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2018年2月17日土曜日

【社説】本国Uターン企業、韓国2社・日本724社という現実―【私の論評】韓国は金融緩和しなければ、かつての日本のように八方塞がりになるだけ(゚д゚)!


ロボット導入でも、人手不足変わらず? 日本の製造業の実状
昨年、日本の製造業による雇用が7年ぶりに1000万人を突破した。海外に移転した工場が続々と日本国内にUターンしたことが主な理由だという。日本政府の調査によると、1年間で海外に生産設備を持つ日本企業の11.8%が生産を何らかの形で日本に移転した。トヨタや日産は年産10万台規模の北米の生産ラインを日本に移転した。資生堂も35年ぶりに日本国内に工場を建設することを決めた。大企業から中小企業まで、規模や業種を問わずに企業の「本国復帰」がブームとなっている。

 日本企業のUターンは日本がそれだけ企業が経営しやすい環境に変わったことを示している。企業の海外脱出に苦しんだ日本は2000年代以降、首都圏の規制をはじめ、さまざまな規制を減らし、雇用市場の柔軟化を図るなど企業誘致に総力を挙げた。安倍政権は法人税率を引き下げ、露骨な円安誘導も行い、企業のコスト負担を軽減した。その結果、高コスト・規制だらけの日本が魅力的な生産拠点に生まれ変わった。海外法人を撤収し、日本に回帰した企業は2015年だけで724社に達した。これが青年が職場を選ぶ「売り手市場」の原動力となった。

 米国はUターン企業の税金を軽減するなど積極的な政策で、7年間で1200カ所余りの海外工場を呼び戻した。そのおかげで米国で雇用が34万人分増えた。ドイツのスポーツ用品メーカー、アディダスが中国の生産ラインをドイツに移転したことも話題になった。本国復帰は先進各国の最優先政策になった。企業のUターンはトランプ政権の「米国優先主義」や日本の「アベノミクス」の重要目標でもある。

 韓国企業が海外で雇用する勤労者は286万人に達する。その10%を国内に回帰させるだけでも、政府による今年の雇用増加目標(30万人分)を軽くクリアできるはずだ。しかし、韓国企業のUターン実績は毎年1桁台で、昨年1-8月は2社にすぎなかった。韓国は規制王国、労組王国だからだ。企業が馬鹿ではない以上、韓国に戻ってくる理由はない。追い打ちをかけるように、新政権は企業の負担を増やす反企業政策を相次いで打ち出している。

 企業が世界地図を広げ、投資先を選ぶ時代だ。企業はあっという間に海外に逃げてしまい、一度逃げた企業が帰ってこない国の経済は成長できないし、雇用も生まれない。政治に溺れ、明らかな事実を直視していないだけだ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

【私の論評】韓国は金融緩和しなければ、かつての日本のように八方塞がりになるだけ(゚д゚)!

さて、確かに昨年日本では、生産拠点を海外から国内に移す企業が増え、雇用を一段と押し上げています。製造業の雇用者数は1~8月平均で1003万人と7年ぶりに大台を回復すしました。アジアの人件費上昇や円安基調が定着してきたことが背景です。正社員の採用も増えており消費へのプラス効果も見込まれています。

この主な要因は、2013年4月から始めた、量的金融緩和の成果です。そうして、これはNAIRUを理解していないと、なかなか理解できないのかもしれません。NAIRU(Non-Acceelerating Inflation Rate of Unemployment、インフレ非加速的失業率)とは、労働人口における失業者の割合のことで、自然失業率のことをいいます。 

長期的に見たときに、一定の水準で出てくる失業者の割合です。日本では2%台半ばです、アメリカでは4%程度。これは、本当に単純な原理です。このくらいのことが理解できない人が日本の経済学者・エコノミストには多過ぎます。ここがわからないと、今の雇用状況も評価できず、賃金の上がり方も予測できません。インフレ目標に対応する失業率がNAIRU。これはマクロ経済の基本です。


日本でも、安倍総理やそのブレーンの一部のみがこれを理解しているようですが、その他大勢の政治家は理解していないようです。

日本では、2013年春から金融緩和をはじめましたが、2014年春からは増税ということで、緊縮財政をはじめてしまいました。そのため、せっかくの金融緩和の腰を折ってしまいましたが、それでも金融緩和は続けていたので、今日その効果が現れてインフレ率2%は達成していないものの、失業率が低下しているのです。

ブログ冒頭の朝鮮日報の記事でも、金融緩和と雇用が関係あるなどとはつゆほども気づいていない人が記事を書いているようです。米国の雇用が良いのも、今ではそうはしていないものの、一定期間大規模な金融緩和を続けていたからです。

雇用と金融政策には、上のグラフをみてもわかる通り大きな相関関係があるのです。過去の日本では、緊縮財政と金融引締めばかりしていたので、失業率があがり、超円高になっていたのです。

過去の日本では、このようなマクロ政策である、金融政策や財政政策は全く無視されて、構造改革などのミクロ的な問題ばかりが論議になっていました。韓国でも、同様です。ブログ冒頭の記事のように、金融政策に関しては全く無視されています。

以下の韓国のNAVARの記事をみていても、それは如実に現れています。
ソウル経済 韓国は、雇用最悪なのに···米国・欧州・中国は失業率最低記録を更新中 
米国・欧州・中国・日本など、主要国が昨年の経済回復に支えられ、失業率も大幅に改善されています。 3%台の成長率の回復にもかかわらず、歴代最悪の雇用難を経験している韓国はいったいどうなっているのでしょう。 
29日、韓国企画財政部が発表した世界経済の動向によると、世界経済は昨年3.7%成長して2016年3.1%より大幅に改善されました。 景気回復は雇用への追い風につながっています。 米国は昨年10~12月、相次いで失業率4.1%を記録しましたが、これは2000年以降最も低い水準です。 
19の欧州諸国の集まりであるユーロ圏と中国の失業率も昨年3・4四半期、それぞれ8年、10年ぶりに最低値を記録しました。 日本は経済回復に生産可能人口減少があいまって、事実上完全雇用状態を実現しています。 日本は昨年に入って毎四半期2%台の失業率を見せていますが、1994年以来、最も良い姿です。

一方、韓国の失業率は昨年3.7%で、前年と同じ水準を見せました。 韓国の失業率は、グローバル金融危機が進行中だった2010年3.7%を記録した後、2013年3.1%にまで下がり、以降、再び悪化して現在の水準にとどまっています。 特に昨年、青年失業率は9.9%で、関連統計が集計された2000年以降最悪です。 
一方、米国経済は雇用や主要経済指標の好調とともに、トランプ政府の税制改編案の可決に成長傾向を持続する見通しです。 法人税と個人所得税の引き下げなどを含んでいるいる税制改編案は今年の成長率の0.25~1%ポイント上昇と貿易赤字1,500億~2,700億ドル縮小を率いると予想されました。 ただ、税収は少なくとも1兆ドル以上減少が避けられず、財政収支の悪化懸念も出ています。

中国の場合、習近平主席の政治的権力が強固化したことによる安定的な政治基盤等を踏まえ、国際的影響力が拡大されるものとみられます。 企財部はただ、過度な企業の負債などによる危険要因が共存していると評価しました。

企画財政部は今年、ユーロ圏と日本経済については「回復の勢いが維持されるが、量的緩和の縮小などと、成長の勢いが小幅に減速するもの」と見通しました。

新興国も同様に、景気回復の勢いを保っていくが、米国の金利引き上げ、先進国の中央銀行の緊縮の導入などによる資本流出の危険要素として名指しされました。
この記事では、韓国以外の国は、どの国でも現在はそうでないにしても、大規模な金融緩和政策をとっていたことは完璧に無視されています。本来は、韓国の企画財政部が積極財政をするように政府に促して、韓国中央銀行が大規模な金融緩和をして、まずは雇用を改善しなければならなのです。

韓国の就活は日本の金融緩和前の状況のように厳しい状況が続いている
まずは、雇用を改善して、構造改革などの論議はその後にすべきなのです。 それと韓国の場合は、消費税も10%になっています。これもどうにかすべきです。日本の場合は、8%で据え置かれています。韓国の場合は、減税して8%かできれば、5%にすべきです。

ブログ冒頭の記事では、「企業の海外脱出に苦しんだ日本は2000年代以降、首都圏の規制をはじめ、さまざまな規制を減らし、雇用市場の柔軟化を図るなど企業誘致に総力を挙げた。安倍政権は法人税率を引き下げ、露骨な円安誘導も行い、企業のコスト負担を軽減した。その結果、高コスト・規制だらけの日本が魅力的な生産拠点に生まれ変わった」などとしていますが、確かにそういう側面はあったかもしれません。

しかし、もしこれだけをして、金融緩和をしていなければ、雇用が改善されたり、海外に移転していた、企業が日本にもどるということもなかったでしょう。これは韓国も同様です、金融緩和をしないで日本や他の国の真似をしても、絶対に雇用が改善されることはありません。

そもそも、金融引締めと、緊縮財政ばかりしていたころの日本は異常でした。特に製造業では、日本で製造して国内で販売するよりも、日本で製造した部品を韓国や中国に輸出して、そこで組み立てて製品を日本にもってきて販売したほうが、利益がでるというような異常状態でした。

だからこそ、日本企業は海外に移転したのです。それだけ、日本の金融・財政政策は異常というか、異様だったのです。韓国からすれば、日本が極端な金融引締めをしていたので、相対的に韓国銀行は何もしなくても、金融緩和をしているようなもので、ウォン安・円高傾向が長期間維持され、経済的にみてまるでぬるま湯に浸かったような状態でした。

かつて日本が超デフレ・円高だった頃の韓国はぬるま湯に浸かっような状態
しかし、13年からは日本も異次元の金融緩和をやりだしたわけですから、そのままであれば、今度は韓国銀行が何もしなくては、金融引締めをしたような状態になり、今度はウォン高・円安傾向になるのは当たり前です。

こんなことを掲載すると、ブログ冒頭の記事のように「露骨な円安誘導」と「通貨戦争」などと言う人もでてくるかもしれませんが、それはうがった見方です。「通貨戦争」など妄想にすぎません。もし、「通貨安」を維持するために、金融緩和を続けていれば、今度はインフレになります。過度なインフレを防ぐためには、金融緩和も一定水準を超えるまでやり続けることはできません。

このような状況ですから、韓国は金融緩和しなければ、雇用はますます悪化し、ウォン高傾向になるのが当たり前ということです。まずは金融緩和しない限り、他のことを色々実行してみても、モグラたたきのような状況になります。

韓国の経済の現状は真打ちである「金融緩和」をしないで、モグラたたきをしているようなもの
何か対策をしても、今度は何か側悪くなる。そうして、悪くなったことに対して、何か対策を打てば今度はまた何かが悪くなるというような一昔前の日本のような八方塞がりの状況にあります。

それにしても、現在の日本は金融緩和を続けていますが、一歩間違えば、また金融引締めに走り、韓国のようになってしまう可能性もあります。まざに、人の振り見て我が振り直せというところだと思います。

韓国が金融緩和をすべきというと、韓国は経済構造が遅れていから無理とか、キャピタルフライトするからできないなどと言う人もいますが、遅れた経済の中で、金融緩和をしないでいれば、ますます経済は悪くなります。

また、実際にキャピタルフライトしたかつてのアイスランドと比較すれば、韓国の家計など借金は多いですが、それにしても海外からの借金の比率は低いですから、まだキャピタルフライトを心配するような水準ではないです。

韓国は、金融緩和をして積極財政をして、まずは内需を拡大して、雇用を改善すべきなのです。

韓国は、2013年からの日本のように異次元の金融緩和をすれば、劇的に雇用や経済が改善されることでしょう。はやく実行すべきです。

そうして金融緩和をして雇用を改善した政権は、文政権であれ、他の政権であれ、日本の安倍政権のように国民から支持されることになります。そうなれば、韓国もかなり安定して、極端な反日キャンペーンをしなくてもすむようになり、赤化の危機から脱却することになります。とにかく、国民にとっては経済の安定がまずは第一です。経済、特に雇用が不安定であれば、北からつけこまれやすくなります。

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2017年11月9日木曜日

未来がなくなった亡国への光景 韓国の若者、楽して暮らせる公務員「最低職位」試験に殺到―【私の論評】ポスト安倍は日本も韓国並に八方塞がりに(゚д゚)!

未来がなくなった亡国への光景 韓国の若者、楽して暮らせる公務員「最低職位」試験に殺到

韓国の若者に「公務員志望」が高まっているという(写真と本文は関係ありません)
 韓国で「公務員志望」の熱気がますます高まっている。といって、国を牽引(けんいん)するような大志を抱いて上級職試験を受けるのではない。「一生楽して暮らせるから」と、若者が9級職(=最低職位)の試験合格を懸命に目指す。これは「亡国への光景」だ。

 韓国に「労働者と北朝鮮のための政権」が誕生して半年余。「北朝鮮のため」は、安保主権を中国に委ねるようなコウモリ外交に象徴されるとおり着々と進んでいるが、「労働者のため」は、有効求人倍率が8月の0・68から9月には0・62に落ちるなど思うに任せない。

 最低賃金は2018年から16%アップするが、玉突き型に賃金レベル全体に上がるのは必至だ。それで民間部門からは「人員削減不可避」の声が聞こえてくる。

 そうした中で、韓国の公務員は恵まれすぎている。

 官庁系シンクタンクの分析によると、9級職でいいから公務員になれば、退職までに15億ウォン(約1億5300万円)を超える収入を得られるが、小企業(従業員49人以下)に入ったら生涯賃金は8億ウォン(約8200万円)に届かない。

 中企業よりはしっかりした中堅企業(同300~999人)に入ったところで、生涯賃金は9級合格者より4億8756万ウォン(約4990万円)少ない。

 大企業(同1000人以上)なら、9級職合格者を6875万ウォン(約700万円)上回るが、大手財閥系に入社できる新卒者は2%に届かない。いまをときめく大手財閥とて「財閥キラー政権」が続けば、どうなるか分かったものではない。上級職公務員試験は難し過ぎる。
それで、国立ソウル大学の卒業者まで、最低職位の公務員試験に殺到するわけだ。2009年の法律改正により、公務員試験の年齢制限が撤廃されてからは、“晩年受験者”も増えている。財閥系に就職したものの「45停」(サオジョン)とも「名誉退職」とも呼ばれる「早期肩たたき」に遭った人々も、9級職公務員を目指す。

 だから、このところの9級職試験の倍率は50倍以上。地方で1人か2人の補充募集があると倍率1000倍といったこともある。

 9級職は、少数の例外はあれ、普通は定年まで勤めても7級までしか出世しない。日本で言えば「主事」だ。

 一昔前の韓国は、会う大学生のほとんどが、李王朝で言えば「両班」(ヤンバン)を目指していた。つまり上級職公務員か大手財閥の社員だ。

 それに比べると、今や韓国の大学生は「そうだ! 中人(チュンイン)を目指そう」に変わった。中人とは両班の下にいた宮廷の吏員だ。中人だって、両班ほどではないにしても、常民(サンミン)、奴婢(ノビ)に対しては威張り散らしていた。アァ、7~9級職公務員とは、官尊民卑が続く現代韓国で、李王朝の中人に値するのだ。

 日本には「どうして1番でなくてはダメなのですか」とわめき散らした政治家がいた。1番を目指したところで1番になれるものではないのに…。若者が初めから「中人」を目指す国に、未来があろうはずはない。

 ■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。主な著書に「韓国人の経済学」(ダイヤモンド社)、「悪韓論」(新潮新書)、「呆韓論」(産経新聞出版)、「ディス・イズ・コリア」(同)などがある。

【私の論評】ポスト安倍は日本も韓国並に八方塞がりに(゚д゚)!

韓国統計庁発表によると、韓国の8月の若年層の失業率は9・4%と、アジア通貨危機後の1999年8月の10・7%に次ぎ、8月の数字としては最悪になりました。ちなみに、韓国の若年層の失業率は「15歳から29歳」の労働市場参加者が対象で、ILO(国際労働機関)やOECDの15歳から24歳よりも定義が広くなっている(=というわけで、若年層失業率ではなく『青年失業率』と呼ぶ)。

25歳から29歳の若者は、24歳未満よりも働いている可能性が高いです。韓国の若年層の失業率ならぬ青年失業率は、実態よりも低く見えてしまいます。

OECDの統計によると、2016年の韓国の若年層失業率は10・7%と、2ケタに達していました。ILOやOECDの定義(15-24歳)で見ると、韓国の直近の若年層失業率は12%を上回っている可能性が極めて濃厚です。

現在の韓国では、失業者の4割を若年層が占めます。しかも、就業経験が全くない若年層が増え続けているわけですから、事態は深刻です。同国では、就業経験を一切持たない失業者の8割超を、若年層が占めています。

韓国銀行
なぜ、韓国の若者の雇用機会が減少しているのか。最大の理由は、韓国銀行(韓国の中央銀行、日本の日銀にあたる)が雇用情勢がこれだけ悪化しているにもかかわらず、量的緩和をしないからです。

実際、本日も以下のようなニュースがありました。
成長率とインフレ上昇見通しが金融政策の調整を支援=韓国中銀 
韓国銀行(中央銀行)は9日、半期に一度の金融政策報告を発表し、国内経済が潜在成長率に近づいており、インフレ率も上昇が見込まれることから、金融緩和政策の調整が可能になってきたとの見解を示した。 
中銀は「経済成長率は潜在成長率に向かって好転している一方、インフレ率は目標水準を目指して上昇すると予想されており、低成長と低インフレに取り組むため緩和的に維持されてきた金融政策の調整が徐々に可能になってきている」と分析している。 
第3・四半期の韓国国内総生産(GDP)速報値が過去7年余りで最も大幅な伸びを記録したことを受け、市場関係者は中銀が11月30日の金融通貨委員会で6年超ぶりの利上げを実施するとの予想で一致している。 
中銀は2012年から8回の利下げを実施し、10月19日の委員会では政策金利を過去最低水準の1.25%に据え置いた。 
金融政策報告はまた、現在の成長モメンタムが持続的かどうかを判断するため、中銀が経済動向を注意深く見守っていくとしている。
このニュースからうかがえるのは、韓国銀行がまともに機能していないことです。まず第一に「国内経済が潜在成長率に近づいており、インフレ率も上昇が見込まれることから、金融緩和政策の調整が可能になってきた」という韓国銀行の発言です。これは、全くおかしいです。インフレ率の上昇が見込まれるから金融緩和政策の調整が可能になってきたのではなく、そもそも中央銀行の金融緩和策によって、インフレ率が決まるはずです。

さらに、これだけ雇用が悪化しているにもかかわらず、直近で実施する金融緩和策は、量的緩和ではなく、質的緩和である利上げです。

これでは、雇用情勢を改善することはできません。どうも韓国の金融政策はおかしいです。

韓国中央銀行は、国の中央銀行としては珍しく、2004年から4年間、世界唯一の赤字中央銀行となっていました(なお、2015年にはスイス国立銀行が赤字決算となっている)。これは、市場に流通されている通貨量を調節する目的で発行される通貨安定証券の過多発行と、それにもとづく利子負担によるもので、この時期の通貨安定証券の過多発行は、為替の値下がりを防ぐため行われたものとされています。しかし、これも良くわかりません。

また、1997年のアジア通貨危機当時、韓国銀行は、外貨を国内の市中銀行に貸し出すなどして、公表されていた外貨準備高を確保していなかったことが、アメリカ合衆国・連邦準備理事会のアラン・グリーンスパン議長(当時)の回顧録で明らかとなっています。

韓国銀行は中央銀行としてどうもまともに機能していないようです。日本でも、日銀が現在の黒田体制になる前の白川体制以前では、日銀はまともに機能していませんでした。

金融通貨委員会を取りまとめる李柱烈(イ・ジュヨル)韓国銀行総裁=11日、ソウル
特に、日本国の金融政策を決定す審議会のメンバーが、とても金融政策を理解しているとも思えないようなメンバーがほとんどでした。これらのメンバーのほとんどが、なにかといえば金融引締め策を実施したため、本来金融緩和をすべきときにも引き締め策を堅持しました。

そのため、日本は円高傾向となり、デフレスパイラルのどん底に沈み込み、雇用もかなり悪化しました。韓国では、金融通貨委員会が韓国の金融政策を決定するようですが、この委員会もかつての日銀の審議会のようにまともに機能していないのだと思います。

韓国では、金融政策を疎かにしているようでは、かつての日本のように雇用が改善されることはありません。一刻もはやく金融緩和すべきです。韓国は、金融緩和すべきといういうと、緩和すればキャピタル・フライトがおこるということを主張する人もいますが、韓国の場合はその心配はないと思います。

これに関しては以前もこのブログに掲載したことがあります。結論らかいうと、韓国は金融緩和してもキャピタル・フライトは、おきません。かつてキャピタルフライトの起きた国としてアイスランドは有名です。

その頃アイスランドはGDP比で700%もの外貨建ての借金をしていました。しかし、当時のアイスランドの政府債務対GDP比は29%しかありませんでした。この700%もの債務は一体誰が負っていたのでしょうか。

アイスランド政府の借金でないのであれば、あとは民間しかありません。この膨大な対外の外貨建て債務は国内の金融機関が負っていた負債でした。

このような国であれば、当然のことながらキャピタルフライとは起こりえます。そうして、実際アイスランドではそれが起こったのです。

韓国銀行は2月22日、韓国の対外債権が前年比638億ドル増の7843億ドルとなったのに対し、対外債務は151億ドル減の3809億ドルだったと発表しました。

対外債務では長期対外債務が160億ドル減少し、短期対外債務は8億ドル増えました。外貨準備高(3711億ドル)に占める短期対外債務(1052億ドル)の割合は28.3%で前年と同じでした。同割合は2013年の32.3%、14年の32.0%、15年の28.3%と年々低下してきました。1997年の通貨危機当時(283.1%)、2008年の金融危機当時(79.3%)に比べるとはるかに低い水準です。

この程度の対外債務であれば、どう考えても金融緩和したからといって、キャピタルフライトを起こすことはありません。

にもかかわらず、量的金融緩和をしないのは、やはり、韓国では日本のように、金融政策と雇用が密接に結びついているということを理解しない人が、政治家やマスコミにも多いということだと思います。


日本では、幸いなことにこれを理解している安倍総理や菅官房長官など政府中枢に存在するので、最近は未だ十分とはいえないまでも、日銀の金融政策はまともになってきました。

しかし、ポスト安倍ではこの二人も政権では中枢に居続けることはできないでしょう。そうなると、日本も韓国なみに金融政策が機能しなくなり、また雇用がかなり悪化する恐れがあります。雇用の悪化だけではなく、またデフレスパイラルのどん底に沈み、円高に逆戻りです。

そうなる可能性はかなり高いと思います。ブログ冒頭の記事で、室谷克実(むろたに・かつみ)氏は、韓国の雇用情勢の劣悪さについては詳細に語っていますが、その原因や韓国がすべきことについては何も語っていません。というより、金融政策と雇用政策について室谷氏の頭の中では何の連関性もないのでしょう。

日本でも、室谷氏のような人のほうが一般的です。雇用の悪さと、中央銀行を結びつけて考える人は多くないです。そうして、無論韓国内でも、そのような人は皆無に近く、何かといえば、構造改革ばかり叫ぶ人が多いです。

韓国では、金融緩和策が実施されていないことが、様々な歪みを生んでいるのは間違いないです。まずは、雇用の極度の悪化、家計の借金の悪化、ウォン高、その他諸々です。

私は、韓国政府による反日活動も、これに関係していると思います。そもそも、金融緩和策がまともになされていれば、国民の不満もさほどではないですが、現状ではそうではなく、多くの国民が八方塞がりになっていて、憤怒のマグマがいつ吹き出してもおかしくない状況です。その憤怒のマグマを自分たちに向かせることなく、日本を悪者にしたてて、日本に向けるようにしたのが、韓国の反日でもあります。

まともな金融緩和策を実行すれば、国民にも余裕でき、政府も極端な反日などしなくてもすむようになります。国民と政府との関係も余裕ができ、今よりはかなり良くなります。現状では、国民の不満が増すばかりで、その不満に乗じて、北の勢力が浸透しやすくなっています。

しかし、今日の韓国は金融緩和はせず、そうして国民から政府まで皆が八方塞がりに陥っているのです。

ポスト安倍は今のままでは、金融引締めを繰り返すようになり、現在の韓国のように八方塞がりになる可能性が高いです。

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2016年1月13日水曜日

尖閣防衛へ海自派遣も 激増する中国の領海侵入を“牽制” ―【私の論評】劇場型政治に限界が見えてきた八方塞がりのどん詰まり習近平(゚д゚)!

尖閣防衛へ海自派遣も激増する中国の領海侵入を“牽制”

尖閣周辺を航行する中国海警局の船。機関砲を搭載している

 安倍晋三政権が、沖縄県・尖閣諸島を断固として守る決意を示した。中国軍艦が周辺の領海に侵入した場合、自衛隊に海上警備行動を発令して対処する考えを示したのだ。ただ、十分な対応を可能にするには、武器使用基準の見直しなど、課題が残っているようだ。

 「警察や海上保安庁の対応が困難な場合は、自衛隊が対応するのが原則だ」

 中谷元(げん)防衛相は12日の記者会見で、こう語った。

 中国が、東シナ海海空域での活動を激化させている。民主党政権下での尖閣国有化(2012年9月)以来、中国公船の領海や接続水域への侵入は激増しており、15年の領海侵入は35日もあった。

 加えて、中国海警局の公船に機関砲が搭載されるなど、武装も強化されている。この公船は、中国海軍のフリゲート艦を改造したものとみられ、武力で尖閣を強奪する可能性も指摘されているのだ。

 こうしたなか、日本政府は昨年5月、安全保障法制を閣議決定した際、武装集団による離島への不法上陸や無害通航に該当しない外国軍艦の航行に関し、海上警備行動を迅速に発令すると決め、閣僚に電話で了解を取り付ける閣議決定の方式を導入した。

 海上警備行動は、「有事」の防衛出動とは異なり、武器使用に一定の制限があるが、警告射撃などが可能になる。過去には1999年の北朝鮮工作船事件や、2004年の中国原子力潜水艦による領海侵入、09年のソマリア沖の海賊対処の際に発令されている。

 冒頭の中谷氏の発言は、一連の対処方針に基づき、自衛隊が行動する意思を示すことで中国側を牽制する狙いがある。すでに、政府が中国側に方針を伝えたという報道もある。

 航空自衛隊南西航空混成団司令を務めた佐藤守・元空将(軍事評論家)は「自国への侵害には断固として立ち向かう-という、国際常識に照らして当たり前の姿勢を示した」といい、続けた。

 「南シナ海の現状でも分かるが、中国は弱みを見せたらどんどん出てくる。日本は専守防衛の実態を示さなければならない。これまで、憲法にとらわれて控えめすぎた。国民の生命と財産を守るためにも、武器使用基準の見直しなど、法整備も進めるべきだ」

【私の論評】劇場型政治に限界が見えてきた八方塞がりのどん詰まり習近平(゚д゚)!

中国の公船は、つい最近まで、武装はしていなかったのですが、昨年の暮れあたりから機関砲で武装した公船が、尖閣付近を航行するようになりました。

そうして、この動きはこれからさらにエスカレートすることはあっても静まることはありません。以下にこれを主張する証拠ともなると考えられる記事を掲載します。
中国、海軍艦改造し尖閣海域投入 機関砲を搭載
2014年1月に撮影された中国海軍のフリゲート艦「539安慶号」(上、共同)。
下は昨年12月22日に沖縄県・尖閣諸島周辺の接続水域を航行する中国海警局の
「海警31239」(第11管区海上保安本部提供)。
機関砲を搭載している 
沖縄県・尖閣諸島周辺の領海外側にある接続水域で先月下旬に初めて航行が確認された機関砲のようなものを搭載した中国海警局の船が、中国海軍のフリゲート艦を改造した船だったことが5日分かった。 
中国の軍事情報を伝える香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターは、3隻のフリゲート艦が既に改造を終え、他に2隻の駆逐艦が改造中で、計5隻が尖閣海域に投入される可能性があると明らかにした。中国が領有権をさらに強硬に主張しようとする姿勢の表れと言え、緊張が高まりそうだ。
中国海軍の 053H2G 型ミサイル・フリゲート(江衛I型(江卫I级)、ジャンウェイI型)3隻と、051型ミサイル駆逐艦(旅大I型(旅大I级)、ルダI型)2隻が退役し、ミサイル発射装置を下ろすなどの改装を行い、中国海警局に移管されます。

フリゲート3隻はすでに海警船としての運用が確認されています。053H2G型。

「海警31239」、もと「539 安慶( 安庆)」艦。
「海警31241」、もと「541 淮北」艦。
「海警31240」、もと「540 淮南」艦。

改造中の051型ミサイル駆逐艦「131 南京」艦と「162 南寧(南宁)」艦かもしれません。

もしそうだとすれば、機関砲は、武装のうちの60口径37mm連装機関砲を4基全部あるいは前後2基だけを残すか、あるいは、辺防海警部隊の警備船にも装備されている新しい機関砲に載せかえることが考えられます。

機関砲を載せた退役軍艦の海警船というと、数年前に 053H型フリゲート(江滬I型、ジャンフーI型)「509 常德」と「510 紹興(绍兴)」の2隻が、公安部辺防海警部隊に移管され「海警1002」「海警1003」となっている。その後、中国海警局の正式成立によって「海警44102」(広東省)「海警46103」(海南省)と改名された。

いずれにせよ、中国側がこのような行動をするのですから、日本としてもこれに備えなければならないのは当然の措置でしょう。

それにしても、中国がこのような行動に出るにはそれ相当の理由があります。それに関しては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国海軍、尖閣接近のウラ 米爆撃機の威嚇に習政権“苦肉の策”か ―【私の論評】日本と戦争になれば、自意識過剰中国海軍は半日で壊滅!東シナ海で傍若無人ぶりを働けば撃沈せよ(゚д゚)!
B52を空母に搭載するとこんな感じです 合成写真
これは、去年11月16日の記事です。詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では、中国海軍のドンディアオ級情報収集艦が、尖閣付近を単なる通過ではなく、1日で東西に反復航行したのは特異な航行な航行をしたことを掲載しました。

そうして、この記事では、中国艦船が尖閣付近でこのような異常な行動をした背景も掲載しました。その部分についてのみ以下に掲載します。
中国といえば、南シナ海の岩礁を国際法を無視して軍事基地化したことをめぐって、米国と緊張関係にある。
米軍は「航行の自由」と「法の支配」を守るため、先月27日、イージス駆逐艦「ラッセン」を派遣したうえ、米原子力空母「セオドア・ルーズベルト」をマレーシア沖で航行させて中国をけん制した。 
今月8~9日(ブログ管理人注:昨年11月)には、グアムから飛び立った、核爆弾搭載可能なB52戦略爆撃機2機が、南シナ海の人工島近くを飛行するなど、圧力を強めている。中国軍は、こうした米軍の攻勢に目立った動きをみせていない。 
こうしたなか、少し離れた東シナ海で特異な航行をしたのはなぜなのか。
軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「情報収集艦の航行は、南シナ海での動きと連動しているとみて間違いない」といい、続けた。 
「中国は、米国が艦船だけでなく、戦略爆撃機まで投入するとは思っていなかったはずだ。対抗措置を取らなければ、中国のメンツが立たないうえ、国内世論の反発を食らう。といって、緊迫する南シナ海で下手に動けば、軍事力で歴然の差がある米軍と衝突する事態になりかねない 
「苦肉の策として導き出したのが、東シナ海への艦艇派遣だったのだろう。『自衛隊が相手ならば、大きな事態にならない』と考えたのではないか。それだけ、米軍の『フリーダム・オブ・ナビゲーション(航行の自由)作戦』で追い詰められているということだ」
そうして、昨年12月には、米軍のB52戦略爆撃機が、南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島で、中国が「領海」と主張する人工島周辺12カイリ(約22キロ)内上空を誤って飛行したことを明らかにしました。中国側から「2カイリ内」だったと抗議を受けたとしています。これは、無論誤って飛行したということは、あり得ないと思います。

怒り心頭に達した米国が、意図して意識してB52を飛行させたのだと思います。もし中国側が主張する「2カイリ内」というのであれば、これは真上を通過したと言ってもいいくらいです。その後12月22日に、機関砲4丁を装備し、しかもそれをむき出しにした公船を尖閣付近に航行させています。

この図式は、もうはっきりしました。南シナ海で米国が中国に対して、報復措置とると、中国としては、もともと手も足もでない、恐ろしい米国に対しては直接行動が取れないので、尖閣付近で何かをやらかして、牽制するという動きに出ているということです。

この動きは、ますます加速するものと思います。一連の中国の行動は、習近平の劇場型政治手法によるものです。超大国妄想を国民に対して演じてみせたわけですが、ご存知のようにそれは失敗に終わりつつあります。

今のままでは習近平は八方塞がりの閉塞感に苛まされることになります。米国に本気で対峙すれば、程なく米中の軍事力や経済力の差異は明々白々となり、対国内的にも非常にまずいことになります。

だから、憲法や法律の縛りのある、日本なら、何とか与することができると考え、ある程度武装した元フリゲート艦を尖閣付近に派遣して、中国の優位を見せつけようと考えのです。しかし、フリゲート艦や潜水艦を本格的に派遣するつりはないようです。

こんなことをしてまえば、それこそ、安倍内閣を憤慨させ、自衛隊が尖閣付近に出てくるようになれば、中国海軍は太刀打ちできません。惨敗するのは目に見えています。

しかし、それに対して、安倍総理はブログ冒頭の記事のように、沖縄県・尖閣諸島を断固として守る決意を示しました。中国軍艦が周辺の領海に侵入した場合、自衛隊に海上警備行動を発令して対処する考えを示したのです。これは、習近平の大きな誤算だったことでしょう。

そもそも、習近平にとって最も恐れていたことは、安倍政権が自衛隊を用いて、尖閣付近から中国の勢力を一掃することでした。もし、そんなことをされれば、脆弱な中国海軍は、日本の自衛隊にも全く太刀打ちできず、脆弱な本質を白日のもとにさらすことになります。

これを考がえると、習近平は劇場型政治で何とか乗り切ろうとしていたのですが、米国には牙を向かれ、日本だけはと考えたいたにもかかわらず、日本にさえ、牙を向かれ完全に八方塞がりになりました。

70周年抗日記念軍事パレードで、左手で敬礼をした習近平
日本が、尖閣付近に海上自衛隊など派遣して、中国と対峙することにでもなれば、中国海軍になすすべはありません。早々に中国の港に逃げざるをえなくなることでしょう。

日本では、なぜか中国の力を過大に評価をする人も多いですが、このブログにも何度か掲載したように、純粋に軍事的には中国海軍、空軍などは未だ自衛隊の敵ではありません。

そうして、自衛隊が尖閣付近で中国と対峙して、攻撃などすれば、戦争になるなどと思い込む人も多いようです。しかし、明らかな領海侵犯をして、艦船が撃沈されたからといって、すぐにそれで戦争になるなどということはありません。あるいは、明らかに領空侵犯をしたからといって、すぐそれで戦争になるということもありません。

世界の常識では、ある国が領空侵犯、領海侵犯されたから、これを攻撃して墜落させたり、撃沈したとしても、それは侵犯した側が悪いということで、何ら非難の対象にもなりません。侵犯が明らかなら、侵犯した側が悪いとされるだけです。

日本も例外ではありません。日本の領空、領海に侵犯があれば、これに対処して、呼びかけや、警告を行い、それでも退去しない場合は、当然、撃墜、撃沈するだけのことです。

過去の中国の行動をみていれば、中国艦船を撃沈しても戦争にならないでしょうが、日本側が、いかなる場合も撃沈というなら、どんどん増長して、いずれ尖閣に上陸、沖縄に上陸ということになると思います。

実体経済もダメ、金融も空洞化、株安、軍事的には南シナ海での米国の報告、さらに尖閣付近では、安倍総理の報復にあいそうです。

今頃習近平は八方塞がりのどん詰まりに苦しんでいることでしょう。根拠のない超大国妄想を演じて見せてきた、いままでつけが回ってきたようです。近いうちに習近平体制は崩れることでしょう。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2012年11月25日日曜日

【財務省】真砂体制の小括―【私の論評】確かに、ほとんどの勢力が安部叩きに走っている!!

【財務省】真砂体制の小括(倉山満):

安倍総裁の敵は、民主党だけではない!!
安倍さんの敵を確認してみよう。

公明党、民主党の大半、自民党の四分の三(特に石破幹事長)、
財界、産経を含めた五大紙。

彼らは、白川法王と日銀貴族の前に右へならえをしている。敵は安倍さんに内閣を明け渡し、参議院で嬲り者にする気満々。現在の状況、安倍さんは八方のうち七方くらいは塞がっている。残りのひとつは日銀のみ。

だから、「金融緩和」「日銀法改正」を繰り返し、選挙の争点にしようとしている。
さて、政局を読むのに必読なのはこれ。

今週の『文春』、というか「今週の飯島勲」は「俺は安倍支持だが、今回の野田は見事」と。


安倍さんとしては味方につけるとしたら二つ。ひとつは国民の支持。とにかく衆議院と参議院で多数を持たないと話にならない。もうひとつは財務省。前は、安倍内閣と財務省以下官僚機構が全面戦争をしてしまった。そして高笑いをしていたのが日銀。

安倍内閣は実は福井俊彦日銀総裁に殺されたようなもの。(拙著『財務省の近現代史』を参照)


何としても、今回は財務省を味方につけねばならない。ここでようやく本題。

民主党追随だった勝栄二郎前次官から交代してはや三ヶ月、前任者と違いまったく目立たない(でしゃばらない)現次官の真砂靖新体制を検証してみよう。



真砂氏(中央)
6月 増税通過直後。安住財務大臣、輿石幹事長、城島国対委員長、「増税よりも特例公債」を強調。
?  大蔵省のドンこと長岡実元次官、勝現役次官に退陣勧告。
7月 小泉純一郎、動く。谷垣自民党総裁、死に体に。…新聞とテレビしか見ていない人はまるで知らないということに驚き。
8月 増税通過。翌日、勝次官の退任発表。…12月までやりたがっていたくせに。
   電光石火で真砂新体制発足。勝前次官に公然と反旗を翻した古谷主税局長を国税庁長官にするなど、真砂シンパで中枢を固める。
  「安倍シフト」として同期の田中一穂理財局長を主税局長として残す異例の人事。
9月 内閣改造で、増税原理主義の岡田財務大臣を阻止。特例公債優先派の城島大臣に。
   勝前次官から顧問室を取り上げる。…「個室、秘書、送迎車」は「三種の神器」としての意味を持つ。
11月 民自公妥協。特例公債の三年間発行を認めさせる。=亡国阻止。三年間の延命。
   とりあえず、民主党政権を終わらせる。

なかなか、やるじゃないの?

前任者が大蔵省以来の伝統を忘れたのと違い、就任三ヶ月で亡国を阻止、三年の延命装置をつけた。
(延命したとは言っていないのであしからず)次の目標は?

日銀征伐!!!

前任者が増徴させ続けた日銀に鉄槌を下す。実は、安倍さんと財務省と日本国民の利害は一致しているのです。もちろん、日銀がもっとも嫌がる人物を総裁に推すしかない。その人は?

武藤敏郎

白川総裁はもう五年やりたがっています。と見せかけて、本命は山口副総裁の昇格でしょうな。とにかく、総裁の椅子を財務省に渡したくないので。改めて問う。もう五年間、後白川法王の圧制が続いてよいですか?明日は日比谷で安倍さんを応援する会に出席してきます。


武藤敏郎氏

【私の論評】確かに、ほとんどの勢力が安部叩きに走っている!!この状況は異常!!

上の記事は、倉山満氏のブログ「倉山満の砦」からの引用です。憲政学者の倉山氏は、過去の歴史からたどって、現在日本の政治を語っており、非常に参考になることが多いです。私は、このブログや、YouTubeの動画や、著書などを良く参照させていただいています。まだ、お若いのに、まさに、知恵袋という感じてす。


さて、上の記事では、安部総裁の敵を「公明党、民主党の大半、自民党の四分の三(特に石破幹事長)、財界、産経を含めた五大紙」としています。そうして、「彼らは、白川法王と日銀貴族の前に右へならえをしている。敵は安倍さんに内閣を明け渡し、参議院で嬲り者にする気満々。現在の状況、安倍さんは八方のうち七方くらいは塞がっている。残りの七方のうちの強力なものは日銀としています。

勝栄二郎氏
そうして、七方の中には、財務省を含まれていましたが、勝栄次郎が退官し真砂氏が次官となったので、財務省主流派は、七方ではなく、唯一の安部総裁の味方であることを示唆しています。無論、主流派とはいっても、数の上での主流派ではなく、過去の歴史から現在までの流れをみて、元々の大蔵省のスタンスにおいての主流派と言っているのだと思います。だから、いかに主流派が次官になったとしても、巷には、財務省の主流派ではない人による見解なども流れ、事実が見えにくくなっているのだと思います。それは、上の記事にもあったように、倉山氏の著書『財務省の近現代史』を読むと理解できます。それと、まともな国民の世論も、安部総裁に味方しているということです。

この状況は、本当に安部総裁の現在おかれている立場を的確に表現していると思います。さて、この状況、いつも既成のメディアである、大手新聞や、大手テレビ局のテレビばかり見る人々には理解できないかもしれません。しかし、ネットやYouTube(SakurasoTV,ChannelAjer)やニコニコ動画(へんまもチャンネル)などで、情報を得ている人たちには、理解できると思います。

しかし、7方の一角を占めるテレビなど見てばかりでは、ほとんど安部総裁の主張など理解できないと思います。たとえば、本日朝「新報道2001」を見ていたら、あろうことか、政策に関して、「経済成長」「歳出削減」「消費増税」をどの順番でやるべきか、政治家たちに順位をつけさせていました。そうして、その表示がついた、立方体(何と表現したら良いのか、わからないので、表現んしました。ご存知の方がいらしたら教えていただきたいです)を上から順番に並ばせるなどのことを実施していました。

過去の新報道2001のキャプチャー画像

この番組見過ごした方は、YouTubeからご覧になることができます。下に、URLを貼り付けておきます。

http://www.youtube.com/user/hodo2001

歳出削減、消費税増税は、最早当然のこととして、議論を進めていました。まともに経済がわかる人であれば、デフレの最中には、歳出削減などすべきではなく、政府は歳出増加をすべきことを知っています。無駄なことにお金を使うことと、歳出増加はイコールではありません。無駄なことにお金を使うべきではなのは、景気が良くても悪くても実施しなければならないことであり、歳出増加や削減とは本来直接関係ありません。

また、デフレのとき、消費税増税するなどとんでもないことであり、デフレ下の増税で、古今東西政府の財政赤字を削減できたためしはありません。むしろさらに、減ります。この番組の中で、イギリスが付加価値税をあげたことに言及している人がいましたが、その当のイギリスが、増税してから景気が落ち込み未だ、不況から抜け出すこともできず、財政赤字が解消される見込みも全くたっていないことなど誰も話題にもしませんでした。本当にどうなっているのか、見識を疑ってしまいます。

さすがに、「国民の生活が一番」の政治家と、他の一人の政治家は、「消費税増税」の立方体の文字が前に表示できないように、裏返しにして、前に表示できないようにしていましたが、他の自民党の議員も含めて、全員消費税増税の立方体を並べていました。まったく酷いものです。これでは、安部総裁の真意など、まったく理解できるわけはありません。

というより、この番組自体が、「経済成成長」「歳出削減」「消費税」ありきで、それを当然のこととして、順番の問題だけとして、進めています。これじゃまともな議論にはならないし、ほんど問題外で、安部総裁の主張など最初からわけいる余地すらありません。確かに、これでは、ほとんどが安部総裁の八方ふさがりのうち、政治家も、テレビ局も、コメンテーターも、最初から7方ふさがりの役割しか果たしていません。

さすがに、「経済成長」を一番上にする政治家が最も多かったようですが、それにもしても、経済成長も中身の問題です。ただ単に政府主導で、経済成長をするというのなら、このブログで以前掲載したように、優秀な人間がシナリオを書いてその通りに運営すれば、経済成長するはずであるとする、共産主義や、社会主義となんらかわりがなく、最初から失敗することは、目にみえています。

この「報道2001」は前から視聴すると、いらいらいして腹が立ったのですが、もう、むちゃくちゃです。最初から誘導していて、完璧な安部総裁排除シフトを組んでいるようなものです。自民党を含めた政治家も最初から、金融・経済など理解してない人を故意に選び、誘導し、安部総裁総裁排除シフトを組んでいるのは明白です。

それに、最近では、政治家だけではなく、いわゆる文化人も安部叩きを徹底的に実施しています。特に最近では安部叩きの一貫として、安部総裁の金融緩和政策を、荒唐無稽などとする批判がまかり通っています。その代表例は、先日もこのブログで掲載したことがあります。そのURLを以下に掲載しておきます。

安倍晋三氏の無責任な経済政策 - 池田 信夫氏−【私の論評】安倍総裁を無能呼ばわりしたつもりでしょうが、矛盾点が露呈してますが?!

池田信夫氏

詳細は、上のURLをご覧いただくものとて、池田氏は、日本経済は、流動性の罠にはまっているから、安部総裁のいうように、金融緩和をしても、無駄だということを言っています。以下に、池田氏の言いたいことを私が類推した部分をコピペしておきます。
池田氏の記事にそって、説明すると、流動性の罠にはまった状態では、 名目金利がゼロの状況であり、一般企業が、金利がゼロであっても銀行からお金を借りようとはしない状況です。だから、そのような状況では、日銀がいくら金融緩和を行なってお金を市場に提供したとても、市中に出回るお金の量は増えないということです。 
なぜなら、一国の経済が流動性の罠にはまっている状態では、、本来あるべき名目の金利水準はマイナスであってしかるべきで、そしてマイナスの金利であれば、一般企業の資金需要も起こり、世の中に流通するお金の量が増えることになりますが、現実の世の中では名目金利をゼロ以下に引き下げることができず、従って、一般企業の資金需要を引き起こすことができないので、世の中に出回るお金の量は増えないということです。 
名目金利をゼロ以下に引き下げるとは、現実世界においては、銀行からお金を借りると、利子を払うのではなく、逆に銀行から利子分のお金をさらに上乗せしてもらえるということです。そんなことは、銀行だって、商売でやっているので絶対にできません。だから、銀行はお金をかせなくなるということです。であれば、いくら、中央銀行がいくら市中銀行にお金を提供しても、銀行は企業にお金を貸すことはなく、よって、市中に出回るお金も増えないということです。
そうして、最近では、個人ブログでも日本経済は「流動性の罠」にはまっているから、安部総裁の主張する金融緩和政策は、意味かないことを主張するものもあらわれています。その典型的なものが、下のブログ記事です。

クルッグマン論文を使って、池田信夫を応援する

詳細は、上記の記事をご覧いただくものして、このブログを書いた方は、全面的に池田氏に賛成ではないようですが、それにしても、日本経済が「流動性の罠」にはまっているから、安部総裁の主張するように金融緩和をしても無駄だと言っていることには変わりがないと思います。

確かに、流動性の罠にはまっているのなら、池田氏のいうことはあてはまります。しかしながら、日本経済が、現在も流動性の罠にはまっているととどうして言い切れるのでしょうか。流動性の罠とは、経済のある状況を示しているだけで、なぜそのような状況に至るのか、あるいは、一国の経済が、流動性の罠にはまっていることを示すものではありません。私は、日本経済が、バブル崩壊よりしばらく、おそらく、5年くらいは、流動性の罠にはまっていた可能性が高かったと思います。最大限譲歩して、10年くらいははまっていた可能性もあることは、認めます。しかし、現在の日本経済経済が、流動性の罠に依然としてはまっていると断言できるのでしょうか?

安倍総裁は、八方塞がりに近い状況にある!!
すでに、デフレ傾向になってから20年、統計上で誰もが認めざるをえないような、デフレになってからですら、14年目に入ったことを考えると、これは、非常に異常です。私は、日本は、流動性の罠にはまっている状況ではなく(無論ここでは、金融措置として金融緩和をしても何をしても、梃子でも市中にでまわるマネー量が増えないという意味です)、あまりに長い間、緊縮財政と、金融引き締めを続けているので、一見流動性の罠にはまっているように見えるだけで、実際は違うと思います。

私は、安部総裁の金融政策に反対の人々、特に「流動性の罠」にはまっているから反対とする方々に、問いたいです。日本経済は、本当に未だ「流動性の罠」にはまっているのか、批判するなら、それを証明してみろといいたいです。

流動性の罠にはまっているからという前提条件で、安部総裁の金融緩和政策は意味がないというのは、簡単なことです。しかし、日本経済が間違いなく、流動性の罠にはまっていることを証明することは困難だと思います。数理的にも、他の方法でもできないと思います。少なくとも、私はできません。

確かに銀行の貸し渋り状況は続いているのだが!
しかし、実証的な方法が一つだけあります。それは、安部総裁の主張する大規模な金融緩和策を一度やってみることです。インフレ目標を高くして、実際に実行してみることです。それに、他国だけが、大幅な金融緩和措置を実行しているのに、日本が金融引き締めを続けていれば、円高になるのは、道理です。円が相対的に他国通過よりも、量的に少なければ、円に対する需要が高まり、円高になります。金融緩和は、円高傾向を是正することにもなります。そうして、流動性の罠にはまっていたとしても、財政出動をすれば、流動性の罠も解除できる確率が高まりますこれだけでも、金融緩和をする価値は十分にあります。日本が、流動性の罠にはまっていることを証明することもなしに、ただただ、安部総裁の金融緩和策が間違いだと批判するのは、どこかおかしくはありませんか?そう思うのは、私だけでしょうか、皆さんはどう思われますか?

それにしても、安部総裁まさに、八方ふさがりに近い状態です。こんな状態を打開するためには、私たちが、安部総裁に対する批判の矛盾点など論破し、明るみにだし、まともな「世論形成」に寄与ていくしかありません。私も、選挙までの期間は、そうしてきます。そうして、私だけではでは、知り得ない事実もあると思います。そのような情報を皆さんが、見たり聴いたりした場合、ぜひお知らせ下さい。このブログや、ツイッターなどで拡散させていただきます。よろしくお願いします!!



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