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2018年5月9日水曜日

トランプ大統領、イラン核合意からの離脱を発表 欧州説得実らず―【私の論評】米のイラン核合意からの離脱の発表で、正念場を迎えた金正恩(゚д゚)!


核合意離脱を発表するトランプ大統領(ホワイトハウス、8日)

ドナルド・トランプ米大統領は8日、オバマ前政権が締結したイラクとの核合意から離脱すると発表した。合意は「衰えて腐って」おり、「市民」として「恥ずかしいものだ」と語った。

2015年に米国と共にこの合意を結んだ欧州各国からの忠告に反し、トランプ大統領は合意の見返りとして解除していた経済制裁を再び実行すると明らかにした。

これに対してイランは、ウラン濃縮再開に向けて準備を始めていると明らかにした。濃縮ウランは原子力発電だけでなく、核兵器開発の要となり得る。

イランのハッサン・ロウハニ大統領は、「米国は約束を守らないつもりだとを明らかにした」と批判した。

「イラン原子力機構(AEO)に対して、必要となれば工業水準のウラン濃縮を無制限で再開できるように、待機するよう命じた」と大統領は明らかにした。

ただし、まずは他の締結国や同盟国と核合意について話すため、「数週間待つ」としている。

「もし他の締結国との協力で核合意の目的が達成されるなら、現状を維持する」


ロウハニ大統領は「イラン核合意離脱なら米国は後悔する」と警告していた

包括的共同作業計画(JCPOA)と呼ばれるこの合意は、イランが核計画を制限することと引き換えに、国連と米国、欧州連合(EU)が同国に科していた経済制裁の解除を定めた。

トランプ氏はかねてから、この合意がイランの核計画を期限付きでしか制限しないことや、弾道ミサイル開発を制止しないを批判してきた。さらに合意によって、中東地域全体に「武器と恐怖と抑圧」をもたらすために使われた1000億ドルの臨時収入を、イランに与えてしまったなどと非難してきた。

「この衰えて腐った合意内容では、イランの核兵器を阻止できないことは自明だ」とトランプ氏は説明した。

「イランとの合意は根本から不完全だ」

核合意を結んだバラク・オバマ前大統領は、トランプ氏の発表を「不見識」と表現した。

経済制裁はいつ始まるのか

米財務省は、イランへの経済制裁はすぐには再開されないものの、90~180日ほどかかるとしている。

ウェブサイトに掲載された声明によると、制裁は2015年の合意に示された業界で再開される予定で、イランの石油産業、航空機輸出、レアメタル貿易、そしてイラン政府の米ドル獲得政策が含まれる。

ジョン・ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、イランと取引関係のある欧州企も6カ月以内に取引を停止しなければ、米国の制裁を受けることになると述べたという。

世界各国の反応は?

核合意締結国のフランスとドイツ、英国の各首脳は、これまでトランプ氏を説得しようとしてきたが、今回の決定を受けて遺憾の意を表している。同じく締結国のロシアの外務省も、「深く失望した」と述べている。

EUのフェデリカ・モゲリーニ外務・安全保障政策上級代表は、EUはこの合意を「断固として維持する」と語った。

オバマ前大統領はフェイスブックに、核合意は現在も機能しており、米国の国益にかなっていると投稿した。

「JCPOA離脱は、米国に最も近しい同盟国と、この国の一流の外交官、科学者、そして情報専門家たちがまとめた協定に背を向けることだ」

「対北朝鮮外交を成功させるために全力を尽くしているこの時にJCPOAから離脱することで、まさに北朝鮮と共に目指す結果実現につながる合意に至れない恐れがある」

アントニオ・グテーレス国連事務総長は米国の発表を受けて「深刻な懸念」を表明し、他の締結国に責務を全うするよう求めた。

一方、イスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ首相は、トランプ氏が「悲惨な」合意から「思い切って」離脱したことを「全面的に支援する」と述べた。

イランのライバル国サウジアラビアもトランプ大統領の決定を「支援し、歓迎する」としている。

核合意の内容は?

ウラン濃縮作業が行われたイラン・イスファハンの施設(2005年3月30日撮影)

JCPOAはイランと国連安全保障常任理事国の米国、英国、フランス、中国、ロシアにドイツを加えた6カ国で結ばれた。

合意ではイランに対し、核燃料や核兵器に使用される濃縮ウランの在庫を15年間、10年間ウラン濃縮に使われる遠心分離機の設置台数を10年間、それぞれ制限することを定めた。

また、核爆弾に使用できるプルトニウムの製造ができないよう、重水設備を変えることでも合意。見返りとして、イラン経済を苦しめていた国連と米国、EUによる経済制裁が解除された。

イランは同国の核計画が完全に平和的なもので、核合意での取り決めを守っているかどうかも、国際原子力機関(IAEA)によって確認されていると主張している。

<分析>衝突軌道へ――ジョナサン・マーカスBBC防衛・外交編集委員

イランの核兵器開発抑止を目指す唯一の合意を、ドナルド・トランプ米大統領はあっさりと危機にさらした。合意の善し悪しは別にしても。

大統領は核合意とその欠点について容赦ない批判を浴びせた。しかし、代案は示さず、最も緊密な同盟関係にある国々と米国の外交政策を対立させる道を選んだ。

さらに一部では、中東が破滅的な地域戦争に陥る危険性を大幅に高めたと懸念されている。

(英語記事 Trump pulls US out of Iran deal

【私の論評】トランプ大統領のイラン核合意からの離脱の発表で、正念場を迎えた金正恩(゚д゚)!

昨日このブログで予測したとおり、やはりトランプ大統領はイラン核合意からの離脱を発表しました。

昨日の記事を読んでいない方のために、以下にリンクを掲載します。
イラン核合意問題 専門家はこう見る―【私の論評】トランプ氏は、米朝会談を有利にすすめるためイラン核合意問題を活用している(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事の結論部分のみ以下に引用します。
私は、今回はトランプ氏が「合意から離脱」を発表をすると見ています。そうして、本当にそうするかどうかはわかりませんが、いずれイランへの武力行使の可能性もちらつかせると思います。そうして金正恩を極限まで追い詰めて、米朝会談をかなり有利にすすめるか、金正恩が会談をキャンセルするように仕向け、米軍が武力攻撃をしやすい状況にもっていくものと考えます。 
トランプ氏は元々は実業家です。実業家の場合、常に使える資源は限られていることを自覚しています。だから、優先順位をつけます。現在優先度が一番高いのは、北朝鮮です。優先順位をはっきりつけることと、定めた目標に対しては活用できるものは何でも活用するというのが、優れた実業家の真骨頂です。そうして、本当は米国でさえも、使える資源は限られています。 
イラクの問題と北朝鮮の問題に関して、どちらを優先するかということを考えれば、北朝鮮に軍配があがるのは当然のことです。 
イラン問題は多少複雑になったり、解決が長引いたにしても、イランが北朝鮮のように核ミサイルを米国に発射することはできません。11月の選挙の中間選挙のことを考えても、多少イラン問題が複雑化しようとも、北朝鮮問題の決着への見通しをこのあたりまでにはっきりと、国民に示したいというトランプ氏のしたたかな思惑が透けて見えます。 
これは、政治の専門家や、中東の専門家などにはかえって見えにくい局面だと思います。 
私は、トランプ氏は、米朝会談を有利にすすめるためイラン核合意問題を活用していると考えるのが妥当な見方であると考えます。
このような見方は、日本のメディアは無論のこと、欧米のメディアでもないようです。しかし、私はこの見方に関してある事実を知った後で、さらに確信を深めました。

それは、以下のような事実です。

トランプ大統領は8日に欧米など6カ国とイランが結んだ核合意からの離脱をホワイトハウスで発表した際、ポンペオ長官の4月訪朝に触れ、「北朝鮮と良い関係が構築されつつある」と語っています。

ポンペオ長官は4月に金委員長と会談したことで「良い関係」が生まれたと語った

トランプ大統領は米朝首脳会談について、「会談の予定は決まった。場所も選んである。日にちや時間、全部決まった」と述べました。

トランプ氏はさらに、「結局どうなるのか、見てみよう。うまくいかないかもしれない。しかし北朝鮮や韓国、世界全体にとって素晴らしいものになる可能性がある」と語りました。

トランプ大統領は3月に、北朝鮮からの首脳会談の提案を受け入れると表明し、国際社会に大きな衝撃が広がりました。米国の現職大統領が北朝鮮の最高指導者と会談したことは過去にありません。

トランプ氏は、首脳会談が6月初旬あるいは「それより少し早く」開かれるとし、いくつかの場所が検討されているが米国内ではないと述べていた。

8日には、金委員長が再び中国を訪問し、習近平国家主席と会談したことが明らかになっています。中国のメディアは、金委員長が、朝鮮半島の非核化を実現するため「段階的で同時進行的な」措置を望む、と語ったと報じました。

このポンペオ米国務長官は9日、再び北朝鮮の平壌に到着しました。北朝鮮の核問題をめぐる米朝首脳会談に備え、調整を行います。聯合ニュース(Yonhap News)は韓国の当局者の話として、北朝鮮で拘束されている米国人3人が解放され、ポンペオ氏と共に帰国するとの見通しを伝えました。

ポンペオ氏の平壌入りは同行している代表取材団が明らかにしました。現在は協議を行う柳京ホテル(Ryugyong Hotel)」に滞在しています。

聯合ニュースによると、韓国大統領府の関係者は、ポンペオ氏が「米朝首脳会談の日時を持ち帰るほか、拘束されている人たちを連れて帰るとみている」と語ったそうです。

ポンペオ氏は今月か来月に予定される米朝首脳会談の準備に当たっているほか、北朝鮮側に対し、拘束している米国人3人を解放するよう圧力をかけてきました。


私は4月ポンペオ・金正恩の会談の段階では、イランの原子力開発などを引き合いに出して、段階的で同時進行的な非核化を望んていたのでしょうが、おそらくポンペオ氏は、金正恩に対して米国はイラン核合意からの離脱する旨を伝えて、金正恩の段階的・同時進行的な非核化を断念し、あくまでもリビア方式で完璧に速やかに破棄するように迫ったのだと考えられます。

その後金正恩はすみやかに習近平と会談しています。8日も大連で会談しています。もし、北朝鮮が核を放棄した場合に備えて、北朝鮮が中国の核の傘の下に入ることなどを相談したものと思われます。それとともに、米朝会談が決裂した場合に備えて、制裁が強化された場合の中国が制裁を破る可能性についても、話しいをしたことでしょう。

いよいよ、北朝鮮は米朝会談で、リビア方式の核と核関連施設を完璧に破棄するか、米朝会談で決裂するか、そもそも米朝会談をキャンセルしかなくなりました。

米朝会談が決裂したり、キャンセルすれば、米の制裁はさらにきつくなり、その後に軍事力の行使ということにもなりかねません。

まさに、金正恩とっては正念場です。少しでも対応を間違えれば、米軍に斬首されかねません。

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イラン核合意問題 専門家はこう見る―【私の論評】トランプ氏は、米朝会談を有利にすすめるためイラン核合意問題を活用している(゚д゚)!

2018年4月20日金曜日

トランプ大統領が金正恩委員長に「クビ!」を宣告する日―【私の論評】北朝鮮問題は、マスコミ報道等とは全く異なる形で収束するかもしれない〈その3〉(゚д゚)!


かつてトランプ大統領は"Your're fired(お前はクビだ)"というリアリティー番組に出演していた
写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 かつてホストをつとめたリアリティ番組で「You’re fired(お前はクビだ)」という決めゼリフが人気を集めたドナルド・トランプ米大統領は、政治もビジネスと同じセンスを曲げずに突き進んでいるように見える。6月上旬までに予定されている史上初の金正恩委員長との米朝首脳会談は、その“トランプ流”外交でどのような展開をみせるのか。経営コンサルタントの大前研一氏が分析する。

* * *

 “トランプ流”の交渉とは何か。それは極めて単純だ。トランプ大統領は“不動産業を営むローカルなファミリー企業の社長”であり、一発勝負のネゴシエーターである。だから北朝鮮との交渉でも過去のノウハウを応用し、自分が行って“小さなロケットマン”に一発かませば、相手は言うことを聞くはずだ--という発想なのである。

 彼は、前任者が成し得なかった北朝鮮の非核化を自分のディール(取引)で実現した、と今年11月の中間選挙でアピールしたいだけなのだ。

 対する金正恩委員長は、韓国特使団との会談で「非核化の用意がある」と言明したとされる。これをトランプ側は、北朝鮮が核・ミサイル開発を停止し、不可逆的に核兵器を放棄するという意味だと考えている。

 だが、北朝鮮側の「非核化」の対価は、在韓米軍の撤退だろう。つまり、自分たちが核・ミサイル開発をやめる代わりに、核保有が想定される在韓米軍も同時に撤退するということだ。あるいは、中国と歩調を合わせて、非核化は米韓合同軍事演習の中止や米軍削減とバーターだと主張する可能性もある。

 実際、金正恩委員長は習近平主席との会談で「米韓が我々の努力に善意で応え、平和の実現に向け段階的な措置をとれば非核化の問題は解決できる」と主張したと報じられている。しかし、そんな条件をトランプ大統領が飲むはずがない。

 ◆“予測不能”ゆえ「瓢箪から駒」?

 そういう状況下でトランプ大統領と金正恩委員長が会えば、交渉は必ず決裂する。それどころか、会談場所がどこになるにしろ、トランプ大統領と会うことで金正恩委員長の居場所は特定できるので、トランプ大統領は交渉が決裂したら即、金正恩委員長や北朝鮮の核関連施設などをピンポイントで先制攻撃する可能性もある。いわゆる「鼻血(ブラッディ・ノーズ)作戦」だ。そのリスクに対して北朝鮮側が警戒を強めれば、米朝首脳会談はお流れになる。

 それでも今回、北朝鮮が南北首脳会談や米朝首脳会談に向けてアクションを起こしている背景には、中国を含めた経済制裁や、韓国で「死の白鳥」と呼ばれているB-1B爆撃機などの軍事的脅威がある。

B-1B爆撃機

 また、北朝鮮国内では、金正恩委員長は父・金正日総書記にも増して孤立無援状態にあるとみられている。だから異常なほど疑心暗鬼になり、事実上のナンバー2だった叔父の張成沢・前国防委員会副委員長を重機関銃で処刑したのをはじめ、側近を次々に粛清して常に居場所を変えて警戒しているとされる。

 北朝鮮側がスウェーデンやフィンランドと接触したことから、板門店、平壌、ウランバートル、北京などに加えて北欧の両国が米朝首脳会談の開催場所として取り沙汰されたが、北朝鮮の飛行機で北欧まで行くのは難しいし、側近のクーデターを恐れている金正恩委員長が何日間も国を空けることは不可能だろう。となれば、北欧との接触は北朝鮮が主張する「体制保障」のため、金正恩ファミリーの「亡命申請」、またはその可能性を探ったとみるべきではないか。

 北朝鮮の「体制」は定義不可能であり、その「保障」とは“金王朝”の存続以外にないからだ。

 もし、南北間で平和条約が結ばれて人々の交流・往来が始まったら、北朝鮮国民は韓国との歴然とした経済格差を目の当たりにして、嘘をつき続けてきた体制への批判が噴き出すだろう。そうなれば、金正恩委員長は人民が蜂起して殺される前に国外逃亡するしかない。

 前述したように、不動産業を営むローカルなファミリー企業の社長にすぎないのに、世界最大のエネルギー企業エクソンモービルのCEOを務めたティラーソン国務長官をツイッターで“クビ”にしたのが、トランプ大統領である。オバマ前大統領なら、国務省による事前協議を通して予測可能な対応をしただろうが、トランプ大統領はそういったことを一切無視したディールを要求するはずだ。

 落としどころとしては、【1】非核化の履行を中国に監視させる【2】国連監視団を送り込む【3】アメリカ自身が監視団を駐在させる--などが考えられる。

 いわば“予測不能”なトランプ大統領だからこそ「瓢箪から駒」で、北朝鮮問題を一気に解決するかもしれない。つまり首脳会談が実現してもしなくても、トランプ大統領は自分が任命したわけでもない金正恩委員長に得意の「You’re fired!(お前はクビだ!)」を宣告し制裁を加える。それが金王朝の“終わりの始まり”になると思うのだ。

 「独裁政治は悲劇に終わり、衆愚政治は喜劇に終わる」と言われる。それは、ごく一部の例外を除いて歴史が証明している。いずれにせよ、金王朝が終幕を迎える日は、そう遠くないだろう。

 ※週刊ポスト2018年4月27日号

【私の論評】北朝鮮問題は、マスコミ報道等とは全く異なる形で収束するかもしれない〈その3〉(゚д゚)!

北朝鮮情勢に関す、大前研一氏の予測がどの程度あたるかは、わかりまんせんがそれにしても大いに参考になることはあります。

まずは、今年11月の中間選挙でアピールに関してですが、これはトランプ大統領はかなり気にしていることは確かです。もし、この時点で北朝鮮問題が解決したか、解決の見込みがたっていれば、中間選挙はかなり有利になるでしょう。

ここで、実際に議席数を増やして、共和党の議席数を伸ばすことができれば、議会運営はやりやすくなりますし、大統領再戦の道も拓かれることになります。

トランプ大統領としては、何としてもここで勝ちたいと考えるのは当然のことです。

2018年 中間選挙、注目の上院選

次に、金正恩が「非核化」の対価として、在韓米軍の撤退を求めることも十分あり得ます。そうして、これは金正恩の落とし穴になるかもしれません。

在韓米軍が撤退した後に行き着く先は、南北朝戦の統一です。これには、無論日米にとっては望ましくないことです。しかし、これはあまり報道されたり、識者が指摘はしませんが、中国・ロシアにとっても望ましいことではありません。

これについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
北京訪問の要人は金正恩氏―【私の論評】南北統一で核武装をした先進国なみの経済力を持った独裁国家が生まれることを習近平は懸念している(゚д゚)!
 

 詳細は、この記事をご覧いただくものとして、南北統一が日米にとってだけではなく、中露にとっても望ましいことではないことを示した部分をこの記事から引用します。
金正恩が、南北統一朝鮮の独裁者なれば、中国と国境を接する朝鮮半島に、核武装をした先進国なみの工業力と経済力を持った独裁国南北統一朝鮮ができあがることになり、中国にとっては脅威です。 
無論、ロシアのプーチンにとっても脅威です。北朝鮮は貧乏な国ですが、南北統一朝鮮ともなれば、GDPは確実にロシアを上回ることになります。日米中露ともに脅威を感じる南北統一朝鮮は出来上がる前に、潰されて、半島に北朝鮮でも韓国でもないいくつかの中立的な国々をつくられてしまう可能性も多いにあります。
驚くべきことに、一般に大国とみられているロシアは、GDPでみると東京都より若干小さいという水準です。韓国はといえば、東京都とほぼ同水準です。

この南北朝鮮が統一すると、核兵器を有した先進国並の経済力を持った独裁国家が朝鮮半島に生まれることになります。そうして、この南北統一朝鮮は、韓国の工業力を引き継ぐことになります。

韓国の工業力と、北朝鮮の核開発が結びつけば、さらに核兵器の開発が進むことになります。そうして、北の兵力と韓国の通常兵器と兵力があわされば、核兵器と通常兵力があわさり、朝鮮半島に強力な軍事力に裏付けされた、先進国なみの国が生まれることになります。

これは、ロシアにとってはかなり脅威になります。これは、中国にとっても脅威です。特に、北朝鮮と接する中国のと東北地方(旧満州)は、朝鮮族も多く北朝鮮と結びつきが強いほか、この地域は経済的にも遅れていて、人民の不満がたかまっており、中国の火薬庫ともいわれている場所です。

中国からみれば、南北統一で朝鮮半島に強力な国家ができれば、それこそ朝鮮半島と東北地方が強い結びつきを持ち、東北地方が独立するなどということも考えられます。さらには、東北地方と南北朝戦の統一などということもになりかねません。

米朝会談で、金正恩が比較化の対価として、在日米軍の徹底を要求した場合、これはトランプ大統領は拒否することになると考えられます。そうなると、金正恩は撤回するかもしれません。しかし、一度要求したということで、トランプ大統領からは、金正恩は南北統一を目指していると受け取られることになります。

そうなれば、トランプ氏はTwitterに「金正恩はクビ」と書き込み、さらに制裁をきつくすることになるでしょう。それこそ、徹底的な海上封鎖と陸上封鎖をするかもしれません。

この封鎖は従来より苛烈なものになり、海上で臨検するなどは当たり前で、場合によっては武力攻撃を含むものになるでしょう。あるいは、機雷封鎖にまでエスカレートするかもしれません。陸上封鎖も、北朝鮮内の中国やロシアに通じる道路や鉄道を破壊するかもしれません。そうなると、北朝鮮はとんでもない状況になります。それこそ、石器時代に戻るかもしれません。

中国やロシアも、南北統一には脅威を感じているはずですから、この制裁にあからさまに反対することはないかもしれません。そうして、制裁逃れを積極的に支援することはないでしょう。

ただし、現在の北朝鮮では穀物などの食糧の自給はぎりぎりで何とかできているようですから、人民はぎりぎり生きていけるかもしれません。制裁で原油など枯渇するので、運搬手段がなくなり、人民の大部分を農林畜産業などに従事させるのと、輸送手段がなくても生きていけるようにするための大規模な強制移動が行われるかもしれません。しかし、ありとあらゆる不自由を強いられるわけですから、人民の不満は高まる一方になります。

餓死するくらいであれば、抵抗することもできないでしょうが、ぎりぎり生きていける可能性があるということが、かえって金正恩に悲劇をもたらすかもしれません。北朝鮮問題は、以前にも述べたように、マスコミ報道等とは全く異なる形で収束するかもしれないです。

その時には、金正恩は亡命するか、リビアのカダフィ大佐のような運命をたどるかもしれません。いずれにせよ、米軍が武力攻撃をしようがしまいが、終末は近づいています。米中間選挙の直前までには、ある程度その終末を予想できるようになっているかもしれません。

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米朝首脳会談“日本開催”浮上 日米首脳会談で電撃提案か、官邸関係者「日米に大きなメリット」―【私の論評】北朝鮮問題は、マスコミ報道等とは全く異なる形で収束するかもしれない〈その2〉(゚д゚)!

2018年4月18日水曜日

【日米首脳会談】安倍首相「ドナルドと2人きりで相当深い話をできた」、トランプ米大統領「米朝首脳会談で拉致問題提起する」―【私の論評】金正恩が誤算すれば、戦争は不可避(゚д゚)!


トランプ米大統領と会談する安倍首相=17日、米フロリダ州パームビーチで

安倍晋三首相は17日午後(日本時間18日未明)に政府専用機で米南部フロリダ州パームビーチ国際空港に到着した。到着後、首相はトランプ米大統領の別荘「マールアラーゴ」で、トランプ氏との会談に臨み、北朝鮮情勢の分析と、5月または6月に予定される米朝首脳会談に向けた政策をすり合わせた。首相は米朝首脳会談で拉致問題を取り上げるよう要請し、トランプ氏も応じたとみられる。通商問題についても協議した。

 両首脳は最初に一対一の会談を約1時間行った。その後、行われた少人数会合の冒頭で安倍首相は記者団に「ドナルドと二人きりで北朝鮮の問題、経済について相当深い話をすることができた。それぞれ非常に重要な点で認識を一致させることができたことをうれしく思う」と述べた。

 首相は、米朝首脳会談や27日に開催予定の南北首脳会談に関し「平昌五輪から起こった大きな変化はまさにドナルドが確固たる信念と決意でこの問題に対峙した結果だ。あらためて敬意を表したい」と述べ、トランプ氏をたたえた。

 その上で「米朝首脳会談を通して核の問題、ミサイルの問題、さらには日本にとって重要な拉致問題が解決に向かって進んでいく歴史的な会談となることを期待する。そのために、真剣な、そして徹底的な話し合いをしたい」と述べた。

 首相の賛辞に対し、トランプ氏は謝意を述べた上で、米朝首脳会談で「われわれは拉致問題を提起するし、そのほかに話すべきことはたくさんある」と強調した。また、米朝首脳会談の成否について「うまくいかなければ違う手段を考えなければならないということだ」と述べ、最大限の圧力をかけ続ける方針を維持する考えを示した。

【私の論評】金正恩が誤算すれば戦争は不可避(゚д゚)!

トランプ大統領は、安倍総理をアジア問題の助言者のようにみていることは、以前このブログにも掲載したことがあります。当然のことながら、北朝鮮問題でも、トランプ氏は安倍総理を助言者のようにみていことでしょう。

そうして、5月か6月頭に見込まれる米朝首脳会談を前に安倍氏の助言はかなり重要になってきています。首脳級では、世界に安倍総理をおい他に長い期間にわたる北朝鮮との交渉の経験を持つ人はいないでしょう。そうして、安倍総理は政治家としての経験も長いです。

安倍総理のアドバイスは、北朝鮮が仕掛ける多くの罠にはまらないようトランプ氏が注意するために役立つことでしょう。

トランプ氏は、スタッフや専門家の意見を無視し、拒否することで有名です。安倍氏は、北朝鮮問題でトランプ氏を導くことができる数少ない一人であることは間違いないです。

ドラナルド・トランプ氏にとって安倍晋三氏は信頼できる助言者

南北首脳会談が予定され、トランプ氏が金正恩朝鮮労働党委員長との会談を受け入れたことで、北朝鮮は、関係国がみな北朝鮮の政策に従うために取り組んでいると思い込んでいるものと思います。

こうした状況下では北朝鮮問題の真の進展に向けた見通しは良くはありません。米紙ワシントン・ポスト(電子版)は17日、次の米国務長官に指名されたポンペオ米中央情報局(CIA)長官が数週間前にトランプ米大統領の特使として北朝鮮を極秘に訪問し、金正恩(キム・ジョンウン)委員長と面会していたと報じました。トランプ氏と金委員長との首脳会談に向けた調整を進めたとされています。

ポンペオCIA長官(左)と金正恩氏(右)
金正恩からすれば、親子二代にわたって米国等を恫喝してきた結果、最終段階に入り金王朝がそのまま米国から認められる日がやってくることを心待ちにしているかもしれません。

しかし、北朝鮮による拉致問題は、日本だけでなく、米国にとっても北朝鮮に関する人権問題の重大な要素であり、重要な優先事項となっています。

米朝首脳会談については、最高レベルでの会談が失敗に終わった場合、残された選択肢はなくなるリスクが非常に大きいです。トランプ氏は昨日のブログにも示したように、即断即決ではなかったものの、おそらくあまり準備ができていない状況で金氏との会談を受け入れたとみられます、おそらく首脳会談はある種の賭けのようでもあります。

トランプ氏と金氏の会談で想定される最も現実的で最良の筋書きは、交渉の開始で合意することです。しかし、交渉が始まった段階でさらに難しい局面が訪れることになるでしょう。

これまでの対北交渉を振り返ってみると、北朝鮮は要求を高め、国際社会が容認できないと言うと、われわれは被害者だと主張してエスカレーションのサイクルに戻るということを何度も繰り返してきました。

トランプ大統領は、完全で不可逆的な非核化に目標を定めた計画により、北朝鮮にだまされ、北朝鮮側の条件で早まった合意をしないということが重要です。

先日、米軍によるシリア攻撃があったばかりで、このブログにもそれに関しては掲載しました。そうして、この記事では掲載しなかったことがあります。それは、米軍のシリア攻撃が北朝鮮にどのような影響を与えたかということです。

シリアへの軍事攻撃が始まり、首都ダマスカス上空を飛ぶミサイル

対シリア化学兵器施設限定軍事攻撃ではシリアからの報復攻撃はありませんでした。しかし、北朝鮮については核施設に対する限定攻撃の実施自体が極めて難しいでしょう。北朝鮮にはソウルを狙う数千基の長距離自走砲・多連装ロケット砲による報復能力があるほか、その他多数のミサイルもあります。

これこそシリアと北朝鮮の大きな相違点です。シリアは報復しようと思っても、手段が限られますが、北朝鮮はそうではないということです。

米国の対シリア攻撃で、北朝鮮は、軍事攻撃も辞さない米国を抑止するには核兵器開発継続が不可欠との基本戦略の正しさを再認識したに違いないです。そのような状況下では、仮に米朝首脳会談が開かれても、北朝鮮核問題の解決につながる可能性は一層減少するばかりです。

以上を考えると、米国と北朝鮮は首脳会談を経て、本格的な交渉の開始が始まる可能性は高いと考えられます。しかし、この交渉は難航を極めるでしょう。米国はこれを時間稼ぎと受け取るでしょう。実際、その可能性が高いです。

そうして、結局のところ、米国は北朝鮮を攻撃するのではないかと思います。ただし、最初は北の核関連施設に限定した攻撃をすると思います。ここで、北朝鮮が反撃に出れば、地上部隊を派遣して本格的な戦争になるでしょう。

北朝鮮が反撃にでなければ、様子見をすることでしょうが、ここで金正恩が正しい判断ができる否かが分岐点になると思われます。

昨日示したように、米軍がなぜシリアの攻撃を限定的なものにしたかといえば、たとえ米国がシリアに本格的に介入して、アサド政権を崩壊させたとしても、反政府勢力が反米政権を築くか、反政府勢力同士でさらなる内乱に発展するだけで、米国に勝利はないからです。

であれば、米国としては、アサド政権と反政府勢力を拮抗させておくのがベストの戦略であり、だからこそ今回は化学兵器を持ったアサド政権側が力を強めことを阻止して、反政府勢力と拮抗させたのです。

アサド

その後は、アサド政権の力が強まれば、反政府側に武器を提供して、再度拮抗させます。反政府側の勢力が強まれば、反政府側への武器の提供をやめて、再度拮抗させます。米国は、しばらくこのような対処の仕方をするでしょう。

現在は、このような戦略をとるつもりはなかったとしても、いずれはそうなることでしょう。アサド政権も反政府勢力のいずれも生かさず、殺さずの拮抗状態にしておけば、まずは米国をはじめ西側諸国に害が及ぶことはあまりありません。

しかし、北朝鮮の場合は違います。北朝鮮では、金王朝を滅ぼせば、すぐに米国の勝利となります。北朝鮮には、強力な反米の反政府勢力などありません。金正恩を殺害しただけでは、軍部が抵抗を続ける可能性もありますが、軍部の上層部を殺害したり、拘禁して無力化すれば、それが米国の勝利となります。

このあたりを理解せずに、核武装をすれば、金王朝と北朝鮮は安泰と金正恩が考えた時、悲劇に見舞われることになるでしょう。

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2018年3月27日火曜日

北京訪問の要人は金正恩氏―【私の論評】南北統一で核武装をした先進国なみの経済力を持った独裁国家が生まれることを習近平は懸念している(゚д゚)!

北京訪問の要人は金正恩氏

本日の産経新聞号外
【産経新聞号外】金正恩氏が訪中[PDF]

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が26日から北京を訪問し、27日までに複数の中国共産党の指導者と会談したことがわかった。中国共産党当局者が明らかにした。

 同当局者によれば、中朝双方は今年初めから金正恩氏の訪中時期などについて交渉していた。中国側は、北朝鮮が核放棄に向けて取り組む姿勢を示すことを金氏訪中の条件にしていたという。今回、訪中が実現したことは、北朝鮮から前向きな回答を得た可能性がある。

 朝鮮半島情勢をめぐり、4月に南北首脳会談、5月までに米朝首脳会談が行われる予定で、金氏は今回の訪中で、最大の保護国である中国の指導者と事前協議を行うものとみられる。

 北朝鮮の最高指導者の訪中は、2011年5月の金正日総書記以来、7年ぶり。金正恩氏の訪中は最高指導者として初めて。

【私の論評】南北統一で核武装をした先進国なみの経済力を持った独裁国家が生まれることを習近平は懸念している(゚д゚)!

この動きは、当然のことながら、4月末に開催される南北首脳会談、ならびにその後に控える米朝首脳会談にあわせて様々な調整をするためのものでしょう。

南北首脳会談が、核放棄につながるかどうかは疑わしいです。ただし、この会談自体は前向きにとらえていいでしょう。これまで安倍晋三首相とドナルド・トランプ米大統領が、北朝鮮の核放棄に向けて経済制裁を行った一定の成果だといえます。

北朝鮮は南北対話が続く限り、新たな核・ミサイル実験を行わないとも表明し、非核化の意思も示していますが、これも日米の要求に沿ったものでしょう。

しかし、制裁の解除については慎重にすべきです。北朝鮮が本当に核開発を放棄するかどうか分からない中では、核放棄が目に見えて初めて制裁を解除するという姿勢をとるべきです。

この姿勢を続けるには政治の安定が必要となります。野党は森友問題を持ち出し、安倍政権の倒閣運動をしているが、いまはそんな時ではありません。朝鮮半島の安定のためにも安倍政権を退陣させるべきではありません。

本日佐川氏の証人喚問が行われたが、予想通り何の新しい事実も出てこなかった

さて、文政権は北との連邦制を目指して動いていくことになるとみられています。文氏自身は表向きは北に非核化を訴えていますが、連邦制が実現すれば、北の核を手に入れ、自衛に使えるようになります。そうなれば2~3年で在韓米軍が撤退するという話にもなってくるかもしれません。

ただし、それは文在寅が描くシナリオです。もし、そういうことになれば、このブログで以前から述べているように、日米は無論、中露からも、核武装した南北統一朝鮮が朝鮮半島に出来上がることはかなりの脅威です。

韓国には、他の先進国よりは遅れ気味ながら、それなりに科学技術力があります。さらに経済的にもGDPはロシアなみです。この韓国が、核武装した北朝鮮と統一されることになれば、朝鮮半島にロシアの経済力を超えた核武装した軍事独裁政権ができあがるかもしれません。

その独裁者が、金正恩であったにしても、まかり間違って文在寅であっても、日米中露やアジアの他の諸国にとってもかなりの脅威です。

今回、金正恩氏が中国を訪問したのは、金正恩氏にはそのような気はないことを習近平に伝えるためであると考えられます。

習近平

金正恩は、自分は習近平政権と決別するつもりであると、習近平に見られているかもしれないとの危惧があったと思われます。

南北閣僚級会談が開かれた今年1月9日は、北朝鮮が中国に設立した合弁企業や全額出資企業を閉鎖するデッドラインでした。さらに、正恩は朝鮮半島についてはわれわれが決めるという気持ちで南北会談をはじめたと習近平に受け取られたかもしれないと懸念を抱いたと思います。

実際金正恩は、そのように考えたとしても、無理からぬところもありました。1年前にマレーシアで北朝鮮のキム・ジョンナム(金正男)氏が暗殺された事件について、中国政府関係者は、北朝鮮のナンバー2とされたチャン・ソンテク氏が以前、中国を訪問した際、当時の胡錦涛国家主席に対し、ジョンナム氏を北朝鮮の最高指導者にしたいという意向を明らかにし、この情報が金正恩朝鮮労働党委員長に伝えられたことが事件の引き金になったという見方を示していました。

これに加えて、習氏は政権内で北に近い人間を排除してきましたし、北にとってはイランなど親しい国がいくつもあります。そのため、習近平は、金正恩は金王朝にとって中国はもはや不要であると考えているのではないかとの懸念を抱いているということは十分考えられることです。

そうして、その金正恩が、南北統一朝鮮の独裁者なれば、中国と国境を接する朝鮮半島に、核武装をした先進国なみの工業力と経済力を持った独裁国南北統一朝鮮ができあがることになり、中国にとっては脅威です。

無論、ロシアのプーチンにとっても脅威です。北朝鮮は貧乏な国ですが、南北統一朝鮮ともなれば、GDPは確実にロシアを上回ることになります。日米中露ともに脅威を感じる南北統一朝鮮は出来上がる前に、潰されて、半島に北朝鮮でも韓国でもないいくつかの中立的な国々をつくられてしまう可能性も多いにあります。

双眼鏡をのぞくプーチン

しかも、北朝鮮は元々はソ連が建国した国です。ソ連と親和的な南北統一朝鮮が出来上がることも、習近平は懸念しているかもしれません。

今回の金正恩の中国訪問は、そのような習近平の懸念を払拭するためであると考えるべきです。

南北会談、米朝会談が行われたにしても、中国が北朝鮮の敵にまわってしまえば、すべてなし崩しになってしまう可能性もあります。これだけ、周到に南北会談、米朝会談に対して、準備をするのですから、やはり日米、さらには中国の北への制裁は、かなり効き目があったとみるべきです。

それにしても、以下に示すように、北朝鮮は何度も約束を反故にして裏切りを続けています。

1994年:米朝協議
アメリカが軽水炉2基の建設を支持し、重油も提供。その代わりに、北朝鮮が核開発を凍結することで合意。ところが、北朝鮮は裏で核開発を続け、後に核兵器の保有を表明
2005年:6か国協議で北朝鮮が全ての核兵器を放棄することを約束
しかし、2006年10月に北朝鮮は初の核実験を実施
2007年:6か国協議で寧辺(ニョンピョン)核施設の閉鎖・封印を約束
しかし、北朝鮮は核実験・ミサイル発射など挑発行為を継続
2012年:米朝合意 ウラン濃縮や核実験の一時停止
しかし、2013年に北朝鮮は核実験を実施
これだけ、過去に裏切ってきたのですから、南北首脳会談でも、米朝会談でも、核関連施設の査察の方法なども詳細に定めて、それに違反することがあれば、日米中露はすぐにも制裁や武力攻撃できるようにすべきです。

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2017年4月21日金曜日

半島に米原潜など50隻集結! 金正恩氏はのど元に「トマホーク」を突き付けられている状況―【私の論評】世界最大の原潜「ミシガン」がなりを潜めている!トランプ大統領は本気だ(゚д゚)!

半島に米原潜など50隻集結! 金正恩氏はのど元に「トマホーク」を突き付けられている状況

世界最強の攻撃型原潜、米海軍のバージニア級 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
朝鮮半島の周辺海域で「水面下の戦い」が繰り広げられている。米国と北朝鮮、中国、日本、韓国、ロシアなどの50隻前後とみられる潜水艦が、息を殺して、お互いをけん制しているのだ。ドナルド・トランプ米大統領は「無敵艦隊を派遣した。空母よりずっと強力な潜水艦も持っている」と、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に警告した。水中から巡航ミサイルのターゲットにされた正恩氏は、「6回目の核実験」を強行できるのか。

 「アジア太平洋地域の平和と安全にとって、北朝鮮は最も危険で差し迫った脅威だ」「われわれはいかなる攻撃をも打ち負かし、通常兵器や核兵器が使用された際にも、米国は圧倒的かつ効果的に対応する」

 マイク・ペンス米副大統領は19日、米軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)に停泊中の原子力空母「ロナルド・レーガン」の艦上で、米兵や自衛隊員らを、こう強く激励した。

ロナルド・レーガンの艦上で、米兵や自衛隊員らを激励したマイク・ペンス米副大統領
 北朝鮮は来週25日の「建軍節」(朝鮮人民軍創建記念日)に合わせて、「6回目の核実験」や「ICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射」を強行する可能性が指摘されている。

 いずれも、トランプ政権が設定する「レッドライン」(越えてはならない一線)といわれ、北朝鮮が暴挙に踏み切った場合、トランプ氏は「斬首作戦」「限定空爆」を命じることも示唆している。北上が遅れていた原子力空母「カール・ビンソン」も、25~28日頃には朝鮮半島近くの日本海に到着する見込みだ。

 中国の習近平国家主席は、トランプ氏がシリア攻撃で見せた覚悟を受けて、北朝鮮の暴発を押さえ込もうと、さまざまなチャンネルで交渉を試みているとされる。

 朝鮮半島をめぐる神経戦が続くなか、周辺海域では「究極のステルス兵器」といわれる潜水艦の情報が相次いでいる。

 ペンス氏が韓国を訪問し、北緯38度線の非武装地帯(DMZ)視察した17日、米海軍のロサンゼルス級原子力潜水艦「シャイアン」が、米軍佐世保基地(長崎県佐世保市)がある同港内で一時浮上し、約45分間で海の中に消えたという。フジテレビが同日伝えた。

 シャイアンはロス級62番艦で、2003年に始まった「イラクの自由作戦」(イラク戦争)に参加し、最初に巡航ミサイル「トマホーク」を打ち込んだ攻撃型潜水艦として知られる。

 軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「シャイアンは、イラク戦争で戦果を挙げた。実戦経験のある主力艦を見せつけることで、北朝鮮や中国を威圧する狙いがあったのだろう。佐世保に寄港し、「トマホーク」を補給した可能性もある。浮上したのはシャイアンだけだが、米軍は朝鮮半島の周辺海域に、複数の攻撃型原潜を展開しているはずだ」と分析した。

 米軍は、北朝鮮のICBM発射などに備え、迎撃ミサイルを搭載したイージス艦16隻を周辺海域に展開しているとの情報がある。加えて、数十発の巡航ミサイルを搭載した攻撃型潜水艦も周辺海域に潜んでいるようだ。

 北朝鮮の首都・平壌(ピョンヤン)と、朝鮮半島西側の黄海は50キロ程度しか離れていない。潜水艦からのミサイル攻撃は秘匿性があり、敵に探知されにくいため打撃力がより高まる。正恩氏はのど元に「トマホーク」を突き付けられている状況といえる。

 当然、北朝鮮の潜水艦や潜水艇も潜行しているはずだ。そして、「血の友誼(ゆうぎ)」を結ぶ中国軍も動き出した。

 韓国・中央日報(日本語版)は14日、中国海軍の北海艦隊と東海艦隊が潜水艦を10隻ずつ、朝鮮半島の周辺海域に急派したと伝え、狙いについて以下のように伝えた。

 《中国軍は(中略)戦争勃発の可能性に備えている》《米国と北朝鮮の武力衝突が発生する場合、最初に米軍は、韓国と日本に脅威となる(水中からミサイル『北極星1号』を発射した)北朝鮮『新浦(シンポ)級潜水艦』を打撃する。(中略)中国海軍は新浦級潜水艦を監視追跡する》

北朝鮮『新浦(シンポ)級潜水艦』
 前出の世良氏は「米韓合同軍事演習が始まってから、中国は朝鮮半島周辺に潜水艦を派遣している。米軍艦船が集結するなか、潜水艦の作戦遂行に欠かせない各艦のデータを集める狙いだろう。中国海軍が20隻派遣しているなら、米海軍も同程度の派遣をしている可能性がある」と語った。

 米国と中国が20隻ずつ計40隻前後とすれば、北朝鮮や韓国、日本、ロシアなどの潜水艦も合わせれば、周辺海域に50隻程度が静かに集結している可能性もある。まさに、各国艦が海中でにらみ合っている状況だ。

 評論家で軍事ジャーナリストの潮匡人氏は「潜水艦は極めて秘匿性が高く、当局者ですら知らないことがある。緊迫した情勢下では、さまざまな情報が出てくる。火のないところに煙は立たない。何らかの動きの片鱗(へんりん)であり、1つ1つの事実を積み上げていくしかない。水面下での神経戦は今後も続くだろう」と語った。
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さて、上の記事では、北朝鮮、韓国、日本、ロシアなどの潜水艦も合わせれば、周辺海域に50隻程度が静かに集結している可能性があると掲載されていました。

当然といえば、当然でしょう。日本の潜水艦も間違いなく、潜伏していることでしょう。そうして、このブログでも過去に何度かこのブログに掲載してきたように、日本の潜水艦は世界一ステルス性が優れているため、米軍は別にして、北朝鮮、中国、ロシア側にはいつさいその位置を知られることなく、隠密裏に行動し、哨戒活動などにあたっていることでしょう。

そうりゅう型5番艦 SS-505ずいりゅう
これに対して、北朝鮮の潜水艦のステルス性などとるに足らないほどの性能の低さであり、日米は北朝鮮の潜水艦の行動を丸裸にでもしたような状態で逐一把握していることでしょう。日米の潜水艦隊にとっては、北朝鮮の潜水艦は赤子の手をひねるように簡単に撃沈できます。SLBMを発射するような不穏な動きを見せた途端に、あっと言う間に撃沈してしまうことでしょう。

さて、その他にも、日本の哨戒機なども、哨戒活動にすでにあたっている可能性もあります。日本の哨戒機などの哨戒活動もこのブログに何度か掲載してきたように、世界トップクラスの水準であるため、これも使わない手はないはずです。すでに以下のようなニュースも伝わってきています。

日本の対潜哨戒機P3C
韓国国防省によると、韓国南部の済州(チェジュ)島沖の公海で今月3日、日米韓による北朝鮮の潜水艦を探知、追跡する合同訓練が始まりました。3カ国合同での訓練は初めてでで、5日まで行われました。 
訓練には、海上自衛隊から護衛艦「さわぎり」とP3C哨戒機、ヘリが、米韓海軍からはイージス駆逐艦やヘリ、哨戒機などがそれぞれ参加。北朝鮮の潜水艦が海域に展開していることを想定した上で、これを探索、識別、追跡し、3カ国で情報を交換します。北朝鮮が潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の開発などを進めていることに対応するため計画されました。 
護衛艦「さわぎり」
韓国国防省では、今回の訓練が昨年12月の日米韓防衛実務者協議で話し合われてから初の実施であるとしており、北朝鮮の核とミサイルの挑発に対し3カ国の強力な対抗姿勢を示すものであることを強調しています。
その他米国からは、北朝鮮有事にあわせて、普段はなかなか見られないような様々な艦船や航空機が日本に来ています。以下に、それを掲載します。無論これは、軍事行動なので、直接米軍が公表したものではありません。たまたまそれを発見したマスコミなどが分析してわかったものです。

まずは、コンスタントフェニックスという航空機です。これは先日日本の沖縄嘉手納基地に展開されたばかりです。


この航空機の胴体の「UNITED STATES AIR FORCE」の文字の下に出っ張りが付いています。 高い高度を飛びながらこの部分から空気を取り入れます。この中にフィルターがあって、空気中のこまかい塵を集めます。

その塵の中には、核実験で発生した生成物質があるかもしれません。あるいはアルゴンとかラドンとかの放射性のガスがあるかもしれません。

そういった物質がどういう種類でどのくらいの割合で出てきているかを調べると元の核爆弾はウラニウムなのかプルトニウムなのか、どちらにせよどのくらいうまく爆発したのか、あるいはあんまりうまく爆発しなかったのかなどを分析できるのです。これは世界に2機しかありません。コンスタントフェニックスは飛びながらその微粒子を機内ですぐに、ある程度分析する能力もあります。

さて、さらに珍しい船が沖縄と横浜で確認されています。


上の写真は、沖縄の那覇軍港に停泊する、「Cチャンピオン」というアメリカ海軍の特殊部隊「シールズ」の訓練支援用の船です。この船自体は民間の船ですが、アメリカ海軍が雇って使っています。船の後ろの部分に赤いクレーンのようなものがあって、そこに今は一隻RHIBっていう高速ゴムボートを積んでいます。

ある書籍によると、アメリカ海軍特殊部隊シールズが敵地に潜入する時に使う特殊作戦用小型潜水艇SDVが積まれることがあるというのですが、この写真では確認できません。

しかし、この船が来ているということは日本の周辺で海軍特殊部隊シールズが何かの訓練をしているということを、うかがわせます。確かに米韓演習ではこの船が上陸演習も実施しています。日本でも、シールズが海から陸に上陸し海岸を偵察してくるような演習をやっているのかもしれません。いずれにせよ、今ネイビー・シールズが日本周辺にいるのかもしれないという事実を示すものかもしれません。

さて、次は横浜で発見された艦船です。


これは、アメリカ海軍の遠征ドック型輸送船「モントフォードポイント」という船です。変わった形をしています。

真ん中を削ったような形をした船ですが、この船が何をするかというと、まず、沖合で他の船に横付けして戦車とかトラックとか車輌をおろします。さらにLCAC(エルキャック)という上陸用のホバークラフトを搭載していて、そのLCACに戦車やトラックを乗せて、LCACがモントフォードポイントから発進して海岸まで運ぶのです。

つまり港のないところでもモントフォードポイントがあると戦車やトラック、あるいは兵士を陸揚げすることができるのです。

つまりこの船は、上陸作戦の支援用のとても大きな船なのです。LCACが3隻ぐらい乗ります。輸送用のホバークラフトLCACはモントフォードポイントが船体を傾けることで船上から海上に移動させることができます。

モントフォードポイントは「動く海岸」のようなものです。この船が傾き、下のイラストのようにのにLCACというホバークラフトがこの船を海岸に見立てて行き来できるのです。この船の中にはタンクが42個あってタンクに水を入れることで傾きを調整するようになっています。全長240mもあります。


さて、アメリカのトランプ大統領がFOXビジネスネットワークの番組、「モーニングス・ウィズ・マリア」で自ら空母派遣について言及しました。

ブログ冒頭の記事にもあるように、トランプ大統領は、この番組の中で対北朝鮮問題にふれ「我々は無敵艦隊(カール・ビンソン打撃群)を送りつつある。とても強力だ。我々は潜水艦も保有している。大変強力で空母よりももっと強力なものだ。それが私の言えることだ」と発言していました。そうしてカールビンソンはまもなく朝鮮半島周辺のいずれかの海域に到着します。

この番組で、空母より強力な潜水艦というのはどんな潜水艦なのか、トランプ大統領が具体的に何を言っているのか断定はできませんが、アメリカ海軍は4隻、太平洋側と大西洋側に2隻ずつ改良型オハイオ級巡航ミサイル潜水艦を持っていますおそらくそれを意味するものと思います。

さて、「ミシガン」というオハイオ級原子力潜水艦もブログ冒頭の記事にある、朝鮮半島付近の海域に展開されていることが考えれます。この潜水艦は特殊部隊シールズを乗せることができるだけでなく、巡航ミサイルのトマホークを1隻で最大154発、水中から連射できるのです。

オハイオ級原子力潜水艦はアメリカ海軍が現在保有する唯一の戦略ミサイル原子力潜水艦(以下SSBNと表記)です。西側諸国で最大の排水量を誇る潜水艦であり、また全長と弾道ミサイル搭載数は現役の潜水艦で最大です。

先日のシリアの攻撃の時に駆逐艦2隻で発射したトマホークの数が59発だからその規模がとんでもないことがわかります。下の写真は、水中のハッチが開いて7つある発射口からトマホークが高圧空気で押し出されるところです。


このあと水上に飛び出してロケットに点火、水上すれすれを飛んで目標に向かいます。太平洋上には「オハイオ」と「ミシガン」が展開されているのですがオハイオは先ごろアメリカ本土でドック入りしたんで、今動いているとすればこのミシガンのはずです。

しかし潜水艦は、もともと隠密裏に動くものですから、米国もこの潜水艦が今どこにいるかなど公表しておらず、今どこで何をしているのか正確なことはわかりません。しかし、この潜水艦が付近に潜伏している可能性は十分あります。

ドック入りした改良型オハイオ級巡航ミサイル潜水艦「ミシガン」 その巨大さがわかる
ブログ冒頭の記事では、ロサンゼルス級原子力潜水艦「シャイアン」が米軍佐世保基地(長崎県佐世保市)がある同港内で一時浮上し、約45分間で海の中に消えたという事実を伝えていますが、「ミシガン」はこれを上回る大きなものであり、私自身は、トランプ氏が発言した「空母より強力な潜水艦」はこちらのほうではないか思います。

仮にもしトマホークを154発撃てるような代物が朝鮮半島付近をうろうろしているとしたら、これは大変な状況です。そうして、本命のミシガンが未だどこに潜伏しているのかわからないという状況が非常に不気味です。

この本命の「ミシガン」が、「シャイアン」のようにどこかに姿を表せば、今回のトランプ大統領による軍事行動も威嚇の範疇にはいるのではないかと推測できるのですが、潜伏したきりで音沙汰がないというのが、気にかかります。

やはり、トランプ大統領は今回もし北朝鮮が、核実験に踏み切った場合、何らかの軍事行動に打って出るとみておくべきものと思います。

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2017年4月5日水曜日

北朝鮮「テロ支援国家」再指定なら金正恩氏の「破れかぶれ」が加速する―【私の論評】北が日本に報復の場合、野党はそれを政治利用する?

北朝鮮「テロ支援国家」再指定なら金正恩氏の「破れかぶれ」が加速する

高英起 | デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト

金正恩

米下院は3日、北朝鮮をテロ支援国家に再指定するよう求める法案を圧倒的な賛成多数(賛成394:反対1)で可決した。法案は今後、上院を通過し、大統領が署名すれば成立する。

可決後、法案を発議したテキサス州選出のテッド・フォー議員は金正恩党委員長を「Little Kim(キムの坊や)」と呼んで小馬鹿にし、敵意をむき出しにした。

法案の内容は、ティラーソン国務長官に対し法案成立から90日以内に北朝鮮がテロ支援国家の要件を満たしているかどうかを調査し、議会に報告することを求めるものだ。

その後、再指定を求める声はあちこちで上がっていたが、北朝鮮と対立を深めたオバマ前政権下においても、その要求は通らなかった。理由はいくつかあるが、北朝鮮が現在進行形でテロに関わっている具体的な証拠がなかったこともそのひとつだろう。

しかし、金正恩氏の異母兄・金正男(キム・ジョンナム)氏殺害の背後に北朝鮮がいるのは確実と見られている上、同事件で化学兵器の神経剤VXが使用されたこともあり、トランプ政権ならば、この法案が成立することは十分にあり得る。

北朝鮮は1988年1月から米国政府によりテロ支援国家に指定されていたが、核問題をめぐる6者協議の進展を受けて2008年10月に解除された。当初は米朝関係改善の足掛かりになるとの見方もあったが、結局のところ、状況に対した変化は起きなかった。米国は北朝鮮に対して多数の法律で何重にも制裁をかけており、ひとつを解除しただけではほとんど意味がないのだ。

そこで2009年7月、オバマ前政権のクリントン国務長官(当時)は次のような提案を行った。

「完全かつ後戻りできない非核化に同意すれば、米国と関係国は北朝鮮に対してインセンティブ・パッケージを与えるつもりだ。これには(米朝)国交正常化が含まれるだろう」

インセンティブ・パッケージとは、米国が国交正常化、体制保障、経済・エネルギー支援などを、北朝鮮は核開発プログラム、核関連施設はもちろん、ミサイルなどすべての交渉材料をテーブルに載せ、大規模な合意を目指すことを念頭に置いていたものとみられる。

ところが、北朝鮮はこれにも乗らなかった。理由はおそらく、人権問題である。米国にはブッシュ政権時代に出来た、北朝鮮人権法という法律がある。日本人拉致問題も含め、北朝鮮の人権状況が改善されない限り、米国から北朝鮮への人道支援以外の援助を禁止すると定めたものだ。

恐怖政治で国民を支配する北朝鮮の体制にとって、人権問題は体制の根幹に触れるものであり、交渉のテーブルに乗せることなどできるはずがない。

(参考記事:謎に包まれた北朝鮮「公開処刑」の実態…元執行人が証言「死刑囚は鬼の形相で息絶えた」

同じ理由から、仮にテロ支援国家に再指定されたとしても、正恩氏はさして痛痒を感じない可能性がある。北朝鮮の人権侵害は、正恩氏の時代になって悪化している部分もあり、「人道に対する罪」に問われかねない立場にある同氏は、国際社会に華々しくデビューすることなどかなわなくなっているのだ。

(参考記事:「家族もろとも銃殺」「機関銃で粉々に」…残忍さを増す北朝鮮の粛清現場を衛星画像が確認

正恩氏がその状況を理解しているのならば、「テロ支援国家だろうが何だろうが、好きにしやがれ」という心境であるはずなのだ。そしてそうでなければ、衆人環視の中で兄を殺させるようなことはしないだろう。

こう考えてくると、正男氏殺害は核兵器開発や弾道ミサイル発射と同じく、正恩氏の「あきらめ」あるいは「破れかぶれ」による暴走だったとも見ることができる。

いずれにせよ、北朝鮮がテロ支援国家に再指定されれば、正恩氏の暴走は拍車がかかる可能性がある。米国の政治家はこのことをよく考え、正恩氏の暴走に対する「次の一手」を用意しつつ行動してもらいたい。

【私の論評】北が日本に報復の場合、野党はそれを政局利用する?

北朝鮮国営の朝鮮中央通信は4日、米国下院外交委員会所属の議員らが発議した従来の北朝鮮に対する制裁法をさらに強化した法案に対して、「日増しに非常に強化されるわが共和国の政治的・軍事的威力にあわてふためいた者らのたわいない妄動」と非難する論評を配信しました。

論評は、「敗れた制裁の太鼓をいくら力いっぱい叩いてもまともな音が出るはずがない。 米帝の『制裁万能論』はこの地ですでに粉みじんになり、敵対勢力内でまで対朝鮮『制裁無用論』が台頭しているのが厳然たる現実である」と主張しました。
また、「敵対勢力が決めておいた『時限』内にわれわれは地対地中・長距離戦略弾道ロケット『火星10』の試射、戦略潜水艦弾道弾水中試射、新型の静止衛星運搬ロケット用大出力エンジンの地上噴出実験、核弾頭爆発実験の相次ぐ大成功で世界を驚かし、核強国の威容を全世界に誇示した」と強調しました。
さらに、「領土があり、党と共和国政府があり、この地に流れる水と空気だけあれば、いかなる制裁・圧迫も粉砕し、自力自強で強盛復興することができるということがわが軍隊と人民の信念、意志である」としながら「われわれには、制裁が絶対に通じない。米国には『新しい法案』が必要であるのではなく、新しい思考、新しい戦略が必要である」と述べたまし。
新しい思考と戦略が必要である 朝鮮中央通信社論評 
【平壌4月4日発朝鮮中央通信】最近、米議会下院が「対北朝鮮取引関連制裁強化法案」を通過させようとしている。 
わが国を国際金融システムから完全に排除しようとする悪らつな目的を追求することを骨子とするこの「法案」は、米国の旧態依然とした反共和国制裁圧殺策動の連続として、別に新しいものではない。 
にもかかわらず、何らの意義でもあるかのように採択劇を考案して奔走するのは、日増しに非常に強化されるわが共和国の政治的・軍事的威力にあわてふためいた者らのたわいない妄動としかほかには見られない。 
特に、問題の「法案」が対朝鮮政策で完全な失敗を自認した前オバマ行政府時期の「2016年対北朝鮮制裁および政策強化法」を修正、補充してつくられたという事実は、米国が窮余の策に執着しているということを自らさらけ出したことになる。 
しかし、敗れた制裁の太鼓をいくら力いっぱい叩いてもまともな音が出るはずがない。 米帝の「制裁万能論」はこの地ですでに粉みじんになり、敵対勢力内でまで対朝鮮「制裁無用論」が台頭しているのが厳然たる現実である。
破たんしきった「制裁強化」騒動で名実相伴う核保有国の政治的・軍事的威信を阻んでみるということ以上に無駄な妄想はない。 
米帝とその追随勢力が昨年3月、新しい「制裁決議」を作り上げて未曾有の制裁を加えれば6カ月内にわれわれが屈すると豪語したが、その判断がいかに愚かだったのかを振り返ってみろ。 
まさに、敵対勢力が決めておいた「時限」内にわれわれは地対地中・長距離戦略弾道ロケット「火星10」の試射、戦略潜水艦弾道弾水中試射、新型の静止衛星運搬ロケット用大出力エンジンの地上噴出実験、核弾頭爆発実験の相次ぐ大成功で世界を驚かし、核強国の威容を全世界に誇示した。
勇ましい挑戦中央通信社論評なのですが、北朝鮮が国際金融システムから完全に排除されることをかなり恐れていることが、にじみでています。

再度テロ支援国家に再指定された場合には、確かに北朝鮮は核開発どころではなくなります。

アジア大会でのシンクロ北朝鮮チームの演技
北朝鮮の場合、核開発とはいっても国外から工作機械や部品などを購入しなければ、自国だけでは何もできません。北朝鮮のミサイル、核兵器は実は日本製と言っても良いくらのものです。

このことは、昨年の出来事をみても明らかです。北朝鮮のミサイル関連企業に関与した在日研究者が、再入国禁止の対象者とされたのです。

日本政府による北朝鮮への独自制裁で、訪朝後の再入国を原則禁止した在日本朝鮮人科学技術協会(科協)の5人のうち、1人はロケットエンジン開発の権威とされる東大出身の博士号を持つ研究者で、北朝鮮のミサイル関連企業に関わっていた。共同通信による公安関係者への取材で昨年の3月19日、明らかにされたのです。

公安関係者によると、これに関係する企業は北朝鮮の元山市にある「金剛原動機」で、ミサイルのエンジン開発に関与している疑いがあります。経済産業省は大量破壊兵器開発の懸念があるとして、機械や技術を輸出する場合には許可が必要となる「外国ユーザーリスト」に載せています。

このような事実からもわかるように、北朝鮮のミサイルや核兵器の開発の為に、日本国内にある在日社会と、その支援者が物心両面で広く手助けしたに違いないのです。

不思議なことに、日本社会が北朝鮮と在日社会の密接な繋がりを知りながら黙認し続けています。朝鮮総連も朝鮮学校も、何故かそのまま容認されているのです。

かつて北の二代目独裁者、金正日は、「在日朝鮮人の70%が、30兆円市場である日本のパチンコ産業に関わっており、その送金がわが国を支えている」とまで語っていたました(「日本のパチンコ産業が北朝鮮を支えている」…金正日会談議事録)。

日本はそれを放置し続け、ついに北朝鮮は核とミサイルを手にし、日本をその標的とし、いずれ米国をも標的内に収めようとしているのです。

今となっては、手遅れな感もありますが、この問題はなんとかすべきです。

金正恩がまともに論理的に合理的に物事を判断できれば良いのですが、「破れかぶれ」が加速すれば、何をするかわかったものではありません。

このブログにも掲載したように、米国が北朝鮮を攻撃をする可能性が高まっています。その場合、北朝鮮の報復の可能性は高いです。50万発の砲弾が韓国の首都ソウルに降り注ぐといわれていますし、日本には核ミサイルを打ち込むことも懸念されています。さらには、すでに日本に潜伏している北朝鮮の工作員が日本国内で、テロ活動を行う可能性もあります。

北朝鮮による砲撃訓練
そのような最中に、日本の国会では森友問題にばかり時間が割かれ、テロ等防止法の審議も遅れていますし、民進党をはじめとする野党はこれに反対するばかりです。そうして反対する目的は、安倍政権打倒です。

一体野党は、日本と日本人を守るという考えがあるのでしょうか。私が仮に彼らの立場なら、一触即発の北朝鮮情勢を踏まえて、この危機に備えるために、テロ等防止法の時限立法などを立案して、成立を急ぎ今そこにある危機に備えると思います。

このままだと、日本に北朝鮮のミサイルが打ち込まれたり、北の工作員がテロ活動を甚大な被害が出た場合野党は、安倍政権が悪いと糾弾し、政権打倒の道具にしようとするのではないでしょうか。恐ろしいことです。しかし、今のテロ等防止法などへの対応をみているとそのような雰囲気です。

そのようなことは、絶対にないと思いたいところですが、何でも政局に利用する最近の民進党をみていると、本当に人非人のような仕業をするのではないかと思えてきます。

米軍が北朝鮮を先制攻撃したとしても、日本にはほとんど北朝鮮の報復が及ばないということも十分にありえます。その反対に、北朝鮮の報復にあって、日本が甚大な被害にあったとしても、日本国がそれで消滅することはないです。日本はまた立ち直り、復興することになるでしょう。

いずれの場合においても、当面の脅威が過ぎ去るまで、私たちは政治の動きをしっかり見守り、駄目な政党、駄目な政治家のことをしっかり把握しておき次の選挙の判断材料にすべきです。

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2017年3月11日土曜日

韓国狂乱…朴氏、不訴追特権失い逮捕・起訴の危機 文在寅氏が大統領なら「赤化統一」―【私の論評】米の正恩斬首作戦実行可能性が高まった(゚д゚)!


憲法裁の罷免決定を受けて、太極旗を手に泣き叫ぶ朴大統領の支持者たち
=10日、ソウル中心部    写真はブログ管理人挿入   以下同じ
韓国の国会から弾劾訴追された朴槿恵(パク・クネ)大統領について、憲法裁判所は10日、全員一致で罷免を認めた。韓国で現職大統領の弾劾成立は初めてとなる。即時失職し、不訴追特権を失った朴氏は逮捕・起訴の危機に立たされた。60日以内に実施される次期大統領選は5月9日投開票が有力だが、「従北」「反日」の極左候補が優勢に戦いを進める。韓国を覆う「悪夢のシナリオ」が現実味を帯びてきた。

朴槿恵大統領弾劾審判宣告日の10日午前李貞美裁判官は、憲法裁判所に
入る際に、緊張のあまり髪にパーマ用のカール挿したまま入庁した。
 ソウル中心部の憲法裁近くの路上に設置された大型画面で朴氏の失職決定の瞬間が生中継されると、「反朴派」は大きな歓声を上げ、歴史的決定を抱き合って喜んだ。

 「親朴派」もいったん静まりかえった後、怒りを爆発させ、警戒中の機動隊と衝突した。警官約2万人が厳戒態勢のなか、騒乱状態が続いた。

 午前11時に始まった決定言い渡しでは、朴氏が長年の友人、崔順実(チェ・スンシル)被告による私的な利益追求に関与、支援したと認定した。さらに崔被告による国政介入の事実を徹底的に隠蔽し、捜査にも協力しなかったと批判、憲法を守る意志がなかったと指摘し、裁判官8人全員が罷免に賛成した。

 韓国大統領の罷免は1948年の建国以来、初めて。決定に異議を申し立てる制度はないとされ、朴氏はこの瞬間に失職、大統領ではなくなった。

 朴氏は2013年2月、韓国初の女性大統領に就任。1979年に暗殺された父、朴正煕(パク・チョンヒ)大統領(当時)と同じく任期を全うできなかった。87年改正の現行憲法下で5年の任期を終えられなかった大統領は朴氏が初めて。

 韓国では、現職の大統領は内乱罪などを除き、刑事訴追されないという特権がある。だが、大統領を罷免された朴氏はただの人に戻る。容疑が濃厚であれば、検察は朴氏を逮捕できる。

 朴氏と崔被告の疑惑を捜査してきた特別検察官(特検)は2月28日、朴氏について、韓国最大の財閥であるサムスングループの経営トップで、サムスン電子副会長の李在鎔(イ・ジェヨン)被告側から、約430億ウォン(約42億円)の賄賂を受け取った「容疑者」と認定した。

サムスン電子副会長の李在鎔(イ・ジェヨン)
 その後、特検は検察に捜査を引き継いだ。このため、検察も朴氏を「容疑者」として扱うことが予想され、「Xデー」が近づいたといえる。

 一方、朴氏の失職に伴い、大統領選は本来の12月から大幅に前倒しされ、60日以内に実施されることになった。韓国メディアは大統領選の日程について5月9日を有力としている。

 韓国の世論調査機関「リアルメーター」が今月9日に発表した調査では、最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表が36・1%で1位、大統領代行を務めている黄教安(ファン・ギョアン)首相が14・2%、共に民主党所属の安煕正(アン・ヒジョン)忠清南道(チュンチョンナムド)知事が12・9%で続いている。

 大統領レースを独走中の文氏だが、韓国だけでなく、日本、世界まで危機に陥れかねない危険な人物なのだ。

文在寅(ムン・ジェイン)
 文氏は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権で大統領秘書室長を務めていた2007年、国連の北朝鮮人権決議案が採択される前に北朝鮮の意見を求め、韓国の決議を棄権させていたことが当時の外交通商相の回顧録で暴露された。さらに、大統領に当選したら米国より「北朝鮮に先に行く」と発言したこともある。「親北」というより、「従北」と位置付けられる存在だ。

 韓国が不法占拠を続ける島根県の竹島(韓国名・独島)に上陸した経験もある。慰安婦問題をめぐる日韓合意や日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の見直し、さらには今月に韓国で配備が始まったばかりの高高度防衛ミサイル「THAAD」の配備延期も求めている。

 文氏が大統領になることで、北朝鮮主導による朝鮮半島の「赤化統一」や在韓米軍の撤退の恐れすら指摘されている。

 今月6日にも弾道ミサイル発射を強行した北朝鮮の脅威が距離的にも日本に近づき、日米は朝鮮海峡で北と対峙(たいじ)しなければいけなくなるのだ。

 拓殖大学の荒木和博教授は大統領選の行方について、「昔であれば、北朝鮮が何か挑発行動をすれば、保守層に傾く『左翼バネ』が働いていたが、今の若い人には通用しなくなっている。保守派にはこれといった候補もおらず、文氏当選の可能性が高いだろう」として、文氏が大統領になった後の韓国を次のように予想した。

 「米韓関係も悪くなるし、日本からすれば韓国に何を言っても話し合いができなくなるのではないか。左翼の労働組合などがやりたい放題になり、朝鮮半島全体が『学級崩壊』状態になる可能性がある。北朝鮮と同じく、国際社会から孤立する道に歩み出すかもしれない」

 相次ぐ弾道ミサイル発射に加え、金正男(キム・ジョンナム)氏殺害事件への関与も濃厚となり、北朝鮮への国際社会の目が厳しさを増しているが、韓国も歩調を合わせていく恐れがある。

 韓国はいつになれば正気を取り戻すのか。

【私の論評】米の正恩斬首作戦実行可能性が高まった(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事のように、朝鮮半島の「赤化統一」は避けられない状況になってきました。しかし、韓国の「赤化統一」は、たとえ文在寅が大統領に選出されたとしても、すぐに成就するわけではないと考えられます。ある一定期間のラグをおいて、徐々に進んでいくことが予想されます。

それについては、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【痛快!テキサス親父】韓国はまさに「赤化危機」 完全な日韓合意違反、国際的信用は失墜した―【私の論評】韓国の赤化で、半島全体が支那の傀儡になる?
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では朝鮮半島の赤化統一のシナリオを掲載しました。その部分を以下に掲載します。ただし、この記事は1月13日に掲載したものであり、金正男氏がまだ暗殺されていない時期のものであり、正男氏の名前がでてきますが、そのまま掲載します。
そうして、韓国の赤化危機が現実のものとなりました。赤化といえば、韓国に親北政権ができるということにとどまらず、韓国の弱体化に乗じて支那の動きが活溌化することでしょう。 
金正恩は、支那の意思に逆らい、核・ミサイル開発を進めています。実戦配備されれば、北京や上海はその射程圏内となり、到底、中国として見過ごすわけにはいきません。
金正恩
しかし、中国が本気で制裁を加えれば、追い詰められた金氏が暴発して、南進しかねなくなります。そうなると、たちまち米韓軍に敗北し、朝鮮半島は韓国によって統一されてしまいます。

では、支那はどうするでしょうか。手っ取り早い方法として、北朝鮮のトップを金氏から、兄の金正男(キム・ジョンナム)氏か、中国の息のかかった人物にすげ替えることでしょう。北朝鮮を支那の傀儡にして、核・ミサイルや核施設を破棄させれば、北朝鮮の脅威はなくなるかもしれません。 
しかし、支那の本音は、別のところにあります。朝鮮半島全体を赤化して日米への楯にしたいというのが本音です。北朝鮮を傀儡化した中国は、かつて北朝鮮の金日成主席が描いたシナリオ通りに、韓国を吸収させようとするでしょう。

赤化した韓国は、THAADの導入を拒否するか、導入した後に撤去することになるかもしれません。そうして支那は、それを促すため、北朝鮮と韓国に平和条約を結ぶよう勧告するでしょう。そうして、支那は韓国に平和条約を結すべばTHADDの導入は必要ないことを強調することでしょう。

THAAD導入で支那から制裁を受け、経済面に苦しい韓国は、THAADを導入を断念すれば、韓国制裁を解くといわれれば、赤化した韓国は拒否できないことでしょう。軍事境界線に配備した長距離砲の撤去など、非核化した北朝鮮が韓国の要求をのめば、平和条約が締結される可能性はかなり高くなると思います。

平和条約締結後の韓国には、在韓米軍が存在する意義がなくなくなります。韓国は、米軍の撤退を要求するかもしれません。それに呼応して、在韓米軍は大幅に削減され、いずれ撤退することになるかもしれません。
次のステップは「南北連邦国家形成」ということになるでしょう。支那の意を受けた北朝鮮の工作員が「今こそ悲願の統一だ」と民族感情を刺激し、すでに赤化している韓国の人々は「一国・二政府・二体制での統一」という建前に熱狂することでしょう。そうして「南北朝鮮民主連邦」が実現することになります。 
そして、最終段階が「北朝鮮体制での完全統一」です。支那傀儡の北朝鮮は「一国二体制は非効率だ。一方の体制に統一しよう」と国民投票を韓国側に呼び掛けることでしょう。人口が2倍いる韓国は「北朝鮮をのみ込める」と踏んで、これに応じることでしょう。 
しかし、北朝鮮は約2000万人の有権者全員が北の体制を支持します。一方、韓国側の約4000万人の有権者はそうはいきません。仮に、投票率80%とすると投票者は約3200万人。うち、600万人以上が北の体制を支持すれば、北朝鮮側の勝利となります。

大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国の人口の推移
「財閥を潰して社会格差を無くせるなら」「地獄の生活苦から抜け出せるなら」など、韓国には国全体をガラガラポンしたい衝動に駆られる住民が大勢存在します。 
国民投票で選ばれるのは、恐らく北朝鮮側の体制でしょう。そうなれば、韓国は北朝鮮にのみ込まれて「支那の属国」と化し、人々からすべての人権が剥奪されることになります。その時韓国は、真実の「HELL(地獄)のKOREA(韓国)」となるのです。 
上のシナリオは、悪夢のようですが、オバマ大統領の任期がもう少し長ければ実現したかもしれません。トランプ大統領の登場で上記のようなシナリオは成り立ちにくい状況となるでしょう。 
トランプ新大統領は、 韓国がTHAADの導入を断念したり、導入後廃棄などということは絶対にさせないでしょう。そうなれば、支那は対韓国制裁をやめることはないでしょう。 
しかし、日韓合意を簡単に翻すことができると思い込む韓国人が多数存在し、政府がそれを制御出来ない現状をみると、韓国に親北政権ができあがり、赤化した場合、似たようなシナリオで、朝鮮半島全体が赤化される可能性を否定することはできません。
この記事にもあるように、トランプ政権がやすやすと韓国を支那の傀儡国家にするとは考えられません。そうなると、このブログで何度か掲載してきたように、金正恩の斬首作戦が実行される可能性が高くなってきたのではないかと思わます。

この斬首作戦に関しては、以前にもこのブログに掲載したことがありますので、ここでは再度詳細を説明しません。以下にそのリンクを掲載します。詳細を知りたい方は、この記事を御覧ください。
米軍、金正恩氏「7日で排除」3月にも世界最強の軍事力行使か、韓国紙は日本配備のステルス戦闘機に言及―【私の論評】まさに、朝鮮半島は戦争前夜(゚д゚)!
故金正日総書記の生誕記念日「光明星節」を記念して開かれた
シンクロナイズドスイミングの公演=2月15日、平壌
金正男氏が暗殺され、韓国が赤化され、さらに朝鮮半島が完全赤化統一され、さらに支那の傀儡になるという事態になれば、これは日本にとっても安全保証上の大脅威ですし、アジアの安全保証にとつても重大な脅威であり、米国にとっても、南シナ海に次いで大きな脅威となります。

もし、朝鮮半島が赤化統一されれば、米軍は現在は韓国が北朝鮮や中国の緩衝地帯となっていたものが、それがなくなり、日本が韓国に変わって支那に対抗するための、最前線基地になることになります。

そうなれば、米国としては日本に自国の防衛を任せるというだけでは、アジアの安全保障が十分とはいえなくなるので、現在よりも強大な軍事力をアジア方面にさかなければならないことになります。

従来のオバマ大統領だと、そのような状態を自ら招いてしまったかもしれません。しかし、トランプ氏はそうではありません、朝鮮半島が赤化統一はどう考えても、米国の軍事的負担が増えるのは間違いないので、それを避けるために何らかのを手を打ちます。そのうちの、最も有効な手段が、金正恩氏の斬首です。

金正恩氏を斬首されれば、北朝鮮そのものが崩壊する可能性が大です。崩壊して無政府状態で核兵器が存在するということになれば、それもかなり危険なことです。国の体裁もなしていないような、ならず者が核兵器を所有することになります。これは、ISが核兵器を所有するという状態にも似た恐ろしい事態です。

そうして、その時に一番悪影響を被るのが、支那と韓国です。この状況に韓国が覚醒すれば良いのですが、そのようなことは期待薄です。北朝鮮とはロシアも国境を接しています。そうなると、支那、米国、ロシアによる信託統治などということも考えられます。実際そのような噂も流れているようです。

以上のようなことから、米国は現在のところは、韓国の状況の様子見をしていると考えられますが、韓国赤化が現実になることが確実になった場合には、金正恩斬首作戦を実行し、北朝鮮と支那を牽制し、韓国の立て直しをはかる可能性が大です。

その際には、朴槿恵元大統領の腐敗に匹敵するか、それ以上の韓国内の親北派の腐敗ぶりが、明るみに出され、韓国内は大混乱に陥ることでしょう。

今後の韓国の赤化の問題は今後の米国のアジア戦略にも大きな影響を与えるはずですが、これは無論日本にとっても大きな問題です。また、米国が金正恩斬首に踏み切るときには、日本もこれに必ず何らかの形で関与し、北朝鮮による拉致被害者問題解決の緒にすべきです。

そうして、もしも、北朝鮮の体制が崩れて、国連の信託統治ということにでもなれば、拉致被害者問題の解決は、かなり早まることになります。

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