2015年8月26日水曜日

【日本の解き方】「通貨安戦争」報道に要注意 深刻なマスコミや学者の無知 ―【私の論評】小学生がわかる理屈を理解できない政治屋、学者屋、マスコミ屋どもは、経済を語るな(゚д゚)!

【日本の解き方】「通貨安戦争」報道に要注意 深刻なマスコミや学者の無知 

2015.08.26
通貨戦争なる考えは、マクロ経済を知らない人のフィクションに過ぎない

中国の人民元切り下げを受けて、ベトナムも通貨を切り下げた。欧米の一部のマスコミでは「通貨戦争(currency war)」という言葉さえ出始めている。日本のマスコミも安易に「通貨安戦争」を使っているが、こうした報道をうのみにしてはいけない。

マスコミが好む「通貨安戦争」という言葉はミスリーディングだ。この言葉を使う人の多くは、1930年代の大恐慌は各国の通貨切り下げ競争で激化したという「神話」を信じているのだろう。

この考え方は経済理論的には間違っていたことが、最近の国際経済学研究で明らかになっている。たとえば、カリフォルニア大学のバリー・アイケングリーン教授とコロンビア大学のジェフリー・サックス教授は、戦間期の為替切り下げ競争が壊滅的な結果をもたらしたのではなく、各国にとって好ましい結果になったことを示している。

その理由は以下の通りだ。どこかの国が通貨引き下げをすると、短期的に外国はマイナスの影響を受けるが、その国も金融緩和をすると、両国ともにインフレ率が高くなる。両国とも許容できるインフレ率に限界があるので、際限のないインフレにはならないように、金融緩和競争はいつまでも続かない。

要するに、各国が自国経済を一定のインフレ率と失業率に抑えようと経済運営すれば、おのずと為替切り下げ競争は続かないのだ。その結果、一時的な通貨切り下げによる「近隣窮乏化」は、実は各国経済が良くなる「近隣富裕化」で、世界経済全体のためにもなる。

特に、世界の先進国は2%程度のインフレ目標を設定しているので、4~5%のインフレにはならない。中国やベトナムは、中央銀行の独立性がないので、厳密な意味でのインフレ目標とは言いがたいが、それでも国家目標として、中国は3%程度、ベトナムは7%以下としている。実際のインフレ率はこれらの目標には達しておらず、その意味で、中国やベトナムの通貨切り下げは、正当化される。

マスコミが「通貨安戦争」と報道するのは、通貨の価値とインフレ率との間に、一定の関係があることを理解できずに、際限のない通貨切り下げになると思い込むからだ。通貨切り下げは、固定相場にしても変動相場にしても、一定の通貨量の拡大があり、それはインフレ率を引き上げる。マスコミが、こうしたマクロ経済の関係を理解できないのは問題だ。

マクロ経済の無知は学者にもある。4~6月期国内総生産(GDP)のマイナス成長で「アベノミクス失敗」と喜んでいる人がいる。そういう人は、金融緩和をして1ドル120円になったら日本が破綻するとも言っていた。実際にはアベノミクスの円安で日本破綻どころか、外国為替資金特別会計で20兆円も含み益ができたので、マイナス成長に対応した景気対策の財源もできている。

いずれにせよ通貨に関する話はウソが多いので注意しよう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】小学生がわかる理屈を理解できない政治屋、学者屋、マスコミ屋どもは、経済を語るな(゚д゚)!

上の記事で、高橋洋一氏は、「通貨の価値とインフレ率との間に、一定の関係があることを理解できずに、際限のない通貨切り下げになると思い込むからだ。通貨切り下げは、固定相場にしても変動相場にしても、一定の通貨量の拡大があり、それはインフレ率を引き上げる。マスコミが、こうしたマクロ経済の関係を理解できないのは問題だ」としています。

確かに問題です。この程度のことが理解できなければ、話にも何にもなりませんが、このくらいの話定量的にまで理解しようとしたら、難しいところもありますが、原理的なことは、決して難しくありません。全くの常識の範囲です。難しい数学や、他の学問の背景がなくても小学生にも理解できます。

特定の国が、金融緩和策(様々な方策で、市場により多くのお金を供給すること)を行えば、世間に出回るお金は金融緩和策を行う前よりは増えます。それは、国内だけではなく、国外でも同じことです。相対的に特定の国のお金が金融緩和前よりも、お金が増えるわけです。

そうなるとどうなるか、当然のことながら、その特定の国のお金の価値は下がります。そうなると、その国の通貨は安くなります。逆に金融引き締め(様々な方法で、市場に流通するお金を少なくすること)をすれば、通貨高になります。これって、小学生にも理解できる簡単な理屈ですよね。お金も、モノも同じことです。世の中にすこししか、モノがないとそのモノは高くなります。逆に多数になれば、モノは安くなります。

通貨の変動の原因は小学生にも理解できる

通貨も同じことです。世界の中で、特定の国の通貨が増えれば通貨安になります。通貨が減れば、通貨高になります。単純化すれば、こういう話になります。これは、小学生にだって理解できる単純な理屈です。しかし、こう考えると、通貨安、通貨高など、常識の範囲で動いているということが良く理解できると思います。

無論、これだけで、その時々の通貨高、通貨安を正確に予測することなどできませんが、それにしても、根底にこうした考えがなければ、他の要因も加わり、全く予測も何もできないということになります。

ここで、架空の話をしていても、現実世界のことに当てはめることができなければ、意味がありません。以上のことを知った上で、東日本大震災のときに、なぜ空前の円高になったのか、簡単に説明してみましょう。

東日本大震災 巨大津波

東日本震災が起こった直後から、被災された人を救助したり、行方不明の人を探したり、非難している人たちに対して、水・食料を供給しなければなりません。最初は、水・食料の供給ですんでいても、いずれ衣服が必要になります。そうして、供給が止まった、電気・水道・ガスなどを復活させなければならなくなります。

さらに、物資を運ぶために、震災で破壊された、道路・港・空港などを修復しなければならなくります。

さらに、少したてば、避難した人々を避難所から普通の住宅に避難した人々を住まわせなければなりません。

これに必要なものは何でしょうか、そうです。先立つものは、銭です。銭がなければ、政府や自治体なども、食料も水も、建築資材も、建築資材を使って工事をする人たちの賃金をまかなうことはできません。だから、震災のない時と比較すれば、随分とお金がかかることになります。

そうなると、どうなるでしょう。日本国のお金である円が普段よりも使われることになります。これを経済用語でいえば、円の需要が高まるわけです。

円が普段よりも使われて、円の需要が高まれば、どうなるでしょうか。そうです。他の国々の通貨は、震災などに見舞われていないので、需要は高まっていないのに、円の需要だけがかなり高まればどうなるでしょう。

無論円高です。日本以外の国でも、自然災害などが発生すると、これと同じような経緯で、当該国の通貨が割高になることは良くあることです。実際、2011年1月、日本の東日本大震災直前にオーストラリアで、大規模な水害が発生したときに、オーストラリア・ドルが値上がりしていました。

オーストラリア大水害で取り残されたカンガルー
しかし、それも少しの間で、オーストラリア・ドルはすぐに元の水準に戻りました。なぜ、元に戻ったかといえば、上記の小学生にでもわかる理屈を知っていれば、すぐに理解できます。

オーストラリアでも、大きな災害がおこると、日本の東日本震災と同じような理由で、オーストラリア・ドルの需要が高まります。これをそのまま放置しておけば、オーストラリア・ドルが市場全体で少なくなり、オーストラリア・ドル高になります、自然災害からの復興もスムーズにいかず支障をきたしかねなくなります。

そこで、オーストラリアの中央銀行、日本でいえば、日本銀行にあたる、オーストラリア準備銀行は、金融緩和に踏み切りました。こうすれば、普段よりオーストラリア・ドルの需要が高まり、オーストラリア・ドル高になったのですが、通貨高はおさまり元の水準に戻り、復興に支障をきたすこともなくりました。

そうして、大きな災害時は、中央銀行がこのような施策を実行するのが当たり前のことです。

しかし、日本の東日本震災のとき、日銀は何をしたかといえば、オーストラリア準備銀行のように金融緩和をするどころか、震災以前も金融引き締めぎみだったのに、緩和をすることもなく、そのまま放置したため、日本は震災直後から空前の円高になりました。

この期間は、日本では野田政権のときにあたり、当時の為替れー土は70円台であったことを思い起こして下さい。この状況を招いたのは、当時震災の復興を増税で賄おうとして、時限的に、復興税制を課したという他の事情などもありますが、最大の要因は、日銀が金融緩和をしなかったためです。

野田政権のときの為替レートと株価 通貨安戦争などの妄想を
抱く輩の言うとおりにすれば、またこの時代にもどってしまう!
以上のようなことを良く理解して、本当に先の理屈を理解していれば、通貨安戦争などという妄想にふけることはないはずです。

ところが、そのような人が、マスコミや学者の中にも多いことを高橋洋一氏は指摘しています。

ある国が通貨安になる原因は、主に当外国の中央銀行が、上記のように、何らかの必要性があって、金融緩和政策をする場合がほとんどです。しかし、いつまでも金融緩和政策を続ければ、とんでもないインフレになります。それでも、金融緩和を続けていれば、ハイパーインフレにもなりかねません。

だから、いずれの国でも、中央銀行がいっとき金融緩和をして、その結果として通貨安になったとしても、金融緩和をどこまでもつづけていれば、インフレになるため、その政策をいつまでも継続するということはあり得ないのです。そもそも、通貨戦争をするために金融緩和をするのではなく、様々な要因によつて、金融緩和策を実行すると通貨安傾向になるということです。

このことを高橋洋一氏は、指摘しているのです。実際そうです。確かに、金融緩和をすれば、いっとき通貨安にはなりますが、だからといって、金融緩和を通貨安のためだけに、継続したとしても、いずれインフレに見舞われ、そのインフレが通貨安を帳消しにして、実体経済に害悪をもたらします。

こうなれば、元も子もなくなるわけで、実体経済を悪化させてまで通貨安にする国などは、あり得ないわけです。

それにしても、こうした小学生にでも理解できる、理屈も理解せず結果として、マクロ経済が理解できない、政治屋、学者屋、マスコミ屋どもは、経済を語るなと言いたいです。そんなことをしても、彼らは害悪を撒き散らすだけです。

このような輩どもの発言に惑わされないためには、私が上記で示したように、特に難しい勉強をしなくても、常識を働かせれば十分対抗できます。この常識に反するような言動を見つけたら、私はこのブログで徹底的叩いていきます。私達は、普段から常識を働かせて、嘘を吐き散らす、学者やマスコミどもの言動に惑わされるべきではありません。

私は、そう思います。皆さんはどう思われますか?

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