2023年11月4日土曜日

外資の中国投資、初のマイナス 企業が撤退、事業縮小―【私の論評】日本で親・媚中派が絶えない理由:日本政府の矛盾した対中政策の悪影響(゚д゚)!

外資の中国投資、初のマイナス 企業が撤退、事業縮小

まとめ
  • 中国の国際収支で、外資企業の直接投資が初の118億ドルのマイナスとなった。
  • 米国の半導体規制や中国の反スパイ法が外資企業の投資減退の原因。
  • 新型コロナの影響で中国への直接投資が減少。
  • 中国日本商会のアンケートによれば、日系企業の47%が投資意欲低下。
  • 不確実性が外資企業の投資に影響を与えている。


 中国国家外貨管理局が発表した国際収支のデータによれば、7~9月期において外資企業の直接投資が約118億ドル(約1兆7600億円)の赤字となり、新規投資よりも事業の撤退や縮小が主要な要因となった。

 これは1998年以降の統計データで初めてのマイナスを示している。この現象は、米国の半導体輸出制限や中国の改正反スパイ法の施行などが外資企業の投資意欲を減退させた結果とされている。

 同局のデータによれば、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う上海市での都市封鎖があった2022年4~6月期以降、中国への直接投資が前年同期比で急激に減少しており、中国に進出している日系企業も投資意欲の低下を示すアンケート結果が示されている。

【私の論評】日本で親・媚中派が絶えない理由:日本政府の矛盾した対中政策の悪影響(゚д゚)!

まとめ
  • 日本企業の中国への直接投資が減少傾向にあり、2021年には19.4%減の148億ドル、2022年には更に20%減の118億ドルに低下した。
  • 減少の主な要因には、米中貿易戦争、COVID-19によるサプライチェーンの混乱、中国政府によるテクノロジー分野の規制、中国での事業コスト上昇が含まれる。
  • 米国政府は中国への投資を抑制し、外国企業に対する制裁を課す一方、日本政府は支援プログラムを提供しつつ、撤退を支援するという矛盾した政策を実施している。
  • 中国に投資を続ける企業も存在し、テスラ、アマゾン、フォルクスワーゲン、サムスンなどが中国に多額の投資を行っている。
  • 日本政府の矛盾したアプローチは問題であり、日本を含めた外国企業はリスクと利益を検討する必要がある。政策や規制の変化に注意が必要。
直接投資の残高変化、中国には海外からの直接投資は もはや見られない

日本企業の対中直接投資も近年減少傾向にあります。2021年、日本の対中直接投資は19.4%減の148億ドルとなり、2017年以来の低水準となりました。この傾向は2022年も続き、日本の対中直接投資はさらに20%減の118億ドルとなりました。日本の対中直接投資の減少には、以下のような要因があります。
  • 米中貿易戦争が続いており、日本企業が中国でビジネスを行うことがより困難かつ高価になっている。
  • COVID-19の大流行によりサプライチェーンが寸断され、日本企業の中国での事業展開がより困難になった。
  • 中国政府によるテクノロジー分野の取り締まりは、この分野で事業を展開する日本企業に特に大きな打撃を与えた。
  • 人件費や環境規制などの要因による、中国での事業コストの上昇。
また、サプライチェーンを多様化し、中国への依存度を下げようとする日本企業もあります。その背景には、中国での事業展開に伴う政治的・経済的リスクに対する懸念や、他市場の顧客により近い場所にいたいという願望があるようです。

全体として、中国における対外直接投資の減少傾向は近い将来も続く可能性が高いことが示唆されています。海外直接投資は中国経済にとって資本と投資の主要な供給源であるため、これは中国政府にとって重大な懸念材料です。

この結論を裏付ける具体的な証拠をいくつか紹介します。
  • 在中国日本商工会議所の調査によると、今後1年間に中国への投資を増やす予定の日本企業の割合は、2021年の50%から2023年には32%に減少している。
  • 在中国欧州商工会議所の最近の報告書によると、在中国欧州企業の23%が今後3年以内に中国からの撤退を検討している。
  • 在中国米国商工会議所も、在中国米国企業の信頼感の低下を報告している。
これらの調査は、外国人投資家が中国への投資リスクへの懸念を強めていることを示唆しています。このことは、今後数カ月、数年間、対中直接投資の継続的な減少につながる可能性が高いです。
  • 一方、中国への直接投資を増やしたり、維持している企業もあります。以下に例をあげます。
  • テスラは上海に新しいギガファクトリーを建設中で、これは世界最大の電気自動車工場になる見込み
  • アマゾンは中国でのクラウド・コンピューティング事業を拡大し、物流や電子商取引にも投資
  • フォルクスワーゲンは中国での電気自動車事業に数十億ユーロの投資を計画
  • サムスンは中国での新しい半導体製造施設に投資
これらの企業が中国に多額の投資を行っているのは、中国を自社の製品やサービスにとって重要な市場と見なしているからです。また、中国への投資に伴うリスクを管理できると確信しているのでしょう。

日本企業でも、同様の企業があります。
  • パナソニックは、中国の大連にある新しいバッテリー工場に40億ドルを投資する。この工場は2024年に生産を開始する予定で、電気自動車用バッテリーなどを生産する。
  • ソニーは中国・上海の新半導体工場に20億ドルを投資する。この工場は2025年に生産を開始する予定で、スマートフォン、カメラ、その他の電子機器用のチップを生産する。
  • トヨタは中国・天津の電気自動車工場に14億ドルを投資する。この工場は2024年に生産を開始する予定で、トヨタとレクサスのブランドで電気自動車を生産する。
  • 三菱電機 三菱電機は中国・無錫の新工場に10億ドルを投資する。この工場ではエアコン、エレベーター、その他の工業製品を生産する。
  • NECは中国上海の新しい研究開発センターに5億ドルを投資する。このセンターは、人工知能、ロボット工学、その他の分野の新技術開発に重点を置く。
これらの企業が中国に多額の投資を行っているのは、中国を自社の製品やサービスにとって重要な市場と見なしているからのようです。また、中国への投資に伴うリスクを管理できると確信しているからのようです。

日米ともに中国に直接投資を増やしたり、継続したりする企業は現在でも存在します。ただ、政府の対応は日米ではかなり異なります。

日本政府は日本企業の対中投資を支援していますが、中国から撤退する日本企業も支援しています。

以下は、日本企業の対中投資を支援する日本政府のプログラムの例です。
  • 日本貿易振興機構(ジェトロ)は、中国への投資や事業拡大を検討している日本企業に対し、様々なサービスを提供している。これらのサービスには、市場調査、ビジネス・マッチング、コンサルティング・サービスなどが含まれる。
  • 国際協力銀行(JBIC)は、中国に投資する日本企業に融資を行っている。JBICはまた、融資保証やその他のリスク軽減サービスも提供している。
  • 日本貿易保険(NEXI)は、政治的リスクや商業的リスクなど、対中投資のリスクに対する保険を日本企業に提供している。
以下は、中国から撤退する日本企業を支援する日本政府のプログラムの例です。
  • 中国撤退補助金制度は、中国から撤退し、日本または他の国に事業を移転する日本企業に補助金を提供する。
  • 中小企業総合事業団(JSMECO)は、中国から撤退する日本の中小企業に支援を提供している。この支援には、ビジネス・カウンセリング、金融支援、新しいサプライヤーや市場を見つけるための支援などが含まれる。
中国への投資を奨励する一方で、出口プログラムを提供するのはいささか矛盾しています。実際、米国政府は中国への投資を奨励するプログラムを持っていません。実際、米国政府は中国企業や個人に制裁を課すなど、中国への投資を抑制するための措置を数多く講じています。米国政府は、強制的な技術移転のリスクや、先端技術開発に携わる中国企業を支援するリスクなど、対中投資のリスクを懸念しています。

また、米国政府は米国企業に対し、サプライチェーンを多様化し、中国への依存度を下げるよう促しています。これは米国政府が、重要な商品やサービスを中国に過度に依存することによる国家安全保障上のリスクを懸念しているためです。

対中投資に対する米国政府のアプローチは、日本政府のアプローチとは大きく異なる。米国政府は対中投資を積極的に抑制しているが、日本政府はより中立的なアプローチをとっている。

以下は、対中投資に対する日米政府のアプローチの主な違いをまとめた表です。
特徴米国日本
中国への投資の促進阻止中立
中国企業・個人への制裁あるなし
サプライチェーンの多様化の促進あるある
中国への投資に関する国家安全保障上の懸念高い中程度
米国政府は近年、中国に対して多くの制裁を課しており、その中には先端技術の開発に携わる中国企業に対する制裁も含まれています。

さらに米国政府は、制裁対象となった中国企業と取引を行う企業に対しても制裁を課している。つまり、中国に投資する企業が制裁対象の中国企業と取引を行えば、米国の制裁の対象となる可能性があります。

また、中国に投資する外国企業が、その先端技術を中国政府に引き渡さざるを得なくなるリスクもあります。中国政府には、外国企業に中国企業への技術移転を強要した歴史があります。これは強制的な技術移転として知られています。

もし日本を含む外国企業が中国政府に先端技術を譲渡せざるを得なくなれば、新技術の開発において中国が優位に立つ可能性があります。これはまた、日米とその同盟国に安全保障上のリスクをもたらす可能性もあります。それを避けるために、米国は外国企業に対して制裁を加える可能性もあります。

日本の対中国政策の矛盾

中国への投資を検討している日本を含む外国企業は、リスクと利益を慎重に比較検討する必要があります。米国の対中制裁や、強制的な技術移転のリスクを認識する必要があります。また、中国政府の政策や規制を明確に理解しておく必要もあります。

それにしても、一方では、中国への投資を奨励し、片方では、撤退を支援するようなことを日本政府は未だに行っているわけですから、親中派・媚中派議員や財界人が今でも跋扈するわけです。この矛盾はいずれ正していかなければならないでしょう。

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2023年11月3日金曜日

岸田政権は何をやりたいのか 憲法改正で問われる「本気度」 所得税減税のように「遅く、ショボい」ものに終わってしまうのか?―【私の論評】段取りの悪さを露呈した、岸田政権の経済対策(゚д゚)!

高橋洋一「日本の解き方」

まとめ
  • 岸田文雄首相は憲法改正への意欲を示しており、保守層を掴みとどめる狙いがあるとされている。
  • しかし、首相の本気度について疑問が生じており、所得税減税の提案が遅く、規模が小さいと批判されている。
  • ライドシェアの導入など、人気取りの政策が疑念を引き起こしている。
  • 憲法改正に関しても、具体的な進行計画や期限設定がないため、首相の本気度が疑問視されている。
  • 政策の一貫性や矛盾が憲法改正の進捗に影響を与えている可能性がある。

岸田首相

 岸田文雄首相の憲法改正への本気度について疑問が生じている。首相は憲法改正を進め、岩盤保守層を掴みとどめるために憲法改正に取り組んでいると言われているが、その真意が不透明であるとの指摘がある。

 具体的には、所得税減税の話題が注目されている。岸田首相はかつて財務省の支持で増税政策を進めていたが、増税イメージを払拭するために所得税減税を打ち出した。しかし、その提案は遅く、規模も小さいと批判されており、真剣に所得税減税を実現するつもりがあるのか疑念が生じている。

 また、岸田首相は一般ドライバーによる「ライドシェア」の導入を所信表明に盛り込んだことも、人気取りのための政策と受け取られている

 憲法改正についても、岸田首相は言葉で取り組む姿勢を示しているが、具体的な本気度が不透明だ。改憲について直接の議論が行われる前に期限を設定しなければ、本気で進めるつもりがあるのか疑念が残るという声もある。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください

【私の論評】段取りの悪さを露呈した岸田政権の経済対策(゚д゚)!

まとめ
  • 岸田首相が「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を発表し、17兆円の対策を提案。
  • 実際の経済対策の真水額は約10兆円と見られる。
  • 経済対策には賃上げ促進、消費喚起、インフラ投資、デジタル化推進などが含まれているが、規模は需要不足に対して十分でないとの指摘がある。
  • 需給ギャップの推計について、内閣府の評価と高橋洋一氏の評価に差異がある。経済対策は、多少多めにすべきである。多めのほうが、少なめより修正しやすい。
  • 複雑な対策の決定プロセスについて、譲れないポイントをいくつか明確に定めて多くの人々の意見を聞くべきである。

昨日、岸田首相は「デフレ完全脱却のための総合経済対策」をとりまとめました。賃金を上げ、購買力を上げ、「好循環」を加速させて、デフレ完全脱却を図る経済対策です。17兆円の対策とされています。

真水額は、約10兆円と見られます。

経済対策の総額は17兆円ですが、このうち約7兆円は、すでに本予算に計上されている予備費や、税収増の還元策である期限付き所得税減税や非課税世帯への給付金などです。これらの措置は、すでに財政支出として計上されているため、真水には含まれません。

10/31自民党政務調査会全体会で、新たな総合経済対策について議論されたが・・・

真水の経済対策は、国と地方の歳出の合計で約10兆円と見られます。このうち、国費は約7兆円、地方費は約3兆円です。

具体的には、以下のような措置が真水の経済対策に含まれます。
  • 賃上げ促進のための税制優遇措置
  • 消費喚起のためのポイント還元やクーポン発行
  • インフラ投資
  • デジタル化推進
規模としては、当初言われていたものよりは大きくなりそうですが、現状日本では15兆円の需給ギャップがあるので、やはり望ましい額よりは少ないです。しかも、実施は変わらず、最速で来年6月以降というのですから、やはり遅いです。

政府は、2022年7月から9月期の需給ギャップをマイナス2.7%と発表していました。これは、年換算で15兆円の需要不足を意味します。

しかし、内閣府は2023年9月19日に、2022年7月から9月期の需給ギャップをプラス0.1%と発表しました。これは、年換算で1兆円の需要超過を意味します。

高橋洋一氏は、内閣府の需給ギャップ推計は、潜在GDPを過小評価しているとして、需給ギャップはプラスではなく、マイナスであると指摘しています。

高橋氏は、内閣府が潜在GDPを推計する際に、労働参加率や生産性の伸び率を過小評価していると主張しています。また、内閣府が潜在GDPを推計する際に用いる統計データは、過去のデータを基にしており、現在の経済状況を反映していないとも指摘しています。

高橋洋一氏の指摘をもとにすれば、やはり経済対策の規模は小さいと言わざるを得ません。

高橋洋一氏

それに、一般的に、より少ない経済対策をとって後で修正するよりも、より多くの経済対策をとって後で修正する方が簡単です。

これにはいくつかの理由があります。第一に、経済対策の正確な影響を予測するのは難しいです。より多くの対策を講じることで、望ましい影響を確実に達成することができます。第二に、もし最初の措置が望ましい影響を与えなかったとしても、それほど大きな混乱を引き起こすことなく、後で修正することができます。 もちろん、もう少し経済対策を講じることにはリスクもあります。ひとつのリスクは、政府支出や債務の増加につながる可能性があることです。しかし、このブログでも指摘してきたように、そのような可能性は現在の日本にはありません。

もうひとつのリスクは、インフレにつながる可能性があることです。しかし、これらのリスクは、経済対策を慎重に設計し、その影響を監視することで軽減することができます。 総合的に見て、経済対策をもう少し強化することのメリットは、リスクをはるかに上回るでしょう。このことは、特に景気が低迷しているときに言えることで、景気を下支えするために断固とした行動を取ることが重要です。

にもかかわらず、岸田政権は、規模や時期を巡って、あまりにも紆余曲折がありすぎました。先日もこのブログで指摘したとおり、そのため対策が遅い、対策が小さい、対策が不十分等と、批判されるのです。

そうして、このような状況になってしまう要因として、対策の規模、時期、範囲などでこれは譲れないという点を決めた上で、多くの人の意見聞けば良いにもかかわらず、それ以前に多くの人の意見を聴いてから、対策を決めようとしているからだろうと指摘しました。

そうして、この状況は、要人のスケジューリングをする秘書の初歩的なミスに似ていることを指摘しました。

要人のスケジューリングをする秘書 AI生成画

スケジューリングにおいては、最初にここだけは譲れないというポイントを定めてから、他の多くの人の意見を聞けばよいものを、それ以前に多くの人の意見を聞くのでは、とうていスケジューリングなどできないし、できたとしても当の要人が満足できるようなスケジュールにはならないと指摘しました。このようなスケジューリンクしかできない秘書は「段取りが悪い」と指弾されるでしょう。そうして、無論、この要人とは経済対策においては、国民ということです。

経済対策では、まずは国民に目を向けなければならないのです、それなしに多くの人の意見を聴いても混乱するばかりです。

経済対策で、右往左往する岸田首相は、上の記事で高橋洋一氏が指摘するように、憲法改正でも、同じような間違いをおかしそうです。

岸田首相は、経済対策でも、憲法改正でも、政権としてはここだけは譲れないというポイントをいくつかをはっきり定めて、その上で多くの人々の参考意見を聞くべきです。

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2023年11月2日木曜日

中国は南太平洋諸国への金のばらまきをやめたのか?―独メディア―【私の論評】中国の太平洋への援助減少:米国との影響力競争の最新情報(゚д゚)!

中国は南太平洋諸国への金のばらまきをやめたのか?―独メディア

まとめ
  • 2023年10月31日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレ(中国語版)は、「Lowy Institute」のレポートに基づいて、中国の太平洋地域への援助に関する情報を報道。
  • レポートによれば、中国は米国とオーストラリアとの影響力競争の一環として、太平洋諸国への援助を削減しており、その影響がクック諸島やフィジーなどに及んでいる。
  • 中国の太平洋援助は2008年から増加していましたが、2016年にピークに達し、その後減少傾向にある。
  • 減少の主な要因は、太平洋諸国が中国への負債を抱え、中国資金への興味を失ったこととされている。
  • 中国は太平洋地域での援助を減らす一方、政治関係の強化やリスク管理を重視し、新型コロナ流行後の海外での大規模なインフラ整備や融資計画を減少させている。

独国債放送局ドイチェ・ヴェレの建物

2023年10月31日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレ(中国語版)は、オーストラリアのシンクタンク「Lowy Institute」のレポートに基づいて、中国が太平洋地域の影響力を競う米国とオーストラリアに対抗し、クック諸島やフィジーなどの太平洋諸国への援助を減少させていることを報じた。

中国の太平洋への援助は2008年から提供され、16年にピークに達したが、その後減少し、現在では地域全体の援助総額の9%に過ぎず、オーストラリアやアジア開発銀行に次ぐ第3位となっている。この減少の背後には、太平洋諸国が中国への負債を抱え、中国資金への関心を失ったことが影響しており、米国もこの問題を懸念している。

さらに、中国の海外援助の減少は太平洋地域に限らず、特に新型コロナ流行後には大規模なインフラ整備や融資計画が放棄されている。中国は「一帯一路」イニシアティブを推進したが、近年の太平洋への援助は大幅に減少しており、融資支出も減少している。

中国は「一帯一路の次の段階」でリスク管理を重視し、小規模なプロジェクトに焦点を当てているが、中国の太平洋地域への関与が減少するわけではなく、リスク回避と政治関係の強化を通じて援助方針を調整し、資本回収を高めている。

Record China

【私の論評】中国の太平洋への援助減少:米国との影響力競争の最新情報(゚д゚)!

まとめ

  • 中国の太平洋地域における経済援助は下降傾向にある。
  • これは、中国の経済成長の鈍化や米国との競争などの要因による。
  • 中国の太平洋地域における影響力は弱まっている。
  • 中国は、経済的支援を強化できない場合、軍事的なプレゼンスを強化する可能性がある。
  • 米国とその同盟国は、中国の軍事的拡張に対抗するために、南太平洋諸島国との防衛協力を強化している。


上の記事にでてくる、Lowy Instituteの正式名称は、Lowy Institute for International Policy(ローウィ国際政策研究所)であり、オーストラリアのシドニーに本部を置くシンクタンクです。1982年に創設され、オーストラリアの外交・安全保障政策、経済・貿易政策、アジア太平洋地域の政治・社会に関する研究・分析を行っています。

上の記事にでてくる、Lowy Instituteの記事は以下のものと考えられます。

2023 KEY FINDINGS REPORT

このレボートは、先月31日に発行された最新のものです。南太平洋の最新情報といえます。このレポートは、日本ではあまり注目されませんが、南太平洋が米中対峙の最前線になりつつある今日、この地域にもっとも近いオーストラリアのレポートはその価値は増しつつあるといえます。

このレポートについていくつか考察します。中国の援助が下降傾向にあることは、中国の経済成長の鈍化や米国との競争などの要因によるものでしょうが、中国の太平洋地域における影響力が弱まっていることを示すものでもあります。

これは、太平洋地域の各国にとって良いこといえるでしょう。中国の援助は、融資を中心に行われ、返済が困難な場合もあるため、各国の経済的負担になっていました。

さらに、これは米国やオーストラリアなどの援助国にとって良いことといえるでしょう。中国の援助競争に打ち勝つことで、各国は太平洋地域における影響力を維持・拡大することができます。

ただ、依然として、懸念は払拭できません。

このブログでは、中国強硬派ポティンジャー氏の見解を掲載したこともありますが、彼は、「中国経済の減速は、習近平がリスクに一層食指を伸ばすことを意味するかもしれない。未だ多くの点で優位なうちに地政学上の利益を固めておこうということだ」と語り、「中国は現在米国は弱いと見ており、その計算違いにより台湾に仕掛けることを防止する唯一の手は、力による抑止だ」としています。

ポティンジャー氏

普通の国だと、経済が低迷すれば、軍事行動を控えようとするのが普通ですが、中国はその限りではなく、むしろ経済の低迷を軍事行動で補う可能性もあるというのです。

南太平洋でも同様のことが考えれます。経済の減速により、経済的支援を強化することができないとなれば、この地域でも軍事的なプレゼンス(存在感)を強化しようとする可能性はあります。

中国は南太平洋諸島国に軍事訓練や武器の提供を拡大しており、軍事基地の建設も検討しているとの報道もあります。また、中国海軍は南太平洋地域での活動を活発化しており、2022年にはパプアニューギニアで中国海軍の練習艦「戚継光」(写真下)の寄港を実施しました。


中国が南太平洋地域で軍事的プレゼンスを強化することには、米国や日本、オーストラリアなどの周辺国にとって大きな脅威となります。これらの国々は、中国の軍事的拡張に対抗するために、南太平洋諸島国との防衛協力を強化する動きを強めています。

今後、中国が太平洋地域における影響力を維持するためにどのような戦略をとるのかによって、米国とその同盟国の戦略も変わるでしょう。


中国「一帯一路」の現状と今後 巨額な投融資の期待が縮小 債務返済で「あこぎな金融」の罠、世界の分断で見直しに拍車―【私の論評】一帯一路構想の失敗から学ぶべき教訓(゚д゚)!


中国が「対外関係法」を施行 米にらみ対抗姿勢を明記―【私の論評】中共が、何の制約も制限もなく、自由に外交問題に関与し、外国人を取り締まる体制を確立するその第一歩か(゚д゚)!

中国、地方政府の「隠れ債務」明らかにする全国調査開始-関係者―【私の論評】LGFV問題は、一筋縄ではいかない、中国こそ抜本的構造改革が必須(゚д゚)!

2023年11月1日水曜日

太陽光パネルはほとんどが中国製 製造時に大量CO2 有難がって使う愚かしさ 杉山大志―【私の論評】日本のメガソーラー計画に潜む環境へのリスク(゚д゚)!

再エネの闇

まとめ
  • メガソーラーの建設に伴い、土砂災害や景観の悪化などの問題が発生している。
  • 太陽光パネルの製造において、中国製のパネルはCO2排出が多く、石炭火力が主要な電力源であるため、環境への影響が懸念される
  • メガソーラーの建設には広大な土地が必要で、不安定な発電を行うため、原子力との比較に耐えない。
  • メガソーラーの建設によって森林が破壊され、CO2吸収の機能が損なわれている。
  • メガソーラーがCO2削減に寄与する一方で、製造過程や森林破壊によって発生するCO2を相殺するのに長い時間がかかるため、政府の発表が実際の状況を無視している。


 メガソーラーの建設が不適切であると、土砂災害や景観の悪化などが報じられている。また、太陽光パネルの製造過程において大量のCO2が発生することが指摘されている。特に、中国製の太陽光パネルは製造過程で多くのCO2を排出し、石炭火力が主力の電力源であることが問題視されている。

 さらに、メガソーラーの建設には広大な土地が必要であり、安定した発電ができないため、原子力との比較に耐えないと指摘されている。また、メガソーラーの建設によって森林が破壊され、CO2吸収の機能が失われると主張されている。

 メガソーラーの建設がCO2削減に寄与する一方で、製造過程や森林破壊によって発生するCO2を相殺するには長い年月が必要であると指摘し、政府の発表が実際の状況を無視している。中国が大量の石炭火力発電所を持ち、新たに建設計画もあることを挙げて、日本が中国製の太陽光パネルを使ってCO2削減を進めることは全く愚かしいことだ。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事を御覧ください。

【私の論評】日本のメガソーラー計画に潜む環境へのリスク(゚д゚)!

まとめ
  • 中国製太陽光パネルを使用したメガソーラー建設には、CO2削減に10年かかる。
  • パネル製造には中国の石炭火力発電とCO2排出、森林伐採が関連。
  • メンテナンスが不十分で太陽光パネルの効率低下が問題。
  • 太陽光パネルの廃棄にエネルギーが必要で、リサイクル率は高いがゼロエネルギー消費は難しい。
  • 実用的で自由市場ベースのエネルギーソリューションを支持し、原子力や化石燃料の使用を見直すべき。
要約には、含まれていませんが、上の記事の筆者は、元記事で、「CO2の削減によって、建設時に発生したCO2を相殺するのに何年かかるだろうか?」と問いかけ、

「筆者の計算では、中国から輸入したパネルで日本にメガソーラーを建てた場合、10年もかかる。パネル製造時に中国で発生するCO2が8年分、森林破壊による分が2年分ぐらいである。前提など詳しくは拙著『亡国のエコ』(ワニブックス)をご覧いただきたい」と答えています。


杉山大この計算の概要と根拠など以下に簡単に以下に記します。

志氏の計算の概要は、以下のとおりです。

  • メガソーラー発電所の建設には、中国製の太陽光パネルが使用される。
  • 太陽光パネルの製造には、大量の電気が必要であり、中国ではその電気の多くが石炭火力発電でまかなわれている。
  • メガソーラー発電所の建設には、森林が伐採される。
  • 森林は、1年間に1ヘクタールあたり約8.8トンのCO2を吸収する。
これらの根拠は、以下のとおりです。
  • 太陽光パネルの製造時に発生するCO2は、住宅用パネルで2190トン、メガソーラーで3070トンとされる。
  • 中国の石炭火力発電のCO2排出量は、1kWhあたり0.86kg-CO2とされる。
  • 森林のCO2吸収量は、1ヘクタールあたり8.8トンとされる。
したがって、中国製の太陽光パネルを使用したメガソーラー発電所を建設した場合、建設時に発生するCO2を相殺するのに、パネル製造時のCO2が8年分、森林破壊によるCO2が2年分、合計10年かかると計算されます。

この計算は、あくまでも概算ですが、この計算は、メガソーラー発電所の建設が、必ずしもCO2削減につながらない可能性を示唆するものであり、メガソーラー発電所の導入にあたっては、慎重な検討が必要であることを示しています。

ちなみに、太陽光パネルは、経年劣化によって発電効率が徐々に低下していきます。しかし、メンテナンスを適切に行うことで、発電効率の低下を遅らせることはできます。太陽光パネルの設置業者の中には、設置後のメンテナンスを十分に行っていない業者も存在します。このような問題もあります。

太陽光パネルの廃棄も問題

さらに、使えなくなった太陽光パネルは捨てるにもエネルギーを要します。バネルは、主にガラス、シリコン、アルミニウムなどの材料で作られています。これらの材料を回収するには、砕く、溶かすなどの工程が必要となります。これらの工程には、電気やガスなどのエネルギーが必要になります。

太陽光パネルの廃棄には、以下の2つの方法があります。
  • リサイクル
  • 埋め立て
リサイクルする場合は、ガラスやシリコンなどの材料を分別して回収し、再利用します。この方法では、材料の一部を再利用することができるため、エネルギー消費を抑えることができます。

太陽光パネルのリサイクルの体制は、日本では整ってきています。太陽光パネルのリサイクル率は、2022年時点で約90%とされています。これは、世界でもトップクラスのリサイクル率です。ただ、リサイクルすればエネルギーの消費は低減できるとはいってもゼロにすることはできません。

以上を考えると、やはり上の記事の「日本が中国製の太陽光パネルを使ってCO2削減を進めることは全く愚かしいことだ」という結論にならざるをえません。

実用的かつ自由市場に基づいたエネルギーソリューションが必要であり、空想的な解決策や環境問題に関するポーズは必要ないです。太陽光や風力発電だけでは十分ではなく、原子力や石油・ガスなどの化石燃料を優先すべきです。

特に、石炭発電でもCO2の発生をかなり抑えることができる等、環境技術に優れた日本は化石燃料を用いることを見直すべきです。



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2023年10月31日火曜日

経済減速の中国に日本と米国は何を言うべきか―【私の論評】習近平政権の展望:経済課題とリーダーシップの動向を対中強硬派マット・ポッティンジャーが語る(゚д゚)!

経済減速の中国に日本と米国は何を言うべきか


岡崎研究所


まとめ

  • 習近平は共産党大会を支配し、政治的ライバルを排除し、現在も党内での権力集中を進めている。
  • 中国経済の減速は、習近平が地政学的な利益を優先し、台湾問題を力で解決しようとする可能性を示唆している。
  • 米中関係は緊張しており、中国は米国を弱体化しているとみなしているが、台湾問題に対する強硬姿勢が悲惨な戦争を引き起こす可能性もある。
  • 現在は米中関係が緊張しており、中国は譲歩する必要があるとされている。
  • 中国は次期米国大統領選において、NATO、ウクライナ、台湾を支援する候補者が大統領になることを恐れている
マット・ボッティンジャー氏

 2023年10月9日、英フィナンシャル・タイムズ紙は、元国家安全保障担当次席補佐官(注:トランプ政権時)であるマット・ポッティンジャー氏とのインタビュー記事(「経済が弱くても習近平は大胆になり得る」 :China expert Matt Pottinger:‘Even with a weak economy, Xi is feeling emboldened’)を紹介した。


 記事では、習近平が共産党大会を支配し、ライバルを排除したことを背景に、現在も党内のリーダーシップを強化しようとしていると指摘されている。習近平政権では反腐敗キャンペーンが進行し、多くの党員が追放されていることが強調された。


 ポッティンジャー氏は、中国経済の減速が習近平をリスクを冒すように促す可能性があると指摘し、地政学的な利益を確立するために行動する可能性を示唆した。また、中国は現在の米国を弱体化していると考えており、台湾問題において力の行使が最善の抑止策であると述べた。


 また、将来の米中関係について、デリスキングではなく秩序だったデカップリングを目指していると述べ、トランプ政権下での対中政策とバイデン政権下での対中政策の違いについて議論した。


 最後に、中国共産党がトランプとバイデンのどちらを好むかについて、中国がトランプ第二期政権で最も恐れるのはNATO、ウクライナ、台湾を支援することであると指摘した。


 ポッティンジャー氏の発言は、習近平政権の特徴や中国の経済状況が政治的リスクにどのように影響するかについて示唆に富んでいる。ただし、中国が実際にどのような行動を取るかは予測が難しく、コミュニケーションと戦略が重要であると述べている。


 これは、元記事の要約です。詳細は、元記事をご覧になって下さい。


【私の論評】習近平政権の展望:経済課題とリーダーシップの動向を対中強硬派マット・ポッティンジャーが語る(゚д゚)!


まとめ

  • マット・ポッティンジャーは元米国国家安全保障副顧問で、中国の専門家であり、対中国強硬政策の主要提唱者として知られています。
  • ポッティンジャーは中国に対してタカ派的なスタンスを取り、貿易関税や台湾との緊密な関係を提唱しました。
  • 彼はトランプ政権時代に中国を米国の競争相手と見なし、「戦略的競争」政策の推進に貢献しました。
  • ポッティンジャーの見解では、中国は米国の開放性を利用しつつ、自国のシステムを制限しており、デカップリングが必要だと主張しています。
  • ポッティンジャーの見解は、今も米中関係に影響を与えており、中国の野心に対する警戒と抑止が重要であると主張している。

トランプ大統領とマット・ポッティンジャー氏(中央)

マット・ポッティンジャーはトランプ政権で活躍した元米国国家安全保障副顧問です。中国の専門家であり、対北京強硬政策を形成する第一人者とされています。ポッティンジャー氏についていくつか紹介します。


彼は ジャーナリストとしてのバックグラウンドを持ち、ロイターとウォール・ストリート・ジャーナルの中国駐在記者を長年務めました。この経験により、中国の政治と政策について貴重な見識を得ました。


彼は、中国に対してタカ派的なスタンスをとり、米国の利益に対する脅威が高まっていると見ていました。彼は中国に対抗するため、貿易関税、渡航禁止、台湾との緊密な関係といった政策を提唱しました。


彼はトランプ政権の国家安全保障戦略とインド太平洋戦略の形成に尽力し、中国を米国の力を弱めようとする競争相手と見なしました。中国との「戦略的競争」政策の推進に貢献しました。


また、中国語を流暢に話し、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで国際関係学の修士号を取得。彼の専門知識と経験は、政策立案に信頼性をもたらしました。政府を去ってからも、中国への厳しいアプローチを主張し続けています。彼は、米国の中国への「関与」は失敗し、中国は自国のシステムを制限しながら米国の開放性を利用しようとしていると考えています。競争条件を公平にするためには、デカップリングが必要なのだとしています。


ポッティンジャーは現在、フーバー研究所の特別客員研究員および民主主義防衛財団の上級研究員です。彼の見解は米中関係に関する議論に今も影響を与え続けています。


ドラゴンスレイヤー(対中国強硬派の意味) AI生成画像

 批評家たちは、ポッティンジャーは中国に対してタカ派的でイデオロギー的すぎると主張しています。彼の政策提言は、米中関係の緊張と不安定を煽る危険性があるとしています。しかし、支持者たちは、中国の野望を前にした彼の警告は先見の明があると見ています。


マット・ポッティンジャーは影響力のある対中国タカ派であり、トランプ政権時代に競争力のある政策アプローチを推進するのに貢献した専門家です。彼の見解は、米国が台頭する中国にどう対処すべきかという外交政策サークルや議論において、今もなお際立っています。


上の記事で示されているポッティンジャーによる分析も、洞察に満ちています。いくつかの重要なポイントが目立ちます。 


第一に習近平は権力を強化したが、依然としてライバルを排除し、支配力を強化しようとしているとしています。反腐敗キャンペーンは真の改革ではなく、政敵を対象としています。習近平の支配力は、彼を大胆にしていますが、同時に不安でもあります。


第二に、中国経済の減速は、習近平が国民の目をそらし、中国の強さを主張するために、より大きな地政学的リスクを取ることを促す可能性があると指摘しています。これは懸念すべきことであり、警戒が必要です。


第三に、 中国は現在、米国を弱いと見ており、台湾については武力が必要かもしれないと考えています。この攻撃性と米国の弱さの認識は危険をもたらします。米国は強さを示さなければならないです。


第四に、 米国は、単なる「リスク回避」ではなく、中国からの「秩序ある離脱」を追求すべきとしています。緊密な経済関係は中国に影響力を与えており、ある程度の切り離しは賢明です。


第五に、 中国は、NATO、ウクライナ、台湾を支持する第二次トランプ政権を恐れているとしています。このことは、中国がバイデン政権を好んでいることを示唆しています。しかし、どちらの政権も中国に立ち向かわなければならないです。


日米 AI生成画像

これに対し、日米は以下を行うべきです。


 第一に、 中国の経済と政治を注意深く監視すべきです。弱体化した中国は暴発する可能性があり、協調的な抑止力が必要となります。


第二に、 習近平政権の下でのさらなる権力強化を阻止すべきです。習近平の野心を牽制するため、民主改革と政治的野党を支援すべきです。


第三に、中国の侵略、特に台湾への侵略を抑止すべきです。武力の誇示と同盟関係の緊密化は、米国の弱さに対する中国の認識に対抗することができます。


第四に、主要技術やサプライチェーンにおける中国からの「秩序ある切り離し」を継続すべきです。これにより、中国が地政学的に利用できる経済的レバレッジを減らすのです。


第五に、トランプ政権とバイデン政権のいずれかが、NATO、ウクライナ、台湾を支持すべきです。中国とロシアに立ち向かうことは、誰が指導者であるかに関係なく国益にかなうものです。


第2次トランプ政権は中国に対してよりタカ派的になるかもしれないですが、政策はイデオロギー的な傾向ではなく、中国の行動によって導かれるべきです。日米は、民主主義的価値観を共有し、インド太平洋における戦略的利益に基づき、協力すべきです。


警戒と抑止が鍵です。減速する中国経済と習近平の野心には、地政学的リスクと修正主義を抑制するための断固とした協調的対応が必要です。特に今後数年間は緊密な協力が不可欠です。


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