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2019年8月22日木曜日

中国の属国へと陥りつつあるロシア―【私の論評】ロシアの中国に対する憤怒のマグマは蓄積される一方であり、いずれ、中国に向かって大きく噴出する(゚д゚)!


岡崎研究所

 ロシアがクリミア半島を併合して欧米諸国の経済制裁を受けるようになり、また、シリア問題で人権を蹂躙しているアサド政権を支援していることから西側諸国と離反するようになり、プーチン大統領は、東の中国を向くようになった。

 中国の習近平主席も、米国との貿易戦争やファーウェイの5Gをめぐる対立等で、ロシアと接近を図っている。


 ロシアは、最近、5Gで中国のファーウェイを採用することを決めた。また、中露は、海軍の合同軍事演習を活発化させている。仮想敵国は日米両国とも言われている。

 中露関係については、今やロシアは中国のジュニア・パートナーである。いま、中国のGDPはロシアの6倍であるが、その差はどんどん広がっている。IMF統計では、ロシアはGDPで韓国にさえ抜かれかねない状況である。

 プーチン大統領は、自分の取り巻きに利権を配分し、権力を維持しているが、国家としてのロシアを大きく衰退させてきた政治家である。石油資源に依存するロシア経済を改革するのが急務であるとわかっているのに、ほとんどそれができていない。

 ロシア史を見ると、ロシアの指導者は、スラブ主義を標榜してロシア独自の道を追求する人と、欧米との関係を重視する欧化主義者が交代してきている。ロシア独自の道に固執したスターリンの後の本格政権は、西側との平和共存を唱えたフルシチョフ(日本に歯舞と色丹の2島を返還する決断をしたが実現しなかった)であった。その後、スラブ主義者とも言うべきブレジネフが登場した。その後は、欧米との関係改善を目指したゴルバチョフ、エリツィンが指導者として登場した(その時には歯舞、色丹、国後、択捉の北方領土4島が日露間の交渉の対象であるとする東京宣言ができた)。 

 エリツィンは、プーチンを改革者であると考えて後継者に選び、自分の家族を訴追などから守ってくれることを期待した。

 プーチンは、後者の役割は義理堅く果たしたが、ユーラシア主義者として欧米に対抗する路線をとった。そういう経緯で、プーチンは必然的に中国に近づいた。それが今の中露の蜜月関係につながっている。

 しかし、プーチン後は、この蜜月関係が続く可能性よりも、ロシアの指導者が欧米重視主義者になり、この蜜月は続かない可能性の方が高いと思われる。

 プーチン政権の上記のような傾向にもかかわらず、中露間にくさびを打つという人がいるが、プーチンがいる限り、そういうことを試みてもうまくいかないだろう。北方領土で日本が妥協して、中露間にくさびを打つことを語る人もいたが、ピント外れである。

 7月27日付の英エコノミスト誌は、ロシアが中国の属国になってきていると指摘している。その指摘は正しい。ロシアがそれから脱したいと思う日は来るだろう。そうなったときには、ロシアとの関係を考える時であろう。

 中国が中露国境沿いで安定の源になるとの見方が一部にあるが、そういうことにはならないだろう。極東ロシアは約650万の人口であり、千葉県とだいたい同じである。他方、中国の東北には1億以上の人口がある。1860 年の北京条約で沿海州などはロシア領となったが、ロシアは2004年の中露国境協定の締結後、国境が決まったのだから、中国に北京条約は不平等条約であったとの教育をやめてほしいと要望しているが、中国はそれを聞かず、そういう教育を続けている。中露国境の安定を望んでいるのはロシアであって、必ずしも中国ではない。

【私の論評】中露対立が再び激化した場合、日本は北方領土交渉を有利にすすめられる(゚д゚)!

中露関係の歴史は17世紀、ロシアがシベリアを東進し、やはり東アジアに勢力を拡張していた清朝と接触したときにはじまります。その結果、両者が結んだ1689年のネルチンスク条約は、高校の世界史の授業でも習う重要事件で、名前くらいご存じでしょう。


この条約がおもしろいです。条約とよばれる取り決めなのだから、互いに対等の立場でとりむ結んだものです。しかし東西はるかに隔たった当時のロシアと清朝が、まさか全く同一のルール・規範・認識を共有していたわけはありません。にもかかわらず、両者は対等で、以後も平和友好を保ちえました。

なぜこのようなことが可能だったのでしょうか。わかりやすい事例をあげると、条約上でも使われた自称・他称があります。ロシアの君主はローマ帝国をついだ「皇帝(ツァー・インペラトル)」ですが、そのようなことが清朝側にわかるはずもなく、清朝はロシア皇帝を「チャガン・ハン」と称しました。

ロシアも中華王朝の正称「皇帝」を理解できず、清朝皇帝を「ボグド・ハン」と称しました。「ハン」というから、ともにモンゴル遊牧国家の君主であって、「チャガン」は白い、「ボグド」は聖なる、という意味です。つまり客観的に見ると、両者はモンゴル的要素を共有し、そこを共通の規範とし、関係を保っていたことになります。

それは単なる偶然ではありません。ロシア帝国も清朝も、もともとモンゴル帝国を基盤にできあがった国です。もちろん重心は、一方は東欧正教世界、他方は中華漢語世界にあったものの、ベースにはモンゴルが厳然と存在しました。両者はそうした点で、共通した複合構造を有しており、この構造によって、東西多様な民族を包含する広大な帝国を維持したのです。


そのため両者がとり結んだ条約や関係は、いまの西欧、ウェストファリア・システムを起源とする国際関係・国際法秩序と必ずしも同じではありません。露清はその後になって、もちろん国際法秩序をそれぞれに受け入れ、欧米列強と交渉、国交をもちました。しかし依然、独自の規範と論理で行動しつづけ、あえて列強との衝突も辞していません。これも近現代の歴史が、つぶさに教えるところです。

いまのロシア・中国は、このロシア帝国・清朝を相続し、その複合的な構造にもとづいてできた国家にほかならないのです。いわば同じDNAをひきついでいます。両国が共通して国際関係になじめないのは、どうやら歴史的に有してきた体質によるものらしいです。

中露が19世紀以来、対立しながらも衝突にいたらず、西欧ではついに受け入れられなかったマルクス・レーニン主義の国家体制を採用しえたのも、根本的には同じ理由によるのかもしれないです。中ソ論争はその意味では、近親憎悪というべきかもしれません。

西欧世界には、モンゴル征服の手は及びませんでした。その主権国家体制・国際法秩序、もっといえば「法の支配」は、モンゴル帝国的な秩序とは無関係に成立したものです。だからロシアも中国も、歴史的に異質な世界なのであって、現行の国際法秩序を頭で理解はできても、行動がついてこないのです。制度はそなわっても、往々にして逸脱するのです。

しかも中露の側からすれば、国際法秩序にしたがっても、碌なことがあったためしがありませんでした。中国は「帝国主義」に苦しみ、「中華民族」統合の「夢」はなお果たせていません。

ソ連は解体して、ロシアは縮小の極にあります。くりかえし裏切られてきた、というのが正直な感慨なのでしょう。中露の昨今の行動は、そうした現行の世界秩序に対するささやかな自己主張なのかもしれないです。現代の紛争もそんなところに原因があるのでしょうか。

そこで省みるべきは、わが日本の存在であり、立場です。日本はもとより欧米と同じ世界には属していません。しかしモンゴル征服が及ばなかった点で共通します。以後も国家の規模や作り方でいえば、日本は中露よりもむしろ欧米に近いです。

国際法・法の支配が明治以来の日本の一環した国是であり、安倍首相がそのフレーズを連呼するのも、目先の戦術にとどまらない歴史的背景があります。

クリミアはかつてロシア帝国の南下に不可欠の橋頭堡(きょうとうほ)であり、西欧からすればそれを阻む要衝でした。尖閣は清朝中国にとっては、なんの意味もありませんでしたが、現在の中国も過去には何の興味も持っていなかったにも関わらず、近海が地下資源の豊富でことが明らかになると、無理やり「琉球処分」にさかのぼる日中の懸案とされてしまい、中華世界と国際法秩序を切り結ぶ最前線とされてしまいました。

互いに無関係なはずの東西眼前の紛争は、ともに共通の国家構造と規範をもつ中露の、西欧国際法秩序に対する歴史的な挑戦ということで、暗合するともいえるでしょう。

たしかにいまの中露は、欧米に対抗するための「同床異夢」の関係にあるといってよいです。ただし、考えていることもちがうし、「一枚岩」になれないことはまちがいないです。

Russian Flag Bikini

プーチン露大統領と中国の習近平国家主席は昨年6月の中国・北京での首脳会談で、両国の「全面的・戦略的パートナーシップ関係」を確認。軍事・経済協力を強化していくことで合意した。

同年9月の露極東ウラジオストクでの「東方経済フォーラム」に合わせた中露首脳会談でも、両国は米国の保護主義的な貿易政策を批判したほか、北朝鮮の核廃棄プロセスへの支持を表明しました。

さらに同フォーラムと同時期に露極東やシベリア地域で行われた軍事演習「ボストーク(東方)2018」には中国軍が初参加。ロシアのショイグ国防相と中国の魏鳳和(ぎ・ほうわ)国務委員兼国防相が、今後も両国が定期的に共同軍事演習を行っていくことで合意しています。

しかし、同年10月24日付の露経済紙「コメルサント」によると、ここ最近、中国系銀行がロシア側との取引を中止したり、口座開設を認めなかったりする事例が相次いでいるといいます。

国際的な対露制裁の対象外の企業や個人も例外ではないといい、同紙は「中国側はどの企業が制裁対象なのか精査していない。その結果、全てをブロックしている」と指摘しまし。「この問題は今年6月の首脳会談以降、両国間で議論されてきたにもかかわらず、中国側は『是正する』というだけで、実際は何もしていない」と不満をあらわにしました。

同年同月26日付の露リベラル紙ノーバヤ・ガゼータも「中国はロシアの友人のように振る舞っているが、実際は自分の利益しか眼中にない」と批判。「中国の経済成長の鈍化が進めば、中国政府は国民の不満をそらし、自らの正当性を確保するため、攻撃的な外交政策に乗り出す可能性がある。例えばシベリアや極東地域の“占領”などだ」と警戒感を示しました。

実際、露極東地域には、隣接する中国東北部からの中国企業の進出や労働者の出稼ぎが相次いでいます。極東に住むロシア人の人口は今後、減少していくと予想されており、同紙の懸念は「いずれ極東地域は中国の支配下に置かれるのではないか」というロシア側の根強い不安があらわれたものといえます。

同年同月29日付の露有力紙「独立新聞」もこうした中国脅威論を取り上げました。同紙は「ユーラシア経済連合と一帯一路との連携に基づく計画は、実際には何一つ実現していない」と指摘し、「中国によるロシアへの直接投資は、カザフスタンへの投資よりさえも少ない」と指摘しました。

経済発展が著しいウズベキスタンやカザフスタンなどの中央アジア諸国について、ロシアは旧ソ連の元構成国として「裏庭」だとみなしています。しかし、一帯一路も中央アジアを不可欠な要素と位置付けています。

地政学的に重要な中央アジアでの影響力を確保するため、ロシアと中国は、この地域への投資や技術供与、軍事協力の表明合戦を繰り広げており、表向きの双方の友好姿勢とは裏腹に、現実は協調とはほど遠いのが実情です。

このように、中露の友好関係は一時的なみせかけに過ぎないものであり、米国による対中国冷戦が長く続き、中国の力が削がれた場合、中露対立が激化することは必至です。そうして、その状況はしばらくは変わらないでしょう。

現状は、国力特に経済の開きがあまりにも大きすぎるため、さらにロシアは人口密度の低い極東において直接中国と国境を直接接しているという特殊事情もあるため、ロシアが中国に従属しているように見えるだけです。

しかし、プーチンは強いロシアを目指しており、文在寅のように自ら中国に従属しようなどという考えは毛頭ありません。

その実、ロシアの中国に対する憤怒のマグマは蓄積される一方です。これはいずれ、中国に向かって大きく噴出します。

その時こそが、日本の北方領土交渉を有利に進められる絶好のタイミングなのです。また、米国が最終的に中国を追い詰めるタイミングでもあるのです。

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2019年5月25日土曜日

【日本の解き方】日本の「対韓国制裁シナリオ」 仲裁委応じなければ提訴へ! カネでの締め付けが有効に―【私の論評】日本は、文政権時に断交していればポスト文政権と有利に交渉がすすめられる(゚д゚)!


文在寅氏

韓国のいわゆる徴用工判決を受けて、日本政府は日韓請求権協定に基づく仲裁付託を通告したが、これはどういう意図があるのか。今後、日韓首脳会談など歩み寄りの可能性はあるのだろうか。

 河野太郎外相は、パリで開かれた経済協力開発機構(OECD)の閣僚理事会に合わせて、韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相と会談した。「徴用工」問題については、仲裁委の開催を要請したが、韓国側は同意しなかった。

 日本は今年1月から、日韓請求権協定に基づき、2国間協議を申し入れていたが、韓国の李洛淵(イ・ナギョン)首相が、三権分立を理由として「政府としてやれることに限界がある」などの発言をしていた。

23日、韓国の康京和外相(右)と会談に臨む河野外相(パリ)

 これは三権分立を履き違えたものだ。国際協定を履行するためには、必要に応じて立法措置を講ずればよく、その不作為は国際協定を守る意思がないといわれても仕方ない。日本大使館前のいわゆる慰安婦像も、ウイーン条約違反で、しかも公道の不法占拠なので、行政上の措置を取るべきなのに不作為を決め込んでいるのと同じ構造だ。

 いくら韓国政府に誠意がなくても、国際関係では適正な手順、手続きが重要であり、日本は事を急ぐことはできない。そこで、国家間の約束である日韓請求権協定上、次の段階である仲裁委の開催要求に進んだ。

 1月から4カ月経過したこのタイミングは、6月末の20カ国・地域(G20)首脳会議を控えている。日韓首脳会談は「見送り」と日本側から明確な意思表明がなされているが、これは韓国が会いたければ仲裁委を開けとの、日本からの強烈なメッセージでもある。

 しかし、これまでの韓国のスタンスから見て、このまま応じない可能性も高い。

 それに韓国が応じなければ、国際社会の前で赤っ恥をかくに違いない。日本はG20議長国であり、国際社会へのアピールの機会も多い。

 そして、韓国が応じない場合、次の段階として国際司法裁判所(ICJ)への提訴が検討されるのだろう。その後には、日本企業の資産の現金化が進んだ場合、韓国への対抗措置として制裁へ移行するのではないか。

 日韓請求権協定や国際司法の手順を尽くした後であれば、制裁の大義名分は十分に立つ。

 対抗措置はいろいろなメニューが考えられる。(1)ヒト(2)モノ(3)カネ(4)その他に対する規制に大別されるが、(1)はビザの発給停止、(2)は関税引き上げ、フッ化水素などの輸出禁止、(3)は送金停止、貿易保険の適用からの除外、日本国内の韓国企業の資産差し押さえ、韓国への直接投資規制、韓国機器への与信リスク引き上げ、(4)は駐韓大使帰国、断交などの具体的な方策が考えられる。

 このうち、日本人や日本企業への「誤爆」が少ないのは(3)のカネだ。特に、韓国のカントリーリスクを高め、韓国企業の外資取り入れコストを高くする方策が最もコストパフォーマンスがよいのではないか。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】日本は、文政権時に断交していればポスト文政権と有利に交渉がすすめられる(゚д゚)!

これまで日本は、「韓国をいたずらに刺激しては、北朝鮮、中国、ロシアと日本の関係も悪化してしまう」等と懸念し、日韓関係の構築に努めてきました。地図を見れば、朝鮮半島は大陸が日本に突きつける“匕首であることが簡単に理解できます。

我が国は常に「朝鮮半島にユーラシア大陸との緩衝地帯を作る」ことを最優先にしてきました。これは、戦争の歴史が最も雄弁に物語っています。これが、白村江の戦い(663年)、日清戦争(1894~95年)、日露戦争(1904~05年)が起きた理由なのです。

「対馬海峡を日本の防衛戦にしてはいけない」という理屈で日韓関係を憂慮するむきもありますが、これに何の問題があるというのでしょうか。確かに現在、中国の軍事力増強は脅威かもしれません。しかし今の日本は、韓国に仲介を依頼しなくとも、北朝鮮、中国、ロシアと外交を結ぶことは可能です。

逆にこの特ア3国が韓国を先兵として日本への侵略を企てるというシナリオは、日米安保が機能している以上、机上の空論に過ぎません。日本が韓国と国交を断絶すれば、多くのメリットが得られますが、デメリットはありません。

仮に左派の文在寅(66)と金正恩(35)が手を結んだなら、史上最強の“反日国家”が誕生してしまうと心配するむきもありますが、これも杞憂に過ぎません。

朝鮮半島が南北に分裂しているメリットも無視できないことを忘れてはいけません。そもそも韓国は、中国に従属しようとしてますが、明らかに北は中国の干渉を嫌っています。

北朝鮮の核は、日米にとって脅威ではありますが、中国にとっても脅威です。現実は、北の核、北朝鮮の存在そのものが、中国の朝鮮半島への浸透を防いでいます。

そうして、米国、中国、露はいずれも、現状維持を望んでいます。北朝鮮も本当はそうです。この状況を変えようとしているのは、韓国だけです。これについては以前このブログにも掲載したことなので、詳細はその記事をご覧になってください。以下にその記事のリンクを掲載します。
北朝鮮『4・15ミサイル発射』に現実味!? 「絶対に許さない」米は警告も…強行なら“戦争”リスク―【私の論評】北がミサイル発射実験を開始すれば、米・中・露に圧力をかけられ制裁がますます厳しくなるだけ(゚д゚)!
金正恩氏は東倉里から“人工衛星”を発射しなかった。短距離弾道弾にお茶を濁したか・・・・

半島が統一してしまい、半島全体が中国側についてしまえば、中国にとっては最高ですが、米国にとっては最悪です。統一して、半島全体が米国側についてしまえば、中露にとっては最悪です。この最悪の事態よりは、現状のうが両陣営にとってずっと良いことなのです。

そうして何よりも、朝鮮戦争の再来は、米中露ともに避けたいと考えています。現在の露はすでにGDPが韓国より若干小さいくらいの規模にまで落ち込んでいます。とても、朝鮮戦争に干渉するだけの力はありません。中国も現状では経済が落ち込んでいますし、さらに米国から経済冷戦を挑まれたうえで、さらに朝鮮戦争を実行する余力はありません。

米国とて、かつてのように余力がある状態ではないし、現状では対中国経済冷戦を挑んでいる最中ですから、できれば朝鮮戦争の再来は避けたいです。米国にとっての本命は北朝鮮ではなく、中国です。米国が冷戦に勝てば、朝鮮半島問題も自動的に解消されるでしょう。

米中露は、当面は朝鮮半島は現状維持を望んでいるです。北朝鮮も、いかにも統一を望んでいるような素振りを見せることはありますが、もし統一すれば、国内に金王朝に対して何の敬意もなく、恩義もない韓国人が多数北朝鮮に入ってきたり国内で大きな影響力を持つことになるわけですから、これはどう考えても望ましいことではありません。

それでも、時折統一を望んでいるようにみせかけるのは、単に文在寅を喜ばせ、少しでも北朝鮮制裁が緩まれば良いからです。そのような金正恩の籠絡に、文在寅が有頂天になって舞い上がっているだけです。

日本企業の資産が実際に差し押さえられたら、日本としても、もうこれ以上韓国とは付き合えないです。

政治家、学者、弁護士など一部の頓珍漢な人達が韓国に理解を示したり、甘い顔を見せたりしていますが、さすがに今回は多くの国民の理解は得られないでしょう。

この事態を避けるにはどうしたら良いのでしょうか。韓国政府が今後徴用工裁判と同様の裁判を開かせないようにするのは無理でしょうし、賠償金を負担することもないでしょう。

だとすれば、日韓関係はいったん完璧に破綻しないとどうしようもないところにきたといえると思います。結局のところ、国交断絶です。そこまでやらないと事の深刻さ韓国は気付かないです。その先にしか日韓の未来はないです。

ブログ冒頭の高橋洋一氏記事のように、まずはカネによる制裁をすれば、一時は制裁が奏功する可能背もありますが、韓国政府の過去の出方をみれば、到底信用などできません。またすぐに元通りなるでしょう。最終的には国交を断絶するしかないです。



最近は、分政権の支持率は、落ちており、文政権は、どう考えてみても長期政権にはならず、近い将来に文政権は崩壊する可能性もあるものと思います。韓国の大統領は1期5年なので、朴槿恵大統領のように弾劾罷免されない限り、2022年5月9日までは大統領として任期が設定されています。文大統領の任期は最大限そこまで終わるでしょう。

いずれにせよ、文政権が終了したときに、すでに日本が韓国と断交していれば、ポスト文政権は、日本との関係を回復しようとするでしょう。日本としては、それでもしばらくは様子をみて、本気て相手が回復するつもりがあれば、国交断絶を解除すれば良いのです。おそらく、いままで一番交渉がしやすくなるでしょう。

もし、文政権が崩壊したときに、日韓が国交断絶していなければ、新たな政権も、文政権の反日を引き継ぐだけになり何も変わりません。その時になって、国交断絶するよりは、文政権時代に断絶しておくことのほうが、日本にとって有利なのは言うまでもありません。

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2016年4月13日水曜日

ロシア外相が明言「北方四島全て交渉対象」 2001年声明拒否せず―【私の論評】経済の悪化、中国の脅威に怯えるロシアに有利な交渉できる時がやってきた(゚д゚)!


ラブロフ外相
ロシアのラブロフ外相は12日、一部海外メディアとの会見で、北方領土問題をめぐり、4島全てが交渉対象になるとの認識を明らかにした。15日の日露外相会談を前に、インタファクス通信などが伝えた。

ラブロフ氏は会見で、北方四島の帰属の問題を解決した上で平和条約を締結することを当時の日露首脳が確認した2001年3月の「イルクーツク声明」を、「拒否しない」と発言。声明について「四島の帰属問題を含め、全ての問題を解決するために話し合いを続けるという内容だと理解している」と述べた。ただ、平和条約締結後に歯舞、色丹の2島を引き渡すとした1956年の「日ソ共同宣言」こそが「この問題において双方が批准した唯一の文書だ」とも指摘した。

ラブロフ氏は、安倍晋三首相による訪露が「近日中に行われる」とも述べた。

【私の論評】経済の悪化、中国の脅威に怯えるロシアに有利な交渉できる時がやってきた(゚д゚)!

ラブロフ外相は上の記事で、日本側に期待を持たせるようなことを語っていますが、これは本当なのでしょうか。わずか一年前にラブロフは何を語っていたか、以下にその動画を掲載します。


この動画をご覧いただけるとお分かりになるように、ロシアのラブロフ外相は公表されたインタビューの中で、北方領土問題に関連して「日本は第2次大戦の結果に疑いを差し挟む唯一の国だ」と日本を批判しました。

これは、とんでもないことです。ロシアの前進である、ソ連は、日ソ不可侵条約を結んでいたにもかかわらず、終戦日本が長期にわたる戦争で疲弊していることがはっきりして、必ず勝利できるときを見計らって、北方領土に侵攻しました。

そうして、多くの日本兵を捕虜としてシベリアなどで強制労働させ、多くを死に至らしめました。このソ連の行為は、武装解除した日本兵の家庭への復帰を保証したポツダム宣言に背くものでした。これらついて、未だソ連の後継者であるロシアからなんの謝罪もありません。こんな連中の言うことなどあまり信用できません。

ロシアの国旗柄のビキニ
しかし、最近では少し風向きが変わったようなところもあります。まずは、ロシアは経済がかなり疲弊しています。ロシアの主な産業というと、めぼしいのは原油や天然ガスですが、ご存知のように最近では、原油安でエネルギー価格は暴落しています。

そのような状況の中で、他にめぼしい産業のないロシアは、今後経済は坂道を転がり落ちるように悪化していくのは、目に見えています。

以下に、2014年の各国のGDPを掲載しておきます。

順位名称単位: 10億USドル前年比地域
1位アメリカ17,348.08北米
2位中国10,356.51アジア
3位日本4,602.37アジア
4位ドイツ3,874.44ヨーロッパ
5位イギリス2,950.041ヨーロッパ
6位フランス2,833.69-1ヨーロッパ
7位ブラジル2,346.58中南米
8位イタリア2,147.74ヨーロッパ
9位インド2,051.231アジア
10位ロシア1,860.60-1ヨーロッパ

2014年というと、まだ原油価格が安くはなかった頃です。本格的に安くなったのは15年に入ってからです。

その214年まだ原油が高かった時代のGDPが上の表です。世界でみると、ロシアは10位です。やはり、アメリカが群を抜いて第一位です。中国は第二位になっていますが、これはこのブログで過去に何度か掲載してきたように、中国の経済統計はデタラメなので、にわかには、信じがたいです。おそらく、今もこの頃も、ドイツ以下だとする専門家もいるくらいです。

ロシアも、おそらくある程度は改竄していると見えますが、それにしても世界でみると10位です。現状でもイタリアやインド以下です。この少し前までは、10位以内にも入っていませんでした。しかし、これは原油高のときです。今後、原油安が続くととんでもないことになるでしょう。そうして、10位以内にも入れなくなることでしょう。

人口に関しては、アメリカ3億人台、中国は13億人、日本は1億2千万人です。ロシアは、1億4千万人です。この広大な領土にこの人口です。こうしたことを見ると、多くの人がかつてのソ連からイメージするような、大国ロシアはもう幻想に過ぎないことがわかります。そうして、ロシアは人口13億人の中国と世界で最も長く国境を接しています。

ロシアにとって、中国との国境が非常に長いということが大きな脅威になっています。この中ロ国境で、国境溶解という現象が起きていました。それについては、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
上念司「中国包囲網の決定打はモンゴル・トルコのランドパワー強化に在り!」―【私の論評】ソ連崩壊後、小国ロシアになってから国境溶解が顕著になり中国にとって軍事的脅威はなくなった!日本は経済援助を通じて中国と国境を接する国々のランドパワーを強化すべき(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より国境溶解に関する部分のみ以下にコピペします。
国境の溶解現象とは、中ロ国境を中国人が多数超えてロシア領内に入り、様々経済活動をしているため国境そのものが曖昧になっていることをさします。

黒竜江とウスリー江を挟んだ対岸は、中国有数の農業地帯であり、 渤海、金以来のさまざまな民族の興亡の地として歴史に残る遺跡も多いです。 わずかに川ひとつ隔てただけで、一方は衣食を外からの供給に仰ぎつつ資源を略奪しつづけ、 年々人口を減らしつづけているシベリアであり、一方は年々人口を急増させつつある 黒龍江省です。

ロシア側の、全シベリアの人口を総和しても、数十分の一の面積しかない黒龍江省の半分にしかならないのです。この救いがたい落差は、 つまるところ社会的な圧力になります。ソ連政府はだからこそ国境地帯に厳しい軍事的な緊張を 作り出すことによって、中国からの圧力に対抗していたといえるでしょう。

国境を挟んだ中国側の吉林省、遼寧省と北朝鮮、 内モンゴル自治区とモンゴル、新彊とカザフスタンおよびウズベキスタン、中国の雲南省とミャンマー、 中国の広東省とベトナムなどを比較してみると、常に面積の少ない中国側の各省が人口ではるかに勝っていることがわかります。

この明白な不均衡こそが、国境を超えて大量の中国人が流出あるいは進出しつつある 根本的な原因です。この点から言えば、シベリアも例外ではないばかりではなく、 最も典型的なものです。ソ連の軍事的圧力が解消し、 国境貿易が開始されたことは、この過程を一気に促進させました。
中ロ国境をまたぐ鉄道 手前が中国 奥がロシア
ソ連の崩壊によってシベリアのロシア人社会は、直ちに危機に陥いりました。 政府は給与を支払うことができず、多くの労働者が引き上げていきました。 シベリアに市場はなく、シベリア鉄道もいたるところで寸断されようとしていました。 だから、中国からの輸入が不可欠のものとなりましたが、一方で中国に売り渡すものを シベリアのロシア人社会は何も持っていませんでした。その結果、 中国人がシベリアに入り込んできて、役に立つものを探し出し、作り出してゆくしかなくなりました。

こうして、国境溶解が進んていきました。この国境溶解は、無論中国にとっては、軍事的脅威がなくなったことを意味します。

特に現在のロシアは、ご存知のようにウクラナイ問題を抱えており、中ロ国境にソ連時代のように大規模な軍隊を駐留させておけるような余裕はありません。

かつてのソ連の脅威がなくなったどころか、国境溶解でロシア領内にまで浸透できるようになった中国は、この方面での軍事的脅威は全くなくなったということです。

各地で軍事的な脅威がなくなった中国は、これら国境地帯にかつのように大規模な軍隊を派遣する必要もなくなり、従来から比較すると経済的にも恵まれてきたため、海洋進出を開始刷るだけの余裕を持ち、実際に海洋進出を始めました。 
そうして、ロシアにはさらに不安要因があります。それに関しては、このブログにも過去に掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
露の国家基金「2019年初めに底つく」 資源頼み、欧米制裁…プーチン政権さらに窮地―【私の論評】小国ロシアの底が見え始めた最近のプーチンが、軍事的存在感の増加に注力するわけ? 
ロシア プーチン大統領
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にロシア国家基金に関する部分のみ以下にコピペします。
2008年のリーマン・ショック時にロシア経済を下支えた、石油や天然ガスの税収を基盤とする露政府の基金が19年にも枯渇する見通しであることが明らかになった。財政赤字を補填(ほてん)するための基金からの支出に歯止めがかからないことが原因だが、資源収入頼みの経済政策の行き詰まりが背景にある。欧米の制裁で基金に要請が急増している企業支援も困難になる可能性があり、プーチン政権にも痛手となりそうだ。
露政府は石油・ガスの採掘・輸出税収が潤沢な際にその一部を積み立てており、赤字補填に使う「予備基金」と、景気刺激策に利用する「国民福祉基金」の2つの国家基金を抱えている。ロシアはリーマン・ショックの直撃で09年には経済成長率がマイナス7.9%に落ち込んだが、その後政府が実施した巨額の景気対策の原資となったのが、これらの基金だ。
現状のロシアは、経済も当面全く良くなる見込みはなく、悪化する一方です。そうして、隣の大国中国とは世界で最も長い国境を接していて、国境溶解の脅威がますます高まるばかりです。

そうなると、ロシアとしては、日本との関係を良くして、まずは日本からの経済援助を期待することになります。当面の資金の手当をして、原油・天然ガスとは別の基幹産業を模索するための時間的余裕が欲しいに違いありません。

それと、安倍総理大臣は安全保証のダイヤモンドにより、中国を封じ込め戦略を総理就任直後から実施してきていて、これはかなり成果をあげつつあります。ロシアとしても、国境溶解による脅威から逃れるためにも、安全保障のダイヤモンドの一翼を担うことにより、中国の脅威を減じることも視野にはいつていることでしょう。

現在のロシアは、経済的には全く振るわなのですが、ウクライナ問題やシリアでの軍事行動によって、国内外でその存在感を増すことができました。特に、国内でのプーチン人気はかなりのものです。

プーチン人気の一端を示すグッズ。金色の方は純金製、銀色の方はチタン製のプーチン
iphone「Supremo Putin II(最高権威プーチン)」。値段は両方共日本円で約45万円と
しかし、今のプーチン人気にも、経済が本格的に悪化するにつれて、陰りがでで来ることでしょう。

ロシアのエネルギー産業もそうでしたが、1つの産業を起こして、それが軌道に乗り、経済的な成果を収めるまでには、最低でも10年かかります。

10年後を考えた場合、ブーチタンとしては今のままでは暗澹たる気持ちでしょう。日本側として、こうした現状のロシアの足元をみて、経済協力や、中国の脅威に対抗することをちらつかせ、根気強く交渉を続けることにより、北方領土は十分に取り返すこともできることでしょう。

いずれロシアは経済的に疲弊して、資源としては海産物くらいしかない北方領土など手放しても、10年後の明るい展望を得たいと思うようになることでしょう。

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