2017年3月11日土曜日

韓国狂乱…朴氏、不訴追特権失い逮捕・起訴の危機 文在寅氏が大統領なら「赤化統一」―【私の論評】米の正恩斬首作戦実行可能性が高まった(゚д゚)!


憲法裁の罷免決定を受けて、太極旗を手に泣き叫ぶ朴大統領の支持者たち
=10日、ソウル中心部    写真はブログ管理人挿入   以下同じ
韓国の国会から弾劾訴追された朴槿恵(パク・クネ)大統領について、憲法裁判所は10日、全員一致で罷免を認めた。韓国で現職大統領の弾劾成立は初めてとなる。即時失職し、不訴追特権を失った朴氏は逮捕・起訴の危機に立たされた。60日以内に実施される次期大統領選は5月9日投開票が有力だが、「従北」「反日」の極左候補が優勢に戦いを進める。韓国を覆う「悪夢のシナリオ」が現実味を帯びてきた。

朴槿恵大統領弾劾審判宣告日の10日午前李貞美裁判官は、憲法裁判所に
入る際に、緊張のあまり髪にパーマ用のカール挿したまま入庁した。
 ソウル中心部の憲法裁近くの路上に設置された大型画面で朴氏の失職決定の瞬間が生中継されると、「反朴派」は大きな歓声を上げ、歴史的決定を抱き合って喜んだ。

 「親朴派」もいったん静まりかえった後、怒りを爆発させ、警戒中の機動隊と衝突した。警官約2万人が厳戒態勢のなか、騒乱状態が続いた。

 午前11時に始まった決定言い渡しでは、朴氏が長年の友人、崔順実(チェ・スンシル)被告による私的な利益追求に関与、支援したと認定した。さらに崔被告による国政介入の事実を徹底的に隠蔽し、捜査にも協力しなかったと批判、憲法を守る意志がなかったと指摘し、裁判官8人全員が罷免に賛成した。

 韓国大統領の罷免は1948年の建国以来、初めて。決定に異議を申し立てる制度はないとされ、朴氏はこの瞬間に失職、大統領ではなくなった。

 朴氏は2013年2月、韓国初の女性大統領に就任。1979年に暗殺された父、朴正煕(パク・チョンヒ)大統領(当時)と同じく任期を全うできなかった。87年改正の現行憲法下で5年の任期を終えられなかった大統領は朴氏が初めて。

 韓国では、現職の大統領は内乱罪などを除き、刑事訴追されないという特権がある。だが、大統領を罷免された朴氏はただの人に戻る。容疑が濃厚であれば、検察は朴氏を逮捕できる。

 朴氏と崔被告の疑惑を捜査してきた特別検察官(特検)は2月28日、朴氏について、韓国最大の財閥であるサムスングループの経営トップで、サムスン電子副会長の李在鎔(イ・ジェヨン)被告側から、約430億ウォン(約42億円)の賄賂を受け取った「容疑者」と認定した。

サムスン電子副会長の李在鎔(イ・ジェヨン)
 その後、特検は検察に捜査を引き継いだ。このため、検察も朴氏を「容疑者」として扱うことが予想され、「Xデー」が近づいたといえる。

 一方、朴氏の失職に伴い、大統領選は本来の12月から大幅に前倒しされ、60日以内に実施されることになった。韓国メディアは大統領選の日程について5月9日を有力としている。

 韓国の世論調査機関「リアルメーター」が今月9日に発表した調査では、最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表が36・1%で1位、大統領代行を務めている黄教安(ファン・ギョアン)首相が14・2%、共に民主党所属の安煕正(アン・ヒジョン)忠清南道(チュンチョンナムド)知事が12・9%で続いている。

 大統領レースを独走中の文氏だが、韓国だけでなく、日本、世界まで危機に陥れかねない危険な人物なのだ。

文在寅(ムン・ジェイン)
 文氏は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権で大統領秘書室長を務めていた2007年、国連の北朝鮮人権決議案が採択される前に北朝鮮の意見を求め、韓国の決議を棄権させていたことが当時の外交通商相の回顧録で暴露された。さらに、大統領に当選したら米国より「北朝鮮に先に行く」と発言したこともある。「親北」というより、「従北」と位置付けられる存在だ。

 韓国が不法占拠を続ける島根県の竹島(韓国名・独島)に上陸した経験もある。慰安婦問題をめぐる日韓合意や日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の見直し、さらには今月に韓国で配備が始まったばかりの高高度防衛ミサイル「THAAD」の配備延期も求めている。

 文氏が大統領になることで、北朝鮮主導による朝鮮半島の「赤化統一」や在韓米軍の撤退の恐れすら指摘されている。

 今月6日にも弾道ミサイル発射を強行した北朝鮮の脅威が距離的にも日本に近づき、日米は朝鮮海峡で北と対峙(たいじ)しなければいけなくなるのだ。

 拓殖大学の荒木和博教授は大統領選の行方について、「昔であれば、北朝鮮が何か挑発行動をすれば、保守層に傾く『左翼バネ』が働いていたが、今の若い人には通用しなくなっている。保守派にはこれといった候補もおらず、文氏当選の可能性が高いだろう」として、文氏が大統領になった後の韓国を次のように予想した。

 「米韓関係も悪くなるし、日本からすれば韓国に何を言っても話し合いができなくなるのではないか。左翼の労働組合などがやりたい放題になり、朝鮮半島全体が『学級崩壊』状態になる可能性がある。北朝鮮と同じく、国際社会から孤立する道に歩み出すかもしれない」

 相次ぐ弾道ミサイル発射に加え、金正男(キム・ジョンナム)氏殺害事件への関与も濃厚となり、北朝鮮への国際社会の目が厳しさを増しているが、韓国も歩調を合わせていく恐れがある。

 韓国はいつになれば正気を取り戻すのか。

【私の論評】米の正恩斬首作戦実行可能性が高まった(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事のように、朝鮮半島の「赤化統一」は避けられない状況になってきました。しかし、韓国の「赤化統一」は、たとえ文在寅が大統領に選出されたとしても、すぐに成就するわけではないと考えられます。ある一定期間のラグをおいて、徐々に進んでいくことが予想されます。

それについては、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【痛快!テキサス親父】韓国はまさに「赤化危機」 完全な日韓合意違反、国際的信用は失墜した―【私の論評】韓国の赤化で、半島全体が支那の傀儡になる?
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では朝鮮半島の赤化統一のシナリオを掲載しました。その部分を以下に掲載します。ただし、この記事は1月13日に掲載したものであり、金正男氏がまだ暗殺されていない時期のものであり、正男氏の名前がでてきますが、そのまま掲載します。
そうして、韓国の赤化危機が現実のものとなりました。赤化といえば、韓国に親北政権ができるということにとどまらず、韓国の弱体化に乗じて支那の動きが活溌化することでしょう。 
金正恩は、支那の意思に逆らい、核・ミサイル開発を進めています。実戦配備されれば、北京や上海はその射程圏内となり、到底、中国として見過ごすわけにはいきません。
金正恩
しかし、中国が本気で制裁を加えれば、追い詰められた金氏が暴発して、南進しかねなくなります。そうなると、たちまち米韓軍に敗北し、朝鮮半島は韓国によって統一されてしまいます。

では、支那はどうするでしょうか。手っ取り早い方法として、北朝鮮のトップを金氏から、兄の金正男(キム・ジョンナム)氏か、中国の息のかかった人物にすげ替えることでしょう。北朝鮮を支那の傀儡にして、核・ミサイルや核施設を破棄させれば、北朝鮮の脅威はなくなるかもしれません。 
しかし、支那の本音は、別のところにあります。朝鮮半島全体を赤化して日米への楯にしたいというのが本音です。北朝鮮を傀儡化した中国は、かつて北朝鮮の金日成主席が描いたシナリオ通りに、韓国を吸収させようとするでしょう。

赤化した韓国は、THAADの導入を拒否するか、導入した後に撤去することになるかもしれません。そうして支那は、それを促すため、北朝鮮と韓国に平和条約を結ぶよう勧告するでしょう。そうして、支那は韓国に平和条約を結すべばTHADDの導入は必要ないことを強調することでしょう。

THAAD導入で支那から制裁を受け、経済面に苦しい韓国は、THAADを導入を断念すれば、韓国制裁を解くといわれれば、赤化した韓国は拒否できないことでしょう。軍事境界線に配備した長距離砲の撤去など、非核化した北朝鮮が韓国の要求をのめば、平和条約が締結される可能性はかなり高くなると思います。

平和条約締結後の韓国には、在韓米軍が存在する意義がなくなくなります。韓国は、米軍の撤退を要求するかもしれません。それに呼応して、在韓米軍は大幅に削減され、いずれ撤退することになるかもしれません。
次のステップは「南北連邦国家形成」ということになるでしょう。支那の意を受けた北朝鮮の工作員が「今こそ悲願の統一だ」と民族感情を刺激し、すでに赤化している韓国の人々は「一国・二政府・二体制での統一」という建前に熱狂することでしょう。そうして「南北朝鮮民主連邦」が実現することになります。 
そして、最終段階が「北朝鮮体制での完全統一」です。支那傀儡の北朝鮮は「一国二体制は非効率だ。一方の体制に統一しよう」と国民投票を韓国側に呼び掛けることでしょう。人口が2倍いる韓国は「北朝鮮をのみ込める」と踏んで、これに応じることでしょう。 
しかし、北朝鮮は約2000万人の有権者全員が北の体制を支持します。一方、韓国側の約4000万人の有権者はそうはいきません。仮に、投票率80%とすると投票者は約3200万人。うち、600万人以上が北の体制を支持すれば、北朝鮮側の勝利となります。

大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国の人口の推移
「財閥を潰して社会格差を無くせるなら」「地獄の生活苦から抜け出せるなら」など、韓国には国全体をガラガラポンしたい衝動に駆られる住民が大勢存在します。 
国民投票で選ばれるのは、恐らく北朝鮮側の体制でしょう。そうなれば、韓国は北朝鮮にのみ込まれて「支那の属国」と化し、人々からすべての人権が剥奪されることになります。その時韓国は、真実の「HELL(地獄)のKOREA(韓国)」となるのです。 
上のシナリオは、悪夢のようですが、オバマ大統領の任期がもう少し長ければ実現したかもしれません。トランプ大統領の登場で上記のようなシナリオは成り立ちにくい状況となるでしょう。 
トランプ新大統領は、 韓国がTHAADの導入を断念したり、導入後廃棄などということは絶対にさせないでしょう。そうなれば、支那は対韓国制裁をやめることはないでしょう。 
しかし、日韓合意を簡単に翻すことができると思い込む韓国人が多数存在し、政府がそれを制御出来ない現状をみると、韓国に親北政権ができあがり、赤化した場合、似たようなシナリオで、朝鮮半島全体が赤化される可能性を否定することはできません。
この記事にもあるように、トランプ政権がやすやすと韓国を支那の傀儡国家にするとは考えられません。そうなると、このブログで何度か掲載してきたように、金正恩の斬首作戦が実行される可能性が高くなってきたのではないかと思わます。

この斬首作戦に関しては、以前にもこのブログに掲載したことがありますので、ここでは再度詳細を説明しません。以下にそのリンクを掲載します。詳細を知りたい方は、この記事を御覧ください。
米軍、金正恩氏「7日で排除」3月にも世界最強の軍事力行使か、韓国紙は日本配備のステルス戦闘機に言及―【私の論評】まさに、朝鮮半島は戦争前夜(゚д゚)!
故金正日総書記の生誕記念日「光明星節」を記念して開かれた
シンクロナイズドスイミングの公演=2月15日、平壌
金正男氏が暗殺され、韓国が赤化され、さらに朝鮮半島が完全赤化統一され、さらに支那の傀儡になるという事態になれば、これは日本にとっても安全保証上の大脅威ですし、アジアの安全保証にとつても重大な脅威であり、米国にとっても、南シナ海に次いで大きな脅威となります。

もし、朝鮮半島が赤化統一されれば、米軍は現在は韓国が北朝鮮や中国の緩衝地帯となっていたものが、それがなくなり、日本が韓国に変わって支那に対抗するための、最前線基地になることになります。

そうなれば、米国としては日本に自国の防衛を任せるというだけでは、アジアの安全保障が十分とはいえなくなるので、現在よりも強大な軍事力をアジア方面にさかなければならないことになります。

従来のオバマ大統領だと、そのような状態を自ら招いてしまったかもしれません。しかし、トランプ氏はそうではありません、朝鮮半島が赤化統一はどう考えても、米国の軍事的負担が増えるのは間違いないので、それを避けるために何らかのを手を打ちます。そのうちの、最も有効な手段が、金正恩氏の斬首です。

金正恩氏を斬首されれば、北朝鮮そのものが崩壊する可能性が大です。崩壊して無政府状態で核兵器が存在するということになれば、それもかなり危険なことです。国の体裁もなしていないような、ならず者が核兵器を所有することになります。これは、ISが核兵器を所有するという状態にも似た恐ろしい事態です。

そうして、その時に一番悪影響を被るのが、支那と韓国です。この状況に韓国が覚醒すれば良いのですが、そのようなことは期待薄です。北朝鮮とはロシアも国境を接しています。そうなると、支那、米国、ロシアによる信託統治などということも考えられます。実際そのような噂も流れているようです。

以上のようなことから、米国は現在のところは、韓国の状況の様子見をしていると考えられますが、韓国赤化が現実になることが確実になった場合には、金正恩斬首作戦を実行し、北朝鮮と支那を牽制し、韓国の立て直しをはかる可能性が大です。

その際には、朴槿恵元大統領の腐敗に匹敵するか、それ以上の韓国内の親北派の腐敗ぶりが、明るみに出され、韓国内は大混乱に陥ることでしょう。

今後の韓国の赤化の問題は今後の米国のアジア戦略にも大きな影響を与えるはずですが、これは無論日本にとっても大きな問題です。また、米国が金正恩斬首に踏み切るときには、日本もこれに必ず何らかの形で関与し、北朝鮮による拉致被害者問題解決の緒にすべきです。

そうして、もしも、北朝鮮の体制が崩れて、国連の信託統治ということにでもなれば、拉致被害者問題の解決は、かなり早まることになります。

【関連記事】



米韓演習中に北ついに挑発!軍事的な対抗措置も 中国も交え一触即発の緊張感―【私の論評】現実味を帯びてきた金正恩斬首作戦(゚д゚)!




2017年3月10日金曜日

ついに東京新聞が私のコラムを「ボツ」にした―【私の論評】日本のリベラル左派は、彼らの使命を「政権や権力と戦う事」と考え無間地獄に陥り堕落している(゚д゚)!


異論は許さない、ということなのか

                                                 長谷川 幸洋   プロフィール

長谷川幸洋氏 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 ボツになったコラムを公開しよう

東京新聞がいよいよ、おかしくなってきた。TOKYO MXの番組「ニュース女子」の沖縄特集で私が司会を務めたのを理由に、私を「降格処分」したのは多くの読者がご承知だろう。それだけでなく、今度は同紙に書いた私のコラムを「ボツ」にしたのだ。

結論を先に言えば、私はこちらの方が番組よりも深刻な問題をはらんでいると思う。なぜなら、これは「言論の自由」を侵害しただけでなく、東京新聞が「自社への批判は許さず、異論は掲載しません」と宣言したに等しいからだ。

これまで、私はひと月半に1回くらいの割合で「私説」という小さなコラムを書いてきた。だが、その私のコラムも終わりかもしれない。ボツになったのは今回が初めてだが、今後も内容次第でボツになる可能性がある。

自分で言うのも気が引けるが、紙面全体が圧倒的に左に傾く中で、たまに私のコラムが掲載されることで、かろうじて東京新聞がバランスに配慮するアリバイ証明になってきた。左に批判的な立場は事実上、社内では私くらいしかいない。

私のコラムが終わりなら、東京新聞は今後、左に傾いた記事や論説、コラムしか掲載しない新聞になるだろう。それでいいのだろうか。

まず、ボツになった問題のコラム全文を以下に紹介しよう。タイトルは「東京新聞の事なかれ主義」だ。

ーーーーー
◆東京新聞の事なかれ主義

私が司会を務めるテレビ番組「ニュース女子」(TOKYO MXなど)の沖縄特集に関連して、東京新聞は3月1日付で私を論説副主幹から論説委員に降格した。

深田実・論説主幹は先に放送内容が「本紙の報道姿勢および社説の主張と異なる」「事実に基づかない論評が含まれる」ことなどを理由に、私の出演を「重く受け止め、対処する」と紙面に書いていた。これを受けた「処分」であるのはあきらかだろう。

私が他のメディアで何を語ろうと、もちろん私の自由だ。にもかかわらず、私の意見が本紙の論調と異なることを理由に処分するのは、言論の自由に対する侵害である。

主幹は「事実に基づかない論評」が具体的に何を指すのか、あきらかにしていない。そもそも私は司会者であり、主に発言したのは他のコメンテーターたちと地元住民である。これでは反論のしようもない。

私が処分の理由を問うと、主幹は「そこは大人の対応で」などと言葉を濁した。問い詰めると「副主幹の立場で出演したのが問題」という。私がラジオで批判し数日経つと「あくまで定期異動」とも説明する。基地反対派には処分した体裁をとりつつ、私には定期異動と言い逃れしているのだ。

まさにサラリーマンの事なかれ主義ではないか。そんな情けない姿勢の主幹では言論の自由は守れない。(長谷川幸洋)

ーーーーー

お分かりのように、これはニュース女子騒動に関連して、私を論説副主幹から論説委員に降格した人事を批判した内容である。人事発令前の経緯については、2月10日公開コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50947)で紹介したので、繰り返さない。

その後、3月1日に正式に発令されたことは、3日公開コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51107)の末尾でごく簡単に触れた。私は発令を受けて、まずは東京新聞紙上で私の考えをあきらかにしようと考えて「私説」という欄に上記のコラムを書いた。

コラムはゲラになって6日午後、私の手元にファクスで送られてきた。ところが掲載予定前日の7日午前に深田主幹から私の携帯に電話があり、私が受け損なうと留守電に「君の『私説』は使いませんから、という連絡です」とメッセージが残っていた。

私は後で気が付いて、すぐ電話を計5回、折り返し「電話をいただけるよう」留守電にメッセージも残したが結局、この原稿締め切りまでに返事はなかった。だから、ボツにされた理由はいまも分からない。

ただ、推測はできる。「自社の紙面で論説副主幹から名指しで主幹を批判されたら、たまらない」と思ったかもしれない。だが、問題をこのまま見過ごすわけにはいかないのだ。言論の自由と紙面の信頼性がかかっているからだ。
 ふざけたことを言うな

東京新聞の論調はどうあれ、私の言論の自由は守られなければならないのは当然だ。

ところが、深田主幹が紙面に書いたニュース女子をめぐる反省文(先の2月10日公開コラム参照)は、上の私説向けコラムでも紹介したように、放送内容が東京新聞の論調と異なることを理由の1つに挙げている。

東京新聞2日付朝刊1面に掲載された
「『ニュース女子』問題 深く反省」と題した記事
番組で発言したのは、主に2人のコメンテーターと地元住民である。私は司会者だ。番組に出演していた中部大学の武田邦彦教授が指摘していたが、いわば「過激な発言をした人の横に座っていたのがけしからん」という話なのだ。こんな理屈があるだろうか。

「コメンテーターの発言を黙って見逃したのがけしからん」という批判もあるようだが、私は彼らの発言を促すのが役割だ。視聴者はご存知と思うが、あの番組に出てくる識者たちは、みんな私が制止しても喋り続ける、困った人たちばかりなのだ(笑)。

「副主幹の肩書で出たのが問題」というなら、私はこれまで10年ほど論説委員や論説副主幹の肩書でテレビに出演している。この際、はっきり言っておこう。「テレビに出るときは新聞の肩書を名乗ってくれ」と頼んできたのは、実は新聞社の方なのだ。

私がテレビに出演することで、関東地方でマイナーなローカル新聞である「東京新聞」の名前が宣伝になると考えたからだ。それが証拠に、今回の騒ぎが起きるまで「新聞の肩書を名乗るな」などと会社から言われたことは一度もない。

いままで、さんざん私のテレビ出演を宣伝に利用していながら、いまさら何を言っているのか。「ふざけたことを言うな」という話である。これが1点。

次に「事実に基づかない論評が含まれていた」という点はどうか。繰り返すが、私は司会者であって論評する立場ではない。しかもコラムで指摘したように、そもそも「事実に基づかない論評」とは何を指すのか、深田主幹は反省文であきらかにしていない。

百歩譲って、仮に他人が言った論評に「事実に基づかない」部分があったとしても、具体的中身が分からないのでは議論のしようがない。

事実関係については、2月10日公開コラムで書いたように、番組スタッフが取材を続けている。取材の成果は近く公開できるだろう。私はその内容を見て、必要があれば、あらためてコメントする。これが2点目。

根本的な問題に触れよう。なぜ、東京新聞はこんなトンチンカンな対応をしたのか。

そもそも深田主幹は2月2日付で私に対する処分を盛り込んだ反省文を紙面に出す前に、私に出演の経緯や司会者である私の役割、あるいは事実関係について事情を聞いていない。当事者に話も聞かないで、事実上の処分を世間に公表したのである。こんな乱暴な手続きはない。

2月10日公開コラムで書いたように、私は1月30日朝、主幹と面談している。その時点では、主幹は何か紙面で表明したとしても「東京新聞の論調はニュース女子とは違う」程度のことと考えていた。だから、私も「それは、そうですね」と応じた。それだけだ。

それは事情聴取などという代物では到底、ない。

そもそも、面談の目的は私に対する定期異動の内示だった。ニュース女子問題への対応をどうするかについては、話のついでに主幹ではなく「私の方から」持ち出した話題である。いわば雑談だ。

もしも、その時の面談が私に対する処分を前提にした話だったら、穏便な会話になっていたわけがない。私は定期異動というので、快く受け入れた。

証拠もある。

(私はかつて官僚と渡り合った経験から、大事な会合は必ず録音をとるようにしている。「上司と話し合うのに録音とは」と驚かれるかもしれないが、私のような異端児で〈笑〉周囲が落とし穴だらけの人間にとって、その程度は身を守るための基本動作だ。

官僚は重要会合で必ずメモに加えて録音をとる。そういえば最近、野党政治家が官僚を怒鳴り上げて問題になった例があったが、官僚は基本的に政治家との会合を録音しているのを知らなかったのだろうか)

それが2日後に突如、反省文に変わった。その間、私への聴取はまったくなかった。つまり初めから当事者に事情も聞かない、いい加減な手続きで出した反省文であり、だからこそ「反省」を支える論理も奇妙で、穴だらけなのである。

どうして、こうなったか。

それは結局のところ、深田主幹がコトの重大性をしっかり考えていないからだ、ということに尽きる。大事な読者の一部である基地反対派の批判に恐れをなして、あわてて「反省します。論説副主幹には対処します」と言ってしまった。

真正面から私を降格処分すれば、私から反撃を浴びる。だから定期異動という形にして、対外的には「処分」の体裁を整えたのである。まさに「サラリーマンの処世術」というほかない。この類の話は世間にはいくらでもあるだろう。

私が見過ごせないと思うのは、東京新聞が普通の事業会社ではなく、曲がりなりにも言論の自由を掲げている新聞であるからだ。

本来は重職であるはずの論説主幹を事なかれ主義のサラリーマンが担って、その場しのぎで筋が通らない奇妙な反省文を書いている。

それこそが東京新聞の危機なのだ。

【私の論評】日本のリベラル左派は、彼らの使命を「政権や権力と戦う事」と考え無間地獄に陥り堕落している(゚д゚)!

ニュース女子の沖縄特集の番組についてはこのブログでも取り上げたことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
「ニュース女子」騒動と朝日社説 慰安婦の「大誤報」反省せず、現在進行形で海外にたれ流し―【私の論評】「ニュース女子」を巡って大公開討論をすべき(゚д゚)!
朝日新聞の社説
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事でも掲載した、「ニュース女子」の沖縄特集の番組の動画を以下に再度掲載します。


この記事にも掲載したのですが、この動画を見る限り、この報道番組には何らの問題もなかったと私は思います。

この程度のことが問題になるのだったら、それこそ、最近の森友問題で民進党や、マスコミが躍起になってこの問題と安倍総理や夫人を結びつけようとして、あからさまな印象操作をしつこく何度も行っていたことのほうが、余程問題だと思います。

の番組内容が虚偽の内容にあたり、自身の名誉を毀損(きそん)されたとして、市民団体「のりこえねっと」の辛淑玉(シン・スゴ)共同代表が放送倫理・番組向上機構(BPO)放送人権委員会に番組内容の審議を申し立てたことについて、沖縄県民として同番組に出た「琉球新報、沖縄タイムスを正す県民・国民の会」代表運営委員の我那覇真子(がなは・まさこ)さんらが24日、東京都内で会見し、「辛淑玉氏らの行為は言論弾圧だ」と批判しています。

その会見の動画を以下に掲載します。



関西テレビの「そこまで言って委員会NP」では、沖縄の現状に随分前から言及していました。そうして、この番組には長谷川幸洋氏も、出ています。

この番組でも日当を貰ってプロ市民が活動している件や、中国語、韓国語で話していることや、朝生でも、ケントさんが、日当を貰っていることを発言したことを語っていました。

沖縄が異常な状況にあることは、「ニュース女子」で報道するまでもなく、もはや常識だと思います。ネットの記事や動画などをみれば、誰もが異常状況にあることはすぐにわかります。

それにしても、東京新聞には問題がありすぎです。最近でも、問題報道がありました。その問題記事の写真を以下に掲載します。


この記事がなぜ問題なのかについては、このブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
F/A-18に関し誤解を招く恐れのある東京新聞掲載記事に対する在日米海軍司令部の見解―【私の論評】またCNN報道を鵜呑みし垂れ流した東京新聞(゚д゚)!
空母から発艦したF18
この記事は、今年2月23日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事から一部を引用します。

まずは、在日米海軍の見解から一部を引用します。これは、在日米軍本部のフェイスブックに掲載されたものです。
米海軍は前方展開海軍戦力に多額の予算を投じており、最新鋭の航空機を日本に配備しています。日本に配備されている飛行隊には必要とされるリソースはすべて提供され、米海軍厚木航空施設を拠点とするスーパーホーネットは万全に整備されています。またこれらのスーパーホーネットは、米海軍の前方展開戦闘飛行隊を最大限の即応性で維持する為に必要となる、すべての部品と飛行時間を有しています。 
定期的な整備や飛行時間管理など様々な要因により、個々の航空機および飛行隊の飛行スケジュールは多岐に亘っています。しかしながら、東京新聞の記事で引用されていた数字は、即応性や安全性のいずれの傾向をも反映しておりません。
東京新聞のこの記事は、米国のCNNなどが、米軍のFA18の6割近く飛べない状況であることを報道したことを受けて、よく確かめもせずに、 「厚木の米軍機F18 6割飛べず?」というタイトルで、この事実を報道したものです。

FA18というと、運用され始めてから随分たっていますから、全体ではこのような状況なのかもしれませんが、厚木の米海軍FA18は、空母の艦載機でもあり、最前線に位置する部隊でもあります。

米海軍としては、艦載機に関しては優先的に予算や部品を回すようにしているので、稼働率が40%などということはあり得ず、この東京新聞の記事は誤解を招くものであるということで、抗議をしたものです。

このようなこと、それこそ在日米軍に直接照会すれば、すぐにわかるようなことなのに、東京新聞は裏取りもせずにこのような記事を掲載したのです。

東京新聞というと、昨年の暮あたりにも酷い記事が散見されました。それに関しては、BLOGOSの記事が詳細を掲載しています。以下にその記事のリンクを掲載します。
東京新聞の経済デスクが腹黒すぎて草
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。

"

て、周回遅れではありますが、先日の放射脳で安倍ガーの東京新聞があまりにアレなんで、Twitterでもレスしてみました。
まずはこちらがオリジナル



わたしの質問はガン無視 ww


フォローする

Isseki Nagae/永江一石 @Isseki3


教えてください。自分には社会保障費は0.4%圧縮してもなお防衛費の7倍も増額するというようにしか見えないんですが、なんで東京新聞はそう受け取るんですか?そもそも元がでかいんだから比率の小さいものとと同じだけ増額したら日本は死にますが。 https://twitter.com/tokyokeizaibu/status/812148231266308096 …
2016年12月27日 16:18

1414件のリツイート
15いいね15件



オツムが弱い放射脳の人には上のグラフ、つまり東京新聞の記事

福祉を削って防衛費に、けしからん

って見えるのかもしれませんが、これ、伸び率を棒グラフにしたもので母数がそもそも違うわけです。つまり500kgの象の体重が40キロ増えた(8%増)のと、60キロの人間の体重が6キロ増えた(10%増)のを比較して、「人間の体重が10%も増えたのに象は8%しか増えてないぞ。象は健康的だ」というようなもの。もともとのでかさが飛んでる。
ただしいグラフ作ってみた。



単位/億円。だいたい母数が全く違うのに伸び率で比較するとか小学生でもやらないレベル。伸び率が問題なんじゃない。いくら金がかかってるのかが重要なわけだし、母数がでかければ同じ金額なら伸び率は相当小さく見える。
"
この記事には、他の事例で防衛予算費の詐欺グラフも掲載されていました。このようなことを見ると、何やら、ブログ冒頭の記事では、長谷川幸洋氏は、東京新聞の「事なかれ主義」を問題にしているようですが、確かにそのような側面もあるのですが、本当に問題なのはそれではないような気がしてきます。

私は、東京新聞の問題の本質は、「政権や権力と戦うのが自分たちの使命」と思い込んでいることにあるのではないかと思います。

これに関しては、長谷川幸洋氏も同じようなことを語っています。それについては、以下のリンクをご覧になって下さい。
【東京新聞「深く反省」】 長谷川幸洋氏が同紙記事に反論 「言論の自由の侵害」「北朝鮮と同じになる」―【私の論評】「ニュース女子」臆することなく、これからも左翼の闇に切り込め(゚д゚)!
ニュース女子出演者 左から杉原杏璃 、脊山麻理子 、重盛さと美
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、 この記事の【私の論評】の中ほどに、長谷川氏の主張を掲載しています。

そうして、その使命を遂行すためには、多少の印象操作など許されると思っているのではないでしょうか。そうして、何度もそのようなことを繰り返しているうちに、多少の範囲をかなり逸脱するのが当たり前になってしまったのではないでしょうか。

だからこそ、上のF18Aの記事なども裏取りもせず平気で報道したり、防衛費の印象操作なども平気でできるのだと思います。

そうして、このような問題は東京新聞だけにとどまらず、リベラル左派全体にみられる問題なのではないかと思います。

私は、現在の日本のいわゆるリベラル左派は、自分たちは日本という国や社会をどうしたいのかという理想も持たずに、単に「政権や権力と戦うのが自分たちの使命」であると思い込み続けてきたため、まともにものが考えられなくなり、「政権や権力」と戦うこと自体が目的、目標になってしまい、無限地獄に陥って堕落しているのだと思います。

そもそも、自分たち国や社会をどうしたいのかという理想がなければ、目的も定まらず、したがって目標も定められず、目標に沿った行動もできずに、ただただ日々を無為に過ごしているだけということに彼らは気づいていないのです。

【関連記事】





2017年3月9日木曜日

森友学園問題では資産売却に不熱心な財務省を追及すべきだ―【私の論評】森友学園は行き過ぎた左派リベラルへの反発から生まれた(゚д゚)!

森友学園問題では資産売却に不熱心な財務省を追及すべきだ

高橋洋一:嘉悦大学教授

森友学園問題で国会は持ちきりだ。マスコミも、連日テレビのワイドショーでこの問題を取り上げている。森友学園の理事長のキャラが立っているので視聴率が取れるのだろう。国会の野党質問もテレビのワイドショーの流れに乗っている。


 弱みを握られることはしない 首相の「政治関与」の公算は薄い

「政治常識」で冷静に考えれば、首相の政治的関与は可能性が低い
写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 そのパターンは、(1)安倍首相夫人が問題の小学校の名誉校長であった。(2)森友学園は右傾化している教育をしている。(3)近畿財務局(財務省の地方機関)は安価で国有地を売却した。これらを同時に見せることで、安倍首相の関与があったかのようにイメージ操作している。

この問題については、(1)政治関与、(2)森友学園の教育方針、(3)国有地の低価での売却、の三つに分けて整理する必要がある。

(1)政治関与については、まず、朝日新聞が、国有地を近隣地より安く売却しているがその相手先の名誉校長には安倍首相夫人がなっており、安倍首相の関与の疑惑があるというトーンで報じた。一部のマスコミは確たる証拠のないまま、安倍首相の政治関与で突っ走った。

ところが、安倍首相は政治関与を否定し、もしあれば「首相を辞める」とまで明言した。ちょっと考えてみれば、安倍首相が政治関与してまで財務省に弱みを握られるはずがないとわかりそうなものである。財務省は消費増税をしない安倍政権を内心よく思っていない。もし安倍首相が財務省に頼んでいたら、今頃は財務省からリークされて、安倍政権が崩壊していたはずだ。記者にはこうした政治常識はないらしい。

今のところ鴻池祥肇・元防災担当相の地元秘書らが用地取得交渉に関わっており、いわば「鴻池案件」である。頻繁に財務局と接触があったようで、これほど頻繁になると、国会議員レベルで他の人が関与している可能性は低いと考えるのが妥当だ。となると、昭恵夫人が森友学園の名誉校長になっていたのは脇が甘かったが、安倍首相が公言しているようにこの問題に首相が関与していない公算はほぼ確実といえよう。

ここの「政治関与」のところで、めぼしいネタが出てこないと、森友学園問題はメディアが伝えているほどのことにはならず、かなりシャビーになる。今のテレビの盛り上がりはそのうち消えていくだろう。

(2)教育方針については、基本的に趣味の問題であり、イヤなら親が入学させなければいい。教育基本法違反などにでもなれば問題だが、現状ではそこまでの違法行為は出ていない。ただし、大阪府教育委員会への小学校認可申請の段階では、虚偽記載もあるようなので、小学校認可は行われないだろう。ただし、これは教育方針の問題ではなく、手続きのミスである。

 文書の保存は民主党時代に変更 用地は競争入札すべきだった

(3)国有地の低価売却では、売買経緯で保存記録なしを含め財務省(財務局)の事務ミスが大きい。森友学園に随意契約で売却しているが、本来であれば入札すべき案件である。地中ゴミについて減額しているが、これも入札または第三者の鑑定評価に委ねるべきだった。かなりずさんな事務ミスであるので、会計検査院が調べるのは当然である。

国有地の売却に限らず、国の売買や賃貸などの契約では、原則競争入札になっている(会計法第二十九条の三)。これは価格の妥当性や透明性を確保するためである。 

今回採用された随意契約は、「緊急の必要により競争に付することができない場合及び競争に付することが不利と認められる場合」に限定されている(会計法第二十九条の三第四項)。ここで、「緊急の必要」というのは人命に係わる場合、国の外交問題に関連する場合などの国の事情であり、相手側の事情は二の次である。その他、会計法より下位の法律でなく政令に基づくものもある。

随意契約にした理由について、財務省の佐川理財局長は「府、市からの要望がないなか、森友学園から要望があり、適正に随意契約を始めた」と答弁し、会計法より下位の政令に依存したようであるが、会計法で認めている随意契約の理由は、上に書いたように「緊急性」がポイントである。この答弁は、会計法の観点から適切でなく、結果として問題になつたので、法律論の観点から、どこまで政令に妥当性があるのかを含めて、さらに立法府である国会での追及が必要である。

挙手する財務省の佐川理財局長
 なお、アメリカの大統領令では、今話題になっているが、司法からのチェックを受けるもので、決まっているからといって絶対的なものでない。

また、国会審議の中で、財務省が交渉記録を廃棄したと答弁した。今の文書管理規定上はそれでもいいのだろうが、OBとして、入省した当時の旧大蔵省の情報管理は霞ヶ関随一であったことを知る筆者としては釈然としない。

かつての財務省はどのように情報を集めて管理し、どのように利用していたのか。現在はどうなっているのか。筆者の個人的なことから始めよう。筆者は大学までノートをほとんどとったことがなかったので、入省して一番困ったのは紙(メモ)がうまく書けないことだった。会議に出席して会議内容を口頭で報告できるが、その後ですべて紙に書かねばならず、はじめはそれができなかったので酷く叱られたものだ。どのような些細な話でも紙に書き上司に報告することがシステム化されていたのだ。

各部署で作られた情報メモがその重要度に応じて幹部・関係先に配布されていた。配布先を決めるのは書いた人ではなく各局の企画担当だ。重要度に応じて「取扱注意」、「秘」、「極秘」のハンコが押されている。入省したばかりの若手は、その情報メモを持って、各局の企画担当に届けていた。メモを持って廊下を駆けるので、「廊下トンビ」と呼ばれた。情報内容は廊下を走っている内に読んで頭に入れておけと指導を受けた。その情報管理システムでは、旧大蔵省から他省庁に出向した人からも情報が入っていた。某政治家は、霞ヶ関に張り巡らされた旧大蔵省の情報網を知り、驚愕し絶句していた。

今はどうなっているのか、正直なところ知らない。筆者が役人を辞めた直後、2008年6月に国家公務員改革基本法が成立した。その後、2009年7月に公文書管理法も成立。2009年9月に民主党政権に交代後、2010年12月に公文書管理法施行令により具体的な文書保存期間が決められた。

森友学園の件では、売買記録が1年で廃棄されたが、法令上の問題はないという。本来ならこれは法令がおかしいとすぐに気がつく話だが、野党民進党の追及は甘い。その法令は民主党政権の時に作られたので、政府を追及しても自らの責任を逆に問われるブーメランになってしまうからだろう。

いまの法令では、記録・保存義務のあるものはかつて旧大蔵省で行われていたものの一部でしかないようだ。しかし、その程度の記録・保存しか行われていないとすれば、行政の継続性など今の仕事の質は間違いなく落ちているのだろう。公務員にきちんと仕事をさせるために、現行の文書の記録・保存規定は見直すべきだろう。

このカードを切れば、民進党に、民主党政権の運営がいかにダメだったのかというダメージを与えられる。安倍政権はこのカードを持っているために、国会では余裕をもって答弁しているように見える。

いずれにしても、結果としては、(1)の首相の「政治関与」の可能性が今の段階ではかなり低いので、マスコミ報道はミスリーディングだった。政治関与がなければ単なる財務省の出先機関である近畿財務局での事務ミスに終わる。その解明は、文書保存の指摘もできないような国会より、会計検査院のほうが適切である。だが別の見方をすれば森友学園問題は、国有財産売却についての財務省の姿勢を問う好機でもある。

 資産売却に不熱心な財務省 増税ありきは許されない

国会で改めて、財務省の国有財産売却体制を再検討するというのは、野党側の政府追及のネタとしてどうだろうか。

2月21日の衆議院予算委員会公聴会で、筆者が公述人として意見陳述したことは、前回の本コラムでも書いた(「日本の財政再建は「統合政府」で見ればもう達成されている」 http://diamond.jp/articles/-/119006 )。そこで述べたのは、財務省が国債残高など、政府バランスシート右側の負債額の大きさばかりを強調する異常さである。資産は売却できないというが、天下り先への資金提供なので売却したくないという官僚心理が働いていることも指摘した。その延長線で、天下りに関係のない国有財産までも売却に熱心でなかったように、役所にいた当時から筆者には思えた。

国有財産の売却の実務担当者である地方財務局の管財部長は財務省キャリアのポストでない。財務省本省で国有財産を担当するのは理財局の局長はキャリアだが、担当課長になるとそうでないこともある。キャリアであっても主流ではなく、端パイ扱いだ。

要するに、国有財産売却について財務省として力が入っていないのだ。

それは財務省が、政府バランスシートの右の負債だけを強調し、左の資産を無視することにもつながっている。それにもかかわらず、財務省は増税の必要性をことさら強調するが、その一方で税外収入として重要な国有財産売却で事務ミスをして、結果として税外収入を少なくしているのはあまりにちぐはぐである。

こうした観点から、政府が保有する天下り先への出資金、貸付金を含めた資産の売却を政府として真剣に検討すべきである。また、その検討を増税する前に行うべきである。あれだけ増税に熱心な財務省が、増税と同じ効果があるはずの国有地売却で事務ミスをするというのは、あまりにちぐはぐだし、「売却できないから増税」では国民が許さない。

なお、本稿を書き編集部に提出したあと、3月8日にテレビ朝日のワイドスクランブルに出演し、財務省の事務ミスの話をした。番組放送後、財務省からテレビ局に抗議があったという。

筆者は、会計法の原則を説明し、例外に照らして財務省の国会答弁には疑問があったから、国会でさらに議論をすべきだと言ったまでだ。それに抗議とは情けない。財務省は国会の議論までも封殺したいのか、それとも、あまりにも図星の指摘だったからなのか。

(嘉悦大学教授 高橋洋一)

【私の論評】森友学園は行き過ぎた左派リベラルへの反発から生まれた(゚д゚)!

森友学園がらみは、マスコミで連日ながされていますが、上の高橋洋一の記事にもあるように、いわゆる「政治関与」は常識的にほとんどないと考えられることから、あまり重要な問題であるとは考えられず、このブログでは過去に一度だけとりあげました。その記事のリンクを以下に掲載します。
【阿比留瑠比の極言御免】民進党が旧民主党時代から投げ続けてやまない「ブーメラン現象」の研究―【私の論評】脱力感炸裂の今の民進党の救世主は馬淵氏だけ(゚д゚)!
参院予算委員会で民進党の小川敏夫氏(右)の質問に答弁する安倍晋三首相
=2月28日午後、参院第1委員会質
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に森友学園がらみの部分のみを引用します。
2月27日の衆院予算委員会では大西健介氏が、28日の参院予算委では小川敏夫氏がそれぞれ、独特な保守色が注目されている学校法人「森友学園」をめぐり、安倍晋三政権との密接な関係を印象付けようと追及した。ところが、ともに民主党(現民進党)時代にも同様の関わりがあったことを指摘されて自爆した。
この記事では、さらに私の論評として以下のようなことも掲載しました。
大阪府が私学設置基準を緩和したときは、安倍政権の時ではなく、民主党の野田政権のときです。だから、民進党は、本当に基本的な事実の確認もできないで、とりあえず安倍政権を批判したいのです。
さて、上の写真はある方のブログから転用したものです。おそらく、最近の新聞のものだと思われますが、この記事には"しかし、12年4月、松井知事は突然「借り入れありの幼稚園」にも小学校参入の目とを開く・・・・"という下りがあります。

12年4月というと、確かに民主党野田政権時です。このまま追求を続けていくと、民進党は当時総理だった野田幹事長を追求しなければならなくなるかもしれません。まさに、大ブーメランです。

最初からこのようなことは分かつていますから、だから森友学園問題は、民進党議員が問題にしても、マスコミが問題にしても、いっこうにつまらなく、聞いていると、脱力感を感じるだけです。
そうして、ブログ冒頭の高橋洋一氏の記事によれば、「森友学園の件では、売買記録が1年で廃棄されたが、法令上の問題はないという。本来ならこれは法令がおかしいとすぐに気がつく話だが、野党民進党の追及は甘い。その法令は民主党政権の時に作られたので、政府を追及しても自らの責任を逆に問われるブーメランになってしまうからだろう」ということでてあり、この法令も民主党政権時代につくられたものという始末です。

以上のようなことから、民進党は森友学園がらみで、安倍総理を攻撃しようと思っても、できなくなるでしょう。あまり酷くつつきまくれば、安倍総理にこれらのことを逆につつかれ自沈するだけです。

それにしても、この問題でのマスコミの対応も酷いものです。特に朝日新聞は酷いものでした。

北朝鮮が、在日米軍基地攻撃を想定した弾道ミサイル4発を発射した翌日の7日付朝日新聞の社説には、異常そのものでした。2本の社説のうち、ミサイル関連は下の第2社説とし、より重視していることを示す上側の第1社説では、安倍晋三首相の昭恵夫人は公人か私人かの論争を取り上げていました。


社説は、昭恵氏が学校法人「森友学園」で講演した際に政府職員が同行していた点を問題視し、「国民が納得できる説明をする責任がある」と結んでいました。

何をどう書こうとその社の自由ではあるとはおもいますが、米国による北朝鮮への先制攻撃が現実味を増し、精度を高めた北のミサイルに日本のミサイル防衛(MD)システムの再構築が迫られるような局面にもかかわらず、このような報道をしているのです。

事の軽重、優先順位を無視してでも、森友学園問題を絶好の機会として、とにかく安倍政権の足を引っ張りたいという本心がミエミエです。国民の生命・財産に直結する事態よりも、不毛な公人・私人論争の方を重要であるという価値感が透いて見えます。

このようなことよりも、民進党やマスコミは、財務省の不手際についてもっと追求すべきです。これに関しては、与党も追求すべきだと思います。

高橋洋一氏が指摘するように、今回の森友学園問題は、はじめから入札にしておけば問題はなかったはずです。入札なら価格の妥当性も問題なく、価格公表も入札時に終わります。随意契約からスタートしているから、次々と問題が出てくるのです。

財務省は随意契約にしたのも「法令に即して適切に処理」といいます。しかし、これも、国会で作った法律ではなく官僚が作った「政令」によるものです。競争入札の例外になるものが幅広く列挙されていまする。これでは、競争入札原則が危うくなってしまいます。

財務省が自分たちが作った「政令」によるので適切に処理していると、立法府の国会で正々堂々と答弁し、それについて、野党から、そこまで官僚に裁量を与えていない、法律の範囲で事務をすべきという議論が出ていません。

 あくまで、財務省は自分たちが決めたことは正しいというスタンスなのです。この際、「政令」により広範な権限を持っている財務省を、国会でしっかりチェックすべきです。財務省をチェックするために、国会が国権最高機関としての役割を今こそ果たすべきです。

さらに、ブログ冒頭の高橋洋一氏の記事では、「教育方針については、基本的に趣味の問題であり、イヤなら親が入学させなければいい」とありますが、森友学園が誕生したにはそれなりの背景があります。

今回の舞台となっている大阪・豊中の小学校では15年ほど前、豊中市教職員組合など現場が主導となった「やりすぎ平等主義」問題が発生していました。

《豊中では長年、教員らの「評価は差別につながる」「低い評価の子供がかわいそう」などの主張で通知表や学習指導要録の評価が形がい化》(産経新聞2001年8月23日)しており、市教育委員会が通知表を3段階にするようにと指導をしても、市内の半数以上の小学校で2段階を頑なに「死守」したのです。

ほかにも、《テストに点数を付けない教員が多数いる▽運動会で徒競走などに順位を付けない状況が二十年以上続いてきた》(同上)など、SMAPの「世界のひとつだけの花」を彷彿とさせる教育がおこなわれました。また、市内の一部小学校では、「あいさつは強制するものではありません」(産経新聞2001年9月28日)という教育理念のもと、登校時に教師が校門に立つものの、「おはよう」などと声をかけることもなく、子どもたちも無言で通り過ぎるという光景が繰り広げられました。
2000/11/22 産経新聞朝刊 
【豊中の教育】(5)元校長の嘆き 市教委自らが組合と妥協

平成七年春。大阪府豊中市のある小学校で、入学式での「国旗・国歌」の実施をめぐって校長と組合員が激しく交渉している最中、組合員がどこかに電話をかけた。数分後、当時部長職だった現在の市教委最高幹部から電話が入り、校長に「前校長なみで」と注意した。「前校長なみ」とは、教員の妨害の中で国旗を揚げる“努力”をし、実際には揚がっていないのに「掲揚した」と市教委に報告することだった。 
 この校長は「実際にあったこと」と認めたうえで、「組合員に話した言葉がそのまま市教委に伝わっていた」と話す。 
 教職員組合の「学校の民主化」運動で、校長権限が形がい化されてきた豊中の市立学校。「組合の力が強いという理由だけでは、校長権限が骨抜きにされることはないでしょう」と元校長の一人は言う。 
 「市教委の指示事項を実施しようとして、組合員の反対にあう。それでもやろうとすると、市教委が『そこまでしなくても』。校長からすれば『はしごを外された』状態だ」 
 今年二月、別の小学校で国旗を降ろした男性教員が停職一カ月、栗原有史・教育長ら市教委幹部が「問題解決を遅らせた」として処分を受けた。 
 この教員は、平成十年春の卒業式と入学式当日、校庭に掲揚されていた国旗を無断で降ろしたうえ、校長印のない通知表を担任学級の児童らに配布した。このため、校長が全児童宅を回って印鑑を押す事態になった。 
 市教委は校長ら学校側の報告をもとに教員を事情聴取しようとしたが、教員が加盟する大阪教育合同労働組合の組合員ら数十人が押しかけたため、当時の市教委幹部は組合側と「本日の聴取はペンディングにする」などとする覚書を交わし、市教委はその後、調査を打ち切った。 
 ちょうど同校の新年度PTA役員を決める時期で、学校側はこの教員を「書記」とすることを決めたが、府教委の調べなどによると、教員は、国旗問題以外にも平成九年から十年にかけ、男児のしりをかんだり、児童に再三体罰を加えたりしており、不信感を募らせていた保護者側は教員の役員就任を再三、拒否。にもかかわらず、翌十一年三月、教員は「学校代表」という肩書で学校と保護者の窓口になった。 
 学校関係者は「迅速に処分してくれたら男性教員がPTAの役職につくことはなかった。覚書は知らなかったが、校長はこの教員を抑えることができなかったようだ」と話している。
さらに、以下のような常軌を逸した事件もありました。

昭和五十九年に起きた小学二年生に、「君が代」ではなく北朝鮮の民衆歌「白頭山」を歌わせていた事件があり、「豊中市 君が代 白頭山」で検索するとすでにリンク切れではあるが痕跡が残っていました。これは、無論のこと朝鮮の歌です。

その痕跡は、『基調報告』と題するタイトルで以下のようなものです。

”1984年の豊中市立庄内西小学校で、自主プリントを使用し「白頭山」の歌を教えた教育実践に対して攻撃が加えられました。この攻撃は、校区、市議会から、「北朝鮮偏向教育」として中央の週刊誌にも取り上げられるところとなり”とあります。


これらの酷い「やりすぎ平等教育」はその後の、橋本氏による大阪教育改革につながっていったのです。

こうした日教組的価値観を全否定しているのが、森友学園の教育方針です。森友学園が運営し、園児に教育勅語を暗唱させることで知られる「塚本幼稚園」も2003年ごろは、ちびっこ相撲をやったり、幼児ラグビーをやったりというユニークな情操教育で、「朝日新聞」にも取り上げられる普通の幼稚園でした。それが第一次安倍内閣の06年ごろから変わっていきました。

この時期に「在特会」が設立されたことからもわかるように、日教組や労組、そして「朝日新聞」に代表される左派リベラルに対する不信感が社会に広まり始めたタイミングで、「森友学園」が誕生したのは偶然ではないのです。森友学園は、行き過ぎた左派リベラルへの反発から生まれた存在という見方もできます。

豊中のように、公然と「行き過ぎた平等教育」が公立の学校行われれば、そのような学校には自分の子供を通わせたくない父兄の中には、森友学園の教育方針に賛同する人々も多く存在したし、いまでも存在すると思います。

森友学園の問題を追求するなら、日教組が公立の学校で行ってきた「左翼教育」にもスポットライトが当てなければ、バランスをかくだけではなく、本質的な問題が置き去りにされてしまうことになります。

高橋洋一氏の主張するように、あまりにも資産売却に不熱心な財務省の姿勢を国会で追求すべきであるということも重要ですが、以上のようになぜ現在の森友学園が誕生したのか、その背景も忘れるべきではないです。

【関連記事】

【阿比留瑠比の極言御免】民進党が旧民主党時代から投げ続けてやまない「ブーメラン現象」の研究―【私の論評】脱力感炸裂の今の民進党の救世主は馬淵氏だけ(゚д゚)!

【流行語大賞トップ10】俵万智さん「『死ね』が世の中動かした」「こんな言葉を使わなくて良い社会に」―【私の論評】「日本死ね」を正当化する人々には「日本から出て行け」と言いたい(゚д゚)!


2017年3月8日水曜日

米韓演習中に北ついに挑発!軍事的な対抗措置も 中国も交え一触即発の緊張感―【私の論評】現実味を帯びてきた金正恩斬首作戦(゚д゚)!


今月1日に始まった米韓合同演習「フォールイーグル」
 トランプ政権が誕生して初めてとなる米韓軍事演習が1日に始まった。昨年の演習には、米軍約1万5000人、韓国軍約29万人が参加したが、今年はそれより大規模になり過去最大となる予定だ。

 トランプ政権になったことで米国のアジア戦略も大きく変更しそうだ。オバマ前大統領は当初、中国の海洋進出に対してそれほど反発するでもなく、極端にいえば黙認する形だった。

 その後、南シナ海での中国の軍事的な動きが急速に進むと、かなり警戒するようにはなったが、当初の中国に対する寛容的な政策が、北朝鮮の核・ミサイル開発を助長させたといっていいだろう。

 一方、トランプ大統領は、選挙期間中、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と話をしてもいいと発言したことで、対話路線かと思われた。しかし、今では「(正恩氏は)チャンスを逃した。もう遅い」と言い切っている。

 先日行われた日米首脳会談で、中国や北朝鮮の情報を安倍晋三首相から直接聞いているのだろう。安倍首相との夕食時に入ってきたミサイル発射を受けて共同で記者会見を開いたことをみても、北朝鮮の傍若無人ぶりにかなり憤っているはずだ。

 また、トランプ大統領は、国防費を10%程度増額することを表明している。増額された国防費はホルムズ海峡や南シナ海などでの支出に充てられるだろうが、トランプ氏は「衰えた米軍を再建する」とも述べている。こうした意味において、朝鮮半島の安定化においても、米軍のプレゼンスを高くするつもりだろう。

 加えて、マレーシアで起きた正恩氏の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏殺害事件について、北朝鮮が国家ぐるみで行った疑いが強まり、朝鮮半島は緊迫度を増している。国際会議の場でも、韓国側が「北朝鮮による犯行」と断言すれば、北朝鮮側は「韓国による政治利用、プロパガンダだ」と激しく応酬している。

 正恩体制は、政権当初から挑発姿勢であったために、いまさら後には引けなくなっている。米韓軍事演習に対し、「超強硬な対応措置で立ち向かう」と反発する談話を発表しており、2カ月に及ぶ軍事演習中にも、核実験を含めた挑発行為に及ぶ可能性はかなり高いといわざるを得ない。

 そして6日、北朝鮮はミサイル発射を行ってしまった。米韓は軍事演習中なので、そのまま軍事的な対抗措置に入り、事態がエスカレートする可能性もあり、予断を許さない。

 ここ2カ月間の米韓軍事演習中には、危険な要素が至るところに転がっている。

 軍事演習の場所は機密なので非公表であるが、仮に米原子力空母が朝鮮半島西側の黄海に入ることなれば、中国もすぐに反応して緊張感が走るだろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)


【私の論評】現実味を帯びてきた金正恩斬首作戦(゚д゚)!

史上最大規模となる米韓合同軍事演習が1日始まりました。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長率いる北朝鮮の核や弾道ミサイルの開発をけん制し、挑発には強力な報復を行うと警告する姿勢を示します。正恩氏の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏殺害事件などを受け、朝鮮半島情勢は緊迫しています。北朝鮮が新たな挑発行為に出た場合、ドナルド・トランプ米大統領がアジアと世界の平和と安定を守るため、正恩氏を排除する米軍特殊部隊主導の「斬首作戦」を決断することも十分ありそうです。

上の高橋洋一氏の記事は、それに対する警告も含んでいるものと思います。これだけ、具体的な軍事的な脅威が迫っているにもかかわらず、日本では国会で日々くだらない、審議ばかり行われいることへの批判でもあると思います。

ブログ冒頭のの高橋洋一氏にもあるとおり、北朝鮮の挑発で韓半島の緊張が頂点に達する場合、米核空母が西海(黄海)に進入する可能性も排除できません。

北朝鮮の首都、平壌(ピョンヤン)は朝鮮半島の北西部にある。確かに、世界最強の米原子力空母が黄海に入れば、正恩氏に逃げ場はなくなります。1日始まった米韓両軍の合同野外機動訓練「フォールイーグル」には、空母「カール・ビンソン」が参加しています。さらに、横須賀には空母「ロナルド・レーガン」もいます。つまり、極東に二空母艦隊が集結している異例の状態です。

今月2日には、原子力潜水艦「サンタフェ」も横須賀に入港。この「サンタフェ」は、ロサンゼルス級といい、空母打撃群の直衛であり、トマホーク巡航ミサイルなどの「対地火力投射」能力を持つといわれています。

USS Santa Fe (SSN-763)
最新鋭ステルス戦闘機「F35B」や、強襲揚陸艦を参加しています。これは、「正恩氏への『斬首作戦』の準備は完了した」という米国の強烈なメッセージといえそうです。

米韓両軍は、韓国と周辺海域で合同野外機動訓練「フォールイーグル」を4月下旬まで続けます。

13日からは、朝鮮半島有事の際の米軍の増援や指揮態勢を点検する合同演習「キー・リゾルブ」も開始されます。

韓国メディアは、米原子力空母「カール・ビンソン」や、イージス艦、原子力潜水艦を含めた空母打撃群が参加予定と報じています。

加えて、超音速で敵地に侵入する米戦略爆撃機B1B「ランサー」や、「死の鳥」の異名を持つ同B52「ストラトフォートレス」、空飛ぶ円盤のような形状をしたステルス爆撃機B2「スピリット」、米軍が誇るステルス戦闘機F22「ラプター」などが、朝鮮半島に飛来することになっています。

昨年の演習では、北朝鮮首脳部、つまり正恩氏の暗殺を意味する「斬首作戦」の訓練が初めて行われ、米陸軍の特殊部隊「グリーンベレー」や、米海軍の特殊部隊「ネービー・シールズ」、韓国の陸軍特殊部隊が参加しました。今回も同様の訓練が行われるとみられますが、北朝鮮の暴走もあって、緊張度は高まっています。

北朝鮮は、日米首脳会談(2月10日)をけん制するように新型中距離弾道ミサイルを日本海に発射しました(同12日)。北朝鮮の国家的関与が疑われる正男氏殺害事件(同13日)では、化学兵器禁止条約で製造・保有が禁止されている猛毒の神経剤VXが使用されました。さらに6日、弾道ミサイル4発を日本海に向けてほぼ同時に発射しました。



このような状況の中で、今回の米韓合同軍事演習をどう見るべきでしょうかか。トランプ氏が大統領に就任したことで米国は変わりました。今回は単なる軍事演習ではありません。

オバマ前大統領は、軍が『北朝鮮を放置するのは危険だ』『核・ミサイル開発が限界を超える』と進言しても、『戦略的忍耐』と言って動きませんでした。しかし、トランプ大統領は違います。

大統領選では、『正恩氏と話してもいい』と最後のチャンスを与えていましたが、北朝鮮が反応しなかったため、『正恩氏排除=北朝鮮の体制転換』を決意したようです。中国に『米軍の作戦計画の黙認』について事前協議を申し入れたとの情報もあります。2月の習近平国家主席との米中電話首脳会談でも、この話は出ているはずです。

トランプ氏が、正恩氏を見限った可能性が高いことは、最近のニュースからもうかがえます。

トランプ氏は2月23日、ロイター通信とのインタビューで、正恩氏との直接会談について「もう遅すぎる」と語りました。

米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は同月24日、ニューヨークで計画されていた北朝鮮外務省の崔善姫(チェ・ソンヒ)北米局長と、米政府の元当局者による接触が中止になったと報じました。米国務省が崔氏へのビザ(査証)を発給しなかったというのです。

昨年6月23日、北京の北朝鮮大使館前で笑顔で
取材に応じるチェ・ソンヒ外務省米州局副局長
米韓合同軍事演習を意識したのか、トランプ氏は同月27日、中国の楊潔チ国務委員(外交担当)とホワイトハウスで会談しました。会談内容は公表されていませんが、ショーン・スパイサー米大統領報道官は「安全保障上の共通の利益」について話し合ったと明かしました。

最近、北朝鮮では正恩氏による粛清の数が増えています。トランプ氏も『常軌を逸している』と判断していることでしょう。米軍が、正恩氏の近くに協力者を確保し、地下の秘密部屋の位置や、逃亡経路も把握したとの情報もあります。軍事演習中に挑発行為に出れば、一気にゴーサインが出てもおかしくない状況です。

昨年も今回と同じような米韓合同演習が実施されており、そのときにも金正恩斬首の噂もあったのですが、昨年はまだオバマ政権であったので、おそらく実行されないだろうと思っていましたが、今年はどうなるかは本当ににわかりません。

金正恩の正確な位置が確認されたり、その他の様々な条件が揃えば、今年は実行する可能性が大です。

米空母「カール・ビンソン」といえば2011年5月、国際テロ組織「アルカーイダ」の最高指導者、ウサマ・ビンラーディン容疑者の遺体を、アラビア海で水葬したことで知られます。正恩氏の葬儀も、同艦で行うことになるかもしれません。

【関連記事】

【スクープ最前線】“新”正恩氏斬首作戦 トランプ氏「最終決断」秒読み…特殊部隊の単独作戦で「すでに待機」―【私の論評】正恩は、習近平によって斬首される(゚д゚)!


【正論】自ら首絞めた北の正男氏暗殺 中国と関係悪化、国際的孤立が深化した 東京基督教大学教授・西岡力―【私の論評】日本は正男殺害に関心を奪われ、重要な問題をなおざりにしている(゚д゚)!



2017年3月7日火曜日

「喜び組」の定年は25才 口にするのも…な酷い罰ゲームも―【私の論評】北朝鮮ではなく金正恩個人の統治の正当性をせめよ(゚д゚)!

「喜び組」の定年は25才 口にするのも…な酷い罰ゲームも

上海の北朝鮮料理店での喜び組「歌謡組」と
おぼしき女性 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 『喜び組』--その名前を耳にしたことのある人も多いだろう。1984年12月に、金日成国家主席に次ぐナンバー2だった金正日総書記(当時は書記)に「喜びを与え」「休息を確保する」目的で結成された組織。そもそもは、芸術好きの金正日の歓心を買うため、党幹部たちが北朝鮮では最高レベルとされた『万寿台芸術団』の踊り子などを接待係として、パーティーなどに動員したのが始まりだった。大阪生まれの在日朝鮮人で、踊り子からファーストレディーになった金正恩の母・高英姫もこれに所属していた。

『喜び組』は3つの部隊に分かれるとされる。

歌や踊りを習得し、パーティーを華やかに演出する「歌踊組」、マッサージで慰労する「幸福組」、そして性的サービスを担当する「満足組」だ。北朝鮮の内情に詳しいジャーナリストの惠谷治さんは語る。

「メンバーは18才から25才までの選りすぐりの美女。朝鮮労働党の組織指導部第5課という人事を担当する部署の職員が、全国の学校を回って、美人学生を物色するのです。

毎年、北朝鮮全土から選ばれる女子の数は約300人ともいわれます。それから厳格な健康診断を経て、最終的に50人ほどが選ばれます。『喜び組』に入る絶対条件は処女であること。そして金正日好みの細身ではあるけれど、丸顔でふっくらした顔立ちでなければいけません」(惠谷さん)

最終的に『喜び組』に選ばれると「護衛司令部」という、金総書記の警護部に配属され、少尉として遇されることになる。給与なども将校レベルが保障され、一般の労働者の2倍から3倍といわれるが、それだけではない。

「このほか特別配給があり、祝日などには食料や布施など、一般市民には手に入りにくい品が両親など家族に届けられます。ただし将校だから高待遇というよりは、口止め料と考えるのが正しいと思います。実際喜び組に選ばれた段階で、『活動内容を口外しない』という誓約書を書かされるといいます」(惠谷さん)

それも当然。活動実態は、口外がはばかれる内容だからだ。その実態について、1995年に北朝鮮から韓国に亡命した元喜び組の申英姫さんが、著書『私は金正日の「踊り子」だった』で詳しく暴露している。


申英姫さんは1961年生まれ。北朝鮮の平城芸術専門学校を卒業し、1981年、前述した『万寿台芸術団』へ入団。そしてまもなく金正日総書記も出席するパーティーへの出席を指示される。同書によれば、会場には当時の北朝鮮の最高幹部約20人が顔を揃えていた。1984年になって、喜び組が正式に組織化されると、申英姫さんはその一員に選ばれ、「曲芸組」と呼ばれたグループの踊りについてこう触れている。

 《舞台に上がった曲芸組の衣装は、ブラジャーで胸をすれすれに隠し、下半身は何もはかないで、赤のショールを巻いただけだった。そんな身なりで刺激的な動きをすると、一部の酔っ払った幹部らは舞台に上がり、曲芸組の赤いショールをこっそりめくってみたり、指で陰部を突ついてみたりした》
週に1、2回開かれる酒宴での接待。こんな罰ゲームを強制されることもあった。

 《金正日が酩酊してしまうまで、パーティーは終わらない。ゲームも行われる。たとえば、カード遊びをやって負けると、男女問わず一枚ずつ服を脱がされたりする》
酔いが回ると、罰ゲームはさらにエスカレートしていく。

《もし男が負ければバリカンでザクザクと髪の毛を刈り、女が負けたら陰毛を刈る、ということさえあった》

惠谷さんが言う。

「『喜び組』が参加するパーティーの実態を知る者は北朝鮮の高官だけ。北朝鮮の一般市民は、喜び組という存在さえ知らないはずです」

当然、喜び組に選ばれる若い女性たちも、申英姫さんが告白したような性の奴隷にされるとは夢にも思っていない。ひたすら国家のため、党のため、偉大な指導者のため、と純粋に信じた結果がこれなのだ。

「『喜び組』は25才が定年となります。高英姫は金正日の目にとまって、子供まで産みましたが、他の女性たちも卒業後は防衛司令部の将校など、身分の高い幹部と結婚することになります」(惠谷さん)

『喜び組』は金正恩政権でも健在だといわれている。妻の李雪主が所属していたと見られている『銀河水管弦楽団』は、2013年8月、韓国のメディアが、ポルノ映像制作などの性的スキャンダルが発覚し、メンバーはじめ十数人が処刑されたと報じた。ファーストレディーとなった李雪主の醜聞を抹消するための処刑という可能性も指摘された。



そんなふうに粛清とともにあった金王朝だが、身内に手をかけたのは今回が初めてだ。これについて『金正日秘録』の著書がある龍谷大学教授・李相哲さんはこう見ている。

「それだけ金正恩の立場が危ういということなんです。金正日は何があっても自分の地位を脅かす人なんていないという自信があったけれど、まだ若い指導者の金正恩にはそこまでの権力がない。金正日の息子だからその座にいるという現実が、彼を疑心暗鬼にさせているんだと思います。(マレーシアで殺害された長男の)金正男自身は政治に興味がなかったのですが、例えば金正男が生きている限り、金正恩に敵対する勢力が金正男をまつりあげる可能性はゼロではありませんから」

国際事情にくわしいジャーナリストのなかでは、金正日が最期まで重用した金正恩の異母姉にあたる金雪松が拘束され、まもなく暗殺されるのではないかと噂になっている。同様に、チェコ大使を務める金正日の異母弟・金平一の命も狙われているとの情報も飛び交っている。

※女性セブン2017年3月16日号

【私の論評】北朝鮮ではなく金正恩個人の統治の正当性をせめよ(゚д゚)!

妻の李雪主が所属していたと見られている『銀河水管弦楽団』に関するスキャンダルとは以下の様なものです。

これは、2013年10月07日 の東スポウェブからの引用です。
 北朝鮮の金正恩第1書記が、李雪主(リ・ソルジュ)夫人を主要行事に同伴させる回数をめっきり減らしている。これは李夫人が過去に起こした下半身スキャンダルに正恩氏が苦しんでいるからだという。
李雪主(リ・ソルジュ)夫人
 李夫人は、先月(ブログ管理人注:2013年9月)15日に平壌で行われた国際重量挙げ競技大会を観戦して以来、2週間以上も公の場に姿を現していない。正恩氏の平壌文殊文繡水泳場訪問(22日)に随行するとみられていたが結局、現れなかった。 
 朝鮮半島情勢に詳しい関係者によると、北朝鮮の公安当局はポルノビデオを観賞及び出演した罪で公開銃殺刑にされた正恩氏の元恋人で国民的歌手、玄松月(ヒョン・ソンウォル=本名ハン・ソンウォル)さんに関する調査を行った。その中で、李夫人の下半身に関する衝撃情報を正恩氏が知ることになり、公式行事に連れて行くことを避けるようにしたようだ。 
玄松月(ヒョン・ソンウォル=本名ハン・ソンウォル)
「玄さんと一緒に銀河水管弦楽団の団長が逮捕されましたが、同楽団には李夫人も所属していた。逮捕後の取り調べで、ある楽団員が『李雪主も私たちと同じように男と楽しく遊んでいた』と供述したんです」と日本の公安関係者は明かす。 
 李夫人は音楽的な才能が認められた子女が通う中学を卒業後、中国に留学し声楽を専攻。その後、銀河水管弦楽団で歌手として日本や韓国を訪問した経験がある。2005年、韓国・仁川広域市で開催されたアジア陸上競技選手権大会では北朝鮮選手を応援する“美女軍団”のメンバーとして注目を集めた。 
 朝鮮半島情勢に詳しい関係者は「北朝鮮女性の初体験は早い。昨年、北朝鮮の子女の間で最も人気を集めた商品はコンドームでした。また、地方都市の中学校6年生(16歳)全員を対象に、軍入隊身体検査を実施したら女子生徒の60%以上が非処女だった。処女が条件の『喜び組』に入れる生徒もいなかったとか。李夫人も、同じ年代でSEX経験者だった可能性があります」と指摘した。 
 故金正日総書記は、高英姫夫人の万寿台芸術団時代の過去を徹底的に消すことに成功した。 
 だが、正恩氏にとって李夫人の偶像化が困難になったことは確かなようだ。
そもそも、高英姫自身にも問題がありました。高英姫が大阪生まれの在日朝鮮人だったということです。

金日成氏から三代続く世襲政治は、もはや社会主義体制というより封建体制、王朝体制であり、日成氏を始祖とする「白頭の血統」が今の金正恩体制の拠り所となっています。金正恩体制が目指す先にあるのは「李氏朝鮮」ならぬ「金氏朝鮮」なのかもしれません。

しかし「白頭の血統」を強調すればするほど、そこに隠された最大のアキレス健も浮かび上がってきます。

なぜなら、正恩氏は、元在日朝鮮人帰国者の高ヨンヒ(高英姫)が実母だからです。

高ヨンヒが大阪鶴橋生まれの在日朝鮮人であることは既に知られています。一時期、高ヨンヒの出自に関しては「プロレスラー高太文の娘」という説が流れていたましたが、この説は完全な誤りです。彼女は高京澤(コ・ギョンテク)の娘であったことが明らかになっています。

高ヨンヒの日本での朝鮮名は「高姫勲」で日本名は「高田姫」だったのですが、北朝鮮へ帰国後「高ヨンジャ」と名前を変え、最終的に「高ヨンヒ」の名前を使用することになっったのです。1973年には万寿台芸術団の舞踊家として来日しています。


上の写真は本紙が公演スケジュールを全て終え、新潟から北朝鮮へ帰る時に撮影された貴重なスナップ写真です。

高ヨンヒに関しては2012年に労働党幹部向けに配布された「記録映画」が北朝鮮当局によって回収する騒ぎがありました。金正恩の母親の偶像化を目的とした記録映画だったのですが、一般住民にまで出回り「不都合な真実」が広まることを北朝鮮当局が恐れて回収に乗り出しまし。

「不都合な真実」とはまさに「白頭の血統の頂点に君臨する金正恩同志には在日朝鮮人帰国者の血が流れている」ことでした。

それだけではない。高ヨンヒの父親・高京澤は、戦時中日本陸軍管轄の工場で働きました。これは北朝鮮の尺度からすれば「親日派」になります。戦後は日韓を往来する密航船で大もうけし何人もの愛人を囲ったのですが、北朝鮮からすればこの経歴も許しがたいものでしよう。

2012年の記録映画回収騒ぎ以後、高ヨンヒに関する話は一切出て来ません。彼女の存在を際立たせれば際立たせるほど、白頭の血統の正当性が揺らぐからでしょう。

しかし北朝鮮体制の行方を左右する正恩氏と与正氏兄妹が、在日朝鮮人である高ヨンヒから生まれたことは逃れられない「事実」です。

※高ヨンヒは一般的に「高英姫」と漢字表記されるが、これは誤りです。韓国語表記の「ヨン」は二種類あって高ヨンヒの場合は「英姫」にならない。当時の北朝鮮では既に漢字を使っていなかったために漢字名は不明ですが、彼女が舞踊家だったことを考えると「踊姫(ヨンヒ)」も考えられます。

李雪主夫人に関しては、北朝鮮内でも人民にはあまり人気は高くはないようです。以下にそれを示す、Dairy NKのリンクを掲載します。
「芸人が国母とは」…李雪主非難世論拡散
金正恩の夫人、李雪主に対する北朝鮮住民の否定的な世論が急速に拡散しているという。2012年7月に北朝鮮メディアに公式に登場した彼女が、人民に親しい社会主義の気風に相応しくない華麗で豪華な装いをし、出身成分を重要視する北朝鮮において銀河水管弦楽団出身者が最高指導者の夫人になるとはとの世論が若い層を中心に広まっていると消息筋が伝えてきた。 
特に家父長的な北朝鮮社会で、高齢の高位幹部らが20代中盤の李雪主に90度のお辞儀をすることに対し、住民は強い拒否感を見せている。また国の運営において金正恩をまともに補佐することができるのかと批判世論も拡散している。 
25日、平壌をはじめ咸鏡北道や両江道の消息筋によれば、北朝鮮住民の間で李雪主に対し ▲「歌、踊りをしていた芸人が国母とは…」 ▲「化粧、おしゃればかりで共和国に関心はあるのか」 ▲「祖父のような幹部が青二才の娘に90度で挨拶するのは見苦しい」 ▲「国の政治に理解などあるわけがない」などの非難が相次いでいるという。
平壌の消息筋は同日、デイリーNKに「北朝鮮住民の間では将軍様の夫人の李雪主同志に対する非難が若い層を中心に拡散しており、北朝鮮当局がこれを防ぐために苦労している。李雪主同志に対し、旅芸人、芸人、贅沢者などと否定的な発言が出ている。数十年間共和国を率いてきた老幹部が若い娘の李雪主に90度に腰を曲げて挨拶するのを見た住民は、最初は顔をしかめる程度だったが、最近では見苦しいと口に出して話している。共和国が食糧事情が悪く配給もない状態なのに、あのようにおしゃればかりに気を使う人間(李雪主)を我が共和国の国母と言うのは無理があるとも話している」と伝えてきた。
以上から、母親から、夫人にいたるまで、スキャンダルに悩まされる金正恩の苦悩が浮かび上がったものと思います。以下に、金正恩一族のに家系図を掲載しておきます。



さて、ブログ冒頭の記事では、『喜び組』のなかでも、「歌踊組」であったと思しき申英姫さんの証言がでています。

喜び組(本来の日本語訳は、喜ばせ組)の中でも満足組はさまざななテクニックを持っているようで、事実様々な訓練が行われていたことが明るみに出ています。

現在は配信が中止になっている「週刊現代Online」の過去に金正日の満足組だった脱北者からの証言に関する過去の記事(魚拓に残っていたもの)をそのまま一部を抜粋して掲載します。この記事は、満足組であった脱北者が受けた性的訓練の内容です。
【レッスン1 お酒を注ぐ】「男性がその気になるような恰好をしてお酒を注ぐ練習をしました。いちばん恥ずかしかったのは、ショートパンツくらいの丈しかないミニスカートで、ストッキングは穿はかずに下はパンティだけ。その上はブラジャーを着けずキャミソールのような衣装でした。そうしたコスチュームを着て、伝統舞踊をアップテンポで踊りながら、お酒を注ぐ訓練もするのです」 
 当然、肌を密着させ、胸や腰を男の目に晒さらすように踊ることは言うまでもない。北朝鮮でも韓国でも変わらないが、儒教国家であるため、父親と夫以外に酌をすることは、それを生業なりわいとするホステスを別にすれば、厳しく戒められる。彼女の恥じらいは、われわれの想像を絶するものがある。 
【レッスン2 服を脱がせる】「いま思えば、5課での訓練は、『本当に教育だったのか』と憤りさえ覚える恥辱的な内容のものばかりでした。西洋のポルノビデオを観ながら、セックスのテクニックを学ぶ講義があったことは、前回お話ししました。実はビデオの女優と同じことができるようになるための訓練もさせられていました」 
 喜び組の同期生は彼女を含め14~15人いた。男性を喜ばせる“実技”の実習は、女性同士二人一組になって行われたのだという。 
「まず、上手に男性の服を脱がせなくてはいけません。相手の体を愛撫し、さらに自分の服も、お酒を注ぐときと同様、伝統舞踊を舞いながら脱ぎます。男性がその気になるように、自分の体をアピールしながら脱いでいくのです。日本では『ストリップ』というのですか。 
 教室は四方が鏡張りになっていて、教官から名指しされたら、同期の見ている前で服を脱がなくてはなりませんでした。教官は口頭でしか説明してくれず、後は自分で考えてやるしかありません。腕が伸びきっていなかったり、少しでも動きにためらいがあると叱責されて、教官のOKが出るまで何度でもやり直しをさせられました」 
【レッスン3 体を洗う】「男性の体の洗い方も女性同士で、練習しました。まず髪を洗い、次はスポンジにボディソープをつけて泡を立て、体を洗うのです。もちろん、ただゴシゴシと洗うわけではありません。スポンジを持っていない手で相手の体を優しく撫でながら洗うのです」 
【レッスン4 キスをする】「キスの実技もありました。すぐに唇を重ねてはいけないのです。最初は相手の上唇を舐めて、次に下唇を舐めてあげてから唇を重ねます。そして唇と歯の間に舌を入れ、歯一本一本の歯茎をゆっくりと舐めてあげると、男性が気持ち良くなると教わりました」 
【レッスン5 フェラチオ】「いちばん難しかったのは、男性のあそこ……シンボルへの愛撫でした」 
 取材するにあたり、本誌の女性記者が「フェラチオ」「性感帯」などの単語を用いて質問しても、金さんはそうした言葉をまったく知らなかった。彼女は、女性教官から教えられた行為のひとつひとつを憶えているだけで、セックスにまつわる行為に興味を抱いているわけではなかった。 
「教官は『女性が口を使って男性器を愛撫すれば、男性は必ずといっていいほど悦ぶ』と教えてくれました。すべて口頭で教わったのですが、ただ口に入れればいいというわけではありませんでした。 
 まず、男性器全体を口の中に入れます。頬をすぼませて息を吸いながらゆっくりと吸い上げて、先端のほうに着いたら、またゆっくりと口の中に入れていく。それを繰り返しながら、手は睾丸や脚の付け根、腰の周りなど感じやすいところを撫で回すのです」 
【レッスン6 いつでも金総書記を悦ばせる気持ちで】 喜び組の訓練では、悦ばせる対象となる男性として、常に金総書記を想定することを厳しく言い渡されていた。だから、こんな想定問答までさせられたという。 
「もしも総書記がセックスの最中にオナラをしたとしたら、どう反応すればよいと思いますか? 聞こえなかったふりをするという答えは、不正解です。そのような時は『総書記のオナラは、最高級の香水よりも素晴らしい香りがいたします』と誉め称えなければなりません」
以上満足組の訓練まで、掲載してきましたが、結局このようなスキャンダルが次々と出て来るということは、 金正恩の統治の正当性が低いということが原因です。

金日成氏から三代続く世襲政治は、もはや社会主義体制というより封建体制、王朝体制です。金日成が日本と戦って、北朝鮮の独立を勝ち得たというわけでもなく、結局当時のソ連の影響下で独立したといことで、そもそもこの時点から金日成の統治の正当性そのものに、あまり根拠がありません。

さらに、昨日このブログに掲載したように、金日成そのものが、そもそも英雄であった金日成ではなく、替え玉であったこと、それを隠蔽するためにも白頭血統が捏造されたのです。

正恩氏が、正男氏殺害を決断したとされる背景には、亡命政権構想の関係者と正男氏が接触していたことが指摘されています。亡命政権の誕生は、正恩氏の政治的生命を脅かし、場合によっては死にも直結します

だからこそ、正恩氏は殺害を急いだとみられています。


そうして、過去にも、正恩氏が過敏に反応したケースがあります。それは、いずれも、北朝鮮で「最高尊厳」とあがめられる正恩氏の権威を著しく傷つけるものでした。

一つは、国連決議をめぐって、正恩氏を国際刑事裁判所に訴追しようとする動きがあったときです。北朝鮮は外相を15年ぶりに訪米させ、欧州には朝鮮労働党で国際問題を担当している書記が送り込まれました。

もう一つ、韓国から北朝鮮に向けて飛ばされている風船ビラに、正恩氏の妻、上にも掲載した李雪主(リ・ソルジュ)氏のセックススキャンダルが記されていたときです。正恩氏は「絶対やめさせろ」と指示したとの情報があります。

一連の事例から分かるのは、正恩氏は北朝鮮に対する批判にはそれほど反応しないのですが、正恩氏個人の尊厳に危害が及ぼうとすると、敏感に反撃に出るということです。

正男氏殺害事件を受け、正恩氏を動かそうとする試みも始まっています。北朝鮮向け短波ラジオ放送「しおかぜ」は2月25日から、番組で殺害事件や北朝鮮ではタブーとされる正恩氏の母、高英姫(コ・ヨンヒ)氏の「在日朝鮮人」という出自にも触れています。



しおかぜを運営する「特定失踪者問題調査会」の村尾建兒(たつる)専務理事は「金正恩氏を煽(あお)る情報を送れば、何か変化が起きるかもしれない。正恩氏を刺激することで、拉致の交渉に乗ってこないともかぎらない」と話しています。

これまでの北朝鮮の反応を見れば、北朝鮮への情報注入が事態を動かす1つの契機となる可能性は十分あります。

このような情報を流すということは、間接的にではありますが、金正恩氏の統治の正当性を脅かす方向に動くのは間違いないです。

そもそも、このブログで以前から掲載しているように、元々統治の正当性の低い金正恩氏は、それを補うために、核ミサイルを打ったり、一連の粛清を行ったり、金正恩氏の暗殺に手を染めているのです。

もし、金正恩氏の統治の正当性が高いものであれば、わざわざこれらのようなことを連発する必要性などありません。

北朝鮮の統治の正当性を脅かすようなことには、金正恩氏は国全体で対処することができますが、個人の統治の正当性に対する脅威に関しては、個人で対応するしかありません。

個人の判断には、ミスが大きくつきまといます。北朝鮮ではなく、金正恩氏個人の統治の正当性への攻撃のほうがこのミスを招かせる確率がはるかに高いです。金正恩氏か大きなミスをした場合、確かに日本が拉致被害者問題におおきくつけいる隙を与える可能性は大きいです。

【関連記事】

「金正恩はもう死んでいる!?」安倍官邸が摑んだ仰天の影武者情報―【私の論評】白頭山血統も出鱈目な北朝鮮の現体制に統治の正当性はない(゚д゚)!


【スクープ最前線】“新”正恩氏斬首作戦 トランプ氏「最終決断」秒読み…特殊部隊の単独作戦で「すでに待機」―【私の論評】正恩は、習近平によって斬首される(゚д゚)!


日本保守党・百田代表「政府の怠慢」「制裁が足りない」初出席の拉致集会で政府批判 「日朝国交正常化推進議連」の解散も要求―【私の論評】日本とイスラエルの拉致被害者扱いの違いと国民国家の責任

日本保守党・百田代表「政府の怠慢」「制裁が足りない」初出席の拉致集会で政府批判 「日朝国交正常化推進議連」の解散も要求 まとめ 百田尚樹代表は、国民大集会で日本政府の北朝鮮による拉致問題への対応を「怠慢」と批判し、経済制裁の強化を求めた。 他の政党や超党派の「日朝国交正常化推進議...