http://journal.mycom.co.jp/articles/2010/03/30/mhlw/index.html
生産性を高めることが一番か?
この動きは、良い動きだと思います。帰宅時間の調査では日本のお父さんの約半数が21時以降の帰宅というデータもありました。特に、首都圏では、平均が23時という調査結果もありました。これは、首都圏のの23時以降の下り電車の混み具合を思い出しても、いかに日本のお父さんの帰宅時間が遅いのかがわかります。帰宅しても、夕飯が一緒に食べられないのはもちろん、子どもの寝顔しか見られないのが現状で、他の国と比較すると雲泥の差があります。
といいながら、実は、ホワイトカラーの生産性は、先進国中で最も低いといわれてもいます。
これには、以下のような要因があります。
1)給与水準が高い
2)残業が多い(=総労働時間が長い)
3)年功序列をとっているため生産性の伸びより賃金の伸びが上回る年齢層が存在する
4)中小企業のPC普及率が低い(現在だと、ITをうまく活用していない)
特に3)は米国と比べて顕著な違いが見られます。米国は30歳を過ぎると賃金の伸び率は逓減します(=ほとんど伸びなくなる)。この賃金カーブは労働者の生産性の伸び率とほぼ一致しています。つまり30歳を超えれば加齢による能力の上昇はほとんど期待できなくなるので、成果に応じて賃金を払うのが合理的である、ということです。
日本でも、少なくとも今後数十年にわたり労働人口が縮小してゆきますから、人手不足によって年功序列が崩れ労働市場の流動性が高くなれば、年齢ではなく能力に沿った賃金体系に換わり、労働生産性が上昇するでしょう。そうして、今回のような流動的な賃金制度になっていけば、ますます、生産性があがることでしょう。
過去の労働調査によれば、多くの人が実際に仕事をしている時間は実は、手待ち時間などがあったりして、就業時間の半分しかなかったりしています。無論、毎日がそうだというつもりありませんが・・・・。
あの、経営学のドラッカーもいっています。「多くの管理者は、いきなり計画に入り、失敗している。まずは、実際に自分の時間や、部下の時間が何に使われているかを知ってから計画に入るべきだ」。まさに、そうだと思います。人間、本来8時間目いっぱい働いたとしてたら,それ以上はできないくらい疲れるはずです。それなのに、遅くまで働いていいても、余裕たっぷりで、仕事が終わってから飲みに行けるなどなどということはないはずです。長時間働いたからといって、必ずしも成果に結びつくとは考えられません。
今の日本の就労、特に時間に関しては、どこかで大きく変革しないと駄目でしょう。本当に、成果をあげるためにはどうしてら良いのか真剣に考える時がきていると思います。SONYが非創造的企業になったのと同様に、現在は日本の国自体がひところと比べると創造性がなくなってきています。このような最中にあって、旧態依然として従来のままの延長線上でただ長時間労働するということになれば、ますます創造性が失われイノベーションの機会を失ってしまいます。それは、現在の政局見てもあきらかです。政治家にも、国民にも創造性が薄らいでいます。
その創造性のなさの原因には、時間の問題と、温故知新という精神の欠如があると思います。あのアインシュタインですら、自らの業績に関して、過去にあった99%に1%を付け加えたに過ぎないと語っています。そうして、アインシュタインはほとんど意識しなかったでしょうが、旧きもの、アインシュタインであれば、自らの民族の伝統です。アインシュタインは、後にアメリカに移住していますが、ドイツ生まれですが、民族的にはユダヤ人でした。当時のことを思えば、ドイツ人として育ったものの、ユダヤ人としてのアイデンティティーを強く意識しなければならなかったと思います。
そうです、新しいことを創造するためには、それなりの時間と、旧きを知らなければできないのです。特に現代日本では、創造性に割く時間と、旧き日本の伝統文化がないがしろにされています。これでは、創造性がはぐくまれることは難しいと思います。これから、日本でもっと創造性が育まれるようなインフラを整備していく必要があります。その観点から、今回の労基法の改正は注目すべきものと思います。
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