2017年6月29日木曜日

都議選の結果で国政への影響は… 民進は「虎の子」の都議を小池氏に奪われるだけかも―【私の論評】積極財政に無関心の小池知事は国政に影響を与えられない(゚д゚)!


都議選の応援をする小池知事

 7月2日に投開票される東京都議選では、何が争点となっているのだろうか。

 民進党や共産党では、トップである代表や委員長が加計学園問題や改憲など、国政問題を掲げている。一方、自民党の幹部や公明党の代表は、豊洲市場への移転問題など都政を訴えている。都議選なのに国政問題を訴えるのは場違いに思えるが、テレビに露出するだけでいいという考え方なのだろうか。

 事前の世論調査をみると、選挙戦では、都民ファーストの会と自民が熾烈な議席獲得競争を続けており、民進、共産は厳しい戦いのようだ。

 国政では、安倍晋三政権が支持率をやや失っており、地方の都議選とはいえ、本来なら民進や共産に有利に働いてもおかしくない。しかし、その批判票は今のところ都民ファーストが受け皿になっている。

 一方で、豊洲移転をめぐる迷走で、都民ファーストへ流れた批判票も一部は自民党に回帰している可能性もある。両党の競争の結果として、民進、共産が切り崩される展開となっているもようだ。それが、冒頭のように民進、共産が国政の課題を訴える背景になっている。

 都議選の現場では都民ファーストと自民は競っている。都民ファーストを率いる小池百合子知事が最近表明した「豊洲移転・築地再開発」の評判は良くない。豊洲と築地の両方にいい顔をしただけと見る人は多い。

 筆者としても、本コラムで書いたように、豊洲への移転は、サンクコスト(埋没費用)論と、豊洲・築地の科学的なリスク評価のみで合理的な帰着である。しかし、「食のテーマパーク」としての築地再開発についてはさっぱりわからない。

 無理してテーマパークのような施設を作ることは可能だが、問題はその後どのように黒字経営できるかだ。思いつきレベルでどこまで収支計算ができるか分からないし、そもそも都庁が口を出さずに、民間に売却して再開発してもらった方が政策の「打率」もいいだろう。そうした不合理性が都民に浸透すれば、都民ファーストの戦いも苦しくなる。

 逆に、今の小池ブームの勢いが続けば、自民が苦戦するだろう。しかし、これが国政に影響するとは必ずしも言えないのではないか。民進、共産が大躍進しない限りは、国政での自公連立は揺るがないからだ。というのは、都民ファーストが勝てば公明の勝利、自民が勝てば自民の勝利なので、かなり乱暴な言い方ではあるが、国政における自公政権としては、どっちが勝ってもいいともいえる。

 都民ファーストが勝利しても、2020年の東京五輪を控えて、小池都知事が国政で自公政権と対立するとは思えず、むしろ協力関係になるだろう。民進にとっては「虎の子」の都議を小池知事に奪われるだけになる恐れもあるのだ。

 いずれにしても民進や共産が期待する国政の混乱にはなりそうもない。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】積極財政に無関心の小池知事は国政に影響を与えられない(゚д゚)!

高橋洋一氏の読みは正しいと思います。都民ファーストの会が大勝利したとしても、国政にはあまり影響はないでしょう。

国政に関して、なぜ安倍政権が一強になるかといえば、それは経済対策に関して、野党や自民党内の他の幹部クラスと比較して、まともであるということがいえます。

特に金融政策は未だ不十分とはいいながら、安倍政権が政権の座についてからは、緩和に転じたため、現状では若者雇用を筆頭にかなり雇用環境が良くなっています。

一方、マスコミ全部と与野党の政治家が8%増税に大賛成し、しかもこの増税は日本経済に与える影響は軽微としたため、やむなく増税に踏み切ったところ、軽微であるどころか、甚大な悪影響を与え、個人消費が伸び悩みGDPの伸びはいまいちというところで、今のままではまた何かがあればデフレに戻りかねない状況です。

実際に、8%増税の悪影響で、税収も減っています。2016年度の国の一般会計税収が55兆5千億円前後にとどまり、15年度の56兆2854億円を下回ったことが28日分かりました。前年度割れはリーマン・ショックの影響で税収が急減した09年度以来7年ぶりです。


政府は16年度税収に関し、当初予算の段階では15年度を上回り57兆6040億円に達すると見込んだが、昨年末の補正予算で1兆7440億円下方修正し、55兆8600億円に減少すると見積もり直しました。

この税収減少については、マスコミは8%増税の悪影響であることを報道しませんが、これは以前にもこのブログにも掲載したように、増税による個人消費の減退は明らかで、これが税収の減少につながつていることは明らかです。

日経新聞は、昨秋までの円高で企業収益が伸び悩み、法人税収が低迷したことが響いたなどとしていますが、これよりも個人消費の落ち込みが大きかったことは明らかです。これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
なぜ日本の「実質GDP成長率」は韓国以下のままなのか?―【私の論評】緊縮会計をやめて消費税も5%に戻せ(゚д゚)!
 
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では8%増税の悪影響について掲載しました。

この記事から、一部分を以下に引用します。
日本国民は、長期化するデフレの中で、ながらく消費支出を抑えてきたが、2012年終盤以降、現在の安倍政権発足と「アベノミクス」によるデフレ脱却の機運の高まりの中で、消費性向は急上昇した。 
2014年4月の消費税率引き上げ直後も、その余勢(もしくは、長年のデフレによる「倹約疲れ」も影響してか)からか、消費性向はすぐには低下しなかったが、2014年の夏場以降、急速に低下し始めた。 
この間、景気回復のモメンタムは失われたが、雇用環境の改善は続いたため、全体としての賃金(統計的には雇用者報酬)の増加は続いた。だが、賃金の回復局面にもかかわらず、消費性向の低下(及び、貯蓄率の上昇)はむしろ、加速度的に進行した。
そして、消費性向の低下の推移をみると、特に加速度的に低下が進行したのは2016年半ば以降であった。 
思い起こすと、ちょうど2016年6月に、安倍首相は、2017年4月に予定していた消費税率再引き上げの先送りを発表した。この決定自体は、当時の経済状況を考えると「英断」であったことは間違いない。ただ、問題は、次の消費税率再引き上げを2019年10月に単に「先送り」しただけであったという点だと考える。 
多くの国民は、「2017年からの消費税率引き上げはなくなったが、いずれかの時点(この場合、2019年10月)で消費税率の引き上げは実現し、場合によっては、それだけでは終わらず、将来的にはさらなる増税も実施されるに違いない」ことを想定して、「節約志向」を変えなかったと推測される。そして、この流れは現在も継続中ということなのだろう。
さて、長々と日本経済の現状について掲載してきましたが、結局何が言いたかったかといえば、確かに8%増税には失敗しましたが、金融緩和のほうはそれなりに効果がでてきて、雇用状況はかなり良くなっているということです。これが、安倍政権一強の最大の要因です。

さて、実はこの事実には、都民ファーストの会が将来国政において大躍進できる機会がったかもしれません。

そうです。東京都が日本全国に先駆けて、積極財政に踏み出せば、東京都のGDPは全国に先駆けて上昇し、金融緩和+積極財政で、経済が上向き東京都はデフレから完全に脱却して、物価も上昇、実質賃金もはっきりと上昇傾向になり、この業績をもって小池知事が国政に積極財政を標榜して再び参画すれば、都民ファーストの会は国政レベルで相当躍進したかもしれません。

さらに、積極財政を標榜し、無論さらなる量的緩和も実施することを標榜し、国政に打ってでれば、国政でキャスティング・ボードを握り、それこそ近い将来に初の女性総理大臣登場ということにもなったかもしれません。

しかし、小池知事はこのせっかくのチャンスを棒に振ったかもしれません。なぜなら、小池知事はどうも積極財施などはなから念頭にないようなのです。

たとえば、今年の2月28日、東京都議会定例会の本会議が開かれ、各会派による代表質問が行われたときに、最初に質問に立った最大会派自民党の高木啓幹事長(51)は、いきなり「個人都民税の10%削減を提案したい」と切り出したのですが、小池氏はこれを一蹴してしまったからです。

高木氏は小池百合子知事(64)が昨年、知事給与を半減させ、議会も議員報酬を2割削減することを可決したことを指摘した上で、「来年度予算案で720億円の歳出削減しているので、成果を直接都民に還元することは、都民福祉の向上に結びつく」と理由を説明。減税規模は約880億円に上るとの見通しを示ししました。

この減税提案は他会派から「知らなかった」との声が上がる完全な“隠し球”。これに対して答弁に立った小池氏は、この提案を一蹴したのです。
 「高額所得者ほど減税額大きくなる。税の公平性の観点から問題がある。都市と地方の税収格差が問題視される中で都富裕論から財政調整の動きに拍車をかけることになりかねない。慎重に戦略的な対応をすべきだ」
代表質問を終え小池知事の前を通って自席に戻る自民高木啓議員
加えて2017年度予算案で無駄なコストを削って捻出したとする720億円は、「待機児童など必要な政策に思い切って投じ、都民に還元している」とすでに使い道が決まっているとかわされました。

質問終了後、記者団に対して高木氏は「議会は自らの待遇を引き下げた。その成果が自己満足で終わってはいけない」としたうえで、「財源の問題も含め唐突なことではなく、背景があってこの問題提起した。確実にできる目標」と強調しました。

この高木議員の「個人都民税の10%削減を提案」に関しては、ひょっとすると本人は積極財政などという考えはなかったかもしれません。単に、節約できたから、それを都民に還元すべきという程度の主張なのかもしれません。

しかし、本人が意図しようとしまいと、積極財政の提案であることにはかわりありません。もし、小池氏が国政レベルでの積極財政を推進すべきであるとの考えを持っていれば、ここまではっきりと否定することはなかったと思います。

積極財政といえば、国政でなくとも、都政でもできることはあるのです。高木議員の提案はその一つにすぎません。

実は東京都には、他にもデフレ的経済と闘う手段があります。これは、経済学者の田中秀臣氏が提案していたのですが、東京都で地域通貨(アービング・フィッシャー流の日付け貨幣というもの)を発行するという方法もあります。

この地域通貨と、現在行われてる地域通貨と決定的に違うのは、これを取得したものは一定期限に利用しないと事実上のペナルティ(追加の増税)を受けることにあります。最寄りの地方自治体の窓口に行き、この「日付け貨幣」を受け取った者(希望者に限定する)は、一定の期間に消費してしまわないと、むしろ追加の税負担を要求されるのです。

そのためこの追加の税負担を避ける目的で、「日付け貨幣」を得たものは積極的に消費する、という政策の枠組みです。これに類した政策の枠組みは多数あります。要はやる気の問題なのです。

東京都の経済が活性化すれば、都の財政状況も改善し、必要な社会保障などの財源として貢献することでしょう。だが、いまの東京都の現状では、むしろ低所得者層の状況を悪化させている消費増税の負担で、社会保障を充実しようという倒錯した形になってしまっている。そしてそれは東京都だけではなく、日本全体の縮図でもあるのです。

だからこそ、東京都が何らかの手段で、積極財政に転じて、東京都が他に先んじて、全国に先駆けてデフレから完全脱却し経済を良くすれば、都民フアーストの会は国政でも勢いを増し、その結果として、小池百合子氏が国政でキャスティング・ボードを握るということもあり得たかもしれないのです。

そうして、もしそうなれば、豊洲への移転問題など、さして問題にされなくなったかもしれません。そうして、もし小池氏がこの道をすすむというなら、私としては大歓迎です。であれば、私は都民ファーストの会を応援し、日本初の女性首相の誕生を待望したかもしれません。

さて、小池百合子氏が積極財政にあまり関心がないことを示す客観的事実はこれだけではありません。

これは、2008年 にまだ自民党に属していた、小池百合子氏が、総裁選に出馬したときの公約をみると良くわかります。

当時の公約について書かれている記事を見つけました。そのリンクを以下に掲載します。
自民党総裁選:小池百合子氏の公約
9月10日、小池百合子元防衛相は自民党総裁選公約で日本が
生かしきれていない潜在力を十分発揮できるよう
戦略的に取り組むことが必要との認識を示した

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この公約から経済政策のみを以下に拾ってみます。

"
 4.「経済力」

(1)財政政策は「財政に家計の常識を入れる」ことを基本にする。

  ・「借金依存の贅沢はしません」=赤字国債増発による景気対策は打たない。

  ・「資金繰り計画を変えません」=2011年度までの財政再建目標は堅持する。

  ・「ヘソクリを今こそつかいます」=構造改革の果実や特別会計の余剰金等を使う。

(2)当面の景気対策について

  ・必要な財源は特別会計の剰余金(いわゆる霞ヶ関埋蔵金)として、財政出動の部分は「経済力」「環境力」「女性力」を強化するという観点から再検討する。

(3)今後の経済財政運営は以下のように考える。

  ・マクロ経済政策運営としては、変動相場制のもとでの財政出動には効果がないとの認識に基づき、金融政策を中心として、必要に応じて減税政策を行い、個別業界へのばらまき財政支出は行わないことを基本とする。

  ・日本がもっている「もったいない力」を生かしきれば2.5─3%以上の経済成長をする実力を持っている。

  ・名目成長率4%を巡航速度とする先進国で一般的な経済の姿を実現する。その結果10年以内に、国民一人当たりGDPを18位から5位に引き上げる。

  ・2011年度の基礎的財政収支黒字化目標は堅持し、増税の前に、無駄の削減、公務員給与の更なる削減、政府資産売却などを徹底的に行う。

(4)借金依存体質に「リバウンド」させてはいけない。

(5)税制改革については以下のように考える。

  ・現在の石油関連税制を総合的に見直して、CO2排出量に応じた一般財源としての「炭素税」に切り替える。

  ・国税は、国税の原則である「応能税、人税、累進的課税」に基づくもので構成すべき。消費税は道州制導入の際に、地方の基幹的税として州政府に税源移譲すべき。

  ・相続税は、高齢者介護の社会化が進んでいること、高齢者の資産格差が拡大しており、この格差を次世代が継承することは望ましくないとの社会的公正の観点から、広く薄い資産課税を適正に行うものとして、福祉財源に充当する。

  ・経済活性化の観点からは、法人税減税の引き下げ、ファンドマネージャー課税の撤廃等の税制の国際標準化を行うべき。法人税率については、地域振興のための法人税減税特区を実現する。

  ・中小企業向けの欠損金繰り戻し還付制度を確立する。黒字から赤字転落した中小企業の納付済み法人税を3年前までさかのぼって還付し、中小企業税制の国際標準化により競争力を高める。

(6)海外の豊かさを日本に取り込む。

  ・羽田空港を24時間化するとともに全国主要都市の国際空港機能を強化して、日本をアジアのヒト・モノ・カネの中心とする。

  ・2013年の農林水産物輸出額1兆円の政府目標を順守する。

  ・国民の豊かさの定義を拡充するため、GDPからGNI(GDP+海外からの純所得)を重視すべき。

  ・英語教育を徹底する。とりわけ公教育における小学校英語教育を拡充する。

"
なにやら、頓珍漢な内容です。特に、"財政政策は「財政に家計の常識を入れる」ことを基本にする"というのは、どういうことなのでしょうか。家計のように、とにかく借金を減らすというプライマリーバランス至上主義であるとしかうけとりようがありません。

マクロ経済政策運営としては、"変動相場制のもとでの財政出動には効果がないとの認識に基づき、金融政策を中心として、必要に応じて減税政策を行い"としてはいるのですが、ではこれと財政政策とはどう折り合いをつけようというのか、理解できません。

しかし、財政政策を筆頭にあげているので、やはり、財政政策を優位におき、マクロ経済政策による景気変動対応型の金融緩和、積極財政はあくまでも従という取扱のようです。

やはり、安倍総理が後にあげた、三本の矢である、金融政策、財政政策、成長戦略(成長戦略はとってつけたようなもので不要だったと私は思うが)とは随分異なるものです。

やはり、小池知事の頭の中は、積極財政は従という扱いであるとしか思えません。

これでは、その他大勢の国会議員と大同小異で、安倍政権に対して優位性を保ったり、キャスティングボードを握ることは不可能です。2008年から時もたっているので、小池百合子氏も考えかを変えたかもしれないと思う人もいるかもしれませんが、この時点で財政優先の考えを持っている議員でその後考えを変えた人は与党にも野党にも存在しません。小池知事だけが、例外であるとは考えにくいです。

そうなると、豊洲移転への不手際や、築地市場の失敗も目に見えるてくるでしょうし、都民ファーストの会が国政で大きな影響を与える機会も訪れることはないでしょう。今回の都議会選挙では勝利するかもしれませんが、その後は線香花火のような状況になり、少数政党として、いずれ消えていくか、他の党に吸収されて終わりということになると思います。

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2017年6月28日水曜日

米国人青年の悲惨な死が日本人拉致事件に与える影響―【私の論評】我が国は拉致被害者奪還作戦を展開できる国になるべき(゚д゚)!

米国人青年の悲惨な死が日本人拉致事件に与える影響

北朝鮮の非人道的な虐待に全米が怒り心頭

16日、北朝鮮・平壌の最高裁で判決後に法廷から出るオットー・ワームビア氏
北朝鮮による拘束からようやく解放された米国人青年が、帰国して間もなく死亡した。6月19日のことである。

この青年の悲惨な死は北朝鮮政府の非人道的な行いを改めて全世界に見せつけた。とくに米国では、トランプ大統領から一般国民まで北朝鮮に対する激しい怒りが沸き起こった。この事件は、日本人拉致事件にも意外な影響を及ぼしそうである。

   深刻な損傷があったワームビア氏の脳

 米国のバージニア大学の学生、オットー・ワームビア氏(22)は北朝鮮の刑務所から解放され、6月12日に出身地の米国オハイオ州の病院に入院した。だが同19日、その若い命が失われた。

 ワームビア氏は2016年1月、北朝鮮を観光目的で訪れ、出国直前に平壌の滞在先ホテルに貼られた政治ポスターを盗んだとして逮捕され、15年の「労働強化」という懲役刑に処せられた。オバマ政権は、北朝鮮の強制収容所に拘束された同氏の解放を水面下で求め、トランプ政権も要求を続けた。

 この6月に入って、北朝鮮政府はトランプ政権の要求に応じた形で、ワームビア氏を解放する方針を米側に伝えた。そして実際に解放したのだが、同氏はその時点ですでに昏睡状態にあった。北朝鮮側が撮影した映像には、長身の同氏が北朝鮮の係官に両脇を支えられ、やっとのことで歩を進める痛々しい姿が収められていた。

 北朝鮮政府はワームビア氏が昏睡状態にある理由を「ボツリヌス菌の感染」と発表した。ボツリヌス菌とは汚染した土壌や食品から生まれる珍しい毒性のバクテリアで、人間の体内に入ると、けいれんや麻痺の重症を起こすという。

 ところが米国の医療機関がワームビア氏の身体を検査したところ、ボツリヌス菌はまったく発見されなかった。その代わり、同氏の脳には数カ所に深刻な損傷があったという。米国側では、脳損傷の原因は、外部からの打撃、あるいは特殊な薬品の注入だとみている。入院から1週間後の6月19日午後、ワームビア氏は昏睡状態のまま病院で死亡した。

   米国の対北朝鮮政策は一段と強固に

 ワームビア氏が死亡すると、米国では、北朝鮮は自分たちの虐待によってワームビア氏の生命に危険が及んだため、あわてて同氏を解放し、昏睡の原因について虚偽の主張をしたのだとする認識が広まった。同氏の両親が記者会見をして、北朝鮮当局による虐待があったと非難したことも国民の怒りをエスカレートさせた。

 トランプ大統領は「北朝鮮当局の残虐な行為を非難する」という声明を出した。議会でも超党派で「北朝鮮の非人道的行為を許してはならない」(共和党のジョン・マケイン上院議員)という糾弾が表明された。

 米国メディアも、ワームビア氏の衰弱しきった画像を繰り返し流し、北朝鮮の責任を追及する論調を打ち出した。

 これまで米国は 基本的に北朝鮮の核兵器開発、ミサイル開発などを非難の対象としていた。しかし、今回ワームビア氏が死亡したことで、北朝鮮の人権弾圧にも批判の矛先が向けられることは避けられない。トランプ政権の対北朝鮮政策は一段と強固になるだろう。

    WSJが日本人拉致事件を詳しく解説

 米国の国政の場では、北朝鮮に拉致された疑いが濃厚な元米国人学生、デービッド・スネドン氏への関心も改めて高まりつつある。スネドン氏は2004年夏に中国の雲南省で北朝鮮工作員に拉致された可能性が高く、現在は平壌で英語を教えているという情報もある。

 米国議会下院は昨年9月、米政府にスネドン氏の本格的捜索を始めることを求めた決議を採択したが、今回のワームビア氏の悲劇によって、スネドン氏捜索の動きは加速するとみられる。

 同時にワームビア氏の死は、米国で「北朝鮮による日本人拉致事件」への関心も高める結果となった。ワームビア氏を不当に拘留し、虐待し、しかも平然と嘘をつくという北朝鮮のやり口が、日本人拉致事件と同様だからである。

 米国大手紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」(6月16日付)は「ワームビア氏は帰国したが、他の人たちはまだ帰ってこない」という見出しの記事で日本人拉致を詳しく解説した。

 この記事は、北朝鮮に拉致されたことが確認されている横田めぐみさんの事例を取り上げ、北朝鮮当局が2004年にめぐみさんの「遺骨」の偽物を送ってきた経緯を報じていた。その際、北朝鮮が日本に報告した虚偽の内容は、今回、ワームビア氏の症状について述べた嘘と同様だという。記事では、めぐみさんの母の横田早紀江さんが「ワームビア氏の悲劇に心から同情します」という趣旨の感想を述べたことも報じられた。

 ウォール・ストリート・ジャーナルの同記事は、今後、米国当局が日本との協力を深めて、外国人拉致を含む北朝鮮の人権弾圧への糾弾を強めることを訴えていた。

 他の米国メディアでも、今回の事件を報じながら日本人拉致事件に言及する報道や評論が少なくなかった。米国人青年のこの悲劇は、北朝鮮に今なお拘束されている米国人や日本人の解放を早める契機となるはずである。

【私の論評】我が国は拉致被害者奪還作戦を展開できる国になるべき(゚д゚)!

本日は、特に分析するようなことはしませんが、この事件に関する事柄を以下にまとめておきます。

北朝鮮外務省の報道官はワームビア氏が死亡した日、「ワームビア氏の送還のために北朝鮮を訪問した(米国)医師が、我々が心臓がほぼ止まったワームビア氏を救って治療したことを認めた」とし「ワームビア氏が死亡したのは労働教化中の拷問と殴打を受けたためという事実無根の世論が広まっていることについて、彼らは話す言葉があるはず」と述べています。

続いて「ワームビア氏が生命指標が正常な状態で米国に戻った後1週間も経たずに急死したのは我々にも謎だ」とし「今回の事件による最大の被害者は我々(北朝鮮)だ」と主張しました。さらに「彼が米国に戻るまで誠意を尽くして治療した」と強調しました。

一方、この日の共同通信によると、チェ・ソンリョン拉致被害者家族会代表が「平壌(ピョンヤン)の消息筋から得た情報」とし「ワームビア氏が出国しようとした日、ホテルの部屋で荷物を整理しながら靴を労働新聞に包んだが、ここに金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長の写真が載っていた」と主張しました。チェ代表は「金正恩委員長の写真に土がついたためワームビア氏が拘束されたと聞いた」と話しました。

6月13日にシンシナティ大医療センターに運ばれたワームビアさん。医師らは15日、意識不明の状態で、脳に重い損傷があると発表しました。

北朝鮮が送ってきた脳の画像は昨年4月のもので、損傷はその数週間前に起きた可能性が高いといいます。

北朝鮮側は、ワームビアさんがボツリヌス菌に感染し睡眠薬を服用して、昏睡状態に陥ったと説明。ところが、診断した同医療センターの医師らはボツリヌス菌は検出されなかったと述べました。

父フレッドさんは15日に記者会見で憤りました。「ボツリヌス菌や睡眠薬で昏睡状態になったという説明は信じない。たとえ信じたとしても、どんな文明国家にも、これほど長く息子の容体を隠し、最新の医療を受けさせなかったことに正当な理由はない」

父フレッド・ワームビアさん=6月15日、オハイオ州
19日に家族が発表した声明はこう結ばれています。

「6月13日夜、オットーがシンシナティに戻ったとき、話すことも、見ることも、言葉に反応することもできませんでした。非常に心地が悪いようでした。苦悶しているかのような。息子の声を聞くことはもうありませんが、1日で息子の顔つきは変わったのです。安らかになりました。故郷に戻り、それを感じたのだと思います」

「息子とその家族を思い、祈ってくださった世界中の皆様に感謝いたします。私たちも、ふるさとに心穏やかにおります」

北朝鮮の法定で礼をするワームビア氏
米国の数多くの旅行会社が、北朝鮮旅行の取り扱いを止めたと発表しました。また先月、米国の共和党および民主党議員らは、米国人による観光を目的とした北朝鮮渡航を禁止する法案を提出しました。なぜなら北朝鮮との緊迫した関係により、政治的理由で米国人が拘束される危険性があるからです。

トランプ大統領は就任以来、北朝鮮に対する圧力を強化する意向を何度も表しています。トランプ大統領は、北朝鮮のほぼ全ての貿易額を占める中国に対し、北朝鮮経済へのサポートを拒否するよう呼びかけ、説得しました。なぜならオバマ前政権の「戦略的忍耐」政策は、効果がなかったと考えられているからです。

米国が、北朝鮮観光を手配する個人及び団体に対して再び制裁を発動する可能性も十分あります。なお、法的観点から見てそれは非常に困難であるものの、北朝鮮観光を手配する個人及び団体の多くは中国、英国、米国に拠点を置いています。

一連の専門家らは、対北朝鮮制裁は機能しておらず、北朝鮮がさらに軍備増強と攻撃的な方向へ向かうよう挑発し、状況を悪化させているだけだとの見解を示しています。

在りし日のワームビア氏
北朝鮮で長期間拘束された米国人大学生、オットー・ワームビア氏(22)が死亡した問題で、日本人拉致被害者の家族や関係者からは、米国世論が喚起され北朝鮮への圧力が高まるとの見方が出る一方、「早期解決に直結しない」「最後は日本政府の取り組みが重要だ」との声も上がりました。

救う会」の西岡力会長は、米国では核・ミサイル問題に関心が集中していると指摘。中国で北朝鮮工作員に拉致された疑いがあるデービッド・スネドンさん=失踪当時(24)=の事案もあるが、拉致問題全体への認識は皆無で「米国で関心が高まるきっかけになれば」と語りました。

北朝鮮は最近、人権問題をめぐる国際刑事裁判所への提起など国際的批判に神経をとがらせ、治安当局にも逮捕者の適正な処遇などを周知しているといい、ワームビア氏については「重症化したため、『拷問死』などの批判をかわすため焦って帰した」と分析しています。



また、米国が今回の問題で早期に軍事行動などの強硬手段に出る可能性は低いとした上で、「米国は自国民を救い出したが厳しい結果になった。日本人の被害者にも猶予はない」と救出への取り組み加速を訴えました。

家族会代表で田口八重子さん(61)=拉致当時(22)=の兄、飯塚繁雄さん(79)は「拉致問題で米国が日本とともに具体的行動をすぐ取るとは思えないが、捕らわれた国民がいるという部分で同じだ。進展の可能性があるかもしれない」と話しました。

私として、日本の拉致被害者問題のほうが、今回のワームビア氏の事件よりもより一層深刻だと思っています。

なぜなら、ワームビア氏は自らツアーで北朝鮮に出かけ上で、このような悲惨な目にあっています。しかし、日本の拉致被害者はそうではありません。日本で、普通に暮らしていたにもかかわらず、拉致され北朝鮮に強制的に連行されているのです。

ワームビア氏の場合は、今回のようにはっきりと目にわかる形で北朝鮮から戻ってきて死亡しました。日本の拉致被害者も、北朝鮮でどのような目にあっているかなど全くわかりません。

半島情勢が緊迫する今になっても、拉致被害者・特定失踪者の救出が国家的なテーマになることもありません。彼ら彼女たちは、不法上陸した戦闘工作員に拉致され、30年以上も拘禁状態に置かれているのです。

例え、金正恩が木っ端微塵になり、北の核とミサイルが処理されても、拉致被害者を奪還できなけば、我が国は朝鮮有事で大敗を喫したに等しいです。米国と協力するしないは別にして、少なくとも、我が国は拉致被害者奪還作戦を独力で展開できる国にならなければ、まともな独立国とはいえません。

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2017年6月27日火曜日

クロ現5分延長の謎 NHK内部で政治部vs社会部が表面化―【私の論評】全国視聴者の前で政治部にケンカを売ったNHK社会部は馬鹿さ加減をさらけ出した(゚д゚)!

クロ現5分延長の謎 NHK内部で政治部vs社会部が表面化

クロ現のキャプチャー画面 社会部がすっぱ抜いたとされる新聞所
 加計学園の獣医学部新設をめぐり、6月19日、NHKが「クローズアップ現代+」で新たな内部文書をスクープした。だが、それ以上に緊迫したのは、番組に登場した2人のNHK記者の“同僚バトル”だった。

 萩生田光一官房副長官の関与に加え、〈総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた〉と首相自らの指示まで示した新文書。この特大の“NHK砲”に、同じ番組に出ていた政治部記者がケチをつけたのだ。

 「(国家戦略特区の)全ての選定過程で議事録が残され、ネット上で公開されている。意思決定に間違いが起こるはずがない」

 菅義偉官房長官の定例会見そのままの“政府の代弁”のような解説を始めたのは、政治部の官邸キャップ・原聖樹記者。これに対し、社会部の大河内直人記者がこう反論。

 「オモテの議論の透明性は確保されていると思いますが、今回の文書は内閣府と文科省の間で繰り返された水面下の交渉の記録の一つ。(公平性・透明性は)こうした交渉を含めて検証する必要があるのではないか」

 官邸vsNHKではなく政治部vs社会部が火花を散らす構図になったのだ。NHK関係者が明かす。

 「今回のスクープは政権側の目論見を狂わせる破壊力があった。新文書をすっぱ抜いたのは社会部の取材班ですが、その中身を知って官邸や与党関係者を日常的に取材する政治部が急遽、原キャップの出演をねじ込んだからなのか、原氏の掲げるフリップは手書き。NHKらしからぬ急ごしらえ感が漂っていた」

クロ現のキャプチャ画像 原聖樹政治部記者による手書きのフリップ
 同番組の通常放送枠は22時~22時25分。夕刊のテレビ欄にもそう記されていたが、この日の放送は22時30分までと、“5分延長”された。出演者が加わった分だけ“尺”を用意する必要に迫られたようにも見える。

NHK広報局は番組を5分延長した理由について、「取材・制作の都合上」と説明し、政治部記者の追加出演が延長の理由かという質問には、「ご指摘のような事実はない」と回答した。この奇妙な放送から垣間見えてくるのは、政治部と社会部の“立場”の相違だ。

「もともと全メディアのなかでも、NHK社会部は最も取材を先行させていて、前川喜平・前文科次官のインタビューも、かなり早い段階で取っていた。安倍首相ら政権幹部との“オフ懇”を繰り返している政治部とは、追及にかける思いが違う。それでも朝日新聞に先を越されていたのは局内で政権批判をためらう声が強かったからでしょう。社会部の鬱憤は相当たまっていたはず」(前出・関係者)

この手の話はNHKに限らず、菅氏を質問攻めにして「文書」再調査の「功労者」となった東京新聞社会部の望月衣塑子(いそこ)記者についても、「同僚の政治部記者は“ルールを知らない奴がご迷惑かけます”とクラブで頭を下げていた」(大手紙政治部記者)という。

全国の視聴者の前で政治部にケンカを売ったNHK社会部は、その空気を変えるきっかけになれるか。


※週刊ポスト2017年7月7日号

【私の論評】全国視聴者の前で政治部にケンカを売ったNHK社会部は馬鹿さ加減をさらけ出した(゚д゚)!


上の記事そのものは、週刊誌の馬鹿記者が書いたものでしょう。上の記事にもあるように、原聖樹氏は、「(国家戦略特区の)全ての選定過程で議事録が残され、ネット上で公開されている。意思決定に間違いが起こるはずがない」と発言をしています。

上の記事を書いた週刊ポストの記者は、原氏が語った、国家戦略特区の議事録も読みもせず、この記事を書いたのでしょう。

この馬鹿な記者子は、"全国の視聴者の前で政治部にケンカを売ったNHK社会部は、その空気を変えるきっかけになれるか。"などと馬鹿なことを書いていますが、私からいわせれば、「全国の視聴者の前で政治部にケンカを売ったNHK社会部は馬鹿をさらけ出した」というのが正しいです。

もしこの週刊ポストの記者がこの議事録を丹念に読めば、このような記事は書けないはずです。だから馬鹿だというのです。私は、加計問題に関して、政権側を批判する人間は、馬鹿か悪意のある人間かのいずれかであると思っています。だから、この記者には悪意はないと思うので、馬鹿だと断定したのです。

そうして、NHK社会部の大河内直人(NHK社会部記者)も馬鹿をさらけ出したということです。


私は、大河内氏は悪意ある人間だとは思いたくありません。だからこそ、大河内氏も大馬鹿であるということにします。

さて、「国家戦略特区の議事録」とはこのブログでも何度か掲載してきました。それは、おそらく以下のものだと思います。これは、以前このブログにも掲載したものですが、再掲します。
①2015年6月8日国家戦略特区ワーキンググループ議事録(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/hearing_s/150608_gijiyoushi_02.pdf) 
②2015年6月29日閣議決定(文科省部分、http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu22/siryo/__icsFiles/afieldfile/2015/09/02/1361479_14.pdf) 
③2016年9月16日国家戦略特区ワーキンググループ議事録(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/h28/shouchou/160916_gijiyoushi_2.pdf
これらの文書を読めば、文科省はワーキンググループの時点で、完敗していることが手にとるようにわかります。

たとえば、①2015年6月8日国家戦略特区ワーキンググループ議事録では、以下のよう牧野課長補佐の発言があります。牧野課長補佐とは、以前にもこのブログに掲載した、伝言ゲームで今回の問題で誤解が広まったその元になった文書を作成した人です。

課長補佐の牧野美穂氏(33)
○牧野課長補佐 そこまでは言っていませんけれども、既存の獣医師養成の分野に関して は少なくとも今足りているというように我々は農水省さんから聞いておりますので、その 上で関係者も納得するような、これは新しい構想だというようなものを具体的な需要の数 までも示した上でお示しいただければ、こちらとしても一緒に検討していきたいというこ とでございます。 
○原委員 挙証責任がひっくり返っている。
ここで、原委員の言う「挙証責任がひっくり返っている」という発言の意味するところは、本来既存の獣医師数が足りているのか足りていないのか、あるいは新しい構想による獣医師の需要数など、本来文科省が示すべきなのに、あたかも農水省にその責任があるかのように牧野氏が述べていることに対するものです。

そうなのです。本来規制する側が、需要は足りているということを示すことをしなければならないはずです。新しく、獣医学部を設立することを認可しないというのであれば、それを誰もが納得できる形で、データに基づいた資料を提示して説明する責任があるのです。

にもかかわらず、牧野氏は農水省などにこの説明責任を転嫁しているのです。これでは、話にも何もなりません。無責任そのものですし、これでは、新設獣医学部を規制することは到底不可能です。

③2016年9月16日国家戦略特区ワーキンググループ議事録には、以下のような浅野課長の発言がしるされています。

浅野 敦行 文部科学省高等教育局専門教育課長
○浅野課長 御指摘いただいたように、もう繰り返しになりますので申し上げませんけれ ども、我々としては先ほど本間先生からも御指摘いただいたように、既存の獣医師でない 構想、獣医師養成でない構想が具体化し、かつライフサイエンスなどの獣医師が新たに対 応すべき分野における具体的な需要が明らかになって、既存の大学・学部では対応困難だ ということであれば、そういったこともしっかり検討していくというつもりでございます。
○八田座長 そうであるかどうかという判定というのはもう今、進めていらっしゃるので すか。それとももう少し提案者等からのヒアリングが必要だということですか。 
 ○浅野課長 恐らくこれは文科省だけでは決められないと思いますので、きちっとしかる べく多分政府全体として、需要と供給の問題も全く関係ないわけではありませんので。  
○八田座長 それは関係ないでしょう。文科省は研究が必要かどうか、その観点からやる から文科省に権限があるので、実際の人たちの損得を斟酌するなどということはあり得な いでしょう。文科省は研究の必要性、ちゃんと需要が十分ある研究者を養成するというこ とが必要なら、それは当然やるべきではないですか。ほかのところを見る必要などは何も ないでしょう。
これを読むと、浅野課長は何とか新設獣医学部の設立を阻止しようとしているのですが、その根拠があまりに脆弱なので、やり込められていことが良くわかります。

以前このブログでも示したように、①と③を読むと、内閣府・特区有識者委員と文科省(農水省)による規制緩和議論は、前者の規制緩和推進派の完勝であることがわかります。

②の閣議決定では、要求されている獣医学部新設の需要見通しについて、許認可をもち需要見通しの挙証責任がある文科省が、まったくその役割を果たせていないことが分かります。しかも、②では、2015年度内(2016年3月までに)に獣医学部の新設の是非について検討するという期限が切られているのですが、それすら文科省は守れていないことがわかります。

これでは、文科省の完敗です。加計問題に係る規制緩和の議論は、課長レベルの事務交渉で決着がついてしまっていたののです。総理の参加する諮問会議の前にこれだけ完膚なきまでに文部省は負けてしまい、さらにはその無能ぶりまでさらけ出してしまってるのです。この問題のいずれかの過程で「総理の意向」が出てくる余地はまったくありません。

加問題に関しては、なにやら怪文書のような公文書でもない、メモ書きのものが発見されていたり、野党やマスコミが大騒ぎするので、その本質を見失っている人も多いかもしれません。とにかくこれらのほとんどは、倒閣に結びつけようという悪意に基づくものなので、その本質はかなり見えづらいものになっています。このような、余計なアーティファクト(人工物)を取り除いて、真実を見ることが重要だと思います。

そうして、この目的のため参考になるものはないかと、いろいろネットを探していると以下のよなツイートを見つけました。これはわかりやすいです






以下にアニメの部分を拡大して掲載します。


真相は、実は上記のようにシンプルなものです。戦略特区の議事録などを読むと、このような理解しか成り立ちません。そうして、公開されている議事録は当然のことながら、出席者全員の確認を受けた上で掲載するものでしょうから、信憑性は文部官僚の公用文ではないメモ書きなどよりははるかに高いです。

このように掲載すると、「いや表ではこうだが裏ではどうかわからない」と指摘する人もいるかもしれませんが、表の世界でこれだけ文科省が完膚無きまでに敗退しているのですから、それを裏の世界で政権側もしくは安倍総理が加計学園への獣医学部設置に関して、何らかの操作をするということはあり得ません。

これを批判するなどということは、たとえば大東亜戦争末期に米国の勝利がすでに確実になっていたにもかかわらず、裏側で米国が戦争に勝つために、必死で工作を仕掛けていたというのにも等しいような詭弁以外の何ものでもありません。

その後、前川前文科省時間が記者会見をしましたが、これについては、本当にここで説明するほどもなくあまりに空虚で、内容がないものだったので、ここで詳細は説明しません。説明すると、もはや脱力感で疲れそうです。

これについては、以下のリンクご覧になって下さい。
加計問題・愕然とするしかなかった「前川新会見」の空疎な中身 
マスコミよ、ツッコむ点は山ほどあるぞ

この記事は高橋洋一氏のものです。

先程、私はこのようなことをする人たちは、馬鹿か悪意のある人間としましたが、これは、もはやそのどちらであったとしても、顕在化した暴力であり、彼らに訴えても慈悲も共感もないかもしれません。

それにしても、NHKは何とか、原聖樹氏のようなまともな人間がいたということで、何とかクロ現でも、二論併記という形で、ある程度客観性を保つ事ができたと思います。

しかし、他のメディアは産経など除いてほとんど、全滅です。NHKに関しては、確かに時折偏向報道をすることもあって、評判が悪いところもあります。しかし、現在のところ報道に関しては、民放が予算を大幅に減らしたため、質がかなり劣化していることは否めないのですが、NHKはそのようなことはしていません。

そうして、NHKでも、地上波放送はそうでもありませんが、BS1のほうはかなり質が高いです。これは、中東関係のニュースなどをみると、他の局との違いをまざまざと見せつけられます。これは、中東問題の傑出した専門家である池内恵氏も高く評価しています。

それに関する記事のリンクを以下に掲載します。
実はNHKBS1はすごいインテリジェンス情報の塊
それでも、今回の『クロ現+』放送を受けて、20日に萩生田副長官が「不確かな情報を混在させてつくった個人メモ」と反論すると、21日にNHKは「行政文書であることは法的に疑いがない」という専門家による見解をニュースにするなど、再反撃に出ました。NHKの良識派の人々には、このようなNHKの他の勢力に負けないように頑張ってほしいです。

そうして、NHKを再生させていただきたいものです。民放の報道部の全部が予算をかなり削られてしまい、まともな放送をしようにもできなくなってしまっています。今の彼らは、能力があるないに限らず、まともな報道はしたくてもできないのです。人も予算も信じられないほどに削られてしまっているのです。偏向報道をするなといっても、できないというのが実情です。事実、昨年の米国大統領選では全敗でした。

NHKも全敗に近いものがありましたが、そうはいっても、日本のテレビ局の中で、唯一NHKだけが、まともな予算で報道番組を作ることができるのです。何とか、NHKから馬鹿と、悪意のある人間を駆逐して、まともにしていただきたいものです。無論、リベラル・左派の人間をすべて放逐しろなどと無体なことを言っているわけではありません。

しかし、加計問題に限らず、何を報道するにしても、すでに公開されているような信憑性の高い文書を検討することなく、メモ書きなどに色めきたつような輩は放逐してもらいたいです。

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2017年6月26日月曜日

【米韓首脳会談】トランプ烈火に油“北朝鮮と五輪”提案…「4悪」目は文大統領自身か 「おとぎの国」住人との声も―【私の論評】日本をはじめとする諸外国に振り回され続ける韓国の政権は短命に終わる(゚д゚)!

【米韓首脳会談】トランプ烈火に油“北朝鮮と五輪”提案…「4悪」目は文大統領自身か 「おとぎの国」住人との声も

テコンドー世界選手権大会の会場で、北朝鮮の張雄IOC委員(右)
と握手する韓国の文在寅大統領=24日、韓国中部、茂朱
 米韓首脳会談が29日、米ワシントンで始まる。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、さすがに初外遊先を平壌でなくワシントンとし、米韓の絆をアピールする方針のようだが、側近のトンデモ発言や米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」配備の遅れなど、「3大悪材料」(韓国紙)といわれる事態が出来。大統領府スタッフは直前まで火消しや釈明に追われたが、文氏自身が平昌冬季五輪での南北合同チーム結成まで提案する始末。自国民が非業の死に追い込まれ、北朝鮮に激怒するトランプ米大統領の目にはそれこそ「4大悪材料」と映る恐れもある。

 ■「米韓軍事訓練縮小」を一方的に提案

 「学者として話しただけだ。それが大きな問題になることだろうか」

 米国から帰国し、空港に到着した直後の21日、記者団にこう言い放ったのは文大統領の側近で統一外交安保特別補佐官の文正仁・延世大教授。

文大統領の側近で統一外交安保特別補佐官の文正仁・延世大教授
 文教授はワシントンで16日開かれたセミナーで「北朝鮮が核・ミサイル開発を凍結すれば、米国の韓半島(朝鮮半島)での戦略資産や米韓軍事訓練の縮小も可能だ」との持論を披露した。

 米国側はもちろん激怒。韓国大統領府も文教授に厳重警告をし、発言から50時間後に関係者が記者に弁明の背景説明を行った。

 しかし、この場でも「文教授と文大統領の考えは違うのか」との質問に明確な説明がされなかったことから、「2人の考えはそれほど変わらないのだ」との米国の疑念を深めてしまい、特別補佐官の地位を返上するよう求める声も韓国内で出ているという。

 そもそも軍事訓練の規模を米国側の同意なしに変えることは不可能であり、対北配慮のための「縮小」は地域に何のメリットももたらさないことを政権関係者のうち果たして何人が理解しているのだろうか…。

 ■おとぎの国の大統領

 韓国紙朝鮮日報によると、他の2つの悪材料は、THAAD配備をめぐる問題と米国要人冷遇説だ。

 文政権がTHAADに反対する中国の顔色をうかがっているため、配備が遅れたり配備計画をめぐる両国の認識に大きなズレが出たりしていることにトランプ大統領は「激怒した」と伝えられている。

 米国要人冷遇説は、共和党のマケイン上院議員の訪韓予定をめぐるもので、「訪韓が大統領府の冷遇で取り消された」との日本メディアの報道に韓国の大統領府側は次のように反論した。

共和党のマケイン上院議員 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 「大統領との昼食会の約束を設定したが、マケイン氏側から改めて調整してほしいと要請があり、さらに訪韓が難しくなったと伝えられた」

 3月に訪韓したティラーソン米国務長官との夕食会問題では、「疲労のために夕食会を長官が断った」との韓国メディアの報道を「もともと韓国側から招待がなかった。それを隠すため韓国側が自国メディアにそう説明した」(米政権側)と暴露される一件があり、そのときの不手際をほうふつとさせる。

 しかし、これらの3悪をさらに上塗りしそうなのが文氏の北発言だ。

 「平昌五輪に北朝鮮選手団が参加すれば、人類の和合と世界平和推進という五輪の価値を実現するのに大きく寄与する」

 北を正統なパートナーとし、国際社会で花を持たせようとしている。

 米社会には、北朝鮮に拘束された大学生、ワームビア氏の非業の死で北朝鮮に対する怒りが沸騰している。異母兄を外国の空港で殺害した疑いも濃厚な金正恩政権になぜ手をさしのべようとするのだろう。

 文氏はまさに、「北朝鮮との関係にファンタジーを夢想する」(武藤正敏元駐韓大使著「韓国人に生まれなくてよかった」 http://www.goku-books.jp/book/b287625.html )「おとぎの国の王子様」(同)といえるだろう。


【私の論評】日本をはじめとする諸外国に振り回され続ける韓国の政権は短命に終わる(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事では「文氏自身が平昌冬季五輪での南北合同チーム結成まで提案する始末」とありますが、これには後日談があります。

韓国を訪問している北朝鮮の国際オリンピック委員会(IOC)委員、張雄(チャン・ウン)氏が、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が提案した2018年平昌冬季五輪での南北合同チームの結成と南北合同入場行進に難色を示していたことが26日、明らかになっています。国際世論を無視して親北路線を鮮明にしている文在寅政権ですが、その北朝鮮側からはしごを外された格好になりました。

北朝鮮の国際オリンピック委員会(IOC)委員、張雄(チャン・ウン)氏
文氏は24日、中部の茂朱(ムジュ)で開幕した世界テコンドー選手権大会の開会式で行った演説で、「平昌五輪に北朝鮮選手団が参加すれば、人類の和合と世界平和推進という五輪の価値の実現に大きく寄与する」と述べ、南北合同チームと開会式での合同行進の実現を訴えました。

20日には都鍾煥(ト・ジョンファン)文化体育観光相が、一部競技の北朝鮮での分散開催などを検討していることを表明。IOCは「五輪ムーブメントは常に橋を懸けるためにあり、壁を築くものではない」などとコメントしていました。IOCの前向きな態度を受けて、文氏は張氏と握手をかわし、直接、北朝鮮側にも協力を求めました。

ところが、韓国紙、東亜日報(日本語電子版)によると、張氏はそれからわずか2時間後に、南北合同チームや南北合同行進について懐疑的な見方を示したというのです。

張氏は開会式後に開かれた晩さん会の前に、東亜日報が運営するケーブル&衛星チャンネル「チャンネルA」のインタビューに応じた際、「スポーツの上に政治がある。政治的環境が解決されなければならない」と主張しました。

その上で、文在寅政権が南北のスポーツ交流を望むならばまず、2010年3月に発生した北朝鮮による海軍哨戒艦「天安」撃沈事件を受けて、韓国が取っている独自の対北制裁措置「5・24措置」などを解除しなければならない、と強調したといいます。

文氏は演説で、「敵対国だった米国と中国が『ピンポン外交』で平和を成し遂げた。茂朱で新羅と百済が一つになったように、今日ここで南北が一つになり、世界が一つになることを願う」とも述べました。

これについても張氏は、「ピンポン外交が中米関係を改善したというが、政治的地盤が固まったため。政治に五輪のようなものを引っ張り出してはならない」とバッサリ。スポーツの政治利用をいとわない北朝鮮から、逆にいさめられるという想定外の展開になってしまったのです。

張氏は23日に韓国入りした際、記者団に対し、「私は(南北合同チームなどの)可否を議論する立場にない」と語りました。しかし張氏は、2015年に独誌シュピーゲルで「多才な外交官」「西側諸国で話すことができる唯一の公式な北朝鮮人」などと報じられた人物。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長とも非常に親しいとされています。

そうした張氏の態度は、少なくとも現時点で、金正恩氏が南北合同チーム結成に同意していないことをうかがわせます。もしくは、北朝鮮側が、平昌五輪を「5・24措置」などの解除を引き出すための“道具”に利用しようとしている可能性も否定できません。

結局、文在寅大統領は、外交に関しても全く疎いと言わざるを得ません。このブログでは何度か、文在寅大統領の経済対策のまずさについて述べてきました。今の韓国経済は、何をさておいても、量的金融緩和と積極財政を間髪を入れずにすべきであるにもかかわらず、文在寅大統領はそんなことは思いも浮かばないようです。

外交も、安全保証も、経済も駄目ということになれば、何一つ良いことはありません。本当に韓国民はとんでもない酷い大統領を選んでしまいましした。これなら、朴槿恵も経済も安全保証も、外交も駄目だったとはいえ、文在寅よりは、数段ましだったかもしれません。

おとぎの国の大統領・文在寅
5月10日の大統領就任から、まだ二ヶ月もたっていないのに、もう文在寅は馬脚を現してしまいました。米国を「立会人」とし、世界が注目する中で結んだ慰安婦問題をめぐる日韓合意は、条約にも相当する国際約束ということも全く文在寅の頭の中にはないようです。

韓国は今、まさに自分で自分を難しい状況に追いやっているとしか思えません。中国が嫌がっていた米国の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の導入は決めたものの、やはり中国に配慮して本格配備は先延ばしにする。一方で隣国、日本には無意味な歴史戦を仕掛けてきます。雇用・経済がかなり悪化しているというのに、打つべき手を知りません。

安全保障面でのふらふらと腰の定まらぬ態度は、同盟国である米国の怒りを募らせる半面、中国の満足にもつながりません。日韓合意軽視は間に立った米国の面子をつぶした上、日本との関係悪化は韓国経済を冷え込ませるだけです。韓国の束の間の成長は、日本から先端技術に関わる部品を輸入してそれを組み立て、海外への輸出に成功したことによるところにが大きいです。そのこともすっかり忘れているようです。これでは、喜ぶのは北朝鮮ばかりです。

韓国は盧政権時代も朴槿恵(パク・クネ)前政権当時も、米中を同等に扱い、その仲介役を果たす「東アジアのバランサー」を目指した揚げ句、どちらからも冷遇される結果を招いてしまいまし。八方美人的な姿勢は、誰からも信頼されません。文政権もその轍(てつ)を踏むつもりのようです。

韓国外交では、定見がなく勢力の強いものに従う「事大主義」と、世間を知らぬまま自らの実力や地位を過信する「夜郎自大」の2つの「ジダイ」が目立つ。この傾向が続く限り、東アジアは安定しないことでしょう。

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文在寅は経済・外交・安全保障の面で定見を持ち、まずは諸外国に振り回されることなく、自らの考え、自らの力でこれらを実行すべきです。反日も、日本を振り回しているようにみえながら、結局日本に振り回されているというだけのことです。

韓国が、経済・外交・安全保証の面で安定していれば、1990年代以前のように表立った反日などしないはです。安定していないから、諸外国に様々な形で秋波を発信し、結局諸外国に振り回されるしかないのです。結局反日だって秋波の一種に過ぎないのです。

特に最近の韓国の経済はそうでした。グローバリズムを標榜し、内需を疎かに(GDPに占める個人消費の割合は、韓国は50%台、日本をはじめとする先進国の大半は60%、米国は70%)したつけがまわって今の韓国経済は地獄の様相を呈しつつあります。特に家計の借金はとんでもないことになっています。

そうして、日本が2013年から金融緩和に転ずると、韓国経済は真っ先に大きな影響を受けました。ウォン高傾向になった、韓国経済は大打撃を受けました。韓国では、これを日本のせいにしようとする動きもありますが、それは大きな間違いです。

日本が異常な円高だったおかげて、韓国経済は発展できた面があったのですが、その間日本は金融引締めによる円高とデフレで日本国民は長い間苦しんできました。日本としては、金融緩和をしてまともなマネタリーベースの水準に戻しただけです。

それに、日本が緩和をして韓国経済が苦しいというのなら、韓国も緩和をすれば良いだけです。にもかかわらず、朴槿恵は緩和をしませんでした。そうして、文在寅もしそうもありません。

これらのことに気付かず、外国に振り回され続ける、韓国の大統領、政府は、結局短命に終わります。私は文在寅政権は、朴槿恵政権よりも短いと思います。

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2017年6月25日日曜日

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ついに本音解禁した文在寅大統領 韓国、慰安婦問題で対日交渉過程の検証開始


 韓国政府は、慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した2015年の日韓合意を検証する方針だ。関係筋が明らかにした。近く外務省に作業部会を設置し、対日交渉過程の検証を始めるという。

 検証では、合意に至った協議の関係文書の精査や、当局者への聞き取りを行う。合意に「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」との言葉が盛り込まれたことや、ソウルの日本大使館前に違法設置された慰安婦像について「韓国政府としても適切に解決されるよう努力する」と約束した経緯について調べるとみられる。

 また、合意までに元慰安婦への意見を十分に聴いたのかや、元慰安婦を支援するため設立された「和解・癒やし財団」の活動など、韓国政府の対処も確認する方針だ。

 財団関係者によれば、これまで通り、活動は粛々と進めるという。

 文在寅(ムン・ジェイン)政権発足後、韓国政府は日本政府に「合意を国民は受け入れられないのが現状」と伝えて、「再交渉」の表現は避けている。

 ただ、文大統領が最近、米紙とのインタビューで、日本の「法的責任と公式謝罪」を主張。康京和(カン・ギョンファ)外相も岸田文雄外相との電話会談で「両国共同の努力による解決」を訴えた。

 韓国政府は検証を経て対応を検討するもようだが、韓国では、「朴槿恵(パク・クネ)前政権時代の合意は岐路に立たされている」(聯合ニュース)といった報道も出ている。

 ■欧米メディアに「日本の法的責任や公式謝罪」訴え

 先月の就任以降、慰安婦問題をめぐる日韓合意の「再交渉」への言及を控えていた韓国の文大統領が、日本の法的責任や公式謝罪を言い始めた。日本の「努力不足」までも主張しており、追加措置を求める本音が出てきたかたちだ。

 文氏は2015年12月の日韓合意後、合意の無効化や再交渉を公言してきた。大統領選最終日の5月8日には、街頭演説で「日本には『慰安婦合意は間違いだった』と堂々と説得する」とまで叫んだ。

 ところが大統領に就任するや「再交渉」は口にしなくなった。また文氏は安倍晋三首相との電話会談や、今月訪韓した自民党の二階俊博幹事長との会談では、日韓合意について「国民の大多数が心情的に受け入れられないのが現実だ」と伝えるのみだった。

 大統領府が一度公表した人事の発表での「韓日合意再交渉」という表現を直後に取り消したこともあり、対日関係悪化を避けた現実的判断とみられてきた。

 だが文氏は最近、欧米メディアに「日本の法的責任や公式謝罪」を訴え、「最善の努力をしていない」と語り日本を批判している。

 日本政府は慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した日韓合意に従い、安倍首相が「おわびと反省の気持ち」を表明。元慰安婦への支援金として10億円を拠出するなど、合意を誠実に履行し、最善の努力をしている。

 「再交渉」という表現はなくとも、文氏の発言は大統領就任前に戻ったかたちだ。対日関係を考慮しているとしても、日本には直接訴えず、欧米メディアを相手に抑えてきた本音を吐露したとみられる。

 欧米メディアに向けた文氏の発言は、朴槿恵(パク・クネ)前大統領が海外で日本批判を続けた「告げ口外交」と本質的に変わらない。合意蒸し返しへの韓国特有の手法と解釈されても仕方がない。

【私の論評】日韓には何も問題はない、複雑化させれば文在寅の思う壺(゚д゚)!

文在寅大統領の数々の発言に対して、憤慨している人も多いとも思いますが、このような傍若無人な発言は、何も文在寅大統領にはじまったことではありません。ブログ冒頭の記事のように、朴槿恵前大統領も酷いものでした。

今では、忘れ去られているものの、その前の李明博元大統領も酷いものでした。その極めつけのものを以下に掲載します。これは、恵隆之介氏のメールの内容が転送されてきたものです。


2011.9.11 1543 惠隆之介氏からのメールをご覧下さい。驚くべき事実が記載されています。
-----------------------------------------------------------

各位

惠です。

以下の李明博発言ご存知ですか?

(8月31日、韓国SBSテレビ番組)(9月1日 日深夜テレ紹介放送)


李明博韓国大統領が、「北朝鮮の復興は心配ない、日本にやらせるのだ。

私が日本にすべてのカネを出させる、

我々はすでに日本を征服しているからだ。

奴らのカネは我々が自由にできる、

日本は何も知らない、

フジテレビが証拠、

日本人はよだれを垂らして見ている、

私にまかせろ、

日本にいるのは私の命令に忠実な高度に訓練された私の兵隊だ!」
と、いわゆる日本征服宣言を行った。


さらに、「朝鮮民主党のうわさは本当らしい、今年10月から日本人の全住民データーは朝鮮半島で処理されることになっている。日本人の家庭内秘密まで売っぱらったヤツが いるのだ。」

そういえば、現在首都圏をはじめ地方の空港、駅までハングル文字による表示や、朝鮮語(一部は中国語)放送が横行しており、文化的には既に吸収されつつあると言えましょうか

(以上)
これを裏付けるような動画もあります。


当時といえば、日本はテレビで韓流ドラマ、KPOPが全盛期でした。しかし、その後嫌韓ブームがおこり、今でも韓国に対して多くの日本人は良い感情をもってはいません。

しかし、「奴らのカネは我々が自由にできる」という幻想は、その後朴槿恵氏に受け継がれ、さらに現在の在文寅大統領にも受け継がれているようです。

結局今すぐに金がどうのこうのとは言わないものの、上記のような驚くべき発言や行動を繰り返し、外交カードをいつでも切れるようにして、最終的には日本から大金を引き出し、とにかく韓国の経済悪化による韓国国民の政府からの離反を食い止めるという腹であるとの思惑があると思われます。

しかし、これは何文在寅大統領に限ったことではありません。もともと、韓国は経済的には脆弱であったため、ことあるごとに国民の不満は高まる傾向にありました。

そうなると、大統領をはじめ時の政権は、国民からの大バッシングにあうことになります。それを避けるために、1990年代からはじめたのが、体系的な反日教育です。

韓国政府は、この体系的な反日教育により、日本を悪者に仕立て、韓国民の憤怒の大マグマを自分たちに向くのを防ぎ、日本に向けさせ、さらには国としての求心力を高めるということを繰り返してきたのです。

その本質は、今の文在寅大統領になっても、引き継がれているのです。

さて、この韓国というやっかいな国に対して日本はどのような対応をすれば良いのでしょうか。

結論からいえば、何を言われても「知らぬ存ぜぬ」で、間違っても経済援助などしないことです。

そもそも韓国側は、従来の日韓基本 日韓基本合意の違いを全く理解していないようです。この違いについては、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【釜山・慰安婦像設置】菅義偉官房長官会見詳報 韓国・釜山の慰安婦像設置に対抗措置 菅氏「日韓関係に好ましくない影響」「国と国として約束、履行してほしい」―【私の論評】先進国になれなかった韓国は、中所得国の罠にはまり発展途上国となる(゚д゚)!

詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では1965 年に締結された日韓基本条約と、一昨年の暮れに締結された日韓合意の根本的な違いについて簡単に述べました。

以下に、その違いを簡単に掲載しておきます。
日韓基本条約の大きな問題点は、賠償請求権協定が韓国側非公開であったことであり、それを日本側も容認していたことにありました。これは、二国間の条約であり、秘密協定に近いものなので、外交カードとしては、利用しにくかったのです。そもそも、日韓基本条約が韓国で公開されたのは条約締結から40年過ぎ2005年でした。しかし一昨年の日韓合意は国際社会に開かれたカードであり、以前とは 状況が全く違います。
一昨年末の電撃的な日韓慰安婦合意について、日本政府は「最終的かつ不可逆的な解決」と胸を張ったのにはこのような背景があったのです。 
しかもこの日韓合意に関しては、米国のオバマ大統領が深く関与していました。日韓基本条約は韓国にとって都合の良い穴があったわけですが、一昨年の日韓合意ではこの穴は塞がれたのです。

とはいいながら、韓国政府はあくまでこの違いを意に介さないことでしょう。そうして、これからも日本に対して様々な要求をしてくることでしょう。

しかし、だからといって慌てる必要は何もないのです。韓国が慰安婦問題について何か再度要求してきたとしても日本政府としては、「日韓合意」にもとづきそのような問題は解決済みであるとして突っぱねれば良いだけです。

実際、安倍総理はそのように突っぱねています。これについては、以前もこのブログに掲載しました。その記事のリンクを掲載します。
安倍首相、慰安婦問題を門前払い 領土問題挑発にも怒りの言及 韓国特使と会談―【私の論評】七面倒臭い韓国とはもう付き合うな(゚д゚)!
文特使(左)と会談する安倍首相。文特使から聞くべき話はなさそうだ=18日午前、首相
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部のみ引用します。
 安倍晋三首相は(5月)18日午前、韓国大統領特使の文喜相(ムン・ヒサン)国会議員と官邸で会談し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の就任を受け、「未来志向の関係を築きたい」「日韓合意を含む2国間関係を適切にマネージしていきたい」と語った。慰安婦問題に関する日韓合意の見直しを掲げる文大統領の願望を、事実上、門前払いしたことになる。韓国は特使派遣と並行して、領土問題で日本を挑発してきたが、安倍首相はこれにも断固抗議した。「極左・従北」とされる文政権に対し、決然とした姿勢を示した。 
日本政府としては、安倍晋三首相のこの対応を見習い、外務省をはじめすべての省庁が韓国に対してこのような態度で臨めば良いでけです。それでも、傍若無人にもさらに要求するなら、「日韓合意」で解決ずみと言って門前払いすれば良いだけです。たとえ、韓国政府はそれを認めないなどと言っても「日韓合意」で解決ずみと答えて、それでも引き下がらない場合は、警護の人間をつかって無理やり引き下がらせればそれで良いのです。

民間レベルでも、これと同じで良いです。何か韓国側が慰安婦問題にかこつけて要求してきたとしたら、「日韓合意」で 解決済みと突っぱねて、それでも言うことを聴かないというのなら、こんな面倒な相手とは取引をしないことです。韓国と取引しなくても、取引できる国はいくらでもあります。

それに、民間企業レベルで、このような面倒な相手と商売をするような経営者は、単に能力がないだけです。

日韓は、すでに「日韓合意」の上で、すでに慰安婦問題はなくなっているわけですから、その「合意」を違えてくる相手に対しては、まともに取り合わなくても良いです。それを相手の言い分などを聴いてしまえば、ありもしない問題をあることにされ、さらに複雑化させるだけです。

ブログ冒頭の記事にも「告げ口外交」のことが掲載されていましたが、たとえこれからも「告げ口外交」をしたとしても、それはたいした問題でもありません。朴槿恵大統領は「告げ口外交」をしていましたが、ロシアーのプーチンなどはそのような朴槿恵を軽蔑していたようです。

たまに真に受ける外国の馬鹿な人間がいたり、習近平のようにそれを利用しようとする人間もいるかもしれません。しかし、だからといって、文在寅あたりの言うことを真に受けて、日本政府を非難しようものなら、日本側としては韓国の主張するようなことは「日韓合意で解決済みである」と伝え、「そのようなことで日本を非難するのは日本国に対する内政干渉である」と非難すれば良いだけです。

事実そうなのですから、韓国の言い分を聴くような国や、指導者などは、かえって立場を悪くするだけです。

このように対応しても、韓国政府の態度が改まらなかった場合には、再度大使を呼び返して、韓国とは事実上国交を断絶をしてしまえばそれだけで良いことです。

国交を断絶したとしても、韓国にとっては失うものはかなり大きいかもしれませんが、日本にとっては、軽微です。何しろ、韓国のGDPは東京と同程度です。完璧に断交したとしても、ほとんど日本と日本人には影響はありません。

このような対応をしておけば、いずれ文在寅政権は、短命に終わりますから、文氏も蒸し返しどころでなくなります。その後の大統領も「日韓合意」の反故に執着し、まともな経済対策を実行しないなら、韓国経済は崩壊し短期政権に終わります。今のままだと、10年もしないうちに、間違いなく韓国の現在の体制は維持できなくなります。

慰安婦問題に関して、これ以上の対応をすれば、かえって問題を複雑化させるだけです。韓国に対する対応はなるべくシンプルにすべきです。韓国政府の反応などおかまいなしに、日本としては「日韓基本合意」で日韓の間には何も問題は存在しないという立場を堅持すべきなのです。

この方針を違えれば、それこそ文在寅の思う壺です。

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2017年6月24日土曜日

悪質さ増す日本メディアの世論誘導 信じる人はもはや絶滅危惧種―【私の論評】絶滅危惧種も国民なのだ(゚д゚)!

悪質さ増す日本メディアの世論誘導 信じる人はもはや絶滅危惧種


安倍晋三内閣の支持率が、6月の世論調査で軒並み急落した。5月は56・1%だった産経・FNNの調査結果は、今回47・6%と8・5ポイント低下した。そのほか、読売と日経が49%、共同通信44・9%、朝日41%、毎日36%と、いずれも50%を切った。

 これは野党やメディアの勝利なのか。そうとは思えない。緊迫する北朝鮮情勢や欧州で相次ぐテロ事件には目もくれず、ひたすら安倍内閣の足を引っ張り続けた「国壊」議員たちに、愛想を尽かした国民は多いはずだ。

 読売は世代別支持率も公表した。30代以下の若い世代の内閣支持率は今回も60%以上だった。民進党などの野党と一部のメディアが「倒閣運動の好機」ととらえた「森友・加計学園」問題や、「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法の採決をめぐるカラ騒ぎは、若者の心には響かなかった。

 中高年と比べて、ツイッターやフェイスブック、ユーチューブなどを通じ、多角的な情報を入手しているからだろう。

 テレビや新聞などの情報だけで物事を判断する世代と、ネット情報も参考にする世代との情報格差は広がる一方だ。数十年後は現在の若者が中高年である。メディア情報で世論誘導される人々は、もはや絶滅危惧種なのだ。

 米国でドナルド・トランプ大統領が誕生した背景の1つに、米国民の根強いメディア不信がある。米メディアは「暴言」を繰り返すトランプ氏が共和党候補になれば、自分たちが応援する民主党のヒラリー・クリントン元国務長官の勝利は確実だと考えていた。

 思惑通り、トランプ氏が共和党予備選を制したが本選挙も圧勝した。メディアが終始報じた「ヒラリー優勢」の世論調査は完全に間違いで、世論誘導できると信じていたメディアの完敗だった。

 懲りない米メディアは再び民主党と組んで「トランプ降ろし」に励んでいる。日本の一部メディアの「安倍降ろし」と同じ構図だ。日米ともメディアの病巣は根が深い。

 最近、日本メディアの情報操作は悪質さを増している。沖縄の反米軍基地運動家の暴力性や、左派団体が「国連」の権威を利用して日本を貶めてきたカラクリは、前衆院議員の杉田水脈(みお)氏や、キャスターの我那覇(がなは)真子氏、テキサス親父日本事務局の藤木俊一氏らのおかげで白日の下にさらされた。だが、積極的に報じるのは夕刊フジと産経新聞くらいだ。

 築地市場の豊洲移転の問題で、小池百合子都知事の独断が多額の損失を発生させており「都民ワースト」である事実も、都民への周知が足りない。

 メディアの横暴を放置すれば、先の絶滅危惧種の絶滅よりも、日本国の絶滅が先かもしれない。

 ■ケント・ギルバート 米カリフォルニア州弁護士、タレント。1952年、米アイダホ州生まれ。71年に初来日。著書に『儒教に支配された中国人・韓国人の悲劇』(講談社+α新書)、『トランプ大統領が嗤う日本人の傾向と対策』(産経新聞出版)、『日本覚醒』(宝島社)など。

【私の論評】絶滅危惧種も国民なのだ(゚д゚)!

確かに、ケント・ギルバート氏が指摘するように、「野党やメディアの勝利なのか。そうとは思えない」です。

このことを野党やメディアは全く気づいていないようです。

「内閣支持率が下がった分、そのまま野党第一党の支持率が上がることはない。安全保障法制のときもそうだ」と野田佳彦幹事長は19日の記者会見で、言い繕いました。

野田氏は内閣支持率の低下について、加計学園問題などで政府を追及したことを挙げ、「終盤国会での攻勢があったがゆえに低下を実現した」と評価。通常国会での党の対応を「批判もあるかもしれないが、ベストを尽くした」として今後も加計問題などで追及を続ける考えを示しました。

しかし、数字を精査すると、内閣支持率低下は政府自らの「エラー」であって、野党の「手柄」では残念ながらないです。この事実をはき違えている限り、民進党の支持率アップは見込めないでしよう。野党がよく口する「安倍一強」なる批判も、なぜ「一強」なのか自らに問うということはしていないようです。

安倍内閣の支持率は25年12月に10ポイント前後低下したことがありましたが、やがて回復しました。

「もり・かけ」問題は、最初からとうてい安倍総理を辞任に追い込んだり、倒閣に結びつくような可能性ははなから全くありませんでした。

しかし、これらの問題に対する政府の説明はあまり要領を得たものではありませんでした。特に加計問題に関しては、一般にも公表されている戦略特区ワーキング・グループの議事録等を読めば誰にでも簡単に「総理のご意向」などあり得ないことが、わかる内容です。しかし、政府がこれを説明することはありませんでした。

これらの議事録などとは、以下のようなものです。
①2015年6月8日国家戦略特区ワーキンググループ議事録(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/hearing_s/150608_gijiyoushi_02.pdf) 
②2015年6月29日閣議決定(文科省部分、http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu22/siryo/__icsFiles/afieldfile/2015/09/02/1361479_14.pdf) 
③2016年9月16日国家戦略特区ワーキンググループ議事録(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/h28/shouchou/160916_gijiyoushi_2.pdf
これらの文書を読めば、文科省はワーキンググループの時点で、完敗していることが手にとるようにわかります。

たとえば、①2015年6月8日国家戦略特区ワーキンググループ議事録では、以下のよう牧野課長補佐の発言があります。牧野課長補佐とは、以前にもこのブログに掲載した、伝言ゲームで今回の問題で誤解が広まったその元になった文書を作成した人です。

課長補佐の牧野美穂氏(33)
○牧野課長補佐 そこまでは言っていませんけれども、既存の獣医師養成の分野に関して は少なくとも今足りているというように我々は農水省さんから聞いておりますので、その 上で関係者も納得するような、これは新しい構想だというようなものを具体的な需要の数 までも示した上でお示しいただければ、こちらとしても一緒に検討していきたいというこ とでございます。 
○原委員 挙証責任がひっくり返っている。
ここで、原委員の言う「挙証責任がひっくり返っている」という発言の意味するところは、本来既存の獣医師数が足りているのか足りていないのか、あるいは新しい構想による獣医師の需要数など、本来文科省が示すべきなのに、あたかも農水省にその責任があるかのように牧野氏が述べていることに対するものです。

そうなのです。本来規制する側が、需要は足りているということを示すことをしなければならないはずです。新しく、獣医学部を設立することを認可しないというのであれば、それを誰もが納得できる形で、データに基づいた資料を提示して説明する責任があるのです。

にもかかわらず、牧野氏は農水省などにこの説明責任を転嫁しているのです。これでは、話にも何もなりません。無責任そのものですし、これでは、新設獣医学部を規制することは到底不可能です。

③2016年9月16日国家戦略特区ワーキンググループ議事録には、以下のような浅野課長の発言がしるされています。

浅野 敦行 文部科学省高等教育局専門教育課長
○浅野課長 御指摘いただいたように、もう繰り返しになりますので申し上げませんけれ ども、我々としては先ほど本間先生からも御指摘いただいたように、既存の獣医師でない 構想、獣医師養成でない構想が具体化し、かつライフサイエンスなどの獣医師が新たに対 応すべき分野における具体的な需要が明らかになって、既存の大学・学部では対応困難だ ということであれば、そういったこともしっかり検討していくというつもりでございます。
○八田座長 そうであるかどうかという判定というのはもう今、進めていらっしゃるので すか。それとももう少し提案者等からのヒアリングが必要だということですか。 
 ○浅野課長 恐らくこれは文科省だけでは決められないと思いますので、きちっとしかる べく多分政府全体として、需要と供給の問題も全く関係ないわけではありませんので。  
○八田座長 それは関係ないでしょう。文科省は研究が必要かどうか、その観点からやる から文科省に権限があるので、実際の人たちの損得を斟酌するなどということはあり得な いでしょう。文科省は研究の必要性、ちゃんと需要が十分ある研究者を養成するというこ とが必要なら、それは当然やるべきではないですか。ほかのところを見る必要などは何も ないでしょう。
これを読むと、浅野課長は何とか新設獣医学部の設立を阻止しようとしているのですが、その根拠が脆弱なので、やり込められていことが良くわかります。

以前このブログでも示したように、①と③を読むと、内閣府・特区有識者委員と文科省(農水省)による規制緩和議論は、前者の規制緩和推進派の完勝であることがわかります。

②の閣議決定では、要求されている獣医学部新設の需要見通しについて、許認可をもち需要見通しの挙証責任がある文科省が、まったくその役割を果たせていないことが分かります。しかも、②では、2015年度内(2016年3月までに)に獣医学部の新設の是非について検討するという期限が切られているのですが、それすら文科省は守れていないことがわかります。

これでは、文科省の完敗です。加計問題に係る規制緩和の議論は、課長レベルの事務交渉で決着がついてしまっていたののです。総理の参加する諮問会議の前にこれだけ完膚なきまでに文部省は負けてしまい、さらにはその無能ぶりまでさらけ出してしまってるのです。この問題のいずれかの過程で「総理の意向」が出てくる余地はまったくありません。

そうして、いわゆる例の怪文書は、その他の文書なども、これらの議事録の後の日付のものです。であれば、これだけワーキンググループで文科省は惨敗した後に「総理のご意向」があったということになり、全く時系列的に成り立たないことが、あまりにはっきりしすぎています。

にもかかわらず、政府はこの議事録をもとに丁寧に説明するということを怠ってしまいました。さらに、政府なら立場上他の有益な情報もあったかもしれません。しかし、結局これらを開陳して丁寧に説明するということはしませんでした。

結局政府としては「総理のご意向」で加計学園に獣医学部が開設されることになったなどという与太話は、あまりにも馬鹿馬鹿しくて、まともに付き合っていられないということなのでしょうが、それにしても石破大臣が「高をくくっていると、恐ろしいことが起こる」と語ったことにも一理あるかもしれません。

そうして、それは現実のものになるかもしれません。それは今のタイミングであの豊田氏の大暴言が、テレビで繰り返し報道されたからです。

豊田真由子氏
豊田氏の「暴言」は、NHKを含めテレビ各局で繰り返し流されました。都議選告示日の前日22日という自民党にとっては最悪のタイミングでした。またも「魔の2回生」の不祥事で、自民党は7月2日投開票の都議選への影響を懸念しています。繰り返しますが、同党は襟を正さないと、選挙で痛い目に遭うかもしれないです。

都民の投票行動は、そのときの風や雰囲気に流されやすいからです。都議会選挙は苦戦をしいられるかもしれません。そうして都議選で負けると、過去においては次の国政選挙では自民党はあまり良い結果を出せていません。

政府としては、メディアは常に悪質で低劣な世論誘導をしようと虎視眈々と狙っているということを片時も、忘れてはならないのです。そうして、その動機はメディアは「自分たちの使命は、権力、政権に反対することである」との単純な思い込みです。

本来、上記のような戦略特区ワーキング・グループの議事録など、メディアが丹念に読み込んで、時系列も加味した上で丁寧に報道すれば、このような誤解は最初から生じようもないのですが、メディアは自らの使命を完璧に忘却して「世論誘導」に地道をあげています。

であれば、このようなことは政府自らが実行しなければ、誤解を招くばかりです。

ガラパゴスでは他の地域では絶滅した種が生き続けている
ブログ冒頭の記事で、ケント・ギルバート氏が指摘するように、世論誘導に簡単にのってしまう人々は、確かに絶滅危惧種なのですが、ここ日本はガラパゴスのように他の地域ではすでに絶滅したような種が生き残っているところでもあります。

ここ数年は少なくともこの絶滅危惧種の数は侮れないほど多いということを肝に銘ずるべきです。しかし、絶滅危惧種も国民であることには変わりないのです。これに対抗するためには、あまりにも馬鹿馬鹿しい、それこそ小学生にもわかりそうに思えることでも、誠意をつくして丁寧に説明していく必要があるのです。

さらには、一見関係ないようにみえるかもしれませんが、そうそうに追加金融緩和や積極財政をして、8%増税の悪影響を駆逐し、デフレから完全脱却することも重要です。かつて、池田内閣は所得倍増計画を数年前倒しで実行しましたが、その結果何がもたらされたかといえば、日本国内からソ連の影響が一掃されました。結局、生活が豊かになったので、誰もわざわざソ連のプロパガンダにのるような人は居なくなったのです。そうして、今日ソ連の影響下で動かされるような当時の絶滅危惧種はすっかり影を潜めたのです。

絶滅危惧種の人にも丁寧な説明をすること、これは、本当にもどかしいことなのですが、それが民主主義というものです。

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2017年6月23日金曜日

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日刊工業新聞創刊100周年記念で祝辞を述べる当時文部科学政務官・豊田真由子氏(2015/11/16)
「このハゲーーー!」「違うだろーーー!」

 自民党の豊田真由子前文部科学政務官(衆院埼玉4区)が自らを乗せた車を運転中だった元秘書を大声でののしり、顔などをげんこつで数回殴って打撲を負わせていたと、22日発売の週刊新潮が報じた。同日朝から複数のワイドショーがこれを取り上げた。同日午後、豊田氏は離党届を党本部に事務所を通じて提出。今後、大きな問題に発展しそうだ。

 新潮によると、元秘書は豊田氏から最初に暴力を振われた日に「鉄パイプで頭を砕いてやろうか」「お前の娘にも気概が及ぶ」と告げられた。身の危険を感じた元秘書は翌日、万が一に備えて車内のやりとりをICレコーダーで録音。新潮はこの音声の一部をインターネットの動画投稿サイトで公開している。

 ゾッとするのは、ミュージカル風の抑揚を付けた歌を交えて言い放ったというこの言葉だ。

 「お前の娘が通り魔に強姦されて死んだと。いや犯すつもりはなかったんです、合意の上です、殺すつもりはなかったんですと。腹立たない?」

 「(元秘書の)娘が顔がぐしゃぐしゃになって頭がぐしゃぐしゃ、脳みそ飛び出て車にひき殺されても、そんなつもりがなかったんですで済むと思ってんなら同じこと言い続けろ」

 国会議員が秘書に暴言を吐いたり暴力を振ったりしたという週刊誌報道は珍しくない。だが、これほど戦慄を覚えた記事は初めてだ。永田町ではもともと秘書への当たりが強いことで有名だったが、まさかここまでとは…。党内には「これはアウト。離党は免れないだろう」(ブログ管理人注:昨日離党済)との声もある。

 豊田氏は、自民党が政権を奪還した2012年の衆院選で政界入り。追い風が続いた14年の衆院選で2度目の当選を果たした「魔の2回生」の一人だ。自身も過去、天皇、皇后両陛下が都内で主催された春の園遊会に、本来は入場が認められない母親を連れて入場したと報じられたことがある。ピンクのスーツと巻き髪がトレードマークだ。

 同期の不祥事は枚挙にいとまがない。金銭トラブルで離党した武藤貴也氏(滋賀4区)▽妻の妊娠中の不倫が発覚し議員辞職した宮崎謙介氏(京都3区)▽「マスコミを懲らしめる」などの舌禍を繰り返している大西英男氏(東京16区)▽路上キスを撮られた中川郁子元農林水産政務官(北海道11区)と門博文氏(比例近畿ブロック)▽台風の被災地視察をめぐる言動で内閣府兼復興政務官を辞任した務台俊介氏(長野2区)▽不倫相手との“海外挙式”などを報じられ経済産業政務官を辞任した中川俊直氏(広島4区)…。

 なぜ「魔の2回生」にスキャンダルが続出するのか。その要因として度々指摘されるのは、1994年成立の改正政治改革関連法で衆院選に導入された小選挙区制の弊害だ。

 中選挙区時代を知る自民党重鎮は「小選挙区制は大嫌い。振り子のように振れるから育つ人も育たないし、追い風が続くと淘汰(とうた)されるべき人も淘汰されない」と苦い表情を浮かべる。

 新人議員の頃から悪評判が多かった豊田氏が2期目の当選を果たした際は、当時の党選対幹部も「『勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし』というが、なぜ彼女が勝てたのか分からない」と首をひねっていた。

 とはいえ、中選挙区制が見直されたのも「派閥間選挙となりがちで派閥政治の弊害を生む」などのデメリットが指摘されたからに他ならない。万能な選挙制度はない。一人一人の有権者が現行制度のもとで、最善の選択と信じる候補や政党に票を投じるしかないのだ。彼女を信じて票を投じた埼玉4区の有権者は今、何を思うのだろう。(蜂)


 永田町で政界を取材するアラサー記者。

【zak女の雄叫び】取材や日常…。女性記者21人が月ごとのキーワードで本音を綴るリレーコラムです。6月のお題は「選」 です。

【私の論評】コミュニケーションの原則を知らない組織人が増えた(゚д゚)!


ブログ冒頭の記事では、今回の事件の原因に関して「小選挙区の弊害」しか語られていません。無論これも重要な原因の1つになってはいるとは思います。しかし、私自身はそれだけではないと思います。

この背景には、昔から日本人が得意としてきた、コミュニケーションとか、それを体現してきた惻隠の情などという感情が日本人から消えつつあるという背景もあるのではないかと思います。

そもそも、惻隠の情という言葉も最近では死語に近くなってきています。これは、元々は孟子の言葉です。 孟子は、親の子を思う心を、「惻隠の情」とし、これを社会生活の全てに及ぼすように説きました。 相手の心情を深く理解する事を意味します。 これは、孟子の師である孔子の「仁」に通じ、日本人は弱者を守り、親孝行するなど全て「惻隠の情」から来ていました。

豊田真由子議員に少なくとも惻隠の情なるものがあれば、今回のこのような事件はなかったかもしれません。

それにしても、現在の日本ではこの「惻隠の情」が消え失せたのではないかと思われるような事が多々あります。たとえば、学校内でのイジメとか、そのイジメを無視する学校の先生をはじめとする大人。あるいは、ブラック企業におけるいわゆる悪質なパワハラなど、例をあげればきりがありません。

私自身は、元々は日本人は他国の人々に比較すれば、コミュニケーション能力に長けており、それが日本の様々な面で強みになってきたと思っていました。

しかし、最近の日本においては、「おもてなし」に代表されるように、コミュニケーションに長けている面もありながら、それが徹底的に欠けていると思わざるを得ないような、今回のような事件も散見されます。

私自身は、コミュニケーション能力の欠如を今のまま放置しておけば、日本の将来の産業競争力なども衰退するのではないかと危惧しています。日本では、コミュニケーション障害が目だようになってきましたが、一方米国では、随分前から職場で本当に必要なのは、情報ではなく、コミュニケーションであるということが主張され、コミュニケーションを重視する気風が高まっていました。

さて、コミュニケーションというと、日本では「ホウレンソウ」などということが言われていて、まめに「報告・連絡・相談」すれば、コミュニケーションが図られるなどと言われていますが、私はそうではないと思います。「ホウレンソウ」をかなり、まめに行っていてもコミュニケーションは成り立っていないことも十分あり得ると思っています。

経営学の大家ドラッカー氏
コミュニケーションについて経営学の大家ドラッカー氏は以下のように語っています。
上司の言動、些細な言葉じり、癖や習慣までが、計算され意図されたものと受け取られる。(『エッセンシャル・マネジメント』)
階層ごとに、ものの見方があって当然です。さもなければ仕事は行なわれません。しかし、階層ごとにものの見方があまりに違うため、同じことを話していても気づかないことや、逆に反対のことを話していながら、同じことを話していると錯覚することがあまりに多いのです。

コミュニケーションを成立させるのは受け手です。コミュニケーションの内容を発する者ではありません。彼は発するだけである。聞く者がいなければコミュニケーションは成立しないのです。

ドラッカーは「大工と話すときは、大工の言葉を使え」とのソクラテスの言葉を引用しています。コミュニケーションは受け手の言葉を使わなければ成立しないのです。受け手の経験に基づいた言葉を使わなければならないのです。

コミュニケーションを成立させるには受け手が何を見ているかを知らなければなりません。その原因を知らなければならないのです。

人の心は期待していないものを知覚することに抵抗し、期待しているものを知覚できないことに抵抗します。
受け手が期待しているものを知ることなく、コミュニケーションを行うことはできない。期待を知って初めてその期待を利用できる。あるいはまた、受け手の期待を破壊し、予期せぬことが起こりつつあることを認めさせるためのショックの必要を知る。(『エッセンシャル・マネジメント』)
まさに、今回の事件においては、豊田真由子議員は、彼女の政策秘書の期待しているものを知ることもなく、秘書に対して覚醒のためのショックを与えようと「罵詈雑言」を並べ立てたのでしょう。

相手の期待していることを理解しなければ、たいていは相談しようが、報告をしようが受けようが、相談しようが、何をしても結局何も伝わりません。豊田真由子議員は、こうしたことを何回も繰り返してきたにもかかわらず、結局秘書と話が通じないため、このようなことになってしまったのでしょう。

では、相手の期待を知るためにはどうすれば良いのでしょう。それには、ドラッカー氏も言っているようにまずは、「コミュニケーションとは、私からあなたへ、あなたから私へと一方的に伝わるのではない」ということを理解しなければならないです。このあたりを理解していない人が豊田議員をはじめ、最近ではあまりにも多すぎです。

コミュニケーションとはそうではなくて、「私達の中の一人から私達の中のもう一人」に伝わるものなのです。ですから、普段から「私達」という関係を築いておかなければ、コミュニケーションは成り立たないのです。

そうして、普段から「私達」といえる関係を構築して、コミュニケーションが成り立っていれば、たとえ何かの理由でかなり叱責したとしても、それが正当なものであれば、全く関係がこじれるなどということはありません。

このことを忘れている人が多いです。そうして、「私達」という関係を築くためには、ドラッカー氏は「目標管理」を第一にあげています。しかし、私はそれも重要だと思いますが、これはドラッカー氏も否定はしていませんが、「経験の共有」が一番だと思います。

親しい人などとは、コミニケーションが通じやすいことが多いものですが、これは知らず知らずのうちに、その親しい人と過去において「経験の共有」を積み重ねてきたからに他なりません。

一昔前の政治家、特に大物政治家といわれる人たちは、この「経験の共有」ということをここぞというときに徹底的に実行したようです。そのため、彼らはしばしば「人たらし」と呼ばれることがあります。

その典型例でもある田中角栄氏の例を以下にあげておきます。

田中角栄氏

《人たらし事例1》
田中派の一回生議員が美人局に遭い、解決のために多額の金銭が必要となってしまった。様々なツテに頼ったがどうしても100万円(現在の価値では3倍以上)足りない。 
選挙を終えたばかりで借金のあった議員は万策尽き、田中の事務所に電話をかけて借金の申し込みをした。 
事情を聞いた田中から「分かった。すぐに金を用意するから取りに来るように」と言われ、急いで事務所に向かうと、田中本人は急用で外出していた。
その議員は留守番の秘書から大きな書類袋を受け取り、その中身を確認すると300万円が入っており、同封されたメモには以下のように書かれていた。
「トラブルは必ず解決しろ。以下のように行動しなさい。 
 1. 100万円を使ってトラブルを解決すること。
 2. 100万円を使って世話になった人に飯を奢ること。
 3. 残りの100万円は万一のトラブルの為に取って置くように。
以上、これらの金は全て返却は無用である」
その議員は感涙し、後々まで田中への忠誠を守り通した。


《人たらし事例2》
大蔵大臣時代、1963年度の所得税法改正の審議の際、担当官僚の大蔵省主税局税制第一課長であった山下元利のミスで、誤った税率表を使っていた。

審議中であったために、訂正は不可能であったうえ、大事な箇所にも誤りがあり、その税率表を作成した役人たちは青くなっていた。

これをマスコミや他の党が黙っているはずがなかったが、山下がこのことを辞表を忍ばせ田中の元に訪れると、笑いながら「そんなことで辞表は出さなくていい」と改定表を持ち、堂々と「先日提出の表には間違いがございます」と何食わぬ顔で訂正した。野党もマスコミも沈黙したままであった。

もちろん田中が裏で手を回したのは言うまでもない。このように責任をかぶるということをためらわずし、想像もできないアイデアを出すため、田中を慕った官僚は非常に多い。
このような事例は昔の政治家や大物経営者には良くあったことです。田中角栄氏にも、他も様々な事例があります。それについては、以下のリンクからご覧下さい。
「田中角栄」人たらし伝説 
さて、 コミュニケーションを円滑にするためには、ドラッカーを語っているように「受け手の期待を破壊し、予期せぬことが起こりつつあることを認めさせるためのショックの必要を知る」事が重要です。

このショックといえば、私達にとって一番身近な例は「叱る」ということです。最近は、この「叱る」ということがうまくできない人が多くなったと思います。豊田真由子議員の今回の事例は、まさにこの「叱る」ということに大失敗したということです。

しかし、ショックを与えるのは、何も「叱る」ことばかりではありません。たとえば《人たらし事例2》の山下元利の事例もショックです。当時の山下氏からすれば、それこそ烈火のごとく叱責を受けるものと覚悟していたと思います。ところが、実際に田中角栄氏を訪れると、叱責どころか、笑顔で、その間違いの責任を田中角栄氏が負ったということは、大ショックだったと思います。このようなことを通じて、田中角栄氏と山下氏とのコミュニケーションはかなり深まったと思います。

ショックを与えるにしても、いつも「叱る」ってぱかりというのではなく、コミュニケーションの達人たちは、このように臨機応変に「ショック」を与えてきたのです。

そうして、あのプーチンにも人たらしの一面があることは、このブログでも最近掲載したばかりです。やはり、政治家には「人たらし」の一面がなければ、大成しないのでしょう。

政敵を次々と暗殺するプーチンにすら人たらしいの一面がある
それにしても、このようなコミュニケーションの達人になるにはどうしたら良いのでしょうか。それは、やはり相手に対してまずは愛情がなければできないことです。豊田真由子議員は、政策秘書といえば、自分の身内であるという意識に欠けていたと思います。

そうして、愛情だけでも、うまくはいかないこともあるものです。まずは、人の見方が幼稚であれば、たとえ相手に愛情を持っていたとしても、たいていはうまくはいきません。

さて、人の見方とはどういうことでしょうか。それは、結論からいえば、人の弱みではなく、強みに着目するということです。ドラッカー氏も人の強みを活かすという考え方が、組織には必要だと以下のように語っています。
人のマネジメントとは、人の強みを発揮させることである。人は弱い。悲しいほどに弱い。問題を起こす。手続きや雑事を必要とする。人とは、費用であり、脅威である。
しかし人は、これらのことゆえに雇われるのではない。人が雇われるのは、強みのゆえであり能力のゆえである。組織の目的は、人の強みを生産に結びつけ、人の弱みを中和することにある。
企業の管理職の中にも、部下などの弱みばかりに着目するひともいます。しかし、そういう人は最初はうまくいっているように見えても、長期的には必ず失敗しています。

普通の人は、高校を卒業したあたり年齢で、大体その人強みや弱みは特定されてしまいます。その後、いくら弱みを是正しようとしてもほとんどできるものではありません。しかし、強みに関しては、さらに大きく伸びる可能性を秘めています。

だからこそ、企業などの組織では、人の弱みを是正することばかりに時間を割いていては、全く資源の無駄遣いになるのです。弱みに関しては、他の人にやらせるようにするか、それが重大な問題になることを避ける程度に是正し、後は強みを伸ばすことに集中したほうがよほど建設的なのです。

豊田真由子氏は、ここでも勘違いしていたものと思います。政策秘書をあれだけ、「叱る」わけですから、やはり政策秘書側にも何らかの弱みがあったものと思います。であれば、その弱みは、他の人にやらせるか、それが不可能であれば、何か手順を1つ加えるなどして、システムを構築して、間違いが発生しないようにするなど手立てをして、政策秘書に関しては、強みの部分を多いに発揮できる体制を整えるべきだったのです。

以上述べたことは、組織の中の大原則です。これを無視する人は、組織人としては成功しません。豊田真由子氏はこの原則をことごとく、違えたままで来て、ここに来て大失敗したということです。

豊田真由子氏は、自民党の議員として自民党という組織に属していますし、国会という組織の一員です。さらには、小さいながらも事務所という組織を構えた組織人です。組織人であれば、やはり上記のようなコミュニケーションの原則は、かつての大物政治家のようにうまくはできなくても、知ってはおくべきだったでしょう。これ身につけてさえいれば、最低今回のような事態は避けられたと思います。

与党議員も、豊田氏のようにコミュニケーション不足で辞任などに追い込まれる議員が増えているようですが、野党議員もそれこそ、有権者とのコミュニケーションに失敗し、支持率は低迷したままです。

それにしても、今の日本、政治家であれば当然のことながら、これらの原則をわきまえているべきなのに、そうではない豊田真由子という人物が出てきたということは恐るべき事実です。政治家も官僚もそれに企業人ですらこれらの原則への意識が希薄になっているのではないかと思います。

だとしたら、今後の日本が心配です。

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