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2020年8月28日金曜日

コロナ禍でも踏ん張れるアベノミクス2800日の「レガシー」―【私の論評】安倍晋三首相の連続在職日数が史上最長になったのは、多くの人の支えや賛同があったから(゚д゚)!

コロナ禍でも踏ん張れるアベノミクス2800日の「レガシー」

田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)

田中秀臣氏(写真はブログ管理人挿入)

安倍晋三首相の連続在職日数が8月24日に2799日となり、史上最長になった。首相の大叔父にあたる佐藤栄作元首相を抜く記録である。

佐藤政権の時代はちょうど高度経済成長の後期に該当し、筆者も当時をよく記憶している。特に政権の最晩年に近づくにつれ、単に長期政権というだけで、国内のマスコミや世論の批判を受けていた側面がある。国外ではノーベル平和賞をはじめ、経済大国に押し上げた経済政策を評価されていたこととは対照的だった。

現在も続く新型コロナ危機でも、安倍首相の経済対策と感染症抑制に対する評価が国内外で全く異なっていることは、前回の論考でも説明した。筆者は常に、政策ごとにデータと論理で評価することに努めている。

政策には100点満点も0点もあり得ない。しかし、多くの人は全肯定か全否定しがちである。それは愚かな態度であるが、おそらく本人に指摘しても変わることはないほど強固な認知バイアスだといえる。

筆者の周囲にも「私の直観や感情では、安倍首相は悪い人」といって、どんなに論理や事実を提示しても意見、いや「感情」を改めることのない人は多い。このような人たちの多くは、テレビのワイドショーや報道番組の切り口に大きく影響されてしまう。「ワイドショー民」としばしば呼ばれる人たちだ。

このような感情的な反発がベースにあるワイドショー民が増えてしまえば、政治家の「人格」も「健康」も軽く扱われてしまう。要するに、非人道的な扱いの温床につながるのである。

安倍首相のケースでいえば、8月17日と24日の慶応大病院での受診や、新型コロナ危機の前後から続く過度な執務状況がそれに当たる。心ない反安倍系のマスコミ関係者や野党、そしてそれに便乗する反安倍的な一般の人々による、まさに醜悪といっていい発言を最近目にすることが多い。

この人たちはおそらく人を人と思っていないのだろう。どんな理屈をつけてきても、それでおしまいである。議論の余地などない。

ましてや、国会で首相の健康の状況を政争の論点にしようとしている野党勢力がある。そのようなレベルの考えだから、いつまでたっても支持率が低いままなのだ。きちんと政治を見ている心ある人たちもまた多いのである。

経済評論家の上念司氏は、8月24日の文化放送『おはよう寺ちゃん活動中』で「野党が(首相は)休むんじゃないとかひどいことを言っている。この健康不安説を流しているのは野党とポスト安倍といわれる政治家の秘書ではないか」と推論を述べている。首相の健康不安を過度にあおり、それを政争にしていく手法は、本当に醜悪の一言である。

この手の政治手法に「よくあること」などと分かった風のコメントをする必要はない。単に、人として品性下劣なだけだからだ。

実際には「一寸先は闇」なのが政治というものである。それでも、民主国家の日本でこれほどの長期政権を続けられるのは、国民の支持がなければあり得ないことだ。

この連載でも常に指摘していることだが、安倍政権が継続してきた主因は経済政策の成果にある。新型コロナ危機を一般化して、安倍政権の経済政策の成果を全否定する感情的な人たちもいるが、論外である。

もちろん景気下降の中で消費税率の10%引き上げを2019年10月に実施した「失政」を忘れてはならない。さらにさかのぼれば、二つの経済失政がある。2014年4月の8%への消費税引き上げと、18年前半にインフレ目標の到達寸前まで近づいたにもかかわらず、財政政策も金融政策も事実上無策に終わらせたことだ。

ただし、きょう2800日を迎える中で、新型コロナ危機以前の経済状況については、雇用を中心に大きく前進していた。「長期デフレ不況」の「不況」の字が取れ、「長期デフレ」だけになっていたのが、2度目の消費増税に踏み切る19年10月以前の経済状況だったといえる。

このことは、経済に「ため」、つまり経済危機への防御帯を構築したことでも明らかである。安倍政権の経済政策「アベノミクス」の防御帯は主に3点ある。「雇用の改善」「株価、不動産価格など資産価格の安定」「為替レートが過度な円高に陥ることがないこと」である。

これらのほぼ全てを事実上、アベノミクスの「三本の矢」の金融政策だけで実現している。この状況に、積極財政の成果も急いで加えることができたら、インフレ目標の早期実現も可能となり、経済はさらに安定化しただろう。

雇用改善については、第2次安倍政権発足時の完全失業率(季節調整値)が4・3%で、新型コロナ危機前には2・2%に低下していた。現状は2・8%まで悪化しているが、あえていえばまだこのレベルなのは経済に「ため」があるからだ。

有効求人倍率も、政権発足時の0・83倍から、新型コロナ危機で急速に悪化したとはいえ、1・11倍で持ちこたえているのも同じ理由による。ただし、「ため」「防御帯」がいつまで持続するかは、今後の経済政策に大きく依存することは言うまでもない。

このような雇用の改善傾向が、若い世代の活躍の場を広げ、高齢者の再雇用や非正規雇用者の待遇改善、無理のない最低賃金の切り上げなどを実現することになった。

そのような中で、朝日新聞は首相連続在職最長になった24日に「政策より続いたことがレガシー」という東京大の御厨(みくりや)貴名誉教授のインタビュー記事を掲載していた。現在の朝日の主要読者層には受けるのかもしれないが、7年にわたる雇用の改善状況を知っている若い世代にはまるで理解できないのではないか。

日経平均株価は政権発足前の1万230円から2万3千円近くに値上がりし、コロナ危機でも安定している。為替レートも1ドル85円台の過剰な円高が解消されて、今は105円台だ。これらは日本の企業の財務状況や経営体質を強化することに大きく貢献している。

ところが、24日の日本経済新聞や読売新聞では、新型コロナ危機下であっても、財政規律や基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化の先送りを問題視する社説や記事を相変わらず掲載している。産経新聞は、比較的アベノミクスの貢献を詳しく書き、消費増税のミスにも言及している。

ただ、今回は別にして、産経新聞も財政規律を重んじる論評をよく目にすることは注記しなければならない。他にもツチノコのような新聞があったが、今はいいだろう。

      2万3000円台を回復した日経平均株価の終値を示す株価ボード
      =2020年8月13日午後、東京・日本橋茅場町
2万3000円台を回復した日経平均株価の終値を示す株価ボード=2020年8月13日午後、東京・日本橋茅場町
 これらのマスコミは経済失速を問題視する一方で、その主因の消費増税などをもたらす財政規律=緊縮主義を唱えているのだ。まさにめちゃくちゃな論理である。

感情的な印象論で決めがちなワイドショー民、健康を政争にすることを恥じない野党勢さ力、不況を責めながら不況をもたらす財政規律を言い続けるめちゃくちゃなマスコミ。こんな環境の中で、安倍首相はよく2800日も政権を続ける強い意志を持ち続けたと思う。本当に「偉業」だと率直に評価したい。

【私の論評】安倍晋三首相の連続在職日数が史上最長になったのは、多くの人の支えや賛同があったから(゚д゚)!

安倍総理自身による辞任の公表かなされてから、安倍総理や安倍政権に関する記事を、読んでみました。

ネットで見る限り、「レガシーなしの安倍政権」などの表題が踊っており、これらはとてもじゃないですが、自分自身のブログに掲載して、それを論評することなど、到底不可能と思い、本日は田中秀臣氏の上の記事を掲載させていただきました。田中氏の論評はいたって、まともだと思います。ただし、この記事は安倍総理が辞任を公表する前の、

田中秀臣氏に関しては、どのような人なのかは、他のメディアにあたってください。ただし、他のメディアにはない私の知っている田中秀臣氏に関してはここで若干説明させていただきます。

まず、田中氏は自他共に認める「リフレ派」です。私自身は、田中氏は正統派リフレはだと思っています。正統派とは、まともなマクロ経済学的観点からの、リフレ派だという意味です。田中氏とは、主にtwitter上のでのやりとりがありましたが、その中で感じたのは、やはり正統派ということでした。

ただし、私が正統派という場合、日本の経済学者の主流派という意味ではありません。東大を頂点とする、日本の主流派経済学者らは、はっきりいいますが、財務省の走狗であり、彼らの主張をは、世界標準の主流の経済学とはかけ離れており、まともではありません。

そのせいもあってか、最近はそのようなことはなくなりましたが、一昔まえは、異端派経済学者とみられていた時期もあったようです。

その中において、田中氏はいつもまともに、日本の経済の本当の有様を解説し、それ対する政策はこうあるべきだとの主張をしてこられました。

それは、上の記事をご覧いただいてもおわかりになると思います。あくまで、安倍政権の経済政策を是々非々でみて、論評しています。この姿勢は、以前から一環しています。

なお、民主党政権の政策については、自民党にお灸をすえるつもりで、民主党政権に政権交代させれば、大変なことになると批判してました。実際そのとおりになりました。

このブログの古くからの読者なら、おわかりでしょうが、私も無論そのように予測していました。そうして、私自身も安倍総理の政策を是々非々でみていました。高く評価したこともありますが、もちろん批判したこともあります。

この田中氏ですが、上の記事など読んでいると、田中氏のことを「保守派」と思うかたもいらっしゃると思いますが、本人は「リベラル派」と思っているようです。ただし、「リベラル派」とは現在の日本に多く存在するいわゆる似非リベラル派ということではなく、元々の正しい意味での「リベラル派」のようです。

その真性リベラル派からみても、安倍総理のレガシー(遺産)は、確かに今の日本にとって、間違いなく役にたっているのです。

たしかに、失敗もあるのですがそれでも、もし安倍政権になってからの、金融緩和政策がなければ、今頃失業率が軒並みあがり、日本はとんでもないことになり、コロナ対策どころではなくなっていた可能性が非常に高いです。

そのようなことを考えると、安倍総理のレガシーによって、現在日本は、コロナ禍に見舞われても、なんとか踏ん張ることができ、今後政策を間違えなければ、早期の回復も期待できるのです。

それと、安倍総理のもう一つのレガシーは、やはり極めて限定されているというものの、集団的自衛権の行使ができるようになったことでしょう。

集団的自衛権は世界中、どこの国でも保持しているし、殆どの場合、自由に行使が出来ます。集団的自衛権に関して、議論されていたときに、野党や新聞は、日本がこの行使が可能になれば、すぐに戦争になるとか、徴兵制が復活するなどと多騒ぎしました。

2015年8月30日午後2時、東京・千代田区の国会議事堂前で開かれた「戦争法案廃案!安倍政権退陣!
8・30国会10万人・全国100万人大行動」に参加した日本市民の巨大な波が国会を包囲

しかし、未だに日本は戦争をしていません。さらに、日本以外の国々では、集団的自衛権の行使を制限なくできますが、それらの国々のほとんどが、戦争をしていません。

日本だけが集団的自衛権を行使容認すると、途端に戦争が始まるという議論は、日本を特別に貶めるヘイト・スピーチだといっても過言ではありません。日本も世界の各国も対等です。日本だけが集団的自衛権の行使が許されず、仮にその行使が決定した瞬間に戦争になるというのは、論理的に破綻しています。

安全保障の議論は、空理空論であってはならない。集団的自衛権の行使容認によって、「立憲主義」が破壊されるという議論もありましたが、これもおかしな議論です。調べてみると、あのときに立憲主義が破壊されると叫んでいる人の多くが、PKO法案に反対し、「立憲主義が破壊される」と叫んでいた人々でした。

しかし、PKO活動が可能になって、30年近くの歳月を経た現在、PKO活動で立憲主義が破壊されるという主張はなされていません。自衛隊が海外に派遣され、自然災害等々で苦しんでいる人々を救援していることは、多くの日本国民にとって誇りです。弱い立場にある人々を救援して、立憲主義が破壊されるとは、滑稽な空理空論でした。

それと、「もりかけ桜」(くだらない上に面倒なので、このように一つまとめます)で、野党は安倍政権や安倍総理個人を攻撃し続けましたが、いまだにどれも「疑惑」の範囲を超えていません。あれだけ、長い時間をかけたのですが、結局どれもいわゆる「物証」などが出てこず、安倍政権や安倍総理を追い込むことはできませんでした。

ワイドショー民は、そのようなことはしないようですが、私自身は、公に公表されている関連文書をいくつか読んでみましたが、どれ一つをとっても、倒閣に結びつくものはありませんでした。私の出した結論は、倒閣でありもしない問題をさも「問題あり」としているだけという結論を出しました。

このようなことばかりやっていると、野党は自らをすり減らし、弱体化していくだけだと思いました。そうして、実際そのとおりになっています。次の選挙では、与党がよほどの間違いをしでかさない限り、与党が勝つのは当たり前という状況です。

それと、外交においても、全方位外交を実践し、日本の存在感を高めました。外交をするだけではなく、実際に多く国々との関係を深め、TPPや日欧EPAを発足させました。しかし、海外では高い評価を受けているものの、日本国内ではあまり評価されませんでした。

経済でも、安全保障でもこのような、外交でも、不可思議で無意味な議論がまきおこる、日本において、安倍政権は2800日も政権を続けることができたということは、奇跡に近いかもしれません。

さて、ポスト安倍ですが、私は現在のところは、麻生氏が総理大臣をつとめるのが、一番だと思います。他のポスト安倍候補は、先日も述べたように、河野防衛大臣や小泉環境大臣も含めて、全員が増税などを正しいと信じる緊縮派です。ただ、麻生氏は例外です。

麻生氏は、従来は麻生氏を要に、財務省の意向を政権内部周知徹底するという役割を担っていたようで、本人自身も「増税は国際公約」と述べるなど、かなり財務省よりでしたが、最近豹変しました。それについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
麻生氏の「豹変」が象徴する政府と日銀の“対コロナ連合軍” 相変わらずのマスコミ報道には笑ってしまう ―【私の論評】ピント外れのマスコミには理解できない日本国債の真実(゚д゚)!
麻生副総理、財務大臣
詳細は、この記事を読んでいただくものとして、以下に一部を引用します。
 いずれにしても、戦前の大恐慌並みの経済ショックの際に、過去最大規模の国債を発行するのは当然である。それでも財務省の事務方は財政再建の旗を降ろさないが、麻生太郎財務相には、事務方とは違う良い兆候もある。麻生氏は5月12日の記者会見で、政府の借金が増え過ぎることによって日本財政が信頼されなくなる可能性を指摘してきた財務省を「オオカミ少年」と表現したのだ。
この記事にも掲載したように、新規国債の発行額が、当初予算と1次、2次補正を合わせて過去最大の90兆2000億円に達したと報じられたのですが、 戦前の大恐慌並みの経済ショックの際に、過去最大規模の国債を発行するのは当然である。それでも財務省の事務方は財政再建の旗を降ろさないが、麻生太郎財務相は5月12日の記者会見で、政府の借金が増え過ぎることによって日本財政が信頼されなくなる可能性を指摘してきた財務省を「オオカミ少年」と表現したのです。

コロナ・ショックは戦争状態ともいえるような非常事態です。そこで麻生氏が共同談話で「日銀と政府の関係は、きちんと同じ方向に向いていることがすごく大事なことだ」と語ったことが重要です。

これは、政府と日銀との連合軍が組まれたことを意味します。経済政策としては、財政政策と金融政策の同時・一体発動を意味しており、コロナ・ショックという戦後初、戦前の大恐慌に匹敵するくらいの経済危機に対し、政府の危機感を示すものでした。

政府と日銀との連合軍では、政府が大量の国債発行によって財源調達を行うのですが、その一方で、日銀がその国債の買い入れを行います。これによって政府が巨額の有効需要を創出でき、不況の下支えをするのです。まさに大恐慌スタイルの経済政策です。

この政策のリスクは、インフレ率が高まることです。しかし、コロナ・ショックは基本的に需要蒸発した需要ショックなので、当面はインフレというよりデフレを心配すべきときです。こんなときに、「デフレがー金利がー」と叫ぶような人は、経済が、特に未曾有の経済危機に至ったときの、経済政策がどうあるべきか等を知らない人です。

現時点で、麻生氏以外が総理大臣になった場合、消費税増税や、かつての復興税のようなコロナ増税を、財務省手動のもとで推進しかねません。そうなれば、日本経済はリーマンショックのときにのように、一人負けになり、他国がコロナ禍から経済が回復した後も、しばらくデフレや、円高に悩まされかねません。それだけは、避けるべきです。

最後に百田尚樹氏のツイートを掲載します。



まさに、百田氏の言う通りだと思います。安倍総理のレガシーをまともに評価できない人は、他の評価も信憑性に欠けるとみるべきです。

そもそもも、安倍晋三首相の連続在職日数が8月24日に2799日となり、史上最長になりえたのは、多くの人の支えがあったからです。独裁国家ではそのようなことは簡単なのかもしれませんが、日本のような民主国家では、多くの人の支えや賛同がなければ不可能です。

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2020年7月13日月曜日

「国安法」施行で日本人が注意すべき“危険な国”は? 石平氏「習主席には地球全体を支配しようという思惑が? もし日本人が香港民主派に賛同する言動すると…」— 【私の論評】先進国は国際法を守らない中国の高官が自国を訪問したら、逮捕して裁判せよ!(◎_◎;)

「国安法」施行で日本人が注意すべき“危険な国”は? 石平氏「習主席には地球全体を支配しようという思惑が? もし日本人が香港民主派に賛同する言動すると…」

香港への統制を強める習近平氏はあまりに危険だ。国際社会は警戒感を強める

中国政府による統制を強化する「香港国家安全維持法(国安法)」施行に伴い、自由主義諸国は「自国民に影響が出かねない」と警戒している。同法が定める違法行為を、外国人が香港だけでなく、香港以外の場所で行った場合でも、香港・中国側が求めれば拘束・移送される危険性があるのだ。香港や中国と「犯罪人の引き渡し条約」を結んでいる国は大丈夫なのか。日本人が注意すべき国を調べてみた。


 「中国が香港に国安法を導入した結果、香港との関係が根本的に変わった。『犯罪人引き渡し条約』は停止する。中国にも伝えた」

 オーストラリアのスコット・モリソン首相は9日の記者会見で、こう表明した。

 国安法は、中国への抗議活動などを取り締まるため、国家分裂や政権転覆、外国勢力と結託して国家の安全に危害を及ぼす行為だけでなく、それらを扇動、教唆することも禁止している。

 これらは香港で適用されるだけでなく、「香港の永住権を有しない者が、香港以外の場所で本法律に規定する罪を犯した場合、本法律が適用される」(38条)という。

 つまり、外国人が香港以外で「香港は独立すべきだ」と発言しても、同法が適用される可能性があるのだ。

 このため、冒頭のオーストラリアだけでなく、カナダのジャスティン・トルドー首相も3日、同様の条約停止を発表した。ニュージーランドも9日、引き渡し条約の見直しを表明した。



  日本は幸い、香港や中国と「犯罪人引き渡し条約」は結んでいない。ただ、同様の条約を、香港や中国と結んでいる国は多い=別表。ビジネスや観光で訪れる際は注意すべきだ。

 中国事情に詳しい評論家の石平氏は「習主席には、国際法や国際関係の基本ルールが通用しない。地球全体を支配しようという思惑でもあるのではないか。日本人が香港の民主派に賛同する言動をすれば、香港や中国はもちろん、香港や中国と親しい国で拘束される危険性がある。日本政府は『国安法は受け入れられない』と断固たる声明を出すべきだ。中国の属国になるわけにはいかない」と語っている。

【私の論評】先進国は国際法を守らない中国の高官が自国を訪問したら、逮捕して裁判せよ!(◎_◎;)

香港で国安法が導入された当初から、上の記事で示されている懸念については、私もこのブログで表明しました。

これ一つを持ってみても、もはや習近平は世界の指導者にでもなったつもりで、世界中を自分に従え、世界中のいかなる国において誰かが中国や香港を批判しても、それを罰するつもりです。

すでに、多くの国々が犯人引渡し条約を破棄するか、その方向で、進めているのも当然出す。まともな民主国は、この条約を破棄することでしょう。

この中国の暴挙には、まずはほとんどの国で条約を破棄することで、ある程度対応することができます。条約を破棄しない国は、ロシアなどのわずかの国々になることでしょう。

ロシアなどのわずかな国々に、行かなければ良いのです。これは、米国などに行けなくなるのとは違いますから、個人に取っては、ほとんど問題にならないでしょう。

ただし、企業などでは、中国や、中国と「犯人引渡し条約」を結んでいる国に、拠点がある場合は、深刻な問題になりそうです。

しかし、これも中長期的には拠点を引きあげれば良いと思います。現状では、中国や中国と関係の深い国々でのビジネス展開は非常に危険です。一時的に利益が出たとしても、この先どうなるかわかりません。

そうして、この件に関して、中国を牽制する手段は他にもあります。それは、かつて台湾が行ったことです。それに関しては、随分前ですが、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。

【日本で報道されない激レアニュース】台湾訪問中の中共高官2人、相次ぎ刑事告訴される―【私の論評】及び腰日本はなぜこのようなことをしないのか?

  スペインの国家裁判所に、ジェノサイドと拷問の罪で
  刑事告訴された江沢民・元国家主席を含む5人の中共高官

この記事は、2010年のものです。詳細は、この記事をご覧いただくもとして、この記事では当時台湾訪問中の中共高官2人が相継ぎ刑事告訴されたことを掲載しました。以下に一部を引用します。
中国宗教事務局の王作安・局長は、先週15日(2010年9月15日)に台湾を訪問した際、台湾法輪大法学会に、法輪功への集団弾圧を陣頭指揮した罪で告訴された。前日の14日、台湾を訪問中の陝西省趙正永・代理省長が同団体に刑事告訴されたばかり。 
台湾法輪大法学会は、台湾の高等裁判所の検察署にジェノサイドと民権公約違反の罪状で二人をそれぞれ刑事告訴し、身柄拘束を要求した。同検察署は訴状を受理した。
この時の台湾総統は、当然のことながら現在の蔡英文ではなく、中国寄りの馬英九でした。そのこともあって、これは大ごとにはならず、二人の中国高官も結局早期に釈放されたようです。それにしても、台湾検察が刑事告訴をしたということ事態が今から考えると、とてつもないことです。もしこの時に、本格的裁判をしていたらどうなったでしょうか。

2013年には、スペインの裁判所がチベット族の虐殺に関与した疑いで、中国の江沢民元国家主席(当時:87)ら元幹部5人に出した逮捕状が波紋を呼びました。

このようなことがあった後に、2013年3月14日には、習近平政権が成立しました。このようなことがあったせいでしょうか、習近平が初めて、米国の当時のオバマ大統領を訪問した時には、ひょっとして自分は米国司法当局に逮捕されるのではないかという危惧の念を抱いていたようです。

2013年オバマ大統領と習近平主席の初会談

なぜなら、法輪功信者は米国にも大勢いて、習近平の米国訪問の反対運動をしていたという事実があります。実際にオバマ政権の時の司法当局がそのようなことをしていたら、その後の中国の暴走を防げたかもしれません。

台湾やスペインがこのようなことをしているのですから、中国が実際に、国安法で他国に、中国を批判した個人などの引渡しを求めるようなことをした場合は、その報復として、中国人高官が米国などを訪れた場合、司法当局が身柄を拘束して、起訴して裁判を行えば良いのです。

習近平が日本を訪問したいというなら、訪問させて、検察が身柄を拘束して、裁判を行うというようなことをすれば良いです。そのようなことをすると、意外と現在の八方塞がり中国は、喜んでそれを受け入れ、八方塞がりの原因を作った習近平はあっさり失脚するかもしれません。

何しろ、これから、米国は中国に対する制裁をさらに強化し、多数の中国高官の資産を凍結しようとしています。そうなれば、金の切れ目が縁の切れ目で、習近平は中国の幹部からも敵ということになります。

理想も信念もない中国共産党幹部たちの、結びつきは金だけです。金を儲けさせてくれるから、習近平について行ったものを、その金がなくなれば、習近平に忠義立てする必要もなくなります。その習近平が身柄を拘束されるということになれば、大喜びする幹部も多いことでしょう。

中国の高官であれば、過去に虐殺や虐待に関わっているものも多いはずです。だから、起訴理由はいくらでもあります。そうして、それを米国だけが行うというのではなく、多くの国々で行うようにすれば良いでしょう。

国際法を守らない中国は、それくらいのことをされても当然です。

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