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2019年12月14日土曜日

北朝鮮はICBMを射つのか!? CIAが水面下で陽動作戦も… GSOMIA破棄騒動の韓国はいまや「カヤの外」 ―【私の論評】日本が「敵基地攻撃能力」を持つことは現実的な対処法(゚д゚)!

北朝鮮はICBMを射つのか!? CIAが水面下で陽動作戦も… GSOMIA破棄騒動の韓国はいまや「カヤの外」 
北朝鮮のミサイル発射実験=10月2日

 北朝鮮が「非常に重大な実験」を行ったと発表するなど、米国との交渉期限を年末に設定するなかで、米国などへの牽制(けんせい)を続けている。再び大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験など強硬手段に踏み切れば、日本への影響も大きい。

 米朝首脳会談は膠着(こうちゃく)状態だ。初の会談は2018年6月にシンガポールで、2回目は19年2月にベトナムのハノイで開かれた。ハノイでは協議が決裂した。6月には両首脳が板門店で面会したが、米朝両国とも首脳会談ではないとしている。

 その後、年内の首脳会談を模索していたが、実務者協議で難航している。米国は、柔軟姿勢を示すためにボルトン大統領補佐官を9月に解任し、10月に北朝鮮との実務者協議をストックホルムで行ったが決裂した。その後、北朝鮮は一方的に交渉期限を年内に設定した。

 北朝鮮は北西部・東倉里(トンチャンリ)にある「西海(ソヘ)衛星発射場」で「非常に重大な実験が行われた」と8日、発表した。ICBMに使われるエンジン燃焼実験とみられている。これは、北朝鮮から米国への催促である。「年末」という期限の設定が本気であることを示すために「重大な実験」を行ったのだろう。次には、人工衛星と称しつつICBMの発射をほのめかしている。

 この発表を受けて、トランプ米大統領は、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に対し、米国に対する敵意は、「全て」を失うことになると警告した。その直前には、トランプ氏は正恩氏との良好な関係を強調していた。

 正恩氏にとっても、トランプ氏との特別な関係を失うのは得策でないだろう。トランプ氏は軍歴も政治家経験もない民間人出身なので、軍事オプションよりもディール(取引)を望んでいるはずだ。米朝の緊張関係は、両首脳の個人的な関係でもっているので、もしこの個人的な関係が崩れたら、米朝首脳会談が行われていない2年前のように、ひょっとしたら軍事衝突もあり得るというくらいの緊張関係に戻るかもしれない。

 両首脳はまだお互いに信頼関係があるようだが、具体的な非核化プロセスについては両国でこれといった妙案もない。

 こうなると、北朝鮮はICBM発射に突っ走るのか、それともトップ級が会って仕切り直し、期限先延ばしを行うことも考えられる。あるいは米中央情報局(CIA)などが水面下で陽動作戦を行い、北朝鮮もサイバー攻撃を仕掛けるなど、表面上は軍事オプションに見えないまま水面下で攻撃するという可能性も出てくる。いろいろな展開が考えられるので、今のところ、米朝関係の先行きについて予測は難しい。

 日本としては、警戒態勢を取りながら、米国との連携をとるしかない。

 ここに至って、韓国は先般の日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄騒動が尾を引き、日米からの信頼は得られていない。米朝関係をめぐっても、「あまり関係のない国」になりつつある。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)


【私の論評】日本が「敵基地攻撃能力」を持つことは現実的な対処法(゚д゚)!

北朝鮮のミサイルへの備えとしては、日本が「敵基地攻撃能力」持つことが最優先でしょう。

小西洋之参議院議員の「専守防衛」に関する質問主意書に対する平成27年10月6日付け政府答弁書(安倍晋三内閣総理大臣)では、

「専守防衛とは、相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、又、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神に則った受動的な防衛政策の姿勢をいうものであり、我が国の防衛の基本的な方針である。」
と言っています。


この「専守防衛」に関する政府答弁書の見解によれば、要するに、「専守防衛」とは、日本は受動的な「自衛」に徹し、他国に対して「侵略戦争」をしない防衛戦略に過ぎないと解すべきです。なぜなら、「専守防衛」は、「侵略戦争」を放棄した憲法9条1項2項に基づく理念であり防衛戦略だからです。
したがって、侵略戦争のためではなく、「専守防衛」即ち自衛のための兵器の保有や自衛権の行使は禁止されないのです。
この政府の立場は、最高裁判例の立場とも完全に適合しています。砂川事件最高裁大法廷判決は、
「憲法9条は我が国が主権国として持つ固有の自衛権を否定したものではなく、憲法9条の平和主義は無防備無抵抗を定めたものではない。我が国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置を取り得ることは国家固有の権能の行使であって、憲法は何らこれを禁止するものではない。9条1項はいわゆる侵略戦争を放棄したものである。」(昭和34・12・16刑集13・13・3225)
と判示しているからです。

このように、「専守防衛」とは、要するに、日本が、受動的な「自衛」に徹し、他国に対して侵略戦争をしない防衛戦略に過ぎないと解されますから、侵略戦争のためではなく、もっぱら、自衛のための「敵基地攻撃」や「敵基地攻撃能力」の保有は専守防衛とは矛盾せず、上記政府見解及び上記最高裁判例に照らして、憲法上も禁止されないことは明らかです。

即ち、「座して死を待つのが憲法の趣旨ではなく、攻撃を防御するため、他に手段がない場合にミサイル基地をたたくこと(敵基地攻撃)は、法理的に自衛の範囲である」(1956年鳩山一郎内閣)と言えるからです。

現在の政府見解では、第一撃を受けたり、ミサイルに燃料を注入するなど、敵が攻撃に着手した時点で敵基地攻撃が可能であるとしている。

以上の通り、「敵基地攻撃」及び「敵基地攻撃能力」の保有が「専守防衛」に反せず、憲法上も禁止されないから、近年の緊迫する北東アジアの安全保障環境の変化を考えれば、日本は、対中・対北朝鮮への抑止力を一層強化するため、「敵基地攻撃能力」を速やかに保有すべきです。

日本は、現在、海上配備型イージス艦及び地上配備型迎撃システムPAC3のミサイル防衛システムを保有していますが、ミサイル防衛にはかねてより技術的限界が指摘されており、弾道ミサイルの迎撃は決して完璧とは言えないからです。


地対空誘導弾ペトリオット PAC-3

日本が、抑止力として、「敵基地攻撃能力」を保有するためには、(1)高性能軍事偵察人工衛星の開発導入(2)イージス・アショアを含む高性能レーダー基地の増設整備(3)長距離巡航ミサイルの導入(4)長距離ステルス戦闘機の導入(5)多用途防衛型空母の保有(6)原子力潜水艦の保有(7)弾道ミサイルの保有(8)無人偵察機及び無人爆撃機の保有(9)宇宙・サイバー・電磁波を含む多次元統合防衛力強化(10)レーザー兵器等新兵器の開発促進(11)速やかな憲法9条解釈の変更もしくは改正、などが必要です。

前記の通り、「専守防衛」は、憲法9条に基づき、他国から攻撃されない限り攻撃しない防衛戦略です。しかし、核ミサイル技術が飛躍的に進歩した現代では、核保有国から先制核攻撃をされてから反撃するのでは最早手遅れです。

なぜなら、日本全土に対する同時数百発の核ミサイルによる先制核攻撃を受けた場合は、1憶2000万日本国民の多数が犠牲になり、日本国自体の人的物的消滅も否定できないからです。したがって、「専守防衛」を貫くためには、他国からの攻撃をあらかじめ抑止することこそが最も重要です。その意味で、「専守防衛」と抑止力強化は決して矛盾しないのでです。

したがって、抑止力、特に核抑止力を強化するためには、米国との同盟関係の一層の強化が不可欠であり、日本独自の核保有が当面困難であるとすれば、次善の策として、米国との「核共有」は必須です。

そして、抑止力を強化するため憲法9条の解釈の変更もしくは改正を急ぎ上記「敵基地攻撃能力」の保有は日本にとって強固な抑止力になります。日本が「敵基地攻撃能力」を持つことになれば、金正恩は今まで想定しなくても良かった日本の自衛隊の攻撃を想定しなければならなくなります。

北朝鮮の戦闘機

北朝鮮の防空能力は、何十年も前から更新されおらず、日本の航空機はステルスであろうが、なかろうが、北朝鮮のどこにでも行って爆撃をすることができます。時代遅れの航空機や、防空兵器しか持たない北朝鮮に迎撃されることは、滅多にありません。

対戦哨戒能力はゼロに近く、日本の潜水艦は北朝鮮の海域で自由に行動し、いずれの港にも妨害されることなく入ることができます。北朝鮮の海域の好きな場所から、北朝鮮のミサイル基地などを思い通りに攻撃することができます。その他の艦船にも、北は全く歯がたたないでしょう。

自衛隊の隊員や、戦車等も思いのままに送ることができるでしょう。北朝鮮の陸軍も自衛隊の敵ではありません。そもそも、北朝鮮の兵士らは、給料は無論のこと、食料ですら、まともに配給されていません。そのため、平均身長も日本や韓国に比較すると随分低いです。おそらく、まともな戦闘には耐えることができないでしょう。

左から米兵士,北兵士,韓国兵士

現在の北朝鮮は、核ミサイル開発のために、他のことをすべて犠牲にしています。ここが、北朝鮮の最大の弱点であり、ミサイル発射の兆候が見られた場合、すぐに行動して、発射基地などをピンポイント的に攻撃することは、十分可能です。決して夢物語でもなんでもなく、かなり現実的な対処法といえます。

そうして、これが北朝鮮に対する最大の抑止力なることはいうまでもありません。

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2018年4月17日火曜日

【崖っぷちの世界】米朝首脳会談の真実 CIAが裏チャンネルで根回し…トランプ氏の即断即決はマスコミ向け演出に過ぎず―【私の論評】トランプ大統領を色眼鏡で見るのは全くの間違い(゚д゚)!


トランプ大統領

5月下旬から6月上旬に予定される米朝首脳会談だが、それが本当に開催されるかどうかは、いまだに定かではない。北朝鮮側のドタキャンはいつでもあり得るのだ。

米朝首脳会談が、どんな結果を生むかは予断を許さない。会談が成功して、北朝鮮が現実的に検証可能な形で「核開発を放棄」する可能性は出てきた。だが、交渉が決裂すれば、米国による北朝鮮攻撃ということも十分に想定できる。

筆者は、会談自体は遅れても開かれる可能性が高いと考えている。

米朝首脳会談は、韓国特使団が3月8日、ホワイトハウスで、ジェームズ・マティス国防長官や、マイク・ポンペオCIA(中央情報局)長官らに、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との会談内容を報告していたとき、ドナルド・トランプ大統領が突然現れて、即断で決定したものと伝えられている。

韓国特使団は同月5日、正恩氏と平壌(ピョンヤン)で直接会談し、トランプ氏へのメッセージを託されたと言われている。

だが、実は米朝会談を根回ししたのは、両国間に存在する「外交の裏チャンネル」だった。米国側ではポンペオ氏の指示で、元CIA東アジア作戦部長のジョセフ・デトラニ氏率いる民間外交政策グループ、通称「トラック1・5」が北朝鮮側と極秘会談を繰り返していた。その結果、首脳会談が決まったのである。

韓国特使団の話に、トランプ氏が即断即決で応じたというのは、マスコミ向けに演出されたシナリオに過ぎなかった。即断即決が事実なら、大統領としては軽率に過ぎる。米国側の都合でドタキャンする可能性もあった。現に、一部マスコミは、トランプ氏の判断を攻撃していた。

しかし、これはお門違いの批判に過ぎなかった。

米朝両国は、非常に慎重に裏チャンネルによる会談を繰り返し、首脳会談実現に至ったのである。そうである以上、首脳会談が簡単にドタキャンされることはないと考えるのが合理的だろう。

ポンペオ氏は3月11日、米CBSテレビのインタビュー番組に出演し、CIAが中心となって直接、北朝鮮と連絡をとるチャンネルがあると発言している。

前出のデトラニ氏は、米空軍勤務後、1974年にCIAに入局し、要職を歴任して退官。ジョージ・ブッシュ(子)政権で、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の次席代表も務めたインテリジェンスのプロである。かつて、板門店(パンムンジョム)の軍事境界線を越えて北朝鮮に入国し、当時の金正日(キム・ジョンイル)政権幹部と極秘会談を行った。

「トラック1・5」は、スイスのジュネーブや、ノルウェーのオスロ、モスクワ、それに平壌などで、北朝鮮との非公式協議を半年に1回は続けてきたという。

 ■藤井厳喜(ふじい・げんき) 国際政治学者。1952年、東京都生まれ。早大政経学部卒業後、米ハーバード大学大学院で政治学博士課程を修了。ハーバード大学国際問題研究所・日米関係プログラム研究員などを経て帰国。テレビやラジオで活躍する一方、銀行や証券会社の顧問、大学などで教鞭をとる。著書に『希望の日米新同盟と絶望の中朝同盟』(徳間書店)、『太平洋戦争の大嘘』(ダイレクト出版)など多数。

【私の論評】トランプ大統領を色眼鏡で見るのは全くの間違い(゚д゚)!

アメリカのドナルド・トランプ大統領は、韓国との貿易交渉でより有利な条件を引き出すため、大統領自身を「クレイジー」に見せるよう、 通商代表部(USTR)代表のロバート・ライトハイザー(Robert Lighthizer)氏に指示したとされています。

オンラインメディアAxios によると、このアドバイスは9月に大統領執務室で行われたミーティングで、大統領からライトハイザー氏に伝えられたそうです。

米韓の自由貿易をめぐっては、トランプ大統領の発案により9月上旬以降、その自由貿易協定(FTA)の撤廃が議論されています。その中で大統領はライトハイザー氏に交渉をどう進めるか、アドバイスし始めたと言います。以下のような具合です。
トランプ大統領:「30日を与えよう。そこで譲歩を引き出せなければ、手を引く」 
ライトハイザー氏:「わかりました。では、韓国政府に30日あると伝えます」 
トランプ大統領:「ノー、ノー、ノー。交渉はそんな風にするものじゃない。彼らに30日あるなんて言う必要はない。『大統領は本当にクレイジーだから、すぐにでも手を引くつもりだ』と言うんだ」「『すぐにでも』と言うんだ。実際、その可能性もある。君たちもそれを理解しておくべきだ。30日とは言うな。30日あると言えば、彼らは期限を引き延ばしてくる」
一部の安全保障の専門家たちは、特に北朝鮮問題を念頭に、トランプ大統領が国際社会で広げようとしている「マッドマン」のようなイメージ戦略に対して、批判的だ。大統領は北朝鮮の指導者、金正恩氏を度々「ロケットマン」と呼び、北朝鮮を 「完全に破壊」せざるを得なくなる可能性があると述べていた。
この記事は、昨年の10月2日のものです。北朝鮮はその後どうなったでしょうか。結局、米朝会談を申し入れてきました。しかも、これはブログ冒頭の記事でもわかるように、トランプ氏が即決即断したのではなく、CIAの裏チャンネルによる根回しの結果です。

さらに、韓国相手の交渉者に対するアドバイス。これは、かなり的確なアドバイスだと思います。これは、最近の韓国の日本に対する交渉をみていた多くの日本人なら、容易に理解できると思います。日本も、韓国に対する交渉の場合は、このくらいの「クレージー」さを見せつけたほうが良いです。

企業間の交渉でも似たようなところがあります。相手によって、交渉方法を変えるのはもちろんのこと、状況によつては朝令暮改のように、一度決めたことでも撤回します。朝令暮改は昔は、悪いことのたとえとされていましたが、最近では柔軟に物事に対応するという点で良い場合にも用いられるようになりました。

このあたりは、長い間企業経営をしてきたトランプ大統領の真骨頂なのでしょう。政治の世界だけを歩いてきた人にとっては、なかなかできないことでしょう。

習近平中国主席とトランプ米大統領

トランプ氏は他にもこのような柔軟さを示しています。たとえば、TPPです。2016年大統領選では、トランプ氏は、TPPからの離脱を公約として掲げていました。もし復帰すれば、180度の方向転換になります。

これについては、このブログでも何度か掲載しているように、トランプ大統領が、TPPは対中国封じ込めとして機能することを理解したということが背景にあると考えられます。

選挙戦中には、TPPからの離脱を表明していても、TPPが結果として、中国封じ込めになり、そのTPPに米国が加盟していたほうが、より強固な中国封じ込めになり、結局そのほうが米国にとっても良いことであると判断すれば、すぐに考えを変えたのでしょう。これは、柔軟です。

しかし、これは過去の大統領にもしばしばあったことです。選挙期間中には自由貿易協定に反対しておきながら、選挙で勝って大統領になると急に考えをかえて、自由貿易協定を進めるなどのことは、何もトランプ大統領が初めてということではありません。

しかしながら、トランプ大統領は、他の大統領と比較して選挙公約をかなり忠実に実行しつつあるのですが、その中でTPP復帰を示唆するというのは、やはりかなり柔軟な考えの持ち主であると考えられます。

これまでトランプ大統領は、自らに忠誠を誓う人々を集めることで政権運営を安定させようとしてきたましたが、マクマスターのように忠誠心が高い人物であっても、政策的に噛み合わなければスタッフとして用いることが難しいです。

そのため、ポンペオCIA長官を国務長官に、CIAの在任期間が長く、イラク戦争後に問題となったブラックサイト(拷問のための秘密施設)の運営にも関わるなど、CIAの表も裏も知り尽くすハスペルをCIA長官としました。

また、FOXニュースチャンネルのコメンテーターとしても知られ、北朝鮮への先制攻撃を合法であると主張し、イラン核合意を破棄するだけでなく、イランの体制転換への青写真も描いている、国務省の元官僚で米国の官僚制度を熟知しているボルトン元国連大使を安保担当補佐官に任命しました。

ポンペオ(左)とボルトン(氏)

こうした「大統領らしさ」を身につけてきたトランプ大統領の当面の問題は、2018年11月の中間選挙で勝利し、上下両院で共和党多数を維持するだけでなく、上院で60票を獲得することで議事進行妨害ができない状況を作ることです。そうして、今年の米の11月に行われる、中間選挙は「大統領らしさ」を身につけたトランプ大統領の信任投票ということになります。

果たして自分の政策を実現することが中間選挙にプラスになるのか、それともマイナスになるのか、米朝首脳会談が不調に終わり、むしろポンペオやボルトンが主導する外交政策がより一層アメリカの安全を脅かすような結果になった場合どうなるのか、といった疑問は尽きないところです。
しかし、米朝会談が良い方向に向かおうと、悪い方向に向かおうと、いずれになっても、それに対する準備をするということでは、やはり柔軟な姿勢には変わりありません。

日本から見れば、米朝首脳会談が成功し、リビア方式で北朝鮮が核を放棄することを確約すれば良いですが、逆に米朝首脳会談が決裂し、米国内での武力行使への圧力が高まって、戦争のリスクが高まることもあり得ます。日本にとって望ましい交渉結果をいかにして引き出すのかを話し合う今回の日米首脳会談は、今後の日本を巡る安全保障の分岐点になる重要性を孕むものとなるでしょう。

米朝会談を告げる韓国のメディア

いずれにしても、トランプ大統領は、ブログ冒頭の記事でもわかるように、米朝会談を即断即決で決める馬鹿ではないことははっきりしています。

そうして、11月に米国で中間選挙があることを念頭に入れて、トランプ大統領はこれに対しての対策を熟考して、対応していることを理解すれば、日本のメディアで喧伝されているトランプ像は正しいものとはいえないようです。

そもそも、このブログでは以前から、米国のマスコミの9割は、リベラル派でしめられており、保守派は1割に過ぎないことを何度か掲載してきました。実際、日本ではウォール・ストリート・ジャーナルを保守派とみる人もいるようですが、米国では大手新聞に限っていえば、すべてがリベラル派です。日本では、リベラルという言葉の定義を知らずに使っている人も多いので、だからこのような錯誤がおこるものと思います。

これは、日本でいえば、朝日、毎日、読売新聞は存在するのに、産経新聞はないような状況です。朝日、毎日、読売だけを読んでいては、日本の保守派の動きなどわかるはずはありません。米国の大手新聞だけ読んでいては、人口的にはおそらく半分はいる米国の保守派の動きなどわかりません。

大手テレビでは、フォックスTVのみが保守派であり、あとはCNNもABCも、CBSもそれ以外も大手はすべてリベラル派です。日本のマスコミは、これらリベラル派の報道を垂れ流すだけです。

このような一方に偏った報道だけで、トランプ大統領を判断してすべてを見切ったように単純にトランプ大統領を判断して色眼鏡で見る見方は間違いであると認識すべきです。

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2016年10月26日水曜日

【スクープ最前線】ドゥテルテ比大統領、米国憎悪の真相 CIAによる暗殺計画の噂まで浮上―【私の論評】歴史を振り返えらなければ、米国への暴言の背景を理解できない(゚д゚)!

【スクープ最前線】ドゥテルテ比大統領、米国憎悪の真相 CIAによる暗殺計画の噂まで浮上

握手するドゥテルテ比大統領と、安倍首相
「暴言王」こと、フィリピンのドゥテルテ大統領が25日午後、来日した。26日に安倍晋三首相との首脳会談に臨み、27日に天皇陛下に拝謁する予定だ。ただ、ドゥテルテ氏は先週の中国訪問で、「対中接近」「米国離反」の姿勢をあらわにし、東アジアの平和と安定を危機的状況に追い込んだ。ドゥテルテ氏の過剰な反米感情の背景と、中国とロシアによる狡猾な情報戦とは。ジャーナリストの加賀孝英氏が緊急リポートする。

「日比首脳会談がどうなるか。南シナ海だけでなく、東アジアの行方が決まりかねない。米国をはじめ、世界各国が注視している」

旧知の米政府関係者はこう語った。その懸念は当然だ。

ドゥテルテ氏は18日から21日まで訪中し、習近平国家主席と20日、首脳会談を行った。同日のビジネス会合での演説では、「軍事的にも経済的にも米国と決別する」と、同盟国である米国が驚愕する宣言を行った。一番喜んだのはもちろん習氏、中国だ。

翌21日、共同声明が発表された。ご存じのように、中国は南シナ海で軍事的覇権を拡大し、世界各国から「無法国家」と批判されている。だが、ドゥテルテ氏は南シナ海問題で大幅に譲歩し、総額240億ドル(約2兆5000億円)相当の経済協力を得る見通しとなった。破格の大盤振る舞いである。

中国外務省の華春螢報道官は同日の定例記者会見で、「南シナ海問題は2国間対話の正しい軌道に戻った」と勝利宣言した。中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報も同日の社説で「中国とフィリピンは再び抱擁した」「(日米など諸外国)外部は南シナ海を放棄しろ」とまで書いた。

何たることか! これでは、「ドゥテルテ氏が米国を裏切り、中国の札束攻撃の前に屈した」と思われても仕方ないではないか。

日本の外務省関係者はこう説明する。

「現在、ドゥテルテ氏の真意について、日米両国は情報収集と分析を急いでいる。日米や世界各国はこれまで、中国の南シナ海での暴挙に対して『国際法の順守』と『航行の自由』を求めてきた。だが、当事国のフィリピンが寝返ったとなれば、すべての戦略を見直さなければならない」

実は、とんでもない情報がある。なぜ、ドゥテルテ氏が米国を憎悪するのか。以下、複数の米軍、米情報当局関係者から得た情報だ。

「ドゥテルテ氏は容赦のない『麻薬撲滅運動』を展開しており、麻薬密売人など数千人が殺害されている。オバマ米大統領がこれを『人権問題だ』として非難したことが、関係悪化を深めた。加えて、混乱の中で『ドゥテルテ氏が自分の政敵を殺害した』というデマが流された。発信地は中華街のようだが、ドゥテルテ氏は『米国が流した』と思い込んだ」

「中国は、南シナ海の島々を軍事基地化しながら、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国に、裏ですさまじい圧力をかけた。米国はそれを知りながら、島の近くに駆逐艦を航行させるぐらいしか手を打たなかった。『米国は頼りにならない』『中国についた方が得ではないか』と考える国が増えた」

決定的なのは、ドゥテルテ氏の暗殺計画情報だ。

ドゥテルテ氏は今月7日、地元・ダバオで就任100日目の演説を行った。CIA(米中央情報局)が画策する失脚工作や暗殺計画の噂に触れ、オバマ氏を罵倒して、「やれるならやってみろ!」と挑発した。衝撃情報はこう続く。

「CIAによる暗殺計画の噂は9月に流された。発信地はロシアに近い情報筋とみられている。今年7月にトルコでクーデター未遂が起きたときも、ロシアはいち早く、トルコのエルドアン大統領に暗殺危機を知らせ、同国を『反米親露国』に劇的に変えた。構図はそっくりだ」

フィリピンの事情に詳しい大使経験者がいう。

「ドゥテルテ氏は大の親日家だ。『最初の外国訪問は日本に』と固く決めていた。それを中国にひっくり返された。日本外務省の大失態だ。日本が先なら、こんな事態にはなっていない。だが、『ドゥテルテ氏が中国に寝返った』とみるのは、早計で失礼だ。彼は愛国者で戦略家、そして策士だ。だから、(中国嫌いが多い)国民の90%前後が支持している」

ドゥテルテ氏は22日、ダバオでの記者会見で、記者から外交政策について聞かれ、「米国との決別とは、外交関係を断ち切る断交ではない」「(ただ)外交政策は米国と完全に一致する必要はない」と説明した。

安倍首相との首脳会談について聞かれると、「協議の多くは経済協力についてだ」といいながら、南シナ海問題についても「平和的に話をし、課題を解決して、良い方策を考え出すことで合意できる」と語った。

世界が日比首脳会談を注目している。フィリピンを自由主義陣営に引き留めなければならない。安倍外交の神髄を見せてほしい。

加賀孝英(かが・こうえい)

【私の論評】歴史を振り返えらなければ、米国への暴言の背景を理解できない(゚д゚)!

上の記事では、フイリピンの過去の歴史については全く触れられていません。無論、この記事を書いた加賀孝英氏は、それについて熟知していると思います。しかし、この記事の中に歴史まで含めてしまうと、記事が長大になってしまうため、敢えてそうしなかったのでしょう。

現在の日本人の多くは、フイリピンの歴史を知らないのではないでしょうか。そうして、日本マスコミもこれに関してはほとんど報道しません。しかし、これを知ればなぜドゥテルテ大統領がアメリカのオバマ大統領にあのような暴言を吐いたのか、かなりの程度理解できます。

そうして、かつてフイリピンがアメリカ軍を国内から撤退させたのかも理解できると思います。無論この完全撤退は中国の南シナ海への進出を促したという点では失敗であったことにはかわりはありません。おそらく、フイリピンの左翼系が、フイリピンの歴史を利用して、この撤退を促したのだと思います。

しかし、フイリピンの過去の歴史を知れば、なぜこのようなことになったのか、そこにはそれなりの背景があるということに気づくはずです。

以下に、大雑把にフイリピンの歴史を振り返っておきます。関心のある方は、もっと詳しい資料にあたって頂きたいと思います。

■フイリピンの歴史概要■

まだ、フィリピンが大陸と陸続きであった時代、フィリピンにはネグリト族などが住んでいたといわれています。どれくらい昔から住んでいたのかは正確にはわからないのですが2万年くらい前からではないかといわれています。

その後、島々が大陸から離れてからは新石器の技術を持った原始マレー人が住み、紀元前2000年~紀元前1500年頃には水田農耕文化を持った古マレー人が、紀元前500年頃からは新マレー人が移住して定住を始めるようになりました。

14世紀頃になると中国、東南アジア、インド、中東を繋ぐ航路上で海上貿易を行っていたイスラム商人たちが盛んに訪れるようになり、フィリピンにもイスラム教が広まりました。また、スールー諸島からミンダナオ島西部にはスールー王国やマギンダナオ王国といったイスラム教国の王であるスルタンが支配する国家も成立しました。

■スペイン植民地時代

1521年。フィリピンにフェルディナンド・マゼランという人物がスペイン船団を率いてやってきました。彼らは、現地の人々にキリスト教への改宗やスペイン王国への忠誠を要求し部族長を次々に服従させていきました。しかし、イスラムの部族長ラプ・ラプはこれを拒絶。スペインと住民の間で争いが起きました。この争いに勝利したのはラプ・ラプ。スペイン船員らは戦いに敗れてマゼランも戦死してしまいました。

しかし、その後もスペインはフィリピンに向け攻撃を仕掛け続けました。1542年に艦隊で襲撃。しかし、これも失敗。1565年にはミゲル・ロペス・デ・レガスがセブ島を落とすことにやっと成功。1570年には彼の孫がマニラを制圧。翌年、フィリピンはスペイン領であることを宣言するとこの地はスペインの副王領であるメキシコ政府の統治下に入ることになりました。

17世紀に入ると政治的にスペインと対立していたオランダの攻撃や華人の反乱が起き、1762年にはフィリピンとの間で密輸を続けてたイギリス東インド会社によりマニラが占領されました。このイギリスによるマニラ占領は2年間でイギリスは撤退したのですが、当時勢力を拡大していたイギリスは1809年にマニラに商館を建設。ところが、イギリスが清の攻略に乗り出していたこともありフィリピンを領有することはありませんでした。

スペインは、1821年にメキシコ独立戦争に敗北。副王領が廃止されるとフィリピンはスペイン本国の直接統治下に置かれることになりました。

1565年からフィリピンはスペインの植民地となっていたのですが、それは1898年まで続きました。1898年の米西戦争(アメリカとスペインがキューバを舞台に戦争)が始まるまで続きました。

アメリカ海軍の巡洋艦「U.S.S.ローリー」現在はペンシルベニア州フィラデルフィアのインディペンデンス・シーポート・ミュージアムで、現存する唯一の米西戦争を経験した艦として公開されている。
■アメリカ植民地時代

当時は、フィリピン国内にて独立を目指し運動を起こす人が大勢いました。アメリカはそこに目をつけ、フィリピンに独立の支援を約束し、見返りに戦争に協力をしてくれるように要請しました。フィリピンの革命家たちは軍を組織してフィリピンに駐留しているスペイン軍と戦い勝利。1898年6月12日にフィリピンは独立を宣言し国歌と国旗を定めました。

これで長かったスペインからの支配に終止符を打ったと、思いきや、フィリピンはアメリカに見事裏切られてしまいました。

アメリカはスペインとの間で2千万ドルを支払うことでフィリピンを譲り受けることになったのです。これに怒ったフィリピン側はアメリカとの戦争を決意しました。アメリカが初代総督として派遣したのは、あの有名なダグラス・マッカサーの父、アーサー・マッカーサーでした。

この戦いでは、フイリピン人の犠牲者が多く発生しました。たとえば、1901年9月28日、サマール島でバランギガの虐殺が発生。小さな村でパトロール中の米軍二個小隊が待ち伏せされ、半数の38人が殺されました。アーサー・マッカーサーは報復にサマール島とレイテ島の島民の皆殺しを命じました。少なくとも10万人は殺されたと推定されています。

マッカーサーはアギナルド軍兵士の出身者が多いマニラ南部のバタンガスの掃討を命じ、家も畑も家畜も焼き払い、餓死する者多数と報告されました。アメリカ軍は、フィリピン軍を次々に撃破すると1901年にフィリピンの英雄アギナルドを捕らえアメリカに忠誠を誓わせ休戦となりました。
アーサー・マッカサー(左)とダグラス・マッカーサー(右)
1915年にはスペインからの統治からはまぬがれていた南部のイスラム・スルタン国家にもアメリカは支配の手を伸ばしました。フィリピン諸島を完全に支配下に取り込んだのでした。

しかし、その後フィリピンを統制する上でアメリカは柔軟な政策も見せるようになりました。将来的にはフイリピンを独立させることを約束したのです。

1916年には、フイリピンをフィリピン人が統治するアメリカの自治区にするという、フィリピン自治法が制定されました。フィリピン人の閣僚なども登用されました。この頃には公教育で英語が教えられ1934年にはフィリピン独立法が可決され、ついに1946年までにフイリピンを独立させることがアメリカによって約束されました。

1935年には現地生まれのマニュエル・ケソンが大統領に就任しました。

■日本によるマニラ制圧

しかし、フィリピンの苦難は続きます。太平洋戦争の勃発です。1942年に日本軍はマニラを制圧。すると日本はフィリピンの人々の心を掴むために1943年ホセ・ラウレルを大統領とするフィリピン第二共和国の独立を認めました。

マニュエル・ケソン氏は日本がマニラを制圧したときにアメリカに亡命していました。そして、日本は日本よりのホセ・ラウレル氏を大統領に据えたのです。


大東亜会議に出席したホセ・ラウレル大統領(右から二人目)(1943年東京)
しかし、この政権は長く続きませんでした。ラウレルと日本はフイリピンをめぐる政策で仲違いしたことと、ラウレル自身も、民衆の支持を広く得ることはできなかったのです。さらに、ラウレル政権は戦前からの地主支配の継続を認めたためにフィリピン親日勢力の離反を招き、ラウレル政権側も日本との協力を拒否する姿勢をとったため、日本は1944年12月にベニグノ・ラモスとアルテミオ・リカルテをはじめとするフィリピン独立運動家達によって設立されたフィリピン愛国連盟(マカピリ)を新たな協力者としました。

1945年には、マニラの戦いが行われました。これは、第二次世界大戦末期の1945年2月3日から同年3月3日までフィリピンの首都のマニラで行われた日本軍と連合軍の市街戦のことを指します。日本軍は敗れ、三年間に及んだ日本のフィリピン支配は幕を閉じました。

このマニラの戦いでは、市民70万人が残っており、10万人もの死者をだしたとされています。市民の犠牲者について、単に市街戦の巻き添えになっただけでなく日本軍によって抗日ゲリラと疑われた市民が虐殺されたとされています。山下大将は市民虐殺についての責任を問われてマニラ軍事裁判で裁かれ、絞首刑となりました。ただし、大岡昇平氏の『レイテ戦記(下)』20版 中央公論新社〈中公文庫〉、1999年、309頁によれば、「米軍の行ったマニラ破壊を日本軍に転嫁するため」との見方をしています。
マニラの戦いで崩壊した市内
1945年には日本が太平洋戦争に敗戦。日本がフィリピンから撤退すると1946年に選挙が行われマニュエル・ロハスが大統領となりフィリピンは共和国(第三共和国)として独立を果たすことになりました。
■マルコス大統領の登場

1965年に大統領に就任したのがフィルディナンド・マルコス大統領。イメルダ夫人も有名です。高級ブランドの靴を3000足も持っていたといわれています。

マルコス大統領は、当初失業率の減少などに貢献したのですが、やがて独裁政権を打ちたて国家資産を横領したりしました。1983年には、アメリカに亡命していたベニグノ・アキノ上院議員が民主化推進の為、帰国を決意。しかし、彼は到着し飛行機を降りた途端に射殺されてしまいました。

この様子はテレビでも報道されたのですが、本当に飛行機を降りた直後でした。飛行機を降りるときにタラップが渡されますが、この階段を降りきったか、もしくは階段を下りている途中に射殺されてしまいました。この様子は世界中に報道されマルコス政権に大打撃を与えました。


ベニグノ・アキノ氏


その後、1986年の選挙では、暗殺されたアキノ上院議員の妻であったコラソン・アキノが出馬。彼女が勝利したように思えたのですが、なぜか発表ではマルコスの圧勝しました。しかし民衆は猛反発し、やがてマルコスはハワイへ亡命せざるをえなくなります。

その後、コラソン・アキノ氏が大統領に就任。フィリピンを民主化へと導いていくことになりました。

以上フイリピンの歴史をざっと振り返りました。この歴史を振り返れば、ドゥテルテ氏がオバマ大統領に対して悪態をつくというのもわかるような気がします。

私の知人であるフィリピン人は、「フィリピンの不幸は、日本じゃなくて、アメリカの植民地になった事だ」と語っていました。ことわっておきますが、彼は決してドゥテルテ氏のようなタイプではなく、大学院を卒業し英語も流暢な知的なタイプです。

彼の考えを以下に簡単にまとめます。
マッカーサーは搾取しか考えていなかった。しかし日本に比較的長い間統治されたインドネシアやマレーシアは、あのように発展している。韓国や台湾などは、日本が本格的なインフラ整備と産業拠点を置いたために、今や先進国の仲間入りをしたような状況である。

18世紀に、フィリピンよりも劣等国だった韓国が、日本のインフラと教育で、あれだけ発展できた。今やインドネシアやマレーシアは、既に先進国に見える。タイはまがりなりにも、日本に独立を認められ日本の統治はなかった。だからそれ以下の発展しかしていない。

日本がフィリピンに対し、インフラや教育を十分行える位の期間フイリピンが日本に統治されていたら、今頃どれだけ素晴らしくなっていただろう。絶対にインドネシアやマレーシア以上だったに違いない。
非常に筋の通った論理です。このような考えをする、知識層もフイリピンでは多いのではないかと思います。

日本国内では、フイリピンは、マニラの市街戦による死傷者が多かったことや、バターンの死の行軍などで、フイリピン人は反日との思い込みもあるようですが、これは戦後のアメリカのプロパガンダによるものもかなり影響しているものと思います。

ドゥテルテ氏は、戦後日本の経済協力やイスラム武装勢力との和平協議支援などを高く評価し、親日家とされています。東日本大震災では、海外の自治体の中でいち早く被災者受け入れを表明しました。日本の戦没者供養などにもよく顔を出し、13年には日本人墓地に記念碑を建立。家族旅行で来日していいます。(産経ニュース「ドゥテルテ比大統領、「親中」「反米」そして「親日」」10/24)

さて、ドゥテルテ氏、米国離反、中国接近の姿勢をみせていますが、フイリピンの中国接近は、日本にとっても脅威ですし、フイリピンが完璧に中国の傘下に入ってしまうことになれば、安倍総理の日本の安全保障政策、そうしてアメリカのそれも根本から見直しを迫られることになります。それだけではありません。両国とも、この戦略見直しには莫大な経費と労力と時間を強いられることになります。

まさに、今回のドゥテルテ比大統領との会談は、安倍総理の外交手腕が問われるものとなります。

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2012年5月7日月曜日

【調査結果】Facebookファンの顧客価値の高さとその重要性―【私の論評】何か、これって、当たり前といえば当たり前でないか?

【調査結果】Facebookファンの顧客価値の高さとその重要性:

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あるブランドのFacebookファンとはどういう人たちなのでしょうか。またそのファンの人たちはブランドの営業成績に実際どれくらい影響しているのでしょうか。

ソーシャル・メディアを使ったプロモーションはまだまだ成果が見えにくいのが現状で、この問いには多くの企業が悩まされていると思います。

大手調査会社Forrester Researchの若きアナリストジーナ・スベルドロフ(Gina Sverdlov) さんは、4月9日に出したレポートでこの問いに具体的な数値をもって答えました。そうして今回Facebookファンの顧客価値の意外な高さが浮き彫りになったのです。

ジーナさんはFacebookファンがブランドの営業成績にどれくらい貢献しているかを明らかにするため、ある期間中に特定のブランドの商品を①実際に購入した人、②購入を検討した人、③購入を他者へ勧めた人の数をファンと非ファンで比較しました。

調査対象になったのは飲料メーカーコカ・コーラ社、スーパーマーケットチェーンウォルマート社、家電量販店ベスト・バイ社、携帯電話メーカーリサーチ・イン・モーション社のBlackBerryという4ブランドです。

調査結果


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上図はベスト・バイ社の調査結果をまとめたもので、左の黄緑の棒が非ファン、右の深緑の棒がファンのデータを表しています。調査項目は左から1年以内にベスト・バイで買い物をした、買い物を考慮するだろう、他人にベスト・バイでの買い物を薦めだろうと返答した人の比率を示しています。 

今回調査の対象となった4ブランドのファンが商品を「実際に購入」「購入を検討」「他者へ推奨」した比率は、非ファンのその比率を大きく上回りました。上のグラフのベスト・バイ社の場合、過去12か月間でベスト・バイで買い物をした人は、非ファンが41%であるのに対して、ファンは実に79%です。またファンの内の74%が、他人にベスト・バイでの商品購入を薦めています。非ファンの38%と比べるとその差は歴然としていますね。

更にジーナさんは膨大なアンケート結果から、ブランドのプロモーションに一番貢献している層はFacebookファンだということを突き止めました。

つまり「Facebookのファン」は、他のどんな人よりも商品を「実際に購入」「購入を検討」「他者へ推奨」する確率が高いというのです。例えば、ある人が電化製品を購入するとき、その人がベスト・バイのFacebookファンであったら、そこで製品を購入する確率は5.3倍も上がります。

次に確率が高かったのは「電化製品を買うためにある程度下調べをした」という条件でしたが、それでさえ実際にベスト・バイで製品を買う確率を1.4倍しか上げませんでした。

この傾向はベスト・バイだけでなく他の3ブランドにも同様に見られました。例えば、「何かものを買うときにウォルマートでの購入を考慮するか」という質問に対して、「Facebookファンである」という人が「はい」と答える確率は、「近場にウォルマートがある」という人より2倍も高いのです。更に「どちらでもない人」と比べるとその確率は4倍にもなります。
すごい結果ですね。

考察

この調査結果を踏まえて、前述のアナリストジーナさんのボスであるテクノロジー・マーケティングのエキスパートジョッシュ・ベルノフ(Josh bernoff)さんは、『ブランドにとって大切なことは、むやみやたらと「いいね!」を増やすことではなく、既に「いいね!」をくれている忠実なファンを見定めて、その人たちと親密な関係を構築することだ。」と自身のブログで綴っています。

というのは今回の調査結果からだけでは、Facebookのファンであることがブランド商品を買わせているのか、それとももともとそのブランドの商品をよく買う人がFacebookでもファンになるのかが判断できないからです。何だか鶏が先か卵が先かのような話になっていますね。いずれにせよブランドが気をつけなくてはいけないのは、無理やり「いいね!」を増やすと、ファンベース全体のブランドに対する熱心さが、減少する可能性があることです。

今回のこのレポートは、Facebookファンの顧客としての質の大切さを強調してくれました。Facebookファンたちは、最も熱心にそのブランドの商品を購入し、購入を検討し、また知り合いに薦めてくれるロイヤリティーの強いベースなのです。

ブランドはこのファン層とFacebook上でコンテンツやインタラクションを通して親密な関係を構築していくことが大切なのではないでしょうか。ロイヤリティーが強いファンであるがゆえに、良い関係を築くことに成功すれば、彼らが強力な情報発信元になってプロモーションに貢献してくれるかもしれません。

【私の論評】何か、これって、当たり前といえば当たり前でないか?

むやみやたらと「いいね!」を増やすとは、どういうことなのでしょうか?facebookの会員になっていない人、なっていても、あまり使わない人には良くわからないかもしれません。これの非常にわかりやすい例を本日見つけましたので、まずは、これを掲載します。

全米大ヒットドラマ『コバート・アフェア』が4月18日からDVDのリリースをスタートしています。サイト上ではCIAに入れる素質がどれくらいあるかをサイトで診断できます。以下は、そのサイトの画面です。


わたしも診断してみたところ、素質はありということでした。ランクは、Aでした。 このランクAという結果表示とともに、facebookの"コバート・アフェア"のページへ誘導するボタンがあり、このページに移動すると、自分がどのようなCIA捜査官に向いているかを診断できると表示してあったので。

ボタンを押して移動してみました。そうすると、以下の画面になりました。


そうして、この診断を受けるためには、やらなければならないことがありました。それは、このページの「いいね!」ボタンを押すことでした。確かに、このようなやり方をすれば、「いいね!」がかなり増えることになります。私が、「いいね!」ボタンを押すと、これが、私のウォールにも掲載されました。それが、以下の画像です。


私のウォールに表示されるということは、当然私の友人である他の人たちのタイムラインにも掲載されるということです。この友達が興味を持てば、さらに、このサイトに行き、さらに、ページに行く人いるかもしれません。そうして、最終的に「いいね!」ボタンを押して、診断を受けるかもしれません。

しかし、この内容が、ウォールに掲載してから、しばらくして、facebookをみてみても、その時点ではまだ、誰もそのようなことをしていませんでした。

ちなみに、コバート・アフェアは、全米での初回視聴者数約500万人を獲得し、2010年新作ケーブルドラマ中No.1を記録した大人気シリーズです。USAネットワーク(※アメリカのケーブルテレビ向け娯楽専門放送局)の看板枠(火曜22時台)において、過去16年間で最も視聴された作品が、いよいよ今春、日本に上陸するということです。DVDも発売されますし、テレビでも放映される運びとなったため、そのキャンペーンとして、facebookも活用されたということです。以下に、その動画を掲載しておきます。


製作総指揮は、映画『ボーン・アイデンティティー』シリーズや『Mr.&Mrs.スミス』でおなじみのダグ・リーマン。お得意のアクション・シーンはまさにハリウッド超大作並みのド迫力!本作の見どころのひとつです。

ヒロインのCIA諜報員アニー・ウォーカーは、映画『コヨーテ・アグリー』でブレイクしたパイパー・ペラーボが演じます。本作では、2010年ゴールデングローブ賞ドラマ部門の主演女優賞にもノミネートされました。

CIAもので、女性がヒーローということで、なかなか面白そうな内容ではあります。以下にヒロインの画像を掲載しておきます。





さて、何やら、この番組の宣伝のようになってきましたが、いいたいのは、これではありません。要するに、このキャンペーンでは、上の記事の考察で言っていた「ブランドが気をつけなくてはいけないのは、無理やり「いいね!」を増やすと、ファンベース全体のブランドに対する熱心さが、減少する可能性があることです」という内容の、無理やり「いいね!」を増やすことをやっているということです。

このやり方は、すでに、facebookでは、古典的といっても良いやり方です。要するに、この事例では、「いいね!!」ボタンを押すことで、はじめて、スパイの適正診断を受けられるということで。このような、やり方は、他にも、たとえば、「いいね!」を押すと、ゲームができるだとか、クーポンがあたるだとかなどいろいろいあります。


共通しているのは、なんらかのインセンティブが得られるということです。こういうことをたくさん、やれば、確かに、「いいね!」がかなり増えることになります。しかし、こんなことをしても、あまり効果はないということです。

やはり、「いいね!」ボタンは、このような方式で、数を増やすというのではなく、ユーザーが本当に「いい」と思ったときに押してもらえるようにすべきであると言っているのです。そうして、すでに、「いいね!」ボタンを押す人をむやみに増やすのではなく、すでに、「いいね!」押しているユーザーを大切にしようと言っているということです。

でも、これって、facebookという新しいシステムについての調査結果ということで、それは、それなりに意味があるのでしょうが、普通に考えれば、別に調査をしなくても理解できることだと思います。

昨日は、K-POPが日本市場では、下火になっていることをお伝えしました。詳細は、昨日のブログをご覧いただくものとして、K-POPが日本で、下火になっている理由は、特に昨年あたり、あまりに、テレビや、YouTubeで一時に露出をかなり多くしてしまったことが、主な原因と思われます。むろんこれだけではありませんが・・・・・・・・。

facebookで、むやみに、「いいね!」を増やすということは、これに似ていると思います。一時にあまりに、露出が多すぎると、多くの人に飽きられるということです。それに、このやり方の場合は、多くのユーザーに対して、本当は、気に入って押している人もいるかもしれないのに、わざわさ゜、この「いいね!」は、ユーザーが本当に気にいって押してるのではなく、インセンティブがあるから、押しているんですと、告知して回っているようなものです。

faceookを使おうが、使うまいが、商売の基本は同じだと思います。本当に、お客様に気にいっていただくための知恵を絞るのが商売人なのであって、上記のように人為的にお客様の反応をただ増やすというのは、意味のない行為です。 これでは、無意味なディスカウントとあまり変わりないと思います。 しばらくの間は、通用するかもしれませんが、いずれ、通用しなくなります。上の調査結果は、そのことを示しているのだと思います。

顧客価値を高めることが本筋なのであって、これを軽視して、顧客の反応を増やしても意味はないということです。
もっとも重要な顧客、それに準ずる顧客は誰か?
顧客からどのような知見を得なければならないのか?
このような知見を得るため、どのような行動をしなければならないのか?
このようなことに智慧を絞るべきです。 やはり、見る人に気にいってもらえるように、いろいろ考えることで、「いいね!」を増やして行きたいものです。皆さんは、どう思いますか?



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