2016年1月14日木曜日

「世界の工場・中国」は終わった リーマン以来の貿易前年割れ…トドメはTPP―【私の論評】世界の工場が消えるだけのはずが、10%増税なら日本経済回復は中国より遅れる(゚д゚)!

「世界の工場・中国」は終わった リーマン以来の貿易前年割れ…トドメはTPP

夕刊フジ

かつて世界の工場と呼ばれた中国だが・・・・
 中国が「世界の工場」と呼ばれた時代は完全に終わった。輸出と輸入を合わせた2015年の貿易総額が前年比8・0%減の3兆9586億ドル(約468兆円)とリーマン・ショック後の09年以来の前年割れ。16年以降もさらなる下振れが予想されている。

15年の輸出は2・8%減。原材料や部品を輸入して安価に組み立て大量輸出する加工貿易で急成長してきた中国だが、人件費高騰や労使紛争の頻発などで競争力が失われ、繊維や衣料品、機械・電子部品など外資系の工場が相次いで中国から撤退した。

環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が発効すれば有望な輸出拠点となるベトナムなどへのシフトが加速するとみられ、中国の輸出産業は地盤沈下が止まらない。

輸入に至っては14・1%減の1兆6820億ドルと落ち込んだ。不動産市況や株式市場の低迷で内需が低迷、人民元安で輸入価格も上昇した。

輸入の動きは国内総生産(GDP)と連動するといわれ、19日に発表される15年の中国のGDPでは統計数字の信憑(しんぴょう)性も問われている。

貿易失速を受けて、13日の上海株式市場で、総合指数の終値は2015年8月下旬以来、約4カ月半ぶりに終値が3000を下回った。

過去30年間で中国の貿易総額がマイナスとなるのは、アジア通貨危機のあった1998年とリーマン・ショックの影響を受けた2009年の2回しかない。

政府系の中国社会科学院も16年の輸出は前年比0・6%減、輸入は3・0%減と予想しており、中国経済はさらに沈みそうだ。

【私の論評】世界の工場が消えるだけのはずが、10%増税なら日本経済回復は中国より遅れる(゚д゚)!

昨年は、ホンダ が新型原付スクーター「ジョルノ」の生産を中国から日本の熊本製作所に移しました。ホンダのような大手に限らず、中小の日系工場でも、日本生産回帰や東南アジアへの進出など中国生産縮小の動きが進行しつつあります。特に人件費の安さを理由に進出した労働集約型や、中国国内での販売を考慮していない輸出専業型の場合は、撤退さえ選択肢に入れていることでしょう。


食料品、繊維製品など生活必需品の対日輸出に強い、山東省の最低賃金を見てみましょう。この数値が初めて発表されたのは1994年でした。このとき月例の賃金はわずか170元でした。それが2015年3月の改定では1600元となりました。20年で約10倍の上昇です。

しかし、実際にはこの最低賃金で労働者を雇うことは難しいです。外資系なら2000~3000元は必要でしょう。上海、深センでは最低賃金が2000元の大台を初めて超えました。この間、日本市場はデフレが続いており、店頭販売価格はむしろ下落していました。労働コスト的にはとっくに限界に達していたのですが、2012年まで続いていた日本の円高が延命治療の役割を果たしていました。

しかし、アベノミクスによる急速な円安がこのそれ以前の麻薬漬け状態を外した格好になり、東南アジアへの産地移動が急加速しました。続いて日本回帰の動きも始まりました。

この麻薬漬け状態の中国については、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。この記事は、2012年11月4日のものです。まだ、民主党政権だった頃です。この直後に衆院選があり、安倍自民党政権が圧勝しました。
中国は世界で最もストレスの大きい国に―【私の論評】日本の円高・デフレを終わらせ、中国麻薬漬け政策を終わらせ、中国に新社会秩序を打ちたてよ!!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、中国の麻薬漬け状態に関する部分に関する部分のみ以下にコピペします。
中国を支えているのは為替操作によるキャッチアップ型の経済成長であり、円高とデフレを放置する日本銀行によるものだ。からくりはこうだ。 
慢性的な円高に苦しむ日本企業は、過度な「元安」政策をとる中国に生産拠点を移し、出来上がった製品の一部を逆輸入している。国内で一貫生産するより、わざわざ中国を経由した方がもうかる構造になっているのだ。つまり日銀は、「デフレ政策で日本の産業空洞化を促進し、雇用と技術を中国に貢ぎ続けた」ことになる。 
これ以上、日本経済が中国に振り回されないで済むにはどうしたらいいか。答えは簡単だ。日銀にデフレ政策をいますぐやめさせることである。
・・・・・・・・・〈中略〉・・・・・・・・・ 
日銀は、はからずも、中国を人間でいえば、麻薬漬けにしてしまったといえるかもしれません。しかし、先に述べたようにこのような麻薬漬け政策をつづけたとしても、日本を、デフレと円高で苦しめるし、中国は麻薬漬け体質からなかなか抜け出しにくくするだけです。日銀の白川総裁も、いい加減、中国麻薬漬け政策など、中国を駄目にしていずれ人民に恨まれるだけであろうことを認識していただきたいものです。 
やはり、日本の円高・デフレを終わらせ、中国麻薬漬け政策をおわらせ、中国に新社会秩序を早期に打ちたてるためにも、日銀のとんでもない金融政策は、一刻もはやく終わらせるべきだと思います。そう思うのは私だけでしようか?
日銀の中国麻薬漬け政策により、金融・経済が過度に蝕まれた中国は、麻薬が切れた今とんでもないことになっています。実体経済は悪化、株安、金融の空洞化と、とんでもない状況です。

そうして以前、中国への進出コンサルタントをしていた連中が、今や中国撤退コンサルタントをしているという有様です。

こんな状況では、もはや中国は世界の工場でいられるわけもありません。

中国の経済モデルはもともと非常に高い貯蓄と非常に低い消費の特徴を持っていました。中国のGDPに占める個人消費の割合は35%に過ぎません。日本をはじめとする先進国は、60%台が普通です。アメリカに至っては、70%台です。

これは中国が非都市部に不完全就業者労働力  の膨大な貯えをもっていた時には可能でした。しかしこの状況は最早一変していて、 中国はいま、 不況に陥ることなく相当大きく成長率を引き下げた体勢に移行するという綱渡りのような課題に直面しています。

合理的に考え得る戦略としては、金融緩和とインフラ支出で時間を稼ぎつつ、一般世帯の購買力を強化する方向に経済改革を進めて行くという方針があったはずでしたが、残念ながら中国が実行したのは同戦略の前半部分だけでした。その結果、一方では負債が急増し、 その多くを保有しているのは規制の杜撰な 『影の銀行』です。 他方で金融崩壊の恐れも出てきました。

そうするとやはり中国の状況は予断を許さぬもののようです。

しかし、中国が世界各国から購入する 「財やサービス」 は、毎年2兆ドルを超えています。とはいいながら、世界は広いです。各国国内総生産合計は、中国のそれを除いても、60兆ドルを超えています。中国の輸入が劇的な落ち込みをみせたとしても、世界全体の支出への衝撃はさほどのことはないと思います。

日本もその例外ではありません。日本の対中輸出はGDPの2.7%程度であり、これが劇的に低下したとしても、あまり大きな影響があるとは考えられません。以下に、各国の対中輸出・輸入がGDPに占める割合のグラフを掲載します。


この程度であれば、日本の内需が拡大したり、他国への輸出に振り向けることにより、たとえ中国の経済が停滞してもその影響は軽微だと考えられます。

金融関係については、どうかといえば、 中国は資本規制を敷いています。そのため株価が急落し、或いは中国内国債のデフォルトが生じた場合でも、直接的な波及効果は極めて小さいです。

だから、中国経済の長期にわたる不振が続いたにしても、さらには、中国の金融がさらに空洞化したにしても、世界に及ぼす影響や、日本に対する影響も軽微で終わることでしょう。日本を含めた、世界の先進国などが、困ることは中国に変わる世界の工場を探すことくらいのものだと思います。

ただし、日本に関しては、一つだけ条件があります。それは、現在日本に厳然として存在する10兆円のデフレギャップを早期に解消するということです。

金融緩和をしたことにより、このギャップも縮まる傾向にはあるのですが、それにしても、このギャップを無視して、8%増税をしてしまった結果、このギャップは縮まることなく温存されたままです。

これを、早目に解消するには、10%増税などとんでもないです。まずは、10%増税は絶対にしないことが、中国の経済悪化を軽微にすることの最低条件です。

そうして、できうれば、3兆円などとチマチマしたことをせずに、10兆円規模の財政政策を早期に打てば、中国経済悪化の悪影響など、なきが如しの程度で済んでしまうことでしょう。

このあたりについて、以前このブログにも詳しく掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
衝撃!中国経済はすでに「マイナス成長」に入っている〜データが語る「第二のリーマン・ショック」―【私の論評】中国経済の悪化をだしに、日本の積極財政を推進せよ(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、とにかく来年からの10%増税などという馬鹿なことは、絶対にやめるべぎてす。そうすれば、中国の経済悪化の影響など日本にとっては軽微なものになるはずです。

しかし、増税してしまい、さらに中国経済がさらに悪化すれば、またリーマン・ショックのように、日本が一人負けになることは必定です。リーマン・ショックのときは、日本だけが、緩和をしなかっのですが、他国は大規模な金融緩和を行ったため、本来ほんど影響がなかったはずの日本が、震源地のアメリカや、サブプラム・ローンの悪影響をかなり受けたEUなどよりも立ち直りが遅く、一番長くその影響を被ってしまいました。

今回の中国経済の悪化に対しても、他国はこの時期を狙ってわざわざ増税するなどという愚策は絶対しませんから、日本だけが実行するということにでもなれば、またまた、日本がひとり負けという状況になり、震源地の中国よりも回復が遅れる馬鹿げたことにもなりかねません。

私としては、安倍政権はそのような愚策を実行するとはとても思えませんので、先の私の中国経済の悪化が日本に及ぼす影響は軽微という予測が是非ともあたって欲しいものと思っています。




【関連図書】

余命半年の中国経済 これから中国はどうなるのか
ビジネス社 (2015-12-15)
売り上げランキング: 197

総理の実力 官僚の支配 ─教科書には書かれていない「政治のルール」─
倉山 満
TAC出版 (2015-07-15)
売り上げランキング: 9,767

官愚の国 日本を不幸にする「霞が関」の正体 (祥伝社黄金文庫)
高橋 洋一
祥伝社 (2014-06-12)
売り上げランキング: 85,827






コメントを投稿