2015年8月30日日曜日

【倉山満の砦】次世代の党の経済政策を紹介―【私の論評】次世代の党はすべてのマクロ政策が個々の企業の業績や、個々人の生活にどうかかわるのかを明確に訴えよ(゚д゚)!




かなり画期的なので、紹介する。

中山恭子次期次世代の党党首 写真はブログ管理人挿入

 中山恭子次期党首(正式には10月1日)の政策が発表。

次世代の党公式FBより

 その中で、喫緊の経済政策について。

・デフレ脱却まで徹底した金融緩和・消費増税10%の延期外為特会の含み益20兆円を活用した補正予算を組み景気対策

 さらに、新たに就任した和田幹事長が名目経済成長率5%のインタゲを明言。
次世代の党新幹事長の和田政宗さんが「金融緩和で名目成長率5%をめざす」と街頭で演説。他党ではあるがぜひ頑張ってほしい。 #だれが言っても正しいものは正しい

 なぜか民主党の金子洋一さんのツイッターより。ここで、名古屋での立会演説会の様子を詳細してくれている。

 今まではアベノミクスに関して、反対派は「さっさと金融緩和やめろ、増税しろ」しか言ってなくて、

その屁理屈として、「実質賃金がぁ」とか「ハイパーインフレがぁ」とか、意味不明な反対論しかなかった。

 これからは、

「安倍さん、黒田さん、生ぬるい!」という視点での議論ができるようになる。

 安保法制にしても、野党が愚論しか言っていないので、
与党が主張する線が生ぬるくても、それ以上は言えなかった。

公明党と妥協できる案を出している時点で、生ぬるいのに。
(その時点で、攻勢限界点が設定されていた)

 これからは、「与党は生ぬるい!」と正論を言う野党が出てくることで、国会での議論、ひいては国政が健全化に向かうと思う。

 明日です。こちらもよろしく。

【ニコ生(2015/08/30 16:00開始)】【次世代の党党首選2015】次期党首・中山恭子決意表明~今がそのとき~
#次世代の党首選 http://nico.ms/lv232740219
※募集内容 中山恭子 次世代の党次期党首へのご意見・ご質問をお待ちしております。

【出演者】
中山恭子 次期党首和田政宗 幹事長浜田和幸 議員平沼赳夫 党首(VTR出演)倉山満(憲政史研究者/ゲスト)次世代の党事務局/司会(おもしろすぎる政党職員)
倉山満


【私の論評】次世代の党はすべてのマクロ政策が個々の企業の業績や、個々人の生活にどうかかわるのかを明確に訴えよ(゚д゚)!

本日は、維新がらみのことも掲載しようとも思いましたが、橋本氏の場合はあまり画期的な政策もなく、結局大阪にこだわり、緊縮的な政策にはあまり期待できないように思われたのでやめました。

結局確かに大阪を良くすることは、良いことではあるとは思いますが、まずは国政がしっかりしてないと、大阪も良くはなり得るはずもなく、その中で経済はどうしても避けて通ることのできない問題です。しかし、橋本氏からは、まともな経済に関する主張はありません。

そんなところに、中山恭子氏が、次世代の党次期党首に決まったという報道が入ってきたし、政策が画期的なので、本日は上の倉山満氏の記事を掲載することにました。

まずは、次世代の党の昨年の選挙での大敗北について思い出しておくべきと思います。それについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。この記事は、今年1月4日のものです。
山本太郎「僕が総理大臣になったら」―【私の論評】マクロ的政策・天下国家論が欠如している山本氏。しかし、多くの政治家が、左右上下の立ち位置の違いこそあれ、山本氏と変わらず、ミクロ的な見方しかできない(゚д゚)!
山本太郎氏 
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では山本太郎氏の「僕が総理大臣になったら」という新春の言葉について、ほとんどすべてがミクロ的な見方しかしていないことを批判しました。氏の中で唯一マクロ的なのは、消費税をなくすという提言ですが、それにしても、金融緩和について全く触れずで、全く頓珍漢ですし、そもそも消費税撤廃のための財源などのことはには一つも触れていません。これでは、あまりにも無責任です。

しかしながら、山本氏のようにミクロ的な見方しかできない、政治家も多く存在することも現実です。そのことについても、この記事で以下のように批判しました。

しかし、ここで考えてみると、山本氏に限らず、日本のほとんどの政治家が、ミクロ的なことばかり語っています。山本氏と立ち位置が異なっていても、発言内容が一見まともに見えたにしても、ほんどがミクロ的なことばかりです。本当は、こんなことで良いはずはありません。

無論ミクロ的な見方も重要なこともありますが、国政レベルになれば、本来はマクロ的な見方、マクロ的な政策が重要なはずです。

しかし、そうは言っても、「マクロ的」な見方というと、平たくいえば、「天下・国家」を論じるということですから、多くの人にとっては興味の対象外です。

年末の選挙で勝利をおさめた安倍総理
だから、今回の選挙でも、安倍総理は「天下・国家論」よりも、よりミクロ的な側面も大きい「経済」に争点として、勝ち抜きました。これと対照的だったのは、次世代の党です。彼らは、文字通り「天下・国家論」を争点として、「マクロ的」な事柄を争点として、結果として惨敗してしまいました。私は、このことが、彼らが敗北したことの大きな原因の一つだと思います。 
しかし、先ほども掲載したように、本来であれば、国政レベルでは、経済であれば、国の金融政策をどうするか、財政政策をどうするのかその大きな方向性が重要なはずです。
次世代の党は、選挙で大敗したが・・・
それに、国政であれば、経済だけではなく、安全保障をどうするのかという問題もあります。さらに、日本国自体の統治「ガバナンス)をどうするのか、もっと根本的ことをいえば、私達の国の「国柄」がどういものであり、これからはどうしていくかという大きな問題もあります。

本来は、これが国政レベルの話です。それ以外は、もっと小さなレベル、都道府県、市町村、コミュニティーの問題です。しかし、この国政レベルの「マクロ的」なことがしっかりしていなければ、「ミクロ的」な考えや、対策でいくら頑張ってみても何も変えることはできません。

だから、「マクロ的」なことはおざなりにはできないのです。しかし現在においては、多くの政治家がこれをおざなりにしてきました。だからこそ、経済も、まともな金融・財政政策ができず、とんでもない長期にわたるデフレを放置することになってしまいました。

経済が、デフレスパイラルの底に沈んでいるとき、いくら国民生活を良くするとか、雇用を改善すると叫んでみて、実際に雇用のミスマッチなどの改善などの、ミクロ政策を熱心に実施してみても、デフレを放置しておいては、何の解決にもなりません。

デフレでも頑張っていますなどと、虚勢をはってみても、何かミクロ的な手を打ってみても根本は解決しません。水道管が破裂したときに、水を必至で汲み出しているようなものです。水道管の破裂を修理しなければ、これは解決しません。デフレも同じことで、まずは金融緩和政策、積極財政で、デフレを脱却しなければ、様々な問題に個別で対応しても、全く解決できません。

しかし、ながら多くの政治家がマクロ的なことは何もせず、個別のミクロ的なことばかりに注力して、結果として、古今東西に例を見ない、長期間のデフレを放置してきました。

しかも、昨年は8%増税などという馬鹿げたことをしてしまい、せっかくアベノミクスの効果が、目に見えて顕著になってきたにもかかわらず、最近では、その効果は帳消しになり、元の状態に近くなってしまいました。
この記事では、次世代の党についても批判しましたが、その内容としては、次世代の党は、マクロ的なことである天下・国家論を全面に強く打ち出しましたが、残念ながら経済対策については強くは打ち出していないかったことが敗因であるとしました。

無論、次世代の党は結党してから、最初の選挙までにあまりにも時間がなかったことから、準備不足という点は否めないです。この点は、割り引いて評価すべきとは思います。

国政とは、確かにマクロ的な政策を扱うのが本筋であり、次世代の党はその点は間違ってはいませんでした。しかし、私はミクロ的な側面(個々の企業の業績、個々人の生活)に直接大きな影響を与えるマクロ政策である経済政策については、魅力的なビジョンを提供でなかったことが、間違いなくあの大敗北につながったと思います。

有権者としては、天下国家ばかり論じられても、自らの現実からはかけ離れていて、ピンと来ません。だから、有権者には、たとえ天下国家を論じたとしても、それが結果として、有権者にどのように関わりがあるのかを単純明快に訴えなければ、関心を示したりはしません。

だから、こそ多くの政治家は、ミクロ的な話ばかりしがちで、それこそ山本太郎議員のように無責任になってしまうのです。

一番良いのは、天下国家の話をしつつも、それが有権者の実生活にどのように関わるか、あるいは関わることになるかを訴えることです。そのためには、国政をつかさどる政治家としては、ミクロ的な話をするにしても、マクロ的に裏打ちされた話をしなければなりません。

ミクロ的な政策に関しては、政府はどうにもできません。政府ができることはマクロ的なことに限られます。このあたりの区別のつかない政治家があまりに多すぎます。

その点、安倍自民党は、財政に関するマクロ的な政策でありながも、具体的に10%増税を延期するということで、大成功しました。このように経済的な政策は、マクロ政策でありながらも、有権者の日々に最も関わりがあることなので、有権者も理解します。

しかしながら、次世代の党はこのようなことは、せずに天下・国家論を中心に据えたために大敗北を喫しました。

天下国家を論じ、マクロ経済には無頓着だった石原慎太郎氏が退いたこともあり、次世代の党はこうした反省をして、ブログ冒頭に示してあるように、今度は日本の経済をまともにするために、ここ1〜2年で実施しなければならないことを政策に盛り込み、素晴らしい内容になっていると思います。

外為特会の含み益20兆円については、説明が必要だと思いますので、以下に若干説明をします。

通称外為特会、正式名称は外国為替資金特別会計です。これは、政府が行う外国為替等の売買に関し、その円滑かつ機動的な運営を確保するため外国為替資金が設置されるとともに、その運営に伴って生じる外国為替等の売買、運用収入等の状況が区分経理するために設置された特別会計です。

外為資金として127.9兆円(2013.3末)。このうち外貨債権は103兆円(証券は99.5兆円、貸付3.5兆円)です。ちなみに、外貨証券の満期は1年以下1割、1年超5年以下6割、5年超3割)となっています。一方、外貨負債はありません。ということは、円安は資産を膨らませるだけであり、政府財政にとっては確実にプラスです。ざっくりみると、外為資金での円安による評価益は20兆円程度です。



上のグラフでみてもわかるように、元々我が国の外貨準備高は他国に比較してかなり多いです。円高の現在、このような会計はあまり意味をもたなくなりました。しかし、これを取り崩さなくても、含み益が20兆円もあるわけですから、これこそ、この時期につかうべぎてす。

次世代の党、これからこのような経済政策をどんどんと訴えていき、政府がまともな経済政策を実施しやすい環境をつくっていくべきです。

ここ1年くらいは、このくらいで良いかもしれません。急いては事を仕損じるという諺もあります。現状ではこのくらいで、良いと負います。

将来的には、日銀法の改正をして、日銀の独立を世界水準のまともなものにしていただきたいものです。また、政府の子会社ともいうべき日銀と政府との関係を別々に捉えるのではなく、通常の企業のみられる親会社と小会社の関係のように構築しなおすことを統合政府化といいますが、統合政府化しただけでとてつもないことが起こることも明確に示してほしいです。

とてつもないこととは、統合政府の連結決算です。銀行のバランスシートは単純にいえば、資産に国債、負債は日銀当座預金と日銀券です。日銀当座預金は日銀券と代替可能なので、日本銀行の負債は日銀券のみです。

となると、アバウトには、日本銀行のバランスシート(2014年3月末)は、資産の国債200兆円、負債の日銀券200兆円とみてもいいです。これを国のバランスシートに合算すれば、負債の中の公債・政府短期証券が200兆円減少し、その代わりに日銀券200兆円が入るわけです。

ここで、日銀券200兆円は、形式的には負債ですが、利息負担もないし、返済義務もありません。いってみれば、この分は負債とみなさない考え方もありえます。その考え方にたてば、債務超過額は490兆円から290兆円になるわけです。このあたりについて、公会計で定説はないと思いますが、日銀保有国債分については、国にとって償還も利払いも必要ないので、債務超過額が減ったみなすべきです。


このように、日銀のBSと政府のBSsを連結すると、統合政府全体の負債超過は200兆円減となるのです。となると、これは、他の先進国と比較しても、さほど負債は大きいということにはなりません。

ちなみに、統合政府のような考え方はまやかしだと言われる方もいるかもしれませんが、企業会計では、連結決算は必須です。連結決算をしないと、親会社が小会社に赤字を押し付けて、親会社だけは黒であるように装うようにすることもできます。

ギリシャのような国では、統合政府ベースでみても、真っ赤な大赤字で、外国から金を借りないと同しようもない状態になっています。しかし、日本はそうではありません。それどころか、日本は対外金融純資産(外国に貸し付けているお金)の額は、過去20年間世界一です。

さて、いろいろ課題はあります。これは、次世代の党が活躍できる場面がこれからもいくでもあるということです。

さて、次世代の党は、マクロ政策である安全保障政策についても、もし憲法解釈による集団的自衛権の行使ができないなどということにでもなれば、具体的に企業や国民一人ひとりどのような脅威があるのか、誰にもわかるように説明責任を果たして行くべきです。

このように、次世代の党は、マクロ経済政策におよばす、安全保障政策も含むすべてのマクロ政策が個々の企業の業績や、個々人の生活にどうかかわるのか、それを明確に訴える党に変身していただきたいものです。

そうすることにより、与党政府も影響され、日本の政治風土も、官僚主導から政治主導へと変身していくものと思います。さらに、このようなことを本当に実施できれば、次世代の党は発展し、倉山氏も指摘するように、中山恭子総理大臣が日本初の女性総理大臣になる日がやってくるかもしれません。

私は、そう思います。皆さんはどう思われますか?


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【関連図書】

以下に次世代の党に関連する書籍三冊をチョイスさせていただきました。


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