2016年4月15日金曜日

【熊本震度7】災害最中に民進党公式ツイッターで自民党批判!? 東日本大震災時に「自民議員がデマ流して政権引っ張った」―【私の論評】匿名ブログに基づく議論が誘発した民進党公式とんでもツイート(゚д゚)!


益城町役場前に避難した人々に6強の余震が襲った =15日午前0時3分、熊本県益城町

民進党の公式ツイッターは15日未明、14日夜に発生した熊本県を震源とする最大震度7の地震に関し、「東日本大震災時の自民党のような対応を望みます」との投稿に対して「それじゃあダメでしょうね」と書き込んだ。

「多くの議員が与野党なく災害対応に協力した中で、一部の自民党の有力議員が原発対応についてデマを流して政権の足を引っ張ったのも有名な話です」とも投稿した。具体的な根拠は示さなかった。

民主党政権時代に野党だった自民党の対応を揶揄するような内容で、公式ツイッターには「ひどい」などと非難する書き込みが相次いだ。

【私の論評】匿名ブログに基づく議論が誘発した民進党公式とんでもツイート(゚д゚)!

まずは、今回の地震で亡くなられた方々の御冥福をお祈りさせていただきます。災害ににあわれた方々の生活が1日も早く元通りなる事をお祈りさせて頂きます。

ブログ冒頭の記事のツイートは現状は削除されて、新たに以下のようなツイートが掲載されています。




ブログ冒頭の記事で、問題とされていたツイートはどのようなものであったか、以下に掲載します。



これは、一体どうしたことでしょうか。本当に目を疑うとはこのことです。甚大な被害が報道されつつあったそのときに、このようなツイートをするとは、民進党断じて許せません。あまりに非常識です。超党派で被災した方々を助けるとの表明をするのが常識というものです。こんなことまで、自民党批判のために活用するというこの非常識さ加減には、それはそれなりの背景があります。

昨日のこのブログでは、民進党の匿名ブログを国会の審議で資料として用いる手法について徹底的に批判しました。その記事のリンクを掲載します。

山尾氏、今度は衆院選直前に不可解な「500万円の移動」 週刊新潮報道 ―【私の論評】献金問題と同じく匿名ブログに基づく議論も指弾されるべきだ(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事の私の書いた結論は以下の様なものでした。
私自身も、匿名のSNSやブログ・サイトの場合、何か興味を惹かれるようなことが書かれてあったとしても、SNsなら自分で確かめられる範囲で、正しいと判断できるものは、リツイートくらいはすることもありますが、それを引用して、解説するということはありません。ブログ・サイトに関しては匿名のものは引用しません。あくまで、出処が明らかなものしか引用して、それを解説したり論評するようなこともしたことがありません。

それが本来まともなことであり、国会で匿名のブログをもとに、審議をするなどということは、考え及びもつかないことです。匿名のブログなど何の責任も伴わないものですから、そこに書かれていることなど、信ぴょう性も何もありません。疑問に思っても、書いた人間に質問することすらできません。そのようなものを元に、公の場で議論などすべきではありません。まともな会社の取締役会で、匿名のブログなどに基づいて議論をすすめる役員がいたら、愚か者と言われることでしょう。

これは、ネット社会における最低限のエチケット(ネチケット)であると思います。そのようなことを、認識できない山尾志桜里氏が、検事であったという事自体も信じられません。検事なら、何事に関しても、物的な証拠などを重視するのが普通だと思います。それに、マスコミが献金問題と同じようにその点を追求しないのも本当に奇異なことです。

このようなネチケットが守れない国会議員が何の指弾も受けない、それを褒めそやす党代表が存在したり、それを批判もしないメディが存在するということ自体が、現代の陰湿なネットいじめなどを助長していると思います。
ネットいじめの温床は何か?
匿名のブログはエビデンス(証拠・根拠、証言、形跡)ではありません。新聞の報道はエビデンスであることが求められます。だから、まともな新聞記者は、情報の出処を裏取りして、正しい情報に基づいて報道します。国会での審議であれば、当然新聞社などより、さらこの点において厳格であらねばならないはずです。

このようなことがなおざりにされても、何の問題にもならない社会は病んでいるとしか言いようがありません。これでは、ますますネットいじめなどをさらに助長するだけです。

山尾氏を政調会長に抜擢する民進党はもう、最初からダメ政党であることを暴露してしまったようです。

本来ならば、献金問題と同じく、匿名ブログに基づく議論も指弾されてしかるべきです。現代では、政治もメディアもどこか、狂っているとしか思えません。
 まさに、匿名ブログに基づく議論が国会でなされ、しかもその功績で山尾議員は政調会長の要職に就いたというこのとんでもないことが、今回の 災害最中の自民党批判という珍事に結びついたのではないかと思います。

まさに、民進党では、ネチケットという認識がないどころか、それを無視して、国会での審議に用いて出世というとんでもない規範が示されてしまいました。

このツイートをした担当者も、山尾議員にならって、この非常時に何の疑問も持たず、あのようなツイートをしてしまったということです。

今回の出来事で、私は昨日のブログの論評にますます確信を持つことができました。

【関連記事】

山尾氏、今度は衆院選直前に不可解な「500万円の移動」 週刊新潮報道 ―【私の論評】献金問題と同じく匿名ブログに基づく議論も指弾されるべきだ(゚д゚)!





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2016年4月14日木曜日

山尾氏、今度は衆院選直前に不可解な「500万円の移動」 週刊新潮報道 ―【私の論評】献金問題と同じく匿名ブログに基づく議論も指弾されるべきだ(゚д゚)!


相次いで疑惑が浮上している山尾氏
民進党の山尾志桜里政調会長(41)に、新たな疑惑が浮上した。2014年末の衆院選直前、500万円もの大金が同日中に「山尾氏→選挙区総支部→山尾氏」と移動しており、週刊新潮が「脱税」の疑いを指摘したのだ。山尾氏は、プリペイドカードを使った多額のガソリン代を政治資金収支報告書に記載しながら、根拠も示さず「秘書が不正をした疑いがある」と釈明したばかり。一体、どうなっているのか。

 新たな疑惑は、14日発売の週刊新潮が、《法と証拠に基づかず秘書をワルにして居座り!》《民進党「山尾志桜里」政調会長の嘘と政治資金ミステリー》という記事で報じた。

 同誌が「選挙運動費収支報告書」や、山尾氏が支部長を務める「民主党愛知県第7区総支部」の報告書を調べたところ、14年末の衆院選直前、注目すべき「カネの動き」があったという。

 14年11月21日に、民主党(当時)から山尾氏は「公認料500万円」を受け取り、10日後の12月1日、山尾氏から総支部に「寄附金」として500万円を計上した。ところが、同じ12月1日、今度は総支部から山尾氏に「選挙費用」として500万円が移動している-というのだ。

 夕刊フジでも報告書を調べたところ、500万円の移動が確認できた。

 週刊新潮は、政治資金に詳しい税理士の話として、山尾氏から総支部へ寄附することで、申請すれば「寄附金控除のための書類」を受け取ることができ、「所得税を減らすことも可能になる」「(寄附金控除を受けた場合は)ざっと170万円の税金を浮かすことができる」「実際は寄附を行っていないのに控除を受けていたとしたら、脱税が疑われる」という見解を紹介している。

 実は、この500万円の件は、ガソリン疑惑が発覚した直後から、永田町の一部で注目されていたという。

 政治資金に詳しい永田町関係者も「同じ日に500万円を『山尾氏→総支部→山尾氏』と移動させるメリットは、週刊新潮の指摘ぐらいしか考えられない」と語った。

 ただ、元検事である山尾氏がそんな“錬金術”をしていたとは、にわかに信じがたい。

 そこで、夕刊フジでは不可解な資金の流れを指摘したうえで、「脱税、節税目的で資金を移動した事実はあるのか」などとFAXで質問した。すると、山尾事務所から文書で「現在事実関係を確認中です」との返答があった。

【私の論評】献金問題と同じく匿名ブログに基づく議論も指弾されるべきだ(゚д゚)!

民進党の山尾志桜里政調会長は昨日の記者会見で、多額のガソリン代計上などの政治資金問題に関し「元公設秘書の不正」の可能性に言及した根拠を再び示しませんでした。山尾氏はブログ冒頭の記事にもでている、不可解な「500万円の移動」疑惑も「必要があれば回答したい」と繰り返し、明解な説明を行いませんでした。

さらに、山尾氏は元秘書との接触について「弁護士から『コンタクトするべきではない』といわれている」と強調。弁護士と元秘書との接触の有無も答えませんでした。

山尾氏の資金管理団体が「新築祝い」として選挙区内の花店に2万1千円を支出した件については、週刊ポストが山尾氏の事務所から、新築祝いを渡した相手について「選挙区内であることが判明した」との回答を得たと報じていました。公職選挙法が禁じる寄付行為の可能性があるが、山尾氏は記者会見では「記事を見ていないのでコメントできない」と答えていました。

さらに、政党支部が24年の衆院選期間(約1カ月)のみに約17万8千円の「コーヒー代」を支出していたことについても、山尾氏は「調べて、必要があれば報告する」と述べるにとどまりました。

結局今のところ、すべての疑惑について「調べて、必要があれば報告する」と述べるにとどまっています。

様々な事実が少しずつ公表されてきたので、今一度、以下に現時点での山尾氏をめぐる献金問題についてまとめておきます。


政治資金団体「桜友会」が、2012年分の政治資金収支報告書に山尾から政治資金規正法で定める上限額を超える1114万円の寄附を受けたと記載していたことや、山尾が代表を務める民主党愛知県第7支部が桜友会から2012年に10回にわたって計899万円の寄附を受けたと収支報告書に記載したにも関わらず、桜友会側の収支報告書には5回分423万円分の寄附しか記載されていなかったことが、2016年3月31日付の週刊新潮に報じられました。

さらに、第7支部は同じ2012年に年間230万円分のガソリン代を出費したと記載、同じ店舗で一日10万円分のガソリン代を出費するなど他の問題箇所も指摘されている。政治活動としては額が大きすぎるとの指摘も上がっており、民進党の岡田克也代表も「きちんと調査し、あまり時間をかけずに説明することが求められている」としていますが、山尾は「事実を確認中」を繰り返し、その後、4月6日になって記者会見を行い、ガソリン代に関してはプリペイドカードで支出されたとされていましたが、料金をチャージした形跡がなく、支部と無関係に支出されていたことを明らかにした上で、既に退職した公設秘書が私的に流用したと主張しましたが、連絡は取れないとし証拠も提示しませんでした。

桜友会が寄附の上限を超える寄附を受けていたことについては事務的ミスであると主張しました。さらに2014年の収支報告書でも「新築祝い」名目で選挙区内の店舗に2万1000円の支出についての記載があったことも判明しましたが、こちらについては記載ミスと釈明しました。

山尾氏は、甘利明前経済再生担当相の秘書による不祥事を追及し、議員辞職を求めた際には、「秘書のやったことについて、本人の責任が免れるわけではない」と繰り返し強調していました。にもかかわらず、自らはあっけらかんと続投を宣言しました。

なんでも秘書のせいにするのは、まるで鳩山元総理大臣のよう
この状況は、あの多数の「故人」から献金を受けるという政治資金収支報告書の虚偽記載事件をめぐり、「すべて会計実務担当秘書の独断だ」として秘書のせいにした鳩山氏と、同じような苦しい言い訳です。

にもかかわらず、そして、この山尾氏の記者会見について岡田克也代表はこう称賛していました。

「かなり明確に説明された」「しっかりと対応された」「相当きちんとお答えになっていた」

結局岡田氏は党として山尾氏の対応に「これでよい」とお墨付きを与えた形になってしまっています。鳩山政権の民主党時代から、自民党などには厳しくで身内に甘い体質は何も変わっていません。こんな姿勢で甘利氏の証人喚問を要求したとしても、迫力も本気も何も伝わってきません。

山尾氏は、落選していたときには、パソナに世話になっていたことも明るみに出ています。これについては、日刊ゲンダイの記事を以下に引用します。一部分のみ以下に引用します。

    "
ASKA騒動が民主党にも飛び火している。ASKA(56)のスポンサーだったパソナグループの南部靖之代表(62)が、民主党の前原誠司元代表(52)から頼まれ、十数人の「民主党落選議員」を社員として雇い、大金を渡しているという話が一斉に広まっているのだ。

 パソナと民主党議員との“癒着”を糾弾する文書もバラまかれている。
<パソナでは、南部会長(代表)が応援している前原誠司民主党元代表から頼まれて、会社の特別顧問として、民主党落選組10人ほど養っている><月50万円ももらっている><社内でこの落選組の評判が悪い。仕事ができないばかりか、会社に出ても来ない>などと書かれているのだ。

「今月末で契約は終わりますが、たしかに業務委託という形でパソナに携わっていました。健康保険等は入っていませんから社員ではないです。月50万円? いやいや、半分にも満たないですよ。出勤は週2回。守秘義務がありますから詳しくは言えませんが、パソナさんが淡路島で新事業を立ち上げるということで、企画立案をしていました」

 やはり、前原の口利きがあったのか。
「昨年7月に直接、人事部だったかな、連絡をいただきました。南部代表とは前原さんを通じて、前から接点はありました。そういう意味で、関係あったのでしょうか」(神山氏)

 他にも名前が挙がった山尾志桜里(39=愛知7区)は、期限までに回答がなかった。匿名を条件に民主党元議員のひとりはこう言う。

「私のようにパソナに世話になっている落選組は10人程度います」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

"
以上のようなことを知ると、私が以前このブログに掲載した、「日本死ね」のブログは、やらせである可能性もなきにしもあらずと思えてきます。無論、そのあたりは、緻密に打ち合わせをして、第三者に書かせて、それをさも山尾志桜里が偶然発見したかのごとく、国会で用いたという疑惑も成り立ちます。

何しろ、あのブログ「匿名」ですから。匿名のブログを用いるということは、そのような疑いをかけられても致し方ないのです。

私自身は、ブログでもtwitterでもすべて実名を公開しています。ブログやSNSを始めるときに、知人などは、匿名にすべきなどと言った人も何人かいたので、少しの間匿名にしていたこともありましたが、やはりその後実名にしました。

これは、匿名のブログやツイートで、自分の意見などを述べるのはやはり、無責任であると思われたからです。無論、これは他の人もそうすべきということではありませんが、いずれにしても、匿名のものでは信ぴょう性は格段落ちることは間違いありません。

私自身も、匿名のSNSやブログ・サイトの場合、何か興味を惹かれるようなことが書かれてあったとしても、SNsなら自分で確かめられる範囲で、正しいと判断できるものは、リツイートくらいはすることもありますが、それを引用して、解説するということはありません。ブログ・サイトに関しては匿名のものは引用しません。あくまで、出処が明らかなものしか引用して、それを解説したり論評するようなこともしたことがありません。

それが本来まともなことであり、国会で匿名のブログをもとに、審議をするなどということは、考え及びもつかないことです。匿名のブログなど何の責任も伴わないものですから、そこに書かれていることなど、信ぴょう性も何もありません。疑問に思っても、書いた人間に質問することすらできません。そのようなものを元に、公の場で議論などすべきではありません。まともな会社の取締役会で、匿名のブログなどに基づいて議論をすすめる役員がいたら、愚か者と言われることでしょう。

これは、ネット社会における最低限のエチケット(ネチケット)であると思います。そのようなことを、認識できない山尾志桜里氏が、検事であったという事自体も信じられません。検事なら、何事に関しても、物的な証拠などを重視するのが普通だと思います。それに、マスコミが献金問題と同じようにその点を追求しないのも本当に奇異なことです。

このようなネチケットが守れない国会議員が何の指弾も受けない、それを褒めそやす党代表が存在したり、それを批判もしないメディが存在するということ自体が、現代の陰湿なネットいじめなどを助長していると思います。

ネットいじめの温床は何か?
匿名のブログはエビデンス(証拠・根拠、証言、形跡)ではありません。新聞の報道はエビデンスであることが求められます。だから、まともな新聞記者は、情報の出処を裏取りして、正しい情報に基づいて報道します。国会での審議であれば、当然新聞社などより、さらこの点において厳格であらねばならないはずです。

このようなことがなおざりにされても、何の問題にもならない社会は病んでいるとしか言いようがありません。これでは、ますますネットいじめなどをさらに助長するだけです。

山尾氏を政調会長に抜擢する民進党はもう、最初からダメ政党であることを暴露してしまったようです。

本来ならば、献金問題と同じく、匿名ブログに基づく議論も指弾されてしかるべきです。現代では、政治もメディアもどこか、狂っているとしか思えません。

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2016年4月13日水曜日

ロシア外相が明言「北方四島全て交渉対象」 2001年声明拒否せず―【私の論評】経済の悪化、中国の脅威に怯えるロシアに有利な交渉できる時がやってきた(゚д゚)!


ラブロフ外相
ロシアのラブロフ外相は12日、一部海外メディアとの会見で、北方領土問題をめぐり、4島全てが交渉対象になるとの認識を明らかにした。15日の日露外相会談を前に、インタファクス通信などが伝えた。

ラブロフ氏は会見で、北方四島の帰属の問題を解決した上で平和条約を締結することを当時の日露首脳が確認した2001年3月の「イルクーツク声明」を、「拒否しない」と発言。声明について「四島の帰属問題を含め、全ての問題を解決するために話し合いを続けるという内容だと理解している」と述べた。ただ、平和条約締結後に歯舞、色丹の2島を引き渡すとした1956年の「日ソ共同宣言」こそが「この問題において双方が批准した唯一の文書だ」とも指摘した。

ラブロフ氏は、安倍晋三首相による訪露が「近日中に行われる」とも述べた。

【私の論評】経済の悪化、中国の脅威に怯えるロシアに有利な交渉できる時がやってきた(゚д゚)!

ラブロフ外相は上の記事で、日本側に期待を持たせるようなことを語っていますが、これは本当なのでしょうか。わずか一年前にラブロフは何を語っていたか、以下にその動画を掲載します。


この動画をご覧いただけるとお分かりになるように、ロシアのラブロフ外相は公表されたインタビューの中で、北方領土問題に関連して「日本は第2次大戦の結果に疑いを差し挟む唯一の国だ」と日本を批判しました。

これは、とんでもないことです。ロシアの前進である、ソ連は、日ソ不可侵条約を結んでいたにもかかわらず、終戦日本が長期にわたる戦争で疲弊していることがはっきりして、必ず勝利できるときを見計らって、北方領土に侵攻しました。

そうして、多くの日本兵を捕虜としてシベリアなどで強制労働させ、多くを死に至らしめました。このソ連の行為は、武装解除した日本兵の家庭への復帰を保証したポツダム宣言に背くものでした。これらついて、未だソ連の後継者であるロシアからなんの謝罪もありません。こんな連中の言うことなどあまり信用できません。

ロシアの国旗柄のビキニ
しかし、最近では少し風向きが変わったようなところもあります。まずは、ロシアは経済がかなり疲弊しています。ロシアの主な産業というと、めぼしいのは原油や天然ガスですが、ご存知のように最近では、原油安でエネルギー価格は暴落しています。

そのような状況の中で、他にめぼしい産業のないロシアは、今後経済は坂道を転がり落ちるように悪化していくのは、目に見えています。

以下に、2014年の各国のGDPを掲載しておきます。

順位名称単位: 10億USドル前年比地域
1位アメリカ17,348.08北米
2位中国10,356.51アジア
3位日本4,602.37アジア
4位ドイツ3,874.44ヨーロッパ
5位イギリス2,950.041ヨーロッパ
6位フランス2,833.69-1ヨーロッパ
7位ブラジル2,346.58中南米
8位イタリア2,147.74ヨーロッパ
9位インド2,051.231アジア
10位ロシア1,860.60-1ヨーロッパ

2014年というと、まだ原油価格が安くはなかった頃です。本格的に安くなったのは15年に入ってからです。

その214年まだ原油が高かった時代のGDPが上の表です。世界でみると、ロシアは10位です。やはり、アメリカが群を抜いて第一位です。中国は第二位になっていますが、これはこのブログで過去に何度か掲載してきたように、中国の経済統計はデタラメなので、にわかには、信じがたいです。おそらく、今もこの頃も、ドイツ以下だとする専門家もいるくらいです。

ロシアも、おそらくある程度は改竄していると見えますが、それにしても世界でみると10位です。現状でもイタリアやインド以下です。この少し前までは、10位以内にも入っていませんでした。しかし、これは原油高のときです。今後、原油安が続くととんでもないことになるでしょう。そうして、10位以内にも入れなくなることでしょう。

人口に関しては、アメリカ3億人台、中国は13億人、日本は1億2千万人です。ロシアは、1億4千万人です。この広大な領土にこの人口です。こうしたことを見ると、多くの人がかつてのソ連からイメージするような、大国ロシアはもう幻想に過ぎないことがわかります。そうして、ロシアは人口13億人の中国と世界で最も長く国境を接しています。

ロシアにとって、中国との国境が非常に長いということが大きな脅威になっています。この中ロ国境で、国境溶解という現象が起きていました。それについては、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
上念司「中国包囲網の決定打はモンゴル・トルコのランドパワー強化に在り!」―【私の論評】ソ連崩壊後、小国ロシアになってから国境溶解が顕著になり中国にとって軍事的脅威はなくなった!日本は経済援助を通じて中国と国境を接する国々のランドパワーを強化すべき(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より国境溶解に関する部分のみ以下にコピペします。
国境の溶解現象とは、中ロ国境を中国人が多数超えてロシア領内に入り、様々経済活動をしているため国境そのものが曖昧になっていることをさします。

黒竜江とウスリー江を挟んだ対岸は、中国有数の農業地帯であり、 渤海、金以来のさまざまな民族の興亡の地として歴史に残る遺跡も多いです。 わずかに川ひとつ隔てただけで、一方は衣食を外からの供給に仰ぎつつ資源を略奪しつづけ、 年々人口を減らしつづけているシベリアであり、一方は年々人口を急増させつつある 黒龍江省です。

ロシア側の、全シベリアの人口を総和しても、数十分の一の面積しかない黒龍江省の半分にしかならないのです。この救いがたい落差は、 つまるところ社会的な圧力になります。ソ連政府はだからこそ国境地帯に厳しい軍事的な緊張を 作り出すことによって、中国からの圧力に対抗していたといえるでしょう。

国境を挟んだ中国側の吉林省、遼寧省と北朝鮮、 内モンゴル自治区とモンゴル、新彊とカザフスタンおよびウズベキスタン、中国の雲南省とミャンマー、 中国の広東省とベトナムなどを比較してみると、常に面積の少ない中国側の各省が人口ではるかに勝っていることがわかります。

この明白な不均衡こそが、国境を超えて大量の中国人が流出あるいは進出しつつある 根本的な原因です。この点から言えば、シベリアも例外ではないばかりではなく、 最も典型的なものです。ソ連の軍事的圧力が解消し、 国境貿易が開始されたことは、この過程を一気に促進させました。
中ロ国境をまたぐ鉄道 手前が中国 奥がロシア
ソ連の崩壊によってシベリアのロシア人社会は、直ちに危機に陥いりました。 政府は給与を支払うことができず、多くの労働者が引き上げていきました。 シベリアに市場はなく、シベリア鉄道もいたるところで寸断されようとしていました。 だから、中国からの輸入が不可欠のものとなりましたが、一方で中国に売り渡すものを シベリアのロシア人社会は何も持っていませんでした。その結果、 中国人がシベリアに入り込んできて、役に立つものを探し出し、作り出してゆくしかなくなりました。

こうして、国境溶解が進んていきました。この国境溶解は、無論中国にとっては、軍事的脅威がなくなったことを意味します。

特に現在のロシアは、ご存知のようにウクラナイ問題を抱えており、中ロ国境にソ連時代のように大規模な軍隊を駐留させておけるような余裕はありません。

かつてのソ連の脅威がなくなったどころか、国境溶解でロシア領内にまで浸透できるようになった中国は、この方面での軍事的脅威は全くなくなったということです。

各地で軍事的な脅威がなくなった中国は、これら国境地帯にかつのように大規模な軍隊を派遣する必要もなくなり、従来から比較すると経済的にも恵まれてきたため、海洋進出を開始刷るだけの余裕を持ち、実際に海洋進出を始めました。 
そうして、ロシアにはさらに不安要因があります。それに関しては、このブログにも過去に掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
露の国家基金「2019年初めに底つく」 資源頼み、欧米制裁…プーチン政権さらに窮地―【私の論評】小国ロシアの底が見え始めた最近のプーチンが、軍事的存在感の増加に注力するわけ? 
ロシア プーチン大統領
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にロシア国家基金に関する部分のみ以下にコピペします。
2008年のリーマン・ショック時にロシア経済を下支えた、石油や天然ガスの税収を基盤とする露政府の基金が19年にも枯渇する見通しであることが明らかになった。財政赤字を補填(ほてん)するための基金からの支出に歯止めがかからないことが原因だが、資源収入頼みの経済政策の行き詰まりが背景にある。欧米の制裁で基金に要請が急増している企業支援も困難になる可能性があり、プーチン政権にも痛手となりそうだ。
露政府は石油・ガスの採掘・輸出税収が潤沢な際にその一部を積み立てており、赤字補填に使う「予備基金」と、景気刺激策に利用する「国民福祉基金」の2つの国家基金を抱えている。ロシアはリーマン・ショックの直撃で09年には経済成長率がマイナス7.9%に落ち込んだが、その後政府が実施した巨額の景気対策の原資となったのが、これらの基金だ。
現状のロシアは、経済も当面全く良くなる見込みはなく、悪化する一方です。そうして、隣の大国中国とは世界で最も長い国境を接していて、国境溶解の脅威がますます高まるばかりです。

そうなると、ロシアとしては、日本との関係を良くして、まずは日本からの経済援助を期待することになります。当面の資金の手当をして、原油・天然ガスとは別の基幹産業を模索するための時間的余裕が欲しいに違いありません。

それと、安倍総理大臣は安全保証のダイヤモンドにより、中国を封じ込め戦略を総理就任直後から実施してきていて、これはかなり成果をあげつつあります。ロシアとしても、国境溶解による脅威から逃れるためにも、安全保障のダイヤモンドの一翼を担うことにより、中国の脅威を減じることも視野にはいつていることでしょう。

現在のロシアは、経済的には全く振るわなのですが、ウクライナ問題やシリアでの軍事行動によって、国内外でその存在感を増すことができました。特に、国内でのプーチン人気はかなりのものです。

プーチン人気の一端を示すグッズ。金色の方は純金製、銀色の方はチタン製のプーチン
iphone「Supremo Putin II(最高権威プーチン)」。値段は両方共日本円で約45万円と
しかし、今のプーチン人気にも、経済が本格的に悪化するにつれて、陰りがでで来ることでしょう。

ロシアのエネルギー産業もそうでしたが、1つの産業を起こして、それが軌道に乗り、経済的な成果を収めるまでには、最低でも10年かかります。

10年後を考えた場合、ブーチタンとしては今のままでは暗澹たる気持ちでしょう。日本側として、こうした現状のロシアの足元をみて、経済協力や、中国の脅威に対抗することをちらつかせ、根気強く交渉を続けることにより、北方領土は十分に取り返すこともできることでしょう。

いずれロシアは経済的に疲弊して、資源としては海産物くらいしかない北方領土など手放しても、10年後の明るい展望を得たいと思うようになることでしょう。

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2016年4月12日火曜日

【米中新冷戦】中国では報道されない「パナマ文書」 人民が驚きも怒りもしないワケ ―【私の論評】パナマ文書が暴く、図体の大きなアジアの凡庸な独裁国家に成り果てる中国(゚д゚)!


習主席に「パナマ文書」が直撃したが… 
 この1週間、世界を席巻しているトピックといえば「パナマ文書」である。史上最大の機密文書漏えいで、アイスランドのグンロイグソン首相は辞任を表明し、英国のキャメロン首相は政治生命の危機を迎えている。

「米国と中国がすでに新たな冷戦に入っている」「しからば日本はどうすべきか」を論じる当連載でも、触れずにいられない大事件である。

民主的な国家では、この種のスキャンダルは政治家にとって命取りになりかねない。だが、独裁国家におけるインパクトは限定的ともみられる。

「パナマ文書」に記載のある世界各国の法人、個人の情報1100万件超のうち、実は、件数が最多なのは中国である。習近平国家主席をはじめ、最高指導部7人のうち3人の親族がタックスヘイブン(租税回避地)に登記された会社の株主に名を連ねていることが、すでに報じられた。

しかし、こうした情報は中国国内では報道されないばかりか、発覚直後、中国のインターネットでは「パナマ」という単語すら検索不可能となってしまった。

筆者は先週、来日していた中国メディア関係者と会う機会があったので、「パナマ文書」についても聞くと、彼は次のように語った。

「報道はないが、多くの国民が『パナマ文書』について知っている。外国と行き来する中国人は多いし、在外の親族や友人から情報を得る人もザラにいる。策を講じて、『壁』(=中国当局によるインターネットの検閲システム)を超え、外国のサイトを見る者も少なくない」

ただ、習氏の親族の件を知っても、中国人はさほど驚いたり怒ったりしないという。日本では「腐敗撲滅キャンペーン」を実施してきた習氏自身が、親族名義で外国に財産を隠していたとなると、国民の怒りが爆発するのではないかと報じられたが、実際はさにあらずと。なぜか? メディア関係者は続けた。

「中国では『汚職をしない政治家や官僚は、この世に1人もいない』という人間界の真理を、皆が知っているからだ。資産を外国に移すことも、程度の差こそあれ、多くの国民がやっている。あなた(筆者)が追及している、中国人が日本の不動産を買いあさっている件も同じことでしょ」

彼は一笑に付しつつ、一方で中国メディアが連日、国内のショッキングな事件報道に力を入れ、「パナマ文書」が大きな話題にならないように陽動作戦を展開していることも明かしてくれた。

中国共産党機関紙「人民日報」傘下の国際情報紙「環球時報」は「『パナマ文書』流出の最大の利得者は米国だ」という趣旨の論説を掲載した。そのまま中国政府の公式見解とはいえず、米国の陰謀というのは早計だとしても、確かに現段階での米国のダメージは意外なほど小さい。まったく的外れな見立てともいえない。「パナマ文書」をめぐる、米中の情報戦の佳境はまさにこれから、であろう。

 有本香(ありもと・かおり)


【私の論評】パナマ文書が暴く、図体の大きなアジアの凡庸な独裁国家に成り果てる中国(゚д゚)!

最近は、中国のインターネット関連の情報遮断システムである「金盾」は周知の事実となったので、あまり報道されませんが、ブログ冒頭の記事でも『壁』という言葉で報道されているように、今回ものパナマ文書に関しても「金盾」は中国国内の情報統制にかなり活躍しているようです。

金盾(きんじゅん、中国語: 金盾工程、拼音: jīndùn gōngchéng)とは、中華人民共和国本土(大陸地区)において実施されている情報化された検閲システムです。

全体主義の危険性を訴えたジョージ・オーウェルのSF小説『1984年』に登場する監視システム「テレスクリーン」になぞらえられたり、「赤いエシュロン」「サイバー万里の長城」「ジンドゥンプロジェクト」などの呼び名も存在します。

中国国内のインターネット利用者に対して、中国共産党にとって都合の悪い情報にアクセスできないようにフィルタリングする金盾のファイアウォール機能は、"Great Wall" (万里の長城)をもじってGreat Firewall(グレート・ファイアウォール)と呼ばれています。

グレート・ファイアウォールの概念図(想像図)
このシステムに拒まれて、中国では今回パナマ文書について、多くの人は知らないようです。このシステムについて、以下にそれに関する動画を掲載しておきます。保守言論人の西村幸祐氏による解説です。



この動画は、2008/04/19 にアップロードされたものです。「金盾」は2008年に完成されたとしています。このシステムは、人工知能も含むシステムのようです。そうして、もともとは中国だけではなく、全世界の情報を統制するためにつくられたようです。

この当時は、日本のインターネットに関しても中国側が検閲を入れているような内容になっていますが、現在はそのようなことはないようです。現在では、中国側の検閲が他国にまで及ばないようにされているのだと思います。実際現在だと、日本国内でチベットなどを検索するとかなりの数がでてきます。

いずれにしても、中国国内では、今でも厳重な検閲が入っています。実際に中国では「パナマ文書」関係の検索は一切できません。

しかし、今回の震源地となったICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)のサイトには様々な情報が掲載さています。そのリンクとサイトのホームページのパナマ文書関連のリンクのバナーの画像を以下に掲載します。
https://www.icij.org/

このサイト、少し前までは見ることができたのですが、アクセスが殺到しているためでしょうか、ここ何日かは見られないようです。おそらく、一部の人のみが見られるようにしているのだと思います。

特に中国関連の中身をもう一度見ようと思っていたのですが、残念なが見られなかったので、このサイトから引用した記事はないかと探していたところ、以下のような記事が見つかりました。
習近平大ピンチ!? 「パナマ文書」が明かした現代中国の深い“闇”習近平一族の資産移転も載っていた

詳細は、このサイト(現代ビジネス)をご覧いただくものとして、以下にICIJのサイトから引用した内容を以下に引用させていただきます。

まずは、習一族の資産移転に関して、次のように記されていました。
鄧家貴は、不動産開発で財を成し、1996年に斉橋橋と結婚して、「紅い貴族」となった。斉橋橋は、かつての革命の英雄でトップ・オフィシャルにいた習仲勲の娘だ。斉橋橋の弟が、中国国家主席で中国共産党トップの習近平である。ブルームバーグ・ニュースは2012年、鄧夫妻が何百万ドルもの不動産を保有していて、他の資産も保有しているという調査レポートを暴露した。 
「モサック・フォンセカ」の内部資料によれば、義理の弟が政界の出世街道を駆け上がっていった2004年に、鄧家貴は英国領ヴァージン諸島に、オフショア・カンパニーを設立した。その会社名は、シュープリーム・ビクトリー・エンタープライズで、鄧家貴が唯一の取締役で株主である。だがこの会社は2007年に、英国領ヴァージン諸島の登記から削除された。 
2009年9月、鄧は別の二つの英国領ヴァージン諸島の「転売用会社」の単独の取締役兼株主となった。会社名はそれぞれ、ベスト・エフェクト・エンタープライズと、ウェルス・ミング・インターナショナル・リミテッドである。「モサック・フォンセカ」は、鄧がそれらの会社の「判子」を得るのを手助けした。これら2社が、何のために利用されたのかは不明だ。 
時を経て、習近平は中国を統治する党中央政治局常務委員のトップ9入りした。習が2012年の共産党大会で総書記に、また2013年に国家主席に選ばれた時までに、この英国領ヴァージン諸島の2社は、休眠状態となった。
このサイトにも掲載してありましたが、この記述を読むだけでは、この習近平主席の姉夫婦が実際に行った行為が、分かったようで分かりません。

習近平のファミリービジネスはこのブログにも以前掲載したことがあります。これについては、以下にその記事のリンクを掲載しておきますので、その記事をご覧になってください。
人民解放軍に激震 習政権が軍部のカネの流れを徹底調査 聖域を破壊 ―【私の論評】習の戦いは、中国の金融が空洞化し体制崩壊の危機状況にあることを露呈した(゚д゚)!
今度は人民解放軍にメス。習氏のもくろみは吉と出るか。写真はブログ管理人挿入。以下同じ。
このブログでは、習近平のファミリービジネスの詳細を記すとともに、チャートも掲載しました。以下にそのチャートを掲載します。


この記事は、2015年5月26日のものですが、この記事にも、習主席のファミリーが海外のタックスヘイブン(租税回避地)に蓄財している一端が、一昨年のはじめに国際調査報道協会(ICIJ)のジェームズ・ボール記者と英紙ガーディアンの報道で明らかになっていたことを掲載しました。

今回のパナマ文書は、これらの情報の物的証拠ともいえるものです。これが公表されたということは、単にICIJや英紙ガーディアンのスッパ抜きどころではなく、大激震であるということです。確かに中国人の多くは、もうこのような事実自体は珍しいことでもないので、表面上では今更あまり驚き、怒ったりしないかもしれませんが、反習近平派は、大いに勢いづいていることでしょう。

なお、このブログ記事で私は以下のように結論づけました。
中国では、建国以来毎年2万件もの暴動が発生していたとされています。それが、2010年からは10万件になったとされています。中国の一般人民の憤怒のマグマは頂点に達しているということです。 
それでも、今までは幹部や、富裕層は少なくとも、巨万の富を蓄えさせてくれたということで、中国の現体制を支持してきたと思います。しかし、習近平の反腐敗キャンペーンにより、幹部や富裕層も現体制を支持しなくなることが考えられます。 
そうなると、様々な不満分子が乱立し、現体制を変えるか、潰そうという動きが本格化する可能性が高いです。そうなれば、現体制は崩壊します。その日は意外と近いと思います。 
習のこの戦いは、中国の金融が空洞化し現体制の崩壊も含む危機状況にあることを露呈したとみるべきです。
現体制の崩壊は、パナマ文書が公になってさらに加速したものと思います。ブログ冒頭の記事では、結論として、これを米中の情報戦の一環として位置づけていますが、私はその側面は否定しないものの、この情報は中国の内情をよく示すものでもあると思います。

震源地パナマの国旗柄のビキニを着用する女性

ちなみに「パナマ文書」には、習近平主席の他にも、中国共産党の新旧幹部たちの親族のケースを暴露している。ICIJのホームページから、その要旨を訳出したものも、このサイトに掲載されていたので、それも以下に掲載します。
【現役幹部】 
〈劉雲山〉
共産党トップ7の劉雲山(序列5位)の義理の娘である贾Liqingは、2009年に英国領ヴァージン諸島に登記されたウルトラ・タイム・インベストメントの取締役兼共同経営者だった。

張高麗・常務委員、筆頭副首相〉
共産党トップ7の張高麗(序列7位)の義理の息子である李Shing Putは、英国領ヴァージン諸島に登記された3つの会社の株主である。3社とは、ゼンノン・キャピタル・マネジメント、シノ・リライアンス・ネットワーク・コーポレーション、グローリー・トップ・インベストメントである。

【引退幹部】 
〈李鵬・元首相〉
李鵬は、1987年から1998年まで首相を務めた。李鵬元首相の娘である李小琳と彼女の夫は、コフィック・インベストメントという1994年に英国領ヴァージン諸島に編入された会社のオーナーである。この会社のファンドは、産業部品をヨーロッパから中国に輸入するのをサポートするためのものだと、李小琳の弁護士たちは述べている。その所有権はは長年、いわゆる「無記名株」(日本では1991年に廃止)という手法で保管されてきた。

〈贾慶林・元中国人民政治協商会議主席〉
2012年まで中国共産党序列4位だった贾慶林元常務委員の孫娘であるジャスミン・李紫丹は、スタンフォード大学に入学した2010年、ハーベスト・サン・トレイディングという名のオフショア・カンパニーのオーナーになった。以来、ジャスミン李は、20代のうちに、驚嘆すべき巨額のビジネスを行った。彼女の英国領ヴァージン諸島にある二つのペーパー・カンパニーは、北京に30万ドルの資本金の会社を創立するのに使われた。この二つのペーパー・カンパニーを使って、彼女は自分の名前を公表せずにビジネスを行うことができた。

〈曽慶紅・元国家副主席〉
2002年から2007年まで国家副主席だった曽慶紅の弟、曽慶輝は、チャイナ・カルチュラル・エクスチェンジの取締役を務めていた。この会社は当初ニウエに登記され、2006年になってサモアに移された。

【死去・失脚幹部】 
〈胡耀邦・元総書記〉
1982年から1987年まで中国共産党のトップを務めた故・胡耀邦元総書記の息子、胡徳華は、フォータレント・インターナショナル・ホールディングスの取締役であり、実質上のオーナーだった。この会社は2003年に、英国領ヴァージン諸島に登記された。胡徳華は、父親が総書記だった時代に使っていた中南海の公邸の住所で登記していた。

〈毛沢東・元主席〉
1949年の建国から1976年の死去まで中国共産党のリーダーだった毛沢東の義理の孫息子である陳東昇は、2011年、英国領ヴァージン諸島に、キーン・ベスト・インターナショナル・リミテッドを登記した。生命保険会社と美術品オークション会社のトップを務めている。陳は、キーン・ベストの唯一の取締役であり、株主である。

〈薄煕来・元中央政治局員、重慶市党委書記〉
失脚した薄煕来元中央政治局員の妻、谷開来は、英国領ヴァージン諸島にペーパー・カンパニーを所有し、その会社を経由して南フランスに豪華な別荘を購入していた。2011年に、愛人だった英国人ネイル・ヘイウッドに、このペーパー・カンパニーのことを暴露されそうになり、ヘイウッドを殺害。その2週間後に、ペーパー・カンパニーのオーナーから退いた。

以上の9人である。これからマネーロンダリングの額を始めとする具体的な情報が、どんどん出てくるに違いない。特に、現役の習近平(序列1位)、劉雲山(序列5位)、張高麗(序列7位)の動向に注目である。
この現代ビジネスのサイトには、「パナマ文書」に関する世界各国のニュースとして、英BBCによる中国と関連した興味深いレポートを掲載していましたので、それも以下に引用します。
多くの中国人は、社会的に不安定な中国から、自分の資産を移そうと、四苦八苦している。中国共産党の幹部さえ、自分の財産を海外に移している。 
今週明らかになったモサック・フォンセカ社から流出した「パナマ文書」は、その実態の一端を明らかにした。同社の最大の顧客が中国で、1万6000社にも上る中国系企業の資産を管理していたのだ。 
資産をこっそり移しているのは、政府幹部ばかりではない。多くの中国人富裕層が、香港を経由して、資産をこっそり海外に移していた。そして移した資産の多くを、不動産に変えていた。中国人は昨年、およそ350億ポンドもの海外不動産を購入した。 
中国人は、国内の法律により、年間3万5,000ポンドしか海外送金できない。だが、減速する中国経済の影響で自分の貯蓄が消えることを恐れる人や、当局から財産を隠したい人にとって、資産を密かに国外に持ち出すことは、必要なリスクなのだ。 
中国政府は資金の国外流出を、間違いなくとても不満に思っているが、これを完全に阻止するのは難しい。そのため、中国の最も裕福な人々は、今日も資金を国外に持ち出して使っている。これは彼らにとって自己保身行為と言えるが、それによって中国は、より危うくなっているのだ。
今年に入って、中国国内では、「異変」が起こっていました。習近平政権が「爆買い」を阻止する措置に着手し始めたようなのです。

中国の出入国管理法は、一般国民にパスポートを支給するようになった'90年代半ばに制定されました。それによると、一人5000米ドル以上の海外への持ち出しを禁じていますが、そんな20年も前の法律は、これまで有名無実化していました。それを今年の1月から、空港で厳格に検査するようになったのです。

海外での『爆買い』に関しても、帰国時の空港で厳格にチェックし、どんどん課税していくようです。つまり、いくら海外で免税品を買っても、中国に持ち込む際に高額の課税をされる可能性があるわけです。

これにより、中国人が海外旅行で買った腕時計の関税は、30%から60%へ、化粧品やアルコール類に関しては、50%から60%へと引き上げられました。「爆買い」を防止し、国内消費を高めようという措置です。

それでも「爆買い」が止まらなければ、この関税率を今後、もっと上げていく可能性があります。本来なら、中国製品の品質を向上させたり、偽物をなくしたりすれば、「爆買い」など自ずとなくなるはずなのに、全くもって本末転倒の措置です。

現在の中国政府のキャッチフレーズは、「中国の夢」である。でも、庶民のささやかな夢は、そうやってどんどん制限されていきます。一方で、「中国の夢」を実現した中国人は、ペーパー・カンパニーを作ったり、不動産投資などで、資産を海外に移転させるようになりました。

「パナマ文書」は、そのような現代中国が抱える深い闇を、図らずも世界に露呈させたのだった。

そうして、この闇がある限り、中国は中進国の罠(中所得国の罠)からは逃れられないでしょう。


現在中国の個人消費は、GDPの35%に過ぎません。これが日本を含めたたの先進国では60%くらいが普通です。米国に至っては70%です。

個人消費の低さを今のまま放置しておけば、中国は中進国の罠から逃れることはできません。しかし、今の中国では放置する以外に方法はありません。

ゾンビ企業の退治をしても、それだけではこの状況は変えられません。そのためには、今の中国のように、富めるものから富めなどという、トリクルダウンのようなことを期待しても、無理です。

そのためには、このブログで過去に何度か掲載してきたように、経済的な中間層を数多く輩出し、彼らが自由に社会・経済活動ができるようにする必要があります。

そのためには、民主化、政治と経済の分離、法治国家化は避けて通ることはできません。

他の先進国もこのような道を辿ってきました。日本もその例外ではなく、明治維新以降にそれを行ってきました。そのような素地があったからこそ、戦後の高度経済成長を達成できたのです。

現在でも、中国よりははるかに実体経済は強い国です。しかし、過去20年ほどは酷いデフレを放置してきたので、経済が低迷してきただけです。構造改革などせずとも、これから、追記金融緩和策を実施し、10%増税は見送り、積極財政に転ずれば、かなりの経済成長が期待できます。

しかし、中国は違います。民主化、政治と経済の分離、法治国家化という構造改革をしないかぎり、今後経済成長はできません。これは、相当困難というより、絶望的です。

そうなると、考えられる中国の将来は、「中国の夢」ではなく、いくつかの国に分裂して、そのうちの1つか2つの国が、中進国の罠から脱出するという将来と、分裂せずに、そのままの状態で、図体が大きいだけのアジアの凡庸な独裁国家になるという将来です。

「中国の夢」にはもうすでにかなりの綻びがあることが、パナマ文書で明らかになった

おそらく、中国の将来は、後のほうのアジアの凡庸な独裁国家になるということでしょう。なぜなら、中国は経済・社会は遅れる一方、人民を弾圧するための、人民解放軍、公安警察、城管などは、他の国などでは想像できないほど強力だし、情報操作・統制も格段に優れているからです。それは、これからさらにパナマ文書が解析されるうちに、より一層鮮明になることでしょう。

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