タレントの田中義剛氏が経営する花畑牧場(十勝管内中札内村)の札幌工場(札幌市中央区)が8月31日で一時閉鎖していたことがわかった。
同社は「まだ先のことは決まっていない」としつつも、生産体制の効率化を図り、製造する商品や工程などを見直した上で、年内の再開を目指す。札幌工場の製造分は、販売動向を見ながら夕張工場や十勝工場で補い、社員・パート60人は主力の夕張工場や札幌市内直売店へ異動し、派遣社員300人の契約更新はしないという。
92年に田中氏が牛1頭から始めた花畑牧場。商品の「生キャラメル」のヒットにより、04年3月期に約4億円だった売上高は、09年3月期には約143億円にまで急成長した。雑誌やテレビに田中氏が広告塔として積極的に登場し話題を集めることで、5年で35倍の売上増という驚異的な成長をはたした。当初は生キャラメルが1人5個までしか購入できなかったために、08年7月にはあまりの人気に同商品をめぐり恐喝事件も発生したほどだった。
しかしブームにはいずれ終わりが訪れるもの。すでに新千歳空港の土産店などでは以前ほどの行列は見られないという。気になるのは現在も花畑牧場は多角化を進め、次々と店舗を開店させていることだ。同じく北海道の銘菓である「白い恋人」などは首都圏では販売を行わずにブランド価値を保っているが、同社は東京だけでも銀座や青山など5店舗の「花畑牧場カフェ」をオープンさせている。マーケティングの専門家は「直営店を急激に増やしすぎるとブランド価値を希釈させかねない」と警鐘を鳴らすが、飲食店も含めると同社の直営店は全国に25店舗まで増加している。
急拡大した経営とブームの衰えのギャップが生み出したものが冒頭で触れた派遣切りだったのだろうか。「こんな時代だからこそ雇用創出に貢献したい」と、かつて雑誌のインタビューで意気込んでいた田中氏だったが、本人の理想とは裏腹に、約1年前に稼動したばかりの札幌工場は閉鎖へ追い込まれ、失業者を生み出してしまった。
派遣切りにあった従業員300人はどうなってしまうのか。派遣切りにあったある従業員の家族はこう話す。「兄から突然電話が来て、『クビになった』と聞きました。その後は携帯がつながらなくなり、連絡もとれない。無事だといいのですが・・・」。工場に就職できて喜んでいただけに、今回の派遣切りに強いショックを受けていたという。
小さな町に降って湧いた大量雇用だったが、あっけなく1年で閉鎖となれば、採用された従業員は翻弄された感も否めない。牧場主の田中氏はホームページの経営理念に「つくる人を幸せにする。つくる人が幸せじゃないと本当においしい商品はつくれません」と謳っているが・・・。
真相は違うところに・・・・・・・・?
上記の記事では、田中氏に批判的であすが、真相は、田中氏の経営手腕にあるものと思います。うまく運営して、雇用も確保して、みんなに良かれと思って事業展開していたのだと思います。実は、田中氏前にも、九十九ラーメンという、ラーメン屋のFCもやっていましたが、破綻しています。この店は函館の西部地区(観光地)にありました。この九十九ラーメンの名物は、味噌チーズラーメンです。これは、通常の味噌ラーメンに、粉チーズをたっぷりかけていただくというものです。私自身は、一度食べてみたことがありますが、結構好きな味でした。でも、人によってかなり評価が分かれるところです。
おそらく、田中氏牧場の牛乳やチーズなど大量に使えるような事業を探していたのだと思います。だから、こそ、九十九ラーメンにも加盟して、まず、自分の店に関しては自分のところが作ったチーズを使わせてもらっていたのだと思います。そうして、うまくいけば、九十九ラーメン全店で使ってもらおうと目論んでいたのだと思います。しかし、あえなく失敗し、この話はご破算になったのだと思います。
田中氏は、前にもテレビなどで語ってましたが、北海道の酪農家の振興を図りたいと前々から主張していました。だからこ、中札内村の牧場近くで、いろいろな事業を展開していました。しかし、どれも小規模なものでした。そこに、ふって沸いたような生キャラメルの花畑牧場でした。このブームを利用できるだけ利用したいという気持ちは良くわかります。
北海道土産で人気の「生キャラメル」花畑牧場の生キャラメルが有名ですが、道北の興部町にあるノースプレインファームの生キャラメルが有名で、これが元祖だといわれています。しかしながら、生キャラメル自体は新しいものでも何でもありません。通常のキャラメル作成の過程で、出来上がるものです。
実は生キャラメルは、ミルクキャラメル作成の工程の部分から、最後の乾燥の部分を取り除いただけのものです。通常のミルクキャラメルは、水分をかなり取り除き乾燥させて、長期間保存できるようにしますが、生キャラメルは、この乾燥をせずに水分が多量に含まれたまま商品化します。だから、冷蔵などの保管が必要になります。あとは、高級感などだすために、原材料を良いものにする、香料など工夫するというだけです。
実は革新的でも何でもないわけです。しかし、これを市場に大量に投入した試みは立派なものだと思います。しかし、あまりに大量に販売し始めため、今回のような事態になったのだと思います。おそらく、これから、販売が伸びるということはないでしょう。ただし、ブームが過ぎ去っても一定量はこれかも売れ続けると思います。
ヨーロッパにはチーズの老舗などがあり、定番商品としてずっと売れ続けているナチュラル・チーズなどがたくさんあります。ナチュラル・チーズは出来上がったばかりのものは、味にコクも深みもなく、あまりおいしいものではありません。それを短くても5年、長ければ10年以上も時間をかけて熟成させてから販売します。それだけ歴史と伝統にねづいた商品なのです。残念ながら、北海道のナチュラル・チーズなど食べてみると、未だあまり熟成させていないものが多いです。北海道には未だ規模の小さなチーズ工房くらいしかなく、まだ、産業として十分育っておらず、長期間熟成させる余裕がないというのが実体だと思います。
北海道は、規模の大きい牧場もあり酪農王国のように思われているところがありますが、北海道での酪農の歴史はさほど長くはあません。ほとんどが第二次世界大戦後からのことです。人口が北海道と同じくらいの国であるデンマークなどには、およびもつかないほど、歴史も、酪農家や牛の数も少ないです。田中氏は、江別市にある酪農学園大学出身で、そのころから北海道の酪農もただ牛を育てて牛乳を売るだけでなく、酪農家自身によるもっと裾野の広い産業を育てようと考えていたそうです。その結果として現れたのが「花畑牧場の生キャラメル」というわけです。だから、北海道の酪農にはまだまだ、将来性があると思います。
私の感触では、札幌工場の再開はないものと思います。そうして、「花畑牧場 生キャラメル」も今以上に売れることはこれからはないものと思います。
しかし、こうした試みそのものには、敬意を表します。これからも、いくつもこのような新商品を出して、カフェなどで提供する商品の幅を広げていただきたいものです。それから、これからは、どこてでも売るというのではなく、たとえば、直営店のカフェなどでのみで販売ということなどにして、カフェなどどんどん増やすと良いと思います。カフェが増えれば、まずは、札幌の店などで新商品の試作品を投入して、かなり売れるとの感触をつかんだら、今度は自分でつくるのではなく、他の事業者につくってもらうなどのことを考えれば良いと思います。
田中氏、今では、若いとはいえませんが、まだ50歳台です。経営者としては、未だ年寄りとはいいがたい年齢です。今までの失敗を肥やしにして、再度いろいろなことに挑戦していただきたいものです。
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