2018年2月2日金曜日

【メディア政争】「ワイドショー政治」の罪作りな実態 小池百合子氏が2度の選挙に勝ったワケ―【私の論評】小池氏はなぜワイドーショー政治を選んだのか(゚д゚)!


小池氏は「選挙はテレビがやってくれるのよ」と語っていたという
 小泉純一郎首相の就任(2001年4月)を境に、テレビのワイドショーが「政治ネタ」を扱うことが増えたことは間違いない。「政局の天才」である小泉氏は、前例を破って「ぶら下がり」と呼ばれる取材を毎日受け、ワイドショーの主役となることで「政敵」を次々と倒していった。

 小泉劇場を放送すれば、そこそこ数字(視聴率)が稼げ、制作費が格安で済んだ。おまけに、政治家をイジったり、たたいたりする分には、相手から反撃がない。民間人や一部芸能人をネタにするのと違い、リスクがない。まさに良いことづくめ。テレビはこの“麻薬”に溺れたのだ。

 小泉氏のメディア戦法をマネたのが、小池百合子都知事である。

 小池氏は知事就任から1年、「『都政の闇』を暴くヒロイン」としてワイドショーの主役であり続けた。だが、肝心の「闇」が何だったのか、1年後の今、明確に答えられる視聴者はほぼ皆無だ。それどころか、ワイドショーの制作・出演者でも同様だろう。

 この空疎な現象を、筆者は「ワイドショー政治」と呼ぶが、その罪作りな実態を表すデータを紹介しよう。

 1年前の今ごろ、ワイドショーが盛んに取り上げていたのが、東京・千代田区長選(17年2月5日投開票)だ。任意団体「放送法遵守を求める視聴者の会」が、同年1月29日の告示から2月5日の投票締め切りまでの、某テレビ局の全報道番組と情報番組の放送時間を集計している。

放送法の「政治的公平性」確保のため、全局とも選挙期間中は候補者や政党の扱いを平等にするよう努めたが、この「平等」にトリックがあったとしたら、いかがか。

 確かに、選挙報道そのものは、計約1時間50分のうち、各候補・陣営をほぼ同じ40分前後ずつ伝え、時間的公平を確保していた。だが、質的には大いに疑問が残る。

 というのも、この区長選は「小池氏と、自民党『都議会のドン』内田茂氏の代理戦争」などと強調され、報道されていたからだ。「代理戦争」と呼ばれることを、小池氏側は歓迎し、自民党側は嫌がっているとも報じながら、執拗(しつよう)に「代理戦争」とテロップを表示、連呼し続けた。

 結果として、小池氏の推す、現職の石川雅己区長への応援基調となっていたのである。

 さらに選挙報道以外に、小池氏が伊豆大島の「きょん」退治に乗り出すとか、イベントに出席したなど、小池氏に好意的な話題が計7時間も流れていた。うち約3時間半は、小池氏の姿が流れた。これを「公平」とはとても言えない。

 人は高頻度、あるいは長時間視界に入るものに、無条件に好意を抱く。これを心理学で「単純接触効果」という。ワイドショーが生じさせたこの効果で、小池氏は2度の選挙(=千代田区長選と、同年7月の都議選)を勝ったのだ。

 こうしたテレビの「罪」に、私たちは厳しい目を向けるべきだ。

 ■有本香(ありもと・かおり) ジャーナリスト。1962年、奈良市生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『リベラルの中国認識が日本を滅ぼす』(産経新聞出版)、『「小池劇場」の真実』(幻冬舎文庫)など多数。

【私の論評】小池氏はなぜワイドーショー政治を選んだのか(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事にはでていませんでしたが、小池百合子東京都知事はなぜワイドショー政治を行ったのでしょうか。

様々な理由を考えることができるでしょう。まずは、小池百合子氏本人が小泉純一郎首相時代の小泉劇場という劇場型政治が行われた時に初当選していたということがあるでしょう。

小池百合子氏の「トリックスター」ぶりは小泉純一郎元首相を彷彿とさせる。写真は2005年の衆院選
彼女は、いわゆる小泉チルドレンです。自身が当選した背景や当時の小泉首相に対する作られた熱狂を分析すれば、ワイドーショー政治の分析は十分可能だと思われます。

さらに、小池百合子氏本人もメディア出身の人物で、かつてはテレビ東京でニュースキャスターを務めていました。つまり小池百合子氏もタレント候補だという事になります。メディア出身だという事は、メディアとのパイプがあるのは間違いないでしょうし、何しろメディアを使って国民を操る術を知っていると考えられます。

WBSの初代キャスターだった小池氏。WBSは1988年4月スタート。当時小池氏は36歳
小泉劇場で当選した元ニュースキャスターの人物。そんな人物が自治体の長になった暁には、その人物が行う政治がワイドショー政治になることは、十分予想できました。

しかしながら、本人にワイドショー政治をやる気があっても、実際にそれができる社会環境でなければ、ワイドショー政治は機能しません。

つまり東京都民にワイドーショー政治が通用しなければ、それは機能しません。ところが現実には、都民は小池百合子氏の放つワイドショー政治に惑わされ、千代田区長選挙で過去最高の投票率を記録してしまいました。だからこそ、小池百合子氏はこれに大きく舵を切ったと考えられます。

ではなぜ小池百合子氏は東京都政でワイドショー政治が成功するであろうと大きく舵を切ることができるほどの確信を持てたのでしょうか。それにはいくつかの理由が浮かび上がりますが、それはやはり日本にはメディアを鵜呑みにしている国民が多いからでしょう。

とりわけて東京はその傾向が強いです。その象徴とも言える人物が、現在立憲民主党の参議院議員である、蓮舫氏でしょう。蓮舫氏が当選する東京都なのだから、ワイドショー政治を行うのはたやすいと小池氏は考えたのでしょう。

蓮舫氏
蓮舫氏はネット民から嫌われている人物です。理由としては様々なものがありますが、主に二重国籍に対する十分な説明を現在に至るまで行っていないからでしょう。

そんな蓮舫氏は元々はテレビ界出身のいわゆるタレント候補です。蓮舫氏が政治家に当選したのは2004年7月に行われた参議院選挙の比例区で当選してからです。その後今日まで一度も票を落としたことがないというある種のベテランでもあります。

ところが、そのようなベテランの蓮舫氏はこれまでに何か政治的な功績を残したといえるでしょうか。目立った活躍と言ったら実際には財務省に仕切られた、ほとんど無意味な事業仕分けぐらいでした。

ネットでは二重国籍の問題を世に知らしめたことが功績だという皮肉もあるくらいです。仮にこれが功績だとしても、蓮舫氏は功績らしい功績をこの10年以上の間に一つぐらいしか残していないことになります。

もし、これを功績でないとすれば、何も功績がない人物が2016年参議院選挙でも東京選挙区でトップ当選を果たしてしまったのです。なぜ、功績のない人物がずっと議席を失わないで、しかもトップ当選をし続けているのでしょうか。

それは単純に東京都民が蓮舫氏の活動や人物を全く見ないで、知名度だけで投票しているからです。それ即ちメディアで目立った元芸能人だからという理由だけで、蓮舫氏を熱狂的に支持している都民が多いという事です。つまりワイドーショー政治に煽られて蓮舫氏を支持する都民が多いということです。

「知名度だけでも投票する人が多い東京都なのだからワイドショー政治をするのはたやすい」そう考えたので小池百合子氏はワイドショー政治に大きく舵を切ったのでしょう。。

それに、そもそも東京都民が、知名度だけで政策や人物については全く考えないで政治家を選び政治を決定するとしいう事実の前には、まともに政治を行ったとしても注目されないとも言えます。

だからこそ、ワイドショー政治の仕込みや仕掛けという大掛かりなことをして自身の支持拡大を行ったとも推測できるます。小池百合子氏本人がどう考えていようとも、東京都の政治を成功させるにはワイドー政治で都民を惑わせるのが近道だったということです。

ワイドショー政治の主体であるワイドショー民
私自身は、小池百合子氏は東京都民を見下すつもりでワイドショー政治を意図的に行ったわけではなく、東京都という自治体の社会環境を踏まえた上でワイドショー政治を行わざるをえない面もあったのだと思います。

 では、もし小池百合子氏がワイドショー政治を行っていなかったら、どうなっていたでしょうか。私は早い時期から逆にメディアに叩かれていたのではないかと思います。小池百合子氏本人は元々自民党出身です。

結局自民党と癒着しているという疑惑を持ちかけられて、反自民のマスメディアからいらぬ疑いで袋叩きにあっていた可能性もあります。だから小池百合子氏は反自民を掲げたのでしょう。反自民を掲げれば同じ反自民のマスメディアから攻撃されることはなくなります。小池百合子氏本人もメディア出身の人物で、メディアの力というのを十分に承知していたはずです。

さらに、舛添要一の辞任劇も小池劇場に繋がったものと考えられます。舛添要一氏本人はネット民を中心に嫌われていた人物です。そうして例の舛添氏の豪遊などのお金のスキャンダルも、元はと言えばネットが発端のスキャンダルです。

これについては、ネットで騒がれている間はマスメディアでは報道すらされていませんでした。マスメディアはネットの騒動から遅れてこれを報道することにななりました。

そうして、これをマスメディアが大々的に報道した途端に、舛添氏は全国民を敵に回すことになってしまいました。これほど東京都政におけるマスメディアの影響力は根強いものがあるのです。

この舛添要一氏の辞任劇もまた小池百合子氏には大きな影響を与えたでしょう。だから舛添氏とは異なった透明性のある東京都政を打ち出して、舛添氏とは違うことをアピールしたのです。

舛添要一氏
その上で、自民党を敵に回してメディアからの攻撃を避けて、透明性アピールのための都政の闇を暴く行為に走ったのです。つまり小池百合子氏はメディアに攻撃されることを恐れて、ワイドーショー政治に踏み切ったのです。その結果、ものの見事にメディアに惑わされた都民の支持を獲得することに成功し、その勢いのまま夏の東京都議会議員選挙を迎え大成功したのです。

ここまでは、大成功でした。昨年の衆院選でも小池知事は東京都知事でありながら、希望の党を設立し、代表に就任しこれも大成功するとみられていましたが、結果はご存知の通り、大失敗です。選挙戦の直前までは、小池百合子氏のワイドーショー政治は十分に機能して、誰もが希望の党はかなりの議席を獲得すると考えていました。

選挙戦スタートこそ大いに盛り上がりを見せた「小池ワイドショー政治」でしたが、公示日前に小池代表が放った(民進党出身議員の一部を)「排除いたします」という一言から、流れは大きく変わってしまいました。


私自身は、この「排除いたします」という発言そのものが、小池氏の勢いをそいだのではないと思っています。その本質は、「排除いたします」という象徴的な発言などにより、マスメディアが希望の党、特に小池氏の本質は「改憲勢力」である点に焦点をあてはじめたということです。

元々、護憲派的立場のマスメディアが今のまま、小池氏をワイドショー政治のヒロインにまつりあげ続け、小池氏の希望の党が大勝利してしまえば、国会での護憲勢力はますます小さくなることに危機感を感じて、今度は小池氏を徹底的にワイドショーなどで叩き始めたのです。

まさに、今度は「ワイドショー政治」が小池氏に対して、逆機能を果たしたのです。「ワイドショー政治」で大勝利を得た小池氏は今度は「ワイドショー政治」により大敗北を喫することになったのです。

以上のように、小池都政を語る上ではマスメディアは欠かせないというのは確かです。実際にメディア報道に惑わされて東京都民は東京都政や東京都知事を決めてきたという経緯があります。

逆に言えばそれは、東京都政はマスメディア次第だという事でもあったと思います。現在小池百合子氏は相次ぐ横暴ぶりから一部の人々から独裁者扱いされていますが、本当の独裁者は、報道で国民を操ることができるマスメディのほうかもしれません。

小池百合子氏は言ってしまえば、マスメディアの単なる操り人形だとも言えるかもしれません。だから小池百合子氏はメディア受けするワイドショー政治を行ったのです。もしこれが本当だとしたら、東京都は本当に、民主主義が存在するのでしょうか。

豊洲市場を視察した小池知事
今豊洲の問題でネットを中心に小池百合子氏に対する非難が集中しています。確かに豊洲の移転延期で本来使われることのなかったはずのお金が、維持費として使われてしまっているのは、非難される点です。

しかしながら、小池百合子氏をただ非難すればそれで済む問題なのでしょうか。確かに豊洲問題に関しては小池百合子氏に責任があります。だがなぜ小池百合子氏はあのような行動をしたのでしょうか。

そもそも豊洲問題はメディアが複雑にさせた問題です。確かに小池百合子氏もメディアが複雑にさせた問題に便乗してしまったのも事実です。ではなぜ便乗してしまったのでしょうか。それは便乗せざるを得ない状況だったからだという見方もできなくはありません。

そもそも小池百合子氏は今一度安全を確認した上で、問題がなければ早期に移転することを決めていました。だから豊洲の調査をもう一度行ったのです。その結果、飛躍したメディアによる間違った報道が横行し、実際に豊洲は危険だという風評被害が生まれてしまっいました。

仮にそれを小池百合子氏がメディアの間違いですと正したところで、豊洲問題は沈静化することはなかったでしょう。それこそメディアvs小池百合子氏の構図になり、さらにそこに小池百合子氏を落としたいという一派が加わって、小池百合子氏は一気に劣勢に追い込まれていたでしょう。

小池百合子氏のあの移転判断はまともな戦略に基づいて行った可能性もあります。その結果起こったことは、更なる事態の悪化でした。これ即ち、今の東京都ではまともな政治は不可能だという事なのかもしれません。小池百合子氏が本当に暴きたかったことは、まともな政治ができない東京都の真実の姿なのではないでしょうか。

私が言いたいのは、小池百合子氏を非難するだけで終わらせてはいけないという事です。なぜ小池百合子氏はあのような政治決断を下したのでしょうか。それに対する答えを導かなければ、いつまで経っても小池都政のようなワイドショー政治は、終わることがないだでしょう。

小池百合子氏がワイドショー政治を行ったいる背景には、東京都の異常性を十分に理解していたということがあったと思います。私は小池百合子氏を擁護しているわけではありません。問題の本質を、見極めてほしいと言いたいだけです。

 本当に小池百合子氏ただ一人に問題があるだけなのでしょうか。それを東京都民の方々には、考えて頂きたいです。そして本当の問題が何なのかを見極めてほしいです。本当の問題はテレビ局の姿勢なのです。

東京都政の本当の問題がわかり、それを克服することができれば、東京都政はより良い政治を行えるかもしれません。それは、日本政治にも言えることかもしれません。

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