2017年2月19日日曜日

金正男氏殺害、強まる「ドッキリ偽装」 「日本のテレビ番組」利用されるワケ―【私の論評】手口の稚拙さが物語る北朝鮮の現状(゚д゚)!


日本のドッキリ番組だと言われて――。金正男氏殺害の「実行犯」とされるインドネシア人女性が、そんな供述をしていると国内外のメディアが報じている。
インドネシアでは日本のテレビ番組なども放送されており、「オリジナリティがある」など人気がある。こうした背景が、今回の事件にも影響している可能性がある。

シティ・アイシャ容疑者と見られるフェイスブックに、2016年12月投稿された写真
 「番組プロデューサー」名乗って実行犯雇うとの報道

海外メディアなどによれば、逮捕されたインドネシア人女性、シティ・アイシャ容疑者(25)はマレーシア警察の取り調べに対し、テレビの「ドッキリ番組」だと言われて犯行に参加したとし、過去にも何度か、同じような「いたずら」を行ったことがある、などと供述している。

さらに日本テレビなどは19日、親族の話として、アイシャ容疑者を雇っていたのが、「日本のテレビ番組のプロデューサー」を名乗る人物だったと相次いで報じた。

今回の犯行については当初、北朝鮮の熟練の暗殺者によるもの、という見方が強く、日本では「容疑者2人はすでに死亡した」などといった情報も流れた。しかし実際には、アイシャ容疑者は16日に逮捕されるまで、そのまま現場近くのホテルに滞在するなど、「らしくない」行動が目立つ。

アイシャ容疑者のものとされるフェイスブックも、大半は他愛ない自撮り写真ばかりだ。大韓航空爆破事件で知られる金賢姫氏も、犯人が「工作員」とは思えない、との見方を18日付の毎日新聞朝刊に示している。

 日本のドッキリ番組が370万回再生

YouTubeで「prank(ドッキリ)」などのキーワードで検索すると、多くの動画がヒットする。大半は罪のないものばかりだが、中には、個人の作品で、イスラム教徒風の格好をした人物が「爆弾だ!」と言いながらカバンを投げつけるなど、「シャレにならない」ものも少なくなく、それがまた人気だ。

こうした動画のなかで、日本のテレビで放映されたドッキリ動画はかなりの人気を誇る。たとえば「うわっ!ダマされた大賞」(日本テレビ系)の「エレベーターの足元が急に開き、そのまま滑り台に落下する」という映像などは、370万回も再生、コメント欄には、
「日本のドッキリはいつも最高だ」
「日本は本当にイカれてるな(笑)」
「超笑える、日本のドッキリ大好きだ」
といった声が並ぶ。ほかにも、数百万回クラスの再生数を誇る「日本産ドッキリ」は数多い。

 テリー伊藤「僕は当たってる気がする」

インドネシアでは近年、日本文化の人気が高まっている。1990年代から放映されている「ドラえもん」などに加え、最近ではスカパーJSATグループが、「WAKUWAKU JAPAN」として日本番組専門チャンネルを2014年から展開、日本の番組は「コンセプトが本当に独創的で、オリジナリティがある」などと好評だという。

馴染みのある「日本のテレビ」という言葉が、アイシャ容疑者の警戒心を緩めた可能性がある。

「天才!たけしの元気が出るテレビ」の「早朝バズーカ」など、自らもドッキリ番組を多数手がけ、かつ北朝鮮にも詳しいテリー伊藤さん(67)も、金氏殺害の実行犯が「ドッキリだと思っていた」説に賛同している。2月19日放送の「サンデージャポン」(TBS系)で、
「イタズラ動画で、っていうのは僕は当たってる気がする。こんなこと、世界中のだれも想像つかなかった。(中略)こんなバカバカしいやり方で、人を殺しちゃってるんだっていう......」
と、私見を披露している。

【私の論評】手口の稚拙さが物語る北朝鮮の現状(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事で、シティ・アイシャとされる女性の動画が下のものです。


今回の事件、たとえアイシャ容疑者が語っているように、ドッキリ番組であると信じこまされて犯行に及んだことが事実だったにせよ、なんというか、犯行の実行の仕方が、粗雑であり、稚拙ですらあると思えます。

ドッキリに見せかけるにしても、元来ならばもっと計画的に実行し、アイシャ容疑者などの実行犯が捕まるのは予定帳場だとしても、実行犯らが犯行をしているところを見ていて、犯行後に逃げるなどというのは、はっきりいえばスパイとして失格ではないかと思います。

実際、これらの北朝鮮籍の男らが指名手配されています。

マレーシア警察当局は19日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏が暗殺された事件で、北朝鮮国籍の男4人を容疑者として公表、行方を追っていることを明らかにしています。これにより、北朝鮮の組織が関与している可能性が強まっています。4人は事件当日の13日、マレーシアを出国したといいます。警察は各国に協力を求め、事件解明に全力を挙げる考えです。

17日に逮捕されているリ・ジョンチョル容疑者(46)と合わせ北朝鮮籍の容疑者は5人になりました。韓国統一省報道官は19日、捜査結果を受け、「容疑者5人が北朝鮮籍であることを考えると、金正男氏殺害の背後に北朝鮮政権がいるとみている」と表明しました。

事件後、警察の記者会見は初めてです。死因は不明で、毒物検査の結果を待っているといいます。新たに公表された容疑者はリ・ジヒョン(33)、ホン・ソンハク(34)、オ・ジョンギル(55)、リ・ジェナム(57)の4人。

発表によると、4容疑者は1月31日〜2月7日の間にマレーシアに入国し、事件当日の13日に全員出国しました。

このほか、警察当局は、監視カメラに映るなどしていた北朝鮮国籍のリ・ジユ氏(30)と身元不明の男2人の行方を追っています。

一方、現地の中国語メディアは19日、既に逮捕されているリ容疑者は化学分野の専門家で、毒物などについても深い知識があるとみられると報じました。

リ容疑者は、北朝鮮の大学を2000年に卒業、インドで医薬研修に従事した後、平壌に戻り、家族と共にマレーシアに移り住みました。現在は抗がん剤などを扱う薬品会社に勤めているといいます。 

以下に、今回の殺害の構図を掲載しておきます。



事件の直後にこれだけの人数と、偽名かもしれませんが、名前もこれだけわかつていて、いくら最近は従来よりは、空港などに監視カメラが増えているとはいえ、これだけ面が割れていて、手配を受けているというのですから、杜撰な犯行といっても良いのではないでしょうか。

もし暗殺というのなら、実行犯などはすぐに判明したにしても、これだけの規模で犯人が特定されるということはあり得ないです。これはでは、確かに暗殺とは呼べないかもしれません。暗殺(あんさつ)は、主に政治的、宗教的または実利的な理由により、要人殺害を密かに計画・立案し、不意打ちを狙って実行する殺人行為(謀殺)のことです。

これだけの人数の人間が事件直後から判明している、実行犯の身元もはっきりわかり、どのような手口で支持・訓練されたかもはっきりしている場合、これは単なる殺害であり、暗殺ではありません。暗殺は、隠密裏におこなわれるべきものであるはずです。

金日成や、金正日の時なら、ここまで杜撰なやり方はしなかったと思います。無論まともな国であれば、殺害などという手段はとらないでしょうが、それにしても、支那やロシアなどのような国であっても、このような杜撰なやり方はしないでしょう。

これがもし、金正恩の息のかかっている連中により実行されたというなら、現在の北朝鮮はとんでもない状況になっている可能性があります。それこそ、金日成や、金正日の時代にもなかったような異常事態です。

北朝鮮の異常ぶりをうかがわせることがこの事件の他にもあります。

まず第一は、対北ラジオ放送「しやかぜ」にたいす北の妨害電波が激減しているという事実があります。それについては、以下のリンクを御覧ください。
対北ラジオ放送「しおかぜ」 北の妨害電波激減 電力不足か 金正男氏暗殺を週明け以降放送

 拉致問題を調べている「特定失踪者問題調査会」(荒木和博代表)の北朝鮮向けラジオ放送「しおかぜ」に対する北朝鮮の妨害電波の頻度が落ちていることが18日、分かった。原因は特定できていないが、電力の6割を賄う水力発電の供給力低下があるとの見方が出ている。北朝鮮では、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、正男(ジョンナム)氏の暗殺は公式報道されていないが、しおかぜは週明け以降、ニュースとして伝えるという。 
 同会の村尾建兒(たつる)専務理事によると、妨害は放送開始半年後の平成18年4月からほぼ毎日確認。妨害され次第、周波数を変更するが、北朝鮮は3日ほど遅れて妨害を再開していた。 
 しかし、最近は特に冬季に妨害電波の休止や時間短縮が増え、昨年9月から12月まで放送された中波に対する妨害電波の発信は週1、2回にとどまった。昨年3月1日には、1日当たり2時間半の放送時間のうち、開始2分後に妨害が始まって5分後に停止。同2日には妨害はなく、同3日には放送10分前に送信が始まり途中で止まった。
 妨害電波のモニタリングは中国・瀋陽とソウルで実施。今年に入ってからの正確なデータはまだないが、村尾氏は「今年も妨害の頻度は以前ほどに高くない。これまで国内の一般放送を休んでも妨害を休むことはなかった。放送を休まなければならないほど逼迫(ひっぱく)した事情は電力不足ではないか」と指摘する。 
 しおかぜを放送する茨城県内の送信所は概算で毎時最大500キロワットの電力を消費する。対する北朝鮮は放送機材やインフラなどの劣化から電力ロスが相当に出るとの見方を加味。同程度の電力が必要だが、その確保が難しいのではないかと、同会はみている。 
 中国・延辺大グループの調査では、北朝鮮の水力発電設備の利用率は発電設備の容量増加に反比例して2014年に35%に下落。1980~90年よりも7ポイント低下した。森林破壊によるダムの貯水力の低下や発電設備の老朽化を挙げている。 
 正恩政権に入ってからの住宅や娯楽施設などの“開発”の余波でダム水が凍結する冬場は発電用水資源の確保が一層、困難になったとの見方もある。

 北朝鮮ではかなり電力供給が逼迫しているということです。経済的にかなり困窮を極めているということです。金正恩氏による、住宅や娯楽施設などの“開発”の余波があったにしても、経済的にある程度余裕があれば、電力などなんとかできるはずです。ということは、金正日氏の頃と比較して、北朝鮮は経済が上向いているとはとても言えない状況にあるということです。

さらにもう一つ気になることがあります。それは、北朝鮮の兵士になるための条件が昨年には緩和されていたということです。

38度線付近で並んだ左より、米兵、北朝鮮兵、韓国兵
北朝鮮では200万人以上が餓死したという1990年代の大飢饉(ききん)を、成長期に経験した世代が前線の小隊長といった軍の中核を占めるようになりました。彼らは「政権への忠誠度が最も低い世代」といわれます。

その後も、深刻な栄養不足で子供並みに小柄な兵士も多く、身長138センチ以上、体重43キロ以上まで入隊基準が緩和されたほどです。

食料の配給量の減少が重なって、中国側に越境した北兵士による強盗事件も頻発。慢性的な燃料不足もあり、戦車などを動員した大規模な演習もままならない状態が続いているといいます。最近の北朝鮮が核・ミサイル開発に傾注する背景として、通常兵力の弱体化も指摘されています。


正恩政権は頻繁に幹部の首をすげ替えることで不満の芽を摘んできたのですが、党による圧迫が強まれば、さらに前線の士気低下を招く結果になりかねません。

軍の統制が負の連鎖に陥っているとみられ、強硬姿勢を強める裏で実際には『戦えない軍隊』化が進んでいるようです。

日本でも、150センチ台なら、別に栄養不足でもなく、病気でもない至って健康な男子もいますが、さすがに130センチ台であれば、育ち盛りに極端な栄養不足に陥ったか、あるいは病気であるという可能性が高いです。

下の動画は、アジアプレスの記者が世界ではじめて、痩せこけた朝鮮人民軍兵士集団を秘密撮影したものです。特に、背の小さい痩せこけた兵士は、現在の食糧事情が悪いだけではなく、育ち盛りのときに満足に栄養を摂取できなかったことを物語っています。


このような人を軍隊に入れなければならないほど、北朝鮮は困窮しているということです。これは、日本の大東亜戦争末期の困窮ぶりを上回っています。それにしても、安全保障の基となる兵士に対して満足に食事も提供できない国とは、いかなる国なのでしょうか。

この二つをみても、北朝鮮の状況はかなり異常です。このような異常な状況で、金正恩は、弾道ロケットなどどんどん発射するなどのことをしています。

北朝鮮は我々の想像をはるかに超えて困窮している可能性が大です。これでは、意外にかなりもろく国自体が崩壊するかもしれません。そのような現実を物語っているのが、今回の金正男氏殺害の手口の稚拙さなのだと思います。

今後も、北朝鮮の動静を追跡し、何か変わったことがあれば、またレポートさせていただきます。

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