2017年12月12日火曜日

「党名への嫌悪感浸透、再生困難」立民・希望・民進ぶった切り 新著『“小池”にはまって、さあ大変!』が話題の安積氏―【私の論評】野党・労組は選挙結果は有権者の声であるという事実を再認識せよ(゚д゚)!


写真はブログ管理人挿入 以下同じ
特別国会は9日閉会し、永田町では野党を中心に政界再編に向けた動きが加速しそうだ。翌年の政党交付金の確保を目的に、これまでも年末になると新党結成や議員の引き抜きが行われてきた。民進党分裂劇に迫った新著『“小池”にはまって、さあ大変!』(ワニブックスPLUS新書)が話題となっている、ジャーナリストの安積明子氏に、立憲民主党と希望の党、民進党の展望について聞いた。


「立憲民主党が野党第1党になったのは、『小池百合子都知事(当時、希望の党代表)に排除された、かわいそうな人たち』という同情票も大きい。だが、党内モラルや政策をみれば、政権を担える政党ではない。期待もしぼんでいくでしょう」

安積氏はまず、こう言い切った。

党内モラルとは、ひどい女性醜聞が報じられた青山雅幸、初鹿明博両衆院議員への「大甘処分」のことだ。除名を避けた対応について、安積氏は「その程度のモラルしかない」と言い切った。

左:初鹿明博、右:青山雅幸(ともに公式サイトより)
 朝鮮半島情勢が緊迫するなか、安全保障法制や憲法改正に反対を貫く「ガラパゴス左派色」の強さも、安積氏が「政権を担えない政党」と考える理由の1つだという。

小池氏が立ち上げ、玉木雄一郎代表が引き継いだ希望の党はどうか。共同通信の最新世論調査では、政党支持率は3・2%で、立憲民主党の12・5%に遠く及ばない。

希望の玉木代表
 安積氏は、玉木氏について「埋没への危機感が強いが、『小池カラー』を払拭できていない」と指摘し、続けた。

「小池路線と相いれない現職議員に加え、衆院選で落選した人たちは、『希望を離脱した場合、損か得か』を見極めようとしている。キャリアが浅い玉木氏に、党内をまとめる力量・貫禄があるか、心許ない」

残る民進党は、前出の世論調査で支持率1・8%だった。

大塚耕平代表は「全員が、この党を中心とした勢力が再生し、与党と対峙(たいじ)できる固まりになっていくことを目指している」と語るが、実態は違うようだ。

安積氏は「民進党という党名への嫌悪感は浸透している。立憲民主党が、民進党の参院議員や地方議員を離党させて受け入れることはあり得る」といい、野党再編の可能性を示唆する。

2019年参院選まで2年を切るなか、自分たちの生き残りもかけて、センセイたちが右往左往する師走となりそうだ。

【私の論評】野党・労組は選挙結果は有権者の声であるという事実を再認識せよ(゚д゚)! 

立民・希望・民進党の党内モラルの欠如、朝鮮半島情勢が緊迫するなか、安全保障法制や憲法改正に反対を貫く「ガラパゴス左派色」の強さも大問題ですが、それ以外に彼らの行動にはどうにも納得できないところがあります。

それは、いまだにこの三党が合同で、「もりかけ」問題を引き継き国会で追求しようとの動きです。

立憲民主党、希望の党、民進党が合同で「森友・加計追及チーム」を結成しました。多くの国民はもううんざりしているのにまだやるつもりです。

選挙で勝利した安倍総理は今もなお謙虚に説明を続け、国民の信頼を取り戻す方針を貫いています。一方で野党は安倍総理の信頼回復阻止をミッションに掲げ、ここにきて3党がドリームチームを結成する動きがあると明かしたのです。

ドリームチーム(Dream Team)とは、クラブやリーグの枠組を越えて集められた優秀な選手により構成される、国家や地域を代表するチームのことです。

事例としては、1992年バルセロナ五輪バスケットボール男子アメリカ合衆国代表及び1994年バスケットボール世界選手権アメリカ合衆国男子代表があります。

1992年バルセロナ五輪バスケットボール男子アメリカ合衆国代表
日本では野球日本代表において、プロ選手を揃えた場合にドリームチームと呼ばれる場合があります。

あれだけの予算と時間を使って結局何の成果もあげられなかったのに、まだやるつもりなのが信じられません。前川喜平と加戸前知事の証言を照らし合わせれば、前川喜平の勝手な思い込みだったということは明々白々なのに、少なくとも世論はそう考えたから選挙で自民党が勝利したのです。

加戸前知事は自らを顧みず、ありのままの事実を国会で証言していました。それが気に入っても気に入らなくても、特に公共放送のNHKは必ず平等に伝えないといけないのに明らかに前川証言だけを大量に伝えて、加戸守行さんの証言はものすごく小さくしか報道しませんでした。


少しでもインターネットを使う人、高齢者でも自分で使うか子供と話した人は北朝鮮問題が最大の争点だと気づいています。北朝鮮問題、消費増税 (選挙では実質的に争点とはならなかった)、安保法制が大きな塊で、安倍総理は解散して与党が大勝利したのです。
野党とマスコミが二人三脚で偏向報道で印象操作を仕掛けたにもかかわらず、国民は正しい情報を取捨選択し真実に辿り着いたのです。国民はこれからの日本をどうすべきなのかというところに関心があるわけで、すでに過去となった森友・加計学園問題に興味はないのです。
空気が読めない人は世の中にいる。「周りが見えない」「勘違い」「他人に厳しい」「人の話を聞かない」という人達です。しかし、国政に携わる人が空気が読めないのは最悪です。
「森友・加計学園問題追及ドリームチーム」を結成するという立憲民進党、希望の党、民進党という彼らはなぜ選挙で自民党が圧勝したのか、全くわかっていないようです。

典型的な「空気が読めない」人たちのようです。私自身は、いつも「空気」を読まなければいけないとは思ってはいません。これが行き過ぎると、息の詰まるような社会になると思います。

それこそ、いつも忖度ばかりして、話し合い、コミュニケーションがないような社会は、とんでもない社会になると思います。

しかし、衆議院議員選挙という日本における公職選挙制度に基づいて行われた選挙の結果、野党は惨敗しているのです。立憲民主党、希望の党、民進党あわせて100議席プラスアルフアの議席しか獲得できなかったのです。これに比較して、与党は大勝利です。

本来は、立民、希望の党、民進の三党をあわせて、130以上は議席を獲得していなければ、党勢を維持するだけでも容易なことではありません。今回は、議席数が減っただけではなく、党が分裂しています。これは、立て直すだけでも数年はかかるでしょう。

それに、彼らはかつて彼らを応援してくれた多くの支持者のことを全く蔑ろにしています。かつて、民主党だった時代彼らを応援してくれた人たちは、民主党の主張や公約に賛同して応援してくれたのです。それを勝手、党名を民進党に変えたり、あまつさえ、3つに分裂するなど、とんでもないことです。

私は、民主党や民進党の支持者ではありませんが、それでも、私がそうだったとしたら、このような有権者を裏切るようなことは絶対に許せないです。

その時々の選挙で、有利不利など多少のことはあるにしても、これだけの差がついてしまえば、どのように考えてて野党は惨敗であり、選挙公約における野党の公約などは国民により否定されたと考えるべきです。これは、「空気を読む」とか「忖度」の次元ではありません。

「もりかけ」問題など、大多数の国民には大きな問題ではなかったということです。
「○○調査追及チーム」というのは民進党にたくさんありましたが、他人よりも自分達を調査追及した方がいい人がたくさんいたようです。


「恥知らず」とはこういう人達のことです。
結局、彼らは安倍政権に対して政策議論が出来ないのです。まともにやり合えばやられる。だからいつまでも「もりかけ」なのです。
しかし、加計学園獣医学部は来年4月開学 認可される見通しになりました。森友もすでに逮捕されて司直の手に移っています。この状態で一体彼らは何を追及するというのでしょうか。

結局このドリームチームは、また何も成果を出せず、ドリームチームどころか、ナイトメア(悪夢)チームになってしまうのではないでしょうか。


ちなみに、なぜ彼らが「もりかけ」に執着するのか、ある動画を視聴していてわかったことがあります。その動画を以下に掲載します。




野党が「もりとも」問題に拘泥する理由については、22:00から話していますが、簡単にいえば、野党が「もりとも」問題に拘泥するのは、野党の支持母体である、自治労、官公労、日教組などの労働組合が野党がこれを追求すると大絶賛するということがあるようです。しかしこれは逆にいうと、野党が「もりとも」を追求しないと、圧力をかけるということなのでしょう。

これらの労働組合は完璧に思考が停止しているようです。それは、安倍総理の実行する金融緩和策について反対ということでも良く理解できます。これは、日本以外の国では、労働者の雇用を守るということで、リベラル・左派が支援する政策です。

本来であれば、労働組合も野党も、安倍総理の金融緩和策そのものには賛成すべきです。その上で、現状の金融緩和の欠点や、不備を批判してまともな金融政策を実施する方向にもっていくなどの政策論争をすべきです。

そのような政策論争をすれば、野党の存在意義もでてくるのですが、現状ではとくにかく安倍政権には何でも反対、安倍政権を潰すためなら何でもやるという状況です。このままだと、野党はますます弱体化していくばかりです。

そのうち、思考停止した労働組合が支持する野党はどれも、有名無実になるかもしれません。

安倍自民党は選挙で圧勝したのですから謙虚さよりも自信持って、日本を守るためにやるべきことをやってほしいです。多くの国民はそれを望んでいるのです。

今の野党と反日マスコミの連携を見れば、まずやるべきことは「スパイ防止法」の制定です。これらを一網打尽に逮捕して排除した方が、憲法改正がスムーズにできます。実際、施工したら、明々白々たる証拠に裏付けされ確実に逮捕される議員もでてくると思います。

そうして、本来ならば日本では立憲主義(立憲民主党の主張は全く異なる)を根付けるべきと主張したいところですが、今の日本の政治の状況はそれどころではありません。それ以前に、野党とその支持母体である労働組合は、選挙の結果は有権者の声であるという基本的な事実を再認識すべきです。

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2017年12月11日月曜日

韓国騒然!平昌五輪、米国連大使「参加未確定」で日本追随は? 最悪「中止」の可能性も―【私の論評】無責任で信用できない韓国とは、日米は距離をとれ(゚д゚)!

韓国騒然!平昌五輪、米国連大使「参加未確定」で日本追随は? 最悪「中止」の可能性も

米国のニッキー・ヘイリー国連大使
 韓国で来年2月に開幕する平昌(ピョンチャン)冬季五輪に激震が走った。米国のニッキー・ヘイリー国連大使が米テレビ番組で、北朝鮮情勢をめぐる緊張が高まるなか、米国選手団の参加は「未確定」と述べたのだ。米国が不参加となれば、日本も追随する可能性がある。今後の北朝鮮情勢次第で、大会は事実上の「中止」に追い込まれることもありそうだ。

 ドーピング問題によるロシア選手団の参加除外決定が出されたのに続き、平昌五輪にとって、ショッキングな発言が飛び出した。

 「北朝鮮をめぐる緊張が高まるなか、2018年冬季オリンピックへの米国の参加は、まだ未確定の問題だ」

 6日に放送されたFOXニュースの報道番組で、ヘイリー氏はそう話した。さらに、「私たちは(米国選手団の)安全のため細心の注意を払う」とも述べた。

 サラ・サンダース大統領報道官は7日の記者会見で、米国の参加について「正式決定していない」と述べたが、その後ツイッターに「米国は韓国で開かれるオリンピックへの参加を楽しみにしている」と書き込んだ。

サラ・サンダース大統領報道官
 ヘイリー氏は、「更迭」方針が伝えられるレックス・ティラーソン国務長官の後任候補に挙げられる人物で、その発言の影響力は大きい。

 米高官の衝撃発言に韓国社会は騒然としている。8日付の朝鮮日報は《ヘイリー米国連大使「北脅威のため、米の平昌五輪参加疑問」》との大見出しで伝えた。

 米国が平昌五輪への不参加を決めた場合、影響は確実に他国に及ぶ。ソ連のアフガニスタン侵攻に抗議するため、米国が1980年のモスクワ五輪出場をボイコットすると発表した後、日本や韓国も追随した。平昌五輪では欧州でも安全面を懸念する声が出ており、不参加国が拡大する可能性も考えられる。

 韓国は土俵際に立たされている。

【私の論評】無責任で信用できない韓国とは、日米は距離をとれ(゚д゚)!
来年2月9日から25日まで、韓国の冬のリゾート平昌で開催される予定の冬季五輪。韓国が冬季五輪のホスト国になるのはこれが初めてです。韓国政府は平昌五輪を南北交流の好機と位置付け、北朝鮮に対話を呼び掛けてきました。

しかし、北側がこのラブコールに応ずる気配はありません。それどころか五輪つぶしの妨害工作を行う可能性もあり、北の出方次第では最悪の結果を招きかねないです。

文政権は平昌五輪を南北共催の「平和五輪」にしようと、北朝鮮の馬息嶺スキー場を会場に加える計画や、女子アイスホッケーの南北合同チームの創設を提案してきました。

しかし北朝鮮は平昌パラリンピックへの参加こそ表明しましたが、五輪については態度を保留しています。今のところ北朝鮮の選手はフィギュアスケートのペアが出場権を獲得しただけで、14年のソチ五輪に続き、今回も不参加になる可能性もあります。

その場合、五輪開幕の直前か期間中に北朝鮮が何らかの挑発行動に出る危険性が高まります。

文が朝鮮半島の安定化に向けた機会とみる五輪は、北朝鮮にとっては豊かな南のイメージを傷つけ、国内外に自国の軍事的能力をアピールするチャンスにほかならないです。北朝鮮は過去にも韓国で開催されたスポーツイベントで妨害工作を行ってきました。

87年11月、北朝鮮の工作員がミャンマー(ビルマ)沖のアンダマン海上を飛行中の大韓航空機を爆破、乗客104人、乗員11人が死亡した。これは88年のソウル五輪を前に韓国の安全性に不安を持たせるための工作とみられています。

爆破された大韓航空機の同型機
02年6月にはサッカーの日韓ワールドカップ開催中、北朝鮮の警備艇が黄海上の軍事境界線である北方限界線を侵犯して韓国の哨戒艇に発砲、韓国軍の兵士6人が死亡する事件が起きました。

平昌五輪に合わせて、北朝鮮が行う妨害工作には3つのシナリオが想定できます。
<その1>頻度と規模を上げてミサイル発射と核実験を実施する。それによって選手団や観光客が韓国行きを見合わせれば、北の思う壺です。しかし国際社会はこの手の挑発には既に慣れっこになっていて、ミサイルが飛んだ程度では五輪はつぶれないでしょう。
<その2>軍事境界線を越えて韓国軍にちょっかいを出し、小規模の軍事衝突を引き起こす。五輪ムードに水を差すには、こちらのほうが効果的でしょう。

<その3>韓国に潜伏する工作員を使って、首都ソウルへの空の玄関口である仁川国際空港や、ソウルから平昌への移動に使われる高速鉄道の駅などでテロ攻撃を行う。これは大きなリスクを伴う攻撃だが、マレーシアの空港で金正男(キム・ジヨンナム)を暗殺したように、北朝鮮は必要とあらばどんな危険な作戦でも実行するでしょう。
いずれにせよ朝鮮半島の緊張がかつてなく高まっている今、北朝鮮が平昌五輪に照準を合わせて挑発行動に出れば、火に油を注ぐ結果になるのは明らかです。


アメリカは軍事的圧力をさらに強め、韓国国内では文政権の弱腰対応に批判が高まることでしょう。空母3隻態勢の米艦隊が近海に展開し、交渉ルートが断たれた状態で、アメリカや韓国で「北朝鮮をやっつけろ」の声が高まれば、本格的な戦争に突入するのは時間の問題です。北に節度があることを祈るしかありません。
このような北の脅威がある現在、韓国が平昌オリンピック開催に積極的なのは、異様という以外にありません。このような危機が目の前にあるならば、もっとはやい時期から延期などを考えるべきだったと思います。しかし、韓国政府はそのような素振りはまったくみせないし、今でも開催する気は、満々のようです。

日韓関係は慰安婦合意などをめぐる韓国政府の非協力的な対応によって、年初の想定を上回る勢いで悪化しています。今後について言えば韓国は単にうっとうしい「反日国」にとどまらず、日本人は韓国が「リスクの国」に変わってゆく姿を目撃することになるでしょう。

北朝鮮問題を前に、場当たり的に日米への協調と脱落を繰り返す文大統領は米紙ウォールストリート・ジャーナルから「信頼できない友人」と烙印を押されてしまいました。これについては、このブログにも掲載したことがあります。
米WSJ紙、文大統領を激烈批判「信頼できる友人ではない」 韓国メディアは狂乱状態―【私の論評】「北朝鮮版ヤルタ会談」から締め出された韓国(゚д゚)!
韓国文在寅大統領(右)との会談を終え、記者会見するトランプ米大統領
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事からWSJ紙の批判の内容を簡単にまとめて引用します。
《South Korea’s Bow to Beijing(韓国、中国にひざまずく)》 
 米軍の最新鋭迎撃システム「THAAD(高高度防衛ミサイル)」をめぐり、中国から“報復”を受けていた韓国は最近、中国と、(1)米国のミサイル防衛システムに加入しない(2)日米韓の安全保障の協力は3カ国軍事同盟に発展しない(3)THAADを韓国に追加配備しない-ことで合意したとされる。 
WSJは、こうした文氏の「媚中外交」と、北朝鮮に融和的な「従北」姿勢を徹底批判した。文氏の掲げる「バランス外交」を「中国の圧力に直面し、自国や同盟国の安全保障に関して譲歩もいとわない姿勢は、バランス外交とは程遠いものだ」とし、「文氏が取った一連の行動は、(北朝鮮の)金正恩(キム・ジョンウン)氏を包囲するための同盟関係を損なうものとなった」と指摘した。
韓国に対してこのような懸念を表明するのは、WSJ紙だけではありません。米戦略国際問題研究所のエドワード・ルトワック上級顧問は、「文芸春秋」12月号の池上彰氏との対談で、韓国のリスクとして(1)北朝鮮による軍事侵攻への備えとして、政治と経済の中枢を軍事休戦ラインから南に離すべきだという40年来の提言を放置している(2)延坪島砲撃にほとんど反撃しなかった(3)文大統領は北に資金を流そうとしている-の3点を指摘しています。

背景にはソウルが北からの攻撃に無防備で、米軍が軍事的選択を大幅に失っているという認識があるのでしょうが、韓国を「無責任」で「自国の安全保障問題に向き合わない国」と看破して「無視してもいい存在」とまで断じています。

ルトワック氏
ルトワック氏は、以前から韓国の無責任な態度を批判しています。2012年の"The Rise of China vs. the Logic of Strategy"という著書では以下のように指摘しています。以下に簡単にまとめておきます。
(韓国は)北朝鮮からの攻撃にたいして即座に確固とした態度で相応の報復をしようとしていない。 
これからもわかるように、実際のところ韓国政府は、米国と中国に依存する従属者となってしまっている。米国には全面戦争の抑止、そして中国には、一時的な攻撃にたいする抑止力を依存しているのだ。 
その公言内容から考えると、韓国らは明らかにこうしたやり方を好んでいる。
ところがこれはアメリカにとって満足できる状況ではない。なぜなら韓国を北朝鮮から庇護するコストとリスクを、アメリカは独力で背負わなければならないからだ。 
さらに、韓国への影響力は中国と折半しなければならない。中国は「北朝鮮への締め上げを中止するぞ」と脅かすことで、常に韓国政府を締め上げることができるからだ。 
今のところ韓国が中国にたいして声を上げることはない。中国政府にたいして恭しい態度をとっているからだ。そして悲しくなるほどの熱意を持って、中国指導者が北朝鮮を厳しく統制してくれることをありがたがっているのだ。
簡単にいえば、韓国は中国とアメリカに「ヘッジング」しているということになります。ただし、東アジアの国々というのは、多少の差はあれ、みんな米中にヘッジングしているところはあります。

ただし韓国の最近の様子は、ヘッジングどころか、やはり19世紀末の分裂症的な状態になっているようにみえます。日本は、過去にはこの分裂症に巻き込まれています。今後は、いっさい巻き込まれないように、韓国とは距離をとるべきでしょう。日本も、平昌オリンピックは「参加未確定」にすべきです。

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2017年12月10日日曜日

財務省と総務省の「地方へのカネ」めぐる醜い争いが勃発中―【私の論評】抜本的税制改革が必要だ(゚д゚)!

財務省と総務省の「地方へのカネ」めぐる醜い争いが勃発中

国民はだれも得してませんよ

やめたい財務省、続けたい総務省

2018年度の予算編成に着手している財務省が、不況対策として設けられている地方交付税の「歳出特別枠」を廃止する方向で調整を始めた。

歳出特別枠とは、リーマン・ショック後停滞した地方経済への緊急経済対策。国が地方に配る地方交付税を特例的に上積みするもので、2016年度は4500億円を計上してきた。

財務省はこれを縮小または廃止する理由として、景気回復で地方自治体の財政が改善され、自治体の「貯蓄」に相当する基金の残高も増加傾向にあることを挙げている。

一方、財務省のこうした動きに神経質になっているのが、地方自治体を統べる総務省。総務省としては地方自治体の基金は守りたいが、財務省は地方交付税交付金を減額することによって少しでも多くのおカネを一般会計予算に回したい。

そのため両省の水面下での攻防が激しくなっているのだが、当の財務省も外国為替資金特別会計など、各種の特別会計でおカネを貯め込んでいるため、総務省を責める説得力がないといえばない。

また、総務省も地方自治体のためを考えているかのような振る舞いに見えるが、総務省から地方自治体への出向ポストも多く、実は自分たちのポスト維持の魂胆が透けて見える。つまり、財務省にしても総務省にしても、別に地方の住民のことを考えてこのさや当てを演じているわけではないのだ。

利権争いで硬直状態に

そもそも、地方へ税収をどう配分するかという問題は、どれだけ地方分権を進めるかにかかってくる。もし本格的に地方分権を進めていくとしたら、国と地方のベストな仕事量の配分はおよそ4:6といわれている。

当然、それに合わせて入ってくる税収も同様の割合になるべきなのだが、現状では地方税よりも国税のほうが圧倒的に多い。ちなみに2015年度の税収内訳では、国税が約60兆円なのに対し、地方税は約39兆円であった。

このギャップを適正化するためには国税を地方税に税源移譲することが必要になるが、自らの「利権」を失うことになる財務省がこれを拒んでいるのが現状だ。地方分権を掲げた小泉政権の時に税源移譲はほんの少しだけ進んだが、以降、その議論すら起こらなくなってしまったのにはこうした背景がある。

平成19年に行われ税源移譲
実は現行の制度でも、税源移譲を実施することは可能だ。国税と地方税のギャップを生んでいる原因のひとつになっているのは消費税で、いま国が6割、地方4割の取り分になっている。これを是正することで、税源移譲は大きく進む。

たとえば、地方交付税として地方にわざわざ国から配分するのではなく、消費税の取り分を国5割、地方5割にすれば手っ取り早い。だがそうすると、今度は地方交付税交付金の配分を所管している総務省が、自らの地方自治体に対する権限を失うとして反対するので、一向に話が進まない状態になっているのが現状だ。

加えて、財務省としても地方交付税交付金を過剰に減らしたくないという考えがある。もし中央から地方へ配分するおカネが減ってしまうと、財務省も財政に口出しできる部分が減るからだ。つまるところ、我々が見せられているのは、両省の虚しい利権争いにすぎないのだ。

『週刊現代』2017年12月16日号より

【私の論評】抜本的税制改革が必要だ(゚д゚)!

上の記事を理解するためには、まずは財務省と総務省の違いを知っておくべきです。あまり良いたとえではないかもしれませんが、内務省の延長のような省庁が総務省といえると思います。総務省は、行政間の調整役のような、地方行政、郵政、人事、通信、組織そのものを所管する機関ということができます。

財務省は前身の大蔵省が示すように、財政、通貨などを所管する機関です。

違いとしては、総務省が行政を管轄するので、地方行政の訴えや状態を伝える中央官庁へのパイプにもなっていますが、財務省は中央行政に関わる財政をあずかっていることです。

この差は大きいです。財務省からすれば、所管する期間が各々の会計でなんでも賄うべきという傾向になりますが、総務省からすれば、所管する機関がどうにもならないというならば、上の機関である総務省がどうにかしようとする傾向があります。

家計にたとえると、財務省は家計をあずかっている人間のようなものであり、家族が「小遣いあげて」と言うとまずは良い顔をしないというのと一緒です。

総務省は、家計をあずかってはいないものの、たとえば主婦のように家族間の調整役のような役割を担っていて、子供が「小遣いを上げて」というと、財務省などにかけあいそれをなんとか成就してやろうと動くというような感覚です。

このように、元々財務省と総務省は対立しやすい関係にあるわけです。

総務省は各地方自治体ごとに「基準財政需要額」というものを算出しており、それが各地方自治体へ交付される地方交付税交付金の算定に大きく影響を与えます。

この基準財政需要額が客観的・合理的に算定されていればまだ良いのですが、この算定を行っているのは、実は総務省官僚なのです。つまり彼らの思い通りに交付金の金額を決められるので、地方自治体は総務省官僚に逆らうことはできないのです。

竹中平蔵氏
かつて、竹中平蔵総務大臣時代、この前近代的な制度を客観的で透明性の高いものに改革しようとして、面積・人口基準という総務省官僚の裁量の余地のない「新型交付税交付金」に改められたことがありました。

しかし、これはわずか1年しかもたず、竹中大臣が辞めたあと、元の官僚裁量の制度に戻されました。官僚の力は恐ろしいものです。

かといって、財務省の言い分が全部正しいかといえばそうともいえず、では総務省が全部正しいかといえば、そうともいえません。この問題に関して言えば、根本的な解決は、橋下徹前大阪市長が主張した「消費税の地方税化」と「地方交付税交付金の廃止」が建設的な選択肢です。

以下に橋下氏の消費税の地方税化についてのツイートを掲載します。


そもそも所得税、法人税、消費税などは国税として国が国民から徴収し、それを地方自治体に配分するものです。しかし、よく考えるとこのシステム自体かなりおかしいです。ではいっそのこと、消費税をすべて地方税として、各地方自治体の財源とするほうが良いです。そうすれば総務省官僚の権限もなくなり、地方自治体も総務省の顔色を窺う必要はなくなります。

まず国の裁量で地方交付税交付金を決めるというシステムを抜本から改革することが、本当の「地方分権」を達成するための第一歩です。

このようなシステムの改変がない限り、財務省と総務省は、国民などそっちのけで、虚しい利権争いをこれからも続けることになります。

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2017年12月9日土曜日

【日本の解き方】日銀の資金供給量鈍化でインフレ目標達成できるのか 国民経済のための金融政策を―【私の論評】年長者こそ、正しい金融政策に目覚めよ(゚д゚)!

【日本の解き方】日銀の資金供給量鈍化でインフレ目標達成できるのか 国民経済のための金融政策を


日銀が市場に供給しているお金の量(マネタリーベース)の増加額が、11月は前年との差が51・7兆円(末残高ベース)と異次元緩和開始以降、事実上最低になったと報じられた。

 日銀は昨年9月から長期金利をゼロ%程度にするように調整しており、その意味では、マネタリーベースの増加額は金利維持のために必要な額となるので、長期金利がゼロ%になっていれば、増加額が低下すること自体はさほど意味があるわけでない。

 12月6日時点の新発10年国債利回りは0・055%であり、ほぼゼロ%金利水準は達成されているといえよう。今年初めからの動きをみても、おおむね0~0・1%の範囲になっているので、日銀の意図した金利ともいえる。

 問題は、それでインフレ目標2%が達成できるかどうかである。もちろん、インフレ目標の達成には、本コラムで述べたように、内閣府が算出するGDP(国内総生産)ギャップでプラス2%程度になる必要があるので、金融緩和と財政出動が必要である。

 過去10年間の10年国債利回りの推移をみると、昨年9月以前はマイナスレンジであったが、日銀がゼロ金利を打ち出してから、若干のプラスレンジになっている。ほぼ同時期に、日銀のマネタリーベースの増加額が減少し始めるが、それは日銀の国債購入額の減少によるものだ。つまり、国債購入額の減少が、長期金利の若干の上昇をもたらしている。

 こういう日銀のオペレーションは、果たしてインフレ目標達成の近道になっているのだろうか。データを見る限り、失業率の低下は足踏み状態だし、インフレ率についても、11月の全品目消費者物価指数対前年同月比は0・2%。生鮮食品を除いてみると0・8%、食料とエネルギーを除くと0・3%であり、インフレ目標2%にはほど遠い状況だ。こうしたデータから、筆者は日銀のオペレーションは短期的には正しい方向には見えない。

 金融政策は、これ以上は下げられない失業率を達成し、無用なインフレを起こさないためのものだ。つまり、経済学でいう「NAIRU(インフレを加速しない失業率)」を達成する最低のインフレ率をインフレ目標とするもので、NAIRUとインフレ目標の最適点を目指すものといえる。

 日本で具体的に言えば、NAIRUは2%台半ばであり、そのために必要なインフレ率は2%であるので、それをインフレ目標としているわけだ。

 現時点では、失業率3%弱、インフレ率0%強という程度で、最適点には民主党時代よりかなり近づいたが、いま一歩のところで足踏みをしている。

 米国は、NAIRU4%程度、インフレ目標2%という「最適点」に到達したので、出口の議論が起こっている。

 日本の出口はまだまだなのに出口議論が盛んなのは、国民経済のための金融政策を、金融業界の利害のために使おうとしているからだろう。それに日銀は加担してはいけない。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】年長者こそ、正しい金融政策に
目覚めよ(゚д゚)!
時期合計(平均残高)前年比
2017/10473.9兆円+14.50%
2017/09471.1兆円+15.61%
2017/08466.3兆円+16.28%
2017/07465.1兆円+15.55%
2017/06459.5兆円+17.01%
2017/05456.0兆円+19.43%
2017/04456.2兆円+19.80%
2017/03436.3兆円+20.33%
2017/02431.0兆円+21.41%
2017/01435.2兆円+22.56%
2016/12426.4兆円+23.09%
2016/11417.7兆円+21.53%
2016/10413.9兆円+22.13%
2016/09407.5兆円+22
マネタリーベースの前年同月比増加率の推移

マネタリーベースとは、日銀が発行している紙幣発行残高と日銀当座預金、貨幣流通高(100円玉などの硬貨)の合計金額です。言い換えると、市中に流通している現金(紙幣+貨幣)と日銀当座預金の合計です。

日銀当座預金は、民間金融機関が日銀に預けているお金の合計で、民間金融機関は日銀当座預金を通じて銀行間取引などを行っています。

ちなみに、マネタリーベースに占める貨幣流通高は微々たるものです。したがって、日銀が刷った紙幣残高(貨幣の発行は政府になる)と日銀に預けられた預金残高の合計がマネタリーベースの金額とほぼ一致します。

マネタリーベースは、日銀が金融政策を通じてコントロールしており、景気が加熱しすぎたと思ったらマネタリーベースを減少させ、景気が悪化していると考えれば思い切り増やします。ただし、日銀が黒田総裁よりも前の時代には、このような金融政策をとらずに、何かといえば引き締め政策をしました。

マネタリーベースを増やす金融政策を量的緩和と言い、これは金融機関から主に国債を買い取って、日銀当座預金を増加させる(日銀が民間金融機関から国債を買い取った代金を日銀当座預金に振り込む)政策です。

従来は金利の上げ下げを目的とした金融政策が行われていましたが、近年は先進国で金利を下げる余地がなくなってきたため、お金の量をターゲットにした金融政策を実行する手法が取られています。

マネタリーベースの増加に敏感に反応する指標の1つが株価で、日銀がマネタリーベースを増加させる政策を採用すると株価も上昇トレンドに入ります。

マネタリーベースを拡大させると、金融機関が日銀当座預金に溜まったお金を原資にして貸出を増やしてマネーストック(世の中に出回るお金の総量)が増え、経済が活性化すると期待されるからです。株価は将来の経済環境を先取りして上昇するわけです。

日銀はこれまでにない規模でマネタリーベースを拡大していますが、米国と比較すると、少し遅れて拡大しています。

2008年9月のリーマン・ショックで景気が下振れし、それに伴い米国はマネタリーベースを拡大(金融緩和)していたのですが、日銀は効果的な金融政策を打ちませんでした。2013年に日銀の正副総裁が代わり、ようやく世界標準の金融政策をとるようになりました。

マネタリーベースのコントロールする方針は、日銀の金融政策決定会合で決められます。

以下に、失業率の推移のグラフを掲載します。


最近のニュースを見ていると9月末の都市銀行5行の貸し倒れ引当金は、前年同月比13.4%減の9016億円だと言い、1985年2月以来「32年半ぶり」に1兆円を下回ったと言います。

更に、10月の有効求人倍率は「43年ぶり」の1.55倍だそうです。このように実に、四半世紀以上を経過している現象が、次々に市場を賑わしています。先日の日経平均株価の16連騰は、東証の創設以来の歴史的な現象が生まれたのです。

これらの現象は、やはり2013年から金融緩和を継続してきたからこそ今日このようなことが実現されてきたということです。これは金融緩和を継続するということ自体は、正しいことであることを示しています。

しかし、ブログ冒頭の記事で高橋洋一氏が指摘するように、失業率は未だNAIRUの2%台半ばには達していません。高橋洋一氏は、適正なNAIRUを算定した上で、2%半ばとしているようですが、私自身は日本が本格的にデフレに突入する前には、NAIRUは2.7%くらいであるといわれていたことを根拠にやはり、NAIRUは2.7%くらいであると考えています。

この頃は、失業率が3%台になると、雇用状況が悪化しつつあるといわれていました。しかし、その後日本がデフレに突入してからは、3%台は当たり前どころか、悪くない数値と受け取られる程に日本の雇用は悪化しました。

多くの人(特に50歳以上の人)は、過去の日本では3%を超えると雇用は赤信号であるとされていたことを忘れているようです。これでは、年長者の知識を活かせているとはいえません。

NIRUが達成されてはじめて、経営者の心を動かし、厳寒状態だった「心の壁」の氷を溶かし始め、貯めこんだ現預金残(内部留保)の活用に向かいます。この状況は、産業ごと企業ごとでも違います。たとえば、現状のファナックは、フル操業を続けており、それでも間に合わない状況にあります。

ファナックのロボット製造工場
事前に工場用地を手当てして工場を建設していましたが、積極的なファナックでさえ半年、遅かったと言われています。

一方、シャープは、亀井工場に続き、堺工場の建設が、命取りに繋がりました。

すべての企業が、積極的になるにはまだ十分ではないのです。

NAIRU2%半ばが達成されてはじめて、一部の限界的な産業や企業を除いてほとんどすべての産業や企業で、本格的に人手不足が実感されるようになり、賃金を上げざるを得ない状況に追い込まれ、経営者の心を動かし、厳寒状態だった「心の壁」の氷を溶かし始め、貯めこんだ現預金残(内部留保)の活用に向かい、本格的なイノベーションのため賃金をあげたり、設備投資をしたりして、需要増に応えるようになり、日本経済は本格的に上向くことになるのです。

NAIRUも達成されておらず、物価目標にまだ程遠い日本では、金融緩和の出口には未だ程遠い状況にあるのです。特に年長者こそ、過去の失業率などから、この状況を正しく判断すべきです。多数の若者は、就職率が格段にあがり、もう過去に戻りたくないと考えていますが、実質賃金の上昇などの恩恵にいまだあずかっていない年長者や、年金生活者の年長者はそうは思っていない人が未だ多いようです。

多数の年長者の覚醒と、若者層により金融政策に関するまともな世論が形成されなければ、またまた国民経済のための金融政策を、金融業界の利害のために使われてしまったり、マスコミの無知で無責任な報道により、日本は金融政策は中途半端に終わり、またまたデフレスパイラルのどん底に沈むことになります。そのようなことは絶対に避けるべきです。

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2017年12月8日金曜日

中国の“微笑み外交”要警戒 「分断工作だ」尖閣衝突回避策で日中大筋合意にチラつく思惑 河添恵子氏リポート―【私の論評】台湾の今そこにある危機を認識せよ(゚д゚)!

中国の“微笑み外交”要警戒 「分断工作だ」尖閣衝突回避策で日中大筋合意にチラつく思惑 河添恵子氏リポート

福岡市で開催された日中両政府の高級事務レベル海洋協議
では「海空連絡メカニズム」についても協議された=29日午前
 習近平国家主席率いる中国が軟化してきたのか。日中両政府は、沖縄県・尖閣諸島のある東シナ海での偶発的な衝突を防ぐ「海空連絡メカニズム」の構築と早期運用に向けて「前向きな進展」があったと発表した。「日中関係の改善の象徴」と報じるメディアもあるが、歴史的に計略を用いる中国を簡単に信用していいのか。北朝鮮と台湾をめぐる、中国の思惑もささやかれている。

 「彼らの『工作』の可能性を疑った方がいい。中国は『微笑み外交』をしてきたときこそ警戒すべきだ」

 中国情勢に精通するノンフィクション作家の河添恵子氏は言い切った。

 海空連絡メカニズムは、自衛隊と中国軍が接近時の連絡方法などをあらかじめ定め、衝突を防ぐ仕組み。中国・上海で5、6日開かれた、日中の外務、防衛、海上保安当局などの高級事務レベル海洋協議で、主要論点がほぼ一致したという。

 河添氏は「北朝鮮と台湾の問題が背景にあるはずだ」といい、続けた。

 「習政権と、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権の関係は劣悪で『事実上の敵』といえる。加えて、習氏は2020年以降、本気で台湾を取りに行こうとしている。こうなると、中国人は『敵の敵は味方』のフリをするモードになる。日本政府や自衛隊に笑顔で接近して、話し合いの環境をつくろうとする。彼らの本音は、日本人を油断させて『日米同盟の分断』と『自衛隊内のシンパ構築』を狙っているのではないか」

 習氏は10月の共産党大会で、「3つの歴史的任務の達成」を宣言した。この1つに「祖国統一の完成」があり、武力侵攻も含めた「台湾統一」と受け止められている。

 「核・ミサイル開発」を強行する北朝鮮に対しては、米国の軍事的制圧も視野に入ってきた。中国は、緊迫する東アジア情勢の中で巧妙に立ち回り、台湾統一の邪魔になる「日米同盟の分断」に着手したのか。

 河添氏は「習氏にとって、安倍晋三首相とドナルド・トランプ大統領が体現している『日米同盟の絆』は脅威だ。ここにクサビを打ち込もうとしているのではないか。中国人は『台湾は中国の一部。尖閣諸島は台湾の一部』と考えている。無人島の尖閣諸島は後回しにして、台湾を先に取ろうと考えているのだろう」と分析している。

【私の論評】台湾の今そこにある危機を認識せよ(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事にある、川添氏の「無人島の尖閣諸島は後回しにして、台湾を先とろうとしている」という懸念については根拠があります。

今年10月、米国で出版された一冊の書籍によって、中国の習近平指導部が準備を進めている「計画」が暴かれました。
大規模なミサイル攻撃の後、台湾海峡が封鎖され、40万人の中国人民解放軍兵士が台湾に上陸する。台北、高雄などの都市を制圧し、台湾の政府、軍首脳を殺害。救援する米軍が駆けつける前に台湾を降伏させる…
米シンクタンク「プロジェクト2049研究所」で、アジア・太平洋地域の戦略問題を専門とする研究員、イアン・イーストンが中国人民解放軍の内部教材などを基に著した『The Chinese Invasion Threat(中国侵略の脅威)』の中で描いた「台湾侵攻計画」の一節です。

イアン・イーストン氏
イーストン氏は「世界の火薬庫の中で最も戦争が起きる可能性が高いのが台湾だ」と強調しました。その上で「中国が2020年までに台湾侵攻の準備を終える」と指摘し、早ければ、3年後に中台戦争が勃発する可能性があると示唆しました。

『The Chinese Invasion Threat(中国侵略の脅威)』の表紙
この、衝撃的な内容は台湾で大きな波紋を広げました。中国国内でも話題となりました。
具体的な時間は分からないが、台湾当局が独立傾向を強めるなら、統一の日は早く来るだろう。
国務院台湾弁公室副主任などを歴任し、長年、中国の対台湾政策制定の中心となってきた台湾研究会副会長、王在希は中国メディアに対し、イーストンの本の内容を半ば肯定しました。

王在希氏
その上で「平和手段か、それとも戦争か、台湾当局の動きを見てから決める」と踏み込みました。近年、中国の当局関係者が台湾への武力行使に直接言及するのは極めて異例です。

ブログ冒頭の記事にもあるように、10月24日に閉幕した共産党大会で、党総書記の習近平(国家主席)は「3つの歴史的任務の達成」を宣言しました。「現代化建設」「世界平和の維持と共同発展の促進」とともに掲げられた「祖国統一の完成」とは、台湾を中国の地図に加えることにほかならないものです。

党大会終了後、北京市内で開かれた政府系シンクタンクが主催するシンポジウムで、軍所属の研究者が「中国近未来の6つの戦争」と題する発表しました。

その研究者は、習近平指導部が隠してきた、中国が主権を主張する領土を奪還するための2050年までの予定表を明かしました。台湾統一の時期は20~25年。イーストンの指摘と一致します。

習近平は、東シナ海や南シナ海、インド、ロシアとの国境周辺などにも版図を広げる心づもりだといいます。同発表では、尖閣諸島(沖縄県石垣市)を奪還する時期は40~45年とされています。

中国の情報機関はここ数年、台湾軍の内情を探るため深く潜り始めています。
台湾の蔡英文政権が2016年5月に発足して、中国国内の各情報機関の台湾担当部署の予算も人員も大幅に増加しました。
ある中国共産党関係者は、こうした変化も台湾への軍事侵攻に向けた準備だととらえています。

今年5月、台湾軍中枢の参謀本部ミサイル防衛指揮部(当時)の前指揮官、謝嘉康(少将)が、中国側に重要な軍事情報を漏らしたとして、「国家安全法」違反容疑で拘束されました。

謝嘉康
同指揮部は陸上配備のミサイル部隊を統括しており、米国製の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)などの防空網や、上海を射程に収めるとされる自主開発の巡航ミサイル「雄風2E」の情報が漏れた可能性があります。

謝嘉康を中国側につないだのは退役後、旅行業を営んでいた元上官の男でした。男は、中国の国家安全部門に籠絡されて、その手先となっていました。09年と10年、元上官からタイやマレーシアへの家族連れの無料旅行に招待された謝嘉康は、たくらみに気付かず、誘いに乗ってしまったのです。

11年には、陸軍少将の羅賢哲が、指揮通信情報(C4ISR)を統合するシステムの情報を漏洩(ろうえい)した疑いなどで逮捕されました。

羅賢哲
羅賢哲は武官として駐在したタイで、歓楽街での買春現場を中国の工作員に撮られて脅されました。04年から情報提供を始め、毎回10万~20万ドル(約1120万~2240万円)の報酬を受け取っていました。羅賢哲は12年、無期懲役となりました。

台湾当局はスパイ事件の詳細や判決を公表していません。それ自体が手の内を明かすことになるからです。

羅賢哲にハニートラップをかけたとされる美女間諜:李佩琪
台湾軍内部には中国側の協力者が数多くおり、明るみに出たのは氷山の一角と指摘する声があります。ある現役将校は「中国側や軍内部の協力者に見せつけるため、逮捕案件自体を選別している可能性がある」と指摘しました。

台湾軍幹部の中には、中国大陸から来た「外省人」とその子孫が多いです。特に年齢層の高い退役軍人や高級幹部は「大中国」意識が強いです。退役・現役軍人の中には「台湾人意識」を支持基盤とする民主進歩党に反感を持つ者も多く、もともと中国に利用される素地があるといいます。

昨年11月には、北京の人民大会堂で開かれた孫文の生誕150周年記念式典に、台湾の退役将官32人が出席しました。中国の国歌斉唱時に起立し、国家主席、習近平の演説を神妙に聞き入る姿が問題となりました。

危機感を抱いた蔡英文政権は今年7月、改正法案を提出し、退役した軍高官が中国で政治活動に参加することを禁じましたが、後手に回っていることは否めません。

「世界一流の軍隊」の建設を目指す習近平は共産党大会で、20年までの「機械化、情報化の実現による戦略能力の大幅な向上」を宣言しました。台湾軍は「内と外」からの脅威にさらされています。
日本としては、先日もこのブログで述べたように、地政学的に重要な位置にある台湾との協力を強化する必要があります。まずは、日本は台湾を主権国家として認めなければなりません。
その道筋をつけるために、台湾にTPP加盟をすすめたり、日台の経済関係を強化したりするなど、協力関係を強化していくことが重要です。

さらには、日米台の関係を深め、安倍総理の安全保障のダイヤモンド政策をさらに充実・拡充するべきです。

そのためには、沖縄にある米海兵隊の一部を台湾に駐留させるようにし、いずれ半分もしくは全部を台湾に駐留させるということも考えられます。

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2017年12月7日木曜日

韓国、利上げは実態見誤った? 半島有事勃発を見越して資本流出未然に防ぐ思惑も―【私の論評】韓国政府は戦時・平時体制の違いを鮮明にして経済運営せよ(゚д゚)!

韓国、利上げは実態見誤った? 半島有事勃発を見越して資本流出未然に防ぐ思惑も

韓国銀行
 韓国銀行は6年5カ月ぶりの利上げを決めた。家計の負債が急増する副作用が出ているためとの解説もあるが、どのような背景や影響があるのか。そして朝鮮半島有事が起きた場合、韓国経済はどうなるのだろうか。

 韓国もインフレ目標政策を採用しており、2016~18年の目標は2%である。10月のインフレ率は、全品目の消費者物価対前年同月比で1・8%、価格変動の激しい農産物と石油を除いた指数で1・6%だった。そこで11月30日の金融政策決定会合で政策金利を0・25ポイント引き上げ。1・5%とした。

 全品目のインフレ率の推移をみると、7月が2・2%、8月が2・6%、9月が2・1%とインフレ目標を上回っていた。しかし、農産物と石油を除いたものでは、それぞれ1・5%、1・4%、1・4%で、農産物と石油の変動によって全品目の指数が上振れしていたことがわかる。はっきりいって、インフレ目標の運営として、利上げするような状況ではなかった。

 それを裏付けるかのように、12月に入って公表された11月のインフレ率は、全品目のインフレ率で1・3%、農産物と石油を除いたもので1・4%だった。

 これは、インフレ率の基調を見誤った金融政策の変更ではないかと筆者は思っている。

 思い返せば、日本でも同じことがあった。06年3月の量的緩和解除である。その当時に公表されたインフレ率が0・5%程度であったが、実はこれは物価統計の上方バイアス(実際よりも高めになること)に基づくものであった。

 当時、総務省にいた筆者は竹中平蔵総務相を通じて、上方バイアスによって見かけ上はプラスだが、実際はマイナスの可能性もあることを指摘した。ところが、何が何でも金融引き締めに転じたい日銀は、量的緩和の解除に方向転換した。

 当時、政府・与党内でこの方向転換を誤りだというのは、竹中氏と中川秀直政調会長しかいなかった。政府内では与謝野馨経済財政担当相ら大勢は金融引き締め容認派だったので、日銀に対して政府から議決延期請求権の行使もできなかった。

 その結果、筆者らの予想通りに、半年後から景気が悪くなった。しかも、上方バイアスが改訂された後、当時のインフレ率もマイナスだったことが判明した。

 こうした時には、経済指標ではなく、別の思惑があるものだ。当時の日銀は何が何でも量的緩和を脱するという実績が欲しかったのだろう。

 今回の韓国銀行の金融引き締めにもその匂いを感じる。経済データを虚心坦懐(たんかい)にみれば、金融引き締めのタイミングではない。しかし、朝鮮半島の緊張が高まる中で、もし有事になれば、韓国からの資本移動が怖い。これは、1997年のアジア通貨危機で韓国が国際通貨基金(IMF)管理になったことを彷彿(ほうふつ)させる。

 特に、今の日韓関係を考えると、当時のような日本からの支援融資も期待できない。となると、今の時期に利上げして韓国からの資本移動を未然に防ぎたい欲求にかられても不思議ではないだろう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】韓国政府は戦時・平時体制の違いを鮮明にして経済運営せよ(゚д゚)!

今の韓国の状況では、利上げをするような状況ではないことははっかりしています。本来実行すべきは量的金融緩和です。

韓国銀行の政策金利の推移
しかし、韓国では元々、思い切った金融緩和をやりにくい経済事情があります。韓国の対外債務は短期のものが多く、大胆な金融緩和で韓国の通貨ウォンが安くなると、外資が韓国から資金を引き揚げやすくなるためです。

ちなみに、日本は対外資産が対外債務よりかなり大きく、国内総生産(GDP)比でみて6割程度の純債権国ですが、韓国は5%程度の純債権国にすぎないのです。

韓国は過去においてもインフレ目標を実施していましたが、2013年から15年までのインフレ目標は2・5~3・5%でした。

ところが、12年6月以降、この目標はまったく達成されていません。15年2月のインフレ率は0・5%でした。結局期間中に一度も目標達成しませんでした。

韓国CPI(物価指数)の推移
しかしこの間、インフレ目標を達成できないような大きな要因は見当たりません。ということは、金融緩和が不十分だった公算が大きいです。利下げはしていますが、そもそも為替が安くならないように、つまり経済効果があまり出ない範囲での、言い訳程度の利下げしかしていないのです。

本来であれば、ゼロ金利政策にした後で、日米欧のように量的緩和しないと韓国経済の浮上はあり得なかったのです。米国の量的緩和はようやく出口に向かいましたが、日欧はいまだに真っ最中です。

このため、この時点で韓国が多少利下げしても、対ユーロも対円でも韓国ウォン安になっていませんでした。韓国ウォンは、ユーロや円に対して「刷り負けている」状態だったのです。その結果、輸出がさっぱり伸びず、韓国経済は低迷しています。

韓国経済は輸出が伸びないと苦しいです。なぜなら、韓国経済は輸出依存度が高いからです。輸出額のGDP比で見ると、最近時点では45%程度になっており、世界平均の25%、日本の15%程度と比べてかなり高いです。

それでは、数年前までは、どうして韓国経済がうまく回っていたのでしようか。それは、アベノミクス以前、日銀がデフレ志向で、日本が「刷り負けていた」からです。

日本と韓国は輸出構造が似ていて、家電、自動車が輸出の主力商品です。商品の内容、性能も似ているので、最終的には価格競争力がものをいいます。日本が金融緩和せず円高傾向だったので、韓国ウォンは相対的に円に比べて安く、その分、韓国の価格競争力に寄与しました。その結果、数年前までは韓国が国際市場において有利だったのです。

最近の円安で、日本の自動車・家電業界は復活していが、その一方、韓国の自動車・家電は不振に陥っています。金融政策をうまくやるかどうかで、天国と地獄の差が出てしまいます。もっとも、単に国内をデフレにしないように、うまく金融政策を行うだけであるので、通貨安競争でないことはいうまでもないです。

韓国は、本来なら遅くとも日本が金融緩和に転じた2013年くらいから、本格的な量的緩和を実施し、日本のように消費税をあげるような余計な馬鹿真似はせずに、財政政策では積極財政をとっていれば、今ごろかなり楽な経済運営ができたでしょう。

その状況下において、現在利上げをするというのなら、半島有事勃発を見越して資本流出未然に防ぐという思惑も達成できたかもしれません。

しかし、現状のまま利上げをすれば、さらにインフレ目標達成から遠のくことは明白です。

このままだと、さらに雇用は悪化して、若者が「ヘル朝鮮」と呼ぶような状況から脱することはできず、さらにとんでもないことになるでしょう。

「ヘル朝鮮」という言葉についてインタビューを受ける韓国の若者
朝鮮半島有事になったとしても、北が韓国領内に深く攻め入り、しばらくの間韓国内にとどまるような最悪の事態になりそうなときには、利上げをしていようが、何をしていようが、韓国内から資本流出することは否めません。

このようなときには、通常の経済ではなく、それこそ戦時体制と呼ばれるような体制にせざるを得ません。

戦時体制とは、近現代の戦争において、国家が戦争遂行を最優先の目標として、その達成のために各種の政策を行うことをいいます。

戦時体制は、多くの人々には悪いイメージばかりがあると思いますが、そればかりではありません。国家総力戦に勝つためには、戦時体制によって、国家のあらゆる物的・人的資源を最大限に動員し、活用する必要があるので、徴兵され戦地に送られた男性に代わり、女性がその穴埋めとして、労働現場で働くことになります。

第二次世界大戦中軍需工場に徴用された女性
それにより、性的役割分業という社会常識の変更と偏見の是正と、女性の技能習得と社会進出が進み、第二次世界大戦後の女性の地位の向上につながったという面があります。

その他、とにかく総力戦で敵に勝つために、時の政府により様々な統制や改革も可能になります。もし北の危機が現実のものとなり、韓国が多大な犠牲をはらい北との対決の最前線になった場合、韓国政府が戦時体制をとり様々な統制とともに、改革を推進することもできます。

たとえば、韓国内にある外国の資産を一時凍結したり、戦争遂行のために必要な物資を調達するために、韓国内にある非合理な商慣行などを廃したり、それこそ財閥を解体したりすることもできるかもしれません。それに戦時体制移行とともに、現状ではあまりに多すぎるGDPに占める輸出の割合を減らすということも可能になるかもしれません。平時にはできなかった、韓国の構造改革を戦争遂行、戦争から国民を守ることを理由に強力に推進するのです。

このようなことをすれば、韓国内外から様々な批判の声があがることも考えられますが、韓国が多大な犠牲を払って、北と戦争をしなけれぱならないことを考えれば、多くのことが許されるに違いありません。

このようなことも視野に入れれば、半島有事勃発を見越して資本流出未然に防ぐために現状のように物価目標も達成できないうちに、利上げするという考えにはならないはずです。

韓国としては、今の時期に利上げなどはやめ、雇用改善、物価目標達成のために量的金融緩和を実施し、同時に積極財政を実施し、韓国経済を少しでも良くしておき、半島有事勃発時には、すみやかに戦時体制に入れるように今から準備しておくべきでしょう。

多くの人は、日本は大東亜戦争後に、爆撃などで日本全土が焦土になり、日本は戦後ゼロからスタートしたなどという幻想を抱いていますが、それは事実ではありません。実際には、地方には農業や工業の生産拠点が残っており、終戦直後の日本には戦争突入直前と比較して、7割の国富が温存されていました。

これは、確かに多くの人名が失われたり、爆撃により都市部が焼け野が原になったなどの悲惨なことはあったにせよ、経済的に見れば他のアジア諸国と比較すると、かなり良い条件からのスタートということで、日本が戦後急速に発展したのは当然といえば、当然です。

こういうと、多くの人は、「いや、終戦直後は多くの人が餓死した」などと主張するかもしれませんが、それは、終戦直後に旧日本軍などが大量の物資を隠匿したからであり、これがなければ、終戦直後の日本は餓死者を出すこともなく順調にスタートできたはずです。その後進駐軍がこれらの隠匿物資を発見したため、そこからは比較的順調にスタートできました。

終戦前の日本では、本土決戦に備えて、陸軍も海軍等は大量に備蓄をしました。そのために、日本国内から物資が消えました。そうして、この隠匿物資を戦後に不正入手して、自分のものとして金持ちになった悪人が大勢いました。このようなことがなければ、終戦前後の物資不足もかなり緩和されていたはずです。


上の写真は、終戦直後の日本で米の欠配は続き、夏の暑いさなか、栄養失調状態で、ただ寝ているだけの母子。昭和21年度の稲作は、戦前の平年作の半分余という不出来で、日本の戦後は飢えとの闘いから始まりました。

主食の欠配・遅配が続いたが、ヤミ市場では牛乳もバターも砂糖も手に入りました。「1000万人餓死説」の流れる中、生きてゆくために、庶民はその糧を、買い出しとヤミ市に頼る「タケノコ生活」を余儀なくされました。

韓国政府も、たとえ半島有事が勃発したとしても、韓国内になるべく多くの国富を温存しておきそれを隠匿することをしなけれぱ、戦後は余裕を持ってスタートすることができるはずです。

戦時体制と、平時体制を区別して考え、しっかり準備しておくべきです。どのような状況になった場合、戦時体制に入るのか、また戦時体制から平時体制に戻るにはどのような時なのかをあらかじめ考えておくべきです。そうして、これには安全保障の面だけではなく、経済的な面も考慮するのは当然のことです。

両者を曖昧に考えるからこそ、現在利上げするなどという経済的にどうみても、悪手としか思われないような手を打ってしまうのです。

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2017年12月6日水曜日

麻生氏、AIIB「サラ金発言」の意味 借金国に中国主導で取り立て、属国化や領土分割の懸念残る―【私の論評】中華覇権主義に基づくAIIBはそもそも、国際金融機関ではない(゚д゚)!



 麻生太郎副総理兼財務相が11月29日の参院予算委員会で、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の運営や融資審査について「金を借りた方も、ちゃんと計画を立てて返済しないと、サラ金に取り囲まれちゃうみたいな話になった場合、元も子もない」と発言した。「金を貸した経験のない人が急に貸すという話だ。お手並み拝見だと思って見ている」とも述べている。

 筆者は郵政民営化の際に、民営化法案の作成や政策シミュレーションを行う民営化サイドにいたので、当時総務相だった麻生氏から目の敵にされたが、周囲の人間に対して極めて優しい政治家であるとの評判を聞いている。政治家の話は、官僚と違って味のある答弁が多いが、麻生氏はいつも面白い話をしてくれる。ときたま、それが政治的には失言にもなるのだが、よくいえば人間味でもある。

 麻生氏の表現は具体的にはどのようなことを指すのか、本コラムで推測してみたい。

 AIIBは、途上国などに融資する国際金融機関である。途上国が融資を受けた資金によってインフラ整備を行うが、融資なので返済が必要になる。国際金融機関とはいえ、その融資機能は国内の金融機関やノンバンクと同じである。一般論として融資の返済可能性などについて審査をするわけだ。

 ただ、AIIBは国際金融機関としての経験が乏しい。それを「金を貸した経験のない人が急に貸す」と言っているのだろう。

 金の貸し手は、借り手の生活に大きく関わることもある。金融業者の取り立てが社会問題化したことからもわかる。取り立てでは、担保設定された不動産を差し押さえすることもある。

 AIIBは国際金融機関であるが、借り手が返済しなければ当然取り立てを行う。それはやはり中国主導となるだろう。

 「取り囲まれちゃう」というのは、債務返済がない場合、借り手の途上国が中国の取り立てによって政治的に困窮する状況を示唆しているのだろう。

 取り立ての一環として、借り手が不動産を差し出すのは、融資の世界ではよくあることだが、国際金融の世界でAIIBが同じようなことをした場合、借り手の途上国にとっては、中国への属国化や領土分割を意味することになってしまう。

 従来の西側の国際金融機関であれば、途上国の発展を考えて債務の減免を行うなど、過酷な取り立てはしてこなかった。しかし、中国主導の国際金融ではこうした国際基準があるのかどうか分からない。麻生氏は、そうしたAIIBに対する懸念を表現したかったのだろう。

 筆者としては、この麻生発言にさらに追加したい。最近AIIBが最上位の格付けを取得したと報道されているが、本コラムで指摘したように肝心なのは中国の資金調達レートだ。AIIBの調達レートは格付けに関わらず、中国を上回るだろう。ということは、西側の国際金融機関より高金利になる可能性が高い。この点も、高利貸のイメージである。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】中華覇権主義に基づくAIIBはそもそも、国際金融機関ではない(゚д゚)!

AIIBに対する懸念を示したのは、麻生氏だけではありません。実は、安倍晋三首相は2015年4月20日のBSフジ番組で、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)を「悪い高利貸からお金を借りた企業は、その場しのぎとしても未来を失ってしまう」とけん制しました。組織運営を問題視した形で「参加を表明している主要7カ国(G7)も基本的に同じ懸念を持っている」とも指摘しました。

AIIBに懸念を表明していた安倍首相
参加する英独仏と「AIIBの中、外で協力しながら中国に懸念の答えを求めると一致している」とし、日本の参加は「国民の富を出資するわけだから当然慎重でなければならない」と語りました。

私は、麻生財務大臣の懸念は、もとより安倍総理の懸念も妥当だと思います。

それは、中国のAIIBに関する、台湾と香港の取扱をみていると良く理解できます。2016年4月台湾のAIIBへの加盟交渉は、事実上決裂しました。

アジア太平洋地域には、深刻な投資資金不足からインフラ整備の遅れに悩む国が多いため、AIIBの創設メンバーはアジア太平洋地域だけでも25カ国に及んでいます(現在の全参加国は約70カ国)。

そのAIIBには申請者が主権国家でない場合、「その国際関係に責任を負う加盟国」が同意するか、申請手続きを代行する必要があるという規定があります。

これに基づいてAIIB総裁、金立群(ジン・リーチュン)氏が、「台湾の主権は中国にある」としたうえで、台湾はAIIBに直接申請するのではなく、「中国財政省を通じた申請が必要だ」と明言しました。

「台湾に主権はない」「台湾は中国の一部である」。そう言われたのも同然の出来事に、「台湾の尊厳を損ねる」と台湾財政部は猛反発し、交渉は決裂しました。

「台湾の主権は中国にある」と発言した
AIIB総裁、金立群(ジン・リーチュン)氏
そもそも台湾と中国の問題は、1949年、共産党と国民党の内戦が終わり、国民党が台湾に敗走したことから始まります。

台湾に渡ってきた国民党(外省人)は、独裁政権を敷き、台湾人(本省人)を迫害しました(白色テロ)。

台湾は国民党独裁政権下にありましたが、1991年に元台湾総統の李登輝氏が「動員戡乱時期臨時条款」を廃止したことにより、憲政が回復し、その後に民主化します。

こうしてやっと民主化に成功した台湾が、今さら中国共産党一党独裁体制の下に入ることなど容認できるはずがありません。

「台湾の主権は中国にある」という中国側のスタンスに反発するのはもっともなことです。

そもそも、AIIBは国際金融機関とはいえ、その融資機能は国内の金融機関やノンバンクと同じです。その金融機関の総裁が、「台湾の主権は中国にある」と述べるのは、問題外です。

そうしてAIIBは融資基準が不明確なうえに、中国が30.34%の融資比率(議決権の26.06%)を有することを考えると中国共産党政権の利益のための融資が行われる危険性が高いです。

それどころか、AIIBを中国はまず何よりも自国の経済強化のために活用し、それによって共産党の求心力を維持しようとしているとみるべきです。

中国によるAIIBの恣意的運営は、台湾と香港の扱いからも覗えます。AIIBは主権国家としての台湾の正式加盟は認めず、香港の正式加盟は、非主権国としての申請なら問題ないとして承認する方向です。そうして、今年香港はAIIBに加入しました。

中国は、台湾を、香港と同様に中華人民共和国の中の一地域とみなしているのです。

台湾は独立国家である
しかし、アメリカが台湾関係法において台湾を国家に準ずる扱いをしていることや、台湾がWTO(世界貿易機関)、ADB(アジア開発銀行)に正式加盟をしていることなどを見ても、台湾には明らかに独立国家としての実体があります。

一行政特区であるかのように台湾を扱い、主権国家としての台湾のAIIB加盟を退けたのは、中国の政治的思惑が背景にあるためです。

中国は、近い将来台湾を併合しようと考えており、AIIBを利用してその布石を打とうと画策しているのです。

国際金融機関であるはずのAIIBが、そうした中国の覇権主義に基づいた運営をするのであれば、信頼性は大きく失われます。

台湾をこのように扱うAIIBは、その時々で恣意的に他国に対しても、中国の覇権主義に基づいた運営をするに違いありません。

軍事拡張だけでなく、経済的にも覇権を握ろうとする中国を、何としても食い止めなくてはなりません。


AIIBは、投資資金額の大きさと比較的簡単に融資が行われることを強調しています。

日本は、日米主導のADB(アジア開発銀行)の融資条件を緩和するなど、AIIBを通じた中国の経済的な覇権主義の拡張を抑えるべきです。また、軍事面での覇権拡大阻止も重要です。

そのためには、地政学的に重要な位置にある台湾との協力を強化する必要があります。

日本は台湾を主権国家として認めなければなりません。

その道筋をつけるために、台湾にTPP加盟をすすめたり、日台の経済関係を強化したりするなど、協力関係を強化していくことが大切です。

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