも確認されている。

 08年9月のリーマン・ショックや10年の欧州債務危機の時にも円高となった。これは、各国が金融緩和を猛烈に行ったのに対し、当時の白川方明(まさあき)総裁率いる日銀が無為無策だったためだ。貨幣量比率で為替レートが大体決まるという、国際金融の「マネタリーアプローチ」で説明できる。つまり、各国ともに貨幣量を増加させたのに、日本だけが増加させずに、円は各国通貨と比較して相対的に希少性が高まり、その結果円高になったわけだ。いうなれば、金融政策の失敗である。

 今回の朝鮮半島の緊張で、円高が進んだメカニズムはどのようなものだろうか。

 日本経済新聞などのメディアは、デフレが続いていることや、超低金利などで説明している。デフレはモノに対してカネ(日本円)が相対的に少ない時の現象なので、金融緩和をサボったために生じると、リーマン・ショックと欧州債務危機の時期には説明できるが、今回の理由としてはちょっと説得力がない。超低金利は、キャリー取引の増加というテクニカルなものであり、それが全体の為替に影響するというのはちょっと首をかしげる。他にも為替が高くなっている国もあるが、そこでは通用しないロジックである。

 筆者が考えるのは、日本政府は財政問題をほとんど気にする必要がないという事実だ。そうであれば、昨年6月の英国民投票と同様、朝鮮半島の緊張でも、安全資産として日本円に投資することができるだろう。

 マスコミがあおるように日本政府が財政破綻するような状況であれば、円に投資する人はいないはずだ。しかし、本コラムの読者であれば、日本の財政問題は、統合政府のバランスシート(貸借対照表)でみれば、たいした問題でないことをご存じだろう。

 ただし、こうした構図は、朝鮮半島が仮に有事になっても、1950年代の朝鮮戦争のように日本が漁夫の利を得るというのが前提だ。

 気をつけておくべきなのは、今の北朝鮮のミサイル能力からみても、今回は日本が対岸の火事のように安全だとは言いがたいことだ。その場合、「有事の円買い」もあっさり崩れてしまう恐れがある。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
【私の論評】日本は北朝鮮の核ミサイルが着弾した程度で駄目になるようなヤワな国ではない(゚д゚)!

2011年3月の東日本大震災の円高については、別の方向からも説明できます。それは、震災が発生すると、その直後に救援活動や復興のためなどに、日本国内では円の需要が高まります。にも関わらず、日銀が金融緩和をせず金融引締めしていれば、円の希少性が高まり、円高傾向に触れます。これに、さらに「マンデル・フレミング」効果も加わり、未曾有の円高となったのです。

08年9月のリーマン・ショックや10年の欧州債務危機の時にも円高となったことについては、ブログ冒頭の高橋洋一氏の記事で説明していますが、もっとわかりやすくすると、日本以外の他国が、大規模な金融緩和をしたにもかかわらず、日銀が緩和をしなかったので、ドルなどの外国の貨幣は相対的に多くなり、日本の円は相対的に少なくなり、当然のことながら相対的に少なくなった円が価値が高まり円高になったのです。

これは、消費財でもお金でも同じことです。ある特定の消費財が大量に生産されたとすれば、その消費財の価格は下がります。逆に、ある消費財が人々が購入したいと思っている入るにも関わらず、あまり生産されなければ、その消費財の価格は上がることになります。

お金も同じことです。他国はそうでもないのに、ある国の貨幣だけが大量に刷り増しされた場合、その国の貨幣は安くなります。他国が貨幣を刷り増しているときに、ある国の貨幣だけが刷り増しされなかった場合、その国の貨幣は高くなります。これは、小学生でもわかる理屈です。要するに、日本でいえば日銀が金融緩和をすれば、円安方向に向かうし、金融引締めをすれば、円高方向に向かうのです。

為替レートに関しては、様々な要素が絡むので、正確予測するのはかなり難しいですが、6割方はこれで説明がつきます。しかし、この小学生にでもわかることを理解している人が、日本には少ないようです。特にマスコミはこの事実を認識していないようです。せいぜい数ヶ月の動きで為替レートの上下を理解しようとしているようで、頓珍漢、奇妙奇天烈な報道が多いです。

無論これが当てはまるのは、日本の財政が財務省や、マスコミなどが主張するように、破綻の淵にあるとすれば、このようなことにはならないです。日銀が、金融緩和しようが何をしようが、円安傾向になります。

ブログ冒頭の記事で高橋洋一氏が指摘するように「本コラムの読者であれば、日本の財政問題は、統合政府のバランスシート(貸借対照表)でみれば、たいした問題でないことをご存じだろう」という状況にあるからこそ、北朝鮮有事には円高になるのです。もし、そうでなく、財務省やマスコミが言うように単純に国の借金1000兆円というなら、円高になることはあり得ません。

日本のマスコミや財務省がいくら煽ってみても、海外の人は日本語が読めませんから、他の情報ソースから日本の正しい財政状況を把握しているので、北朝鮮半島が緊張すると、多くの人が円に投資し円高傾向になったのです。そうして、国債の長期金利もかなり低くなっているのです。

日本の財務省やマスコミが主張する日本国の財政状況が破綻にあるとする主張とは全くのフェイクであり、本当の日本の財政状況は非常に安定しています。だからこそ、朝鮮半島が緊張すると円高傾向になったのです。日本の真の財政状況については、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
1000兆円の国債って実はウソ!? スティグリッツ教授の重大提言―【私の論評】野党とメディアは、安保や経済など二の次で安倍内閣打倒しか眼中にない(゚д゚)!
スティグリッツ氏
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事ではノーベル経済学賞を受賞した米国の経済学者スティグリッツ氏が「国の借金が1000兆円ある」という主張を鵜呑みにしてはいけないと警告していることを掲載し、それに対して私の論評を付け加えました。

この記事は2017年4月2日のものです。この時期には、国会では例の森友問題が花盛りで、残念ながら、スティグリッツ氏のこの提言はほとんど報道されることはありませんでした。

以下に、この記事の【私の論評】から、日本の財政はいたって統合政府ベースでみると米国や英国などと比較してもかなり健全あることを示した部分のみを以下に引用します。

まずは、27年3月31日時点での統合政府の負債を私が実際に試算した結果の部分を掲載します。
私の計算では、平成27年3月31日の日銀が含まれていないバランスシートに、平成27年3月31日の日銀の営業毎旬報告から推測したバランスシートを加えたもので、その結果統合政府の政府の負債は173兆円です。
この計算過程についても、この記事をみればその詳細示したリンクの記事もご覧いただけますので、計算過程に興味のあるかたは是非それをご覧になってください。

さらに、統合政府の債務の推移と、予測のグラフも以下に引用しておきます。
まずは、以下は統合政府純債務残高の推移を示したものです。
このグラフから日銀の金融緩和政策の国債の買い入れによって、純債務残高が、2014年度でも政府純債務GDP比は35%まで減少していたことがわかります。 
さらに、下のグラフは、統合政府の債務残高の予測まで含めた推移を示したものです。
日銀が国債を買えば買うほど統合政府の政府純債務は減ります。 
日銀の年80兆円の国債買い入れペースだと、2017年度には純債務から、純資産になるため、財政再建は完璧に終了することになります。実質的には、2016年度中に終了するか、2016年半ばを過ぎている現在もうすでに終了したと言っても良いくらいです。
蓮舫氏は無論このようなことも理解していないのでしょう。実質財政再建が完了した問つても良いこの時期に、さらなる増税など全く必要ありません。 
増税すれば、我が国の60%占める個人消費の低迷を招き、GDPの伸びが阻害され、かえって税収が減ることになるだけです。
この予測をご覧いただくと、何と今年は日本政府は借金どころか、黒字になります。こんな状況だからこ、北朝鮮半島が危機に陥れば、円に投資する機関投資家などが増えるのです。

さて、以上のことから、朝鮮半島が緊張すると、円高になる理屈がよくおわかりになったと思います。それにしても、マスコミはなぜ現状円高傾向になっているのか、合理的に説明できるのでしょうか。日本国の財政問題がさほど深刻ではないことを前提としなければ、説明できないはずです。だからこそ、マスコミの報道は、頓珍漢、奇妙奇天烈になるざるを得ないのです。 

最後に、高橋洋一氏は、"気をつけておくべきなのは、今の北朝鮮のミサイル能力からみても、今回は日本が対岸の火事のように安全だとは言いがたいことだ。その場合、「有事の円買い」もあっさり崩れてしまう恐れがある"と指摘していますが、私はこれも意外と軽微になるのではないかと思っています。

なぜなら、北朝鮮の核ミサイルは、今のレベルではたとえ複数発を東京に打ち込み、核爆発させたとしても、東京を全部破壊することはできないからです。それでも、北朝鮮があらん限りの核ミサイルを東京に打ち込み続ければ、東京は完全に破壊されるかもしれません。しかし、その前に米軍が報復をして、北朝鮮はミサイル打ち続けることはできなくなります。それにそのようなことになれば、日本でも世論が急展開して、日本も北朝鮮の的基地を破壊することになるかもしれません。

さらに、東京だけではなく、他の都市にも核ミサイルを発射したとすれば、力が分散されて、比較的規模の小さい都市は全破壊される可能性もありますが、東京の破壊は少なく、他の都市は無傷で残るわけです。

第二次世界大戦の終了時の日本は、確かに東京、大阪、広島、長崎や他の都市も含めて、焼け野が原になったことは事実ですが、それでも国富の7割は残りました。

日本はこの大戦で、すべての国富のうち、その4分の1を失ったことになりますが、逆説的に言えば、4分の3は残存していると見なすことができ、その水準はおおむね1935年のそれでした。
終戦直後の焼け野が原の東京 だが国全体では7割の国富が残っていた
簡単に言えば、日本は1935年から1944年までの拡大分が戦争最後の1年、つまり戦争末期の大空襲であらかた吹き飛び、日本の敗戦時の国富は終戦時点の10年前である1935年の水準に逆戻りしたと考えればわかりやすいです。

よって、「日本は敗戦でゼロからのスタート」を余儀なくされたのではなく、「敗戦により、おおむね1935年の国富水準からスタート」と言い換えることができるのです。

1935年のレベルといえば、言うまでもなくアジアの中ではトップクラスです。戦後の日本の復興は、「ゼロからのスタート」とするのは程遠い実態です。

終戦直後にこの状況であり、温存された国富の源となった、爆撃されなかった町や村などは生産活動を継続するどころかかなり生産を増し、さらに戦争遂行のための様々な経済活動なども加えれば、当時の日本は経済指標だけみていれば、戦争のあったことなど後世の歴史家は気づかないかもしれません。これに関しては、経済学の大家ドラッカー氏がヨーロッパについて同じようなことを指摘しています。

北朝鮮有事で、北朝鮮が核ミサイルを日本に打ち込んだとしても同じようなことになると思われます。東日本震災の福島などでも、確かに津波の被害が甚大でしたし、原発事故も甚大でした。しかし、福島県全部が甚大な被害にあったということはないし、被害を受けたところでさえ、直後からかなりのスピードで復興し今日の被災地に状況になっているわけです。

これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
やさしいデータと数字で語る「フクシマ」の虚と実 雇用は激増 離婚は減少 出生率もV字で回復―【私の論評】行動するなら感情ではなく、エビデンス(証拠・根拠、証言、形跡)に基づき行え(゚д゚)!
この記事は、昨年の1月17日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事に掲載した表を掲載します。


もし、北朝鮮が日本に核ミサイルを打ち込んだ場合、かなり日本は混乱します。そうして、確かに一時的には「有事の円買い」もあっさり崩れてしまいます。しかし、考えみてください、東京を全部は破壊できないわけですから、東京の首都機能はかなり残るわけです。さらに、生き残った都市や農村もかなりあるわけですが、そこで何がおこるかといえば、被害地の救援活動や復興活動が大規模に始まり、当然のことながら、大規模なインフラ開発が始まり、これまたとてつもない経済発展が始まることになります。

そうなると、また円買いが始まり、円高傾向になるかもしれません。無論、そのようなことにはならないほうが良いことはいうまでもありません。

私が、第二次世界大戦や、東日本大震災まで引き合いに出して、上記のような説明をしたのは、日本という国は、もともと財務省やマスコミが主張するような、借金を1000兆円も抱えたような脆弱な国なのではなく、それどころではなく、強靭な国であり、たとえ北朝鮮の核攻撃があったからといって、それで駄目になるようなヤワな国ではないということを言いたかったからです。

日本をヤワで駄目な国というのは、マスコミと財務省や、野党政治家の一部のみです。本当の日本は、震災で大変な被害にあっても打ちのめされず今でも頑張り続ける福島の人々を筆頭に強靭でしなやかなのです。

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2017年4月16日日曜日

北朝鮮ミサイル発射「失敗」への不安 「不安定な武力ほど危ないものはない」―【私の論評】核ミサイルがすべて破壊されても北は核攻撃できる(゚д゚)!

北朝鮮ミサイル発射「失敗」への不安 「不安定な武力ほど危ないものはない」

北朝鮮は2017年4月16日午前(日本時間)に、弾道ミサイル1発を発射した。ミサイルは発射直後に爆発し、失敗したと見られる。ソウル聯合ニュースが報じた。ミサイルの種類は不明としながらも、4月5日に発射されたものと同系列と見られるとした。

米国との緊張関係が極度に高まるなかで、4月15日に北朝鮮によるミサイル発射や核実験があるのではないか、という憶測がネット上で広まっていたが、失敗に終わったとはいえ、その翌日に北朝鮮がミサイルを発射した事実ついて、今後の北朝鮮の動きを不安視する声がネット上では目立った。

北朝鮮の「労働新聞」に掲載された弾道ミサイル発射の模様(画像は今回の発射のものではない)

 米副大統領の訪韓の前に発射

韓国メディアなどによると、北朝鮮がミサイルを発射したのは16日午前6時21分(日本時間同)ごろでで、東部・新浦近くからミサイル1発を発射したが、直後に爆発したという。

ミサイル発射の前日の15日は、北朝鮮では故・金日成主席の105回目の誕生日「太陽節」の式典が開催された。式典では大規模な軍事パレードが行われ、大陸間弾道ミサイル(ICBM)と見られる新型ミサイルも公開された。

それを受けて、日本のネットユーザーの間では「15日にミサイルが発射される可能性が高い」という憶測が流れていた。

また、米国のペンス副大統領は、ミサイル発射の際、北朝鮮情勢に関する協議に向けて韓国へ移動中で、その最中のミサイル発射は、米韓に対する牽制という見方も根強い。いずれにせよ、このタイミングでは北朝鮮は自制するのではないかという見方は崩された。

米国のマティス国防長官は、北朝鮮のミサイル発射と失敗を受けて、「大統領も米軍も、北朝鮮のごく最近のミサイル発射失敗について把握している。大統領からのそれ以上のコメントはない」と、米国時間15日(日本時間16日)、米国防総省のサイト上で短い声明を出した。日本政府も、北朝鮮のミサイルの発射が安全保障に直接影響することはないと、NHKなどに対してコメントするなど、総じて冷静な受け止め方を示している。

 「次は失敗する可能性が少なくなるってこと」

結果として、16日の発射が失敗に終わったことについては、ツイッターでは様々な声が上がっている。
北朝鮮が強気な姿勢を示した直後に、ミサイル発射に失敗したことを揶揄する投稿がある一方で、そうした投稿を「平和ボケ」と批判し、実際に発射が行われたことを重く見る人も多く、
「失敗したとはいえミサイル発射してるじゃないか...日本人平和ボケしすぎ...」
「ミサイル打ち上げに失敗したってことより撃とうとした、いや実際に撃ったってことの方が重要だと思う」
「発射した事実が怖すぎるねんけど 成功したら確実に戦争やで」
「威嚇のために日本近海に落とすつもりが、システムトラブルで日本に届いちゃった...みたいな事にはならないのかな。不安定な武力ほど危ないものはないような気がします。」 「失敗したってことは次は失敗する可能性が少なくなるってこと」
などの意見が投稿されている。

【私の論評】核ミサイルがすべて破壊されても北は核攻撃できる(゚д゚)!

北朝鮮のミサイル発射が失敗しても、北の脅威は変わることなく存在し続けます。今後、この脅威が日本から消えてなくなることはありません。そのことは、絶対に忘れるべきではありません。

それに関しては、昨日述べたばかりです。昨日の記事のリンクを以下に掲載します。

【北朝鮮情勢】トランプ米政権、北朝鮮に「最大限の圧力」で核放棄迫る 空母カール・ビンソン、間もなく朝鮮半島周辺へ―【私の論評】日本は安全か?リベラル・左翼・マスコミ・野党政治家はなぜ騒がないのか??
南シナ海を航行する米空母カール・ビンソン 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に北朝鮮の核ミサイルがすべて破壊されたとしてもなお、北朝鮮は日本に核攻撃できる可能性は捨てきれない理由を示した部分のみを掲載します。

そうして、この原発に対するテロに関しては、過去にそのような計画があったことが明らかになっています。

以下の内容は、Yahoo ニュースなどに掲載されていた内容ですが、現在ではリンク切れになっています。

"
北、対日原発テロ計画 韓国侵攻前「戦意そぐ」
 
 元軍幹部証言北朝鮮の朝鮮人民軍が対韓国開戦直前に日本全国にある原子力発電所施設に特殊工作員計約600人を送り込み、米軍施設と同時に自爆テロを起こす計画を策定していたことが28日、軍元幹部ら脱北した複数の関係者の証言で分かった。計画実施に向け工作員を日本に侵入させ、施設の情報収集を重ね、日本近海でひそかに訓練も行っていたという。北朝鮮による原発テロが現実的脅威に浮上した。 
 元幹部らによると、計画は、金日成(キム・イルソン)主席の後継者だった金正日(ジョンイル)総書記が「唯一指導体系」として朝鮮労働党と軍双方の工作機関に対する指示系統を掌握した1970年代半ば以降、具体化に動き出し、90年代に入って本格化したという。 
(略) 
 作戦のため、現地の協力者らが施設周辺を撮影するなどし毎年、情報を更新。特殊工作員が潜水艇で日本に上陸、施設内に忍び込んで情報収集することもあったという。 
(略)

 原発が最重要ターゲットとされたのは、爆破すれば、「甚大な損害を与えられ、核兵器を使う必要がなくなる」(元幹部)との思惑からだという。さらには、広域に放射能が拡散することで「日韓両国民の間に戦争に反対する厭戦(えんせん)ムードが広がり、日米韓の戦意をそぐ政治的効果を狙った」と元幹部は説明した。
仮に、北朝鮮の核ミサイルが米軍のイージス艦などですぺて撃墜され、さらに、米軍の攻撃によって、核ミサイル基地などがすべて破壊したとしても、このような脅威はつねについてまわります。

さらに、 "天然痘ウイルスをまき散らすといった生物・化学兵器を使用する恐れ"と言った場合、北朝鮮は金正男氏暗殺にサリンを用いたとされてることから、当然のことながら、サリンをテロに用いる可能性も否定することはできません。

"
実際に北朝鮮が、原発テロを起こせば、たとえ北の核ミサイルがすべて破壊されたり、撃墜されたにしても、日本に対して核攻撃と同じ効果をもたらす攻撃は可能なのです。

私としては、このようなことが過去に明らかになっていることから、それは表には出さずとも、警察や場合によっては自衛隊がそのような自体に対処できるようになっていると信じたいです。ただし、これは表に出せば混乱を招くので、表には出ていないものの、いくつかの筋書きが作られていると思いたいです。

ただし、テロ等準備罪がまだ審議途中であることなとがら、このような攻撃が予知されていても、現状では逮捕したり、自然に阻止することができない可能性も否定しきれないです。

リベラル・左派、左翼の連中は、テロ等準備罪には真っ向から反対です。しかし、彼らは北朝鮮による原発テロ攻撃の阻止に関して、絶対に反対なのてじょうか。

これに関しては、メディアや野党が悪質な印象操作を行っています。彼らは、パレルモ条約は 「テロを対象としたものではない」から、テロを対象とするのテロ等準備罪はおかしいなどとの奇妙な論理を用いて、テロ等準備罪に反対しています。

 しかし、パレルモ条約は「テロだけを対象としたものではない」ものであり、当然 テロも対象になります。 パレルモ条約とは、当然のことながら、テロも含めて「一定刑以上の重要犯罪の合意」を取り締まるという条約であり、187か国締結(残り10か国程度)しているものです。そうして、残り10 カ国程度のうちの一国が日本なのです。

パレルモ条約がテロ集団を対象としないという解釈はフェイク
今国会 においては、2003年に署名はしたものの条件を整えられず批准できないパレルモ条約について、 その条件を整えるために政府はテロ準備罪を提出したわけです、そうしてこれは最低条件であるとしているわけです。

テロであるないに関わらず、「重大な犯罪を行うことの合意」がパレルモ条約の内容であり、目的を限定したものではないのです。 パレルモ条約はテロを対象としていないとするもっともらしい発言は事実ではないのです。

にもかかわらず、民進党などの野党もこれに対してまでどこまでも反対するのでしょうか。しかし、この緊急事態が目の前に存在するわけですから、百歩譲って北朝鮮によるテロ攻撃の可能性に絞り、当面の北朝鮮の脅威が去るまでの時限立法という形でも良いから賛成するということはできないものなのでしょうか。

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