2017年2月23日木曜日

F/A-18に関し誤解を招く恐れのある東京新聞掲載記事に対する在日米海軍司令部の見解―【私の論評】またCNN報道を鵜呑みし垂れ流した東京新聞(゚д゚)!


在日海軍のエンブレム 写真はブログ管理人挿入

2017年2月17日、東京新聞は「厚木の米機FA18 6割飛べず? 部品なし修理不能 米専門誌惨状掲載」と題するF/A-18の運用状況に関する記事を掲載しました。記事には多くの憶測が含まれており、東京新聞の読者の皆様、ひいては日本国民の皆様の誤解を招き、誤った情報を与える恐れがあります。

ディフェンス・ニュースの記事で報道された任務遂行条件を満たせない航空機の割合は、前方展開海軍戦力の一員である飛行隊の即応性、とりわけアメリカの唯一の前方展開航空団である第5空母航空団に所属する、4つのスーパーホーネット飛行隊の即応性を示すものではありません。

米海軍は前方展開海軍戦力に多額の予算を投じており、最新鋭の航空機を日本に配備しています。日本に配備されている飛行隊には必要とされるリソースはすべて提供され、米海軍厚木航空施設を拠点とするスーパーホーネットは万全に整備されています。またこれらのスーパーホーネットは、米海軍の前方展開戦闘飛行隊を最大限の即応性で維持する為に必要となる、すべての部品と飛行時間を有しています。

定期的な整備や飛行時間管理など様々な要因により、個々の航空機および飛行隊の飛行スケジュールは多岐に亘っています。しかしながら、東京新聞の記事で引用されていた数字は、即応性や安全性のいずれの傾向をも反映しておりません。

東京新聞はなぜ厚木航空施設におけるスーパーホーネットの即応性に関し、米海軍に問い合わせることすらせず、米海軍航空機の即応性や日本防衛に対する米海軍の能力について憶測の記事を掲載されたのでしょうか。米海軍に事実やコメントを求めることなく東京新聞がこのような憶測を掲載されたことは残念です。東京新聞の読者の皆様、ひいては日本の国民の皆様は真実を知る権利があるのです。それはすなわち、第5空母航空団が完全に任務遂行可能であり続け、空母ロナルド・レーガンの艦上から展開し、地域に安全と安定を提供し、常に日本を防衛する即応態勢にあるという事実です。

米海軍が日米同盟について真摯に受け止めている中で、日本を拠点とする米海軍戦力の即応体制を提示する機会を頂けたことに感謝致します。新聞読者は重要であり、読者は正確な情報を知る権利があると理解しております。

第5空母航空団は引き続き空母ロナルド・レーガンの艦載機部隊として展開し、地域に安全と安定を提供するために課されたあらゆるすべての任務を遂行します。

(*上記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英語です。)

【私の論評】またCNN報道を鵜呑みし垂れ流した東京新聞(゚д゚)!

空母から発艦したF18
東京新聞のWeb版には、この記事が掲載されてはいませんでした。しかし、上の記事に掲載されているように、「厚木の米機FA-18 6割飛べず? 部品なし修理不能 米専門誌惨状掲載」というように東京新聞は報道したのでしょう。

だとすれば、本当に酷い報道だと思います。まずは、FA-18 がどのような戦闘機であるか、以下に基本的な情報を掲載しておきます。

すでに、運用開始から今年で34年目に入り、1,480機も製造され、米国以外でも、六カ国で運用されている戦闘機です。

このような戦闘機、しかもそれもエリート中のエリートともいわれる、空母ロナルド・レーガンの艦載機部隊のFA-18の6割が飛べないなどということはあり得ないです。これは、常識で考えても理解できます。

6割が飛べないということは、具体的には稼働率が4割ということを言っているのだと思います。しかし、この報道はにわかには信じがたいです。

おそらく、東京新聞はCNNの受け売りをしたのだと思います。実際、CNNは以下のような報道をしています。
米海軍のFA18型機、3分の2飛行出来ず 修理遅れなど

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
(CNN) 米海軍幹部は11日までに、海軍の主力戦闘機となっているF/A18型機の約3分の2が修理の遅れや部品の調達待ちで飛行が出来ない状況に陥っている実情を明らかにした。 
ウィリアム・モーラン副作戦部長(海軍大将)が米下院軍事委員会で証言した。海軍保有の航空機の半分以上を飛ばすことが出来ず、国防費増額の見通しも立たない中で、投入出来る航空機の使用回数は限度まで来ていると指摘した。 
「様々な理由に襲われ、海軍の造船所や航空機の格納施設では修理や維持管理作業を規定通りの時間内に終わらせることに苦労している」と表明。F18に限れば任務に使えない機材の数は本来あるべき水準の倍になっているとも述べた。同型機の62%が駐機を強いられているとの一部情報を確認する形ともなった。 
同機の機体寿命は約6000飛行時間を想定している。しかし、稼働させる機材が少なくなっている現状を受け、現在は8000~9000時間まで伸びているという。財源の制約やF18の後継機と位置付けられている最新型戦闘機F35の配備の遅れも作用している。
確かに、このようなことはあるのかもしれません。しかし、この記事から読み取れることは、アメリカ海軍のFA-18全体の稼働率が低いことを言っているのであって、厚木の米機FA18のこともそうであると言っているわけではありません。

実際、ブログ冒頭の在日米海軍司令部の見解では、「米海軍は前方展開海軍戦力に多額の予算を投じており、最新鋭の航空機を日本に配備しています。日本に配備されている飛行隊には必要とされるリソースはすべて提供され、米海軍厚木航空施設を拠点とするスーパーホーネットは万全に整備されています」とはっきり述べています。

これは、明らかに東京新聞の凡ミスです。やはり、在日米軍司令部に質問してから、記事を掲載すべきだったでしょう。少なくとも、空母ロナルド・レーガンの艦載機部隊のFA-18が6割も飛べない、稼働率が40%ということはないでしょう。

米軍の航空機の稼働率についてサイトでしらべてみたところ、以下のような資料がありました。


これは、残念ながら空軍の資料なので、F18-Aは掲載されていませんが、ほぼ同時期に開発され運用開始したF15、F14などは掲載されていて、その稼働率は70%台です。FA-18だけが、極端に低いということはなかなか考えにくいです。

それに、稼働率に関しては、海軍の幹部がCNNの記事のように低めにいうのにはそれなりに理由があると思います。

それは、トランプ大統領の発言に影響されたものかもしれません。実際、トランプ大統領は以下のような発言をしています。
トランプ氏、ボーイングにF18戦闘機のコスト算定要請 F35対抗機
英南部で開かれた「ファンボロー国際航空ショー」
に登場したロッキード・マーチンのF35戦闘機
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部だけ引用します。
米航空防衛大手ロッキード・マーチン(Lockheed Martin)の最新鋭ステルス戦闘機F35にかかる費用が巨額すぎると不満を表明しているドナルド・トランプ(Donald Trump)次期米大統領は22日、競合する米航空宇宙機器大手ボーイング(Boeing)に対し、F18戦闘機を新たに導入した場合のコストを見積もるよう求めたことを明らかにした。
海軍の幹部としては、トランプ氏の発言のように、F18の改良型程度のものを導入されるようなことは、なるべく回避したいと考えるに違いありません。だからこそ、CNNの記事のように、FA-18の稼働率を低めに語ったのかもしれません。

私の考えでは、F35に切り替わることを想定して、近いうちに破棄する予定のもので、飛行させるつもりもないものも、稼働率に含めている可能性もあると思います。

しかし、これは、憶測に過ぎないのですが、かといってCNNのニュースをそのまま鵜呑みというわけにはいかないです。なぜなら、CNNは大統領選でとんでもない報道を続けて、最後の最後までヒラリー・クリントンが有利で、トランプ氏は圏外のような扱いをしたメディアです。

しかし、これが支那の空母の艦載機の稼働率が40%などといわれれば、私も鵜呑みにしたかもしれません。なぜなら、このブログには以前は以下のような記事も掲載したことがあるからです。
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中国空軍の大部分を占める時代遅れのJ-7戦闘機
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、結論部分だけ以下に掲載しておきます。
(戦力外の戦闘機は外してさらに)保有していても稼動しないのは飛べないので、存在しないのと同じなので除外します。そうすると、航空自衛隊の稼働率90%、従って実数は315機です。中国空軍の稼働率推定20%、従って実数は50機です。
この記事のように、支那の戦闘機は、あまりにも旧式で戦力にならないものを除外して、低い稼働率のため実際に日々運用できる稼働機は50機にすぎないという試算もあるのです。

このように稼働率がもともと低ければ、空母艦載機なども稼働率が40%などということもあり得るわけで、最初は、東京新聞は支那の航空機の稼働率の低さと取り違えたのかとも思いましたが、どうもそうでもないようです。

それにしても、支那の航空機の稼働率は一般にかなり低いようです。20%はともかくしても、かなり低く見積もる軍事評論家が多いです。

軍事漫談家を自称しておられる、井上和彦氏もその一人です。井上氏は以下の様な試算も示していました。

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        ≪飛行時間≫
         航空自衛隊 ・・・・・ 年間最低150時間
         中国空軍  ・・・・・ 年間平均 25時間

ただし、最新鋭スホーイ27の部隊でもやっと年間100間程度と推測

出展 こんなに強い自衛隊 著者: 井上和彦
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年間平均飛行時間が、25時間と、航空自衛隊の1/6程度ということは、やはり航空機の稼働率があまりにも低いのでこのようなことになるということです。

それにしても、軍事評論家などが、支那の航空機の稼働率の低さや、飛行時間の低さなどを指摘しても、支那政府はそれに対する反論は全くしません。にもかかわらず、最近では外国の一民間企業であるアパホテル批判などはしています。これは本当に矛盾しています。

やはり、支那の戦闘機の稼働率は異常に低いのだと思います。だからこそ、それに対して反論すれば、様々な軍事評論家などから反論され、かえつて支那の空軍力の弱さを露呈することになるので何も言わないのだと思います。

しかし、米海軍は、東京新聞の報道に関してはすぐに反論をしました。やはり、それなりの自信があるのでしょう。

少し脱線してしまいましたが、東京新聞の報道は酷すぎです。少し調べれば分かりそうなものですが、やはり、CNNの尻馬にのって、トランプ氏を色眼鏡で報道したその姿勢は今も変わりないようです。

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