市川海老蔵 |
「以前から六本木の飲食店で泥酔し調子に乗ってる海老蔵を見かねたグループが“制裁”的に暴行を加えたようだ。六本木界隈では事件の目撃者が多数いたようだが、海老蔵が訪れた飲食店などには箝口令が敷かれている。海老蔵も悪いが、110番通報して事を荒立てた妻の小林麻央の対応も悪かった」(週刊誌記者)
海老蔵は30日から京都・南座で公演を行う予定だったが、「顔面を中心に大けがを負っていて舞台に立つことは絶望的。退院したらしばらく自主的に活動を休止するだろう」(同)というから、チケットの払い戻しなど周囲は甚大なる損害を受けそうだが、とばっちりを受ける芸能人もいるという。
「いくら国民的人気グループのメンバーとはいえ、あのネタは封印せざるを得ないだろう」(フジテレビ関係者)と言われているのはSMAPの香取慎吾。香取はフジ系「SMAP×SMAP」で海老蔵をマネた『市川カニ蔵』に扮し番組の名物キャラとなっていたのだが…。
「タイミング悪く、28日には香取がエンターテインメント集団『シルク・ドゥ・ソレイユ』の公演『クーザ』の特命大使に任命され、米・マイアミ公演初日に招待された模様を収録した番組『香取慎吾&市川カニ蔵 さすがっスね! in USA クーザの旅』が放送される予定。その番組はやるだろうが、以降はカニ蔵は封印となる」(同)
香取ほど大物ではないが、海老蔵のおかげで少しずつ仕事が増えてきたあの芸人にとっては死活問題に違いない。
「一時期は相方のレイザーラモンHGのブレークに便乗したものの仕事が減っていたRGだが、最近『市川AB蔵』のキャラを確立させた。大した似ていないが、雰囲気がなんとなく笑える。これから年末年始の番組などはそのキャラで勝負といったところだったが、しばらく封印しなければならなくなった」
歌舞伎界の大スター・海老蔵の事件の影響はある意味予想以上に大きかったようだ。
【私の論評】とうとう節度を守れない歌舞伎役者が出てくるようになったか?
上の記事をみていて、今や歌舞伎や、歌舞伎役者に関する歴史的背景もほとんど知らない、新ニッポン人がとうとう、歌舞伎役者の中にもでてきたのかと、あらためて感慨を深くしました。
本日は、少し歌舞伎の歴史なども掲載しながら、今の世の中の不可思議さ、おかしさを掲載して行きたいと思います。
歌舞伎の語源ともなった、「かぶく者」の意味は、まだ歌舞伎の様式がはっきり定まる前のこと、若い男のチンピラのような者が、女性の着物をかぶり、往来で女性や子供をからかったことが源だといわれています。ここから、「歌舞伎」という言葉が生まれています。こういう、チンピラのような人で、身分の低い人たちによって歌舞伎が上演されるようになったのです。歌舞伎の口上などは、もともと、身分の低いものが、一般の人たちの前で演技をするために行ったということのようです。
また、歌舞伎役者が舞台で「見え」を切ると、すかさず客席から「ナリタヤッ」とか「オトワヤッ」といった掛け声がかかります。もちろん、これはそこにいる役者の「屋号」なのですが、芸名だけなら江戸時代でも噺家などにもあります。じゃあなぜ歌舞伎役者は「屋号」なのか。これは江戸時代に身分制度に関係があるものなのです。
いくら歴史を知らない、今のニッポン人とはいっても、はやければ小学校ぐらいで江戸時代の身分制度を習ったことでしょう。江戸時代に身分制度といえば「士農工商」。さらに下にも階層があり、士農工商の良民と区別され、賤民と呼ばれていました。歌舞伎役者はもともと河原乞食と呼ばれる身分で、ある時、役者は果たして良民か賤民かということが問題になったのです。人気役者ともなると小大名顔負けの経済力。協議の結果、役者は良民であると判断されたのです。
喜んだ役者たちは、競って表通りに住みはじめました。江戸時代の法律では表通りは商家と決まっていましたので、団十郎、幸四郎、菊五郎といった連中は、お手のものの化粧屋を開いたのです。小間物屋、薬屋もいましたが、商いには屋号がつきもの。あっという間に歌舞伎役者の間で屋号で呼ぶことが流行ったのです。その時代の役者のステータスシンボル(地位の象徴)だったのです。
明治20年(1887)4月、麻布鳥居坂の井上馨邸で、本邦初となる天覧歌舞伎が執り行われました。この天覧歌舞伎の実現には、末松謙澄が中心となり、政財界の主要人物の参加のもと設立された「演劇改良会」の後押しや、演劇を上流社会の社交場や外交に貢献させようとした、明治政府の政策も大きく寄与しました。とはいえ、天覧歌舞伎と銘打って挙行することは出来ず、井上馨邸に移築された茶室・八窓庵の茶室開きの余興という名目のもと、執り行われました。
さらに戦後になって、歌舞伎の内容を理解するために基礎教養すらないニッポン人が増えるにつれて歌舞伎は高級感を増して行きます。
昭和28年(1953)11月には、現在の歌舞伎座に昭和天皇、香淳皇后が来臨され、昭和の天覧歌舞伎が実現しました。これは歌舞伎の興行を松竹が担うようになって初めての天覧歌舞伎であり、戦後の復興を印象付ける出来事でもありました。
また歌舞伎400年の年に当った平成15年(2003)5月には、天皇皇后両陛下を歌舞伎座にお迎えしての天覧歌舞伎が実現し、記念の年に相応しい慶事となりました。
そうして、歌舞伎はいわゆる、サブ・カルチャーであったものが、メインストリームのカルチャーであると勘違いする人も増えています。このあたりの区別もつかないニホン人が増えてきています。
私自身は、歌舞伎に関しては、日本の伝統文化であると思いますし、これからもこの伝統は絶やさないようにしていくべきだと思います。そうして、歌舞伎に関わる人々は伝統を守っていくべきものと思います。
今の時代、総理大臣のご子息が芸能人になったりする世の中ですから、日本では階層など完璧になくなったということであり、それは、それ自体悪いことではないと思います。だからこそ、重要な会議をすっぽかしてまで、海老蔵氏の結婚式に嬉々として出かける前川のような人間もでてきたというわけです。
しかしながら、歌舞伎の世界の方々は、少なくとも節度を守っていただきたいものと思います。あまり節度を守らないのであれば、贔屓筋の方々も、離反していくものと思われます。
市川海老蔵氏に関しては、歌舞伎役者となったからには、歌舞伎の過去から続く伝統を引き継ぐ存在となったということです。それが嫌であれば、歌舞伎の世界は捨てれば良かったのです。彼の酒乱の傾向は、おそらく、こうした歌舞伎の伝統と自らの社会的位置づけが理解できないためのものだと思います。
少し前までなら、歌舞伎役者は無論のこと、一般の人々でも、歌舞伎のこうした歴史的一面を知っていたと思います。だからこそ、さすがに、現在の芸能人が政治に口を出したり、オピニオンリーダーのような真似事をしているのに、歌舞伎役者の中にはそうした人はいなかったと思います。一定の節度を守ってきたと思います。
いずれにせよ、歌舞伎役者の中にも、節度をわきまえられない人が少しずつですが出てきたということです。そうして、それも致し方のないところもあると思います。なぜなら、今の政界をみてください。とても、総理大臣や政治の要職などもともとつとめられないような器の人物が、総理大臣や、幹部になっています。国民国家を解体することを目論むような連中が、国民国家の国政を司っています。
こうした今の世の中、完全に倒錯しているといっても、過言ではないと思います。今のニッポン人、社会の中には、いくら弱くなったといっても序列というものが厳然として存在していて、それを意識しない人、守れない人はその社会からはみ出るしかないということをわかっていないようです。しかも、はっきり意識していないので、はみ出たような、はみ出ていないような宙ぶらりんになっているのです。完全に意図して、意識してはみ出してしまえば、芸術家とか、何か新しいものを生み出すこともできますが、それもできないのです。
序列が崩壊すれば、社会がなりたたなくなることも、理解できなくなっているようです。しかしながら、企業など統治していくためには、序列は絶対に必要です。そうでなければ、利益を出して、次の世代に引き継ぐことなどできず、消滅してしまいます。今から30年ほど前に、「企業の寿命30年」などという書籍も出されましたが、あれは間違いです。本当は、「事業の寿命30年」というのが正しいです。
守るべきものは、守り、変えるべきものは、どんどん変えていってはじめて企業は継続できます。守るべきものの中には、無論序列もあります。序列を完全に欠いてしまえば、人間は、精神も病みます。最近の日本の自殺者の多さは、これに関係しているかもしれません。現在の倒錯した社会を是として、自らの器も考えず、高望みしていては、精神もおかしくなるのが当然です。現在、日本の中で、序列が守られている組織は、もはや、いわゆるまともな老舗企業しかないのかもしれません。日本には創業100年以上の企業が10万、200年以上の企業が3000以上あるとされています。この数は、おそらく世界一ではないかと思います。
私たち日本人は、もう一度、こうした守るべきもの、捨て去るべきものをしっかりと峻別して、再度序列のはっきりした社会秩序を自分たちの手に取りもどす必要があると思います。そうでなければ、いずれ、民主党が推進しなくても、日本国は解体すると思います。いずれにせよ、私は、ニッポン人ではなく、日本人であり企業人でもあるので、企業存続のため、日本の伝統文化に立脚しつつこうした秩序をうちたてていくつもりです。そうして、国が滅びても存続するような企業つくりたいです。そうして、私は、国という形としてはあるものの、もともとの日本人の精神を受け継ぐ日本は滅びかけていると思います。
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