2012年8月23日木曜日

新型天然ガス「シェールガス」開発にわく米、陰でうごめく中国―【私の論評】正しい判断をするため、今こそ正しい情報開示が必要か?

新型天然ガス「シェールガス」開発にわく米、陰でうごめく中国:

シェール・ガス掘削現場
 新型天然ガス「シェールガス」の開発ラッシュに、米国中がわき立っている。ペンシルベニア州のシェールガス産地を昨年取材した際、採掘会社に口説かれて所有地での採掘権をリース契約した地主の一人は「こんな大騒ぎは数十年も前の石炭ブーム以来だ」と興奮気味に話してくれた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

米側には、エネルギー安全保障における警戒感に加え、補助金や非関税障壁で自国企業を手厚く保護する中国の通商政策への不満も強い。太陽電池など米中が激しく競う産業分野で、官民挙げて中国企業の輸出を後押しする一方、国内の市場開放に消極的なためだ。

だが、成長に伴うエネルギー需要が急増する中国は石油の海外依存度が5割を超える。発展途上国で開発を拡大する一方で、政情が安定した欧米でも権益確保に熱心で、北米市場へ貪欲に食い込みをはかる。

LNG輸入をにらみ米国のエネルギー政策を注視する日本は、その陰でうごめく中国のしたたかな戦略にも目をこらしていく必要がある。(産経新聞ワシントン支局 柿内公輔)

この記事の詳細はこちらから!!

【私の論評】正しい判断をするため、今こそ正しい情報開示が必要か?

シェール・オイルに関しては、先日このブログにも掲載したばかりです。シェール・ガスも次世代エネルギーとしてかなり重要なので、本日は、上記の記事をとりあげました。

シエール・ガスのある地域を示す世界地図
世界の天然ガスの推定埋蔵量はあと60年とも65年ともいわれていましたが、シェールガスの登場によってその埋蔵量が数倍以上(さらに多いという説もある)にもなるといわれ、各国のエネルギー政策が大幅に変わってくる可能性が出てきています。

「シェールガス」は従来の天然ガスの発掘場所とは異なり深くて硬い岩盤にあります。採掘するのが難しくコストもかかり従来は採算性がなかったのですが、米国で採掘技術(水圧破砕)が確立され生産量が大幅に増加し、採算性があうようになりました。

このシェール・ガスに関して注視すべき点は以下の2点です。

①中東に依存していた石油エネルギーと異なり、「シェールガス」は北米、アルゼンチン、中国、オーストラリア、ヨーロッパ、南アフリカといった具合に広域に分散しており、従来のエネルギー海外依存度の高低が変わり、企業や各国の戦略が変わりつつある。これから、米国が中東の石油に興味を持たなくなる。これによって、アメリカの外交にどのような影響がでるのか、その方向性を見定めていく必要があります。

②環境にやさしい再生エネルギーへの期待や関心がなくなることです。太陽光・風力など、アメリカやドイツなどでは、大失敗をしており、今後自然再生エネルギーのさらなるコストダウンは見込めず、また、安定したエネルギー源としての地位を確立することは困難であるため、いずれ、姿を消すことになるでしょう。ただし、政府レベルでの実験施設などは残るとは思いますが、民間営利企業の興味や投資の対象となることはないでしょう。ただし、日本を含めた各国政府レベルでは、今後も代替エネルギーの研究・開発を進めていくべきです。

さて、シェール・ガスの日本国内での動きも掲載しておきます。



東京都の副知事である猪瀬直樹氏は、原発の代替エネルギーとして天然ガス発電に注目し、東京に自前の天然ガス発電所を設ける計画を推進しています。その計画でも、シェールガスが一役買いそうです。

猪瀬氏が天然ガス発電を選択した理由は以下の4つで、その中にシェールガスが含まれているからだ。

従来の火力発電にくらべて発電効率が1.5倍と性能がよい。

比較的小さな敷地で建設できるので、都市部でも天然ガス発電所の建設コストは2基で500億円(5年前の価格、現在はもう少し高い)と、原発よりもはるかに低価格です。

天然ガスはCO2(二酸化炭素)の排出が比較的少なく、硫黄酸化物などの排出も極めて少ないクリーンなエネルギーです。

既に天然ガス発電所の計画はスタートしており、東京都の「東京天然ガス発電所プロジェクトチーム」は昨年9月、100万キロワット級の天然ガス発電所を建設するための候補地(適地)を公表しました(「猪瀬直樹:東京天然ガス発電所の候補地5カ所を決定」)。

どの国にとっても、エネルギーは国の要です。日本の領海内にも、「シェールガス」ではない非在来型のガスである「メタン・ハイドレ-ト」の埋蔵量は、膨大だといわれています。アメリカでの「シェール・ガス・オイル」の採掘が、軌道にのったのですから、日本の技術を持ってすれば、採掘技術と環境技術の発展、そして商業化なども近いうちにできるはずです。

しかし、これらのエネルギー革命に関して、少し気になることがあります。石油・ガスの埋蔵量に関しても、何を信じたら良いのか、迷うところがあります。


皆さんは、ローマクラブ(Club of Rome)をご存知でしょうか?これは、スイスのヴィンタートゥールに本部を置く民間のシンクタンクです。

イタリア・オリベッティ社の会長であったアウレリオ・ペッチェイ(Aurelio Peccei)とイギリスの科学者で政策アドバイザーでもあったアレクサンダー・キングが、資源・人口・軍備拡張・経済・環境破壊などの全地球的な問題に対処するために設立したものです。

世界各国の科学者・経済人・教育者・各種分野の学識経験者など100人からなり、1968年4月に立ち上げのための会合をローマで開いたことからこの名称になりました。1970年3月に正式発足。1979年にFEMAを設立。FEMAはローマクラブが設立した機関。「環境保護主義者」を動かしているのはローマクラブの代表機関であるアスペン研究所であり、彼らがアトランティック・リッチフィールドやその他の大手石油会社から莫大な資金援助を受けています。

世界の知性を集結したローマ・クラブだったが・・・・
定期的に研究報告を出しており、デニス・メドウズらによる第一報告書『成長の限界』(1972年)では現在のままで人口増加や環境破壊が続けば、資源の枯渇(あと20年で石油が枯渇する)や環境の悪化によって100年以内に人類の成長は限界に達すると警鐘を鳴らしており、破局を回避するためには地球が無限であるということを前提とした従来の経済のあり方を見直し、世界的な均衡を目指す必要があると論じています。

こうした、世界有数のシンクタンクが、1972年にこのままでは、あと20年で石油が枯渇するとの見解を示したわけですが、結局その20年後の、1992年はどうであったかといえば、石油が枯渇するということもなく、さらに40年後の今日を迎えているわけです。この間、1970年代あたりでは、予見できなかった、莫大な石油の鉱床が発見され、実際に掘削されたり、まだ手付かずのものもでてきました。さらに、従来は採算性がないといわれていた、シェール・ガス・オイルの掘削技術が発達し、さらに、潜在埋蔵量はかなり増えたといことです。

以前は、眉唾とされたシェール・オイル掘削技術を示す図

この間に、様々な技術が発展したということで、ローマ・クラブの予測が外れたことはある面では仕方ないのかもしれません。しかし、世界中の多くの人に無用の不安感を与えたことは事実です。うがった見方をすれば、このシンクタンクが、大手石油会社から援助を受けていることから、石油の相場をあげるためにこのようなことをしたのではないか、そこまでいかなくとも、その方向性に圧力がかかったとの見方もできると思います。

有能であるはずの、ローマ・クラブですら、こういった過ちをおかすくらいですから、各国政府などが間違うのも無理はないものと思います。

しかしながら、少なくとも今後30年間、様々な技術の発達も見込んで、在来型非在来型の石油・ガス・原発その他のエネルギー総需給量など、明確にしておくのが、各国政府の重要な責任となることは間違いないと思います。

下の動画の2分あたりのところで、世界原油生産長期見通しというグラフがでてきます。



この見通しは、正しいものなのか、それとも、「ローマ・クラブ」の報告のようになる可能性もあるのか?

楽観的な、アメリカの見方では、数百年の埋蔵量があるとしていて、その見方の代表的なものが以下の動画です。



いずれにせよ、正しい情報を得て、正しい判断をしていくことが重要だと思います。各国の政府が発表する情報に関しては、必ず当該国の国家安全保障上の思惑が入ってると認識すべきです。しかし、いずれに転んだとしても、原発即全面停止などを主張することは、全く愚かしいことです。少なくとも、誤った情報に扇動されることなく、自分の頭で考えて情報を取捨選択していく必要があります。




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