2016年1月13日水曜日

尖閣防衛へ海自派遣も 激増する中国の領海侵入を“牽制” ―【私の論評】劇場型政治に限界が見えてきた八方塞がりのどん詰まり習近平(゚д゚)!

尖閣防衛へ海自派遣も激増する中国の領海侵入を“牽制”

尖閣周辺を航行する中国海警局の船。機関砲を搭載している

 安倍晋三政権が、沖縄県・尖閣諸島を断固として守る決意を示した。中国軍艦が周辺の領海に侵入した場合、自衛隊に海上警備行動を発令して対処する考えを示したのだ。ただ、十分な対応を可能にするには、武器使用基準の見直しなど、課題が残っているようだ。

 「警察や海上保安庁の対応が困難な場合は、自衛隊が対応するのが原則だ」

 中谷元(げん)防衛相は12日の記者会見で、こう語った。

 中国が、東シナ海海空域での活動を激化させている。民主党政権下での尖閣国有化(2012年9月)以来、中国公船の領海や接続水域への侵入は激増しており、15年の領海侵入は35日もあった。

 加えて、中国海警局の公船に機関砲が搭載されるなど、武装も強化されている。この公船は、中国海軍のフリゲート艦を改造したものとみられ、武力で尖閣を強奪する可能性も指摘されているのだ。

 こうしたなか、日本政府は昨年5月、安全保障法制を閣議決定した際、武装集団による離島への不法上陸や無害通航に該当しない外国軍艦の航行に関し、海上警備行動を迅速に発令すると決め、閣僚に電話で了解を取り付ける閣議決定の方式を導入した。

 海上警備行動は、「有事」の防衛出動とは異なり、武器使用に一定の制限があるが、警告射撃などが可能になる。過去には1999年の北朝鮮工作船事件や、2004年の中国原子力潜水艦による領海侵入、09年のソマリア沖の海賊対処の際に発令されている。

 冒頭の中谷氏の発言は、一連の対処方針に基づき、自衛隊が行動する意思を示すことで中国側を牽制する狙いがある。すでに、政府が中国側に方針を伝えたという報道もある。

 航空自衛隊南西航空混成団司令を務めた佐藤守・元空将(軍事評論家)は「自国への侵害には断固として立ち向かう-という、国際常識に照らして当たり前の姿勢を示した」といい、続けた。

 「南シナ海の現状でも分かるが、中国は弱みを見せたらどんどん出てくる。日本は専守防衛の実態を示さなければならない。これまで、憲法にとらわれて控えめすぎた。国民の生命と財産を守るためにも、武器使用基準の見直しなど、法整備も進めるべきだ」

【私の論評】劇場型政治に限界が見えてきた八方塞がりのどん詰まり習近平(゚д゚)!

中国の公船は、つい最近まで、武装はしていなかったのですが、昨年の暮れあたりから機関砲で武装した公船が、尖閣付近を航行するようになりました。

そうして、この動きはこれからさらにエスカレートすることはあっても静まることはありません。以下にこれを主張する証拠ともなると考えられる記事を掲載します。
中国、海軍艦改造し尖閣海域投入 機関砲を搭載
2014年1月に撮影された中国海軍のフリゲート艦「539安慶号」(上、共同)。
下は昨年12月22日に沖縄県・尖閣諸島周辺の接続水域を航行する中国海警局の
「海警31239」(第11管区海上保安本部提供)。
機関砲を搭載している 
沖縄県・尖閣諸島周辺の領海外側にある接続水域で先月下旬に初めて航行が確認された機関砲のようなものを搭載した中国海警局の船が、中国海軍のフリゲート艦を改造した船だったことが5日分かった。 
中国の軍事情報を伝える香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターは、3隻のフリゲート艦が既に改造を終え、他に2隻の駆逐艦が改造中で、計5隻が尖閣海域に投入される可能性があると明らかにした。中国が領有権をさらに強硬に主張しようとする姿勢の表れと言え、緊張が高まりそうだ。
中国海軍の 053H2G 型ミサイル・フリゲート(江衛I型(江卫I级)、ジャンウェイI型)3隻と、051型ミサイル駆逐艦(旅大I型(旅大I级)、ルダI型)2隻が退役し、ミサイル発射装置を下ろすなどの改装を行い、中国海警局に移管されます。

フリゲート3隻はすでに海警船としての運用が確認されています。053H2G型。

「海警31239」、もと「539 安慶( 安庆)」艦。
「海警31241」、もと「541 淮北」艦。
「海警31240」、もと「540 淮南」艦。

改造中の051型ミサイル駆逐艦「131 南京」艦と「162 南寧(南宁)」艦かもしれません。

もしそうだとすれば、機関砲は、武装のうちの60口径37mm連装機関砲を4基全部あるいは前後2基だけを残すか、あるいは、辺防海警部隊の警備船にも装備されている新しい機関砲に載せかえることが考えられます。

機関砲を載せた退役軍艦の海警船というと、数年前に 053H型フリゲート(江滬I型、ジャンフーI型)「509 常德」と「510 紹興(绍兴)」の2隻が、公安部辺防海警部隊に移管され「海警1002」「海警1003」となっている。その後、中国海警局の正式成立によって「海警44102」(広東省)「海警46103」(海南省)と改名された。

いずれにせよ、中国側がこのような行動をするのですから、日本としてもこれに備えなければならないのは当然の措置でしょう。

それにしても、中国がこのような行動に出るにはそれ相当の理由があります。それに関しては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国海軍、尖閣接近のウラ 米爆撃機の威嚇に習政権“苦肉の策”か ―【私の論評】日本と戦争になれば、自意識過剰中国海軍は半日で壊滅!東シナ海で傍若無人ぶりを働けば撃沈せよ(゚д゚)!
B52を空母に搭載するとこんな感じです 合成写真
これは、去年11月16日の記事です。詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では、中国海軍のドンディアオ級情報収集艦が、尖閣付近を単なる通過ではなく、1日で東西に反復航行したのは特異な航行な航行をしたことを掲載しました。

そうして、この記事では、中国艦船が尖閣付近でこのような異常な行動をした背景も掲載しました。その部分についてのみ以下に掲載します。
中国といえば、南シナ海の岩礁を国際法を無視して軍事基地化したことをめぐって、米国と緊張関係にある。
米軍は「航行の自由」と「法の支配」を守るため、先月27日、イージス駆逐艦「ラッセン」を派遣したうえ、米原子力空母「セオドア・ルーズベルト」をマレーシア沖で航行させて中国をけん制した。 
今月8~9日(ブログ管理人注:昨年11月)には、グアムから飛び立った、核爆弾搭載可能なB52戦略爆撃機2機が、南シナ海の人工島近くを飛行するなど、圧力を強めている。中国軍は、こうした米軍の攻勢に目立った動きをみせていない。 
こうしたなか、少し離れた東シナ海で特異な航行をしたのはなぜなのか。
軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「情報収集艦の航行は、南シナ海での動きと連動しているとみて間違いない」といい、続けた。 
「中国は、米国が艦船だけでなく、戦略爆撃機まで投入するとは思っていなかったはずだ。対抗措置を取らなければ、中国のメンツが立たないうえ、国内世論の反発を食らう。といって、緊迫する南シナ海で下手に動けば、軍事力で歴然の差がある米軍と衝突する事態になりかねない 
「苦肉の策として導き出したのが、東シナ海への艦艇派遣だったのだろう。『自衛隊が相手ならば、大きな事態にならない』と考えたのではないか。それだけ、米軍の『フリーダム・オブ・ナビゲーション(航行の自由)作戦』で追い詰められているということだ」
そうして、昨年12月には、米軍のB52戦略爆撃機が、南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島で、中国が「領海」と主張する人工島周辺12カイリ(約22キロ)内上空を誤って飛行したことを明らかにしました。中国側から「2カイリ内」だったと抗議を受けたとしています。これは、無論誤って飛行したということは、あり得ないと思います。

怒り心頭に達した米国が、意図して意識してB52を飛行させたのだと思います。もし中国側が主張する「2カイリ内」というのであれば、これは真上を通過したと言ってもいいくらいです。その後12月22日に、機関砲4丁を装備し、しかもそれをむき出しにした公船を尖閣付近に航行させています。

この図式は、もうはっきりしました。南シナ海で米国が中国に対して、報復措置とると、中国としては、もともと手も足もでない、恐ろしい米国に対しては直接行動が取れないので、尖閣付近で何かをやらかして、牽制するという動きに出ているということです。

この動きは、ますます加速するものと思います。一連の中国の行動は、習近平の劇場型政治手法によるものです。超大国妄想を国民に対して演じてみせたわけですが、ご存知のようにそれは失敗に終わりつつあります。

今のままでは習近平は八方塞がりの閉塞感に苛まされることになります。米国に本気で対峙すれば、程なく米中の軍事力や経済力の差異は明々白々となり、対国内的にも非常にまずいことになります。

だから、憲法や法律の縛りのある、日本なら、何とか与することができると考え、ある程度武装した元フリゲート艦を尖閣付近に派遣して、中国の優位を見せつけようと考えのです。しかし、フリゲート艦や潜水艦を本格的に派遣するつりはないようです。

こんなことをしてまえば、それこそ、安倍内閣を憤慨させ、自衛隊が尖閣付近に出てくるようになれば、中国海軍は太刀打ちできません。惨敗するのは目に見えています。

しかし、それに対して、安倍総理はブログ冒頭の記事のように、沖縄県・尖閣諸島を断固として守る決意を示しました。中国軍艦が周辺の領海に侵入した場合、自衛隊に海上警備行動を発令して対処する考えを示したのです。これは、習近平の大きな誤算だったことでしょう。

そもそも、習近平にとって最も恐れていたことは、安倍政権が自衛隊を用いて、尖閣付近から中国の勢力を一掃することでした。もし、そんなことをされれば、脆弱な中国海軍は、日本の自衛隊にも全く太刀打ちできず、脆弱な本質を白日のもとにさらすことになります。

これを考がえると、習近平は劇場型政治で何とか乗り切ろうとしていたのですが、米国には牙を向かれ、日本だけはと考えたいたにもかかわらず、日本にさえ、牙を向かれ完全に八方塞がりになりました。

70周年抗日記念軍事パレードで、左手で敬礼をした習近平
日本が、尖閣付近に海上自衛隊など派遣して、中国と対峙することにでもなれば、中国海軍になすすべはありません。早々に中国の港に逃げざるをえなくなることでしょう。

日本では、なぜか中国の力を過大に評価をする人も多いですが、このブログにも何度か掲載したように、純粋に軍事的には中国海軍、空軍などは未だ自衛隊の敵ではありません。

そうして、自衛隊が尖閣付近で中国と対峙して、攻撃などすれば、戦争になるなどと思い込む人も多いようです。しかし、明らかな領海侵犯をして、艦船が撃沈されたからといって、すぐにそれで戦争になるなどということはありません。あるいは、明らかに領空侵犯をしたからといって、すぐそれで戦争になるということもありません。

世界の常識では、ある国が領空侵犯、領海侵犯されたから、これを攻撃して墜落させたり、撃沈したとしても、それは侵犯した側が悪いということで、何ら非難の対象にもなりません。侵犯が明らかなら、侵犯した側が悪いとされるだけです。

日本も例外ではありません。日本の領空、領海に侵犯があれば、これに対処して、呼びかけや、警告を行い、それでも退去しない場合は、当然、撃墜、撃沈するだけのことです。

過去の中国の行動をみていれば、中国艦船を撃沈しても戦争にならないでしょうが、日本側が、いかなる場合も撃沈というなら、どんどん増長して、いずれ尖閣に上陸、沖縄に上陸ということになると思います。

実体経済もダメ、金融も空洞化、株安、軍事的には南シナ海での米国の報告、さらに尖閣付近では、安倍総理の報復にあいそうです。

今頃習近平は八方塞がりのどん詰まりに苦しんでいることでしょう。根拠のない超大国妄想を演じて見せてきた、いままでつけが回ってきたようです。近いうちに習近平体制は崩れることでしょう。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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