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2020年7月6日月曜日

コロナ禍でも着実にアフリカを従属させていく中国―【私の論評】中国は目の前の、ザンビアの債務問題と、人種差別問題の両方で、厳しい舵取りを迫られている(゚д゚)!


岡崎研究所

 6月11日付の英フィナンシャル・タイムズ紙で、同紙のアフリカ担当編集委員のピリングが、米国がアフリカの実情を無視して、米中冷戦の観点からのみ対アフリカ政策を策定するのは誤りであると論じている。ピリングの論説の一部要旨を紹介する。


 武漢に始まる新型コロナウイルスの感染拡大が、アルジェリアからジンバブエに至るまでアフリカ経済を不況に陥らせ、結果、中国に対する巨大債務の問題が顕著になった。それは今やアフリカの債務全体の5分の1を占める。

 しかしながら、中国は、自国の評判を高めるためにパンデミックを利用してきた。欧米諸国が検査キットや防護具を買い占めたと非難された時期に、ジャック・マーはアフリカ54か国に莫大な寄贈を行った。米国がワクチンが開発された場合の知的所有権につきその立場をあいまいにしている間に、WHO総会で習近平は中国で開発されるワクチンは自動的にアフリカで利用可能となる旨述べた。米国は、ビル・ゲイツ財団などを通じ或いは政府間で、中国よりもはるかに多くの拠出をアフリカの保健分野に行い続けている。それでも、何故か、中国は中国の方がより多く貢献しているかのように見せている。

 中国がアフリカで地歩を固めつつあることの証拠はいくらでもある。中国の対アフリカ貿易は米国のそれの4倍以上に達し、アフリカ人留学生は米国よりも中国の方が多い。アフリカにおける通信分野においては、ファーウェイにまともな競争相手はいない。米国がアフリカで何をしようと十分とは言えない。

 上記のピリングの論説で挙げられているよりも以前から、実は、中国のアフリカにおけるプレゼンスは築かれてきた。古くは冷戦期から、AA(アジア、アフリカ)グループの一員として、また、1990年代以降からは、アフリカの資源開発等に中国は投資を始めた。今日では、巨大な市場をアフリカの一次産品に提供し、経済面での中国依存を深化させてきた。さらに、2001年の中国WTO(世界貿易機関)加入を契機に、消費財の輸入も中国に依存することになった。そして、習近平主席の登場による「一帯一路」構想によりインフラ整備の資金供給源としての中国の存在感はさらに高まった。

 そして、この新型コロナウィルス危機である。今後、感染拡大が予想され、医療体制が整わず医療機器も不足するアフリカ諸国にとっては中国の援助は有難いに違いない。債務問題についてもG20の債務モラトリアムの方針に中国も同調したと伝えられる。西側諸国は、今後必要になる債務削減に中国が参加するよう圧力をかけるべきであろう。

 アフリカ諸国にしてみれば、米中冷戦の観点からアフリカを巻き込まないでもらいたいということであり、少なくとも米国の対中国非難に同調することは期待できない。民主主義という点で米国に対する好感度もまだ残っている由であるので、米国はアフリカのニーズに直接に向き合い、アフリカの支援を考えるべきであろう。

 中国は、短期的には、新型コロナウイルス感染発生国としての責任回避や当初の隠蔽といった事実から目をそらさせるために、ことさら医療支援に力を入れている。長期的には、中国経済を支えるための国際的な経済流通圏を構成し、また、中国の意向に従わせることにより、台湾や尖閣諸島をめぐる有事の際の国際的な多数派工作の基盤を作ろうとしているのであろう。

 欧米メディアでは、中国批判を取り上げがちであるが、アフリカ等の現場では、トランプ大統領の「アメリカ・ファースト主義」により米国は孤立し、中国との国際的な宣伝戦においても劣勢のように見える。米国にとり外交政策立て直しは急務であり、アフリカ政策も例外ではない。

【私の論評】中国は目の前の、ザンビアの債務問題と、人種差別問題の両方で、厳しい舵取りを迫られている(゚д゚)!

21世紀の世界の牽引役として期待を集めているアフリカ、その中でも特に注目を浴びているのはナイジェリアです。

国土は日本のおよそ2.5倍、人口は1.9億人、GDPは世界31位となっています。国連の予測によると2020年以降人口増加率の上位10位はすべてアフリカ諸国で占められます。2050年にはナイジェリアの人口は世界第3位まで増加し、世界の黒人の7人にひとりはナイジェリア人となります。2030年の段階で世界の5人にひとりがアフリカ人となる計算です。


20世紀にはBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の成長が注目されましたが、今注目されているのはMINT(メキシコ、インドネシア、ナイジェリア、トルコ)です。

ナイジェリアに限らず、アフリカの多くの国は人口の増加と経済発展を続けており、そこには中国の資本とメディアが入り込んでいます。世界におけるアフリカの重要性は増しており、中国はそれを見越して着々と準備を進めてきました。一帯一路もそのひとつです。

中国がアフリカで行っているのは「欧米とは違う新しい選択肢を提示」ということです。これは一見よいことのように聞こえますが、民主主義的価値観に照らすとそうではありません。

ひらたく言えば、「独立を維持しつつ経済発展を促進する」ことなのですが、中国のいう独立とは既存の権威主義(独裁や全体主義など)の維持に他なりません。表向きは民主的プロセス(投票など)を経るものの、内容はそうではありません。

欧米の援助あるいは経済関係において、民主主義的価値の尊重は重要であり、人権侵害などがあれば経済制裁を加えられることもあります。これに対して中国は民主主義的価値の尊重には重きを置かないどころか、むしろ尊重していない方が望ましいのです。そのためアフリカ諸国の多くは現状の政治体制を維持しつつ、経済発展を遂げることができるかもしれないのです。

これには欧米の苦い失敗も影響しています。かつてアフリカにおいて民主主義は混沌と破壊をもたらす劇薬でした。急に民主主義的プロセスだけを導入してもうまくいかないということが図らずも実証されてしまったのです。

アフリカ諸国は、いずれ中国に飲み込まれる可能性が十分ありました。冒頭の記事も、その懸念を表明しました。しかし、この状況は、コロナ禍で随分変わってしまいました。

中国のマクドナルドの店舗
広東省広州のマクドナルドの店舗は4月14日、入り口に「アフリカ人入店お断り」の貼り紙を貼りだしたが、その写真がSNSなどで拡散した結果、謝罪に追い込まれました。

これは氷山の一角に過ぎません。中国政府が3月半ば、「コロナのピークを過ぎた」と宣言するのと同時に「外国からコロナが持ち込まれる懸念がある」と述べたこともあり、医療体制がとりわけ貧弱なアフリカの出身者が、あたかもコロナの原因であるかのように白い目で見られているのです。

その結果、Twitterには住んでいた部屋をいきなりオーナーに追い出されてホームレスになったり、警官にいきなり拘束されたりするアフリカ人たちの姿が溢れています。

英BBCの取材に応えたシエラレオネ出身の女性は、「ピーク越え」が宣言された後もアフリカ人にはPCR検査を義務づけられ、自分は検査結果が2回とも陰性だったにもかかわらず隔離されていると証言しています。

アフリカ進出を加速させる中国は、人の交流を増やしてきました。そのため、中国には8万人ともいわれる留学生をはじめアフリカ人が数多く滞在しています。

こうした人の交流は従来、中国とアフリカの関係の強さの象徴でした。しかし、それは今や外交的な地雷にもなっているのです。

中国と異なりアフリカのほとんどの国では、国の体制は独裁であつたにしても、たとえ手順に問題があっても選挙が行われ、ネット空間も中国よりは自由です。そのため、中国でのアフリカ人差別に激高する世論に政府も反応せざるを得ないのです。

実際、中国に滞在するアフリカ各国の大使は連名で中国政府に状況の改善を要求しており、アフリカの大国ナイジェリアの外務大臣は「差別は受け入れられない」と非難しています。

これに関して、中国政府は「人種差別はない」と強調しています。また、ジンバブエやアルジェリアなど、とりわけ中国との関係を重視する国も「一部の問題を大げさに言うべきではない」と擁護しています。

その一方で中国政府は、外交問題にまで発展しつつある人種問題を覆い隠すように、アフリカに医療支援を増やしています。

中国は自国の「ピーク越え」宣言と並行して海外に向けて医療支援を始め、その相手は3月末までに世界全体で約90カ国にのぼりました。この段階ですでにアフリカ29カ国に中国政府は支援していたのですが、これに加えて3月25日には中国のネット通販大手アリババがエチオピアを経由してアフリカ54カ国に500台の人工呼吸器などの空輸を開始しました。

なぜ中国から直接各国に運ばず、一旦エチオピアを経由するかといえば、他のアフリカ各国は中国との航空路線をキャンセルしているからです。そのエチオピアには4月18日、中国の医療チームが支援に入っていました。

先進国の場合、相手国との関係次第で援助を減らすことは珍しくないです。これに対して、アフリカの警戒と批判に直面する中国は支援を減らして恫喝するのではなく、官民を挙げて支援を増やすことで懐柔しようとしているといえます。

中国が少なくとも公式にはアフリカへの不快感を示さず、むしろ友好関係をことさら強調することは、医療支援を通じてポスト・コロナ時代の主導権を握ることを目指す中国にとってアフリカへの支援に死活的な意味があるからとみてよいです。

アフリカは医療体制が貧弱で、このままではコロナ感染者が半年以内に1000万人にまで増加するとも試算されている。先進国が自国のことで手一杯のなか、ここで「成果」を残すことは、コロナ後の世界で「大国としての責任を果たした」とアピールしやすくなる。

もともと中国にとってアフリカは、冷戦時代から国際的な足場であり続けてきました。

それまで中華民国(台湾)がもっていた「中国政府」としての国連代表権が1971年に中華人民共和国に移った一因には、国連の大半を占める途上国の支持があったのですが、なかでも国連加盟国の約4分の1を占めるアフリカの支持は大きな力になったといわれています。

つまり、「世界最大の途上国」を自認する中国にとって、数の多いアフリカとの良好な関係は国連(その一部にはWHOも含まれる)などでの発言力を保つうえで欠かせないのです。だからこそ、中国はアフリカの不満を力ずくで抑えるより、歓心を買うことに傾いているのです。

この状況のもと、米国政府が4月24日、ケニアや南アフリカに医療支援を約束したことは、アフリカを「こちら側に」引き戻すための一手といえます。とはいえ、先進国からの援助は決して多くないため、アフリカ各国の政府にとって中国と対決姿勢を保つことは難しいです。

ただし、医療外交をテコに勢力の拡大を目指す中国にとって、最大のウィークポイントは人種差別にあります。

アフリカでは一般的に、中国との取り引きに利益を見込めるエリート層ほど中国に好意的で、ブラック企業さながらの中国企業に雇用される労働者や、中国企業の進出で経営が苦しくなった小規模自営業者ほど中国に批判的です。

そのため、海外で中国人が巻き込まれた暴行などの事件の約60%はアフリカで発生するなど、コロナ蔓延の前からアフリカでは「中国嫌い」が広がっていたのですが、中国における人種差別でこれは加速しています。例えば、ナイジェリアの医師会は中国の医療チームの入国に反対しました。

国によって温度差はあるものの、「中国嫌い」が加速するなかで中国が援助を加速させれば、人々の反感は各国の政府にも向かいかねないです。それによって反中的な政府が誕生したりすれば、中国にとって逆効果になるため、支援をひたすら増やすことも難しいです。

こうしてみたとき、中国で広がる人種差別は、まわりまわって中国外交の足かせにもなっているといえるでしょう。

地図の赤い部分がザンビア
こうした最中、最近中国がザンビアの「債務のわな」に捕らわれています。ザンビアは、中国国営銀行のほか国際通貨危機金(IMF)などの国際機関や、国際的な民間債権者が絡む、複雑な外貨建て債務の再編を進めようとしています。交渉結果は他のアフリカ諸国にとって重要な前例になるとともに、アフリカ大陸における中国の立場を再定義する可能性があります。

ザンビアは主に4種類の債務を抱えています。ユーロボンドの発行残高が30億ドル、民間銀行による融資が約20億ドル、IMFや世界銀行など国際機関による融資が約20億ドル、そして中国輸出入銀行や中国発展銀行など、中国国営機関を通じた対中債務が約30億ドルです。

手数料500万ドルで債務再編アドバイザーを務めることになったラザードの(世界トップクラスのファイナンシャル・アドバイザリーファーム)にとって、これは平常時でさえ骨が折れる仕事でしょぅ。その上、米中間の緊張が苦労を倍増させます。トランプ米大統領は中国債権者の負担が軽くなるのを望まないからです。

既に50%余りもの債権棒引きが視野に入った民間債権者も、間違いなくトランプ氏の味方をするでしょぅ。中国がザンビアに債務免除の割合を増やせば増やすほど、自分たちが引き受けなければいけない債務免除の割合が少なくてすむからです。

この結果、習近平国家主席が派遣する交渉団は、窮地に立たされるでしょう。いつものように秘密裏に事を進めることは期待できそうもないだけに、なおさらです。

過度に重い条件を要求すれば、銅輸出しか当てのないザンビア経済がしっかりと立ち直れる可能性は低くなり、結果的に債権者の資金回収が脅かされることになります。先にも述べたように、4月に広東省広州市でアフリカ出身の居住者を人種差別する事件が相次いだことで、アフリカの長きにわたる友達という中国のイメージは傷ついており、印象悪化に追い打ちをかけることにもなるでしょう。

しかし、ザンビアに甘くし過ぎると、中国として最終的に経済的な打撃を被りかねないです。米ジョンズ・ホプキンス大の研究者らによると、中国は2000年から17年にかけて、アフリカ諸国に1460億ドルを融資しました。規模は定かでないですが、この大半が未返済だと考えられます。

18年にエチオピアに対して行ったように、中国による債務免除はこれまで、低金利で返済期限を繰り延べる形が主体でした。しかし、新型コロナウイルス感染の世界的大流行によってザンビアの経済的苦境は増幅されており、そうした中国のやり方では、しのげない状況に至っている可能性があります。

新型コロナ危機により、債務免除という寛容さを示すことの倫理的意義も高まった。中国がどの道を選ぶか、同国から融資を受けている他のアフリカ諸国は、固唾(かたず)飲んで見守っている。

このように、中国は目の前の、ザンビアの債務問題と、人種差別問題の両方で、厳しい舵取りを迫られています。どちらも対応を誤れば、中国の今までの努力が水の泡となります。しかも、これをコロナ禍と、米国との厳しい対立の最中に行わなければ、なりません。

米中の外交を比較すると、米国はインド・太平洋地域になるべく多くの勢力をつぎ込もうとしています。そうして、当面の敵は中国であり、中東諸国、北朝鮮やロシアなど、他国は中国と対峙する上での、制約要因に過ぎないとみなしているようです。非常にシンプルです。

中国対応に優先順位をはっきりつけて、中国と対峙し、中国関連の決着がつけば、次の優先順位に大部分の勢力を費やすのでしょう。

しかし、中国は違います。世界中の様々なところで、攻勢に出ています。どれか、最優先なのか、良くわかりません。

個人も、企業も、そうして国でさえ、その中でも米国のような豊な国であってさえ、使える資源には限りがあります。

優先順位の分析については多くのことがいえます。しかしドラッカーは、優先順位と劣後順位に関して重要なことは、分析ではなく勇気だといいます。彼は優先順位の決定についていくつかの原則を挙げています。そしてそのいずれもが、分析ではなく勇気にかかわる原則です。

 第一が、「過去ではなく未来を選ぶこと」である。 

 第二が、「問題ではなく機会に焦点を合わせること」である。

 第三が、「横並びでなく独自性を持つこと」である。

 第四が、「無難なものではなく変革をもたらすものに照準を当てること」である。
容易に成功しそうなものを選ぶようでは大きな成果はあげられない。膨大な注釈の集まりは生み出せるだろうが、自らの名を冠した法則や思想を生み出すことはできない。大きな業績をあげる者は、機会を中心に優先順位を決め、他の要素は決定要因ではなく制約要因にすぎないと見る(『経営者の条件』)
優先順位をしっかりつけて、優先すべきものを10個くらいに絞って仕事をしたことのある人ならわかると思います。

最優先事項を解決すると、不思議と二番目から、場合によっては4番目くらいまで、ほど自動的に解決してしまうことがほとんどです。

優先順位をつけず、いくつもの課題を同時に実行すると、時間や手間はかなりかかるものの、いつまでたっても何も成就しないことがほとんどです。

米国と中国を比較すると、明らかに米国は、優先順位をはっきりした、外交を展開しています。米中対決、この点からしても、米国にかなり有利です。

中国のアフリカ展開について、まだ新たなことが生じた場合、このブログでリポートしようと思います。

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2019年1月14日月曜日

文在寅は誰にケンカを売っているのか?―【私の論評】中国に従属し、安全保障を放棄したぶったるみ韓国にうつつをぬかすより日本はやるべきことをやれ(゚д゚)!

文在寅は誰にケンカを売っているのか?

日韓議員連盟はいったい何をやっているのか

今、日本の国益という観点から見て、韓国内の保守派との連携は欠かせない。つまり、文在寅政権に虐げられている最大野党・自由韓国党をはじめとする保守派との連携だ。反文在寅を掲げる彼らに頑張ってもらって、文政権を追い詰める、このことは日本の国益にかなう。

逆に言えば、韓国の保守派が強くならない限り、文在寅政権はさらに無法をエスカレートさせる。韓国に対する我々の日本人の怒りは頂点に達している。韓国を全否定する気持ちはわかるが、日本にとって、利用すべきところは利用すべきである。

11日、日韓議員連盟会長の額賀福志郎元財務相らは来日中の姜昌一(カン・チャンイル)・同議連会長らと会食し、「互いに力を合わせ、この難局を乗り切る」ように要請したという。今、姜氏のような左派を相手にしたところで百害あって一利なしだ。話し合うべき相手が違う。

日韓議員連盟の議員たちは本来やるべき保守派との連携や話し合いをほとんどやっていない。

韓国保守派の日本批判

しかし、自由韓国党などの保守派にも責任がある。彼らもまた、左派同様に、日本を敵視し、公然と安倍政権批判をしている。

羅卿瑗氏

2018年11月3日、自由韓国党の中で、最も発信力があり、影響力もある羅卿ウォン(ナ・ギョンウォン)院内代表(「美し過ぎる議員」として有名)は徴用工判決問題で、「歴史的事実を否定する安倍首相の発言は稚拙極まりない」と日本の対応を痛烈に批判した。

また、自由韓国党の広報は1月6日、レーダー照射問題に関し、「安倍首相は防衛省の反対にも関わらず、映像公開を指示し、移民政策などで急落している支持率を挽回するために韓日葛藤を利用している」と指摘した。

韓国の保守派は自分たちの置かれている深刻な状況をわかっていない。今、日本を批判すれば、敵(文政権)を利することになる。羅議員や金秉準(キム・ビョンジュン)・非常対策委員長(自由韓国党党首)をはじめ自由韓国党の有力議員の多くは筋金入りの反日家である。しかし、彼らは「敵の敵は味方」ということをよく認識して、反日路線をしばらく脇に置くということの戦略の有効性について考えるべきだ。

自由韓国党などの保守派がしっかりしていないから、左派勢力に政権を乗っ取られ、国を危機に晒しているのだ。親朴派と反朴派の不毛な内部抗争なども敵を利するだけである。

仮に、韓国の保守派が日本と連携して、韓国で進行している左派革命の脅威を国際社会にアピールしていけば、相当インパクトがある。日韓議員連盟というのはこういう手を打つためにこそある。

日本に魂を売った保守派という印象操作

韓国大統領府FBより

文大統領は10日、約30分間の「新年の辞」の中で、北朝鮮のことに熱心に言及したが、日韓関係について全く触れなかった。

その後の2時間に及ぶ記者会見で、日本メディアの質問で、ようやく文大統領は日韓関係に触れ、「これ(元徴用工問題)は、韓国政府が作り出した問題ではない。日本政府はこの問題に対して、もっと謙虚にならないといけない。この問題を日本の政治家や指導者が政治的に争点化し、論争を種にして拡散しているのは、賢明な態度ではない」と言及した。

文大統領も政権内部の人間も、実は日本のことにほとんど関心がない。文政権が対日政策に関して、何らかの具体的な指針を示したことはない。彼らの関心は専ら北朝鮮との赤化統一をどう進めるかということに集中している。

加えて、韓国国民も従来の反日パフォーマンスには、ほとんど反応を示さなくなっている。韓国国民はこの手法には飽きてしまっているのだ。文政権もこの手法が支持率上昇のネタにならないことをわかっている。文政権は前政権から続く、「保守VS左派」の国内戦争を制しなければならない。徴用工訴訟判決などは、この戦争を有利に導くために引き合いに出されたダシである。

朴正熙(パク・チョンヒ)元大統領のような韓国を創建した父祖たちは親日派であった。親日派の系譜にある保守勢力を、文大統領は「積弊」と呼んで処断し、罪人扱いにする。徴用工問題や慰安婦問題を持ち出し、この問題で日本と妥協した保守派がいかに悪辣であるかが国民に示される。虐げられた被害者を見棄て、日本に魂を売った保守派、人権を蹂躙した血も涙もない保守派というイメージが浮き彫りにされて、彼らへの憎悪が国民に植え付けられ、保守派の政治生命が事実上、抹殺されていく。

左派革命政権と戦う共通の利害

文大統領の最終政治目標は北朝鮮主導の赤化統一である。自ら、自国の正当性を否定して、自国を丸ごと、北朝鮮に差し出す。これこそが北朝鮮の工作によって生み出された文大統領の使命である。

赤化統一を実現するためには、韓国は自国民に、北朝鮮の法的かつ歴史的優位性を認識させるとともに、自国の正当性を否定しなければならない。しかし、いくら文政権でも、それを露骨に韓国国内に向かって言うことはできない。そこで、「日本=犯罪者」という方便を使って、外堀から埋めていく作戦をとっている。

実際に、文政権のこうした目論見に沿って、徴用工訴訟判決をはじめとする一連の無法が行われている。
文在寅政権は日本にケンカを売っているように見えるが、彼らが本当にケンカを売っている相手は、実は日本ではない。本当の相手とは文政権に敵対している韓国国内の保守勢力である。

自由韓国党の羅卿ウォン議員ら保守派議員は10日の文大統領の記者会見について、経済問題のみを批判し、日韓関係については何も言わなかった。いや、言えないのである。なぜならば、文政権の打ち出す「日本=犯罪者」という方便が効いており、この問題で保守派も同調する以外にないからだ。

その苦境は理解できるが、自由韓国党が自ら率先して、日本批判をするのは愚かなことだ。日本批判で支持を稼げると思っているならば、大間違いである。むしろ、保守派がそれをやればやるほど、韓国国民の失笑を買うだけだ。

保守派は経済で追い詰めていくつもりであろうが、それだけで文政権の屋台骨を崩せないだろう。彼ら保守派にとっても、我々日本にとっても、文在寅・左派革命政権にどう戦うかということについて、共通の利害がある。両者ともに、こうした戦略観が決定的に欠けており、文政権を利するばかりの状況に陥っている。そして、今、最も意気揚々と喜んでいるのは金正恩委員長であろう。

【私の論評】中国に従属し、安全保障を放棄したぶったるみ韓国にうつつをぬかすより日本はやるべきことをやれ(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事では、韓国の保守派と日本の保守派の連携が必要であるとの趣旨で書かれていますが、このような記事を読んでも、にわかに韓国の保守派がまともになるとは到底思えません。

それは、文在寅の前の大統領朴槿恵を思い出せば、誰も反論できないのではないかと思います。朴 槿恵は、韓国の政治家。第18代大統領。 保守政党のハンナラ党代表、セヌリ党非常対策委員会委員長を経て、2012年の大統領選挙で革新政党民主統合党の文在寅に勝利し、2013年2月25日に東アジア初・韓国史上初の女性大統領に就任しました。

そうして、父親はあの韓国の第5代~第9代大統領である朴正煕(パク・チョンヒ)です。朴槿恵は韓国では正当保守といっても良いくらいの大統領でしたが、ご存知のように中国と接近したのは朴槿恵の時代においてです。


東アジアで最初に国のリーダーとなった朴槿恵元大統領

上の記事では、「自由韓国党の有力議員の多くは筋金入りの反日家である。しかし、彼らは「敵の敵は味方」ということをよく認識して、反日路線をしばらく脇に置くということの戦略の有効性について考えるべきだ」などと主張していますが、韓国は朴槿恵や文在寅に限らず、いつも戦略では失敗しています。そもそも、韓国にはまともな戦略をたてる能力が欠如しているのではないかと思います。

普通のまともな地政学の考え方からすれば、韓国は今まで通りに、米国と日本との安全保障的な結びつきを強め、北朝鮮を牽制しながら、中国を警戒するような動きを見せなければならないはずです。

韓国の歴代大統領は、就任してからまず同盟国である米国や日本に先に訪問するのが建国以来の「恒例」になっていたわけですが、朴槿恵元大統領が大統領に就任した直後に、韓国の大統領としては米国の後に、今回初めて中国を訪問しています。

文在寅大統領は、この順番は間違えなかったものの、南北首脳会談を実現しています。

そうして、その後は中国に積極的にすり寄る姿勢をみせていました。文在寅に変わってからは、対中国政策に関しては基本的に朴槿恵を踏襲したうえで、北朝鮮に対してかなり傾倒する姿勢を見せています。

韓国は、左翼系の文在寅であろうが、朴槿恵であろうが、中国への擦り寄り姿勢は変わらないようです。

これについて参考になるのが、本ブログをご覧の皆さんにはすでにおなじみの、戦略家エドワード・ルトワック氏の分析です。韓国に関する分析は、『自滅する中国』に詳しく掲載されています。

ルトワック氏

以下に、ルトワック氏の韓国の戦略状況の分析の要点を紹介させていたたぎます。ルトワック氏によれば、韓国の戦略状況は以下の要点にまとめられることになります。

===
●国家は普通は独立を尊ぶものだが、従属したがる国もある。それが韓国だ。 
●彼らは中国と中国人にたいして、文化面で深い敬意を持っている。中国の「マーケットの将来性」にもその原因がある。 
●韓国における中国と中国人への尊敬の念は明の時代にまでさかのぼることができる。その一番の担い手は、知的エリートとしての官僚である両班だ。 
●面白いことに、中国文化の影響が非難されるのは北朝鮮。北では漢字は事実上禁止され、ハングルの使用だけが許されているほど。 
●韓国では教育水準が高ければ高いほど反米の傾向が強まる。しかも最近はアメリカが衰退していると考えられているために、中国の重要性のほうが相対的に高まっている。個人で中国でビジネスを行っている人が多いという事情もある。 
●極めて奇妙なことに、韓国は大規模な北朝鮮の攻撃を抑止するのは、グローバル規模の軍事力を持つアメリカの役目だと考えられており、実際に天安沈没事件や延坪島の砲撃事件にたいしても(死者が出たにもかかわらず)ほとんど報復は行っていない。 
●つまり実際のところ、韓国政府は米国と中国に依存する従属者となってしまっている。米国には全面戦争への抑止力、そして中国には一時的な攻撃にたいする抑止力を依存しているのだ。 
●ところがこれは、米国にとって満足できる状況ではない。韓国を北朝鮮から庇護するコストとリスクを、米国は独力で背負わなければならないからだ。 
●その上、韓国への影響力は中国と折半しなければならない。中国は北朝鮮への統制を中止すると脅かすことで、常に韓国政府を締め上げることができるからだ。今のところ韓国が中国に声を上げることはない。 
●米韓同盟を形成しているものが何であれ、そこには共通の「価値観」は含まれていない。なぜなら韓国はダライラマの入国を中国に気兼ねして堂々とビザ発給を拒否しているからだ。 
●現在のような政策を保ったままの韓国は、いわゆる「小中華」の属国として、しかも米韓同盟を続けたまま、中国による「天下」体制の一員となることを模索しているのかもしれない。韓国が自国の安全保障のコストとリスクを受け入れず、かわりに従属者になろうとしているのは明らかだ。 
●このような韓国の安全保障の責任を逃れようとする姿勢は、「日本との争いを欲する熱意」という歪んだ形であらわれている。ところが日本との争いには戦略的に何の意味もないし、日本へ無理矢理懲罰を加えても、韓国側はリスクを背負わなくてすむのだ。
===
いかがでしょう。このルトワックの分析の要点をさらに簡潔にまとめれば、 
1.米国に従属している韓国は、同時に中国にもすり寄っていこうとしている。 
2.その大きな理由は二つ:歴史的・文化的な面での尊敬と、ビジネスのチャンスだ。 
3.安全保障面では、北のコントロールを中国に、そして全面戦争の抑止は米国に依存。 
4.その責任逃れの憂さ晴らしとして、日本にたいする情熱的な敵対心を展開。
となります。

米国人がこのような分析をするというのは意外な感じがしますが、ルトワック自身はこの韓国の戦略を「大間違いを犯している」として非難しています。

もしこの分析が正しければ、韓国はこれから米中を両天秤(ヘッジング)にかけながら、その不満を日本に向かって吐き散らしていくという、構図がますます強まるだけかもしれません。

しかし、果たしてこのような政策を韓国はいつまでも続けていけるのでしょうか?

なお、この分析は2012年までの知見もとに構築されています。あれから時がたち、米国は本格的に中国に対して冷戦Ⅱを挑んでいます。そうして、これはかなら長期間にわたって継続すると考えられます。

文在寅大統領になってからは、韓国の前のめり北朝鮮への接近が目立つようになりました。

とは、いいながら、韓国の戦略状況は上のルトワック氏の分析とさほど変わりないのだと思います。北への傾斜は、北朝鮮による韓国への浸透の結果もたらされたものであり、文在寅氏の戦略ではありません。

また、昨日もこのブログに述べたように、北朝鮮は親中ではなく、反中もしくは嫌中であるととらえるべきです。ここが、韓国との根本的な違いです。

このような韓国の状況をみていると、ここ何日かこのブログに掲載してきたように、以下のようことがいえると思います。
北朝鮮の核保有は北朝鮮の独立を保証すると同時に、中国の影響力を朝鮮半島全土に浸透させることも防いでいます。米国にとって、朝鮮半島が南北に分断され、北朝鮮が核を保有している現状が中国をにらみ望みうる最善の状態です。
米国は現状中国と本格的に対峙しているため、特に北の核が朝鮮半島に対する中国の影響力をそいでいることに注目していると思います。

ただし、中国が中国共産党一党独裁主義をやめるか、経済が弱体化し、他国への影響力がほとんどなくなってしまった場合、もしくはそれが確実になった場合は、北の核を許容することはないと思います。北の核は、無論中国にとって脅威ですが、それは日米にとっても脅威であることには変わりないので、その時は、本格的に北に核廃棄を迫るものと思います。

私自身は、上記のようなことから、米国はここしばらくは、北に対して新たな核兵器の製造はさせないものの、既存の核に関してはその保有を一時的に認めることになる思います。そのほうが、米国にとっては対中国冷戦を有利に展開できるはずです。

そうして、韓国などに頭をつかうよりも、当面対中国冷戦Ⅱに専念するものと思います。いずれにせよ、 現在の韓国は対中国冷戦Ⅱには、何の意味ももちません。トランプ大統領が、韓国に無関心なのもこういうところに原因があるのだと思います。

日本も以上で述べたことを念頭におきながら、韓国と付き合っていくべきです。米国が対中国冷戦Ⅱを戦っている最中でも、中国に従属しようとする、従属者根性から抜け出せない韓国には、見込みがないです。

韓国の安全保障の責任を逃れようとする姿勢は、「日本との争いを欲する熱意」という歪んだ形であらわれているものの、日本との争いには戦略的に何の意味もありません。

北朝鮮も、韓国の本質を見抜いていると思います。北は韓国を便利に利用しているだけなのです。このような韓国に日本は、時間や労力をさく必要性は全くありません。

私自身は、韓国とは実質的な断交、もしくは本当に断交をしても良いと思っています。それによって、日本も対中国囲い込みに専念すべきときと思います。ただし、拉致被害者問題については、これからも北に返還を迫り続けていくべきです。日本にとって戦略的に意味を持たない韓国などにううつをぬかしている時ではないと思います。

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