2015年8月18日火曜日

専門家も驚いた台湾“厚遇”の背景 日米台による中国包囲網への布石か ―【私の論評】台湾を巡る世界の動きを察知できないマスコミや政治家どもは完璧に世界情勢から蚊帳の外(゚д゚)!


衆院第1議員会館で講演した台湾の李登輝元総統=7月22日

安倍晋三政権や周辺で、台湾への“厚遇”といえるエピソードが続いている。安倍首相が14日に発表した「戦後70年談話」では、「台湾」を「中国」より先に登場させたうえ、先月末には、李登輝元総統が初めて日本の国会内で講演したのだ。安倍首相と李氏が極秘会談に臨んだとの観測もある。こうした背景に、一体何があるのか。

「インドネシア、フィリピンはじめ東南アジアの国々、台湾、韓国、中国など、隣人であるアジアの人々が歩んできた苦難の歴史を胸に刻み…」

安倍首相の談話の中に登場したこのフレーズが、外交専門家らの注目を集めている。

国際政治学者の藤井厳喜氏は「談話で『台湾』と『中国』が並立していることに驚いた。安倍政権が(中国の一部ではない)台湾の政治的実態を認めたということだ。中国にとっては強烈な1発になったはずだ」と語る。

伏線はあった。李氏の来日は当初、今年秋ごろに予定されていた。ところが、日本側の「異例の厚遇」(藤井氏)で、先月末に前倒しになったとされる。

李氏は7月22日、衆院第1議員会館で行われた講演で、国会議員有志らを前に、安倍政権が整備を進める安全保障法制を「日本が主体的に安全保障に意識を持つことが、アジア全体の平和につながっていく」と高く評価し、日台の連携を印象づけた。講演に先立ち、安倍首相の側近である下村博文文科相が超党派議員の発起人代表としてあいさつした。

産経新聞の報道によると、李氏は7月23日に安倍首相と都内で会談し、対中関係などについて協議したともいう。

日台関係の進展を図る有識者の団体「日本李登輝友の会」の柚原正敬事務局長は「安倍政権に、中国への牽制という狙いがあるのは間違いない。安倍首相は、第2次政権発足以降、台湾を『同じ価値観を共有する国々』に含めた言及を増やしている。台湾と緊密に連携し、海洋進出を強める中国への包囲網を構築しようとしているのだろう」と分析する。

安倍政権のこうした方向性は、米国の姿勢とも連動しているようだ。

前出の藤井氏は「米国は最近、台湾への扱いを明らかに変えてきている」と指摘し、続ける。

「5月末から6月にかけて訪米した台湾・民主進歩党の総統選候補者、蔡英文主席は、閣僚級と会談するなどの厚遇を受けた。米国は、南シナ海問題などをめぐって緊張が高まる中国を牽制するため、『台湾カード』を切り始めている。安倍首相は、米国と平仄(ひょうそく)を合わせた動きをしている」

日米台の連携強化によって、中国は東アジアで孤立を深めることになるのか。

【私の論評】台湾を巡る世界の動きを察知できないマスコミや政治家どもは完璧に世界情勢から蚊帳の外(゚д゚)!

この安倍総理の動きは当然のことだと思います。安倍総理はもともと、アジアの安全保障のダイヤモンド構想を打ち出していました。

これにつしいては、このブログでも何度か掲載したことがあります。その代表的な記事のリンクを以下に掲載します。
安倍首相の「安保ダイヤモンド構想」、対中抑止へ完成間近-【私の論評】鳩山の構想は報道しても、安部総理の構想は一切報道しない日本のマスコミの存在意義を問う(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、日本ではなぜかメデイアが「アジアの民主主義セキュリティダイヤモンド」については、ほとんど報道しませんので、以下に安倍総理大臣が、2012年の暮れに外国のメデイアに寄稿した、その構想の内容そのものを以下に掲載します。

以下に日本分のものを全文掲載させていただきます。
アジアの民主主義セキュリティダイアモンド 
 2007年の夏、日本の首相としてインド国会のセントラルホールで演説した際、私は「二つの海の交わり」 ─1655年にムガル帝国の皇子ダーラー・シコーが著わした本の題名から引用したフレーズ─ について話し、居並ぶ議員の賛同と拍手喝采を得た。あれから5年を経て、私は自分の発言が正しかったことをますます強く確信するようになった。 
 太平洋における平和、安定、航海の自由は、インド洋における平和、安定、航海の自由と切り離すことは出来ない。発展の影響は両者をかつてなく結びつけた。アジアにおける最も古い海洋民主国家たる日本は、両地域の共通利益を維持する上でより大きな役割を果たすべきである。 
 にもかかわらず、ますます、南シナ海は「北京の湖」となっていくかのように見える。アナリストたちが、オホーツク海がソ連の内海となったと同じく南シナ海も中国の内海となるだろうと言うように。南シナ海は、核弾頭搭載ミサイルを発射可能な中国海軍の原潜が基地とするに十分な深さがあり、間もなく中国海軍の新型空母がよく見かけられるようになるだろう。中国の隣国を恐れさせるに十分である。 
 これこそ中国政府が東シナ海の尖閣諸島周辺で毎日繰り返す演習に、日本が屈してはならない理由である。軽武装の法執行艦ばかりか、中国海軍の艦艇も日本の領海および接続水域に進入してきた。だが、このような“穏やかな”接触に騙されるものはいない。これらの船のプレゼンスを日常的に示すことで、中国は尖閣周辺の海に対する領有権を既成事実化しようとしているのだ。 
 もし日本が屈すれば、南シナ海はさらに要塞化されるであろう。日本や韓国のような貿易国家にとって必要不可欠な航行の自由は深刻な妨害を受けるであろう。両シナ海は国際海域であるにもかかわらず日米両国の海軍力がこの地域に入ることは難しくなる。 
 このような事態が生じることを懸念し、太平洋とインド洋をまたぐ航行の自由の守護者として、日印両政府が共により大きな責任を負う必要を、私はインドで述べたのであった。私は中国の海軍力と領域拡大が2007年と同様のペースで進むであろうと予測したが、それは間違いであったことも告白しなければならない。 
 東シナ海および南シナ海で継続中の紛争は、国家の戦略的地平を拡大することを以て日本外交の戦略的優先課題としなければならないことを意味する。日本は成熟した海洋民主国家であり、その親密なパートナーもこの事実を反映すべきである。私が描く戦略は、オーストラリア、インド、日本、米国ハワイによって、インド洋地域から西太平洋に広がる海洋権益を保護するダイアモンドを形成することにある。 

 対抗勢力の民主党は、私が2007年に敷いた方針を継続した点で評価に値する。つまり、彼らはオーストラリアやインドとの絆を強化する種を蒔いたのであった。 
 (世界貿易量の40%が通過する)マラッカ海峡の西端にアンダマン・ニコバル諸島を擁し、東アジアでも多くの人口を抱えるインドはより重点を置くに値する。日本はインドとの定期的な二国間軍事対話に従事しており、アメリカを含めた公式な三者協議にも着手した。製造業に必要不可欠なレアアースの供給を中国が外交的な武器として使うことを選んで以後、インド政府は日本との間にレアアース供給の合意を結ぶ上で精通した手腕を示した。 
 私はアジアのセキュリティを強化するため、イギリスやフランスにもまた舞台にカムバックするよう招待したい。海洋民主国家たる日本の世界における役割は、英仏の新たなプレゼンスとともにあることが賢明である。英国は今でもマレーシア、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランドとの五カ国防衛取極めに価値を見いだしている。私は日本をこのグループに参加させ、毎年そのメンバーと会談し、小規模な軍事演習にも加わらせたい。タヒチのフランス太平洋海軍は極めて少ない予算で動いているが、いずれ重要性を大いに増してくるであろう。 
 とはいえ、日本にとって米国との同盟再構築以上に重要なことはない。米国のアジア太平洋地域における戦略的再編期にあっても、日本が米国を必要とするのと同じぐらいに、米国もまた日本を必要としているのである。2011年に発生した日本の地震、津波、原子力災害後、ただちに行なわれた米軍の類例を見ないほど巨大な平時の人道支援作戦は、60年かけて成長した日米同盟が本物であることの力強い証拠である 
 私は、個人的には、日本と最大の隣国たる中国の関係が多くの日本国民の幸福にとって必要不可欠だと認めている。しかし、日中関係を向上させるなら、日本はまず太平洋の反対側に停泊しなければならない。というのは、要するに、日本外交は民主主義、法の支配、人権尊重に根ざしていなければならないからである。これらの普遍的な価値は戦後の日本外交を導いてきた。2013年も、その後も、アジア太平洋地域における将来の繁栄もまた、それらの価値の上にあるべきだと私は確信している。
安倍総理は、このような構想を表明していて、これを具体化するために、総理に就任直後から、積極的に海外にでかけ、この構想に沿った形で、各国首脳に様々な働きかけを行い、かなりの成果を収めています。

この構想は文字通り、中国の脅威に対して対抗していこうとするものです。安倍総理が着々と中国への対抗措置を推進してきた間、米国は及び腰のオバマ大統領が煮え切らない態度を取り続けていたため、中国に対して断固とした措置をとることができませんでした。

そのせいもあって、日本の尖閣は、中国の公船が領海を侵犯し、中国の航空機が、領空を侵犯するようになり、それが日常になってしまいました。南シナ海では、中国は環礁を埋め立て、飛行場を設営するなどの暴挙を行い、東シナ海の日中中間線の自国側海域で、海洋プラットホームを急速に増設し、軍事転用が懸念されています。

このような中国の暴挙は、及び腰オバマが自ら招いたようなものです。しかし、安倍総理は就任以来継続して、中国包囲網の構築に努力してきました。その成果は、着実に実りつつあります。確かに、尖閣問題は解決はしていませんが、それでも着実ににアジアの中国を取り囲む国々と折衝し、橋頭堡を築いています。

こうした、安倍総理が台湾を厚遇するのは、当たり前のことです。

1972年2月21日に当時のアメリカ合衆国大統領リチャード・ニクソンが世界中が注目する中で中華人民共和国を初めて訪問し、毛沢東主席や周恩来総理と会談して、米中関係をそれまでの対立から和解へと劇的に展開して第二次世界大戦後の冷戦時代の転機ともなりました。

これより前に、前年7月15日に、それまで極秘ですすめてきた米中交渉を明らかにして、自身が中華人民共和国を訪問することを突然発表して世界を驚かせたことでニクソンショックと呼ばれています。これ以降アメリカは中国と国交を結んだわけです。

しかし、米国は台湾と国交を断絶することなく、二つの中国を認めることになりました。しかし、その後年数を経るにつれて、中国が台頭し、大陸中国は台湾を自らの版図に組み入れようとの画策をしていました。

そうして、世界もそのように傾き、中国は一つであるべきという雰囲気が形成されていきました。

しかし、台湾はそのような風潮にも負けず、今でも独立国としての気概を崩していません。今の台湾の総統馬英九は大陸中国寄りですが、台湾の多くの人々がそれに反対しています。

李登輝元総統は、大陸中国には見向きもせず、台湾が中国の領土になることに公然と反対していますし、親日派でもあります。それに、まだまだ台湾国内でも多大な影響力があります。

このような李登輝元総統を安倍総理が厚遇するのは当然といえば、当然です。

及び腰オバマのせいで、アジアでは中国の台頭を許してしまったところがありますが、現在オバマはすでに死に体です。次の大統領は誰がなったとしても、少なくともオバマよりは中国に対して、厳しい措置をとると思います。

オバマ大統領

それに、アメリカの国会議員のなかには中国は軍事・経済などで将来アメリカの覇権を脅かす存在として認識している封じ込め派と、中国の輸出攻勢によって被害を受けている中小企業などの支持を受けた議員(中国の人権問題を重視する人権派も含まれる)が中心となった圧力派が存在します。またアメリカ議会のなかには一定の親台湾派が存在しており、中華民国総統のアメリカ訪問を実現しようとする動きもあります。

さすがに、アメリカも中国に対しては、警戒を強めているでしょうし、今や誰がみても、中国はとんでもない状態にあるのは確かで、今の中国の体制がいつまでも続くと考えるのは間違いです。

上の記事では、「5月末から6月にかけて訪米した台湾・民主進歩党の総統選候補者、蔡英文主席は、閣僚級と会談するなどの厚遇を受けた。米国は、南シナ海問題などをめぐって緊張が高まる中国を牽制するため、『台湾カード』を切り始めている。安倍首相は、米国と平仄(ひょうそく)を合わせた動きをしている」などとしていますが、私はそうではないと思います。

平仄を合わせているのは、こと中国対策に関しては、米国のほうです。オバマが中国に対して、及び腰で煮え切らない態度をとっているときに、安倍総理は安全保障のダイヤモンドの構想にそって、中国への対抗策を他国と練ってきました。それに追随しているというのが、今のアメリカです。日本の安倍総理がいなかったら、とんでもないことになっていたかもしれません。

そうして、中国対抗策の一つの大きな節目が、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使も含む、安保法案の成立です。

この成立には、各国が大賛成しています。

まずは、米政府は、安全保障関連法案の成立に強く期待しています。オバマ政権は、戦略の重要な柱のひとつに日本を据えています。だからこそ、安保法案の成立には賛成しています。さらに、ローズ米国務次官補は15日、「日本を強く支援したい」と述べています。

米国の反応も含めて、特に太平洋に接する国々の反応はどんなものだったのか、以下にわかりやすい図を掲載させていただきます。


このように、太平洋に接する国で、日本の集団的自衛権の行使容認に対して、ほとんどの国が賛成です。反対するのは、中国と韓国くらいなものです。ロシアは意見を表明していましせん。

もし、集団的自衛権を含む安保法案が、本当に「戦争法案」というのなら、これだけの国々が賛成するわけもありません。これは、安倍総理が安全保障のダイヤモンド構想実現のため、各国を周り、その意義の説明と、各国の理解を得たからに他なりません。

結局のところ、外国がこれだけ、賛成しているのに、日本国内で「戦争法案」などして、反対するのは、結果として、中国を支援しているようなものです。

日本のマスコミは、安全保障のダイヤモンドについてほとんど報道しませんし、今日に至るまで、安倍総理がこの構想に沿って様々な努力を重ねてきたことについても、ほとんど報道しません。李登輝元総統の来日と、国会での演説もほとんど報道しませんでした。

挙句の果てに、「違憲」「戦争法案」などという報道を垂れ流すという有様です。野党も野党です。中国をめぐってこれだけ、世界が変わっているにもかかわらず、60年安保、70年安保、PKO法案のときとかわらず、ただただ反対するだけで、中国の差し迫った脅威に対する、対抗策を代案としてあげようともしません。

本当に愚かです。こういう馬鹿者どもは、結局のところ中国スパイそのものか、同列であり、いずれ国民からの信頼を本格的に失ってしまうことになります。

台湾を巡る世界の動きを察知できず、ひたすら中国に媚びるような報道を続けるマスコミ、中国を支援する行動を取り続ける政治家どもも、完璧に世界情勢からは、蚊帳の外です。

私は、そう思います。皆さんはどう思われますか?

【付記】8月25日

ジャーナリストの西村幸祐氏に、この記事を以下のようにリツイートしていただきました。


なお、このTweetにある西村氏の『 21世紀の脱亜論』の説明を以下に掲載させていただきます。

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福澤諭吉が「脱亜論」を書いた当時、まさに日本は時代の分水嶺で、もがき苦しんでいた。その「脱亜論」の一三〇年後の意味はどこにあるのか。

実は、福澤の「脱亜論」はアジア蔑視ではなく、特別な東アジアとは別の道を歩もうという「別亜論」に過ぎなかった。つまり、現在ではますますその意味が重要になっていることを、本書は詳(つまび)らかにするであろう。

閉じた特別なアジアから、開けた普通のアジアと連携し、世界と繋がることが「21世紀の脱亜論」なのである。  

日本は特定アジアと文明圏が異なっていること。日本人は特定アジアの人々と人種的にも異なっていること。そして、日本は古代から特定アジアから離れていた時代に、平和で安定した時代を築いていた事実。そんな事実を解き明かすことが、日本の今後の進路の取り方にヒントを与える第一歩になるのである。

まさに、本書はそのヒントを満載しています。そうして、これを読んでいただければ、西村氏が指摘したように、安倍総理の素晴らしい外交のやり方を理解することができます。


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