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2019年11月16日土曜日

文在寅、北の亡命希望者を「強制送還」で地獄送りに―【私の論評】GSOMIA破棄と人権問題で、米国は超党派で韓国を制裁するようになる(゚д゚)!


金正恩への阿りか?秘密裏の強制送還が露見し内外から非難囂々

11月4日、ASEAN首脳会議・関連会合での文在寅大統領

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は11月7日、海上で拿捕していた北朝鮮船員2人を北朝鮮に強制送還した。この韓国政府の対応について今、韓国内からはもちろん、国際社会からの非難が殺到している。

 7日、韓国統一部がある発表を行った。

 「11月2日、東海(日本海)上でNLLを越えて南下した北朝鮮住民2人を拿捕した。関係機関合同調査の結果、彼らが同僚の船員らを殺害して逃走したことが分かった」

 「開城工業連絡事務所を通じて2人を北朝鮮へ追放する意思を伝え、北朝鮮側が受け入れる意思を明らかにしたので、本日午後3時10分ごろ、板門店を通じて彼らを北朝鮮に追放した」

 というものだ。ちなみにNLLとは「北方限界線」の略称で、海洋上の韓国と北朝鮮の境界線のことだ。


偶然によって発覚した「強制送還」

 この日の発表によると、追放された2人の乗組員はともに20代の男性。2人はイカ釣漁船の乗組員だったが、もう1名の同僚と共謀して日本海での操業中に洋上で16人の同僚を殺害、逃走資金を調達するためいったん北朝鮮の金策港に戻った後、NLL付近まで逃走していたが、そこで韓国海軍によって拿捕されたという。韓国政府は、彼らが殺人など重大な非政治的犯罪によって「北朝鮮離脱住民法」上の保護対象ではない点、韓国国民の生命と安全に脅威となる凶悪犯罪者であり国際法上の難民として認められない点などから判断し、関連省庁間の協議結果によって追放を決定したのだという。

 ところが、この追放過程における数々の疑惑がメディアの取材によって浮かび上がり、文在寅政権が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権の機嫌を取るために、脱北者の人権を蹂躙したのではないかと、韓国中が騒然となっているのだ。


 韓国メディアが疑いを向ける第一点目は、韓国政府が今回の事件を隠蔽しようとしていたことだ。

 「強制送還」が発覚したのは、7日午前、国会予算決算委員会全体会議に出席していた金有根(キム・ユグン)国家安保室第1次長が共同警備区域(JSA)の大隊長である某中佐から受け取った文字メッセージを、報道機関のカメラに撮られたことがきっかけだった。「本日15時、北朝鮮住民2人を板門店で送還する」という内容だった。記事が公開され、国会でこの事件をめぐって大きな騒ぎが起きると、統一部が急いでブリーフィングを準備、当日午後3時40分に「強制送還」の事実を公表したのだった。

 その一方で、鄭京斗(チョン・キョンドゥ)国防部長官が国会で「報道を見て追放を知った」と証言したことで、大統領府が国防長官をスルーして報告を受けている実態も明らかになり、職権乱用の問題も指摘されている。


統一部長官による「死んでも北朝鮮に戻る」の説明は虚偽?

 疑惑の第二点は金錬鐵(キム・ヨンチョル)統一部長官の「うそ疑惑」だ。国会に出席した金長官は、事件の経緯を説明する中、「(彼らは)調査を受ける過程で様々な相反する供述をしていたが、確かに『死んでも(北朝鮮に)戻る』と陳述した」「これらの行動などを総合的に判断し、亡命の意思はないという最終結論を下した」と答えていた。

 しかしその後、韓国メディアが匿名の統一部担当者の証言をもとに、「『死んでも北朝鮮に戻る』という発言は、海上殺人事件後にいったん(北朝鮮の)金策港へ戻る途中で出た言葉で、逃避資金を用意するために金策港に戻るという意味だった」と暴露。さらに、2人が合同調査における供述書に自筆で「亡命する」という明白な意思を示していたことも明らかになった。

 そして最大の疑惑は、全長15mほどの17t級の小型木造船の上で、わずか3人(統一部によると共犯のもう1人はすでに北朝鮮で逮捕されたという)で16人もの同僚乗組員を殺害することが可能かという点だ。しかも殺害の道具は斧とハンマーだけというから、犯行の規模と釣り合いがとれない。

 韓国政府は、事件の実相をこう説明している。

「船長の過酷行為に不満を抱いた彼らは斧1本とハンマー2本だけで16人を殺した。まず、共犯の1人が40分間隔で就寝中の船員を2人ずつ起こして甲板の上に誘導する。すると船頭と船尾で待っていた2人の共犯が、甲板に上がってくる船員の頭をハンマーなどで殴り殺す。殺害後は死体を海に遺棄し、40分後、再び2人ずつ起こして甲板上に誘導した。結局、4時間で16人が殺害された」

 しかし、いくら就寝時間だったとしても、小さな船の中で長時間にわたり殺人が繰り返されていることを同僚の船員が全く気づかなかった点、「特殊要員」でもない一般の船員が「虐殺」に近い犯行をたった4時間で実行したという点、虐殺現場である船を血痕鑑識もせずに急いで消毒してしまった点など、不可解な点がいくつも残されているのだ。


目隠しされ縛られたまま板門店に連れていかれた漁船員

 また送還過程における問題点も提起されている。東亜日報は送還過程について、政府関係者から聞いた話を次のように報じた。

 「呉某氏(22)と金某氏(23)の北朝鮮住民2人は7日、中央合同調査本部で目隠しをされ、縛られたまま車に乗せられて、板門店の自由の家に直行した。彼らが強制送還の事実を知ると自害などの突発行動を起こす恐れがあるので、目的地を隠して、警察特攻隊が車両を護衛した。彼らの抵抗に備え、猿ぐつわも準備していた。

 彼らは、板門店の軍事境界線に到達して目隠しを取られて、初めて自分たちが北朝鮮に追放されることを知った。送還は、まず呉氏が軍事境界線から北朝鮮軍に引き渡され、次いで待機室で隔離されていた金氏が引き渡される形で進められた。目隠しを外した呉氏は、境界線の向こう側に北朝鮮軍3人が立っているのを見て、思わず腰を抜かして座り込んでしまった。その後に外へ出てきた金氏は、北朝鮮軍兵士を見るや愕然とし、軍事境界線を越えていった」

 北朝鮮に強制送還された脱北者は、その後、想像を絶する拷問を受けることになる。例外はない。板門店で北朝鮮軍の兵士に引き渡された彼らの絶望は察するに余りある。

批判浴びる「人権派弁護士」の人権感覚

 韓国の主要メディアは、韓国憲法3条に基づき、「北朝鮮住民も韓国国民の範囲に属する」と強調している。つまり、亡命意思を表明した北朝鮮住民に対しては、彼らがたとえ凶悪な殺人犯としても、韓国司法当局の裁判によって処罰を受けるべきだと主張しているのだ。さらに、文在寅政権がたったの5日間の調査によって、亡命を希望した北朝鮮住民を、残酷な拷問や極刑が予想される北朝鮮に送り返したことは「国際人権法違反」と非難している。

 国際社会からも非難が絶えない。英BBC放送は、「デービッド・アルトン英国上院議員が自身のホームページに、『韓国は一体どういう考えで、難民を北朝鮮に送ったのか』というタイトルの文章を掲載して、韓国政府が難民に対する義務を果たしていないと批判した」と伝えた。

 国際人権団体のアムネスティは、「今回の事件を国際人権規範違反と見なす」という立場を示した。米国の人権監視機関のヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)も声明を発表し、「韓国政府の措置に違法の素地がある」「(韓国政府の)迅速な送還措置は、拷問等禁止条約を黙殺(disregard)した」と批判した。

 国連の人権業務を総括する国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)も「2人が、送還によって拷問と処刑をうける深刻な危険に直面していることを懸念する」と明らかにした。朝鮮日報は、「今月末に訪韓予定のトマス・オヘア・キンタナ国連北朝鮮人権特別報告官は、『(今後の)措置について、関連(南北)政府と接触中』と明らかにした」と伝え、国連が近々韓国外交部に今回の送還事件についての懸念メッセージを伝え、事実関係を問い合わせる見通しだと解説した。まさに国際社会や人権団体から非難囂々なのだ。

 「人権ファースト」を掲げた公約で政権を握った「人権弁護士」出身の文在寅大統領、OHCHR副代表の経歴を自慢する康京和(カン・ギョンファ)外交部長官は、「反人権的な送還」という国際社会の非難をどう受け止めるだろうか。


【私の論評】GSOMIA破棄と人権問題で、米国は超党派で韓国を制裁するようになる(゚д゚)!

韓国政府が、北の亡命希望者を「強制送還」したことは、完全な違法行為です。そもそも、韓国は北朝鮮と犯罪者引き渡し条約を結んでいません。

引き渡し条約がなくても、引き渡しできる場合もありますが、それには幾つかの手続きが定められています。

まず、相手国から韓国に逃避してきた犯罪者の引き渡し要請があった場合、外交部からの要請によりソウル高等検察が、ソウル高等法院において審理します。この手続きが完全に抜け落ちていたのです。

教戦争缶された二人北朝鮮籍の男らが乗船していた船

韓国の脱北者に対する、人権侵害は今に始まったことではありません。米国はこれに対してすでに警告を発していました。

トランプ米政権が、「従北」の文在寅(ムン・ジェイン)大統領率いる韓国の「人権侵害」問題に警告を発していました。米国務省が発表した人権報告書で、「脱北者への圧力」を明記していました。米国では、韓国の政権与党による米記者への非難を、リベラル系の有力紙まで問題視し始めました。米国全体が韓国に厳しい目を向けているとの指摘もあります。

「われわれの友好国、同盟国、パートナー諸国ですら、人権侵害を行っている」

マイク・ポンペオ国務長官は今年3月月13日、こう述べました。国務省が公表した2018年の「各国の人権報告書」に関する記者会見での発言でした。

マイク・ポンペオ長官

報告書では、同盟国の1つである韓国・文政権による脱北者への圧力を取り上げ、「北朝鮮との対話に乗り出すと、北朝鮮への批判を抑制するよう求める直接的、間接的な圧力が脱北者組織にかけられたとの報告があった」と指摘しました。

具体的圧力としては、20年続いていた脱北者団体への資金援助打ち切りや、風船を使った北朝鮮へのビラ散布阻止、警察が団体を訪れて財務情報などを出すよう要請した-ことが挙げられました。

2月にベトナムの首都ハノイで行われた米朝首脳会談が決裂し、米朝の「仲介者」を自任していた文政権へのトランプ政権の不信は高まっていました。そのなかで、人権侵害までが問題となったのです。

外国メディアの視線も厳しくなっていました。

文大統領を「金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の首席報道官」と報じた米ブルームバーグ通信の記者を、与党「共に民主党」の報道官が非難したことに、各国メディアが猛反発したのです。

報道官が同月13日、記者を名指しして「米国国籍の通信社を隠れみのにして国家元首を侮辱した売国に近い内容」との論評を出したところ、批判が相次ぎました。同党は同月19日、論評から実名を削除すると発表しました。


まさに、ポンペオ長官の警告を正鵠を射たものになったようです。今回の、北の亡命希望者を「強制送還」するようなことは、起こるべくして起こったのかもしれません。

米国の保守系メディアには以前から、文政権を懐疑的にみる報道がありましたが、ブルームバーグの問題では、ワシントン・ポストや、ニューヨーク・タイムズといったリベラル系の主流メディアも「言論弾圧ではないか」と批判しました。米国では「韓国が民主国家といえるのか?」という議論になってきており、オールアメリカで文政権への問題意識が高まっています。


いずれ、韓国も米国内で中国等と同列の扱いを受ける日が刻々と近づいているような気がします。

文大統領は15日、マーク・エスパー米国防長官とソウルの大統領府(青瓦台)で会談し、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の維持を拒否しました。23日午前0時の失効期限を前に、同盟国・米国の要請を拒んだのは、事実上、共産党独裁の中国寄りの姿勢(=レッドチーム入り)を宣言したも同然といえます。

5日午後、青瓦台本館接見室でマーク・エスパー米国防長官(左)と握手する文在寅(右)

このまま、文政権がGSOMIAを破棄すれば、政府高官や軍幹部を大量に送り込んで説得したトランプ大統領はバカにされたことになります。今後、トランプ氏の逆襲が注目されることになるでしょう。

韓国は日米にとっては、かつて中国・北朝鮮に対する反共の砦でした。しかし、韓国がGSOMIAを破棄したとなると、もう反共の砦をやめてしまったと観るのは当然のことです。

韓国がGSOMIAを破棄した場合、人権問題ともあいまって、米国内では韓国に対する批判、それも超党派による批判がかなり高まることでしょう。いずれ、中国等と同列の扱いを受けることになるかもしれません。

韓国が中国寄りの政策を鮮明にとるようになったにしても、これはうまくいかない可能性がかなり高いです。そもそも、金正恩は中国の干渉を極度に嫌っています。結果として、北朝鮮とその核が中国の朝鮮半島への浸透を防いでいます。

韓国が中国寄りの姿勢を顕にすれば、北朝鮮もこれを黙って見過ごすことはないでしょう。中国と韓国に挟まれた北朝鮮は、危機感を募らせることになります。

中国は、米国と冷戦の真っ最中です。先日もこのブログに掲載したように、今後米国は対中国貿易戦争から、中国共産党そのものを弱体化させる方向に軸足を移していくことになるでしょう。

そのような最中に、韓国が中国にすり寄ってきたところで、地政学的にも韓国の前に、核武装をした北朝鮮が立ちはだかっていて、文は北に親和的でもあります。このような状況で、自己保身に必死な中国が韓国にどれだけのことをできるのか、疑問です。あからさまに、中国が韓国を取り込むような姿勢をみせれば、米国の対中国冷戦はますます苛烈なものになることでしょう。

韓国は、日米は無論のこと、北からも中国からも疎まれる存在になるだけです。そうして、米国からは超党派で批判され、直接制裁にさらされることになります。そのことを文は全く認識していないようです。愚かだとしか言いようがありません。

【関連記事】

2019年9月1日日曜日

米国、米韓同盟破棄を真剣に検討か―【私の論評】韓国はいまのままなら文によって、日米を蔑ろにしつつ、相手にされてもいない北や中国に秋波を送り続けることになるだけ(゚д゚)!

米国、米韓同盟破棄を真剣に検討か

韓国はもはや味方にあらず、日米豪印同盟に舵切る米政権


「韓国は米軍のリスクを増大させた」

 韓国の文在寅政権による日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄のショックが冷めやらぬ中、ドナルト・トランプ米大統領と安倍晋三首相がフランス南西部ビアリッツで会談した。

フランス南西部ビアリッツで会で会談をしたトランプ米大統領と安倍首相

 会談後の政府高官によるブリーフィングによると、両首脳は日米韓連携の重要性は確認したものの、GSOMIA破棄に関するやりとりはなかったという。

 首脳会談内容のブリーフィングではこうした「ウソ」はままある。

 筆者の日米首脳会談取材経験から照らしても、首脳会談後のブリーフィングがすべて「包み隠さぬ事実」だったためしがない。

 オフレコを条件に米政府関係者から話を聞いたという米記者の一人は筆者にこうコメントしている。

 「(文在寅大統領の決定に対する)トランプ大統領の怒りは収まりそうにない。それを安倍首相にぶつけないわけがない」

 「ただ、憤りはちょっと置いておいて、当面文在寅大統領の出方を静観することで2人は一致した。大統領は『韓国に何が起こるか見守る』とツィートしているのもそのためだ」

 だが、日米首脳会談の直後、「伏せた部分」はほぼ同時刻、モーガン・オータガス米国務省報道官が公式ツィッター上で意図的に(?)「代弁」している。

 「韓国政府のGSOMIA破棄決定に深く失望し懸念している。これは韓国を守ることをさらに複雑にし(more complicated)、米軍に対するリスク(risk)を増大させる可能性がある」

 米国務省は22日、同趣旨の報道官声明を出している。今回は韓国の決定が「米軍に対するリスクの増大の可能性」にまで言及した。ダメを押したのだ。

平気でウソをつく文在寅政権

 米国の怒りようは半端ではない。

 米政府高官たちが怒っているのは、文在寅大統領のブレーンにあれほど「破棄するな」と要求していたにもかかわらず、しらっと破棄に踏み切ったからだけではない。

 発表に際して、文在寅政権の高官でこの問題の最高責任者がぬけぬけと嘘をついたからだ。

 金鉉宗・国家安保室第2次長だ。

 タイトルから見ると偉そうに見えないが、韓国人記者によれば「ニクソン政権時代のヘンリー・キッシンジャー大統領補佐官のような存在」らしい。

 今年6月の時点からワシントンを訪問し、日韓間の確執について文大統領の言い分をトランプ政権高官に直接説明に来たのはこの人物だ。

 金鉉宗第2次長は、韓国人記者団にこうブリーフィングした。

 「米国は韓国にGSOMIA延長を希望した。米国が表明した失望感は米側の希望が実現しなかったことに伴うものだ」

 「外交的な努力にもかかわらず、日本から反応がなければGSOMIA破棄は避けられないという点を米国に持続的に説明した。私がホワイトハウスに行き相手方に会ったときにも、この点を強調した」

 「またGSOMIA破棄の決定前には米国と協議し、コミュニケーションを取った。米国に(韓国の決定についての)理解を求め、米国は理解した」

 この発言に米政府高官は直ちに反論した。

 「韓国政府は一度も米国の理解を求めたことはない」

 別の政府高官は韓国通信社ワシントン特派員に対して厳しい表現でこう述べている。

 「これはウソだ。明確に言って事実ではない。米国政府は駐米韓国大使館とソウルの韓国外務省に抗議した」

 外交儀礼として相手方の大統領府高官の発言を「ウソだ」と言うのも異例なことだ。

http://www.koreaherald.com/view.php?ud=20190823000106
https://www.asiatimes.com/2019/08/article/us-verbal-broadside-at-seoul-over-axing-of-pact/

 「文在寅は長年にわたって築いてきた米国家安全保障体制をぶち壊した」

 ワシントン駐在の外交官たち(無論その中には韓国大使館員たちも含まれる)にとっては「虎の巻」ともされている米外交政治情報を流すニューズレターがある。

 購読料が高いので一般の人の目にはとまらない(筆者は米政府関係筋から間接的に入手することができた)。

 米政権中枢の極秘情報を提供する「ネルソン・リポート」だ。

 同リポートは韓国政府の決定直後の米政府高官・元高官の露骨なコメントを記している。さすがに主要メディアはそこまでは報じない、歯に衣着せぬコメントばかりだ。

トランプ政権高官:
 「文在寅という男は本当に阿呆(Fool)。どうしようもない」

駐韓国大使館で高位の外交官だった人物:

 「文在寅は戦略的痴呆症(Strategic stupidity)と言い切っても過言ではない」

米情報機関で朝鮮半島を担当した専門家:

 「文在寅の決定は愚かで誤り導かれた決定(Foolish and misguided decision)以外のなにものでもない」

 「後世の史家は、こう述べるに違いない。『この決定は何十年にもわたって築き上げられてきた北東アジアにおける米国の安全保障の中枢構造が終焉する、その始まりを暗示するシグナルだった、と』」

別の米外交官OB:

 「文在寅という男は、韓国に対する安全保障上の脅威(Security threats)はどこから来ると思っているのか、全く分かっていない」

 「コリア第一主義(Korea First Tribalism)に凝り固まった衆愚の知恵(Wisdom of the crowd)としか言いようがない」

「日米韓三角同盟よ、さようなら」
「日米豪印同盟よ、いらっしゃい」


 GSOMIA破棄決定を受けて米国は今後どう出るのか。

 短期的には北朝鮮のミサイル情報収集としては、2014年に締結された日米韓の「軍事情報共有協定」(TISA)がある。これまでGSOMIAと並行して機能してきた。

 同協定に基づき、米国を介した日韓間の情報交換は今後も継続させるというのが米国の方針だ。

 GSOMIAもTISAも何も北朝鮮のミサイル情報だけを扱っているわけではない。むしろもっと重要なのは中国やロシアの動向をチェックすることかもしれない。

 日米軍事情報の共有は今後さらに強化されるだるう。米国は韓国から得た情報をこれまで以上に迅速に日本に流すことになるだろう。

 国防総省関係筋はこう指摘している。

 「米国は文在寅大統領は信用しない。だが、韓国軍は信用している。つき合いは文在寅大統領とのつき合いよりも何十倍も古い」

 「先の米韓共同軍事演習も文在寅大統領の反対を押し切って実施した。それを阻止できなかったから北朝鮮は文在寅大統領を口汚く罵った」

大幅な米軍駐留費分担増要求へ

 韓国政府は、GSOMIA破棄決定を踏まえて今後米韓二国間の安全保障関係を一層強化すると宣言している。

 米国にとってはいい口実ができた。直近の対韓要求は2つある。

 一つは、駐韓米軍駐留費問題(SMA)。

 米韓問題を専門とするダニエル・ピンクストン博士(トロイ州立大学国際関係論講師)は米国はこの問題で高圧的になるとみている。

 「米軍駐留費協定交渉は昨年末以降中断したまま。韓国側は年間10億ドルを分担するとしているが、トランプ政権はその5倍、50億ドルを要求してくるといわれている」

 「協定だから議会の承認が必要だ。来年4月には選挙がある。それまでに協定に合意できなければ、駐留費問題は選挙の最大のアジェンダになってしまう」

https://www.nknews.org/2019/08/what-south-koreas-termination-of-the-gsomia-means-for-north-korea-policy/

 文在寅大統領としては米韓の隔たりを埋めて、穏便に年内に決着させたかったところだが、GSOMIA破棄決定で米国の怒りを鎮めるには米側の法外な要求も受け入れざるを得なくなってきているわけだ。

 もう一つはイランによる外国籍タンカーへの威嚇行動で生じた危機管理問題だ。

 中東ホルムズ海峡を航行する船舶の安全を確保する米主導の「有志連合構想・海洋安全舗装イニシアティブ」への参加協力要請だ。

 ホルムズ海峡は日本同様、韓国にとっても中東からのシーレーン確保の要だ。

 コリア第一主義の大衆ナショナリズムは一歩間違えば、反日から反米に点火する危険性を帯びている。文在寅大統領としても何が何でも米国の言うことを聞くわけにはいかない。

 米国にとっては、長期的にみると、これから5年、10年後の韓国をどうとらえるべきか、という重要懸案がある。

 中国が推し進めている「一帯一路」路線に対抗する米国の「インド太平洋戦略」の中核となる同盟国の構成をどうするか、だ。

 米国内には「韓国は外すべきだ」という主張が台頭している。早晩、韓国は「あちら側」つまり中国サイドにつくと見ているのだ。

 トランプ政権内部ではすでに「韓国抜き」の「インド太平洋戦略」が動き出していると指摘する専門家もいる。

 日本、豪州、インドという準大国を同盟化するというのだ。

 特に経済通商上の理由から米国と中国とをある意味で天秤にかけてきたオーストラリアは、スコット・モリソン政権発足と同時に米国に超接近し、米国の考える「インド太平洋戦略」の構築に積極的になってきたからだ。

http://www.iti.or.jp/kikan114/114yamazaki.pdf

豪ダーウィン港湾に軍用施設建設へ

 その事例がすでにある。

 マイク・ポンペオ米国務長官とマーク・エスパー国防長官は8月、オーストラリアを訪問し、米豪初の国務・国防閣僚による「2プラス2」協議で同盟強化を再確認している。

https://www.theguardian.com/world/2019/aug/04/mike-pompeo-urges-australia-to-stand-up-for-itself-over-trade-with-china

 米軍の豪州駐留永久化だ。

 米国はこれまでオーストラリア北部のダーウィンに近い豪州陸軍基地に米海兵隊を乾期だけに配備してきた。

 この港湾にワスプ級揚陸艦(LHD)が着艦可能な軍用施設を建設することを決めたのだ。すでに総工費2億1150万ドルが計上されている。

 ダーウィン港湾の管理権は15年以降、中国大手「嵐橋集団」(ランドブリッジ)が99年間貸与する契約を結んでいる。当時、中豪協力のシンボルとして騒がれた。米政府は強く反発していた。

 「嵐橋集団」のトップ、葉成総裁は人民政治協商会議の代表。中国共産党とも太いパイプを持っており、ダーウィン港湾管理権貸与の背景には対米抑止力の一翼を担う狙いがあるとされている。

 同港湾に米軍が軍用施設を建設するというのは、小さな一歩かもしれないがシンボリックな意味合いを持っている。

 米国とインドとの関係も直実に同盟化のロードマップに沿って動いている。

https://www.washingtonexaminer.com/opinion/our-most-important-alliance-in-2019-will-be-with-india-but-two-other-big-foreign-policy-opportunities-await

 オバマ政権で国務省コリア部長(韓国と北朝鮮を担当)確認だったミンタロウ・オバ氏はこう指摘する。

「GSOMIA破棄決定に米政府はこれ以上ないほどのネガティブに反応している。オバマ政権が将来を考えて編み出した協定だったからだ」

「当時関係者は『これは北東アジアにおける米安全保障体制にとっての聖杯*1(Holy Grail)だ』と言っていたくらいだ」

*1=イエス・キリストがゴルゴタの丘で磔刑された際に足元から滴る血を受けた杯。「最後の晩餐」の時にキリストの食器として使われたとされる。この杯で飲むと立ちどころに病や傷が癒され、長き命と若さを与えられるとされてきた。

 「ワシントンの多くのアジア関係者は日韓関係に赤信号が灯り始めたと見ている。韓国は今後その戦術展開の幅を狭くしてしまった」

 ワシントンの外交安保専門家たちから見ると、GSOMIA破棄で完全に米国を怒らせてしまった韓国はもはや「米国の同盟国」ではなくなってしまったようだ。

【私の論評】韓国はいまのままなら文によって、日米を蔑ろにしつつ、相手にされてもいない北や中国に秋波を送り続けることになるだけ(゚д゚)!

トランプ米政権は、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権が米政府の説得を振り切って日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄し、日韓の対立を安全保障分野に持ち込んだことで、文政権への怒りと不信を募らせています。

South Korea Flag Bikini 

協定の破棄で今後、ほんど日本には悪影響はないとともに、韓国のほうが悪影響があるともされていますが、それは情報のやりとりに関してのみいえることであり、信頼関係が大きく毀損されたことは間違いありません。

日米韓関係筋によると、トランプ政権は韓国が実際に協定破棄を強行するとは事前に認識していなかったとされ、完全に虚を突かれた形となりました。

米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は22日、トランプ政権高官の話として、韓国政府は米政権に対し、協定破棄の意思はないとの態度を事前に示していたと伝えました。

政権高官は「韓国のこうした行動は、文政権が米国などとの集団的安全保障に真剣に関与していく意思があるのか、根本的な疑問を生じさせるものだ」と述べ、韓国の同盟軽視の姿勢を痛烈に批判しました。

政策研究機関「戦略国際問題研究所」(CSIS)のビクター・チャ上級顧問は「協定は北朝鮮の行動に関する日米韓の情報共有を円滑化させてきた」と意義を説明。協定破棄は「米国の同盟システムと対立する北朝鮮や中国、ロシアを利するだけだ」と警告しました。

CSISのビクター・チャ上級顧問

日本にとっては協定破棄で今後、北朝鮮の弾道ミサイルに対する早期警戒能力が低下する恐れはありません。それはつい先日、北朝鮮から短距離ミサイルが発射されたとき、日本のほうがそれをいち早く発表しました。過去の韓国側からの北のミサイル発射情報においては、誤りも多々あり、日本側の公表の後に訂正ということもしばしばありました。

そもそも、韓国は人工衛星がないという点からも、日米から比較すると情報収集能力は格段に劣っています。

しかし、GSOMIA破棄に関して、最も恐れるべきは、今回の行動は明らかに北朝鮮や中国に利する行動であり、そのような行動をとった韓国は信用することなどできません。

韓国から米国への情報に意図的な偽情報が流され米国の国益が直接脅かされる事態となることも考えられます。さらに、その偽情報が米国から日本にもたらされる可能性も否定できません。今後、日米韓連携に加え米韓同盟も弱体化するなどの甚大な影響が出るのは確実です。

北朝鮮のミサイル情報をめぐっては、2014年に締結された日米韓の「情報共有に関する取り決め」(TISA)に基づき、日本と韓国が保有する情報を米国を介して共有する枠組みがあります。

しかし、明らかに北朝鮮や中国に利するような行動をした韓国に関しては、日米ともいつ寝首を搔かれることになるかわからないと考えるのは当然のことです。特に在韓米軍にはそのような危機があるということです。

だからこそ、トランプ政権も安倍政権もこの事態に激怒しているのです。問題は、韓国から情報が入らなくなるなるという程度の些細な問題ではなく、はるかに大きなものなのです。

このブログでは、過去に何度か指摘してきたように、日米、中露、北朝鮮のいずれの国も、朝鮮半島の現状を維持を望んでいます。

日米にとって朝鮮半島に起こり得る最悪の事態は、中国の影響力が朝鮮半島全体に及ぶことです。中露にとっての朝鮮半島の最悪の事態は、韓国ベースで朝鮮半島が統一されてしまうことです。

日本のメディアなどは、韓国を他国が欲しがると言う前提で論じていますが、北朝鮮ですら欲しがらないという現実があります。周辺国が皆要らないと言う視点を持って考える方が現実的です。

金正恩は、南北統一 をしたいなどと望んでいません。金正恩にとっての最優先課題は金王朝の継続なのです。それを前提に考えれば、北は南北統一を望んでいないわけです。北朝鮮は歴代の大統領の末路を良く知っています。南北統一後の朝鮮の大統領になるというのは自分の死刑執行にサインするのと同じようなものです。

それでなくても、南北を統一すれば、幼い頃からチュチェ思想を叩き込まれ、金王朝を尊敬するように仕向けられた北朝鮮人民のほかに、チュチェ思想とは無縁で、金王朝に対する尊敬心など全くない韓国人が北朝鮮領内にも大量に入ってくることになります。

そんなことは、金正恩は、許容できません。さらに、文在寅をはじめ朴槿恵等、朝鮮半島から数十年を経た韓国では、中国に従属しようという行動が目立ちました。これも金正恩には耐え難いことです。

金正恩は、中国の干渉を蛇蝎のごとく嫌っています。それは、中国に近いといわれていた金正恩の叔父であった、張 成沢(チャン・ソンテク)を処刑したことでも、はっきりしています。

さらに、中国に近いとされた、実の兄の、金正男氏を暗殺したことでも、明白です。両者の殺害、ならびにその後の北朝鮮内の中国に近い筋の幹部などの処刑は、北朝鮮内の親中派を震え上がらせたことでしょう。

このように、金正恩が中国を蛇蝎のごとくに嫌っているという事実と、北の核が結果として、中国が朝鮮半島全体に浸透することを防いでいます。

だからこそ、トランプ大統領は北が短距離ミサイルを発射してもほとんど苦言を呈することはありません。北朝鮮の短距離ミサイルは、米国にとっては脅威ではなく、北朝鮮と国境を直接接している中露にとっては脅威だからです。

にもかかわらず、金正恩が文在寅の南北統一等呼びかけに、快く応じてみせたのは、当初は米国への橋渡しを期待したのと、制裁破りや、制裁の緩和を望んでいたからでした。

しかし、鈍感な文在寅は、文在寅への呼びかけに快く応じたので、すっかり舞い上がってしまったのです。しかし、米国との応対が自らできるようになった現在では、文在寅への対応は厳しいものに変わってしまいました。

金正恩と文在寅

南北統一など文在寅の妄想に過ぎないのです。しかし、その妄想に浸りきった文在寅は、今でもその妄想から冷めることができず、北朝鮮や中国に秋波を贈り続け、挙げ句のはてに、GSOMIAを破棄してしまつたのです。

政策研究機関「新米国安全保障センター」(CNAS)のエリック・セイヤーズ非常勤上級研究員は米軍系軍事誌ディフェンス・ニューズに対し、協定は日米韓が今後、ミサイル防衛や対潜水艦作戦など幅広い分野で連携を進めていくための基盤に位置づけられていたと指摘し、韓国による破棄決定で同盟強化の取り組みは「元のもくあみとなった」と批判しています。

こうなると、韓国は文在寅を放逐するか、いまのまま文在寅によって、日米をないがしろにしつつ、北朝鮮や中国にまともに相手にされていないにも関わらす、秋波を送り続けることになるだけです。それは、韓国に何の利益ももたらしません。

そうなれば、在韓米軍の撤退ということになます。その時には、このブログでも何度か掲載したように、米国ならび日本を含む同盟国が、韓国から人や資産を引き上げたり、韓国に築いた様々なシステム(金融その他)や組織等を破壊、すなわち経済的焦土化をして韓国から引き上げることになります。米国は、習近平や金正恩の敵に塩を送るような真似はしません。

その時になっても、北朝鮮が韓国に手を差しのべることはありません。それは、中国もロシアも同じことです。この三国は、経済的にも余裕はないし、韓国に対して何の恩義も感じていません。むしろ、北朝鮮は韓国人難民が押し寄せないように38度線の守りを強化するでしょう。

中国も、ロシアも、船や航空機で押し寄せる難民を受付ないでしょう。無論日本だって受け付ける必要はないのです。ただし、領海の警備を強化することになるでしょう。日本に漂着した難民はすべて韓国に強制相関すようにすべきでしょう。

今年とはいいませんが、いよいよになれば、米国と協調しつつ、10月から12月頃に韓国の経済焦土化をするべきです。冬の日本海は一番厳しいので、1番の防護壁になります。そうして、次の年の春までに領海の警備を強化するようにすれば良いのです。

これには、在日米軍も多数の難民が日本に押し寄せれば、身動きがとれなくなるし、中には武装難民もいるかもしれないので、日本に協力することになるでしょう。

ただし、韓国が経済焦土化されず在韓米軍のほとんどが撤退するという道もあります。それは、韓国が米国中短距離核ミサイルの発射上になるという条件を飲めば、そうなります。

無論、発射を担当するのは米国です。そうなれば、朝鮮半島の軍事バランスは崩れます。北朝鮮の核の脅威は半減することになります。ただし、韓国が通常兵力で攻撃された場合は、核ミサイルではなかなか対応できず、日本からの在日米軍が日本からの許可を受けて韓国を助けることになります。そうなると、対応は後手にまわるしかありません。

これらはワーストシナリオですが、文在寅を今のまま放置しておけば、このような結果になる可能性がかなり高まります。韓国国民の賢明な判断に期待したいところです。

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2019年8月15日木曜日

「南北協力で日本に勝つ」文大統領の荒唐無稽な精神論に韓国紙ですら呆れ…「世界最悪の貧困国家・北朝鮮と協力して日本に追い付く?どんな魔法だ」 ―【私の論評】韓国民は、朴槿恵よりもはるかに始末におえない妄想大統領文在寅を放逐すべき(゚д゚)!


妄想に取り憑かれた文在寅韓国大統領

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、「北朝鮮との経済協力で平和経済が実現すれば、一気に日本の優位に追い付くことができる」と述べた。

 この発言は、韓国大統領府での会議において、日本による輸出管理見直しを批判した際に行われた。

 南北統一や南北経済協力は、文大統領の金看板で、これまで何度も繰り返されている。国難を自分の支持率向上に結びつけようとする戦略だろう。

 しかし、その実現性やロジックは荒唐無稽である。

 すでに韓国国内でも批判されている。朝鮮日報は社説で、北朝鮮は「技術も資源も市場もない世界最悪の貧困国家」なので、「低賃金労働力の利用以外に何ができるのか。そんな国と経済協力して世界最高の技術大国(日本)に一気に追い付くとはどんな魔法か」としている。

 これが世界の常識だ。1989年のベルリンの壁崩壊で、東西ドイツが統一されたが、旧東ドイツの支援のために旧西ドイツは長年負担にあえぎ、低成長を余儀なくされた。

 この苦境を救ったのは、99年にスタートした共通通貨ユーロだ。ユーロの導入によってドイツは、ユーロ域外に対し相対的に有利な為替レートとなるとともに、域内では為替変動がないため、ドイツ経済の競争力が他の欧州諸国に対して相対的に強化されることとなった。

 当時の旧東ドイツは社会主義国の中では優等生であり、今の北朝鮮よりはるかに経済は良かった。そして、欧州では長い期間かけて共通通貨の議論がなされていたことからユーロ創設に結びついたが、今のアジア圏で共通通貨の話はまったくない。東西ドイツの統合は恵まれた環境の中で行われたが、今の朝鮮半島をめぐる環境とはあまりに違いすぎる。

 経済的に考えてもあり得ないが、政治的にもまったく勘違いだ。北朝鮮を何よりも大切にする文大統領は、北朝鮮以外、何も見えていないのかもしれない。ただ、日本は輸出管理の強化についても、国連の制裁対象である北朝鮮への横流しを懸念しているとみられる。

 そうした状況で、韓国が北朝鮮との協力で乗り越えられるとは、悪いジョークにしか思えない。

 ここまで文大統領が北朝鮮優先の考えであると、北朝鮮の非核化に本気で取り組むとは思えない。前述したように、韓国がいくら北朝鮮と協力しても、日本経済には到底太刀打ちできない。

 しかし、軍事的には、北朝鮮を非核化せずに、そのまま核開発を続ければ、南北統一の暁には、核保有国となって、日本の脅威になるだろう。その脅威を使えば、軍事的に日本に勝てると考えているのかもしれない。

 文大統領の北朝鮮推しは、もともと左派思想によるものだが、経済的でなく軍事的な意味があるとすれば、北朝鮮を非核化せずに、そのまま核保有国にすることを意味しているのではないか。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】韓国民は、朴槿恵よりもはるかに始末におえない妄想大統領文在寅を放逐すべき(゚д゚)!

朴槿恵が大統領府を追われた2017年、大統領選挙を経て文在寅が新大統領に任命された。政権交代から1年後の2018年8月29日。ソウル市龍山区に「植民地歴史博物館」という施設がオープンしている。

この新たな反日活動の牙城となっている施設について、韓国メディア配下のように報道しています。

植民地歴史博物館

「植民地歴史博物館は民族問題研究所という市民団体が中心となって設立されました。この民族問題研究所は韓国の左派政権と関係が深く、盧武鉉政権時代には多額の国費補助を受けたとされ、現在の文在寅政権と深いつながりがある。植民地歴史博物館の設立にも現政権のバックアップがあったと囁かれています」

植民地歴史博物館の紹介文にはこうあります。
日本帝国主義による侵奪の歴史と、それに加担した親日派の行為、輝かしい抗日闘争の歴史を記録し、展示する韓国初の日帝強占期専門歴史博物館です。
同館がオープンした同年8月29日は韓国では「庚戌国恥日(キョンスルククチイル)」として知られた日です。1910年に「韓国併合に関する条約」が発効した日が8月29日であり、韓国民の国辱の記憶を呼び起こす日が開館日には選ばれたのです。

民族問題研究所は、現在問題となっている徴用工裁判を支援している団体として知られ、博物館と同じビルには民族問題研究所の事務所も入居しています。

この植民地歴史博物館が現政権下でオープンしたことには深い意味がありました。

文在寅は大統領就任後、事ある毎に植民地時代の独立運動を日本が弾圧した問題を指弾しており、「親日残滓(ざんし)の清算はあまりに長く先送りされた宿題だ」との主張を繰り返しています。こうした言説が、先に紹介した植民地歴史博物館の趣旨と合致する思想であることは言うまでもありません。

館内を散策すると「親日派人名辞典」のコーナーが目に飛び込んできます。親日派人名辞典は盧武鉉政権政権時代に編纂されたもので、日本統治時代に親日活動を行った人物の名簿を発表したものです。

親日派辞典には朴正熙元韓国大統領をはじめとした多くの韓国保守派や著名人の名前が掲載されています。これは親日派のレッテルを貼り社会的に糾弾対象とする魔女狩り活動で、呆れたことに中学、高校にも広く配布されました。ソウル市で問題になっていた戦犯企業ステッカーにも繋がる“日本ヘイト”活動の原点ともなった運動でした。



ちなみに、戦犯企業ステッカーとは、韓国で、戦争犯罪を起こした日本企業の製品にステッカーを貼ろうとの動きです。条例案は、地元の小中学校や高校で使われている備品のうち、約2万円を超えるものに義務化していました。しかし、結局この条例は成立しませんでした。

盧武鉉政権が時代錯誤とも思える親日派人名辞典を重要視したのは、当時、人気を集めつつあった朴槿恵の存在があったことが理由とされています。朴槿恵の父親である朴正熙を親日派と糾弾することで政敵達の人気を削ごうと狙ったのです。つまり政権保持のための策略として、親日派人名辞典は作成されたのです。

盧武鉉とは弁護士時代の同僚で、盧武鉉政権では大統領秘書室長を務めた文在寅もその意図を受け継いでいるであろうことは容易に想像がつきます。

そうして朴槿恵の失墜後、文在寅は再び“親日派狩り”を行おうと、「親日残滓の清算はあまりに長く先送りされた宿題だ」という言説を繰り返すようになったのです。

「共に民主党は、今後100年政権を担うとの構想を口にしています。そのために“親日派狩り”を行うことで保守派の殲滅と、今も国内に残る根強い朴正熙支援者への牽制を行おうとしているのです。つまり政敵潰しでしかない。反日のスローガンは民族主義的な意味にも聞こえますが、その本音は極めて打算的な意図を持った政治運動なのです。

文政権になってから歴史問題、いわゆる慰安婦問題や徴用工問題が再燃しました。文大統領は2015年の日韓合意によって慰安婦問題を解決するために設立された「和解・癒やし財団」の解散を発表。不可逆的に解決されたはずの慰安婦問題を蒸し返しました。また、日本企業への財産差し押さえまで行われた徴用工裁判についても、文政権は「政府は関与しない」という声明を発表しています。

徴用工裁判等国民は勿論のこと、メディアの誰も関心がなかった問題でした。それが文在寅政権に交代した途端いきなり動き始めました。これは文大統領が北朝鮮と繋がっている証左であり、文大統領は本気で南北統一を目指しているとも受け取れます。

なぜかといえば、こうした一連の動きが意味することは、文政権は歴史問題を“解決させない”という明確な意志を持っているとか考えられず、それはなぜかと考えれば、自ずと理解できます。

韓国内の一部からは「38度線を対馬海峡に移動せよ」という言論が出るほど、文政権になってから反日思想は過激化しています。こうした背景には北朝鮮の存在があることは間違いないでしょう。

一昨年、11月19日にソウル市内で挺対協が北朝鮮の慰安婦問題専門家を招いてシンポジウムを開きました。そこで「南北が協力して慰安婦問題で共闘しよう」という言葉が出たといわれています。

挺対協とは韓国挺身隊問題対策協議会(現・日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯)のことで、慰安婦問題を支援する市民団体です。代表の尹美香(ユン・ミヒャン)は、和解・癒やし財団が元慰安婦に対して償い金の支給活動を始めるにあたっても、元慰安婦を集めて、「日本のお金を受け取ってはいけない」と圧力をかけたと言ったとされるほど生粋の反日活動家として知られています。

尹代表は、近親者に北朝鮮の内通者がいるという疑いもある人物だけに、彼女の「慰安婦問題で北と共闘する」という言葉に、韓国内のメディアにも危機感が広がっているようです。しかし、韓国メディアでは反日活動を批判することはタブーなのです。それだけに、批判の声は表に出づらいようです。

挺対協や民族問題研究所といった市民団体は、左派政権である文政権の支持母体でもあるのです。左派政権、反日活動、北朝鮮というキーワードから見えてくるものがある。彼らが一様に歴史問題の解決を妨げようとしているのは、北朝鮮との南北統一までの時間稼ぎをしている可能性が高いです。

現在、韓国経済は失速気味です。そうしたなかで、南北統一のコストを抱えきれるのかという不安が常に付きまといます。そうしたなかで文政権が日韓関係を犠牲にしてまで反日活動を行うのは、戦後補償問題を再び日本側に突きつけようとしている思惑があるように思えます。統一の暁には、北朝鮮は元慰安婦、徴用工の補償問題を持ち出すでしょう。

韓国政府は戦後補償の旨味を体験的に知っています。1965年、日韓基本条約で日本政府から無償3億ドル、有償2億ドルの計5億ドル(当時のレートで約1800億円)を韓国政府は得て、それを原資として“漢江の奇跡”と評された経済成長を遂げました。“頭の中の八割は北朝鮮で占められている”と評される文大統領が統一プランを練っていないはずはないです。

文政権が執拗に反日や歴史問題に拘る理由も、そこにあるのではないかという分析もあります。要は日本を金ヅルにしたい、という思惑を感じさせます。 

この戦後補償金を現在の価値に置き換える計算を以下に掲載します。
・(円換算)3億ドル×360円(当時1ドル=360円)=1080億ドル
・(物価換算)1080億円×10(当時の大卒初任給が約2万円)=1兆800億円
日本は、現在の価値で置き換えると、2兆円近くの戦後補償金を支払っているのです。これは、当時の韓国の国家予算の2倍にものぼる金額です。

韓国の全国経済人連合会(全経連)は2010年、北朝鮮との南北統一には約3500兆ウォン(約250兆円)が必要になるとの見方を示していました。

北朝鮮が戦後補償問題を持ち出してきたとき、パンドラの箱は開かれることになるかもしれません。戦後70年以上経過した現在、北朝鮮の慰安婦問題、徴用工問題、その実態を正確に語れる証言者や物証はほとんどないといわれています。つまり北朝鮮側の言い値による補償となる公算が大きいです。おそらく、200兆円はくだらないのではないかと思われます。

文政権が掲げる反日思想。その本質は自らの「権力」と「金」を得るためのための所業でしかないのです。

しかし、これは文在寅の妄想に過ぎません。そもそも、日韓基本条約が締結され、日本が韓国に多額の戦後補償金を支払ったときには、朝鮮戦争からまだあまり時を経ておらず、韓国は反共の砦として、北朝鮮に対峙していて、この状況は変わらないとみなされていました。

さらに、米国としても韓国の経済が発展すれば、米国も韓国内に兵站を展開でき軍事的に有利になると考えており、この戦後補償には肯定的だったはずです。

しかし、現在は状況が違います。南北統一があくまでも、韓国の北朝鮮併合という形ですすめられるなら、日本が統一朝鮮を支援するということ考えられますが、どうもそうはなりそうもありません。

それに、文在寅がすっかり忘れていることがあります。それは、韓国以外の国々は、日米・中露そうして、北朝鮮も朝鮮戦争後の状況の現状維持を望んているということです。

これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載しますので詳細はそちらをご覧になってください。
日・ロ・中・朝から袋叩きの韓国 米韓同盟の終焉を周辺国は見透かした―【私の論評】周辺国の本音も理解せず、舞い上がったピエロのような文在虎はこれからも叩き続けられる(゚д゚)!
最近北朝鮮から発射された短距離弾道ミサイル
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、とにかく周辺国は朝鮮半島の現状維持を望んでおり、南北を統一しようなどと本気で考えているのは文在寅だけです。

金正恩は、南北統一などすれば、チュチェ思想とは無縁で、金王朝を尊敬することのない大量の韓国人が北朝鮮にも大量に入ってくることになるので、統一など望んでいません。

ただ、制裁逃れをしたいので、文在寅に良い顔をして見せていただけです。それにすっかり、文在寅はまい上がってしまったのです。

最近の北朝鮮による短距離弾道ミサイルの発射に関して、トランプ大統領は寛容であることに多くのマスコミや識者は驚いていますが、それはこの記事にも書いたように、北朝鮮およびその核が、結果として中国の朝鮮半島への浸透を防いでいるからです。

北の核ミサイルは、日米にとってだけ脅威というわけでなく、国境を接している中国やロシアにとっても脅威なのです。特に中国にとっては脅威です。中朝国境は、中国の火薬庫になりかねないといわれるほど不安定な、東北部だからです。

中国東北部が不穏な動きを見せた場合、当然のことながら、中国政府はこの地域に軍を覇権することでしょう。その軍を北は短距離弾道弾で攻撃することができます。

この状況は米国にとっては決して悪い状況ではありません。最悪の状況は、朝鮮半島全体が中国の覇権の及ぶ地域になることです。

現状を冷静に見回してみれば、韓国が軍事的に弱くなったとしても、北朝鮮が中国の朝鮮半島全体への浸透を防いでいる状況は変わらないでしょう。さらに、北朝鮮は中国の干渉を極度に嫌っています。

この状況を理解していれば、文在寅の「南北統一」や、「南北協力で日本に勝つ」などは妄想に過ぎないことがわかります。

金正恩も南北統一により、日本から莫大な戦後補償金を得るなどということは到底不可能であると考えていることでしょう。もしそれが可能だと考えているなら、今でも文在寅に良い顔をしていたことでしょう。

妄想にとりつかれた文在寅は最悪の事態を招きかねません。それは、このブログにも最近掲載した通り、在韓米軍撤退に伴う、韓国経済の焦土化です。

韓国民は、朴槿恵よりもはるかに始末におえない妄想大統領文在寅を放逐すべきです。

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2019年8月6日火曜日

【暴走する韓国】数々の裏切り行為や侮辱発言…日本人の堪忍袋の緒は切れた―【私の論評】韓国にとって重要な国、日本を粗末に扱った文在寅の代償はかなり大きなものになる(゚д゚)!

【暴走する韓国】数々の裏切り行為や侮辱発言…日本人の堪忍袋の緒は切れた

ソウルの日本大使館が入居するビルに突入した乗用車=19日未明

韓国が破滅に向かって暴走している。全国各地で「反日」集会が連日開かれ、日本の対韓輸出管理厳格化をやり玉にあげて、「安倍(晋三首相)は、韓国が『未開な国』だと言っている」「もう一度、日本の僕(しもべ)にするつもりで経済侵略を仕掛けてきた」などと、感情の赴くままに言いたい放題である。

 ソウルの日本大使館にはガソリンを積んだ乗用車が突っ込み、運転手は車に火をつけて自殺した。釜山の日本総領事館には学生6人が中庭に侵入し、「安倍は謝罪しろ」と騒いだ。産経新聞やフジテレビの支局にも暴漢が侵入した。釜山市は長く続いた長崎県との交流を断絶し、韓国中部・瑞山(ソサン)市は、天理市の中学生交流団の受け入れを直前に拒否した。

 韓国政府もマスコミも、国民の反日感情を煽るばかりだ。走り出したら止まらない彼らの行き着く先は、日本との「断交」しかない。

 現在の日韓関係の悪化は、昨年から続く韓国の裏切り行為や侮日発言にその原因がある。すべて、「韓国が売ったケンカ」なのだ。「完全かつ最終的な解決」を確認した元徴用工への補償問題を蒸し返し、慰安婦問題が「不可逆的に解決した」ことを確認した日韓合意も完璧に反故(ほご)にして、相変わらず「性奴隷説」を世界にバラまいている。

 韓国駆逐艦が自衛隊機に火器管制用レーダーを照射した事件も、「超低空飛行で自衛隊機に威嚇された」と言って、逆に日本を非難している。韓国国会議長は「天皇陛下(現上皇さま)は元慰安婦に謝罪せよ」と、不敬極まる発言を行い、日本が抗議すると「盗人猛々しい」と開き直った。

 自己の責任は棚に上げ、自分の都合に合わせて事実を捻じ曲げ、これをどこまでも押し通す彼らのやり方に、もはや日本人の堪忍袋の緒は切れた。「断交は望むところだ」と多くの日本人が思い始めている。

 実は、韓国経済が日本経済に支えられていることを、ほとんどの韓国人が知らされていない。日本のメガバンクが韓国の銀行が発行する信用状に保証を付けなければ、貿易決済さえまともにできないのが実態だ。しかし、自虐史観で不必要な負い目を負わされた日本が、ことあるごとに韓国の理不尽な要求を受け入れたために、彼らは自己過信に陥り日本を徹底的に侮るようになった。そして、いつの間にか条約一つ守れず、日本の在韓公館や企業を襲う暴徒が英雄となる、独善的で理性と品格に欠けた国家に成り下がってしまったのだ。

 日本にも、その責任の一端がある。日本の名誉と国益を守るためにも、毅然(きぜん)と反論して目に見える対抗処置を取り、「断交→自滅」へ一直線の反日暴走から、彼らを覚醒させるべきであろう。

 ■松木國俊(まつき・くにとし) 朝鮮近現代史研究所所長。1950年、熊本県生まれ。73年、慶応大学を卒業し、豊田通商に入社。直後から韓国担当を務め、80~84年、ソウル事務所に駐在する。秘書室次長、機械部次長を経て、2000年に退社。松木商事を設立する。韓国問題を長く研究しており、「慰安婦の真実国民運動」前幹事長。著書に『こうして捏造された韓国「千年の恨み」』(ワック)、『日本が忘れ韓国が隠したがる 本当は素晴らしかった韓国の歴史』(ハート出版)など。

【私の論評】韓国にとって重要な国、日本を粗末に扱った文在寅の代償はかなり大きなものになる(゚д゚)!

どうして韓国がこのようになるのか、多くの日本人には理解しがたいことです。

日本兵の姿をしている人に怒りの水鉄砲を撃って喜ぶ韓国の子供達

それは、このブログにも以前から掲載してきたように、韓国政府や文在虎大統領というより、1990年代ころから、歴代の政府と大統領が、体系的、組織的な反日教育を通じて意図的に日本を悪者に仕立てて、自らの失敗などで自分たちが国民の憤怒のマグマを直接かぶることなく、日本に向けて発散させるとともに、それによって国内の求心力を訴求してきたという歴史があるからです。文在寅も、自分の失敗を日本のせいにしているだけのことです。

今日の文政権は、金融緩和や積極財政もをせずに、最低賃金だけあげるという、日本でいうと立憲民主党の枝野氏のような政策を実行し、大失敗しました。そうなることは、最初からわかりきっていました。雇用のパイが変わらないのに、最低賃金だけあげれば、当然のことながら、雇用が激減するわけです。

文在寅氏と枝野氏

さらに、安全保障においても、中途半端に中国に接近するなどして、米国の不興を買い、とんでもないことになっています。

外交においても、周辺諸国が現状維持(Status quo)を望んているということも理解せず、北朝鮮に接近し、何かといえば、制裁解除をしようとしてさらに米国の不興を買いました。さらには、この制裁破りをしている可能性が大です。おそらく、例の自衛隊の哨戒機へのレーダー照射はそれに関係しているでしょう。

文在寅は北に接近して、金正恩と気脈を通じたつもりになり、いずれ南北統一ができるかのような錯誤をして有頂天になっていたようですが、金正恩にはその気は全くありません。

南北が統一されてしまえば、どのような形であれ、子供の頃から主体(チュチェ)思想で鍛え上げられ、金王朝を尊敬する北朝鮮人民以外の金王朝には敬意を払わないどころか、無関心な韓国人が大勢北にやってくることになります。そんなことは、金正恩は絶対に許容できません。中国やロシアだけではなく、北朝鮮も朝鮮半島の現状維持を望んでいるのです。

では、なぜ金正恩が、文在寅と気脈を通じたように演出してみせたかといえば、それは無論制裁破りです。北への制裁はかなり効果があり、金としては、なんとしてでも制裁を少しでも破りたかったので、文にまともに対応し、歓迎してみせたのです。

2018年9月20日、朝鮮半島最高峰の白頭山を訪れ,
      ヵルデラ湖「天地」で笑顔の文在寅と金正恩

しかし、文在寅は、北と接近する一方で、中国にも接近し、従属する姿勢を継続しました。文は、南北統一や中国への従属ということで、周辺諸国からみれば、文在寅は、朝鮮半島の現状維持の破壊者なのです。

そもそも、金正恩、北朝鮮の幹部らは嫌中です。そのため、北朝鮮および北朝鮮の核は、結果として、中国の朝鮮半島への浸透を防いでいます。北朝鮮の核は、中国やロシアにとっても脅威なのです。

そうして、この状況は米国にとっては決して悪い状況ではありません。米国にとって一番悪い状況は朝鮮半島全体が中国の覇権が及ぶ地域になることです。

文在寅はこのようなことも理解せず、中国に従属しようとするだけではなく、南北統一への道筋をつけようとしたわけですから、金正恩も最初は、文は制裁破りで役立つかもしれないと考えていたのですが、あまり文と接近しすぎると、日米中露から、金も文と同じく、現状維持の破壊者とみられては、とんでもないとばっちりをうけるかもしれないと思い、最近では短距離ミサイルを発射するなどして、文とは一定の距離を置こうとしているのです。

以上のように文在虎は、歴代の大統領の中でも、経済特に雇用、安保、外交でもすべて大失敗しているのです。文はこれらに対する打開策もみつからず、ことさら日本を攻撃してみせて、国内アピールをして何とか国内の批判をかわそうと試みているのです。

しかし、このようなことが長く続くとは思えないです。なぜなら、冒頭の記事にもあるように、日本は韓国に対して安保上の理由でいつでも送金停止の処置ができるからです。

韓国の銀行は既に米国で送金できなくなっています。米ニューヨークに進出した韓国系銀行の支店と現地法人が昨年11月から送金中継や貸付などの核心業務を相次ぎ中断しています。米金融当局のコンプライアンス強化の要求に対応できないためです。グローバル金融の中心地ニューヨークで韓国系銀行は連絡事務所に転落しています。

これは、北朝鮮に対する制裁破りをしている韓国に対する米国の事実上の制裁と考えるべきでしょう。 これは、韓国内ではソフトに報道されていますし、米国もはっきりと制裁とは言ってはいません。

日本では、最近になって貿易制限をしていますが、米国では似たようなことをすでに昨年の11月あたりから実施していたということです。

上の記事では、「日本のメガバンクが韓国の銀行が発行する信用状に保証を付けなければ、貿易決済さえまともにできないのが実態だ」としていますが、もっと具体的に言うと、日本の銀行が韓国の貿易決済に関する送金を停止すれば、韓国の金融取引は止まり、輸出入ができなくなります。その結果、韓国は金融危機に陥ることになります。

もし韓国が日本と国交を断絶するようなことをすれば、無論日本のメガバンクは保証などできなくなくなります。さらに、日本からは様々な韓国産業にとっての死活的な物資や機器が輸入できなくなります。韓国にとっては、本来日本は死活的な重要な国なのです。

その重要な国を粗末に扱った文の代償はかなり大きなものになることでしょう。

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2019年1月21日月曜日

照射問題に見る韓国軍艦の不自然な行動 文在寅氏は北朝鮮の言いなりか―【私の論評】南北統一の虚妄より、北の核が結果として朝鮮半島への中国の浸透を防いでいることに注目せよ(゚д゚)!

照射問題に見る韓国軍艦の不自然な行動 文在寅氏は北朝鮮の言いなりか




レーダー照射問題:韓国軍艦のとった不自然な行動

 日本の排他的経済水域内で、北朝鮮の漁船らしき木造船を救助するのに、北朝鮮の海軍警備艇や民間船舶ではなく、韓国の軍艦・警備艦が向かった。

 北朝鮮は、排水量1000トン以上の貨物船などの民間船舶を170隻以上、フリゲート艦、コルベット艦、哨戒艦、高速艇および警備艇の海軍戦闘艦艇約200隻を保有している。

 これらの艦船が本来救出に来るべきなのだが、そうではなかった。

救助に派遣されたのは韓国の最新鋭艦

 1993年5月に、ノドンミサイルとみられる発射実験が行われた際に、その観測支援のためにフリゲート艦とコルベット艦の2隻が日本海に展開したことがある。

 本来、この木造船を救助する必要があるならば、今回もその当時と同様に、軍艦あるいは民間船舶を派遣するのが普通だろう。

 しかし、なぜか韓国が、韓国海洋警察の警備艇に加え、海軍駆逐艦までも派遣した。

 北朝鮮の木造船を捜索するため、派遣された警備艇の参峰号は、韓国最大で最新の警備艇(排水量約6300トン、韓国は2隻保有)だ。

 駆逐艦の広開土大王(クァンゲトデワン)は、韓国で最初に建造された駆逐艦で約4000トンだ。

 木造の小船を大型艦艇が挟み込んで救助しているというのは、常識ではあり得ない不思議な光景である。

 韓国の大型の軍艦と警備艇が、日本海の真ん中よりも日本に近い位置にいた木造船をしかもレーダーには映らない木造船をどのようにして発見したのか。それが疑問である。

北朝鮮のアナログステルス戦闘機

 詳しく説明すると、レーダー波を金属製の航空機に当てると電波が反射して戻ってくるが、木材の場合はレーダー波を反射しない。

 軍事専門家は、北朝鮮特殊部隊を空輸する木材と布で作られた輸送機「An-2」を、皮肉を込めて「アナログステルス戦闘機」と呼ぶ。

 この木造船がSOSの救助信号を発信した可能性もあるが、海上保安庁も海上自衛隊も確認していないという。

 韓国が発表した北朝鮮の木造船の映像をよく見ると、イカ釣り用の電球が並ぶ上に、前方のマストから後方のマストにかけて、AM通信(モールス通信)用のケーブルらしきものがかけられている。

韓国側が発表した映像から

 北朝鮮の木造船は、モールス通信を使用して本国に救助を依頼したのではないだろうか。

 また映像を見ると、その木造船は、沈みかけていない。漂流する原因は、燃料切れだと推測される。

 私は、韓国の大型艦は北朝鮮の木造船に燃料を渡していると判断している。
救助に向かう燃料がない北朝鮮

 韓国が、沈没しそうな木造船と漁民を救助しているというのならば、漁民を救助している写真やその木造船をロープで曳行している写真を発表すべきだろう。

 大きな疑惑がいくつも生じるのは当然のことである。

 私の推測では、北朝鮮の小型木造船は、燃料切れを起こし、本国に燃料補給の救助を求めた。

 だが、北朝鮮は漁船を救助するために、海軍警備艇や民間船舶を派遣するための燃料がない。

 また、海軍軍艦はポンコツで500キロも離れた日本海の中央まで移動して帰投することができない。

 このような理由から、北朝鮮金正恩委員長は、韓国に支援を依頼した。

 北朝鮮としては、金正恩委員長の要求を何でも聞き入れる文在寅大統領に頼めば、すぐに引き受けてくれるだろうという予想通りになった。

いまや金正恩の言いなり、文在寅大統領

 金正恩が頼めば、文大統領は「北朝鮮は非核化をします。国連制裁を解除すべきだ」と欧州諸国を駆けずり回る。

 「自国の漁船を救助してほしい」と頼めば、大型軍艦や警備艇を派遣する。韓国文在寅大統領は、いまや北朝鮮の言いなりのようだ。

 そのことと、南北の陸と海上の境界の障害が徐々に取り除かれていること、南北の融和行事などを合わせると、南北の統一は近いと見てほぼ間違いないのではないか。

 だが、その統一は韓国主導による連邦制ではなく、北朝鮮が韓国を呑みこむ占領という形で行われるのではないか考えられる。

(これについては、軍事情報戦略研究所朝鮮半島分析チーム「可能性が高くなりつつある北朝鮮による半島統一」『JBPress(2018年12月3日)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54805』で詳細に分析している)

【私の論評】南北統一の虚妄より、北の核が結果として朝鮮半島への中国の浸透を防いでいることに注目せよ(゚д゚)!

冒頭の記事では、南北統一のことがいわれています。そうして、その統一は韓国によるものではなく、北朝鮮による半島統一ということがいわれています。

このように多くのメディアで、南北統一が当然のようにいわていますが、南北統一は解決策なのでしょうか、あるいはそれこそが問題なのでしょうか。北朝鮮と韓国の最近の緊張緩和によって、1950年代から分断している南北の統一に新たな可能性が浮上しているのは事実です。

統一という言葉は、東西ドイツを隔てるベルリンの壁が崩壊して家族が再会し、軍が武装解除したときのことを思い起こさせます。

韓国と北朝鮮は平和的な統一を繰り返し訴え、韓国で開催された昨年の平昌冬季五輪では統一旗を掲げて共に入場行進を行いました。また最近にK─POP歌手らの一行が北朝鮮を訪問した際、彼らは北朝鮮人と手をつなぎ、「われらの願いは統一」を歌いました。

「少女時代」のソヒョンが、北朝鮮芸術団と共に感動のステージを披露し、話題を呼んだ。
2018年2月12日11日、国立劇場ヘオルム劇場で開催された北朝鮮芸術団「三池淵管弦楽団」
のソウル公演に、白いワンピースに身を包んだソヒョンがサプライズ登場。

ところが、70年にわたり緊張状態が続く朝鮮半島において、「統一」の理念ははますます複雑さを増し、非現実的だと考えられるようになりました。両国の格差がかつてないほど広がる中、少なくとも韓国ではそのように捉えられていると、専門家や当局者は言います。

韓国はテクノロジーが発達し、民主主義の下で活気に満ちた主要経済大国となりました。一方、北朝鮮は金一族の支配下にあり、個人の自由がほとんどない、貧しく孤立した国です。

1990年に再統一した東西ドイツとは異なり、朝鮮半島の分断はいまだ解決されていない同胞同士の内戦に基づいてます。韓国と北朝鮮は朝鮮戦争を終結するための平和条約に署名しておらず、お互いをまだ正式に認めていません。

過去には、北朝鮮の独裁政権が崩壊し、韓国に吸収されるという前提に基づいた統一計画を描く韓国の指導者もいました。しかしリベラルな文政権はそうしたアプローチを和らげ、最終的に統一へとつながるであろう和解と平和的共存を強調しています。

韓国では、統一を支持する世論も低下しています。韓国政府系シンクタンク・韓国統一研究院(KINU)の調査によると、2014年には70%近くが統一が必要と回答したのに対し、現在は58%に低下しています。1969年に政府が実施した別の調査では、90%が統一を支持すると答えていました。

統一にかかる費用は最大5兆ドル(約550兆円)と試算されており、そのほとんどが韓国の肩にのしかかることになります。

一昨年7月にベルリンで行ったスピーチの中で、文大統領は「朝鮮半島平和構想」について説明。北朝鮮の崩壊を望まない、吸収による統一を追求しない、人為的な方法による統一を追求しない、ことを明らかにしました。

「求めているのは平和だけだ」と、同大統領は語りました。

一昨年7月にベルリンでスピーチした、文大統領
両国とも、統一についてそれぞれの憲法で明記しており、北朝鮮は「国家の最重要課題」と表現しています。

韓国統一省のように、北朝鮮にも「祖国平和統一委員会」があります。北朝鮮からの報道を集めたウェブサイト「KCNAウオッチ」の記事をロイターが分析したところによると、国営メディアは2010年以降、統一について2700回以上言及しています。

北朝鮮は昨年1月、声明で「国内外にいる全ての朝鮮人」に共通の目的を目指すことを呼びかけ、「お互いの誤解と不信感を払拭(ふっしょく)し、全ての同胞が自身の責任と国家統一の原動力という役割を果たすべく、南北間における連絡や移動、協力や交流を広範囲で可能にしよう」と訴えました。

北朝鮮人は、韓国にいても北朝鮮にいても統一を支持しているようです。韓国にいる脱北者の95%以上が統一を支持すると回答しています。

北朝鮮「建国の父」である金日成主席は1993年、祖国統一のための「10大綱領」を発表。その中には、国境は開放しつつ、2つの政治体制を残す提案が含まれていました。

北朝鮮は1970年代まで、憲法でソウルを首都と主張していました。一方、韓国は現在に至るまで、北朝鮮に占拠されたままだとする「以北五道」に象徴的な知事を任命しています。

昨年4月25日、南北統一は解決策なのか、あるいはそれこそが問題なのか、北朝鮮と韓国の最近の緊張緩和によって、1950年代から分断している南北の統一に新たな可能性が浮上していました。

「統一は結局、非核化であろうと人権問題であろうと、あるいは、単に南北間で安定したコミュニケーションを築くことであろうと、喫緊の短期目標の多くを達成困難にする」と、韓国シンクタンク「峨山(アサン)政策研究所」のベン・フォーニー研究員は語りました。

開城(ケソン)工業団地

両国は、開城(ケソン)工業団地のような小規模の協力でさえ、問題にぶつかってきました。北朝鮮の核兵器開発を巡る緊張が高まる中、2016年に閉鎖されるまで、この工業団地では両国の労働者が共に働いていました。

最近では、両国は離散家族の連絡事業再開で合意には至りませんでした。

不信感は根強いです。朝鮮半島を支配するための長期計画の一環として、北朝鮮の指導者、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は核兵器を開発したと、一部の韓国人と米国人は信じ続けているようです。一方の北朝鮮は、韓国の駐留米軍について、金氏の転覆を狙った侵略部隊だと懸念しています。

1990年に東西ドイツが統一したとき、朝鮮半島のモデルになることを期待する向きもありました。

しかし、東西ドイツの場合は内戦を経験しておらず、東ドイツは北朝鮮と比べて国民に対する統制がはるかに弱かったと、元韓国統一省の当局者は2016年のリポートで指摘しました。さらに、東ドイツは核武装はしていませんでした。

最も大きな障害は、金正恩氏自身かもしれないです。平和的な統一に必要な妥協を受け入れる動機が、同氏にはほとんどないと専門家は言います。韓国も、同氏に実権を許すような取り決めに合意する可能性は低いです。

北朝鮮を独立国として、また米同盟国である韓国との間の緩衝地帯として維持することに、中国も既得権を有しています。

長期的に見れば、完全な統一を強硬に求めることを放棄すれば、両国は関係を修復できる可能性があると、朝鮮半島情勢について複数の著書があるマイケル・ブリーン氏は指摘しています。

「矛盾しているようだが、統一はある種、ロマンチックで、健全で、民族主義的な夢として考えられている」と同氏は言う。「だが実際には、問題の多くはそこから生じている」

そもそも、統一後を考えた場合、金正恩にとって、韓国人が1番のリスクになります。北朝鮮と違い韓国人には将軍様への敬意などはなく、気に入らなければデモとクーデターで彼を攻撃する存在に豹変します。結果、アラブの春以降のアラブや中東が再現されることになります。

北朝鮮の核とミサイル廃棄と南北統一は別問題です。 米国としては、本土に届き中東に渡る可能性がある核とミサイルは絶対許せないです。周辺諸国も北朝鮮の難民を望んでいないです。一方北朝鮮は、国の枠組みは変えたくないです。その金体制維持に最も邪魔なものは自由や人権、南北で人の往来が始まれば政権が脅かされることになります。

他国は朝鮮半島の統一を望んでいません。しかし、当事者間の問題であり、関与はしないだけのことです。 中国、ロシア、日本、米国、どこにも積極的なメリットはなく、投資リスクも大きいです。北朝鮮が今のまま、自由化を進める方がメリットが大きいし、衝突リスクも低いです。

それに、以前も述べたように、現在のように北が核を持っている状況は、中国の影響が半島に及ぶことを防いでいます。北の核は中国にとっても脅威なのです。そうして、北朝鮮は中国から完全独立を希求しています。韓国は、中国に従属する道を選びました。

この状況は、米国にとって良い状況です。ただし、北朝鮮が米国を脅かす核ミサイルを開発せず、開発したものがあれば、破棄し、中東に核を渡さないことを約束すれば、中国を睨む米国にとって現状は最善といっても良い状態です。

以上のようなことから、半島情勢をみるときには、南北統一が近いなどという見方はしないほうが良いでしょう。そんなことよりも、北朝鮮の核が結果として、半島への中国への浸透を防ぐ役割もしていることに注目すべきです。

北朝鮮が核を開発していなければ、今頃北朝鮮は中国の傀儡政権であったか、そこまでいかなくても、完璧に中国の意図に沿って動く国であったことは間違いないです。

その場合、韓国は中国の従属国ですから、統一は現状よりはやりやすかったと思います。ただし、統一とはいっても中国の傀儡国家として統一ということになるでしょう。日本としては、対馬のすぐ先が、中国の傀儡国家という状況になります。

それよりは、北により中国からの浸透が防がれてる状況のなかで、韓国が中途半端な中国の従属国であるという現在の状況のほうが日本にとってもよりましであるといえます。

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2019年1月14日月曜日

文在寅は誰にケンカを売っているのか?―【私の論評】中国に従属し、安全保障を放棄したぶったるみ韓国にうつつをぬかすより日本はやるべきことをやれ(゚д゚)!

文在寅は誰にケンカを売っているのか?

日韓議員連盟はいったい何をやっているのか

今、日本の国益という観点から見て、韓国内の保守派との連携は欠かせない。つまり、文在寅政権に虐げられている最大野党・自由韓国党をはじめとする保守派との連携だ。反文在寅を掲げる彼らに頑張ってもらって、文政権を追い詰める、このことは日本の国益にかなう。

逆に言えば、韓国の保守派が強くならない限り、文在寅政権はさらに無法をエスカレートさせる。韓国に対する我々の日本人の怒りは頂点に達している。韓国を全否定する気持ちはわかるが、日本にとって、利用すべきところは利用すべきである。

11日、日韓議員連盟会長の額賀福志郎元財務相らは来日中の姜昌一(カン・チャンイル)・同議連会長らと会食し、「互いに力を合わせ、この難局を乗り切る」ように要請したという。今、姜氏のような左派を相手にしたところで百害あって一利なしだ。話し合うべき相手が違う。

日韓議員連盟の議員たちは本来やるべき保守派との連携や話し合いをほとんどやっていない。

韓国保守派の日本批判

しかし、自由韓国党などの保守派にも責任がある。彼らもまた、左派同様に、日本を敵視し、公然と安倍政権批判をしている。

羅卿瑗氏

2018年11月3日、自由韓国党の中で、最も発信力があり、影響力もある羅卿ウォン(ナ・ギョンウォン)院内代表(「美し過ぎる議員」として有名)は徴用工判決問題で、「歴史的事実を否定する安倍首相の発言は稚拙極まりない」と日本の対応を痛烈に批判した。

また、自由韓国党の広報は1月6日、レーダー照射問題に関し、「安倍首相は防衛省の反対にも関わらず、映像公開を指示し、移民政策などで急落している支持率を挽回するために韓日葛藤を利用している」と指摘した。

韓国の保守派は自分たちの置かれている深刻な状況をわかっていない。今、日本を批判すれば、敵(文政権)を利することになる。羅議員や金秉準(キム・ビョンジュン)・非常対策委員長(自由韓国党党首)をはじめ自由韓国党の有力議員の多くは筋金入りの反日家である。しかし、彼らは「敵の敵は味方」ということをよく認識して、反日路線をしばらく脇に置くということの戦略の有効性について考えるべきだ。

自由韓国党などの保守派がしっかりしていないから、左派勢力に政権を乗っ取られ、国を危機に晒しているのだ。親朴派と反朴派の不毛な内部抗争なども敵を利するだけである。

仮に、韓国の保守派が日本と連携して、韓国で進行している左派革命の脅威を国際社会にアピールしていけば、相当インパクトがある。日韓議員連盟というのはこういう手を打つためにこそある。

日本に魂を売った保守派という印象操作

韓国大統領府FBより

文大統領は10日、約30分間の「新年の辞」の中で、北朝鮮のことに熱心に言及したが、日韓関係について全く触れなかった。

その後の2時間に及ぶ記者会見で、日本メディアの質問で、ようやく文大統領は日韓関係に触れ、「これ(元徴用工問題)は、韓国政府が作り出した問題ではない。日本政府はこの問題に対して、もっと謙虚にならないといけない。この問題を日本の政治家や指導者が政治的に争点化し、論争を種にして拡散しているのは、賢明な態度ではない」と言及した。

文大統領も政権内部の人間も、実は日本のことにほとんど関心がない。文政権が対日政策に関して、何らかの具体的な指針を示したことはない。彼らの関心は専ら北朝鮮との赤化統一をどう進めるかということに集中している。

加えて、韓国国民も従来の反日パフォーマンスには、ほとんど反応を示さなくなっている。韓国国民はこの手法には飽きてしまっているのだ。文政権もこの手法が支持率上昇のネタにならないことをわかっている。文政権は前政権から続く、「保守VS左派」の国内戦争を制しなければならない。徴用工訴訟判決などは、この戦争を有利に導くために引き合いに出されたダシである。

朴正熙(パク・チョンヒ)元大統領のような韓国を創建した父祖たちは親日派であった。親日派の系譜にある保守勢力を、文大統領は「積弊」と呼んで処断し、罪人扱いにする。徴用工問題や慰安婦問題を持ち出し、この問題で日本と妥協した保守派がいかに悪辣であるかが国民に示される。虐げられた被害者を見棄て、日本に魂を売った保守派、人権を蹂躙した血も涙もない保守派というイメージが浮き彫りにされて、彼らへの憎悪が国民に植え付けられ、保守派の政治生命が事実上、抹殺されていく。

左派革命政権と戦う共通の利害

文大統領の最終政治目標は北朝鮮主導の赤化統一である。自ら、自国の正当性を否定して、自国を丸ごと、北朝鮮に差し出す。これこそが北朝鮮の工作によって生み出された文大統領の使命である。

赤化統一を実現するためには、韓国は自国民に、北朝鮮の法的かつ歴史的優位性を認識させるとともに、自国の正当性を否定しなければならない。しかし、いくら文政権でも、それを露骨に韓国国内に向かって言うことはできない。そこで、「日本=犯罪者」という方便を使って、外堀から埋めていく作戦をとっている。

実際に、文政権のこうした目論見に沿って、徴用工訴訟判決をはじめとする一連の無法が行われている。
文在寅政権は日本にケンカを売っているように見えるが、彼らが本当にケンカを売っている相手は、実は日本ではない。本当の相手とは文政権に敵対している韓国国内の保守勢力である。

自由韓国党の羅卿ウォン議員ら保守派議員は10日の文大統領の記者会見について、経済問題のみを批判し、日韓関係については何も言わなかった。いや、言えないのである。なぜならば、文政権の打ち出す「日本=犯罪者」という方便が効いており、この問題で保守派も同調する以外にないからだ。

その苦境は理解できるが、自由韓国党が自ら率先して、日本批判をするのは愚かなことだ。日本批判で支持を稼げると思っているならば、大間違いである。むしろ、保守派がそれをやればやるほど、韓国国民の失笑を買うだけだ。

保守派は経済で追い詰めていくつもりであろうが、それだけで文政権の屋台骨を崩せないだろう。彼ら保守派にとっても、我々日本にとっても、文在寅・左派革命政権にどう戦うかということについて、共通の利害がある。両者ともに、こうした戦略観が決定的に欠けており、文政権を利するばかりの状況に陥っている。そして、今、最も意気揚々と喜んでいるのは金正恩委員長であろう。

【私の論評】中国に従属し、安全保障を放棄したぶったるみ韓国にうつつをぬかすより日本はやるべきことをやれ(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事では、韓国の保守派と日本の保守派の連携が必要であるとの趣旨で書かれていますが、このような記事を読んでも、にわかに韓国の保守派がまともになるとは到底思えません。

それは、文在寅の前の大統領朴槿恵を思い出せば、誰も反論できないのではないかと思います。朴 槿恵は、韓国の政治家。第18代大統領。 保守政党のハンナラ党代表、セヌリ党非常対策委員会委員長を経て、2012年の大統領選挙で革新政党民主統合党の文在寅に勝利し、2013年2月25日に東アジア初・韓国史上初の女性大統領に就任しました。

そうして、父親はあの韓国の第5代~第9代大統領である朴正煕(パク・チョンヒ)です。朴槿恵は韓国では正当保守といっても良いくらいの大統領でしたが、ご存知のように中国と接近したのは朴槿恵の時代においてです。


東アジアで最初に国のリーダーとなった朴槿恵元大統領

上の記事では、「自由韓国党の有力議員の多くは筋金入りの反日家である。しかし、彼らは「敵の敵は味方」ということをよく認識して、反日路線をしばらく脇に置くということの戦略の有効性について考えるべきだ」などと主張していますが、韓国は朴槿恵や文在寅に限らず、いつも戦略では失敗しています。そもそも、韓国にはまともな戦略をたてる能力が欠如しているのではないかと思います。

普通のまともな地政学の考え方からすれば、韓国は今まで通りに、米国と日本との安全保障的な結びつきを強め、北朝鮮を牽制しながら、中国を警戒するような動きを見せなければならないはずです。

韓国の歴代大統領は、就任してからまず同盟国である米国や日本に先に訪問するのが建国以来の「恒例」になっていたわけですが、朴槿恵元大統領が大統領に就任した直後に、韓国の大統領としては米国の後に、今回初めて中国を訪問しています。

文在寅大統領は、この順番は間違えなかったものの、南北首脳会談を実現しています。

そうして、その後は中国に積極的にすり寄る姿勢をみせていました。文在寅に変わってからは、対中国政策に関しては基本的に朴槿恵を踏襲したうえで、北朝鮮に対してかなり傾倒する姿勢を見せています。

韓国は、左翼系の文在寅であろうが、朴槿恵であろうが、中国への擦り寄り姿勢は変わらないようです。

これについて参考になるのが、本ブログをご覧の皆さんにはすでにおなじみの、戦略家エドワード・ルトワック氏の分析です。韓国に関する分析は、『自滅する中国』に詳しく掲載されています。

ルトワック氏

以下に、ルトワック氏の韓国の戦略状況の分析の要点を紹介させていたたぎます。ルトワック氏によれば、韓国の戦略状況は以下の要点にまとめられることになります。

===
●国家は普通は独立を尊ぶものだが、従属したがる国もある。それが韓国だ。 
●彼らは中国と中国人にたいして、文化面で深い敬意を持っている。中国の「マーケットの将来性」にもその原因がある。 
●韓国における中国と中国人への尊敬の念は明の時代にまでさかのぼることができる。その一番の担い手は、知的エリートとしての官僚である両班だ。 
●面白いことに、中国文化の影響が非難されるのは北朝鮮。北では漢字は事実上禁止され、ハングルの使用だけが許されているほど。 
●韓国では教育水準が高ければ高いほど反米の傾向が強まる。しかも最近はアメリカが衰退していると考えられているために、中国の重要性のほうが相対的に高まっている。個人で中国でビジネスを行っている人が多いという事情もある。 
●極めて奇妙なことに、韓国は大規模な北朝鮮の攻撃を抑止するのは、グローバル規模の軍事力を持つアメリカの役目だと考えられており、実際に天安沈没事件や延坪島の砲撃事件にたいしても(死者が出たにもかかわらず)ほとんど報復は行っていない。 
●つまり実際のところ、韓国政府は米国と中国に依存する従属者となってしまっている。米国には全面戦争への抑止力、そして中国には一時的な攻撃にたいする抑止力を依存しているのだ。 
●ところがこれは、米国にとって満足できる状況ではない。韓国を北朝鮮から庇護するコストとリスクを、米国は独力で背負わなければならないからだ。 
●その上、韓国への影響力は中国と折半しなければならない。中国は北朝鮮への統制を中止すると脅かすことで、常に韓国政府を締め上げることができるからだ。今のところ韓国が中国に声を上げることはない。 
●米韓同盟を形成しているものが何であれ、そこには共通の「価値観」は含まれていない。なぜなら韓国はダライラマの入国を中国に気兼ねして堂々とビザ発給を拒否しているからだ。 
●現在のような政策を保ったままの韓国は、いわゆる「小中華」の属国として、しかも米韓同盟を続けたまま、中国による「天下」体制の一員となることを模索しているのかもしれない。韓国が自国の安全保障のコストとリスクを受け入れず、かわりに従属者になろうとしているのは明らかだ。 
●このような韓国の安全保障の責任を逃れようとする姿勢は、「日本との争いを欲する熱意」という歪んだ形であらわれている。ところが日本との争いには戦略的に何の意味もないし、日本へ無理矢理懲罰を加えても、韓国側はリスクを背負わなくてすむのだ。
===
いかがでしょう。このルトワックの分析の要点をさらに簡潔にまとめれば、 
1.米国に従属している韓国は、同時に中国にもすり寄っていこうとしている。 
2.その大きな理由は二つ:歴史的・文化的な面での尊敬と、ビジネスのチャンスだ。 
3.安全保障面では、北のコントロールを中国に、そして全面戦争の抑止は米国に依存。 
4.その責任逃れの憂さ晴らしとして、日本にたいする情熱的な敵対心を展開。
となります。

米国人がこのような分析をするというのは意外な感じがしますが、ルトワック自身はこの韓国の戦略を「大間違いを犯している」として非難しています。

もしこの分析が正しければ、韓国はこれから米中を両天秤(ヘッジング)にかけながら、その不満を日本に向かって吐き散らしていくという、構図がますます強まるだけかもしれません。

しかし、果たしてこのような政策を韓国はいつまでも続けていけるのでしょうか?

なお、この分析は2012年までの知見もとに構築されています。あれから時がたち、米国は本格的に中国に対して冷戦Ⅱを挑んでいます。そうして、これはかなら長期間にわたって継続すると考えられます。

文在寅大統領になってからは、韓国の前のめり北朝鮮への接近が目立つようになりました。

とは、いいながら、韓国の戦略状況は上のルトワック氏の分析とさほど変わりないのだと思います。北への傾斜は、北朝鮮による韓国への浸透の結果もたらされたものであり、文在寅氏の戦略ではありません。

また、昨日もこのブログに述べたように、北朝鮮は親中ではなく、反中もしくは嫌中であるととらえるべきです。ここが、韓国との根本的な違いです。

このような韓国の状況をみていると、ここ何日かこのブログに掲載してきたように、以下のようことがいえると思います。
北朝鮮の核保有は北朝鮮の独立を保証すると同時に、中国の影響力を朝鮮半島全土に浸透させることも防いでいます。米国にとって、朝鮮半島が南北に分断され、北朝鮮が核を保有している現状が中国をにらみ望みうる最善の状態です。
米国は現状中国と本格的に対峙しているため、特に北の核が朝鮮半島に対する中国の影響力をそいでいることに注目していると思います。

ただし、中国が中国共産党一党独裁主義をやめるか、経済が弱体化し、他国への影響力がほとんどなくなってしまった場合、もしくはそれが確実になった場合は、北の核を許容することはないと思います。北の核は、無論中国にとって脅威ですが、それは日米にとっても脅威であることには変わりないので、その時は、本格的に北に核廃棄を迫るものと思います。

私自身は、上記のようなことから、米国はここしばらくは、北に対して新たな核兵器の製造はさせないものの、既存の核に関してはその保有を一時的に認めることになる思います。そのほうが、米国にとっては対中国冷戦を有利に展開できるはずです。

そうして、韓国などに頭をつかうよりも、当面対中国冷戦Ⅱに専念するものと思います。いずれにせよ、 現在の韓国は対中国冷戦Ⅱには、何の意味ももちません。トランプ大統領が、韓国に無関心なのもこういうところに原因があるのだと思います。

日本も以上で述べたことを念頭におきながら、韓国と付き合っていくべきです。米国が対中国冷戦Ⅱを戦っている最中でも、中国に従属しようとする、従属者根性から抜け出せない韓国には、見込みがないです。

韓国の安全保障の責任を逃れようとする姿勢は、「日本との争いを欲する熱意」という歪んだ形であらわれているものの、日本との争いには戦略的に何の意味もありません。

北朝鮮も、韓国の本質を見抜いていると思います。北は韓国を便利に利用しているだけなのです。このような韓国に日本は、時間や労力をさく必要性は全くありません。

私自身は、韓国とは実質的な断交、もしくは本当に断交をしても良いと思っています。それによって、日本も対中国囲い込みに専念すべきときと思います。ただし、拉致被害者問題については、これからも北に返還を迫り続けていくべきです。日本にとって戦略的に意味を持たない韓国などにううつをぬかしている時ではないと思います。

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2019年1月13日日曜日

レーダー照射で逆ギレ「韓国」が米国と訣別する日―【私の論評】文在寅の甚だしい誤認、北は反中もしくは嫌中、親中にあらず(゚д゚)!

レーダー照射で逆ギレ「韓国」が米国と訣別する日



同盟消滅が現実味を帯びている

 河井克行・総裁外交特別補佐は訪米先ワシントンで8日、講演をして、韓国が中国、北朝鮮陣営に傾いていることへの懸念を表明した。河合氏は、アメリカにこの地域で引き続き存在感を示してもらいたい旨も語ったが、そのように事態が進むかはますます怪しくなっている。

 直近の問題は、韓国側の「逆ギレ」的対応により、出口が見えづらくなっている韓国軍のレーダー照射事件だろう。日本側はアメリカに仲裁を期待しているといった報道もあるが、実のところ、アメリカがどこまで関与するか、そして韓国がそもそも聞く耳を持っているかも不透明な状況のままである。

 評価は様々にせよ、アメリカの存在が北東アジアの平和に貢献していたことは間違いない。しかし、現在の韓国大統領がそのような「恩義」を感じているかは極めて怪しいのもまた事実だ。北朝鮮に対して異常なほどの接近を示す韓国は、とてもアメリカの同盟国とは見えないというのは衆目の一致するところだろう。この流れが続けば、アメリカが韓国を見捨てる日も遠くない――昨年末来、この危うい状況に警鐘を鳴らしていたのが、半島情勢に詳しいジャーナリストの鈴置高史氏だ。鈴置氏の新著『米韓同盟消滅』の冒頭にはこうある(以下、引用は同書より)。

「この本の目的は米韓同盟が消滅しかかっていると日本人に知らせることにある。米国の後ろ盾を失えば、韓国は表向きは中立を唱えるだろうが、実質的には中国の勢力圏に入る可能性が高い。朝鮮半島は日清戦争以前の状態に戻り、百数十年ぶりに日本は大陸と直接向き合うことになる。(中略)

 反米的で民族の和解を掲げる文在寅(ムン・ジェイン)政権は同盟破棄に協力的だ。韓国の親米保守は米国との同盟を失うことに絶望感を抱く。だが、米国から見捨てられる以上、どうしようもない」

 鈴置氏は、同盟消滅が現実味を帯びていることを示すファクトをいくつも挙げている。たとえば、昨年、文政権の統一外交安保特別補佐官は、米外交専門誌「フォーリン・アフェアーズ」に「(南北の)平和協定が締結されれば、在韓米軍の持続的な駐留を正当化しにくくなる」と書いたという。

「米韓同盟の打ち切りに大統領のブレーンが言及したのだ。1人の不規則発言ではない。青瓦台(大統領府)は『反米親北』の人々で占められている。

 中枢組織である秘書室の秘書官31人のうち、政権ナンバー2の秘書室長を含め61%の19人が左派の学生運動か市民運動の出身者だ。保守系紙、朝鮮日報が2018年8月8日に報じた。根っからの『反米親北』政権なのだ」

 こうした動きに対して歯止めをきかせる役目を本来、担っていたはずの親米保守派が存在していたのだが、彼らは現在沈黙を強いられている。

「対話ムードに抗せなくなったのだ。韓国の政界から北朝鮮との対決を主張する党派が消滅した。それは米韓同盟の死守を叫ぶ勢力が消えることも意味した」

 南北の間の緊張が緩和すること自体は、多くが歓迎する動きだろう。しかし、だからといって、これまでの同盟の歴史を無視するかのような韓国の振る舞いについて、日本人には理解しがたいところがある。朝鮮戦争では数多くの米国兵が犠牲になっているのだ。

 しかし、韓国では定期的に反米機運が国レベルで高まることがある。2002年には、米軍の装甲車に韓国人の女子中学生がはねられて死亡した事件をきっかけに激しい反米デモが勃発。当時のブッシュ大統領が2度にわたって遺憾の意を表明したが、国民は収まらなかった。当時の世論調査では、アメリカよりも北朝鮮にシンパシーを感じる人が多いという結果が出ている。同盟国よりも「休戦中の敵国」に対して親しみを持っていたのだ。

 かつて、鈴置氏はこうした「反米気運」について素朴な疑問を保守系紙の編集幹部にぶつけてみたことがある。

「日本は戦争で米国に負け、原爆まで落とされた。だが、今は同盟を結んでいる。韓国は米国によって日本から解放してもらい、朝鮮戦争の時にも救われた。米国に徹頭徹尾、世話になったではないか」

 これに対する答えはこうだったという。

「世話になったからこそ、韓国人は反米になるのだ。全力で戦った日本に対し、米国人は敬意を払う。少なくとも下に見はしない。だから日本と米国は対等の関係にある。だが米国人は『いつも助けてやっている韓国』をまともな国として扱わない。この悔しさは日本人には分かるまい」

 こうした恨みもまた、同盟消滅の推進力となるのだろうか。

デイリー新潮編集部

【私の論評】文在寅の甚だしい誤認、北は反中もしくは嫌中、親中にあらず(゚д゚)!

金正恩(左)と文在寅(右)

文在寅は、自身が親中派であり、金正恩氏もそうであると思っているでしょう。親中派とまではいかなくても、少なくとも金正恩氏は米国などより中国のほうを信頼しているだろうと無意識に思っているに違いありません。これは、全くの文在寅の誤認です。

金正恩は、親中派ではないどころか、反中派です。

「中国の奴らに昔と今は違うということを見せつけてやる」

2015年8月米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は、北朝鮮の現役幹部の証言として、金正恩第一書記の口から「爆弾発言」が出たことを報じました。

建国以来「血の友誼」と呼ばれる固い同盟関係を築いてきた北朝鮮と中国ですが、核実験の強行や張成沢氏の処刑などをきっかけに中朝関係は悪化。「爆弾発言」が事実なら、金正恩氏が中国との関係改善に関心がないことを示すことから、北朝鮮権力内で衝撃が走ったようです。

「爆弾発言」は、当時金正恩氏が幹部たちを集めた席で語られたといいます。発言を聞いた幹部たちの多くは拍手しましたが、国際社会からの孤立を自ら招きかねないと不安視する幹部もいたとのことだそうです。

発言の真偽は不明ですが、金正恩氏は、2015年6月に長江で起きた旅客船沈没事故に関連して「中国に公式の弔意を示すな」との指示をしたとRFAの北朝鮮内部情報筋が伝えていました。

金正恩氏が、中国との関係改善に消極的で「反中感情」を抱いている可能性は充分にあります。上から目線で「先輩風を吹かせる」中国を毛嫌いしているようです。

北朝鮮が、ロシアとの関係改善に注力していることも、金正恩氏の反中感情が反映されていると見られますが、「政府は、朝ロ関係に積極的に動いているが、それほど大きな効果は得られていない」という見方もあります。

2015年9月3日には中国の北京で「抗日戦争勝利70週年」記念式典が行われました。当時の韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は参加しましたが、金正恩第1書記は欠席しました。ただし、金正恩の腹心である崔竜海・朝鮮労働党書記を派遣しました。

ごく最近は、金正恩氏は習近平と頻繁に首脳改題を開催するようになりましたが、これはあくまで、米国による非核化要求に関わる協議のためであり、やはり金正恩氏自身は、親中派ではなく、どちらかというと反中派もしくは嫌中派とみなすべきでしょう。

では、北朝鮮の人民はどうなのでしょうか。

「私が会った北朝鮮の人たちは米国よりも中国を嫌っているようだった」

こう語るのは元駐平壌英国大使のジョン・エバラード氏です。2012年6月下旬、米ワシントンのブルッキングス研究所で講演し、北朝鮮の中国嫌いを端的に指摘しました。

元駐平壌英国大使のジョン・エバラード氏

エバラード氏は2006年2月から2008年7月まで大使として北朝鮮に駐在し、その体験をまとめた『Only Beautiful, Please』を出版したのを記念して講演しました。

北朝鮮が中国から膨大な経済支援を受けていながら、中国が嫌い理由についてエバラード氏は「中国人は傲慢で横柄、生意気だと思っている。実は北朝鮮は中国から“独立”したいと思っているのだ」と分析しました。

同氏は、平壌在住のマッサージ師の話を引き合いに出して、「ロシア人やドイツ人にはマッサージを施したが、中国人だけは相手にしなかった。奴らは体臭がきついんだ」とのエピソードも紹介しました。

北朝鮮が「米帝国主義」などとして激しく批判する米国については「一般の国民はそれほど敵対的ではなく、米国が北朝鮮を攻撃すると考える住民は多くはない」と語りました。さらに、韓国が北朝鮮に攻撃をするかどうかについて、「北朝鮮国民は韓国を米国の傀儡政権みなしていることから、韓国が単独で北朝鮮を攻撃するとも思っていないようだ」と解説しました。

「ただ、北朝鮮は絶対に核を放棄しない。核が外部の敵から自国を守る唯一の武器だと考えているからだ」と同氏は強調し、米国や中国が北朝鮮に核の放棄を求めても、絶対に応じないとの見方を示しました。

一方、国際社会の北朝鮮への食糧支援などについて、「支援物資などは権力集団の体制維持に活用されているようだ」と述べて、食糧不足に苦しむ一般住民の手には渡らず、北朝鮮の指導部や軍の段階で止まっているとの見方を明らかにしています。

以上から、どうやら、金正恩も、一般人民も中国を嫌っているようです。

そうして、北朝鮮のミサイルの射程距離を思い浮かべてください。以下に2017年度チャートを掲載します。


左から
火星5 飛距離300Km
火星6 飛距離500Km
ラドン 飛距離1300Km
テポドン1 飛距離2500Km
ムスタン 飛距離3000Km
KN−08 飛距離6000Km (開発中・未テスト)
テポドン2 飛距離6700Km (開発中・未テスト)
テポドン1は1998年、2006年、2009年、2012年に発射実験が行われており、その射程距離圏内には、日本全域、中国東側の大部分、ロシア極東部などが含まれます。現在開発中のKN-08やテポドン2ではアメリカのアラスカ州が射程距離内に入ります。

2017年7月4日に発射された大陸間弾道ミサイルは高く打ち上げて飛距離を抑えるロフテッド軌道を利用したと見られており、発射角度を調整すればアメリカも射程距離に入っていたと見られます。

この射程距離、日本では米国や日本への到達などばかりが報道していますが、上のチャートのラドンから右のミサイルは、すべて中国の中枢に到達します。ムスダンから右は、中国内のほぼ全域に到達します。

そもそも、北朝鮮は中国の東北地方(旧満州)と国境を接していますから、どのミサイルも中国の領域に到達します。

中国は、こうした北朝鮮のミサイルに脅威を感じるのは当然のことだと思います。

金正恩が、中国嫌い、北朝鮮人民も中国が嫌い、そうして北が核ミサイルを保有しているという事実から何が浮かんでくるかといえば、昨日もこのブログに掲載したように、結果として、北朝鮮の核保有は北朝鮮の独立を保証すると同時に、中国の影響力を朝鮮半島全土に浸透させることも防いでいます。米国にとって、朝鮮半島が南北に分断され、北朝鮮が核を保有している現状が中国をにらみ望みうる最善の状態です。

北の核は、確かに米国にとって脅威ではありますが、もう一方からみれば、中国にとっても脅威なのです。

現状は、米国にとっては中国封じ込めという観点からは、朝鮮半島はうまくバランスがとれているのです。

昨日も掲載したように、トランプ政権はこのバランスを継続させることに大きな意味があると考えていることでしょう。

そうして、昨日も述べたように、中国が体制を変えるか、経済が落ち込んで、他国に影響を及ぼせないほどになれば、そのとき本格的に北朝鮮との非核化協議にはいることになるでしょう。それまでは、

そうして、昨日も述べたように、中国に接近する韓国は中国の影響力を朝鮮半島全土に及ぼす役割は担っていないのです。それを今は北朝鮮が担うという皮肉な状況になっているのです。

北も中国との関係を大事にするだろうと思いこんでいる、文在寅は、日米はもとより、北朝鮮からも、これからはしごを外されっぱなしなることでしょう。

そうして、他ならぬ中国からもはしごを外された状況に陥るでしょう。なぜなら、韓国は未だ米国との関係もありますし、何よりも嫌中の北朝鮮に両手を上げて接近しようとしています。

この対局を文在寅は全く理解していないでしょう。北と接近し、中国とも同時に接近することが、韓国の国益にかなうことと無邪気に信じているのでしょう。

北に強く接近すれば、中国からは疎まれるということを理解していないようです。そのことを理解させるため、中国はさらに韓国に対する制裁を強めるかもしれません。それでも、大局を理解してない文は、なぜ中国がそのようなことをするのか、理解せず、さらに北朝鮮に入れあげ、挙げ句の果てに自滅するかもしれません。

最悪の場合、韓国は日米中の制裁の対象になるかもしれません。そうなれば、韓国はお手上げになります。

米国としては、このバランスを継続することに注力するようになるでしょう。米韓同盟が消滅したとしても、このバランスを保つことに支障がないと判断すれば、シリアから撤退したように、あっさりと米韓同盟を解消し、米軍を韓国から撤退させるかもしれません。

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