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2017年3月10日金曜日

ついに東京新聞が私のコラムを「ボツ」にした―【私の論評】日本のリベラル左派は、彼らの使命を「政権や権力と戦う事」と考え無間地獄に陥り堕落している(゚д゚)!


異論は許さない、ということなのか

                                                 長谷川 幸洋   プロフィール

長谷川幸洋氏 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 ボツになったコラムを公開しよう

東京新聞がいよいよ、おかしくなってきた。TOKYO MXの番組「ニュース女子」の沖縄特集で私が司会を務めたのを理由に、私を「降格処分」したのは多くの読者がご承知だろう。それだけでなく、今度は同紙に書いた私のコラムを「ボツ」にしたのだ。

結論を先に言えば、私はこちらの方が番組よりも深刻な問題をはらんでいると思う。なぜなら、これは「言論の自由」を侵害しただけでなく、東京新聞が「自社への批判は許さず、異論は掲載しません」と宣言したに等しいからだ。

これまで、私はひと月半に1回くらいの割合で「私説」という小さなコラムを書いてきた。だが、その私のコラムも終わりかもしれない。ボツになったのは今回が初めてだが、今後も内容次第でボツになる可能性がある。

自分で言うのも気が引けるが、紙面全体が圧倒的に左に傾く中で、たまに私のコラムが掲載されることで、かろうじて東京新聞がバランスに配慮するアリバイ証明になってきた。左に批判的な立場は事実上、社内では私くらいしかいない。

私のコラムが終わりなら、東京新聞は今後、左に傾いた記事や論説、コラムしか掲載しない新聞になるだろう。それでいいのだろうか。

まず、ボツになった問題のコラム全文を以下に紹介しよう。タイトルは「東京新聞の事なかれ主義」だ。

ーーーーー
◆東京新聞の事なかれ主義

私が司会を務めるテレビ番組「ニュース女子」(TOKYO MXなど)の沖縄特集に関連して、東京新聞は3月1日付で私を論説副主幹から論説委員に降格した。

深田実・論説主幹は先に放送内容が「本紙の報道姿勢および社説の主張と異なる」「事実に基づかない論評が含まれる」ことなどを理由に、私の出演を「重く受け止め、対処する」と紙面に書いていた。これを受けた「処分」であるのはあきらかだろう。

私が他のメディアで何を語ろうと、もちろん私の自由だ。にもかかわらず、私の意見が本紙の論調と異なることを理由に処分するのは、言論の自由に対する侵害である。

主幹は「事実に基づかない論評」が具体的に何を指すのか、あきらかにしていない。そもそも私は司会者であり、主に発言したのは他のコメンテーターたちと地元住民である。これでは反論のしようもない。

私が処分の理由を問うと、主幹は「そこは大人の対応で」などと言葉を濁した。問い詰めると「副主幹の立場で出演したのが問題」という。私がラジオで批判し数日経つと「あくまで定期異動」とも説明する。基地反対派には処分した体裁をとりつつ、私には定期異動と言い逃れしているのだ。

まさにサラリーマンの事なかれ主義ではないか。そんな情けない姿勢の主幹では言論の自由は守れない。(長谷川幸洋)

ーーーーー

お分かりのように、これはニュース女子騒動に関連して、私を論説副主幹から論説委員に降格した人事を批判した内容である。人事発令前の経緯については、2月10日公開コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50947)で紹介したので、繰り返さない。

その後、3月1日に正式に発令されたことは、3日公開コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51107)の末尾でごく簡単に触れた。私は発令を受けて、まずは東京新聞紙上で私の考えをあきらかにしようと考えて「私説」という欄に上記のコラムを書いた。

コラムはゲラになって6日午後、私の手元にファクスで送られてきた。ところが掲載予定前日の7日午前に深田主幹から私の携帯に電話があり、私が受け損なうと留守電に「君の『私説』は使いませんから、という連絡です」とメッセージが残っていた。

私は後で気が付いて、すぐ電話を計5回、折り返し「電話をいただけるよう」留守電にメッセージも残したが結局、この原稿締め切りまでに返事はなかった。だから、ボツにされた理由はいまも分からない。

ただ、推測はできる。「自社の紙面で論説副主幹から名指しで主幹を批判されたら、たまらない」と思ったかもしれない。だが、問題をこのまま見過ごすわけにはいかないのだ。言論の自由と紙面の信頼性がかかっているからだ。
 ふざけたことを言うな

東京新聞の論調はどうあれ、私の言論の自由は守られなければならないのは当然だ。

ところが、深田主幹が紙面に書いたニュース女子をめぐる反省文(先の2月10日公開コラム参照)は、上の私説向けコラムでも紹介したように、放送内容が東京新聞の論調と異なることを理由の1つに挙げている。

東京新聞2日付朝刊1面に掲載された
「『ニュース女子』問題 深く反省」と題した記事
番組で発言したのは、主に2人のコメンテーターと地元住民である。私は司会者だ。番組に出演していた中部大学の武田邦彦教授が指摘していたが、いわば「過激な発言をした人の横に座っていたのがけしからん」という話なのだ。こんな理屈があるだろうか。

「コメンテーターの発言を黙って見逃したのがけしからん」という批判もあるようだが、私は彼らの発言を促すのが役割だ。視聴者はご存知と思うが、あの番組に出てくる識者たちは、みんな私が制止しても喋り続ける、困った人たちばかりなのだ(笑)。

「副主幹の肩書で出たのが問題」というなら、私はこれまで10年ほど論説委員や論説副主幹の肩書でテレビに出演している。この際、はっきり言っておこう。「テレビに出るときは新聞の肩書を名乗ってくれ」と頼んできたのは、実は新聞社の方なのだ。

私がテレビに出演することで、関東地方でマイナーなローカル新聞である「東京新聞」の名前が宣伝になると考えたからだ。それが証拠に、今回の騒ぎが起きるまで「新聞の肩書を名乗るな」などと会社から言われたことは一度もない。

いままで、さんざん私のテレビ出演を宣伝に利用していながら、いまさら何を言っているのか。「ふざけたことを言うな」という話である。これが1点。

次に「事実に基づかない論評が含まれていた」という点はどうか。繰り返すが、私は司会者であって論評する立場ではない。しかもコラムで指摘したように、そもそも「事実に基づかない論評」とは何を指すのか、深田主幹は反省文であきらかにしていない。

百歩譲って、仮に他人が言った論評に「事実に基づかない」部分があったとしても、具体的中身が分からないのでは議論のしようがない。

事実関係については、2月10日公開コラムで書いたように、番組スタッフが取材を続けている。取材の成果は近く公開できるだろう。私はその内容を見て、必要があれば、あらためてコメントする。これが2点目。

根本的な問題に触れよう。なぜ、東京新聞はこんなトンチンカンな対応をしたのか。

そもそも深田主幹は2月2日付で私に対する処分を盛り込んだ反省文を紙面に出す前に、私に出演の経緯や司会者である私の役割、あるいは事実関係について事情を聞いていない。当事者に話も聞かないで、事実上の処分を世間に公表したのである。こんな乱暴な手続きはない。

2月10日公開コラムで書いたように、私は1月30日朝、主幹と面談している。その時点では、主幹は何か紙面で表明したとしても「東京新聞の論調はニュース女子とは違う」程度のことと考えていた。だから、私も「それは、そうですね」と応じた。それだけだ。

それは事情聴取などという代物では到底、ない。

そもそも、面談の目的は私に対する定期異動の内示だった。ニュース女子問題への対応をどうするかについては、話のついでに主幹ではなく「私の方から」持ち出した話題である。いわば雑談だ。

もしも、その時の面談が私に対する処分を前提にした話だったら、穏便な会話になっていたわけがない。私は定期異動というので、快く受け入れた。

証拠もある。

(私はかつて官僚と渡り合った経験から、大事な会合は必ず録音をとるようにしている。「上司と話し合うのに録音とは」と驚かれるかもしれないが、私のような異端児で〈笑〉周囲が落とし穴だらけの人間にとって、その程度は身を守るための基本動作だ。

官僚は重要会合で必ずメモに加えて録音をとる。そういえば最近、野党政治家が官僚を怒鳴り上げて問題になった例があったが、官僚は基本的に政治家との会合を録音しているのを知らなかったのだろうか)

それが2日後に突如、反省文に変わった。その間、私への聴取はまったくなかった。つまり初めから当事者に事情も聞かない、いい加減な手続きで出した反省文であり、だからこそ「反省」を支える論理も奇妙で、穴だらけなのである。

どうして、こうなったか。

それは結局のところ、深田主幹がコトの重大性をしっかり考えていないからだ、ということに尽きる。大事な読者の一部である基地反対派の批判に恐れをなして、あわてて「反省します。論説副主幹には対処します」と言ってしまった。

真正面から私を降格処分すれば、私から反撃を浴びる。だから定期異動という形にして、対外的には「処分」の体裁を整えたのである。まさに「サラリーマンの処世術」というほかない。この類の話は世間にはいくらでもあるだろう。

私が見過ごせないと思うのは、東京新聞が普通の事業会社ではなく、曲がりなりにも言論の自由を掲げている新聞であるからだ。

本来は重職であるはずの論説主幹を事なかれ主義のサラリーマンが担って、その場しのぎで筋が通らない奇妙な反省文を書いている。

それこそが東京新聞の危機なのだ。

【私の論評】日本のリベラル左派は、彼らの使命を「政権や権力と戦う事」と考え無間地獄に陥り堕落している(゚д゚)!

ニュース女子の沖縄特集の番組についてはこのブログでも取り上げたことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
「ニュース女子」騒動と朝日社説 慰安婦の「大誤報」反省せず、現在進行形で海外にたれ流し―【私の論評】「ニュース女子」を巡って大公開討論をすべき(゚д゚)!
朝日新聞の社説
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事でも掲載した、「ニュース女子」の沖縄特集の番組の動画を以下に再度掲載します。


この記事にも掲載したのですが、この動画を見る限り、この報道番組には何らの問題もなかったと私は思います。

この程度のことが問題になるのだったら、それこそ、最近の森友問題で民進党や、マスコミが躍起になってこの問題と安倍総理や夫人を結びつけようとして、あからさまな印象操作をしつこく何度も行っていたことのほうが、余程問題だと思います。

の番組内容が虚偽の内容にあたり、自身の名誉を毀損(きそん)されたとして、市民団体「のりこえねっと」の辛淑玉(シン・スゴ)共同代表が放送倫理・番組向上機構(BPO)放送人権委員会に番組内容の審議を申し立てたことについて、沖縄県民として同番組に出た「琉球新報、沖縄タイムスを正す県民・国民の会」代表運営委員の我那覇真子(がなは・まさこ)さんらが24日、東京都内で会見し、「辛淑玉氏らの行為は言論弾圧だ」と批判しています。

その会見の動画を以下に掲載します。



関西テレビの「そこまで言って委員会NP」では、沖縄の現状に随分前から言及していました。そうして、この番組には長谷川幸洋氏も、出ています。

この番組でも日当を貰ってプロ市民が活動している件や、中国語、韓国語で話していることや、朝生でも、ケントさんが、日当を貰っていることを発言したことを語っていました。

沖縄が異常な状況にあることは、「ニュース女子」で報道するまでもなく、もはや常識だと思います。ネットの記事や動画などをみれば、誰もが異常状況にあることはすぐにわかります。

それにしても、東京新聞には問題がありすぎです。最近でも、問題報道がありました。その問題記事の写真を以下に掲載します。


この記事がなぜ問題なのかについては、このブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
F/A-18に関し誤解を招く恐れのある東京新聞掲載記事に対する在日米海軍司令部の見解―【私の論評】またCNN報道を鵜呑みし垂れ流した東京新聞(゚д゚)!
空母から発艦したF18
この記事は、今年2月23日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事から一部を引用します。

まずは、在日米海軍の見解から一部を引用します。これは、在日米軍本部のフェイスブックに掲載されたものです。
米海軍は前方展開海軍戦力に多額の予算を投じており、最新鋭の航空機を日本に配備しています。日本に配備されている飛行隊には必要とされるリソースはすべて提供され、米海軍厚木航空施設を拠点とするスーパーホーネットは万全に整備されています。またこれらのスーパーホーネットは、米海軍の前方展開戦闘飛行隊を最大限の即応性で維持する為に必要となる、すべての部品と飛行時間を有しています。 
定期的な整備や飛行時間管理など様々な要因により、個々の航空機および飛行隊の飛行スケジュールは多岐に亘っています。しかしながら、東京新聞の記事で引用されていた数字は、即応性や安全性のいずれの傾向をも反映しておりません。
東京新聞のこの記事は、米国のCNNなどが、米軍のFA18の6割近く飛べない状況であることを報道したことを受けて、よく確かめもせずに、 「厚木の米軍機F18 6割飛べず?」というタイトルで、この事実を報道したものです。

FA18というと、運用され始めてから随分たっていますから、全体ではこのような状況なのかもしれませんが、厚木の米海軍FA18は、空母の艦載機でもあり、最前線に位置する部隊でもあります。

米海軍としては、艦載機に関しては優先的に予算や部品を回すようにしているので、稼働率が40%などということはあり得ず、この東京新聞の記事は誤解を招くものであるということで、抗議をしたものです。

このようなこと、それこそ在日米軍に直接照会すれば、すぐにわかるようなことなのに、東京新聞は裏取りもせずにこのような記事を掲載したのです。

東京新聞というと、昨年の暮あたりにも酷い記事が散見されました。それに関しては、BLOGOSの記事が詳細を掲載しています。以下にその記事のリンクを掲載します。
東京新聞の経済デスクが腹黒すぎて草
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。

"

て、周回遅れではありますが、先日の放射脳で安倍ガーの東京新聞があまりにアレなんで、Twitterでもレスしてみました。
まずはこちらがオリジナル



わたしの質問はガン無視 ww


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Isseki Nagae/永江一石 @Isseki3


教えてください。自分には社会保障費は0.4%圧縮してもなお防衛費の7倍も増額するというようにしか見えないんですが、なんで東京新聞はそう受け取るんですか?そもそも元がでかいんだから比率の小さいものとと同じだけ増額したら日本は死にますが。 https://twitter.com/tokyokeizaibu/status/812148231266308096 …
2016年12月27日 16:18

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オツムが弱い放射脳の人には上のグラフ、つまり東京新聞の記事

福祉を削って防衛費に、けしからん

って見えるのかもしれませんが、これ、伸び率を棒グラフにしたもので母数がそもそも違うわけです。つまり500kgの象の体重が40キロ増えた(8%増)のと、60キロの人間の体重が6キロ増えた(10%増)のを比較して、「人間の体重が10%も増えたのに象は8%しか増えてないぞ。象は健康的だ」というようなもの。もともとのでかさが飛んでる。
ただしいグラフ作ってみた。



単位/億円。だいたい母数が全く違うのに伸び率で比較するとか小学生でもやらないレベル。伸び率が問題なんじゃない。いくら金がかかってるのかが重要なわけだし、母数がでかければ同じ金額なら伸び率は相当小さく見える。
"
この記事には、他の事例で防衛予算費の詐欺グラフも掲載されていました。このようなことを見ると、何やら、ブログ冒頭の記事では、長谷川幸洋氏は、東京新聞の「事なかれ主義」を問題にしているようですが、確かにそのような側面もあるのですが、本当に問題なのはそれではないような気がしてきます。

私は、東京新聞の問題の本質は、「政権や権力と戦うのが自分たちの使命」と思い込んでいることにあるのではないかと思います。

これに関しては、長谷川幸洋氏も同じようなことを語っています。それについては、以下のリンクをご覧になって下さい。
【東京新聞「深く反省」】 長谷川幸洋氏が同紙記事に反論 「言論の自由の侵害」「北朝鮮と同じになる」―【私の論評】「ニュース女子」臆することなく、これからも左翼の闇に切り込め(゚д゚)!
ニュース女子出演者 左から杉原杏璃 、脊山麻理子 、重盛さと美
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、 この記事の【私の論評】の中ほどに、長谷川氏の主張を掲載しています。

そうして、その使命を遂行すためには、多少の印象操作など許されると思っているのではないでしょうか。そうして、何度もそのようなことを繰り返しているうちに、多少の範囲をかなり逸脱するのが当たり前になってしまったのではないでしょうか。

だからこそ、上のF18Aの記事なども裏取りもせず平気で報道したり、防衛費の印象操作なども平気でできるのだと思います。

そうして、このような問題は東京新聞だけにとどまらず、リベラル左派全体にみられる問題なのではないかと思います。

私は、現在の日本のいわゆるリベラル左派は、自分たちは日本という国や社会をどうしたいのかという理想も持たずに、単に「政権や権力と戦うのが自分たちの使命」であると思い込み続けてきたため、まともにものが考えられなくなり、「政権や権力」と戦うこと自体が目的、目標になってしまい、無限地獄に陥って堕落しているのだと思います。

そもそも、自分たち国や社会をどうしたいのかという理想がなければ、目的も定まらず、したがって目標も定められず、目標に沿った行動もできずに、ただただ日々を無為に過ごしているだけということに彼らは気づいていないのです。

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2016年2月14日日曜日

【緯度経度】日本が発信しない「拉致」英文本 古森義久―【私の論評】政府の機関など、成果をあげず単なる「良き意図」で終わらせないためには何が必要か?

【緯度経度】日本が発信しない「拉致」英文本 古森義久

The Invitation-Only Zone: The True Story of North Korea’s Abduction Project
書籍『招待所・北朝鮮の拉致警告の真実』の表紙

ワシントンにある韓国政府系の研究機関「米国韓国経済研究所」(KEI)で2月3日、「招待所・北朝鮮の拉致計画の真実」と題するセミナーが開かれた。その題名の新刊書の内容を著者の米国人ジャーナリストのロバート・ボイントン氏が紹介し、米側専門家たちが討論する集いだった。

実はこの書は、北朝鮮による日本人拉致事件の内容を英語で詳述した初の単行本だった。事件を英語で紹介した文献は米側の民間調査委員会の報告書などがあるが、商業ベースの英文の単行本はなかったのだ。

だから拉致事件を国際的に知らせる点で意味は大きく、日本側も重視すべき書である。米国とカナダで一般向けのノンフィクション作品として、1月中旬に発売されたのだ。

ニューヨーク大学のジャーナリズムの教授でもあるボイントン氏は日本滞在中に拉致事件を知り「この重大事件の奇怪さと米国ではほとんど知られていない事実に駆られて」取材を始めたという。この本はニューヨークの伝統ある「ファラー・ストラウス・ジロー」社から出版された。

ボイントン氏は数年をかけて日本や韓国で取材を重ね、とくに日本では拉致被害者の蓮池薫さんに何度も会って、拉致自体の状況や北朝鮮での生活ぶりを細かく引き出していた。また同じ被害者の地村保志さん、富貴恵さん夫妻や横田めぐみさんの両親にも接触して、多くの情報を集めていた。その集大成を平明な文章で生き生きと、わかりやすく書いた同書は迫真のノンフィクションと呼んでも誇張はない。ただし、ボイントン氏は拉致事件の背景と称して、日本人と朝鮮民族との歴史的なかかわりあいを解説するなかで、日本人が朝鮮人に激しい優越感を抱くというような断定をも述べていた。文化人類学的な両民族の交流史を奇妙にねじって、いまの日朝関係のあり方の説明としているのだ。

しかし同セミナーでの自著の紹介でボイントン氏はそうした側面には触れず、ビデオを使って、もっぱら日本人被害者とその家族の悲劇に重点をおき、語り進んでいった。

「なんの罪もない若い日本人男女が異様な独裁国家に拘束されて、人生の大半を過ごし、救出を自国に頼ることもできない悲惨な状況はいまも続いている」

ボイントン氏のこうした解説に対して参加者から同調的な意見や質問が提起された。パネリストで朝鮮問題専門家の韓国系米人、キャサリン・ムン氏が「日本での拉致解決運動が一部の特殊な勢力に政治利用されてはいないのか」と述べたのが異端だった。そして、同じパネリストの外交問題評議会(CFR)日本担当研究員のシーラ・スミス氏が「いや拉致解決は日本の国民全体の切望となっている」と否定したのが印象的だった。

だがなお残った疑問は、日本にとってこれほど重要な本の紹介をなぜ日本ではなく韓国の政府機関が実行するのか、だった。KEIは韓国政府の資金で運営される。日本側にもワシントンには大使館以外に日本広報文化センターという立派な機関が存在するのだ。だが同センターの活動はもっぱらアニメや映画の上映など日本文化の紹介だけなのである。安倍政権の重要施策の対外発信はどうなっているのだろう。(ワシントン駐在客員特派員)

【私の論評】政府の機関など、成果をあげず単なる「良き意図」で終わらせないためには何が必要か?

古森義久氏
上の記事にある、この書籍私も、さっそくキンドル本をダウンロードして読み始めていますが、確かに平明な文章で生き生きと、わかりやすく書れた同書は迫真のノンフィクションのようです。これだと、比較的短時間で読めそうです。

さて、ブログ冒頭の記事で、古森氏は、「だがなお残った疑問は、日本にとってこれほど重要な本の紹介をなぜ日本ではなく韓国の政府機関が実行するのか、だった。KEIは韓国政府の資金で運営される。日本側にもワシントンには大使館以外に日本広報文化センターという立派な機関が存在するのだ。だが同センターの活動はもっぱらアニメや映画の上映など日本文化の紹介だけなのである。安倍政権の重要施策の対外発信はどうなっているのだろう」と批判しています。

まさしく、そのとおりだと思います。アニメ映画の上映などの日本文化の紹介だけするというのでは、日本公報文化センターの役割をまともに果たしているとはとても思えません。

すでにアニメなど、国の機関が紹介するまでもなく、世界中にファンが多数存在しており、そんな中で、国の機関が、一切放映するなどなどということは言いませんか、アニメ映画を放映したり、日本文化の紹介のみにとどまっているとしたら問題です。

安倍政権に限らず歴代の政府はこのような活動には、あまり熱心とはいえないようです。最近では、外務省あたりが、竹島や尖閣問題に関するYouTubeに複数言語で視聴できる動画をアツプするなど、多少改善されているようではありますが、まだまだすべきことがあると思います。

このような活動は、政府も直接取り組むべきとは思いますが、それにも限界があります。やはり、こういうことを使命とする、日本広報文化センターのような組織や、NPO、NGOなどの非営利組織が実行すべきものと思います。

非営利企業こそ、使命をはきりするべき。そのためには、
まずビジョンや価値観をはつきりさせなければならない。

そうして、そのような組織においては、使命が第一に重要あり、リーダーがまずなすべきことを、よくよく考え抜いて、自らあずかる機関が果たすべき使命を定めることが重要です。

そして使命があるからこそ、はじめて明確な目標に向かって歩くことができ、目標を成し遂げるために組織の人間を動員することができるのです。

そして使命には、「何が機会であり、何がニーズであるか」「しかるべき成果が上げらそうか」「能力を有しているか」「信念をもってやれるか」つまり、“機会”“能力”“信念”の3つが表現され、組織の一人ひとりが目標を達成するために自分が貢献できることはこれだと思える現実的なものにすべきです。

そうして、特に成果をあげるには、成果を定義するだけではなく、それと実行する時間も加えて、目標として具体的に定めるべきです。定量化できるものは、定量化し、定性的なものであっても、なるべく具体的にして、組織の誰もが理解できるものにしなければなりません。

このような組織の中には、“使命”を掲げていない、あるいは意識すらしていない組織もあります。たとえ“使命”があっても、きれいな言葉が並べられ、形式的ものだったり、職員ひとり一人には理解されていないような状況では、まともな成果などあげられません。おそらく、日本公報文化センターなどもそのような状況なのではないでしょうか。

非営利組織に限らず、すべての組織の最終的な評価は成果であるはずです。営利組織における、利益も成果を測定する尺度の一つに過ぎません。経済的利益だけでは、すべての成果を表すものとはいえません。

良き意図と、大儀があるがゆえに成果や結果を重視しない傾向にある非営利機関も多いようですが、何が成果であるのかをはっきりと定義して、その成果を上げ続ける努力をすることが、非営利組織のあるべき姿であり、高い成果をあげための努力をしない非営利組織こそ、社会にとって罪なのです。

特に、NPOやNGOと異なる、政府の機関ともなれば、特に存続の努力などしなくても、政府から資金を得て活動するわけですから、余程成果の定義と成果を達成するための、目標がはっきりしていないと、その存在がすぐに無意味なものになってしまいます。

そうして、何よりも、そんなことになれば、組織の構成員が堕落してしまいます。

そんなことにならないないように、日本文化広報センターなどもまともな成果をあげるよう努力していただきたいと思います。

やるべきことはいくらでもあります。たとえば、ブログ冒頭の書籍は、英語の書籍ですが、このブログでは、以前慰安婦問題に関わる、ハングル語の書籍で、日本語には翻訳されているものの、英語には翻訳されていない書籍を紹介したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
「帝国の慰安婦」裁判 問われる韓国司法 弁護側は“メディア経由”の曲解報道を問題視 ―【私の論評】韓国で慰安婦ファンタジーが発祥する前の1990年代前に時計の針を戻せ(゚д゚)!
帝国の慰安婦 ハングル語版の表紙
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、「帝国の慰安婦」という書籍に関連して、私は以下のような論評をしました。
この書籍は、日本語には翻訳されていますが、残念ながら未だ英語には、翻訳されていません。この書籍が、他の多く国々の言語に翻訳されて、多くの国の人々に読まれることになれば、慰安婦問題に関して、他国でも理解が深まるものと思います。

日本側としては、この書籍はあくまで韓国人の視点によって書かれたものであり、レトリックによって、ファンタジーとはらないギリギリのところまで日本側に慰安婦問題での譲歩を求める方向で書かれていること、当時日本が植民地支配していたのだから、日本に責任があるという方向で貫かれていることを主張すれば良いと思います。

そのほうが、かえって、日本の保守派の人が日本人の立場から、書いたものより、理解を得られ易いと思います。

とにかく、この書籍やその他の歴史的資料などによって、日本でも韓国でも、韓国における慰安婦ファンタジーが発祥する前の1990年代より前に時計の針を戻すことが、この問題の早期解決につながると思います。
この書籍を英語に翻訳し、米国で公開することなども、日本広報文化センターなどのしこ度として、良いと思います。そのようなことをすれば、韓国政府は非難するかもしれませんが、この書籍を読んだ米国人など、学術書であるこの書籍を韓国政府がなぜ問題にするのか、理解に苦しむと思います。そこから、慰安婦問題への理解が深まると思います。

それにしても、ただ紹介するというだけでは、何も成果はあがらないと思います。たとえば、この書籍を紹介するにしても、慰安婦問題に関してあらかじめ多くの米国人にアンケートをとっておき、慰安婦問題に関する理解、それもはっきりと定義をした理解が5%程度であったとすると、5年以内に50%にするなどの目標を定めるべきです。

そうするこによって、はじめて、自らが成果をあげているのか、あげていないのかをはっきりと理解することができます。そうでなければ、このような活動はただの「良き意図」で終わってしまうのです。

これが、手弁当で集まっている有志の「勉強会」などであれば、それでも良いかもしれません。しかし、政府からの資金で動く政府の機関がそうであってはならないのです。まともな、組織はすべからく、成果をあげなければ、存在意義が失われるのです。存在意義が失われれば、その機関に属する人々は早晩堕落してしまうのです。

それは、当然のことです。自分たちの組織が、あってなくても良いどうでも良い組織なら、その構成員がいくらまともであったにしても、その状態が長く続けば、堕落するのは当然です。そうして、堕落した組織は、社会に悪をなすことになります。

【関連図書】

History Wars Japan-False Indictment of the Century 歴史戦 世紀の冤罪はなぜ起きたか
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2014年11月13日木曜日

【石平のChina Watch】首脳会談で敗者となった習主席―【私の論評】日中首脳会談の安倍総理大勝利を報道できないマスコミ!一国の宰相に愛想づかしをされ、蚊帳の外におかれるマスコミは、もうその使命を終えた(゚д゚)!


石平太郎氏

北京でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)で安倍晋三首相との初の首脳会談に臨んだ習近平国家主席の態度は異様なものだった。

余裕のある安倍首相の自然体と比べれば、習主席の態度は稚拙そのものだ。

政権発足以来2年間、習主席はずっと安倍政権と対決路線をとってきた。そして尖閣周辺の海域と空域では日本に対する挑発行為をエスカレートさせている。

一方の安倍首相はその間、一心不乱に中国包囲網の構築を目指すアジア外交を精力的に展開した。日米同盟を強化した上、東南アジア諸国との連携を進め、あらゆる国際会議の場を借りて「力の支配」を企(たくら)む中国に対する批判と牽制(けんせい)を行った。

その結果、アジアで孤立を深めたのは中国の方であった。ASEAN諸国の大半も安倍首相の中国批判に同調する方へ傾いた。

習主席は何とか劣勢をはね返して外交を立て直そうとし、中国が議長国を務めるAPECが最大のチャンスとみて着々と動き出した。まずはベトナムとの対立を緩和させ、フィリピンとの領土紛争も一時的に休戦させた。経済援助を手段に一部のアジア諸国を手なずけた。準備万端整えた上で習主席はAPECの大舞台に立ったのである。

しかし彼には心配事があった。安倍首相の出方だ。もし、安倍首相がこの重要会議において相変わらずの中国批判を展開していたら、中国にとっての晴れ舞台が台無しになってしまう。

中国は結局、安倍首相を「野放し」にするようなことはできなかった。そのためには首脳会談に応じる以外にない。もちろん中国はそう簡単に折れたくはない。「領土問題の存在を認める」「靖国は参拝しない」という2つの条件を日本側に突きつけた。

しかし、安倍首相は最後までそれを拒否した。窮地に立たされたのは習主席の方である。そしてAPEC開催の3日前、日中間でようやく4項目の「合意文書」が交わされた。もちろんそこには「靖国」のやの字も入っていないし、日本が認めたとされる「異なる見解」は決して「領土問題」を指していないことは一目瞭然だ。つまり中国は、日本側に突きつけた2つの「条件」を自ら取り下げて首脳会談に応じた。


こういうことを強く意識しているからこそ、安倍首相との会談の冒頭、習主席は自らの悔しさを覆い隠すために、条件を引き下げたことを国民の目からごまかすために、わざと無礼な態度をとって虚勢を張るしかなかった。その瞬間、習主席は文字通りの敗者となった。

習主席にとっての問題はむしろこれからだ。「靖国不参拝」を約束しなかった安倍首相はいつでも参拝できるが、首脳会談に踏み切った習主席にしては、安倍首相に「参拝されたら」大変なことになる。今後、安倍首相に気を使わなければならないのは習主席の方だ。首脳会談後の日中関係で優位に立つのは、結局安倍首相の方ではないか。



【プロフィル】石平

せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。

上の記事は要約です。詳細をご覧になりたい方はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】日中首脳会談の安倍総理大勝利を報道できないマスコミ!一国の宰相に愛想づかしをされ、蚊帳の外におかれるマスコミはもう、その使命を終えた(゚д゚)!

先日もこのブログには日中首脳会談について掲載しましたが、これはまだ会談直前のものでした。その記事のURLを以下に掲載します。
APEC開幕 きょうにも日中首脳会談―【私の論評】自国の総理の大勝利を喧伝しないどころか、中国と連携するか、沈黙して中国を応援する日本のマスコミのど変態ぶりがまた発揮されたマスコミの安倍総理中国訪問報道(゚д゚)!
APEC首脳会議に出席するため、北京国際空港に到着した安倍首相。右は昭恵夫人
詳細は、このブログをご覧いただくものとして、この記事では日中問題に詳しい石平氏の日中首脳会談に関するツイートを掲載し、会談前の合意文書作成の過程において、日本は「領土問題の存在を認めず」「靖国は参拝しないということも認めず」という立場を貫き、結局中国が折れた形となり、安倍総理としては、日中首脳会談開催の前から大勝利であったことを掲載しました。

しかし、マスコミはこのことを「日本側の大勝利」ということを伝えないばかりか、中国側に連携するか、沈黙して中国を応援するような報道内容であったため、それを批判しました。

以下に、この記事の結論部分のみ掲載します。
それにしても、自国総理大臣からは愛想づかしをされて、中国様の情報統制を恐れて、まともな報道をしない日本の報道機関、もう先がないですね。 
おそらく、日中首脳会談についても、まともな報道しないでしょう。おらく、死力をつくして、中国にとって良くなるような報道に、各社が知恵を絞ることでしょう。知恵が追いつかなければ、ほとんどまともに報道しないことでしょう。 
これについては、もし日本のマスコミが正しい報道をしないというのなら、このブログに掲載する予定です。よろしくお願いします。 
それにしても、今回の安倍総理の中国訪問、マスコミ各社は、自国の総理の大勝利を喧伝しないどころか、中国と連携するか、沈黙して中国を応援するいうど変態ぶりがまた暴露された形となりました。 
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか(゚д゚)!
さすがに、日本のマスコミも日中首脳会談直後からは、ある程度は報道を開始しましたし、本日は朝もテレビで報道しており、日本が拒否した二条件に関する報道もありましたが、その真の意味などはあまり報道しておらず、「日本側の大勝利」ということは相変わらず報道はしていません。

これは、さすがに明らかに負けである今回の日中首脳会談に関して、中国側も「中国側大勝利」と報道するわけにもいかず、時によっては、人民日報をまる写ししているような日本の新聞も、さすがに本家の中国の報道の枠を超えて「中国大勝利」などと掲載するわけにもいかないため、トーンを落とした事実報道に終始するしかなかったのだと思います。

ちなみに、中国メディアの今回の首脳会談後の報道の典型的なものを以下に掲載しておきます。
日中首脳会談を実現した安倍首相、これからどうするのか?―中国専門家
11日、習近平(シー・ジンピン)国家主席は今月10日、アジア太平洋経済
協力(APEC)会議出席のため訪中した日本の安倍晋三首相と会談した。

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、煮え切らない文章がぐたぐた並べられていて、最後の結論は、「安倍首相、これからどうするのか?」です。

この記事においても、ご多分に漏れず、日中合意事項の一件、もし日本側が中国に譲歩したような内容であれば、中国のメディアや御用学者が鬼の首でも獲ったように大騒ぎするはずですが、この論評でもそれは皆無です。「日本が譲歩した、折れた」などとは一言も言っていません。事実、日本は一切譲歩していません。

日中合意事項と首脳会談に関する中国国内メディアや御用専門家の論評を見ると、彼らは一律に、中国政府が首脳会談の条件として日本側に二つの条件を出したことにいっさい触れていません。会談実現のために自らの出した条件を取り下げたのは中国の方だから、彼らは一切触れたくないのである。

中国側メデイアがこの有り様ですから、日本のマスコミとしても、中国擁護の論評を公表することもできず、事実報道を淡々と流すということしかできないのです。

しかし、これは結果として良かったと私は思います。今回の首脳会談に関して、日本のメディアが積極的に報道しないということが、安倍総理の対中国外交をかなり実施しやすいものにしています。

それは、以前のブログでも述べたように、安倍総理の「安全保障のダイヤモンド構想」に基づく、外交でも同じことでした。


この構想に関しては、マスコミ各社はまるでその存在がなかったかのように、どこも報道しませんせんでした。したにしても、かなりあっさりしたものであり、その意味や背景まで報道したのは産経新聞くらいかもしれません。

しかし、その事が幸いして、安倍総理は自分の思った通りに行動することができ、実際にこのブログでも掲載したように、この構想は完成に近づいています。

安倍総理は国内の他の政治家マスコミや官僚などまったく相手にせず、独自の外交を推進してきました。これが、日本国内で、「安全保障ダイヤモンド構想」を公の場でぶちあげ、周りのコンセンサスとってから、実行するなどということをしていたとしたら新聞各社は大反対で連日反対報道したでしょう、官僚も大反対、左翼系識者も大反対で、安倍総理がこの構想を推進しようにも、身動きがとれなかったかもしれません。

しかし、安倍総理は自分で考え実行動をおこして、各国に働きかけ、あっという間に「安全保障のダイヤモンド」を完成近くまでこぎつけることができました。

これが、国内でマスコミが大報道していれば、こんなにスムーズには進まなかったことでしょう。だからこそ、安倍総理もこの構想を日本で公表するのではなく、外国のサイトに掲載したのです。

日中首脳会談後の中国対応もこのようになることでしょう。今回、中国に対して巨大な楔を打ち込むことに大成功した安倍総理は、中国に対しての攻勢を強めるか、相手がそれに対応しないというのなら、日中首脳会談時のように、こちらの要求を飲まなければ、無視するという行動に打って出るでしょう。

そうなると、経済的にも追い詰められた中国は、以前よりは日本に対して、寛容にならざるを得なくなると思います。しかし、今回の日中首脳会談の報道にも見られたように、その真の背景を日本のマスコミは永遠に報道することはないし、できないことでしょう。

もうそのような兆候はいたるところに見られています。安倍総理が、増税に関する事柄については、外国のメディアを用いるようになったことは、以前にも述べました。

安倍総理の経済に関する考え方など、まともに報道をしないので、安倍総理からは愛想をつかされています。だから、安倍総理が関与する実体経済に関しては、ほとんどまともな報道はできません。だから、現状ではマスコミは、「増税見送りなら解散総選挙」という憶測に震撼しています。これは、最早憶測ではなく、確定に近くなっていますが、少し前までは憶測でしたが、その憶測に震撼するというマスコミの感度の鈍さが、いかに蚊帳の外におかれているかを如実に示していると思います。

安全保障のダイヤモンドについて報道もしないし、背景も説明しないので、インドのモディ首相や、ロシアのプーチン氏と安倍総理の会談についても、その背景を十分説明しないというか、できない状況になっています。

マスコミは蚊帳の中に入れてもらえない・・・・・?

要するに、少し前までは、日本のマスコミは、中国や左翼系にばかり配慮して、安倍総理などを蚊帳の外に置いてきたわけですが、マスコミは今や安倍総理から蚊帳の外におかれているわけです。

安倍政権が長期化すれば、マスコミは長期にわたって、安倍政権から蚊帳の外におかれるということになります。次の政権あたりも、蚊帳の外に置くようになるかもしれません。蚊帳と外に置くとはいっても、無論事実を伝えるということはするかもしれないですが、どうせその背景や意図を話しても、理解しないか曲解して報道するので、それは言わないということになると思います。

これに対して、新聞各社や左翼系などは、抗議をするようになるかもしれませんが、それは、あまりにも長い間マスコミが中国や左翼にばかり配慮して、時の政権や、首相を蚊帳の外においてきたことのつけであり、自らが変わらない限りこの抗議は無効ですし無意味です。

それにしても、一国の宰相から、愛想づかしをされ蚊帳の外におかれるマスコミなど、その存在意義はなくなったと思います。もう、正しい報道などできません。いつまでもこのような事を続けているのであれば、いずれ社会的に葬られると思います。もうそうなりかけています。

私は、そう思います。皆さんはどう思われますか(゚д゚)!

【捕捉】
習近平のあのムサイ顔つきは、この黄色いネクタイのせいもあったのかもしれません。


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