消費税増税に7割が賛成 結論見え見えの有識者会議の意味 - 高橋洋一の俗論を撃つ!
以下に、要約を掲載します。
消費税増税に関し、8月26日から31日まで60人の有識者から「集中点検会合」として政府は意見を聞いた。7割超は消費税増税に賛成・積極的であった。一方、各種の世論調査では、消費税増税に反対・消極的な人が半数を超えている。
本来であれば、消費税増税は総選挙のテーマとして国民の信を問わなければいけないテーマである。その代わりに有識者会議を設けて議論するというのだから、世論を代表する形で禍根を残さないようにしっかりした透明性の高い議論が必要だ。
有識者のメンバーでやや疑問であった人も含まれていた。浜田宏一・エール大学名誉教授と本田悦郎・静岡県立大学教授の内閣参与がメンバーであったことだ。彼らは経済政策の専門家として首相が判断する時にアドバイスをするのが仕事だ。彼らはアベノミクスを推進する立場から、消費税増税に消極的な立場である。その意見はすでに政府に届いているはずだが、それを一人の有識者の立場にして、再び政府が聞くというのは理解できない。
こうした結論が見えるメンバーにして意見を聞いて増税やむなしという決定をするとすれば、まさしく官僚主導そのものになる。政治主導という安倍政権の手法として、あまりに事務方のお膳立ては度が過ぎた。7割超の増税賛成・積極派の意見に従って、安倍首相がすぐに「増税やむなし」と言ったら、民主党の野田首相のように、官僚のいいなりといわれてしまう。事務方の過度のお膳立ては、最終決断を下す政治家にとっては面白くないはずだ。
税を経済政策として使う鉄則は、景気の悪い時には減税、景気が過熱しているときには冷や水をかけるように増税、それ以外であれば、何もしないというものだ。
8月12日に発表された2013年4~6月期GDPの一次速報は実質GDP成長率(年率換算)で2.6%とまずまずだったが、雇用、生産は順調、デフレ脱却は今一歩となっている。これらをみれば、景気はよくなりつつあるが、過熱という状況ではない。したがって、増税をスキップというのが正しい。
有識者会議で出ていた「増税すると景気が心配」という意見は、財務省にとって思う壺である。というのは、すでに税収の上振れが数兆円単位であることがわかっているので、それを財源として補正予算の話も出ている。さらに、今回の消費税増税法でも、附則18条2項では、「成長戦略並びに事前防災及び減災等」にカネを回せる。この条項は、自民党が修正させたものだ。これらをみれば、今回の消費税増税分は、すべてバラマキのために使って、景気の落ち込みを防ぐというのは、政府の既定路線である。
しかし、マクロでは税金を集めて政府がすべて配れば景気の影響はなくなるはずだが、政府がカネを民間から吸い上げて政府が配るという「まともでない」方法だ。具体的にいえば、消費税増税を負担する一般庶民が泣いて、減税や公共支出で潤う既得権者が得をするという、アンフェアなものだ。こうしたことをやると、結局、経済成長はできなくなる。
有識者会議では、増税以外の代替案がほとんど出なかったのは情けない。筆者は、歳入庁創設によって、税・社会保険料の徴収漏れ10兆円の増収、消費税インボイス導入(筆者注:脱税がしにくい仕組み)で3兆円の増収が可能だと、これまで再三述べてきた(2012年6月14日付け本コラム参照)。このコラムはアベノミクスの登場以前に書かれたが、ほとんどの部分は今でも妥当する。
こうした措置は、世界標準の社会保障政策や税制変更するための社会インフラというべきものだ。世界ではどのような立場に立っても合理的なので、ほとんど先進国で導入されている。これらを導入すれば、消費税増税が不要になるばかりか、社会的な不公平をなくすこともできる。
今回の有識者会議では、1%ずつ消費税税率を上げて景気に配慮するという案もあった。1%の引き上げというのは、欧州で行われているが、それが可能なのは、欧州ではインボイスが導入されていて、税転嫁が容易だからだ。だから、1%ずつの引き上げの前に、インボイスの導入をいわなければいけなかった。なお、世界の消費税でインボイスが導入されていないのは日本だけである。
このような有識者会議の結論なら、安倍首相が蹴散らしてもいいだろう。そのほうが、官僚主導で騙されたフリをして、最後でどんでん返しをするので、安倍首相らしい政治主導を演出できるというものだ。
この記事の詳細は、
こちらから(゚д゚)!
【私の論評】確かにこれだけ増税賛成派ばかりだと作為的である。最終的には安倍総理はこれを吹き飛ばし、官僚を震撼させ覚醒のための大ショックを与え政治主導を勝ち取る腹か?
上の高橋洋一氏の記事、全くまともであり、非の付け所がありません。いつもながらの、まともな論考です。
そうして、一番気になったところは、最後の結論です。
このような有識者会議の結論なら、安倍首相が蹴散らしてもいいだろう。そのほうが、官僚主導で騙されたフリをして、最後でどんでん返しをするので、安倍首相らしい政治主導を演出できるというものだ。
私も、この結論は多いにありそうだと思っています。まずは、有識者会議のヒアリングやマスコミの論調に関しては、このブログでもいくつか紹介したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
日経世論調査 消費増税「7割容認」本当なの? 複数の質問で独特の計算法 ―【私の論評】とにかく酷い増税推進派のズタボロ論拠!ポエムは、無視すべし!これでガス抜き完了後は安倍総理は増税延期まっしぐら(゚д゚)!
この記事では、日経新聞の消費税容認派が7割という、とんでもな世論誘導に関して掲載しました。良く見ると、日経新聞の調査では、増税容認派は少数派です。何をもって、増税容認派を定義するかで、随分印象が変わります。私は、デフレの時期に増税するのは、絶対に反対ですが、デフレから脱却して、インフレが亢進したときには、逆に増税すべきと思っています。
ただし、来年の4月時点ではどう考えてみても、デフレから回復していないだろうし、ましてやインフレが亢進しているということも考えにくいので、絶対反対という立場です。しかし、この記事で掲載した日経新聞のアンケートの取り方だと、へたをすると私ですら増税容認派になってしまいます。とんでもないです。
それから、経済評論家の上念司氏のツイートを掲載して、実は有識者の増税に関する、ヒアリングの資料に関して、ほとんどエビデンスとかまともな論考に欠けているので、ほとんどポエムだと揶揄しました。
それから、他の記事では、最近のテレヒなども、理詰めではなく、情感に打ったえるポエムのようになってきていることを掲載しました。その記事のURLを以下に掲載します。
消費税増税反対の浜田参与 財務省の説得工作の前に完オチか―【私の論評】増税派の焦りがでてきた!まともな論理なし、論理を展開すれば負けることが明らかに!残された手段はポエムと色仕掛けしかない(゚д゚)!
この記事では、増税推進派は、旗色が悪いとみえて、ごく最近では、ジャーナリストの須田慎一郎氏まで動員していますが、須田氏の論考は、伝聞と憶測のみであり、これもポエムの領域を超えていないことを掲載し、とにかく増税推進派は、まともな論考では、木っ端微塵に粉砕されしまうので、情感に訴える戦略に出ていることを掲載しました。
最近のテレビではほとんどが、まるで増税推進派が優勢であるかのような扱いですが、テレビタックルでは、見ている限りでは、推進派と反対派が拮抗しているようにみえました。テレビではこんなものですが、ネットの世界では、圧倒的に増税反対派が優勢です。
増税推進派が何かコメントするにしても、理詰めでたとえば、ついこの間まで増税しないと「ハイパーインフレ」になるという論は、さすがに影を潜めましたが、増税は国際公約とか、増税しない国債が暴落するなどの論も、これをコメとしたりツイートしても、増税反対派から理詰めでコテンパンにやつけられるという状況になっています。
だからこそ、最近の増税推進派は、論理ではなく、ポエムで情感に訴えるようになってきています。
このような状況、Facebookや、Twitterを活用している安倍総理大臣が知らないはずはありません。しかし、有識者会議の内容などに対して、何のコメントもなく、ひたすら、10月の最新指標を見てから決めるということを繰り返しています。
もう、安倍総理としては、財務省や、
裏切り者の内閣府のいうことなど聴いてまともに論議しても仕方ないということで、言いたいことを言わせて、その直後にこれらをすべて吹き飛ばし、官僚どもの震撼させて、増税推進派どもに、覚醒の大ショックを与え、大混乱させ、これから先はまともな政治主導で政治が進むことを強烈に知らしめることを目論でいると結論づけても良いのではないかと思います。
増税推進派の官僚どもは、今までも官僚主導でやってきたので、これからもそうできるものとをたかをくくっていナます。こういう連中と、コミュニケーションを交わすには、ありきたりの方法では無理です。相当なことをしないと無理です。
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ノミニケーションだけがコミュニケーションではない |
これは、ドラッカーのコミュニケーションに関する、有名な論考を考えても良く理解できることです。
「上司の言動、些細な言葉じり、癖や習慣までが、計算され意図されたものと受け取られる」(『エッセンシャル・マネジメント』)
階層ごとに、ものの見方があって当然である。さもなければ仕事は行なわれない。だが、階層ごとにものの見方があまりに違うため、同じことを話していても気づかないことや、逆に反対のことを話していながら、同じことを話していると錯覚することがあまりに多い。
コミュニケーションを成立させるのは受け手である。コミュニケーションの内容を発する者ではない。彼は発するだけである。聞く者がいなければコミュニケーションは成立しない。
ドラッカーは「大工と話すときは、大工の言葉を使え」とのソクラテスの言葉を引用する。コミュニケーションは受け手の言葉を使わなければ成立しない。受け手の経験に基づいた言葉を使わなければならない。
コミュニケーションを成立させるには受け手が何を見ているかを知らなければならない。その原因を知らなければならない。
人の心は期待していないものを知覚することに抵抗し、期待しているものを知覚できないことに抵抗する。コミュニケーションの発する側が、何かを話したとしても、受け取る側は、自ら既知の枠組みの中に、あてはめて受取り、既知のものとして受け取ってしまう。
「受け手が期待しているものを知ることなく、コミュニケーションを行うことはできない。期待を知って初めてその期待を利用できる。あるいはまた、受け手の期待を破壊し、予期せぬことが起こりつつあることを認めさせるための覚醒のための大ショックの必要を知る」(『エッセンシャル・マネジメント』)
安倍総理の言動・行動は、官僚にとっては、些細な言葉じり、癖や習慣までが、計算され意図されたものと受け取られるわけです。安倍総理と、官僚とでは、同じことを話していても気づかないことや、逆に反対のことを話していながら、同じことを話していると錯覚するのです。だから、安倍総理は、官僚の期待を知るために、有識者会議を開催し、増税に関する役人の期待を隅々まで知ろうとしたのです。これによって、安倍総理は役人が期待していることを知り、その期待を利用しようとしているのだと思います。そうして、最終的には、官僚の期待を破壊は、予期せぬこが起こりつつあることを認めさせるだめの覚醒の大ショック必要をみとめ、それを実行しようとしているだと思いす。
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本当の意味でのコミュニケーショは本当難しい |
安倍総理、とにかく官僚は一筋縄ではいかないので、そうした配慮をし、いずれ増税延期で、官僚に覚醒のための大ショックを与え、以後の政治主導をやりやすいように、準備しているのだと思いす。
そうして、ドラッカーはコミニケーションの大原則に関して、最後に以下のようなことを語っています。
コミュニケーションとは、私たちの中の一人から、私たちのもう一方に伝わるものであって、私から、あなたへ、あなたから私へと一方的に伝わるものではありません。このためには、コミュニケーションを交わさなければならない人々と、普段から「私たち」という関係を構築しておかなければならないということです。覚醒のためのショックを与えたとしても、それだけでは、コミュニケーションはなりたちまぜん。普段から「私たち」という関係を築いておかなければならないのです。
安倍総理は、第一次安倍内閣の失敗を踏まえ、コミュニケーションの徹底を図っています。それは、たとえば、日銀人事や、内閣法制局の人事などで実証できていると思います。
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お母様の誕生日を祝う安倍総理 コミュニケーションは重要だ(゚д゚)! |
そうして、「私たち」という関係を構築するには、「経験の共有」が不可欠であり、そのためには、企業内では、「目標管理」が重要であるとドラッカーは説いています。経験の共有は、その他いろいろあります。長時間による話し合いとか、場合によっては、一緒に食事をするとか、いろいろです。政府の組織も同じことであり、目標管理および、ふだんから様々な安倍総理と、官僚の経験の共有が必要不可欠なのです。
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コミュニケーションを成立させるためには、普段から経験の共有が重要 |
対立軸だけを鮮明にするだけでは、何もできません。官僚を納得させ、安倍総理と一つの目的に向かて、進むには、嫌でもコミニュケーションを蜜にしなければならないのです。それが、今後の戦後体制から脱却にも欠かせないのです。日本の政治には官僚の力は必要不可欠です。民主党のように、いたずらに政治主導と称して、役人の力を活用しないで実施することは困難です。
いずれにせよ、今までの政治主導はことごとく失敗しています。これを勝ち取るためには、安倍総理と官僚とのコミュニケーションは、必要不可欠です。嫌な相手ほど、コミュニケーションを蜜にしないと何事もうまくはいきません。官僚の期待を打ち砕く覚醒のためのショックを与えて、官僚の本来の存在価値、理由を自覚させ、「経験の共有」も含めて、安倍総理は、現在増税をめぐって、政治主導を確立すべく、様々な対応策を練っているのだと思います。
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?
【私の論評】
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