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2019年4月28日日曜日

米、WTO抗議の日本を全面支持 首脳会談で首相が謝意 改革連携で一致―【私の論評】日本は、TPP協定の規定をWTOに採用させるべき(゚д゚)!

米、WTO抗議の日本を全面支持 首脳会談で首相が謝意 改革連携で一致

夕食会を前に記念殺意するトランプ大統領とメラニア婦人(右側)、安倍首相と昭恵夫人=26日、
ワシントンのホワイトハウス

 ジュネーブで開かれた世界貿易機関(WTO)の紛争処理機関の会合で、韓国による福島など8県産水産物輸入禁止措置をめぐってWTOの上級委員会で主張が退けられ、抗議した日本の立場について、米国が全面的に支持していたことが分かった。安倍晋三首相は26日午後(日本時間27日午前)、米ワシントンで行った日米首脳会談でトランプ大統領に謝意を伝えた。両首脳はWTO改革で日米が連携していく方針も申し合わせた。

 複数の政府関係者によると、韓国のほか米国、中国など164の加盟国・地域が参加した26日のWTOの非公式会合で、米国の代表が「日本は科学的根拠に基づき、韓国の措置がWTO協定に非整合的であることを示している」と指摘した。その上で「上級委員会が実質的な理由なく判断を覆したのは遺憾だ」と述べたという。

12日、水産物輸入禁止措置を巡り、WTOで韓国勝訴の判断が出たことを喜ぶ市民団体=2019年
4月12日 ソウル

 会合で、伊原純一駐ジュネーブ国際機関政府代表部大使は「被災地の復興の努力に水を差す。極めて残念だ」などと抗議していた。

 WTOのあり方をめぐっては、首相は米国に先立ち訪問したベルギーで「産業で大きな変化が起こっているが、WTOは変化に追いついていない」と批判していた。上級委員会に関し「議論を避ける形で結論が出たり、結論が出るまでに時間がかかりすぎる」とも語り、6月に大阪市で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)でWTO改革を議論する意向を示した。

◇WTO訴訟をめぐる経緯

 東京電力福島第1原発事故後、韓国が福島など8県産水産物の輸入を禁止していることに対し、日本政府は2015年8月、不当だとして世界貿易機関(WTO)に提訴した。1審に当たる紛争処理小委員会(パネル)は昨年2月、禁輸は「不当な差別」と認めて是正を勧告したが、上級委員会は今月11日、1審の判断を破棄する報告書を出し、日本側の「逆転敗訴」が確定した。

【私の論評】日本は、TPP協定の規定をWTOに採用させるべき(゚д゚)!
4月12日、WTOの紛争解決上級委員会は、日本国政府が、放射能汚染を理由に課してきた韓国政府による日本産水産物の輸入規制を不服として訴えた件について、日本国側の主張を認めた小委員会の判決を取り消す決定を下しました。


WTOの紛争解決の仕組みでは、上級委員会が最終審となりますので、現行の制度では同決定を覆すことはできないのですが、この一件から今日のWTO、否、国際経済について議論すべき幾つかの論点が見えて来るようにも思えます。
第一の論点は、言わずもがな、WTOの紛争解決メカニズムの不備です。現代国家において採用されている三審制、あるいは、二審制の司法制度では、仮に上級審において下級審の裁判過程における不備が問題とされた場合には、同訴訟は下級審に差し戻されます。

つまり、差し戻しを受けた下級審において改めて同案件は審理され、判断が下されるのです。この場合、前判決が維持されるケースもあれば、逆の判断に至るケースもあります。ところが、現行のWTOのパネル方式の仕組みでは、差し戻しの制度が設けられておらず、下級審における不備はイコール判決の取り消しを意味してしまいます。

これでは、たとえ‘原告側’の言い分が正当であり、また、多大な被害や損害が生じていても救済の道が閉ざされているに等しく、司法面においてWTOは制度改革を要すると言わざるを得ないのです。

第二の論点は、自由貿易の推進機構として設立されたはずのWTOが、国家の輸出入規制に対して寛容な態度に転じた点です。米国のトランプ政権は、グローバリズムの原動力となってきたWTOに対しては脱退を示唆するほどに批判的でしたが、今般に見られるWTOの判決は、加盟国による貿易制限に対して好意的なのです。

上級委員会の説明によれば、第一の論点で述べたように、韓国側の規制を容認した理由は第一審である小委員会の判決手続きにありますが、仮に、自由貿易の推進を最優先とするならば、小委員会の手続き上の問題点を指摘しつつも自らが判断して然るべきです。

そうして、第三の論点は、農水産物分野における貿易規制の是非です。実のところ、韓国政府による放射能汚染を理由とした日本産水産物の輸入規制は、日本国民にとりましては、必ずしもマイナスではありません。

国民の生命に関わる食糧安全保障、並びに、国民生活と直結する農水産物の市場価格といった側面からしますと、輸出の拡大は、マイナス方向に働く傾向にあるからです。GATT時代におけるケネディ・ラウンドにあって、農産物も工業製品と等しく自由化の対象となったものの、完全なる自由化には農業の壊滅や食糧依存体質の深刻化といったリスクがあります(食糧輸入が途絶えた途端、国民は飢餓状態に…)。

日本国政府も、WTOの交渉に際しては常々高関税率を維持すべく苦心惨憺をしていますが、穀物輸出国以外の諸国にとりましては、自国の存亡にも関わるいわば‘防衛線’なのです。

こうした農産物の特殊性からすると、WTOにおける‘農産物も例外扱いせず’の姿勢が現状に適しているのか疑問なところです。むしろ、方向を転換して農産物を例外化し、自国優先の原則を認めた方が、よほど、世界は安定化するかもしれないのです。

以上に幾つかの主要な論点を述べてきましたが、WTOもまた、自由貿易原理主義的な従来の方針を見直さざるを得ない局面に至っているのかもしれません。貿易とは人々を豊かにこそすれ、食糧不安や経済的な危機を招く元凶となってはならないと思うのです。

さて、WTOは上でも述べたように、明らかに大きな欠点があります。私は、WTOは、日米が主導しつつ新たなものにつくりかえていくべきものと思います。特に、1993年以降の世界貿易の変化を反映したTPP協定の規定をWTOに採用するように働き掛けるべきと思います。

TPPというと、現状の中国は入りたくても入れません。中国はTPPに加入するということになれば、民主化、政治と経済の分離、法治国家化という構造改革を実施しなければなりません。これを実行しなければ、TPPには加入できません。

この構造改革を実施することになれば、中国共産党は、統治の正当性を失うことになるでしょう。それは中共の崩壊を意味します。

米国や中国がTPPに参加しない場合でも、1993年以降の世界貿易の変化を反映したTPP協定の規定をWTOに採用するように働き掛けることができます。これには、EUも賛成するでしょう。

TPPのルールを世界のルールにするのです。単なる先進国だけの提案ではなく、アジア太平洋地域の途上国も合意したTPPの協定をWTOに持ち込むことには中国も反対できないでしょう。

TPPのルールが世界の貿易ルートとなれば、中国は中共を解体してもTPP協定を含む新WTOに入るか、中共を解体せず新WTOにも入らず、内にこもることになります。内にこもった場合は、中国が待つ将来は、図体が大きいだけのアジアの凡庸な独裁国家に成り果てることになります。その時には他国に対する影響力はほとんどなくなっているでしょう。

いずれにせよ、TPPは加盟国だけではなく世界にとって、有用な協定になる可能性が高まってきたのは事実です。

ライトハイザーUSTR代表は12日、世界貿易機関(WTO)の指針は「時代遅れ」との認識を示しました。 ライトハイザー代表は、中国の台頭やインターネットの進化など、状況が変化しているにも関わらず、WTOがなお1990年代初期の指針に基づき運営されており、「時代遅れ」と指摘。

米国はこうした問題に対処するため、WTOの改革に向け取り組んでいると語りました。 また、米国が引き続き中国との貿易ルール改善に向け取り組んでいるとしたほか、貿易問題を巡り日本や英国などと進展していきたいとの考えを示しました。

米国には、このような考え方があるわけですから、日本がWTOを改革のため、TPP協定の規定をWTOに採用するように働きかければ、元々オバマ大統領時代に、米国がTPPを推進しようとしたわけですから、これに対して米国も賛同せざるを得ないと思います。



TPP協定の規定をWTOが採用することを決めた場合、トランプ大統領がTPPに入らないとする根拠は薄弱になります。

そうなると、米国はTPPに入る可能性もでてくることになります。日本としては、米国とともにTPP協定の規定をWTOに採用するように努力すべきと思います。TPPが加盟国だけではなく米国を含む世界にとって、有用な協定になるように日本は努力すべきです。

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2018年12月2日日曜日

米、新たな対中関税を90日延期 首脳会談 不公正取引の改善へ協議継続―【私の論評】90日後にトランプは一気に本丸に攻め込み、中国に内部改革と長年の悪行の放棄を迫る(゚д゚)!

米、新たな対中関税を90日延期 首脳会談 不公正取引の改善へ協議継続

中国の習近平主席(左端)との会談に臨むトランプ大統領(右端)=1日

 トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が1日、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで会談した。焦点の貿易分野では、米国が来年1月に予定した制裁関税の引き上げを90日延期。中国による知的財産権侵害の改善策に関する協議の継続で合意した。中国は農産物を中心に米国からの輸入拡大も進める。米国は90日以内に中国の改善策に合意できなければ、関税引き上げを実施するとしている。

 トランプ氏は会談後、ホワイトハウスが発表した声明の中で、「米中双方に無限の可能性をもたらす生産的な会談になった」と評価した。会談は20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて実施された。

 声明によると、米中は最大90日間、中国の知財侵害や外国企業に対する技術移転の強要、サイバー攻撃などの改善策を集中的に協議。貿易不均衡の是正に向けて、農産物やエネルギーなど、中国が購入を増やす具体的品目についても詰める。

 米国は知財侵害などの不公正貿易を問題視。中国からの輸入品に高関税を課す制裁を段階的に発動し、これまで中国からの輸入額のほぼ半分に当たる計2500億ドル(約28兆円)分に関税を適用。このうち2千億ドル分の税率を来年1月から現行の10%から25%に引き上げる予定だった。

 米政府は、中国の不公正取引が改善されていないとして、さらに2670億ドル分に対する新たな制裁関税を実施する準備があると表明し、圧力をかけていた。

 外交・安全保障分野では、北朝鮮の非核化問題に関し「大きな進展があった」との認識で米中が一致したとした。また、トランプ氏と習氏が北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と朝鮮半島の非核化実現に向けて一緒に取り組んでいくことで合意したとしている。

 トランプ氏はさらに、金氏に対する「友情と敬意」を表明したという。

 一方、トランプ政権が掲げる「インド太平洋戦略」の推進に向けた最大懸案の一つとなっている、中国による南シナ海の軍事拠点化に関しては、声明では言及はなかった。

【私の論評】90日後にトランプは一気に本丸に攻め込み、中国に内部改革と長年の悪行の放棄を迫る(゚д゚)!

2018年G20にあわせて設定されたトランプ大統領と習近平国家主席との米中首脳会談が終わりました。結論としては、上の記事にもある通り、米国側が追加関税導入を90日間猶予するというものです。

中国側はこの期間に、知財保護、技術移転の強要問題、サイバー攻撃などの分野で改善策を示す必要があるとのことです。しかし、これはほとんど無理というものでしょう。

今回の米中首脳会談では、米国側から
トランプ大統領、ナバロ大統領補佐官(通商担当)、ライトハイザー通商代表、ムニューシン財務長官、カドロー国家経済会議議長、ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)、ポンペオ国務長官、ケリー大統領首席補佐官、クシュナー大統領上級顧問
中国側から
習近平・国家主席、劉鶴・副首相、楊潔篪・共産党政治局員(外交担当)、王毅・国務委員兼外相、何立峰・国家発展改革委員会主任、丁薛祥・共産党中央弁公庁主任、鐘山・商務相、崔天凱・駐米大使、王受文・商務次官
が出席しました。

今回の会議で注目すべきは、ライトハイザーとナヴァロという超強硬派が出席し、そのうえで協議が一応成立したということです。

対中タカ派のライトハイザーUSTR代表(左)とナバロ国家通商会議委員長

この二人が出席することから、市場ではそもそも協議が成立しない可能性もあるのではないかと懸念されていました。

中国側は90日以内に、知的財産権保護、技術移転の強要、サイバー攻撃、非関税障壁、サービスと農業の市場開放の分野でさらなる改善策を示す必要があります。

90日間で合意できない場合、米国側は中国からの輸入品2000億円分にの関税を25%に引き上げるとしています。

中国は米国から農産物(大豆など)やエネルギー(原油、LNG)、工業製品(航空機など)を輸入することで対米貿易黒字を減らす必要があります。

今回の米中首脳会談の最重要ポイントは、「中国製造2025」への言及がなかったことです。中国製造2025は、中国が国を挙げて産業を保護、育成する政策で、その根幹にあるのが「自前で用意できるものは何でも自前で用意しよう」という思想です。

『中国製造2025』の5大プロジェクト


中国は半導体分野で大幅な貿易赤字を抱えており、これはエネルギー分野における貿易赤字よりも大きいのが実情です。

中国は大量の最新鋭半導体露光装置を導入することで、この輸入に頼り切った状況を打破しようとしています。

中国の半導体メーカー合肥長鑫(睿力集成電路/イノトロン)が、オランダのALMSから7nmプロセス用EUV(極端紫外線)露光装置の調達めざして交渉中とのことです。

ASMLは欧州、オランダの半導体製造装置メーカーです。ASMLが強みとするのは半導体製造装置でも上流部にあたる部分、とくに半導体露光装置(ステッパー、フォトリソグラフィ装置)の業界において世界の最先端を走る企業です。

このことが、米国側の利害と非常に大きな衝突をもたらしています。


今回、この中国製造2025への言及がなかったのは、米国は「製造2025」の根底にある中国が「自前で用意できるものは何でも自前で用意しよう」という考え自体には反対ではないということを示しているのだと思います。

確かに、このような考え方自体は、中国であろうが、他の国であろうが、それは当該国の任意で実施すべきことであり、それに対して反対することは、内政干渉です。

ただし、自前で用意するときに、窃盗とか強制技術移転、その他の不公正な方法で実行することに対しては、米国は断じてこれを許さないとしているのです。

米国側は論点を明確にするために、敢えて「中国製造2025」という言葉を使わなかったのでしょう。

中国側としても中国製造2025の破棄だけは、絶対に応じるわけにいかない部分でした。もし米国側が破棄を要求すれば、首脳会談は決裂していたことでしょう。

それにしても、中国は米国からの工業製品の輸入拡大や農産品の即時輸入開始を約束してやっと、米国から追加関税引き上げの90日猶予を得ました。しかし今から約3ヶ月間、米国の要求に応じて構造改革を断行しなければならないのは中国です。これはほとんど不可能だと思います。

習近平の首の皮の一枚はこれで、一応繋がったようですが、彼に与えられた猶予時間はわずか90日、90日以内に今までの悪行 を改めて米国の要求を受け入れなければ今度こそは「斬首」ということでしょうか。

これは、全く対等の交渉ではありません。まるで戦勝国と敗戦国との暫定的休戦協定のようです。米国の絶対的優位です。

今度の米中合意は貿易戦争の収束や緩和などではなく、前哨戦に次ぐ本戦の開始を意味するものでしょう。中国に追加関税引き上げの90日猶予を与えたことで、トランプ大統領は、この90日間で中国がどのように出るのか見極める腹です。

90日間は短いですが、この期間にすべてはできないものの、どのくらいの期間で何をどのように変えるかとなどは決定することができるはずです。90日後に中国は米国にこれらを、すぐにできることとともに回答することになるでしょう。

トランプ大統領としては、この反応をみてから、一気に本丸に攻め込む勢いで、中国に内部改革と長年の悪行の放棄を迫っていくことになるとみられます。トランプ大統領の戦いはこれからです。

【私の論評】

2017年4月4日火曜日

米韓軍の最高機密軍事作戦が流出か 北がハッキング…過去最悪の被害 韓国メディア報道―【私の論評】米軍による北朝鮮攻撃は、首脳会談での習近平の対応いかんで決まる(゚д゚)!

米韓軍の最高機密軍事作戦が流出か 北がハッキング…過去最悪の被害 韓国メディア報道

3月6日、韓国の北朝鮮との国境線近くで、軍事訓練の準備を進める米軍の兵士ら
 韓国KBSテレビは3日、韓国軍の内部ネットワークに対する北朝鮮のハッキングで、朝鮮戦争が全面再開された際に適用となる米韓軍の軍事作戦「作戦計画5027」が流出していたと報じた。韓国政府関係者の話としている。

 同計画は最高機密とみられ、流出が事実なら韓国軍の受けた過去最悪のハッキング被害となり、米韓軍の展開に深刻な影響が及ぶ可能性がある。

 ハッキングは昨年9月に発生し、12月に発覚した。しかし、韓民求国防相は当時「深刻な影響をもたらすものではない」とし、被害は軽微だと主張していた。

 韓国政府関係者によると、最近になって軍内部の捜査機関が被害状況を国防相に報告したという。

 軍事筋や韓国メディアによると、作戦計画5027は北朝鮮の朝鮮人民軍の南侵による朝鮮戦争再開を想定し、1970年代から改定が重ねられてきた。

 米韓軍が陸上で北朝鮮の進撃をとどめて北上すると同時に、北朝鮮の日本海と黄海の東西両海岸に海兵隊を上陸させ、平壌一帯を制圧するとのシナリオとみられている。

【私の論評】米軍による北朝鮮攻撃は、首脳会談での習近平の対応いかんで決まる(゚д゚)!

朝鮮半島有事をめぐっては、在韓米軍はどう動くべきかについて、複数のシミュレーションが存在します。これに関する4つのコードとその簡単な説明を以下に掲載します。この他にもコードが存在しますが、現在実施される可能性があるものに絞ります。
5027:北朝鮮が韓国に侵攻した状況に対応する対応 
5029:クーデターや革命などが起こったさいの対応 
5030:必要物資を枯渇させて政変を起こさせる対応 
5015:北朝鮮の核・ミサイル基地への先制限定攻撃
5027については、ブログ冒頭の記事にも一部掲載されていますが、無論のこと詳細は示されていません。以下に防衛筋な、軍事評論家などによる推測を掲載しておきます。
まず北のレーダーをかいくぐってステルス型のB2爆撃機が、迎撃ミサイルの基地を爆撃して無力化する。続いてF22戦闘機が、レーダー施設を攻撃。これで敵の“目”を完全にふさぐ。米グアム基地からB52爆撃機、韓国軍もF15K戦闘機を発進させて北の軍事拠点に絨毯爆撃を仕掛ける。 
これに対抗する北の主力戦闘機はロシア製の「ミグ29」戦闘機。情報筋によると、実戦で使えるのは十数機で「北は米韓両軍の圧倒的な戦力差になすすべがない」(防衛筋)という。 
攻撃は空に留まらず、「日本海に展開するオハイオ級原潜から巡航ミサイル『トマホーク』が発射され、軍事拠点を狙う。海と空からの一斉攻撃が終わると、米韓連合の陸軍部隊が38度線を越えて平壌に向けて進軍する」。 
すべての作戦が終了して平壌が陥落するまでに「中国軍の(北への)加勢がなければ、長くても2週間程度。
5027に関しては、北朝鮮が韓国に侵攻した場合のコードです。以下に述べるように、これは今回米軍がトランプ大統領の決断によって実行しようとしているとみられる金正恩斬首作戦とは直接は関係ありません。

しかし、金正恩斬首を米軍が実行すれば、北朝鮮が韓国に侵攻する可能性は十分にあります。それに対する防衛措置が5027ですから、重要といえば重要です。しかし、私は今回漏れたのは、フェイク情報かもしれないと思っています。

オバマ大統領のときの昨年のこの情報が漏れたとされているときよりも前から、米軍は金正恩斬首作戦の準備を具体的に進めていました。そのような時期に、いくら韓国といえども米軍との関わりのある情報をやすやすとハッキングされるようなようなことはないと思います。

また、実際にハッキングされたとしても、これは軍事機密情報ですから、本来は発表しないのが当たり前だと思います。それをわざわざ発表するということは、そもそもハッキングされたのが、フェイク情報なのか、あるいは現時点ではハッキングされたとしても支障がない程度に「作戦計画5027」が改定されたからだと思います。

それよりも何よりも、最初からフェイク情報を流す目的で、北朝鮮に何があっても韓国に侵攻することを思いとどまらせるような、内容を流したのかもしれません。

5030についても、以下に簡単に掲載しておきます。これは以下のリンクから引用しました。詳細を知りたい方は、以下をご覧になってください。


以下に一部引用します。以下は、金正日が存命だったときのプランであり、金正日の名前もでてきますが、これは無論現在では金正恩と読み替えてください。
作戦計画5030は、北朝鮮の限定的な軍事資源を枯渇させ、金正日に対する軍事クーデターなどを誘発させる事態、あるいは最終的に金正日の「除去」に繋がる雰囲気を醸成させることを目的としており、「撹乱工作作戦」と呼ぶべきものである。 
こうした謀略工作は、かつてはCIA(米中央情報局)が担当していたが、作戦計画5030の特長は、謀略工作を軍事オペレーションとして組み込み、DIA(米国防情報局)が主体となって軍が実施することにある。以下はその工作内容である。 
(1) 食糧、水、及びその他の戦時備蓄を枯渇させる目的で軍事演習を実施
(2) スクランブルにより貴重な航空燃料を消費させる目的で頻繁な偵察飛行を実施
(3) 戦略的な偽情報により内部混乱を助長
(4) 政権中枢の幹部たちの亡命を積極的に支援
(5) 金正日の資金源を壊滅させる目的で外貨の流入径路を遮断(合法措置) 
戦闘ではなく謀略によって、北朝鮮の金正日独裁体制を瓦解させるのが、作戦計画5030の特徴である。実際、米軍の撹乱工作である作戦計画5030により、金正 日に対する攻撃作戦はすでに開始されている。 
ブッシュ大統領は、戦争ではなく謀略 によって「危険な男」を除去しようとしているようである。また、作戦計画5026 と5030を統合することによって、金正日個人をピンポイント攻撃できる態勢は、 すでに整っていると思われる。外交交渉の場で金正日が国際協約を無視するような態 度に出れば、国際世論の後押しを受けて、金正日の抹殺という選択肢もあり得るのか もしれない。
5015は、2015年6月に策定されています。その内容について、ジャーナリストの山口敬之氏は、『週刊文春』3月30日号で、次のように説明していま。
 これは(5015)は、最新兵器の特性を活用した核・ミサイル基地への先制攻撃や指導部の排除も含まれる作戦だ。軍事施設を徹底的に破壊するため、攻撃対象は700ヵ所に上り、いずれも基本的に壊滅させることが求められている。ミサイルや特殊爆薬で爆撃しては、攻撃の成果を偵察機で検証し、必要ならば再攻撃を仕掛ける。攻撃完了には数週間から数ヶ月からかかると見られる。──『週刊文春』3月30日号より
現在、トランプ大統領が実行しようとしている軍事作戦は、以上のどの作戦コードとも違うようです。

作戦の目的は、5015の目的である北朝鮮の核・ミサイル基地への限定攻撃ではなく金正恩委員長の「司令部システム」への限定攻撃です。したがって、攻撃対象は5015でいう700ヵ所ではなく、20~40ヵ所に過ぎないのです。司令部システムへの限定攻撃で狙うのは、あくまで金正恩委員長自身であり、いわゆる「金正恩斬首」なのです。金委員長による「核による断末魔の反撃」を抑えることを目的にするものです。
米国が「斬首作戦」を展開するのは、オサマ・ビン・ラディンを処刑したさいのオペレーションと同じです。現在、米韓合同軍事演習で、そのときの特殊部隊要員はすべて米空母カールビンソンに乗船して韓国周辺にやってきています。

トランプ米大統領が「金正恩斬首作戦」にこだわっている証拠といえるものがあります。それは、民主党のラッセル国務次官補を3月8日まで続投させたことです。ラッセル氏は、30年以上の経験を持つ職業外交官で、日韓両国で勤務した経験を持つアジ
アのスペシャリストです。
トランプ大統領はオバマ政権時代の幹部を根こそぎ解任していますが、ラッセル国務次官補だけは留任させたのです。それはラッセル国務次官補が「金正恩斬首作戦」の考案者だからなのです。ラッセル氏は、2016年10月に安全保障記者を前に次のような衝撃的な発言をしています。

金正恩は核攻撃能力を強化するだろうが、そうすれば金正恩は即死する。──ラッセル国務次官補

ラッセル元国務次官補
「即死」という言葉は、非常に強い響きを持っています。昨年10月の時点でラッセル国務次官補がこの発言をしていたことはオバマ政権のときから「金正恩斬首作戦」が周到に練られていたことを物語っています。そのラッセル氏も3月8日にはひっそりと退任しています。

これは、彼がいなくても作戦を実行できる体制が国務省にできたことを意味します。ここで重要なのは、「金正恩斬首作戦」は北朝鮮という国を崩壊させるのではなく、トップの首をすげ替えることを意味していることです。つまり、別のトップを用意する必要があります。

このトップに最もふさわしい人物は金正男氏以外いないのです。北朝鮮も米国が金生恩委員長の暗殺を企てていることは当然わかっています。そのため北朝鮮は、米国の動きを注視し、その動きに合わせていちいち反応しています。そうして、日米首脳会談が行われたのは今年の2月のことですが、それを狙うように、北朝鮮は、移動車両から弾道ミサイルを発射して牽制しています。

そして、安倍首相が帰国の途についた頃に、金正男氏がマレーシアでVXガスで暗殺されたのです。金正恩委員長は、自分に代わり、北朝鮮のトップの座につく可能性の高い金正
男氏を暗殺したのです。

3月1日に米韓合同軍事演習が始まると、それを牽制するかのように、北朝鮮は3月6日に弾道ミサイル4発を同時に打ち上げています。そして3発のミサイルが日本のEEZ(排他的経済水域)に落下したのです。軍事専門家の分析によると、長崎県の米海軍佐世保基地と、山口県の米海兵隊岩国基地が標的だったのではないかとされています。

そして3月15日から19日まで、ティラーソン国務長官は日本、韓国、中国の3ヶ国を訪問しました。これは、作戦が実行される可能性があることを伝える歴訪であったと思われます。このティラーソン国務長官をサポートするためか、3月17日にトランプ大統領は、北朝鮮について次のツイートを発信しています。

北朝鮮の行動は非常に悪い。アメリカを長年愚弄し続けた。中国は事態を放置してきた。──トランプ大統領

このトランプ大統領のツイートに呼応して、北朝鮮は19日に弾道ミサイル推進エンジンの燃焼実験を公開して米国を牽制したのです。非常にきわどい火遊びであるといえます。 

そうして、以前このブログに掲載したように、“新”正恩氏斬首作戦 トランプ氏「最終決断」秒読み段階に入っているのです。

これについては、以前このブログにも掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
【スクープ最前線】“新”正恩氏斬首作戦 トランプ氏「最終決断」秒読み…特殊部隊の単独作戦で「すでに待機」―【私の論評】正恩は、習近平によって斬首される(゚д゚)!
トランプ大統領
北朝鮮情勢が緊迫している。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏殺害事件などを受け、ドナルド・トランプ米大統領が最終決断を迫られているのだ。「兄殺し」もいとわない狂気のリーダーに、核・化学兵器搭載可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)を握らせれば世界の平和と安定が脅かされかねない。ジャーナリスト、加賀孝英氏の独走リポート。
「あいつ(正恩氏)は異常だ!テロリストだ!トランプ大統領は、そう吐き捨てたようだ」。旧知の米情報当局関係者はそう語った。驚かないでいただきたい。朝鮮半島有事が秒読みで迫っている。米国は、国連安保理決議を無視した新型中距離弾道ミサイルの発射(12日)や、猛毒の神経剤VXを使用したマレーシアでの残忍な正男氏殺害事件(13日)を受け、新たな「作戦計画=正恩氏斬首作戦」を準備した。米国はこれまで、北朝鮮に対して「作戦計画5015」を用意してきた。
  
どこが違うのか。米軍関係者が明かす。「5015は、北朝鮮の核・軍事施設など約700カ所をピンポイント爆撃し、同時に、米海軍特殊部隊(ネービーシールズ)などが正恩氏を強襲・排除する。新作戦計画は、特殊部隊の単独作戦だ。国際テロ組織『アルカーイダ』の最高指導者、ウサマ・ビンラーディン殺害時と同じだ」。
この記事では、私は【私の論評】で、正恩が、習近平によって斬首される可能性についても示唆しました。

実際習近平がこのくらいの気構えで北朝鮮問題を打開しようとすれば、トランプ大統領も金正恩斬首作戦の実行を踏みとどまるかもしれません。

習近平
トランプ米政権の発足後、最初の米中首脳会談が今週開かれます。6日から7日にかけてはトランプ大統領の招聘で訪米し、フロリダ州の海辺の別荘で会談することになっています。

米国は、これまでの北朝鮮政策が失敗だったと表明しています。技術を高める北朝鮮への核・ミサイルへの対処に時間はかけられないです。時間をかければ、いずれ北朝鮮はアメリカ全土を核ミサイルの射程距離に収めてしまうことになります。

この問題に関して、トランプ氏は英紙のインタビューで「中国が解決しようとしない場合は、われわれが対処する」と語りました。これは、米国単独での対応も辞さない意味です。

すでに、トランプ政権は北朝鮮をテロ支援国家に再指定することを検討中です。中国企業などへの追加制裁も発動しています。

中国は対話路線に固執しています。それによる非核化は非現実的なことについて、習近平国家主席とどれだけ認識を共有できるかが今回の会談の最重要課題になることでしょう。

この会談で、習近平が北朝鮮に対する態度を改めることを確約すれば、トランプ氏は様子見をすることでしょう。しかし、その後中国の態度が改まらなければ、北のミサイルが米国全土を射程内に収める以前に必ず、トランプ大統領は、金正恩斬首作戦を実行します。

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2014年11月13日木曜日

【石平のChina Watch】首脳会談で敗者となった習主席―【私の論評】日中首脳会談の安倍総理大勝利を報道できないマスコミ!一国の宰相に愛想づかしをされ、蚊帳の外におかれるマスコミは、もうその使命を終えた(゚д゚)!


石平太郎氏

北京でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)で安倍晋三首相との初の首脳会談に臨んだ習近平国家主席の態度は異様なものだった。

余裕のある安倍首相の自然体と比べれば、習主席の態度は稚拙そのものだ。

政権発足以来2年間、習主席はずっと安倍政権と対決路線をとってきた。そして尖閣周辺の海域と空域では日本に対する挑発行為をエスカレートさせている。

一方の安倍首相はその間、一心不乱に中国包囲網の構築を目指すアジア外交を精力的に展開した。日米同盟を強化した上、東南アジア諸国との連携を進め、あらゆる国際会議の場を借りて「力の支配」を企(たくら)む中国に対する批判と牽制(けんせい)を行った。

その結果、アジアで孤立を深めたのは中国の方であった。ASEAN諸国の大半も安倍首相の中国批判に同調する方へ傾いた。

習主席は何とか劣勢をはね返して外交を立て直そうとし、中国が議長国を務めるAPECが最大のチャンスとみて着々と動き出した。まずはベトナムとの対立を緩和させ、フィリピンとの領土紛争も一時的に休戦させた。経済援助を手段に一部のアジア諸国を手なずけた。準備万端整えた上で習主席はAPECの大舞台に立ったのである。

しかし彼には心配事があった。安倍首相の出方だ。もし、安倍首相がこの重要会議において相変わらずの中国批判を展開していたら、中国にとっての晴れ舞台が台無しになってしまう。

中国は結局、安倍首相を「野放し」にするようなことはできなかった。そのためには首脳会談に応じる以外にない。もちろん中国はそう簡単に折れたくはない。「領土問題の存在を認める」「靖国は参拝しない」という2つの条件を日本側に突きつけた。

しかし、安倍首相は最後までそれを拒否した。窮地に立たされたのは習主席の方である。そしてAPEC開催の3日前、日中間でようやく4項目の「合意文書」が交わされた。もちろんそこには「靖国」のやの字も入っていないし、日本が認めたとされる「異なる見解」は決して「領土問題」を指していないことは一目瞭然だ。つまり中国は、日本側に突きつけた2つの「条件」を自ら取り下げて首脳会談に応じた。


こういうことを強く意識しているからこそ、安倍首相との会談の冒頭、習主席は自らの悔しさを覆い隠すために、条件を引き下げたことを国民の目からごまかすために、わざと無礼な態度をとって虚勢を張るしかなかった。その瞬間、習主席は文字通りの敗者となった。

習主席にとっての問題はむしろこれからだ。「靖国不参拝」を約束しなかった安倍首相はいつでも参拝できるが、首脳会談に踏み切った習主席にしては、安倍首相に「参拝されたら」大変なことになる。今後、安倍首相に気を使わなければならないのは習主席の方だ。首脳会談後の日中関係で優位に立つのは、結局安倍首相の方ではないか。



【プロフィル】石平

せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。

上の記事は要約です。詳細をご覧になりたい方はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】日中首脳会談の安倍総理大勝利を報道できないマスコミ!一国の宰相に愛想づかしをされ、蚊帳の外におかれるマスコミはもう、その使命を終えた(゚д゚)!

先日もこのブログには日中首脳会談について掲載しましたが、これはまだ会談直前のものでした。その記事のURLを以下に掲載します。
APEC開幕 きょうにも日中首脳会談―【私の論評】自国の総理の大勝利を喧伝しないどころか、中国と連携するか、沈黙して中国を応援する日本のマスコミのど変態ぶりがまた発揮されたマスコミの安倍総理中国訪問報道(゚д゚)!
APEC首脳会議に出席するため、北京国際空港に到着した安倍首相。右は昭恵夫人
詳細は、このブログをご覧いただくものとして、この記事では日中問題に詳しい石平氏の日中首脳会談に関するツイートを掲載し、会談前の合意文書作成の過程において、日本は「領土問題の存在を認めず」「靖国は参拝しないということも認めず」という立場を貫き、結局中国が折れた形となり、安倍総理としては、日中首脳会談開催の前から大勝利であったことを掲載しました。

しかし、マスコミはこのことを「日本側の大勝利」ということを伝えないばかりか、中国側に連携するか、沈黙して中国を応援するような報道内容であったため、それを批判しました。

以下に、この記事の結論部分のみ掲載します。
それにしても、自国総理大臣からは愛想づかしをされて、中国様の情報統制を恐れて、まともな報道をしない日本の報道機関、もう先がないですね。 
おそらく、日中首脳会談についても、まともな報道しないでしょう。おらく、死力をつくして、中国にとって良くなるような報道に、各社が知恵を絞ることでしょう。知恵が追いつかなければ、ほとんどまともに報道しないことでしょう。 
これについては、もし日本のマスコミが正しい報道をしないというのなら、このブログに掲載する予定です。よろしくお願いします。 
それにしても、今回の安倍総理の中国訪問、マスコミ各社は、自国の総理の大勝利を喧伝しないどころか、中国と連携するか、沈黙して中国を応援するいうど変態ぶりがまた暴露された形となりました。 
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか(゚д゚)!
さすがに、日本のマスコミも日中首脳会談直後からは、ある程度は報道を開始しましたし、本日は朝もテレビで報道しており、日本が拒否した二条件に関する報道もありましたが、その真の意味などはあまり報道しておらず、「日本側の大勝利」ということは相変わらず報道はしていません。

これは、さすがに明らかに負けである今回の日中首脳会談に関して、中国側も「中国側大勝利」と報道するわけにもいかず、時によっては、人民日報をまる写ししているような日本の新聞も、さすがに本家の中国の報道の枠を超えて「中国大勝利」などと掲載するわけにもいかないため、トーンを落とした事実報道に終始するしかなかったのだと思います。

ちなみに、中国メディアの今回の首脳会談後の報道の典型的なものを以下に掲載しておきます。
日中首脳会談を実現した安倍首相、これからどうするのか?―中国専門家
11日、習近平(シー・ジンピン)国家主席は今月10日、アジア太平洋経済
協力(APEC)会議出席のため訪中した日本の安倍晋三首相と会談した。

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、煮え切らない文章がぐたぐた並べられていて、最後の結論は、「安倍首相、これからどうするのか?」です。

この記事においても、ご多分に漏れず、日中合意事項の一件、もし日本側が中国に譲歩したような内容であれば、中国のメディアや御用学者が鬼の首でも獲ったように大騒ぎするはずですが、この論評でもそれは皆無です。「日本が譲歩した、折れた」などとは一言も言っていません。事実、日本は一切譲歩していません。

日中合意事項と首脳会談に関する中国国内メディアや御用専門家の論評を見ると、彼らは一律に、中国政府が首脳会談の条件として日本側に二つの条件を出したことにいっさい触れていません。会談実現のために自らの出した条件を取り下げたのは中国の方だから、彼らは一切触れたくないのである。

中国側メデイアがこの有り様ですから、日本のマスコミとしても、中国擁護の論評を公表することもできず、事実報道を淡々と流すということしかできないのです。

しかし、これは結果として良かったと私は思います。今回の首脳会談に関して、日本のメディアが積極的に報道しないということが、安倍総理の対中国外交をかなり実施しやすいものにしています。

それは、以前のブログでも述べたように、安倍総理の「安全保障のダイヤモンド構想」に基づく、外交でも同じことでした。


この構想に関しては、マスコミ各社はまるでその存在がなかったかのように、どこも報道しませんせんでした。したにしても、かなりあっさりしたものであり、その意味や背景まで報道したのは産経新聞くらいかもしれません。

しかし、その事が幸いして、安倍総理は自分の思った通りに行動することができ、実際にこのブログでも掲載したように、この構想は完成に近づいています。

安倍総理は国内の他の政治家マスコミや官僚などまったく相手にせず、独自の外交を推進してきました。これが、日本国内で、「安全保障ダイヤモンド構想」を公の場でぶちあげ、周りのコンセンサスとってから、実行するなどということをしていたとしたら新聞各社は大反対で連日反対報道したでしょう、官僚も大反対、左翼系識者も大反対で、安倍総理がこの構想を推進しようにも、身動きがとれなかったかもしれません。

しかし、安倍総理は自分で考え実行動をおこして、各国に働きかけ、あっという間に「安全保障のダイヤモンド」を完成近くまでこぎつけることができました。

これが、国内でマスコミが大報道していれば、こんなにスムーズには進まなかったことでしょう。だからこそ、安倍総理もこの構想を日本で公表するのではなく、外国のサイトに掲載したのです。

日中首脳会談後の中国対応もこのようになることでしょう。今回、中国に対して巨大な楔を打ち込むことに大成功した安倍総理は、中国に対しての攻勢を強めるか、相手がそれに対応しないというのなら、日中首脳会談時のように、こちらの要求を飲まなければ、無視するという行動に打って出るでしょう。

そうなると、経済的にも追い詰められた中国は、以前よりは日本に対して、寛容にならざるを得なくなると思います。しかし、今回の日中首脳会談の報道にも見られたように、その真の背景を日本のマスコミは永遠に報道することはないし、できないことでしょう。

もうそのような兆候はいたるところに見られています。安倍総理が、増税に関する事柄については、外国のメディアを用いるようになったことは、以前にも述べました。

安倍総理の経済に関する考え方など、まともに報道をしないので、安倍総理からは愛想をつかされています。だから、安倍総理が関与する実体経済に関しては、ほとんどまともな報道はできません。だから、現状ではマスコミは、「増税見送りなら解散総選挙」という憶測に震撼しています。これは、最早憶測ではなく、確定に近くなっていますが、少し前までは憶測でしたが、その憶測に震撼するというマスコミの感度の鈍さが、いかに蚊帳の外におかれているかを如実に示していると思います。

安全保障のダイヤモンドについて報道もしないし、背景も説明しないので、インドのモディ首相や、ロシアのプーチン氏と安倍総理の会談についても、その背景を十分説明しないというか、できない状況になっています。

マスコミは蚊帳の中に入れてもらえない・・・・・?

要するに、少し前までは、日本のマスコミは、中国や左翼系にばかり配慮して、安倍総理などを蚊帳の外に置いてきたわけですが、マスコミは今や安倍総理から蚊帳の外におかれているわけです。

安倍政権が長期化すれば、マスコミは長期にわたって、安倍政権から蚊帳の外におかれるということになります。次の政権あたりも、蚊帳の外に置くようになるかもしれません。蚊帳と外に置くとはいっても、無論事実を伝えるということはするかもしれないですが、どうせその背景や意図を話しても、理解しないか曲解して報道するので、それは言わないということになると思います。

これに対して、新聞各社や左翼系などは、抗議をするようになるかもしれませんが、それは、あまりにも長い間マスコミが中国や左翼にばかり配慮して、時の政権や、首相を蚊帳の外においてきたことのつけであり、自らが変わらない限りこの抗議は無効ですし無意味です。

それにしても、一国の宰相から、愛想づかしをされ蚊帳の外におかれるマスコミなど、その存在意義はなくなったと思います。もう、正しい報道などできません。いつまでもこのような事を続けているのであれば、いずれ社会的に葬られると思います。もうそうなりかけています。

私は、そう思います。皆さんはどう思われますか(゚д゚)!

【捕捉】
習近平のあのムサイ顔つきは、この黄色いネクタイのせいもあったのかもしれません。


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