2015年4月29日水曜日

AIIB:理事、本部に常駐せず 監督不十分の恐れ―【私の論評】中国がAIIBを主催するということは、借金に苦しむ人が金貸しをするようなものであり、これでは非常に不明朗(゚д゚)!


毎日新聞 2015年04月29日 07時00分



 中国が設立を主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)が、組織運営の監督にあたる理事を本部に常駐させない方向で検討していることが明らかになった。世界銀行やアジア開発銀行(ADB)は、参加各国から選出された理事が本部に常駐し業務を監督している。組織運営の効率化と駐在コストの削減が狙いとみられるが、常駐しないことで監督が不十分になる恐れもある。

 中国財政省は、AIIBの運営の透明性を確保するため、参加国から理事を選出して理事会を設置する方針を示している。だが、AIIB創設メンバー国の関係者によると、中国側は、本部が置かれる予定の北京に理事を常駐させない意向を創設メンバーに表明。AIIBの初代総裁は中国が送り込む見込みで、常駐理事がいない分、総裁の権限が強まるのは確実だ。ADBは、12人の理事がフィリピン・マニラの本部に、世銀は25人の理事がワシントンの本部に常駐している。

この記事の詳細は、こちらから(゚д゚)!

【私の論評】中国がAIIBを主催するということは、借金に苦しむ人が金貸しをするようなものであり、これでは非常に不明朗(゚д゚)!

理事を本部におかない国際金融機関とは、全く驚きです。当然理事長も常駐しないのでしょう。これは、会社なら社長のいない会社、銀行なら頭取のいない会社、学校なら校長のいない高等学校のようなものです。要するに、最終責任者のいない組織ということになります。

これは、船にたとえれば、船長がいない船と同じということになります。AIIBという船にのは船長はいないのです。

船長とはどのような役割をするのか、ドラッカー氏が以下の様なことを著書で述べていました。
船が沈没しかけている時に船長は会議を開かない。命令する。船を救うためには全員がその命令に従う。意見も参画も関係ない。危機にあっては階層と服従が命綱である。しかも、同じ組織がある時には議論を必要とし、ある時にはチームを必要とする。(ピーター・ドラッカー)
沈没した背セウォル号
 韓国のセウォル号の船長はご存知のように、我先に逃げてしまいましたが、本来船長とは責任重大であり、沈没火災などの危機にあたっては、乗組員も乗客も船長の命令に従わなければなりません。それは、航海法にも定められています。

そうでなければ、危機にあたって、船は混乱するばかりで、さらに被害を増大させることになります。

ところが、AIIBには、船でいえば、船長にあたる理事という最終責任者が存在しないのです。もし、AIIBが危機に陥った場合、一体誰が事態収拾の指揮をとり、最終手責任をとるのでしょうか。本来、権限と責任は対になっていなければなりません。しかし、AIIBには、権限はあっても最終責任者のいないおかしげな組織ということになります。

このブログでは、AIIBについては何度か批判してきしまた。その代表的なものの、URLを以下に掲載します。
AIIB 独首相が日本に参加呼びかけ―【私の論評】AIIB不参加バス乗り遅れ説を語り、TPP参加絶対反対を唱える輩は明らかに中国スパイ(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとしてこの記事に掲載したAIIBの問題点のみ、以下にコピペさせていただきます。
1.AIIBには、ガバナンスの点で大いに問題がある。たとえば、AIIBの融資について理事会の関与がほとんどない。中国トップがある国へのインフラ投資を政治判断したら、AIIBはプロジェクトの採算性などを度外視して融資する可能性がある 
2.AIIBは中国主導であり、中国がその後ろ盾になる。よって、その格付は中国と同等になる。中国の格付けは、トリプルAのアメリカ、ダブルAの日本より下のシングルAである。ということは、アメリカと日本が参加しない、AIIBの格付けは他の国際金融機関よりも低いということになる 
3.中国の金融システムは金利の自由化すら終了していない途上国並みの未熟なもので、国際金融業務のノウハウも乏しい
今回は、理事が常駐しないということで、上に上げた問題点のうち1.の融資について理事会の関与がほとんどないどころは、全くないということが明らかになったと思います。

それ以外にも、上記であげたように、格付けが低いため、調達コストも高くなり、融資時の金利を高めに設定せざるをえないし、国際金融の経験がない中国が頼みの綱としていたノウハウが豊富な日本は参加しないということで、これは出だしから波乱含みのスタートになります。

おそらく、半年、一年で有名無実になるのではないでしょうか。2013年末の中国鉱業聯合会報告書によると、中国が外国で行った鉱山投資の8割が失敗しました。

また最近までアフリカ各国で資源投資を行ってきましたが、全てが失敗に終わりました。中国の対アフリカ投資は『経済植民地政策』と呼ばれる独特のスタイルで、相手国からの反発も大きいものでした。資源価格が暴落したので中国は、投資した資金を回収できていません。

このように中国の海外投資は上手く行っていないのに、今度はAIIBでアジアインフラ投資のリーダーになるというのですから、今度はアジア投資失敗のツケを参加国になすり付けようという魂胆がはっきりと垣間見ることができます。

さらに、海外投資で最近中国を困らせている事がもう一つあり、肝心の外貨が減ってきているのです。中国への投資は近年激減していて、毎年2桁減少しています。

従来は、中国は何の努力もせずに外国からお金が湯水のように入って来たので、それを元手にドルを買って外貨を増やしていました。ところが、最近では金の成る木が枯れてしまい、外貨準備も減少しています。

それに、日本の外貨準備は正真正銘の資産ですが、中国の外貨準備は対外債務もあるので、現実には使えない、存在しないものです。それは以下のグラフをご覧いただければ、十分ご理解いただけるものと思います。



こんなことを考え合わせると、中国がAIIBを主催するということは、借金に苦しむ人が金貸しをするようなものであり、これでは非常に不明朗であり、こんなものに参加するほうがおかしいです。

AIIBに参加表明した国々もこのような背景に気が付き、実際にAIIBが活動する段になれば、離反する国々も多数でてくるのではないでしょうか。

あるいは、実質何も稼働しない、有名無実な存在になっているかもしれません。無論、日本は絶対に参加すべきではありません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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