2018年2月17日土曜日

【社説】本国Uターン企業、韓国2社・日本724社という現実―【私の論評】韓国は金融緩和しなければ、かつての日本のように八方塞がりになるだけ(゚д゚)!


ロボット導入でも、人手不足変わらず? 日本の製造業の実状
昨年、日本の製造業による雇用が7年ぶりに1000万人を突破した。海外に移転した工場が続々と日本国内にUターンしたことが主な理由だという。日本政府の調査によると、1年間で海外に生産設備を持つ日本企業の11.8%が生産を何らかの形で日本に移転した。トヨタや日産は年産10万台規模の北米の生産ラインを日本に移転した。資生堂も35年ぶりに日本国内に工場を建設することを決めた。大企業から中小企業まで、規模や業種を問わずに企業の「本国復帰」がブームとなっている。

 日本企業のUターンは日本がそれだけ企業が経営しやすい環境に変わったことを示している。企業の海外脱出に苦しんだ日本は2000年代以降、首都圏の規制をはじめ、さまざまな規制を減らし、雇用市場の柔軟化を図るなど企業誘致に総力を挙げた。安倍政権は法人税率を引き下げ、露骨な円安誘導も行い、企業のコスト負担を軽減した。その結果、高コスト・規制だらけの日本が魅力的な生産拠点に生まれ変わった。海外法人を撤収し、日本に回帰した企業は2015年だけで724社に達した。これが青年が職場を選ぶ「売り手市場」の原動力となった。

 米国はUターン企業の税金を軽減するなど積極的な政策で、7年間で1200カ所余りの海外工場を呼び戻した。そのおかげで米国で雇用が34万人分増えた。ドイツのスポーツ用品メーカー、アディダスが中国の生産ラインをドイツに移転したことも話題になった。本国復帰は先進各国の最優先政策になった。企業のUターンはトランプ政権の「米国優先主義」や日本の「アベノミクス」の重要目標でもある。

 韓国企業が海外で雇用する勤労者は286万人に達する。その10%を国内に回帰させるだけでも、政府による今年の雇用増加目標(30万人分)を軽くクリアできるはずだ。しかし、韓国企業のUターン実績は毎年1桁台で、昨年1-8月は2社にすぎなかった。韓国は規制王国、労組王国だからだ。企業が馬鹿ではない以上、韓国に戻ってくる理由はない。追い打ちをかけるように、新政権は企業の負担を増やす反企業政策を相次いで打ち出している。

 企業が世界地図を広げ、投資先を選ぶ時代だ。企業はあっという間に海外に逃げてしまい、一度逃げた企業が帰ってこない国の経済は成長できないし、雇用も生まれない。政治に溺れ、明らかな事実を直視していないだけだ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

【私の論評】韓国は金融緩和しなければ、かつての日本のように八方塞がりになるだけ(゚д゚)!

さて、確かに昨年日本では、生産拠点を海外から国内に移す企業が増え、雇用を一段と押し上げています。製造業の雇用者数は1~8月平均で1003万人と7年ぶりに大台を回復すしました。アジアの人件費上昇や円安基調が定着してきたことが背景です。正社員の採用も増えており消費へのプラス効果も見込まれています。

この主な要因は、2013年4月から始めた、量的金融緩和の成果です。そうして、これはNAIRUを理解していないと、なかなか理解できないのかもしれません。NAIRU(Non-Acceelerating Inflation Rate of Unemployment、インフレ非加速的失業率)とは、労働人口における失業者の割合のことで、自然失業率のことをいいます。 

長期的に見たときに、一定の水準で出てくる失業者の割合です。日本では2%台半ばです、アメリカでは4%程度。これは、本当に単純な原理です。このくらいのことが理解できない人が日本の経済学者・エコノミストには多過ぎます。ここがわからないと、今の雇用状況も評価できず、賃金の上がり方も予測できません。インフレ目標に対応する失業率がNAIRU。これはマクロ経済の基本です。


日本でも、安倍総理やそのブレーンの一部のみがこれを理解しているようですが、その他大勢の政治家は理解していないようです。

日本では、2013年春から金融緩和をはじめましたが、2014年春からは増税ということで、緊縮財政をはじめてしまいました。そのため、せっかくの金融緩和の腰を折ってしまいましたが、それでも金融緩和は続けていたので、今日その効果が現れてインフレ率2%は達成していないものの、失業率が低下しているのです。

ブログ冒頭の朝鮮日報の記事でも、金融緩和と雇用が関係あるなどとはつゆほども気づいていない人が記事を書いているようです。米国の雇用が良いのも、今ではそうはしていないものの、一定期間大規模な金融緩和を続けていたからです。

雇用と金融政策には、上のグラフをみてもわかる通り大きな相関関係があるのです。過去の日本では、緊縮財政と金融引締めばかりしていたので、失業率があがり、超円高になっていたのです。

過去の日本では、このようなマクロ政策である、金融政策や財政政策は全く無視されて、構造改革などのミクロ的な問題ばかりが論議になっていました。韓国でも、同様です。ブログ冒頭の記事のように、金融政策に関しては全く無視されています。

以下の韓国のNAVARの記事をみていても、それは如実に現れています。
ソウル経済 韓国は、雇用最悪なのに···米国・欧州・中国は失業率最低記録を更新中 
米国・欧州・中国・日本など、主要国が昨年の経済回復に支えられ、失業率も大幅に改善されています。 3%台の成長率の回復にもかかわらず、歴代最悪の雇用難を経験している韓国はいったいどうなっているのでしょう。 
29日、韓国企画財政部が発表した世界経済の動向によると、世界経済は昨年3.7%成長して2016年3.1%より大幅に改善されました。 景気回復は雇用への追い風につながっています。 米国は昨年10~12月、相次いで失業率4.1%を記録しましたが、これは2000年以降最も低い水準です。 
19の欧州諸国の集まりであるユーロ圏と中国の失業率も昨年3・4四半期、それぞれ8年、10年ぶりに最低値を記録しました。 日本は経済回復に生産可能人口減少があいまって、事実上完全雇用状態を実現しています。 日本は昨年に入って毎四半期2%台の失業率を見せていますが、1994年以来、最も良い姿です。

一方、韓国の失業率は昨年3.7%で、前年と同じ水準を見せました。 韓国の失業率は、グローバル金融危機が進行中だった2010年3.7%を記録した後、2013年3.1%にまで下がり、以降、再び悪化して現在の水準にとどまっています。 特に昨年、青年失業率は9.9%で、関連統計が集計された2000年以降最悪です。 
一方、米国経済は雇用や主要経済指標の好調とともに、トランプ政府の税制改編案の可決に成長傾向を持続する見通しです。 法人税と個人所得税の引き下げなどを含んでいるいる税制改編案は今年の成長率の0.25~1%ポイント上昇と貿易赤字1,500億~2,700億ドル縮小を率いると予想されました。 ただ、税収は少なくとも1兆ドル以上減少が避けられず、財政収支の悪化懸念も出ています。

中国の場合、習近平主席の政治的権力が強固化したことによる安定的な政治基盤等を踏まえ、国際的影響力が拡大されるものとみられます。 企財部はただ、過度な企業の負債などによる危険要因が共存していると評価しました。

企画財政部は今年、ユーロ圏と日本経済については「回復の勢いが維持されるが、量的緩和の縮小などと、成長の勢いが小幅に減速するもの」と見通しました。

新興国も同様に、景気回復の勢いを保っていくが、米国の金利引き上げ、先進国の中央銀行の緊縮の導入などによる資本流出の危険要素として名指しされました。
この記事では、韓国以外の国は、どの国でも現在はそうでないにしても、大規模な金融緩和政策をとっていたことは完璧に無視されています。本来は、韓国の企画財政部が積極財政をするように政府に促して、韓国中央銀行が大規模な金融緩和をして、まずは雇用を改善しなければならなのです。

韓国の就活は日本の金融緩和前の状況のように厳しい状況が続いている
まずは、雇用を改善して、構造改革などの論議はその後にすべきなのです。 それと韓国の場合は、消費税も10%になっています。これもどうにかすべきです。日本の場合は、8%で据え置かれています。韓国の場合は、減税して8%かできれば、5%にすべきです。

ブログ冒頭の記事では、「企業の海外脱出に苦しんだ日本は2000年代以降、首都圏の規制をはじめ、さまざまな規制を減らし、雇用市場の柔軟化を図るなど企業誘致に総力を挙げた。安倍政権は法人税率を引き下げ、露骨な円安誘導も行い、企業のコスト負担を軽減した。その結果、高コスト・規制だらけの日本が魅力的な生産拠点に生まれ変わった」などとしていますが、確かにそういう側面はあったかもしれません。

しかし、もしこれだけをして、金融緩和をしていなければ、雇用が改善されたり、海外に移転していた、企業が日本にもどるということもなかったでしょう。これは韓国も同様です、金融緩和をしないで日本や他の国の真似をしても、絶対に雇用が改善されることはありません。

そもそも、金融引締めと、緊縮財政ばかりしていたころの日本は異常でした。特に製造業では、日本で製造して国内で販売するよりも、日本で製造した部品を韓国や中国に輸出して、そこで組み立てて製品を日本にもってきて販売したほうが、利益がでるというような異常状態でした。

だからこそ、日本企業は海外に移転したのです。それだけ、日本の金融・財政政策は異常というか、異様だったのです。韓国からすれば、日本が極端な金融引締めをしていたので、相対的に韓国銀行は何もしなくても、金融緩和をしているようなもので、ウォン安・円高傾向が長期間維持され、経済的にみてまるでぬるま湯に浸かったような状態でした。

かつて日本が超デフレ・円高だった頃の韓国はぬるま湯に浸かっような状態
しかし、13年からは日本も異次元の金融緩和をやりだしたわけですから、そのままであれば、今度は韓国銀行が何もしなくては、金融引締めをしたような状態になり、今度はウォン高・円安傾向になるのは当たり前です。

こんなことを掲載すると、ブログ冒頭の記事のように「露骨な円安誘導」と「通貨戦争」などと言う人もでてくるかもしれませんが、それはうがった見方です。「通貨戦争」など妄想にすぎません。もし、「通貨安」を維持するために、金融緩和を続けていれば、今度はインフレになります。過度なインフレを防ぐためには、金融緩和も一定水準を超えるまでやり続けることはできません。

このような状況ですから、韓国は金融緩和しなければ、雇用はますます悪化し、ウォン高傾向になるのが当たり前ということです。まずは金融緩和しない限り、他のことを色々実行してみても、モグラたたきのような状況になります。

韓国の経済の現状は真打ちである「金融緩和」をしないで、モグラたたきをしているようなもの
何か対策をしても、今度は何か側悪くなる。そうして、悪くなったことに対して、何か対策を打てば今度はまた何かが悪くなるというような一昔前の日本のような八方塞がりの状況にあります。

それにしても、現在の日本は金融緩和を続けていますが、一歩間違えば、また金融引締めに走り、韓国のようになってしまう可能性もあります。まざに、人の振り見て我が振り直せというところだと思います。

韓国が金融緩和をすべきというと、韓国は経済構造が遅れていから無理とか、キャピタルフライトするからできないなどと言う人もいますが、遅れた経済の中で、金融緩和をしないでいれば、ますます経済は悪くなります。

また、実際にキャピタルフライトしたかつてのアイスランドと比較すれば、韓国の家計など借金は多いですが、それにしても海外からの借金の比率は低いですから、まだキャピタルフライトを心配するような水準ではないです。

韓国は、金融緩和をして積極財政をして、まずは内需を拡大して、雇用を改善すべきなのです。

韓国は、2013年からの日本のように異次元の金融緩和をすれば、劇的に雇用や経済が改善されることでしょう。はやく実行すべきです。

そうして金融緩和をして雇用を改善した政権は、文政権であれ、他の政権であれ、日本の安倍政権のように国民から支持されることになります。そうなれば、韓国もかなり安定して、極端な反日キャンペーンをしなくてもすむようになり、赤化の危機から脱却することになります。とにかく、国民にとっては経済の安定がまずは第一です。経済、特に雇用が不安定であれば、北からつけこまれやすくなります。

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